以下、スクータ型車両の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、スクータ型車両の参考例1の第一例を示す左側面図である。また、図2はこのスクータ型車両の内部構造を示す左側面図である。さらに、図3は、図1および図2に示すスクータ型車両の概略平面図である。そして、この参考例1の第一例に示すスクータ型車両はスクータ型車両の基本型であり、以下、複数の参考例および実施形態を有する。
図1〜図3に示すように、このスクータ型車両1Aは車体フレーム2を有する。車体フレーム2は、その最前部にヘッドパイプ3を備え、このヘッドパイプ3の後下部から後ろ下方に向かって延び、途中から後方に向かって略水平に延設されるダウンチューブ4と、このダウンチューブ4の後端側から後上方に延びる左右一対のリヤフレーム5とから構成される。
リヤフレーム5の上方にはヘルメット6等を収納可能な収納ボックス7Aが設けられる。また、収納ボックス7Aの上方にはこの収納ボックス7Aの蓋を兼ねた運転シート8が開閉自在に設置されると共に、収納ボックス7Aの後方には燃料タンク9Aが配置される。
リヤフレーム5の略中央下部には略水平なユニットスイング型エンジン10が配置される。このユニットスイング型エンジン10の上面には車両の幅方向に並設された左右一対のエンジン懸架ボス11aが設けられ、このエンジン懸架ボス11aがリヤフレーム5の略中央下部に設けられた左右一対のエンジン懸架ブラケット12aに枢着されることによりユニットスイング型エンジン10がスイング自在に支持される。なお、図2中二点鎖線で示すように、ユニットスイング型エンジン10の下面にエンジン懸架ボス11bを設け、ダウンチューブ4の後端下部に設けられたエンジン懸架ブラケット12bにユニットスイング型エンジン10を枢着してもよい。
このユニットスイング型エンジン10はエンジン本体13と、このエンジン本体13の一側、本実施例においては車両の進行方向に向かって左側から後方に延びる伝動ケース14とを一体的に備える。伝動ケース14はスイングアームを兼ねており、リヤクッションユニット15によりリヤフレーム5に弾性的に支持される。そして、伝動ケース14の後端に駆動輪である後輪16が軸支される。
ヘッドパイプ3には前輪17を回動自在に支持するフロントフォーク18やハンドルバー19等が設けられる。ハンドルバー19の両端にはグリップ20a,20bが設けられ、そのうち車両の進行方向に向かって右側のグリップ20aはスロットルグリップとして機能する。また、両グリップ20a,20bの前側にはブレーキレバー21a,21bが設けられ、前輪17および後輪16に設けられたブレーキ装置22,23にそれぞれブレーキワイヤ24,25を介して連結される。そして、このハンドルバー19により前輪17が左右に回動自在に操舵される。
一方、車体フレーム2はその廻りを車体カバー26に覆われ、この車体カバー26によって車両の外観を構成する。車体カバー26は、複数個のカバーエレメントを組み合わせることにより構成される。カバーエレメントは、具体的には例えばフロントレッグシールド27、リヤレッグシールド28、ロアーレッグシールド29、およびリヤフレームカバー30等から構成される。
運転シート8とヘッドパイプ3との間は下方に向かって大きく湾入し、その底部にライダが両足を乗せるステップフロア31を備えたリヤレッグシールド28が配置される。リヤレッグシールド28は、ダウンチューブ4の水平部分を上方から覆うように配置され、ダウンチューブ4に固定される。また、リヤレッグシールド28下方にはロアーレッグシールド29がダウンチューブ4の水平部分を下方から覆うように配置される。そして、リヤレッグシールド28とロアーレッグシールド29とに挟まれた空間内にはフロア下収納室32が設けられ、ステップフロア31に設けられた開閉自在のリッド33によりその内部にアクセス可能とされる。さらに、リヤレッグシールド28の前部からは上方に向かって立ち上がるフロントレッグシールド27がヘッドパイプ3の前後を覆うように配置され、ダウンチューブ4の立ち上がり部分に固定されると共に、このフロントレッグシールド27の前下部にヘッドライト34が設けられる。
一方、リヤフレーム5の周囲には、例えば左右別体または一体に形成されたリヤフレームカバー30がリヤフレーム5の左右を囲むように設けられる。また、リヤフレームカバー30の後端にはコンビネーションランプ35が設けられる。そして、コンビネーションランプ35の上方にはリヤキャリア36が設けられる。なお、これらのカバーエレメントはプラスティック樹脂素材、例えばPP樹脂やABS樹脂等で成型される。
この参考例1の第一例に示されるスクータ型車両1のユニットスイング型エンジン10は一般的な強制空冷式の4サイクル単気筒のエンジン本体13を備える。エンジン本体13は、主に車体の幅方向に延びる図示しないクランクシャフトを備えたクランクケース37と、このクランクケース37の前側に略水平に前傾し、且つその中心軸Z−Zが車両の進行方向に沿って配置されたシリンダアッセンブリ39とから構成される。
そして、シリンダアッセンブリ39はクランクケース37の前側に配置されるシリンダブロック40と、このシリンダブロック40の前側に配置されるシリンダヘッド41とを有する。シリンダブロック40はその内部にピストン(図示せず)を摺動自在に内装すると共に、シリンダヘッド41内には動弁装置(図示せず)が内装される。
なお、エンジン本体13は2サイクルエンジンでもよく、また、多気筒エンジンでもよく、さらに、水冷式のエンジン冷却方式でもよい。そして、水冷式の場合、ラジエターはヘッドパイプ3の前方(符号42a)や、ヘッドパイプ3下方のダウンチューブ4前部(符号42b)など、走行風の当たり易い位置に配置されることが望ましい。
また、このユニットスイング型エンジン10には通常型の排気装置43が備えられる。排気装置43は、シリンダヘッド41内下側の排気ポート44に基端部が接続され、ユニットスイング型エンジン10の伝動ケース14とは反対側下部、本実施例においては車両の進行方向に向かって右側下部を後方に向かって延びる排気管45と、この排気管45の下流端に接続され、後斜め上方に向かって延びるマフラ46とから構成される。
一方、このユニットスイング型エンジン10には燃料噴射式の吸気装置47が備えられる。吸気装置47は、外気を吸入して清浄化するエアクリーナ48A、この吸入された外気(以下、吸気と称する)の流量を調整するスロットルボディ49、スロットルボディ49の吸気通路49a内に燃料を噴射する燃料噴射手段としてのインジェクタ50、そして燃料タンク9A内の燃料をインジェクタ50に圧送する燃料ポンプ51などを主な構成部材として備える。
吸気の流量は吸気通路49a内に設けられたスロットルバルブ52(後述)の開閉によって調整され、その開閉操作はこのスロットルボディ49から延びるスロットルケーブル53を介して接続された前記スロットルグリップ20aによって行われる。
