JP3562500B2 - コネクタ装置及びそのｅｍｉ対策用ガスケット - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバコネクタ装置や電気コネクタ装置等のコネクタ装置の技術に関するもので、特にこのようなコネクタ装置用のＥＭＩ対策用ガスケットに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、光ファイバコネクタ装置または電気コネクタ装置等のコネクタ装置は、雄型および雌型コネクタと呼ばれることがあるプラグおよびレセプタクルコネクタ等の一対の接合コネクタか、またはパネルやバックプレーン等を介してコネクタを取り付けるためのアダプタを有する他の形式の接合装置で構成されている。コネクタの形状とは関係なく、一般にコネクタまたは接合装置は、相手方コネクタまたは接合装置の収容部内に挿入される一方のコネクタまたは接合装置が幾つかの形状のプラグ部を有している。従って、プラグ部および収容部がコネクタ装置の接続界面を規定する。
【０００３】
例えば、従来の光ファイバコネクタは、一本または複数の光ファイバをコネクタ内の中心に取り付けるフェルールを有している。フェルールは、セラミック等の材料で形成される構成とすることができる。フェルールホルダまたはコネクタの他のハウジング部材がフェルールを包囲し、プラスチックまたは鋳物等の材料で形成される構成とすることができる。しばしば、一対の光ファイバコネクタまたは一つの光ファイバコネクタともう一つの光ファイバ伝送装置は、光ファイバを中心に置いて挿入損失を低減させるアダプタで接合される。アダプタは、収納された光ファイバが端末相互間で接合するようにコネクタを共に連結させる。アダプタはインライン（直列形）部材により構成することができるか、またはパネル、バックプレーン、回路基板等の開口部に取り付け可能なようにアダプタを設計することができる。従って、アダプタおよび接合コネクタは、上述したようにプラグ・レセプタクル形式の界面を有する構成とすることができる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
多くのコネクタ装置における問題は、コネクタ装置のプラグ部と収容部間の接続界面で電磁干渉波（ＥＭＩ）漏れが生じる可能性があることである。この問題を解決するために、コネクタ装置の接合部分間にＥＭＩ対策用ガスケットを設けて、電磁干渉波の出入りを防止することが知られている。例えば、丸形コネクタにおいて、波状または曲がりくねった円形状ガスケットが、丸形コネクタの接続界面の円形状収容部内に挿入される円形状プラグ部の回りに取り付けられる。ＥＭＩ対策用ガスケットは、接続界面でのＥＭＩ漏れを防止するために導電性金属で形成される構成とすることができる。しかしながら、コネクタ装置の矩形のプラグ部および収容部においてこのような金属のＥＭＩ対策用ガスケットを用いる場合に問題が生じている。
【０００５】
特に、一般に矩形形状に形成されたコネクタ装置は、対向する短辺と対向する長辺によって規定される矩形のプラグ部を有している。矩形のプラグ部は、対応の対向する短辺と対向する長辺を有する略矩形の収容部内に挿入される。接続界面において矩形のＥＭＩ対策用ガスケットを矩形のプラグ部に対して取り付けようとした場合に、プラグ部の長辺に沿ったＥＭＩ対策用ガスケットの長さがその外向きに湾曲する傾向がある。しばしば、外向きに湾曲したガスケットは、コネクタ装置とＥＭＩ対策用ガスケットとの適当な接合に干渉し、実際に強制的に接合させた場合に変形される可能性がある。
【０００６】
本発明は、矩形形状に形成されたコネクタ用の独特なＥＭＩ対策用ガスケットを提供することによりこの問題を解決するものである。
