JP3562403B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、耐衝撃性及び成形体の外観に優れた熱可塑性樹脂組成物の製造方法及びその該製造方法によって得られる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−α−オレフィン系共重合体にアルケニル芳香族単量体をグラフト重合させた共重合体は、熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良剤として、各種の樹脂に応用されている。たとえば、特開平7−118518号公報には、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アルケニル芳香族系樹脂及びエチレン−α−オレフィン系共重合体にアルケニル芳香族単量体をグラフト重合させた共重合体からなる組成物が開示してある。しかしながら、本発明者の検討によると特開平7−118518号公報に記載の組成物は、必ずしも耐衝撃強度が十分でないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、耐衝撃性及び成形体の外観に優れた熱可塑性樹脂組成物の製造方法及びその該製造方法を提供する点に存する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、エチレン−α−オレフィン系共重合体にアルケニル芳香族単量体をグラフト重合させた共重合体と熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物の耐衝撃性について鋭意検討した結果、意外にも特定の溶融混練方法を行った場合、著しい耐衝撃性の向上が見られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のうち第一の発明は下記の第一工程及び第二工程を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法に係るものである。
第一工程:下記の成分(A)100重量部及び(B)20〜113重量部を溶融混練することにより溶融混練物を得る工程
第二工程:第一の工程で得られた溶融混練物に(B)30〜1900重量部を添加し、溶融混練する工程
ただし、第一工程で用いた(B)と第二工程で用いた(B)の合計量は50〜2000重量部とする。
(A):エチレン−α−オレフィン系共重合体にアルケニル芳香族単量体をグラフト重合させた共重合体
(B):芳香族環を有する熱可塑性樹脂
また、本発明のうち第二の発明は、上記の製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の成分である(A)は、エチレン−α−オレフィン系共重合体にアルケニル芳香族単量体をグラフト重合させた共重合体であり、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムに対し、アルケニル芳香族化合物及び必要に応じて不飽和単量体をグラフト重合して得られる。
【0006】
エチレン−α−オレフィン系共重合体におけるα−オレフィン成分としては、たとえばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1等のモノα−オレフィンがあげられる。エチレン−α−オレフィン系共重合体は、第3成分として非共役ジエンを含んでいてもよく、非共役ジエンとしては、たとえばエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等があげられる。エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム等があげられる。
【0007】
エチレン−α−オレフィン系共重合体のα−オレフィン成分の含有量は特に限定されないが、通常15〜85重量%である。特に低温面衝撃強度の点から30〜65重量%、好ましくは35〜60重量%である。エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの100℃でのムーニー粘度についても特に限定されないが、好ましくは60以上、更に好ましくは70以上、特に好ましいのは80以上である。ムーニー粘度が低すぎる場合、グラフト共重合体の表面がべとつき、保管時に互着等の問題が生じる場合がある。また、グラフト物が分散不良をおこすほど100℃でのムーニー粘度の高いものを用いることは好ましくない。100℃でのムーニー粘度は好ましくは140以下である。
【0008】
エチレン−α−オレフィン系共重合体の結晶化度は15%未満であることが好ましい。結晶化度が高すぎる場合、耐衝撃性も改良改良が乏しくなる場合がある。
【0009】
エチレン−α−オレフィン系共重合体の重量平均分子量/数平均分子量なる比Q値は3.5以下であることが好ましい。Q値が3.5より大きい場合、耐衝撃性の改良効果が乏しくなる場合がある。重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定で求められる。
【0010】
エチレン−α−オレフィン系共重合体にグラフト重合されるアルケニル芳香族単量体は、下記一般式(I)で示される化合物である。ここで、R1は水素、低級アルキル又はハロゲン;Zは水素、ビニル、ハロゲン、アミノ基、水酸基又は低級アルキル;そしてpは0又は1〜5の整数である。上記低級アルキルとは、炭素数1〜6のアルキル基をいう。たとえばスチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等があげられる。また、該化合物は1種だけに限らず2種以上を併用することもできる。
【0011】
必要に応じてエチレン−α−オレフィン系共重合体にグラフト重合される不飽和単量体はアルケニル芳香族化合物と共重合可能な化合物である。たとえば、高分子データハンドブック基礎編第444〜459頁(高分子学会編、1986年、培風館刊)にあげられている。不飽和単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の前記酸のアルキルエステル誘導体;フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等のジカルボン酸又は酸無水物、マレイン酸のモノ又はジエチルエステル、N−フェニルマレイミド、N,N’ −メタフェニレンビスマレイミド等の前記ジカルボン酸又は酸無水物の誘導体;アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド;グリシジル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸のグリシジル誘導体;酢酸ビニル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物等を含む。
【0012】