さらに、エアクリーナ48Aとスロットルボディ49とはサクションパイプ54によって接続されると共に、スロットルボディ49とシリンダヘッド41内上側の吸気ポート55とはインテークパイプ56によって接続される。そして、これらのサクションパイプ54とインテークパイプ56とで吸気ポート55とエアクリーナ48とを繋ぐ吸気経路を構成する。また、燃料タンク9Aと燃料ポンプ51および燃料ポンプ51とインジェクタ50間は燃料ホース57によって接続される。
そして、インジェクタ50による燃料噴射の量やタイミング等はコントローラ58によって電子的に制御される。以下、燃料噴射システムの構成を、図4を用いて説明する。
図4に示すように、この燃料噴射システムはセンサ部と、コントロール部と、噴射部とから構成される。センサ部は、燃料の基本噴射量を決定および補正するのに必要なデータを得るために設けられ、噴射量を決定するためにスロットルボディ49の吸気通路49a内の吸気圧を検出する吸気圧センサ59と、クランクシャフトの回転数を検出するシグナルジェネレータ60(回転数センサ)と、シリンダヘッド41内のカムシャフト61の位置(バブルタイミング)を検出するカムポジションセンサ62と(2サイクルエンジンの場合は不要)、吸気通路49a内のスロットルバルブ52の開度を検出するスロットルポジションセンサ63とを備える。
また、噴射量を補正するために、大気圧を検出する大気圧センサ64や、エアクリーナ48Aに取り付けられて吸気の温度を検出する吸気温センサ65、エンジン本体13が空冷式の場合点火プラグ取付座の温度を検出するプラグ座温センサ66、エンジン本体13が水冷式の場合ラジエター42に取り付けられて冷却水の温度を検出する水温センサ67、等が備えられる。そして、センサ部によって得られたデータはコントロール部であるコントローラ58に送られ、燃料噴射の量やタイミングが決定される。
一方、コントローラ58によって決定された燃料噴射の量やタイミングのデータは噴射部に送られ、各装置が制御される。噴射部は、前述した燃料ポンプ51やインジェクタ50等から構成される。また、燃料ポンプ51の上流側には燃料内の異物を除去する燃料フィルタ68が設けられる。なお、この第一実施例や図4において燃料ポンプ51および燃料フィルタ68が燃料タンク9A外に配置されている例を示すが、これらの装置を燃料タンク9A内に内装したものでもよい。
さらに、燃料ポンプ51によってインジェクタ50に圧送された燃料のうち、余剰分はプレッシャレギュレータ69によって燃料タンク9A内に戻される。そして、これらの噴射部を制御するための補器として、例えば燃料カットセンサ70や燃料ポンプリレー71等が備えられ、コントローラ58に接続される。
また、コントローラ58にはバッテリ72が接続されて電力が供給されると共に、コンビネーションメータ73にもコントローラ58は接続され、燃料の残量や燃料噴射システムに係る警告等をメータパネル73a上に表示する。
次に、吸気装置47の配置について説明する。図2および図3に示すように、吸気装置47を構成するエアクリーナ48Aはユニットスイング型エンジン10の伝動ケース14上に配置され、その斜め前方のシリンダブロック40上にインジェクタ50を備えたスロットルボディ49が配置される。そして、エアクリーナ48Aとスロットルボディ49およびこれらを接続するサクションパイプ54およびインテークパイプ56は一体化されてユニットスイング型エンジン10の上面にスイング一体に固定される。
また、サクションパイプ54上方には燃料ポンプ51が配置され、リヤフレーム5に固定されると共に、この燃料ポンプ51から可撓性を有する燃料ホース57が燃料タンク9Aおよびインジェクタ50に向かって延びる。そして、燃料ホース57はインジェクタ50付近において例えばクランプ74によって収納ボックス7Aの底面に固定され、インジェクタ50がユニットスイング型エンジン10と共にスイングした時、燃料ホース57がインジェクタ50から外れるのを防止する。
一方、収納ボックス7Aの後方に設けられた燃料タンク9Aの側部には前記コントローラ58およびバッテリ72が燃料タンク9に隣接して並設される。収納ボックス7A後方の燃料タンク9A側部はユニットスイング型エンジン10から離れており、またその周囲がリヤフレームカバー30によって囲まれているため、この場所にコントローラ58を配置すればコントローラ58にユニットスイング型エンジン10が発する熱が伝わりにくく、また、防水、防塵性が高いのでコントローラ58の設置には好適である。そして、ユニットスイング型エンジン10が水冷式のエンジン本体を備えていても、ラジエター42a,42bから離れた場所なので、コントローラ58へのラジエターの排風熱影響が少ない。
図5は燃料タンク9Aの拡大左側面図であり、図6は燃料タンク9Aの拡大平面図である。図5および図6に示すように、燃料タンク9Aの例えば左側面には段部9aが設けられてコントローラ58およびバッテリ72の設置スペースが形成される。また、この設置スペース上にはコントローラ58およびバッテリ72の底面形状に応じて突設された固定用の突起75が設けられ、コントローラ58およびバッテリ72が位置決めされ、固定される。
コントローラ58およびバッテリ72を並設したことによって両者58,72間の配線76が短くてすむ。また、コントローラ58からはインジェクタ50に向かってコントロールケーブル77が延びる。なお、ユニットスイング型エンジン10やラジエター42a,42bからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高いコントローラ58配置の条件を満たす他の場所として、例えばリヤレッグシールド28とロアーレッグシールド29との間のフロア下収納室32でもよく、図2および図3にこのフロア下収納室32内に配置されたコントローラ78の例を二点鎖線で示す。
ところで、ユニットスイング型エンジン10の上方に配置される収納ボックス7Aには大きな収容量が求められる。反面、ユニットスイング型エンジン10と収納ボックス7Aとの間には吸気装置47が配置されており、これらが上下にスイングするため、収納ボックス7Aの底面はリヤクッションユニット15が最も圧縮された状態でユニットスイング型エンジン10および吸気装置47のいずれにも接しない形状に形成される。
具体的には、リヤクッションユニット15が最も圧縮された状態でのユニットスイング型エンジン10および吸気装置47の、上部プロフィール79の最も高い位置の二点を結ぶ線、本実施例においてはシリンダヘッド41上部とスロットルボディ49上部とを結んだ線X−Xまたはシリンダヘッド41上部とエアクリーナ48上部とを結んだ線X’−X’と略平行になるよう、収納ボックス7Aの底面が斜め前下がりに形成される。