従って、本発明の目的は、新規であり改良されたコネクタ装置用のＥＭＩ対策用ガスケットを提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、本発明によるＥＭＩ対策用ガスケットを有するコネクタ装置を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明のＥＭＩ対策用ガスケットは、対向する短辺と対向する長辺によって規定されるコネクタの略矩形の接合プラグ部に対して取り付けるために提供される。ＥＭＩ対策用ガスケットは略矩形形状であって、接合プラグ部のそれぞれの短辺と長辺に対応している対向する短辺と対向する長辺を規定している。ＥＭＩ対策用ガスケットは、応力解放状態では長辺が内向きに湾曲した略ボウタイ形状を有している。従って、ＥＭＩ対策用ガスケットが接合プラグ部に取り付けられた時に、ＥＭＩ対策用ガスケットの内向きに湾曲した長辺が接合プラグ部の長辺に対して付勢される。
【０００８】
即ち、本発明のコネクタ装置は、収容部を有する相補型の相手方接続装置と、前記収容部内に挿入される接合プラグ部をコネクタ本体部から前向きに突出して有しているコネクタとを備えたコネクタ装置であって、
前記収容部が、対向する従辺と対向する主辺で略矩形に形成されていると共に、前記接合プラグ部が対向する短辺と対向する長辺で略矩形に形成されて、接合プラグ部が収容部の内側に接合可能にされており、
そして、前記接合プラグ部の周囲を包囲するように、環状に成形されたＥＭＩ対策用ガスケットが取り付けられて、ＥＭＩ対策用ガスケットが前記収容部の従辺と接合プラグ部の短辺の間及び収容部の主辺と接合プラグ部の長辺の間に配置されるようにされており、
前記ＥＭＩ対策用ガスケットは、導電性の弾性金属板材料から打ち抜かれて環状に成形された独立の部材であり、前記接合プラグ部のそれぞれの短辺と長辺に対応している対向する短辺と対向する長辺を規定する矩形形状であり、応力解放状態において長辺が内向きに湾曲した略ボウタイ形状を有し、且つ前記短辺及び長辺の各辺が前記接合プラグ部の収容部への挿入方向において湾曲形成されており、前記接合プラグ部に取り付けられた時に前記長辺が前記接合プラグ部の前記長辺に対して弾性的に付勢されていることを特徴とするコネクタ装置である。
また、本発明のＥＭＩ対策用ガスケットは、コネクタの本体部から前向きに突出し、相補型の相手接続装置の収容部に挿入される接合プラグ部の周囲を包囲するように取り付けられるＥＭＩ対策用ガスケットであって、
導電性の弾性金属板材料から打ち抜かれて環状に成形された独立の部材とされ、
前記接合プラグ部が、対向する短辺と対向する長辺で略矩形形状とされているのに対応して、対向する短辺と対向する長辺を規定する矩形形状であり、応力解放状態において長辺が内向きに湾曲した略ボウタイ形状を有し、且つ前記短辺及び長辺の各辺が前記接合プラグ部の収容部への挿入方向において湾曲形成されており、前記接合プラグ部に取り付けられた時に前記長辺が前記接合プラグ部の前記長辺に対して弾性的に付勢されることを特徴とするＥＭＩ対策用ガスケットである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図面についてより詳細に説明すると、まず図１乃至図３には参照符号１０で示される本発明によるコネクタ装置が示されている。コネクタ装置１０は、バックプレーンまたはパネル２０の孔１８に取り付けられる参照符号１６で示されるアダプタを介して接合可能な、参照符号１４で示される複数の光ファイバコネクタモジュールと参照符号１２で示される光ファイバコネクタを有している。本発明は、光ファイバコネクタ１２を有する光ファイバコネクタ装置１０に関連して開示されているが、本発明による独特なＥＭＩ対策用ガスケットは種々の他の形式のコネクタで使用可能であることは理解されるべきであろう。