エチレン−α−オレフィン共重合体へのアルケニル芳香族単量体及び必要により不飽和単量体のグラフト方法は、特に限定されず、公知の如何なる方法、すなわち、乳化重合法、塊状重合法(特公昭42−662号公報、USP 3435096号公報)、溶液重合法(USP 3538190号公報、USP 3538191号公報)及び懸濁重合法(特公昭49−10831号公報、特公昭57−40166号公報、特公昭62−10565号公報)も採用できる。非共役ジエンを含まないエチレン−α−オレフィン系共重合体の場合には、水性懸濁液中で任意量のフリーラジカル開始剤及び分散剤の存在下にアルケニル芳香族化合物及び必要により不飽和単量体を、グラフト共重合する懸濁重合方法が特に好ましい。
【0013】
懸濁剤としては、たとえばポリビニルアルコール、セルロース化合物、アクリル酸系化合物、無機塩及びアルキレンオキサイド等があげられる。フリーラジカル開始剤としては、たとえば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルヒドローオキシド、ジクミルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等があげられる。
【0014】
本発明の成分である(B)は、芳香族環を有する熱可塑性樹脂であり、つまり構造単位に芳香族環が含まれる熱可塑性樹脂であり、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アルケニル芳香族系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が例示される。この中では、アルケニル芳香族系樹脂およびポリフェニレンエーテル系樹脂が、(A)エチレン−α−オレフィン系共重合体にアルケニル芳香族単量体をグラフト重合させた共重合体のアルケニル芳香族部分との相容性に優れるため好ましい。
【0015】
アルケニル芳香族系樹脂とは、前記の式(I)で示される芳香族ビニル単量体から誘導された繰り返し構造単位を、その重合体中に少なくとも25重量%以上有するものである。かかるアルケニル芳香族系樹脂としては、スチレンもしくはその誘導体たとえば、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の単独重合体及び共重合体があげられる。また、上記した芳香族ビニル系化合物を70〜99重量%とジエンゴム1〜30重量%とからなるゴム変性された高衝撃性ポリスチレン(HIPS)を使用することができる。HIPSを構成するジエンゴムとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン系化合物の単独重合体、共役ジエン系化合物と不飽和二トリル化合物又は芳香族ビニル化合物との共重合体更には天然ゴムなどがあげられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。特に、ポリブタジエン、ブタジエンースチレン共重合体が好ましい。HIPSは、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合又は、それらの組み合わせの方法によって得られる。
【0016】
ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、下式(II)で表されるフェノール化合物の少なくとも一種を酸化カップリング触媒によって、酸素又は酸素含有ガスで酸化重合させて得られる(共)重合体からなる樹脂を意味する。
(式中、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ水素原子、炭化水素基又は置換炭化水素基から選ばれたものであり、そのうち必ず1個は水素原子である。)
【0017】
式(II)におけるR2、R3、R4、R5及びR6としては、水素、メチル、エチル、n−又はiso−プロピル、pri−、sec−又はt−ブチル、ヒドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、カルボキシエチル、メトキシカルボニルエチル、シアノエチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリルを例示することができる。
【0018】
式(II)で表されるフェノール化合物として、フェノール、o−、m−又はp−クレゾール、2,6−、2,5−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−又は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル−6−アリルフェノールを例示することができる。これらのフェノール化合物の中では、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールが好ましい。
【0019】
式(II)で表されるフェノール化合物は、ビスフェノール−A、レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂で例示される多価ヒドロキシ芳香族化合物と共重合させてもよく、これらの共重合体も本発明にかかるポリフェニレンエーテル系樹脂に含まれるものとする。
【0020】
フェノール化合物を酸化(共)重合させるために用いられる酸化カップリング触媒は特に限定されず、重合能を有する如何なる触媒でも使用できる。フェノール化合物を酸化(共)重合させてポリフェニレンエーテル系樹脂を製造する方法として、米国特許第3306874号公報、同第3306875号公報及び同第3257357号公報並びに特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開平1−304119号公報に記載された製造方法を例示することができる。
【0021】
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂として、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロペニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−ステアリルオキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(3−メチル−6−t−ブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレンエーテル)、及び、これらの樹脂を構成する繰り返し単位の複数種を含む各種の共重合体を例示することができる。
【0022】
更に、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノールで例示される多置換フェノールと、2,6−ジメチルフェノールで例示される2置換フェノールとの共重合体も、本発明にかかるポリフェニレンエーテル系樹脂に含まれるものとする。
【0023】