図7および図8は、スクータ型車両1Bの参考例1の第二例を示すものであり、図7はこのスクータ型車両1Bの内部構造を示す左側面図、そして、図8は、図7に示すスクータ型車両1Bの概略平面図である。なお、第一例に示したスクータ型車両1Aと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図7および図8に示すように、このスクータ型車両1Bが参考例1の第一例に示したスクータ型車両1Aと異なる点はその収納ボックス7Aの形状にあり、第二例に示すスクータ型車両1Bの収納ボックス7Bはその後部および後下部にヘルメット取出し空間80が設けられ、使用者がヘルメット6を取出す際、このヘルメット取出し空間80に手81を挿入することによりヘルメット6の取出しを容易にする。なお、この収納ボックス7Bの形状は従来通りのキャブレタ(図示せず)を使用した車両にも適用可能である。
また、参考例1の第一例においてはユニットスイング型エンジン10やラジエター42a,42bからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高いコントローラ58配置の条件を満たす他の場所として、例えばリヤレッグシールド28とロアーレッグシールド29との間のフロア下収納室32を示したが、さらに可能性のある場所として、この第二実施例においては収納ボックス7B内のヘルメット6後部のスペースに配置されたコントローラ82の例を二点鎖線で示す。
図9および図10は、スクータ型車両1Cの参考例1の第三例を示すものであり、図9はこのスクータ型車両1Cの内部構造を示す左側面図、そして、図10は、図9に示すスクータ型車両1Cの概略平面図である。なお、参考例1の第一例に示したスクータ型車両1Aと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図9および図10に示すように、このスクータ型車両1Cが参考例1の第一例に示したスクータ型車両1Aと異なる点はそのエアクリーナ48Aの配置場所にあり、参考例1の第三例に示すスクータ型車両1Cのエアクリーナ48Cはマフラ46の上部に配置される。よって、スロットルボディ49の配置も参考例1の第一例に示したものとは反対側(右側)になる。
図11および図12は、スクータ型車両1Dの参考例2の第一例を示すものであり、図11はこのスクータ型車両1Dの内部構造を示す左側面図、そして、図12は、図11に示すスクータ型車両1Dの概略平面図である。なお、参考例1の第一例に示したスクータ型車両1Aと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図11および図12に示すように、このスクータ型車両1Dは基本的に参考例1の第一例に示すスクータ型車両1Aと同じ構成を有するが、以下の点において異なる。
まず、ユニットスイング型エンジン10の上面のエンジン懸架ボス11aとその前方に配置されるスロットルボディ49との間に形成されるスペースに収納ボックス7D底面の一部が延設されて収納ボックス7Dの最深部83を形成する。そして、この最深部83を利用することにより長尺な物品も収納可能となる。また、スロットルボディ49に取り付けられたインジェクタ50はその最も高い部分が上記最深部83より上方に配置される。なお、燃料ポンプ51からインジェクタ50に延びる燃料ホース57およびコントローラ58からインジェクタ50に延びるコントロールケーブル77は例えばクランプ74によって収納ボックス7Dの最深部83近傍に固定される。
また、シリンダアッセンブリ39の左側面で伝動ケース14の前方に形成されるスペースにエアクリーナ48Dが配置される。そして、エアクリーナ48Dからはサクションパイプ54が平面視で車両の進行方向と直交する方向に延び、その下流側にスロットルボディ49およびインテークパイプ56が略直線的に接続される。
このように、エアクリーナ48D、サクションパイプ54、スロットルボディ49およびインテークパイプ56を車両の進行方向と直交する方向に略直線的に配置することにより、空気抵抗が低減されて吸気効率が向上し、出力アップに繋がる。
そして、スロットルボディ49は車両の前側に向かってスロットルケーブル53が、後ろ側に燃料ホース57およびコントロールケーブル77が接続される。このようにホースやケーブル類を接続することにより無理な曲げがなくなり、耐久性が向上すると共に、スロットルケーブル53の操作性も向上する。
なお、上述した参考例2の第一例においてはスクータ型車両を4サイクルエンジンに適用した例を示したが、エンジン本体13が2サイクルエンジンの場合、図12に二点鎖線で示すように、インテークパイプ84はクランクケース37の方向に延びて接続される。また、ユニットスイング型エンジン10の懸架位置は上側だけでよい。また、長尺物を収納可能な収納ボックス7Dの形状は従来通りのキャブレタ(図示せず)を使用した車両にも適用可能である。
図13および図14は、スクータ型車両1Eの参考例2の第二例を示すものであり、図13はこのスクータ型車両1Eの内部構造を示す左側面図、そして、図14は、図13に示すスクータ型車両1Eの概略平面図である。なお、参考例2の第一例に示したスクータ型車両1Dと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図13および図14に示すように、このスクータ型車両1Eが参考例2の第一例に示したスクータ型車両1Dと異なる点はその吸気装置47の配置形状にあり、インジェクタ50の燃料噴射方向軸Y−Yがシリンダアッセンブリ39の中心軸Z−Zと車両の前側で鋭角(略90°以内)に交差するよう、サクションパイプ54は大きく折曲され、インテークパイプ56もシリンダヘッド41の前側から吸気ポート55に向かって曲げられる。なお、エンジン本体13が2サイクルエンジンの場合、インテークパイプ84は二点鎖線で示すようにクランクケース37まで延びて曲げられる。
インジェクタ50をその燃料噴射方向軸Y−Yがシリンダアッセンブリ39の中心軸Z−Zと車両の前側で鋭角に交差するように配置することによりインジェクタ50から噴射される燃料が吸気ポート55内で曲率が大きく混合ガスの流量が大きい方向に指向され、燃焼室により直線的に噴射される。その結果、吸気のダウンドラフト効果も得られ、吸気効率、充填効率および燃焼効率が向上し、出力アップに繋がる。
なお、エアクリーナ85は二点鎖線で示すように伝動ケース14の上方に配置してもよい。また、伝動ケース14上方にエアクリーナ85を配置した場合、ユニットスイング型エンジン10の懸架位置は上下どちらでもよい。