【００１０】
これを承知の上で説明すると、一般に、光ファイバコネクタ１２は、前向きに突出する接合プラグ部２４を有する本体部２２を有している。光ファイバコネクタ１２は光ファイバケーブル２６を終端処理し、光ファイバケーブル２６はそれ自体、接合プラグ部２４の前面３０からわずかに突出する複数のフェルール２８（図１）にそれぞれ接続される複数の光ファイバを有する複数のリボンタイプケーブルから成る構成とすることができる。一対の位置合わせピン３２が、接合プラグ部２４の前面３０の前方に突出している。一対のジャッキネジ３４は本体部２２を貫通して延び、外ネジ付きシャフト端３４ａを有している。外ネジ付きシャフト端３４ａは、位置合わせピン３２と同様に、接合プラグ部２４の前面３０の前方に突出している。
【００１１】
光ファイバコネクタモジュール１４が、一つのみ図面に示されているが、四つのコネクタモジュールを矢印「Ａ」（図１乃至図３）の方向にアダプタ１６の後側の四つの通路３６内に挿入される。各光ファイバコネクタモジュール１４は、コイルバネ４２によって前側フェルール４０に結合される後側本体部３８を有している。前側フェルール４０は、リボンタイプの光ファイバケーブル４４の複数の光ファイバを終端処理する。ラッチ４６は、光ファイバコネクタモジュール１４をアダプタ１６の各通路３６で保持する。四つの光ファイバコネクタモジュール１４を挿入してアダプタ１６の四つの通路３６内でラッチした時に、光ファイバコネクタモジュール１４の前側フェルール４０が光ファイバコネクタ１２のフェルール２８と整列し、光ファイバコネクタ１２がアダプタ１６内に矢印「Ｂ」の方向に挿入された時に各光ファイバが相互接合される。
【００１２】
アダプタ１６は、パネル２０の孔１８を貫通して延びる本体部４８を有している。フランジ５０（図２および３）が本体部４８と一体に形成され、パネル２０の前面に当接している。適当な係止手段５２がフランジ５０を貫通して延び、本体部４８がパネル２０の孔１８を貫通して延びるようにアダプタ１６がパネル２０に取り付けられる。上述したように、アダプタ１６のハウジング部５４の通路３６に、光ファイバコネクタモジュール１４が収容される。アダプタ１６は、本体部４８とフランジ５０とハウジング部５４から成る一体構造である構成とすることができる。
【００１３】
図１乃至図３とともに図４について説明すると、アダプタ１６は、図２と図３と図４に最も良く示したように光ファイバコネクタ１２に向って接合方向にフランジ５０から突出する略矩形の収容部５６を有している。収容部５６は、対向する従辺５６ａと対向する主辺５６ｂによって規定される。換言すれば、従辺５６ａは収容部５６の短辺であり、主辺５６ｂは収容部５６の長辺である。収容部５６は、光ファイバコネクタ１２の位置合わせピン３２を収容する一対の位置合わせ孔５８を有する底壁またはベース壁５６ｃを有している。一対の内ネジ付き孔６０は、アダプタ１６に接合された光ファイバコネクタ１２を固定するためにジャッキネジ３４の外ネジ付きシャフト端３４ａを収容する。四つの矩形孔６２は、光ファイバコネクタモジュール１４が貫通して延びるベース壁５６ｃの凹部６４に形成されている。
【００１４】
図５には、光ファイバコネクタ１２（図１）の接合プラグ部２４の前面３０側が示されている。接合プラグ部２４は、アダプタ１６の収容部５６（図４）の内側に接合される。接合プラグ部２４は、対向する短辺２４ａと対向する長辺２４ｂによって規定され、収容部５６の内側に接合可能な形状または寸法となっている。換言すれば、接合プラグ部２４の短辺２４ａおよび長辺２４ｂはそれぞれ、収容部５６の従辺５６ａおよび主辺５６ｂに対応している。最後に、図５には、プラグ部の前面３０がフェルール２８（図１）が貫通して延びる矩形孔６６を有しているのが示されている。
