JP3560963B2 - 自動二輪車用エンジン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車用エンジンに関し、特に、インジェクタおよびその給電部分の保護および外観の向上に好適な自動二輪車用エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの燃料噴射装置(インジェクタ)は、電磁式バルブを高速で開閉して燃料を吸気管(インテークマニホルド)内に噴射するものであり、エンジンの回転に合わせてバルブがバルブシートに当接するときの打音が発生する。この打音つまり作動音が外部に漏れにくいようにするため、噴射弁を収納する噴射弁室を設けたエンジンが提案されている(特開昭63−100269号公報)。また、エンジン全体がエンジンルームに収容されている自動車と異なり、エンジンが露出している自動二輪車では、インジェクタの作動音がより多く漏れやすい。そこで、周辺部品で囲まれた空間内にインジェクタをレイアウトすることにより防音対策としたエンジンも提案されている(特開平11−82163号公報,特許2938204号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
周辺部品でインジェクタを囲むようにレイアウトする方式は、インジェクタが車体の幅方向中央付近に配置されているときに好都合である。しかし、周辺部品で好適にインジェクタ周辺を囲うレイアウトが取りにくい場合、特に水平対向エンジンやV型縦置きエンジン(クランク軸を車体前後方向に縦に複数のシリンダを車体の幅方向にV字に開いたエンジン)では、インジェクタが車体の幅方向の最も外側に配置される。したがって、インジェクタを囲むことができる周辺部品がないか、あってもその数が少ないことから防音効果を高めるような空間を形成することができない。また、車体の最も外側に配置されるインジェクタを覆うカバーは外観に大きい影響を与えるため、まとまりがよく外観も良好な防音手段が要望されていた。
【0004】
本発明の目的は、上記問題点を解消し、遮音効果が高く外観も良好で、インジェクタおよびその周辺の保護にも有用な自動二輪車用エンジンを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、予定角度で吸気管に取り付けられたインジェクタと、該インジェクタの頂部に結合された燃料供給管と、前記吸気管および燃料供給管間に設けられたインジェクタ用給電端子と、前記インジェクタ用給電端子に結合されるカプラとを有する自動二輪車用エンジンにおいて、前記インジェクタと、前記インジェクタ用給電端子と、前記カプラとを覆い、車体幅方向外側に面したカバーが設けられている点に第1の特徴がある。また、本発明は、前記カバーが硬質材からなる点に第2の特徴がある。
【0006】
第1の特徴によれば、インジェクタの上部には燃料供給管が位置し、インジェクタ、給電端子およびカプラは車体幅方向外側に面したカバーで覆われるので、インジェクタ等が保護され、外観も良好になる。
【0007】
また、第2の特徴によれば、インジェクタの周辺は硬質材カバーで覆われるので、保護機能がさらに向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るインジェクタ防音カバー付きエンジンを搭載した自動二輪車の外観を示す側面図、図3は同要部正面図である。同図において、自動二輪車(以下、「車両」という)1は水平対向6気筒型のエンジン2を搭載している。エンジン2のシリンダヘッド2aは車体の幅方向外側に位置し、インジェクタ40がシリンダヘッド2a近傍においてインテークマニホルド41に取り付けられている。車両1のフレームは、ステアリングヘッド3から車両後方へ左右二叉に延びたツインフレーム形式のメインフレーム4と、メインフレーム4から後方に結合されたリヤフレーム5とから構成されている。ステアリングヘッド3には走行方向左右に配置された2本のパイプからなるフロントフォーク6が操舵可能に枢軸支持されており、その上部つまりトップブリッジにハンドル7が固定される。フロントフォーク6の下端に設けられた前輪軸8には前輪9が回転自在に支持される。
【0009】
ハンドル7の前方には表示パネルや制御部からなる表示装置つまりメータユニット10が設けられる。車両1の前部を覆うフロントフェアリング(カウル)11の前方にはクリアレンズからなる灯火装置のレンズ12が取り付けられる。フロントカウル11内には、灯火装置として使用されている放電灯の昇圧装置(バラスト)13が収容される。フロントカウル11の上部には風防スクリーン14が設けられ、風防スクリーン14の取付部近傍には空気導入口15が形成される。
【0010】
メインフレーム4上には燃料タンク16が設けられ、その後方の、リヤフレーム5上には運転者シート17および同乗者シート18が配置される。同乗者シート18は運転者シート17と一体に形成されていて、かつ、背もたれ19を有する。背もたれ19の背後にはリヤトランク20が設けられる。リヤトランク20の後部にはリヤストップランプ21およびウインカライト22が設けられる。リヤトランク20の下方、後輪26の左右にはサイドトランク23が設けられ、その後部にはもう一組のリヤストップランプ24およびウインカライト25が設けられる。