図15および図16は、本発明を適用したスクータ型車両1Fの実施形態を示すものであり、図15はこのスクータ型車両1Fの内部構造を示す左側面図、そして、図16は、図15に示すスクータ型車両1Fの概略平面図である。なお、参考例2の第一例に示したスクータ型車両1Dと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図15および図16に示すように、このスクータ型車両1Fが参考例2の第一例に示したスクータ型車両1Dと異なる点は、図11および図12に示されたエアクリーナ48Dの容量が不足の場合を考慮して、ステップフロア31下部の本来フロア下収納室32(図11および図12参照)が設けられていた独立空間に第二エアクリーナ86Fを設けたものである。そして、当初から設けられていたエアクリーナ48F(第一エアクリーナ)と第二エアクリーナ86Fとは連結管87によって連結されるが、第一エアクリーナ48Fはユニットスイング型エンジン10と一体に上下にスイングし、第二エアクリーナ86Fは車体側に固定されるため、連結管87は可撓性を有する素材または蛇腹構造状のもので形成される。そして、第二エアクリーナ86Fを設けることにより、エアクリーナ48F,86F全体の容量を容易に調整できると共に、容量が増加すれば吸気音が低下し、騒音が低下する。
また、エンジン本体13が水冷式の場合の、ラジエターの配置例として、ラジエター42cを運転シート8下方の収納ボックス7F前方に配置した例を示す。そして、この位置にラジエター42cを配置することによりラジエター42cのファン88による排風が収納ボックス7Fの底面をガイドに利用してスロットルボディ49上を通過する際、前輪17や後輪16によって跳ね上げられてスロットルボディ49の周囲に舞っている砂や泥、塵等を吹き飛ばすので、スロットルボディ49やインジェクタ50にこれらの異物が付着するのを防止でき、耐久性や信頼性を向上させる。
一方、なお、ユニットスイング型エンジン10やラジエター42cからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高いコントローラ58配置の条件を満たす他の場所として、例えばフロントレッグシールド27内でもよく、図15にこのフロントレッグシールド27内に配置されたコントローラ89およびバッテリ90の例を二点鎖線で示す。
フロントレッグシールド27内にコントローラ89およびバッテリ90を配置する際、重量の重いバッテリ90を下側に配置して両者を例えばヘッドパイプ3に固定することが望ましい。また、コントローラ89およびバッテリ90を隣接して設置すれば両者89,90間の配線76が短くてすむ。
図17および図18は、スクータ型車両1Gの参考例2の第三例を示すものであり、図17はこのスクータ型車両1Gの内部構造を示す左側面図、そして、図18は、図17に示すスクータ型車両1Gの概略平面図である。なお、参考例2の第一例に示したスクータ型車両1Dと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図17および図18に示すように、このスクータ型車両1Gが参考例2の第一例に示したスクータ型車両1Dと異なる点は、当初から設けられていたエアクリーナ48G(第一エアクリーナ)の容量が不足の場合を考慮して、伝動ケース14の上方に第二エアクリーナ86Gを設けたものである。さらに、両エアクリーナ48G,86Gは連結管87で連結してもよく、また、両エアクリーナ48G,86Gを一体に成形してもよい。そして、第二エアクリーナ86Gを設けることにより、エアクリーナ48G全体の容量を容易に調整できると共に、容量が増加すれば吸気音が低下し、騒音が低下する。
また、収納ボックス7Gの底面を断付きの前下がり形状としてその最深部83にヘルメット6の前下部(顎部)または後下部をはめ込み可能に構成することにより収納ボックス7Gの後部にヘルメット取出し空間80が設けられ、使用者がヘルメット6を取出す際、このヘルメット取出し空間80に手81を挿入することによりヘルメット6の取出しを容易にする。なお、この収納ボックス7Gの形状は従来通りのキャブレタ(図示せず)を使用した車両にも適用可能である。
なお、本実施例は2サイクルエンジンや水冷式エンジン冷却方式のユニットスイング型エンジンにも適用できるのは言うまでもない。2サイクルエンジンの場合、図18に二点鎖線で示すように、インテークパイプ84はクランクケース37の方向に延びて接続される。また、水冷式の場合、ラジエターはヘッドパイプ3の前方(符号42a)や、ヘッドパイプ3下方のダウンチューブ4前部(符号42b)など、走行風の当たり易い位置に配置されることが望ましい。さらに、ユニットスイング型エンジン10の懸架位置は上下どちらでもよい。
図19および図20は、スクータ型車両1Hの参考例2の第四例を示すものであり、図19はこのスクータ型車両1Hの内部構造を示す左側面図、そして、図20は、図19に示すスクータ型車両1Hの概略平面図である。なお、このスクータ型車両1Hは基本的に参考例2の第二例に示すスクータ型車両1Eと同じコンセプトを有するため、参考例2の第二例に示したスクータ型車両1Eと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図19および図20に示すように、このスクータ型車両1Hはそのインジェクタ50の燃料噴射方向軸Y−Yがシリンダアッセンブリ39の中心軸Z−Zと車両の前側で鋭角(略90°以内)に交差するようにスロットルボディ49およびインテークパイプ56が配置される。
また、本実施例においては運転シート8下方の収納ボックス7H前方にエアクリーナ48Hが配置され、その下部からスロットルボディ49に向かってサクションパイプ54が延びる。ここで、スロットルボディ49はユニットスイング型エンジン10と一体に上下にスイングし、エアクリーナ48Hは車体側に固定されるため、サクションパイプ54は可撓性を有する素材または蛇腹構造状のもので形成される。なお、燃料ホース57は例えばクランプ74によってリヤフレーム5に固定される。
また、コントローラ58はユニットスイング型エンジン10やラジエター42a,42bからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高い場所として上記エアクリーナ48Hと収納ボックス7Hとの間の空間に配置される。なお、詳細には図示しないが、エアクリーナ48Hの収納ボックス7Hに面した壁部に凹部を形成し、この凹部にコントローラ58をはめ込んでもよい。
そして、ステップフロア31下部の本来フロア下収納室32が設けられていた独立空間にバッテリ72が配置される。この位置にバッテリ72を配置すれば、コントローラ58とバッテリ72との間の配線76が短くてすむ。
一方、収納ボックス7Hの前方にエアクリーナ48Hを配置したことにより収納ボックス7Hの全長が短くなるが、ヘルメット6を略縦方向に収納可能に収納ボックス7Hおよびリヤフレーム5の形状を変更すればよい。この時、収納ボックス7Hの前壁上端をヘルメット6の前下部(顎部)より下方に設定すれば、収納ボックス7Hの前側上部、エアクリーナ48Hの上方にヘルメット取出し空間80を設けることができ、使用者がヘルメット6を取出す際、このヘルメット取出し空間80に手81を挿入することによりヘルメット6の取出しを容易にする。