前記のポリフェニレンエーテル系樹脂のうちで好ましいものは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)及び2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体である。
【0024】
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂はまた、上記の(共)重合体にスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びビニルトルエンで例示されるスチレン系化合物をグラフトさせて得られるグラフト共重合体であってもよく、かかるグラフト共重合体も本発明にかかるポリフェニレンエーテル系樹脂に含まれるものとする。
【0025】
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂としては、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.7dl/gのものが好ましく、より好ましくは0.36〜0.65dl/g、特に好ましくは0.40〜0.6dl/gである。固有粘度が0.3dl/gよりも小さい場合、耐衝撃性が低下する場合が有り、一方、固有粘度が0.7dl/gよりも大きい場合溶融時の流動性が低下し、成形加工性が低下する場合がある。
【0026】
本発明の製造方法は、下記の第一工程及び第二工程を含む方法であり、その特徴的な方法を用いることにより、本発明の目的が完全に達成できる。
第一工程:下記の成分(A)100重量部及び(B)20〜113重量部を溶融混練することにより溶融混練物を得る工程
第二工程:第一の工程で得られた溶融混練物に(B)30〜1900重量部を添加し、溶融混練する工程
ただし、第一工程で用いた(B)と第二工程で用いた(B)の合計量は50〜2000重量部とする。
【0027】
第一工程は、成分(A)100重量部及び(B)20〜113重量部を溶融混練することにより溶融混練物を得る工程である。この工程において、(B)が過少であると熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、一方(B)が過多であると(A)成分の分散が悪くなり、熱可塑性樹脂組成物からなる成形体の外観が悪化する。
【0028】
第二工程は、第一の工程で得られた溶融混練物に(B)30〜1900重量部を添加し、溶融混練する工程である。この工程において、(B)が過少であると該組成物からなる成形品の剛性が低くなり、一方(B)が過多であると耐衝撃強度が不足となる。第一工程で用いた(B)と第二工程で用いた(B)の合計量は50〜2000重量部であることが必要である。(B)の合計量が過少であると該組成物からなる成形品の剛性が低くなり、、一方(B)の合計量が過多であると耐衝撃強度が不足となる。
【0029】
溶融混練の方法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸の押出機等の混練手段を用いて混練する方法等を例示することができる。溶融混練においては、第一工程を実施後、溶融物を一旦冷却し、ペレット等の形状に固化し、その後、第二の工程を実施しても構わないし、第一工程を実施後の溶融混練物に残りの(B)を加えて第二工程を実施しても構わない。特に、複数の樹脂投入口を有する押出し機を用い、投入口より(A)100重量部、(B)20〜113重量部を添加し、第一の溶融混練の工程を行い、それよりも下流側にある原料投入口から残りの(B)を添加し、連続的に第二の溶融混練の工程を行い、第一工程と第二工程を連続的に実施することが経済的に好ましい。
【0030】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必須の成分である(A)及び(B)に加えて、他の高分子化合物や助剤を含んでもよい。他の高分子化合物としては、たとえばポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピリジン、ポリビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなどの重合体、、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド;ポリアセタールなどの高分子化合物;更には、、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリレーンフタレート樹脂などの各種熱硬化性樹脂;シリコーン樹脂、フッ素樹脂があげられる。
【0031】
また、強化用、機能付与あるいは増量(コストダウン)等を目的に充填剤を配合することができる。充填剤としては、たとえばガラス繊維、カーボン繊維、ポリアミド繊維、アルミニウムやステンレスなどの金属繊維及び金属ウィスカーなどの繊維、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、カオリン、硫酸マグネシウム、ウォラストナイト、カーボンブラック、TiO2、ZnO及びSb2O3のような無機充填剤を用いることができる。いずれの充填剤も強化用として使用できる。カーボン繊維、金属繊維、カーボンブラック等の充填剤は表面固有抵抗、体積固有抵抗を低下させ、本発明の熱可塑性樹脂組成物に導電性を付与することができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物よりも安価な充填剤であれば、増量剤として用いコストダウンが可能である。
【0032】
本発明のの剛性、耐熱性の改良を目的とする場合は、充填剤としては、たとえばガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカー、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどの無機系充填剤又はカーボン繊維を用いることが特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更にSb2O3、ハロゲン化合物及びリン酸エステルなどの難燃剤又は難燃助剤、その他滑剤、核剤、トリフェニルフォスフェート及びフタル酸エステルなどの可塑剤、染料、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、耐候性付与剤等を添加した複合材として使うことが好ましい態様の一つである。
【0033】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例によりその範囲を限定されるものではない。次に実施例における組成物のアイゾッド衝撃強度の評価方法、成形品外観の評価方法及び用いた成分の記号とその意味を示す。
アイゾッド衝撃強度の測定方法
JIS K7110に規定された方法による。試験片の厚みは3.2mmであり、ノッチ付きの衝撃強度を評価した。測定温度は23℃である。
成形品外観の評価方法
40mm×40mm×3.2mm厚のテストピースを射出成形して、表面状態を目視にて観察した。
○:外観不良なし