【0011】
燃料タンク16の下部前方にはエアクリーナ27が設けられ、エアクリーナ27の前方に設けられたスロットルボディ28から下方にインテークマニホルド29が延びる。インテークマニホルド29は車体の左右にそれぞれ対向配置された3気筒ずつに結合され、これらの各気筒毎にインジェクタ40が設けられる。このインジェクタ40には、給電コネクタのカバーを兼ねた防音カバーが被せられるが、その詳細は後述する。エンジン2から後方へエキゾーストマニホルド30が引出され、このエキゾーストマニホルド30はマフラ31に連結される。
【0012】
運転者シート17の下方両側はサイドカバー32で覆われ、エンジン2の前方にはフロントロアカウル33が配置される。また、運転者シート17の下部には、リヤフェンダ37に沿ってリレーボックス36が設けられる。リレーボックス36はリヤフェンダ37上に取り付けられる。
【0013】
リレーボックス36下方の車体左側にはバッテリ38が設けられ、バッテリ38の前方にはヒューズボックス39が設けられる。バッテリ38はリヤフレーム5に懸架される支持フレームに載置され、ヒューズボックス39はこの支持フレームにねじ止めされる。
【0014】
運転者シート17の下方には、さらにリヤクッション34が設けられる。このリヤクッション34は電動でばね力を調節して運転者の体重に応じてサスペンションの初期荷重を調整することができる油圧ユニット(図示しない)に結合される。車両1はスタンド35を使用して自立させることができる。
【0015】
次に、インジェクタを含むエンジンヘッド周辺の構成を説明する。図4はエンジンヘッド周辺の要部斜視図である。同図において、シリンダの数に対応して3本に分岐されたインテークマニホルド41の先端は、シリンダ(図示せず)の配列方向に沿って延びたインジェクタ取付ブロック(以下、単に「取付ブロック」という)42に結合される。インテークマニホルド41と取付ブロック42とは一体的に形成することができる。
【0016】
取付ブロック42にはシリンダの数に合わせて3個のインジェクタ40が装着される。インジェクタ40は燃料の噴出口をインテークマニホルド41の中心方向に指向させて装着されており、その頂部の燃料供給口40aが取付ブロック42から上方に突き出している。燃料供給口40aの周囲にはOリング40bが設けられ、このOリング40bにより、後述の燃料分配管が液密を保持した状態でこの燃料供給口40aに装着される。
【0017】
インジェクタ40には給電用のプラグ(後述)が設けられ、このプラグにカプラ43が結合される。カプラ43の端子43aにはワイヤハーネスを構成する導線が接続される(後述)。また、後述の燃料分配管に結合されて燃料を供給する燃料ホース44がインテークマニホルド41と同方向から延びている。
【0018】
図5は、カプラ43に防音カバーを取り付けた状態のエンジンヘッド周辺の要部斜視図である。同図において、防音カバー45がそれぞれのカプラ43(図7参照)に被せられる。この防音カバー45は前記カプラ43をすっぽりと覆うものであり、好ましくはクロロプレインゴムやシリコンゴム等、弾力性のある軟質の耐熱ゴムである。防音カバー45はカプラ43の側面を覆うスカート部45aを有するとともに、このスカート部45aと直交する正面および裏面(インテークマニホルド側の面)はそれぞれ燃料分配管およびインテークマニホルド41の外周に密着するよう形成される。また、防音カバー45上部のチューブ部分45bはワイヤハーネスの外形に密着するよう円筒状になっている。このように、防音カバー45はカプラに密着して全体をすっぽりと覆うようになっているので、インジェクタ40の作動音を遮断するとともに、防水・防塵の効果をも併せて発揮することができる。
【0019】
図1、図6は、燃料分配管を取り付けた状態のエンジンヘッド周辺の要部斜視図であり、それぞれ車体中央部から見たもの、および車体側部から見たものを示す。両図において、燃料分配機能を有する燃料供給管である燃料分配管46は3つのインジェクタ40の配列方向に延びた長尺ブロックであり、その長さ方向に延びる燃料通路(図示せず)を有し、この燃料通路が各インジェクタ40の燃料供給口40aに結合されるよう取り付けられる。燃料分配管46は3本のボルト47で取付ブロック42に固定される。また、燃料ホース44は、インテークマニホルド41側から燃料分配管46の側面に接続される。このように、取付ブロック42から露出しているインジェクタ40の頂部は燃料分配管46で覆われ、かつ外部に突出した側部のプラグつまり給電端子は、燃料分配管46に密着する防音カバー45で覆われるので、外部への露出部分は全く無くなる。
【0020】