なお、この収納ボックス7Hの形状は従来通りのキャブレタ(図示せず)を使用した車両にも適用可能である。さらに、ユニットスイング型エンジン10の懸架位置は上下どちらでもよい。
図21および図22は、スクータ型車両1Jの参考例3の第一例を示すものであり、図21はこのスクータ型車両1Jの内部構造を示す左側面図、そして、図22は、図21に示すスクータ型車両1Jの概略平面図である。なお、参考例1の第一例に示したスクータ型車両1Aと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図21および図22に示すように、このスクータ型車両1Jは基本的に参考例1の第一例に示すスクータ型車両1Aと同じ構成を有するが、以下の点において異なる。
まず、燃料タンク9Jが収納ボックス7Jの後方からステップフロア31下部の本来フロア下収納室32が設けられていた独立空間に移設されると共に、燃料噴射システムの構成を説明した際に記したように、燃料ポンプ51は燃料タンク9J内に内装される。また、燃料タンク9Jの給油口91直上のステップフロア31には給油リッド92が開閉自在に設けられる。
まず、燃料タンク9Jが収納ボックス7Jの後方からステップフロア31下部の本来フロア下収納室32が設けられていた独立空間に移設されると共に、燃料噴射システムの構成を説明した際に記したように、燃料ポンプ51は燃料タンク9J内に内装される。また、燃料タンク9Jの給油口91直上のステップフロア31には給油リッド92が開閉自在に設けられる。
そして、燃料タンク9Jをステップフロア31下部に設けたことにより収納ボックス7Jが後方に延設され、その容量を大きく確保できる。また、収納ボックス7Jを後方に延設した際、リヤクッションユニット15が最も圧縮された状態でエアクリーナ48Jの上部プロフィール79が側面視で収納ボックス7Jの底面とオーバーラップOLする。なお、エアクリーナ48Jと収納ボックス7Jの底面とが干渉する場合、収納ボックス7Jの底面に上方に向かう逃げ部93を凹設すればよい。その結果、リヤクッションユニット15のストローク量も十分に確保しても収納ボックス7Jの容量が大幅に減ることはない。
また、収納ボックス7Jの底面は側面視山形に形成され、その頂点の前方にヘルメット6を前下がり状態で収納すると共に、頂点をヘルメット6の後下部より前側に設定することによりこのヘルメット6の後下部下方にヘルメット取出し空間80が形成可能になり、使用者がヘルメット6を取出す際、このヘルメット取出し空間80に手81を挿入することによりヘルメット6の取出しを容易にする。なお、この収納ボックス7Jの形状は従来通りのキャブレタ(図示せず)を使用した車両にも適用可能である。
さらに、ユニットスイング型エンジン10やラジエター42a,42bからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高い場所として、本実施例においては収納ボックス7Jの後方に、コンビネーションランプ35に隣接して後部収納室94を形成し、この後部収納室94内にコントローラ58およびバッテリ72が収納される。なお、この後部収納室94は開閉自在のメンテナンスリッド95で塞がれる。
コントローラ58およびバッテリ72をコンビネーションランプ35に隣接して配置したことによりそれぞれの配線76を同方向に取出すことができ、配線類の取り廻しを簡素化できる。また、後部収納室94内にコントローラ58とバッテリ72を収納したことにより、メンテナンスリッド95を開けるだけで両装置58,72を同時にメンテナンスできる。
一方、このスクータ型車両1Jはインジェクタ50から噴射される燃料が吸気ポート55内で曲率が大きく混合ガスの流量が大きい側に指向するよう、そのインジェクタ50の燃料噴射方向軸Y−Yがシリンダアッセンブリ39の中心軸Z−Zと略直角に交差するようにスロットルボディ49およびインテークパイプ56が配置される。
なお、ユニットスイング型エンジン10の懸架位置は上下どちらでもよい。
図23および図24は、スクータ型車両1Kの参考例3の第二例を示すものであり、図23はこのスクータ型車両1Kの内部構造を示す左側面図、そして、図24は、図23に示すスクータ型車両1Kの概略平面図である。なお、参考例3の第一例に示したスクータ型車両1Jと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図23および図24に示すように、このスクータ型車両1Kの伝動ケース14上方に配置されたエアクリーナ48Kはその前部が伝動ケース14上からクランクケース37の上方に向かって延設されて平面視略L字形状に形成される。なお、エアクリーナ48Kの容量がまだ不足の場合、この延設部96はマフラ46側に向かって延長することも可能である。そしてエアクリーナ48Kの前部を延設したことによりエアクリーナ48K全体の容量を容易に調整できる。
さらに、エアクリーナ48Kの前部をクランクケース37の上方にまで延設したことにより、エアクリーナ48Kから吸気ポート55に至るサクションパイプ54、スロットルボディ49およびインテークパイプ56を車両の進行方向に沿って平面視略一直線に配置できる。その結果、吸気のダウンドラフト効果が得られ、吸気効率、充填効率および燃焼効率が向上し、出力アップに繋がる。
図25および図26は、スクータ型車両1Lの参考例3の第三例を示すものであり、図25はこのスクータ型車両1Lの内部構造を示す左側面図、そして、図26は、図25に示すスクータ型車両1Lの概略平面図である。なお、参考例3の第一例に示したスクータ型車両1Jと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図25および図26に示すように、この第三例におけるスクータ型車両1Lは燃料タンク9Lをステップフロア31下部に設けたことにより収納ボックス7L後方のスペースが空いたので、このスペースの一部、収納ボックス7Lの後左側にエアクリーナ48Lを配置したものである。そして、このエアクリーナ48Lの下部からスロットルボディ49に向かってサクションパイプ54が略一直線に延びる。ここで、スロットルボディ49はユニットスイング型エンジン10と一体に上下にスイングし、エアクリーナ48Lは車体側に固定されるため、サクションパイプ54は可撓性を有する素材または蛇腹構造状のもので形成される。
サクションパイプ54を略一直線に配置することにより吸気抵抗が減って出力の向上に繋がる。また、エアクリーナ48Lを伝動ケース14上ではなく収納ボックス7Lの後方に配置したことにより、リヤフレーム5の左右を囲むように設けられたリヤフレームカバー30の下部ライン30a決定(デザイン)の自由度が増す。