【００１５】
図５に最も良く示したように、光ファイバコネクタ１２の接合プラグ部２４は面取りされた角部６８を有している。図４に最も良く示したように、アダプタ１６の収容部５６は面取りされた角部７０を有している。接合プラグ部２４および収容部５６のこれらの面取りされた角部６６、６８は極性手段として機能し、光ファイバコネクタ１２をアダプタ１６内に好ましい向きのみに挿入することができる。
【００１６】
図１乃至３に最も良く示したように、参照符号７２で示した本発明による独立した部材のＥＭＩ対策用ガスケットが、光ファイバコネクタ１２の接合プラグ部２４の周囲を包囲している。従って、接合プラグ部２４がアダプタ１６の収容部５６内に挿入された時に、ＥＭＩ対策用ガスケット７２は接合プラグ部２４と収容部５６との間に配置され、コネクタ装置１０の接合界面でのＥＭＩ漏れが防止される。
【００１７】
図６乃至図９には、ＥＭＩ対策用ガスケット７２を独特な形状に形成する工程が示されている。まず、図６に示したように、いくらか弾力のあるまたは弾性特性を有する銅合金等の導電性金属板材料から、平らなガスケットブランク７４を波状または曲がりくねった細長い条片に打ち抜く。次に、図７に示したように、ガスケットブランク７４を細長い条片の横方向に湾曲された形状に成形する。この横方向に湾曲された形状は、図８に最も良く示されている。
【００１８】
図９には、最終の略ボウタイ形状で、環状に成形されたＥＭＩ対策用ガスケット７２が示されている。換言すれば、ＥＭＩ対策用ガスケット７２は対向する短辺７２ａと対向する長辺７２ｂを有するように形成され、ＥＭＩ対策用ガスケット７２の長辺７２ｂが応力解放状態で内向きに湾曲されている。短辺７２ａは接合プラグ部２４の短辺２４ａ（図５）に対応しており、長辺７２ｂは接合プラグ部２４の長辺２４ｂに対応している。図１乃至図３に示したように、ＥＭＩ対策用ガスケット７２が接合プラグ部２４に対して取り付けられる時に、ＥＭＩ対策用ガスケット７２の長辺７２ｂは接合プラグ部２４の長辺２４ｂに対して弾性的に付勢される。これにより、ＥＭＩ対策用ガスケット７２の両側面が接合プラグ部２４の外向きに湾曲して光ファイバコネクタ１２のアダプタ１６内での接合に干渉するのが防止される。すでに「従来の技術」で説明したように、矩形のガスケットは外向きに湾曲する傾向があり、実際に接続装置の接合時に変形される。本発明はこの問題を解決するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】その内側に本発明を使用可能である接合解除状態のコネクタ装置の斜視図である。
【図２】図１のコネクタ装置の平面図である。
【図３】図１のコネクタ装置の正面図である。
【図４】図３の４−４線の方向に見た側面図である。
【図５】図３の５−５線の方向に見た側面図である。
【図６】打ち抜き後のＥＭＩ対策用ガスケット用の平らなガスケットブランクを示す一部を破切した平面図である。
【図７】平らなガスケットブランクが湾曲成形された後の図６と同様の図である。
【図８】図７の８−８線の方向に見た端面図である。
【図９】応力解放状態のＥＭＩ対策用ガスケットのボウタイ形状を示すやや概略的な正面図である。

【符号の説明】
１０ コネクタ装置
１２ 光ファイバコネクタ
１４ 光ファイバコネクタモジュール
１６ アダプタ
１８ 孔
２０ バックプレーンまたはパネル
２２ 本体部
２４ 接合プラグ部
２４ａ 短辺
２４ｂ 長辺
２６ 光ファイバケーブル
２８ フェルール
３０ 前面
３２ 位置合せピン
３４ ジャッキネジ
３４ａ 外ネジ付きシャフト端
３６ 通路
３８ 後側本体部
４０ 前側フェルール
４２ コイルバネ
４４ 光ファイバケーブル
４６ ラッチ
４８ 本体部
５０ フランジ
５２ 係止手段
５４ ハウジング部