図7は、インジェクタ取付部での断面図である。同図において、取付ブロック42を含むインテークマニホルド41はエンジンヘッド49に取り付けられる。インジェクタ40は、Oリング40cにより液密を維持した状態で取付ブロック42の孔に装着される。燃料供給口40a側はOリング40bにより液密を維持した状態で燃料分配管46の孔46aに嵌挿される。インジェクタ40の側方には給電端子としてのプラグ40dが延びており、プラグ40dにはカプラ43が結合し、カプラ43の端子43aにはワイヤハーネス48の導線48aが結合される。防音カバー45はカプラ43を覆い、上方に延びるチューブ部分45bがワイヤハーネス48と密着している。
【0021】
防音カバー45によってインジェクタ40の作動音遮断効果は大きいが、さらに、インジェクタ40、カプラ43、防音カバー45および燃料分配管46を覆う外面カバー50を設けることができる。この外面カバー50には、車体の幅方向最外側に面しているカプラ43やインジェクタ40を保護する機能や美観を向上させる機能をもたせることができる。この観点から、外面カバー50は、金属やアラミド繊維、メラミン樹脂等の硬質材からなるのが好ましいし、メッキや塗装により商品性の高い意匠を施した化粧カバーとすればさらによい。
【0022】
なお、上記実施形態では、出力軸が車体の前後方向に延びる縦置きエンジンとして水平対向型シリンダを有するエンジンを対象に説明した。しかし、本発明はシリンダが水平に対向したものに限らず、シリンダヘッドが車体幅方向外側に張り出していてシリンタヘッドの上方からインテークマニホルドが接続される型のエンジンに好適に使用できるし、必ずしもシリンダが対向するものにも限らない。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、請求項1の発明によれば、インジェクタ、インジェクタ用給電端子およびカプラは、車体幅方向外側に面したカバーによって覆われるので、保護される。また、カバーによって美観を向上させて商品価値を高めることもできる。また、請求項2の発明によれば、硬質材のカバーによって保護効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンのインジェクタ周辺の外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るエンジンを搭載した自動二輪車の側面図である。
【図3】図2の自動二輪車の要部正面図である。
【図4】インジェクタを露出させた状態のインジェクタ周辺の斜視図である。
【図5】防音カバーを装着した状態のインジェクタ周辺の斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るエンジンのインジェクタ周辺を図1の反対側から見た斜視図である。
【図7】インジェクタ周辺の断面図である。
【符号の説明】
1…自動二輪車、 2…エンジン、 5…リヤフレーム、 11…フロントフェアリング、 14…風防カバー、 40…インジェクタ、 41…インテークマニホルド、42…取付ブロック、 43…カプラ、 45…防音カバー、 46…燃料分配管、 50…外面カバー

Claims (6)

  1. 予定角度で複数シリンダのそれぞれの吸気管に取り付けられたインジェクタと、該インジェクタの頂部に結合された燃料供給管と、前記吸気管および燃料供給管間に設けられたインジェクタ用給電端子と、前記インジェクタ用給電端子に結合されるカプラとを有する自動二輪車用の多気筒エンジンにおいて、
    車体幅方向外側に面したカバーであって、車体の最も外側に配置された前記インジェクタと、前記インジェクタ用給電端子と、前記カプラとを上方および側方から覆うカバーが設けられていることを特徴とする自動二輪車用の多気筒エンジン。
  2. 前記カバーが、前記インジェクタ、インジェクタ用給電端子、およびカプラに対して間隔をおいて設置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用の多気筒エンジン。
  3. 前記カバーが、運転者シートの下方両側を覆っているサイドカバーとは別部材であることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用の多気筒エンジン。
  4. 前記燃料供給管が、前記インジェクタの配列方向に延びた燃料通路を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動二輪車用の多気筒エンジン。
  5. 燃料を供給する燃料ホースが前記吸気管と同方向から延びて前記燃料供給管に結合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動二輪車用の多気筒エンジン。
  6. 前記カバーが硬質材からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動二輪車用の多気筒エンジン。
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