なお、ユニットスイング型エンジン10がその上面に並設された左右一対のエンジン懸架ボス11aでリヤフレーム5に設けられたエンジン懸架ブラケット12aに懸架される場合、サクションパイプ54はこれら左右のエンジン懸架ボス11aおよび懸架ブラケット12a間を通過するように配置される。
さらに、収納ボックス7L後方のスペースはその一部のみをエアクリーナ48Lの配置に利用するため、他の部分、すなわちエアクリーナ48Lの右側が収納ボックス7Lの後方延長部97として利用でき、長尺な物品98も収納可能となる。また、コントローラ58はユニットスイング型エンジン10やラジエター42a,42bからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高い場所として上記エアクリーナ48Lと収納ボックス7Lの後方延長部97との間に配置される。
そして、この後方延長部97とヘルメット6後部との間にヘルメット取出し空間80が設けられ、使用者がヘルメット6を取出す際、このヘルメット取出し空間80に手81を挿入することによりヘルメット6の取出しを容易にする。
なお、ヘルメット6の取出しが容易で、長尺物も収納可能な本実施例の収納ボックス7Lの形状は従来通りのキャブレタ(図示せず)を使用した車両にも適用可能である。
図27および図28は、スクータ型車両1Mの参考例4の第一例を示すものであり、図27はこのスクータ型車両1Mの内部構造を示す左側面図、そして、図28は、図27に示すスクータ型車両1Mの概略平面図である。なお、参考例1の第一例に示したスクータ型車両1Aと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図27および図28に示すように、このスクータ型車両1Mは基本的に参考例1の第一例に示すスクータ型車両1Aと同じ構成を有するが、以下の点において異なる。
すなわち、ユニットスイング型エンジン10の懸架をその下面のエンジン懸架ボス11bおよび車体側のエンジン懸架ブラケット12bとで行うようにしたことにより収納ボックス7Mの底面を地面と略平行(水平)にし、リヤクッションユニット15が最も圧縮された状態でユニットスイング型エンジン10および吸気装置47の上部プロフィール79が収納ボックス7Mの底面と干渉しない位置まで収納ボックス7Mの底面を下げたものである。その結果、収納ボックス7M下方のデッドスペースが無くなり、運転シート8の座面も低くできる。
すなわち、ユニットスイング型エンジン10の懸架をその下面のエンジン懸架ボス11bおよび車体側のエンジン懸架ブラケット12bとで行うようにしたことにより収納ボックス7Mの底面を地面と略平行(水平)にし、リヤクッションユニット15が最も圧縮された状態でユニットスイング型エンジン10および吸気装置47の上部プロフィール79が収納ボックス7Mの底面と干渉しない位置まで収納ボックス7Mの底面を下げたものである。その結果、収納ボックス7M下方のデッドスペースが無くなり、運転シート8の座面も低くできる。
また、これに伴ってスロットルボディ49からエアクリーナ48Mに平面視で車両の斜め後方に向けて延びるサクションパイプ54も収納ボックス7Mの底面と略平行に且つ直線的に配置可能となり、吸気(通気)抵抗が低減して出力アップに繋がる。なお、燃料ポンプ51は収納ボックス7Mの後壁に取付けられる。
さらに、ユニットスイング型エンジン10やラジエター42a,42bからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高いステップフロア31下部の本来フロア下収納室32が設けられていた独立空間にコントローラ58とバッテリ72とが並設される。そして、コントローラ58とバッテリ72とを並設したことにより両者58,72間の配線76が短くてすむ。
なお、本実施例は2サイクルエンジンや水冷式のエンジン本体にも適用でき、エンジン本体13が2サイクルエンジンの場合、図28に示すように、スロットルボディ49およびインテークパイプ84はクランクケース37の方向に延びて接続される。また、エンジン本体13が水冷式の場合、図27に示すように、ラジエターはヘッドパイプ3の前方(符号42a)や、ヘッドパイプ3下方のダウンチューブ4前部(符号42b)など、走行風の当たり易い位置に配置されることが望ましい。さらに、運転シート8の下方、収納ボックス7Mの前方にコントローラ82を配置してもよい。
図29および図30は、スクータ型車両1Nの参考例4の第二例を示すものであり、図29はこのスクータ型車両1Nの内部構造を示す左側面図、そして、図30は、図29に示すスクータ型車両1Nの概略平面図である。なお、参考例4の第一例に示したスクータ型車両1Mと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図29および図30に示すように、このスクータ型車両1Nもユニットスイング型エンジン10の懸架をその下面のエンジン懸架ボス11bおよび車体側のエンジン懸架ブラケット12bとで行うようにし、さらにステップフロア31下部の本来フロア下収納室32が設けられていた独立空間にエアクリーナ48Nを設け、その後部スロットルボディ49に向かって延びるサクションパイプ54を、可撓性を有する素材または蛇腹構造状のもので形成したものである。また、エアクリーナ48Nの前部からは吸気管38がダウンチューブ4に沿って上方に延びる。
そして、このスクータ型車両1Nはそのインジェクタ50の燃料噴射方向軸Y−Yがシリンダアッセンブリ39の中心軸Z−Zと車両の前側で鋭角(略90°以内)に交差するようにスロットルボディ49およびインテークパイプ56が配置される。その結果、インジェクタ50から噴射される燃料が吸気ポート55内で曲率が大きく混合ガスの流量が大きい方向に指向され、燃焼室により直線的に噴射される。その結果、吸気のダウンドラフト効果も得られ、吸気効率、充填効率および燃焼効率が向上し、出力アップに繋がる。
さらに、上述した吸気装置47のレイアウトにより、ユニットスイング型エンジン10の上面にはインテークパイプ56以外大きな突出物がなくなり、収納ボックス7Nを深底にできるので、ヘルメット6の収納方法に自由度が増すと共に、リヤクッションユニット15が最も圧縮された状態でユニットスイング型エンジン10および後輪16の上部プロフィール79が収納ボックス7Nの底面と干渉しない位置まで収納ボックス7Nの底面を下げて運転シート8の座面も低くすることができる。
なお、燃料ホース57は収納ボックス7Nの底面に例えばクランプ74で固定される。また、コントローラ58およびバッテリ72はユニットスイング型エンジン10やラジエター42bからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高い場所であるフロントレッグシールド27内に配置される。