５６ 収容部
５６ａ 従辺
５６ｂ 主辺
５６ｃ 底壁またはベース壁
５８ 位置合せ孔
６０ 内ネジ付き孔
６２ 矩形孔
６４ 凹部
６６ 矩形孔
６８ 面取りされた角部
７０ 面取りされた角部
７２ ＥＭＩ対策用ガスケット
７２ａ 短辺
７２ｂ 長辺
７４ ガスケットブランク

Claims (4)

1. 収容部（５６）を有する相補型の相手方接続装置（１６）と、前記収容部（５６）内に挿入される接合プラグ部（２４）をコネクタ本体部（２２）から前向きに突出して有しているコネクタ（１２）とを備えたコネクタ装置（１０）であって、
   前記収容部（５６）が、対向する従辺（５６ａ）と対向する主辺（５６ｂ）で略矩形に形成されていると共に、前記接合プラグ部（２４）が対向する短辺（２４ａ）と対向する長辺（２４ｂ）で略矩形に形成されて、接合プラグ部（２４）が収容部（５６）の内側に接合可能にされており、
   そして、前記接合プラグ部（２４）の周囲を包囲するように、環状に成形されたＥＭＩ対策用ガスケット（７２）が取り付けられて、ＥＭＩ対策用ガスケット（７２）が前記収容部（５６）の従辺（５６ａ）と接合プラグ部（２４）の短辺（２４ａ）の間及び収容部（５６）の主辺（５６ｂ）と接合プラグ部（２４）の長辺（２４ｂ）の間に配置されるようにされており、
   前記ＥＭＩ対策用ガスケット（７２）は、導電性の弾性金属板材料から打ち抜かれて環状に成形された独立の部材であり、前記接合プラグ部（２４）のそれぞれの短辺（２４ａ）と長辺（２４ｂ）に対応している対向する短辺（７２ａ）と対向する長辺（７２ｂ）を規定する矩形形状であり、応力解放状態において長辺（７２ｂ）が内向きに湾曲した略ボウタイ形状を有し、且つ前記短辺（７２ａ）及び長辺（７２ｂ）の各辺が前記接合プラグ部（２４）の収容部（５６）への挿入方向において湾曲形成されており、前記接合プラグ部に取り付けられた時に前記長辺（７２ｂ）が前記接合プラグ部（２４）の前記長辺（２４ｂ）に対して弾性的に付勢されていることを特徴とするコネクタ装置。
2. 前記ＥＭＩ対策用ガスケット（７２）は、波形状に打ち抜かれたガスケットブランク（７４）を、前記接合プラグ部（２４）の挿入方向に対応する方向で湾曲成形した後、環状に成形して略ボウタイ形状とされ、前記短辺（７２ａ）と長辺（７２ｂ）をそれぞれ対向して有している請求項１に記載のコネクタ装置。
3. コネクタ（１２）の本体部（２２）から前向きに突出し、相補型の相手接続装置（１６）の収容部（５６）に挿入される接合プラグ部（２４）の周囲を包囲するように取り付けられるＥＭＩ対策用ガスケット（７２）であって、
   導電性の弾性金属板材料から打ち抜かれて環状に成形された独立の部材とされ、
   前記接合プラグ部（２４）が、対向する短辺（２４ａ）と対向する長辺（２４ｂ）で略矩形形状とされているのに対応して、対向する短辺（７２ａ）と対向する長辺（７２ｂ）を規定する矩形形状であり、応力解放状態において長辺（７２ｂ）が内向きに湾曲した略ボウタイ形状を有し、且つ前記短辺（７２ａ）及び長辺（７２ｂ）の各辺が前記接合プラグ部（２４）の収容部（５６）への挿入方向において湾曲形成されており、前記接合プラグ部（２４）に取り付けられた時に前記長辺（７２ｂ）が前記接合プラグ部（２４）の前記長辺（２４ｂ）に対して弾性的に付勢されることを特徴とするＥＭＩ対策用ガスケット。
4. 導電性の弾性金属板材料から波形状に打ち抜かれたガスケットブランク（７４）を、前記接合プラグ部（２４）の挿入方向に対応する方向で湾曲成形した後、環状に成形して略ボウタイ形状とされ、前記短辺（７２ａ）と長辺（７２ｂ）をそれぞれ対向して有している請求項３に記載のＥＭＩ対策用ガスケット。

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