△:成形品表面の一部に外観不良あり
×:成形品表面の大部分に外観不良あり
G−EPDM−1:スチレングラフトエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(プロピレン含量42重量%、100℃でのムーニー粘度112、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=3.4であるエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム(住友化学工業社製、エスプレンE552)にアルケニル芳香族単量体としてスチレンをグラフトさせたもの。グラフト共重合体中のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム含量は52重量%である。分散剤として、プルロニックF68(旭電化社製)、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート及びP−ベンゾキノンを使用。)
PPE:ポリフェニレンエーテル樹脂(クロロホルム溶媒中、30℃で測定した固有粘度が0.46dl/gのポリ(2,6−ポリジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
PS:ハイインパクトポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン社製「G897」)
【0034】
実施例1
G−EPDM−1 100重量部、PS 100重量部を3個の投入口を有する二軸押出機(TEM50A 東芝機械社製)の最上流側の投入口より投入し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200回転の条件で溶融混練し、押出されたストランドを水槽にて冷却し、ペレタイザーでペレット化した。得られたペレットをMB1とする。
PPE 120重量部、MB1 200重量部、PS 13重量部を3個の投入口を有する二軸押出機(TEM50A 東芝機械社製)の最上流側の投入口より投入し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200回転の条件で溶融混練し、押出されたストランドを水槽にて冷却し、ペレタイザーでペレット化した。得られた樹脂組成物を、シリンダー温度290℃、金型温度80℃の条件で3.2mm厚のテストピースを射出成形して、アイゾッド衝撃強度測定及び外観評価を行った。結果を表1に示す。
【0035】
比較例1
G−EPDM−1 100重量部を3個の投入口を有する二軸押出機(TEM50A 東芝機械社製)の最上流側の投入口より投入し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200回転の条件で溶融混練し、押出されたストランドを水槽にて冷却し、ペレタイザーでペレット化した。得られたペレットをMB2する。
PPE 120重量部、MB2 100重量部、PS 113重量部を3個の投入口を有する二軸押出機(TEM50A 東芝機械社製)の最上流側の投入口より投入しシリンダー温度280℃、スクリュー回転数200回転の条件で溶融混練し、押出されたストランドを水槽にて冷却し、ペレタイザーでペレット化した。得られた樹脂組成物を、シリンダー温度290℃、金型温度80℃の条件で3.2mm厚のテストピースを射出成形して、アイゾッド衝撃強度測定および外観評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
実施例2、3及び比較例2
3個の投入口を有する二軸押出機(TEM50A 東芝機械社製)を用い、最上流側の第一投入口及び第一投入口よりも下流側にある第二投入口より、表2に示した成分を投入し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200回転の条件で溶融混練し、押出されたストランドを水槽にて冷却し、ペレタイザーでペレット化した。得られた樹脂組成物を、シリンダー温度290℃、金型温度80℃の条件で3.2mm厚のテストピースを射出成形して、アイゾッド衝撃強度測定及び外観評価を行った。結果を表2示す。
【0037】
比較例4、5及び比較例3
3個の投入口を有する二軸押出機(TEM50A 東芝機械社製)を用い、最上流側の第一投入口及び第一投入口よりも下流側にある第二投入口より、表3に示した成分を投入し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200回転の条件で溶融混練し、押出されたストランドを水槽にて冷却し、ペレタイザーでペレット化した。得られた樹脂組成物を、シリンダー温度290℃、金型温度80℃の条件で3.2mm厚のテストピースを射出成形して、アイゾッド衝撃強度測定及び外観評価を行った。結果を表3示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、耐衝撃性及び成形体の外観に優れた熱可塑性樹脂組成物の製造方法及びその該製造方法によって得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することができた。
Claims (3)
- 下記の第一工程及び第二工程を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
第一工程:下記の成分(A)100重量部及び(B)20〜113重量部を溶融混練することにより溶融混練物を得る工程
第二工程:第一の工程で得られた溶融混練物に(B)30〜1900重量部を添加し、溶融混練する工程
ただし、第一工程で用いた(B)と第二工程で用いた(B)の合計量は50〜2000重量部とする。
(A):エチレン−α−オレフィン系共重合体にアルケニル芳香族単量体をグラフト重合させた共重合体
(B):芳香族環を有する熱可塑性樹脂 - (B)がアルケニル芳香族系樹脂及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂である請求項1記載の製造方法。
- 請求項1記載の製造方法により得られる熱可塑性樹脂組成物。
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---|---|---|---|
JP27637399A JP3562403B2 (ja) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 |
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---|---|---|---|
JP27637399A JP3562403B2 (ja) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 |
Publications (2)
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