図31および図32は、スクータ型車両1Pの参考例4の第三例を示すものであり、図31はこのスクータ型車両1Pの内部構造を示す左側面図、そして、図32は、図31に示すスクータ型車両1Pの概略平面図である。なお、参考例4の第一例に示したスクータ型車両1Mと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図31および図32に示すように、この第三例に示すスクータ型車両1Pはこれまで述べてきたものとは異なり、二名乗車可能な中型(例えば100〜125ccクラス)の車両を想定したものである。
このスクータ型車両1Pもユニットスイング型エンジン10の懸架をその下面のエンジン懸架ボス11bおよび車体側のエンジン懸架ブラケット12bとで行うようにし、さらにステップフロア31下部の本来フロア下収納室32が設けられていた独立空間に燃料ポンプ51を内装した燃料タンク9Pを配置したものである。また、コントローラ58およびバッテリ72もユニットスイング型エンジン10やラジエター42bからの熱が伝わりにくく、防水、防塵性が高い場所であるフロントレッグシールド27内に配置したものである。そして、このようなレイアウトからリヤフレーム5上のリヤフレームカバー30内一杯に例えばフルフェース型ヘルメット99a,99bを二個前後に収納可能な収納ボックス7Pを設けることが可能になる。
また、前側に配置されるヘルメット99aは正面を向いてその底面が地面と略平行(水平)に配置されると共に、後ろ側に配置されるヘルメット99bは前側のヘルメット99aより上側に後方を向いて、且つ上下逆さまの倒立状態で前下がりに配置されるよう、収納ボックス7底面の形状は側面視で前後に段のついた形状に形成される。
ヘルメットの平面形は周知の如く前側(顎部)の幅の方が後ろ側より狭い先細り形状のため、前側のヘルメット99aを前向きに、後ろ側のヘルメット99bを後ろ向きに配置することにより収納ボックス7Pを平面視略長円形状に形成でき、運転シート8の前後幅が広がることがない。また、リヤフレームカバー30後部も幅を狭くでき、全体的にスリムな流線形の平面形状を得ることができる。
さらに、後ろ側に配置されるヘルメット99bを上下逆さまの倒立状態で配置したことにより、両ヘルメット99a,99bの後部をオーバーラップOLさせて配置することが可能になり、収納ボックス7Pの全長を短縮化できる。
そして、後ろ側に配置されるヘルメット99bを前側のヘルメット99aより上側に、且つ前下がりに配置したことにより、リヤクッションユニット15が最も圧縮された状態でもユニットスイング型エンジン10および後輪16の上部プロフィール79が収納ボックス7Pの後部底面と干渉することがない。また、リヤクッションユニット15のストローク量も十分に確保できる。
また、収納ボックス7Pの、前側に配置されるヘルメット99a下方の底面は地面と略平行(水平)に形成できるため、前側運転シート8の座面を低くすることができる。なお、前側のヘルメット99a下方の収納ボックス7P底面には燃料ホース57が例えばクランプ74で固定される。
そして、上述した参考例4の第三例は本発明を燃料噴射手段としてのインジェクタ50を備えたスクータ型車両1Pに適用した例を示したが、収納ボックス7Pの形状に関しては従来通りのキャブレタ(図示せず)を使用した車両にも適用可能である。また、キャブレタを使用する場合、前側のヘルメット99a下方の収納ボックス7P底面に上方に向かって凹設される逃げ部100を形成してもよい。
図33、図34および図35は、スクータ型車両1Qの参考例5の第一例を示すものであり、図33はこのスクータ型車両1Qの内部構造を示す左側面図、図34は同右側面図、そして、図35は、図33および図34に示すスクータ型車両1Qの概略平面図である。なお、参考例1の第一例に示したスクータ型車両1Aと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図33、図34および図35に示すように、このスクータ型車両1Qに搭載されるユニットスイング型エンジン10は、車両の進行方向に沿って延びる図示しないクランクシャフトを備えたクランクケース37と、このクランクケース37の例えば右側に略水平に、且つその中心軸Z−Zが車両の進行方向に直交して配置されたシリンダアッセンブリ39とから構成された平面視L字状の4サイクル機関のエンジン本体13を備えたユニットスイング型エンジンである。
また、エアクリーナ48Qが車体の右側、マフラ46の前方に配置され、エアクリーナ48Qの前方にスロットルボディ49およびインテークパイプ56が延びる。スロットルボディ49の収納ボックス7Q側、すなわち左側にはインジェクタ50が配置され、燃料タンク9Qに内装された燃料ポンプ51から延びる燃料ホース57および燃料タンク9Qの側部に配置されたコントローラ58から延びるコントロールケーブル77が接続される。そして、スロットルボディ49の右側にスロットルケーブル53が接続される。
一方、エアクリーナ48Qは略コの字状の平面形状を有し、その凹部がスロットルボディ49を囲むように配置される。その結果、インジェクタ50と燃料ホース57との連結部が保護される。
そして、上述したようにインジェクタ50をスロットルボディ49の収納ボックス7Q側に配置し、その反対側にスロットルケーブル53を接続するようにしたことにより、スロットルケーブル53の配設スペースが充分に確保でき、スロットルケーブル53が通し易くなる。
なお、エンジンの冷却方式が水冷式の場合、ラジエターはヘッドパイプ3の前方(符号42a)や、ヘッドパイプ3下方のダウンチューブ4前部(符号42b)など、走行風の当たり易い位置に配置されることが望ましい。また、収納ボックス7Qの側方にラジエター42cを配置してもよい。
図36および図37は、スクータ型車両1Rの参考例5の第二例を示すものであり、図36はこのスクータ型車両1Rの内部構造を示す左側面図、そして、図37は、図36に示すスクータ型車両1Rの概略平面図である。なお、参考例5の第一例に示したスクータ型車両1Qと同一の構成部材には同一の符号を付し、説明も適宜省略する。
図36および図37に示すように、このスクータ型車両1Rに搭載されるユニットスイング型エンジン10も参考例5の第一例に示したものと同様、平面視L字状のエンジン本体13を備えるが、このエンジン本体13は2サイクル機関である。
エンジン本体13が2サイクル機関であるため、スロットルボディ49およびインテークパイプ56はクランクケース37に接続され、本参考例においては伝動ケース14前方のスペースに配置される。また、同スペースには略コの字状の平面形状を有するエアクリーナ48Rが配置され、その凹部がスロットルボディ49を囲むように配置される。その結果、インジェクタ50と燃料ホース57との連結部が保護される。
なお、参考例5の第二例においては燃料ポンプ51が燃料タンク9R外に配置された例を示す。
ところで、上述した参考例5の各例においてもインジェクタ50はスロットルボディ49に装着した例で示したが、インテークパイプ56やシリンダヘッド41に配置することも可能であり、その例を図38および図39で示す。
図38および図39に示すように、シリンダヘッド内には下側に排気ポート44、上側に吸気ポート55がそれぞれ設けられ、両ポート44,55はカムシャフト61を介して操作される吸気バルブ101および排気バルブ102によって開閉される。
図38はインテークパイプ56Sがエンジン本体13Sの後方から延びてシリンダヘッド41Sの吸気ポート55に接続された例を示し、図39は逆にインテークパイプ56Tがエンジン本体13Tの前方から延びてシリンダヘッド41Tの吸気ポート55に接続された例を示す。いずれの場合においても、インジェクタ50S,50Tはインテークパイプ56S,56Tの途中や、シリンダヘッド41S,41Tに挿着可能である。
スクータ型車両によれば、略水平に前傾し、且つその中心軸が車両の進行方向に沿って配置されたシリンダアッセンブリを有するエンジン本体とこのエンジン本体の一側から後方に延びてその後端に後輪を軸支する伝導ケースとを一体的に備え、車体フレームにスイング自在に枢着され、且つクッションユニットにより上記車体フレームに弾性的に支持されたユニットスイング型エンジンと、上記シリンダアッセンブリの吸気ポートに接続されるスロットルボディとこのスロットルボディに接続されるエアクリーナと燃料噴射手段とこの燃料噴射手段の燃料噴射量を制御するコントローラとを有する燃料噴射式の吸気装置と、上記ユニットスイング型エンジンの上方に配置された収納ボックスとを備えたスクータ型車両において、上記クッションユニットが最も圧縮された状態での上記ユニットスイング型エンジンの最も高い位置と上記燃料噴射手段または上記エアクリーナの最も高い位置とを結ぶ線と略平行になるよう、上記収納ボックスの底面を斜め前下がりに形成すると共に、この収納ボックスの車両前後方向に配置された燃料タンクに上記コントローラを隣接して配置したため、収納ボックスの容量を充分に確保できると共に、コントローラをユニットスイング型エンジンやラジエターからの熱、水、塵等から防ぐことができる。
また、上述したスクータ型車両において、上記燃料噴射手段を上記収納ボックスに隣接配置すると共に、上記燃料噴射手段の最も高い部分を上記収納ボックスの底面より高い位置に配置する一方、この収納ボックスの車両前後方向に配置された燃料タンクに上記コントローラを隣接して配置したため、長尺物を収納可能になると共に、コントローラをユニットスイング型エンジンやラジエターからの熱、水、塵等から防ぐことができる。
さらに、上述したスクータ型車両において、上記燃料噴射手段を上記収納ボックスに隣接配置すると共に、上記スロットルボディ内に設けられて吸気の流量を調整するスロットルバルブの操作用スロットルケーブルの始点を上記収納ボックスに隣接配置する一方、この収納ボックスの車両前後方向に配置された燃料タンクに上記コントローラを隣接して配置したため、スロットルケーブルの操作性が向上すると共に、コントローラをユニットスイング型エンジンやラジエターからの熱、水、塵等から防ぐことができる。
さらにまた、上述したスクータ型車両において、上記ユニットスイング型エンジン前方の車体に燃料タンクを配置すると共に、上記ユニットスイング型エンジンの上部には上記エアクリーナが配置され、上記ユニットスイング型エンジンが上下にスイングしたときに上記エアクリーナと上記収納ボックスとが側面視でオーバーラップするように構成したため、収納ボックスの容量を確保しながらもリヤクッションユニットのストローク量も十分に確保できる。
そして、上述したスクータ型車両において、上記燃料噴射手段を上記収納ボックスに隣接配置すると共に、上記燃料噴射手段の燃料噴射方向軸を上記シリンダアッセンブリの中心軸と略90°以内で交差させたため、エンジンの出力が向上する。
そしてまた、上述したスクータ型車両において、上記ユニットスイング型エンジンの下面に懸架ボスを設け、この懸架ボスを介して上記車体フレームに枢着すると共に、上記収納ボックスの底面を地面と略平行に形成し、上記吸気ポートと上記エアクリーナとを繋ぐ吸気経路を上記収納ボックスの底面と略平行に、且つ平面視で車両の斜め後方に向けて延設したため、運転シートの座面を低くできると共に、収納ボックス下方のスペースを有効に利用できる。
また、上述したスクータ型車両において、上記エアクリーナと上記収納ボックスとを隣接して配置し、これらの上記エアクリーナと上記収納ボックスとの間に上記コントローラを配置したため、コントローラをユニットスイング型エンジンやラジエターからの熱、水、塵等から防ぐことができる。
さらに、上述したスクータ型車両において、上記収納ボックスの前後の、少なくも一方の壁とこの収納ボックスに収納されるヘルメットとの間に、使用者が上記ヘルメットを取出す際に手を挿入可能なヘルメット取出し空間を形成したため、収納ボックスから容易にヘルメットを取出すことができる。
さらにまた、上述したスクータ型車両において、上記ユニットスイング型エンジンの下面に懸架ボスを設け、この懸架ボスを介して上記車体フレームに枢着すると共に、上記収納ボックスを、フルフェース型ヘルメットを二個前後に収納可能な平面視略長円形状に、且つ収納ボックス底面の形状を側面視で前後に段のついた形状に形成し、両ヘルメットの後部をオーバーラップさせて配置したため、二個のヘルメットをコンパクトに収納できる。
そして、略水平に前傾し、且つその中心軸が車両の進行方向に直交して配置されたシリンダアッセンブリを有するエンジン本体とこのエンジン本体の一側から後方に延びてその後端に後輪を軸支する伝導ケースとを一体的に備え、車体フレームにスイング自在に枢着され、且つクッションユニットにより上記車体フレームに弾性的に支持されたユニットスイング型エンジンと、上記シリンダアッセンブリの吸気ポートに接続されるスロットルボディとこのスロットルボディに接続されるエアクリーナと燃料噴射手段とこの燃料噴射手段の燃料噴射量を制御するコントローラとを有する燃料噴射式の吸気装置と、上記ユニットスイング型エンジンの上方に配置された収納ボックスとを備えたスクータ型車両において、上記燃料噴射手段を上記収納ボックスに隣接配置すると共に、上記燃料噴射手段の最も高い部分を上記収納ボックスの底面より高い位置に配置する一方、この収納ボックスの車両前後方向に配置された燃料タンクに上記コントローラを隣接して配置したため、長尺物を収納可能になると共に、コントローラをユニットスイング型エンジンやラジエターからの熱、水、塵等から防ぐことができる。
さらに、上記コントローラに隣接してバッテリを並設したため、両者間の配線が短くてすむ。
さらにまた、上記燃料タンクに上記コントローラ固定用の突起を設けたため、コントローラを固定し易い。