JP3559466B2 - 弁体用電磁駆動装置 - Google Patents
弁体用電磁駆動装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3559466B2 JP3559466B2 JP01419799A JP1419799A JP3559466B2 JP 3559466 B2 JP3559466 B2 JP 3559466B2 JP 01419799 A JP01419799 A JP 01419799A JP 1419799 A JP1419799 A JP 1419799A JP 3559466 B2 JP3559466 B2 JP 3559466B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mover
- iron core
- movable space
- valve
- valve body
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Valve Device For Special Equipments (AREA)
- Magnetically Actuated Valves (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車用のエンジンの吸気弁や排気弁を開閉するために取り付けられる弁体用電磁駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用の可変バルブタイミング方式のエンジンにおいて、弁体たる吸気弁や排気弁を開閉するために、例えば、特開平9−256823号公報のもののように、カムの代わりとなる弁体用電磁駆動装置すなわち弁体用電磁駆動装置を使用するものが知られている。この種の弁体用電磁駆動装置は、シリンダヘッドにおいて吸・排気弁の上方に固定され、鉄心に巻回された電磁コイルに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心内に形成した可動空間に位置させた可動子に作用させ、該可動子に連結軸を介して連結されている吸・排気弁を駆動するものである。係る連結軸は、例えばベアリングやブッシュによって往復作動可能に鉄心内に支持されており、その摺動部分に対しては、通常、エンジンの潤滑油が供給されて、摩擦抵抗を低減するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来可動子は、動作方向(連結軸方向)に直交する断面形状が略矩形状であり、鉄心内の可動子を収容する可動空間の形状もこれに合わせて断面形状が矩形状であるのが一般的であったため、可動子が連結軸回りに回転することにより、可動子の外側面と可動空間を形成する鉄心の内側面(サイドヨーク)とが接触し、吸排気弁の開閉に係る動作抵抗が大きくなるという不具合があった。また、可動子の外側面とサイドヨークとのクリアランスは電磁ロスを極力抑制する目的からかなり小さく設定されているため、可動子のわずかながたでその外側面と前記サイドヨークとが接触し易く、このことも動作抵抗を増大させる原因の1つであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような不具合に着目してなされたものであって、可動子の形状を好適に設定することにより、また、鉄心の内側面と可動子外側面との間を強制潤滑することにより、上述した不具合を解消し、可動子の動作円滑性を向上させることを主たる目的としている。
【0005】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明に係る弁体用電磁駆動装置は、鉄心に巻回された電磁コイルに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心内に形成した可動空間に位置させた可動子に作用させ、該可動子に連結されている吸気弁または排気弁の弁体を駆動する内燃機関の弁体用駆動装置において、前記可動子の動作方向に直交する断面形状を円形状にしているとともに、前記可動空間が開放されているとともに、前記鉄心の前記可動空間を形成する内側面に、前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に沿った断面部分円弧状の曲面部を形成していることを特徴とする。
【0006】
このようなものであれば、可動子が連結軸回りに回転しても、可動子の外側面と可動空間を形成する鉄心の内側面とのクリアランスが変化することはないので、これらが接触して吸排気弁の開閉に係る動作抵抗が大きくなるという不具合を簡単な構成で回避できる。
【0007】
可動子の動作円滑性を担保するには、シリンダヘッドの上面に固定される取付部材に保持され、鉄心に巻回された電磁コイルに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心のサイドヨークに挟まれた部分に形成した可動空間に位置させた可動子に作用させ、該可動子に連結されている吸気弁または排気弁の弁体を駆動する内燃機関の弁体用駆動装置において、鉄心の前記可動空間を形成する内側面であって前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に臨む部位に、シリンダヘッド内に設けた潤滑油通路に前記取付部材の内部に設けた給油通路を介して連通する潤滑用開口を設け、前記可動子の動作方向に直交する断面形状を円形状にしているとともに、前記可動空間が開放され、前記鉄心の前記可動空間を形成する内側面に、前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に沿った断面部分円弧状の曲面部を形成しているものも挙げられる。このようなものであれば、鉄心の内側面と可動子外側面との間を強制潤滑できるので、これらが接触したとしても、その動作円滑性が著しく低下したり、傷が付いたりすることを有効に防止できる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1〜7を参照して説明する。
本実施例に係るエンジンは、例えば3気筒のもので、一つの気筒に対して、一対の吸入弁2と一対の排気弁3とが装備され、各気筒の各吸気弁2を、1個の弁体用電磁駆動装置100により、同様に各気筒の各排気弁3を1個の弁体用電磁駆動装置100によりそれぞれ開閉する構成である。
【0009】
この弁体用電磁駆動装置100は、図1に示すように、鉄心1に巻回された電磁コイルCLに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心1内に形成した可動空間Sに位置させた可動子Pに作用させて動かし、この可動子Pに連結軸DSを介して連結してある吸気弁2または排気弁3の弁体21、31を駆動するもので、シリンダヘッド4の上面に固定される取付部材5に保持されている。
【0010】
各部を詳述すると、鉄心1は、図2に示すように、シリンダヘッド4に取り付けられた際に上側に位置する第1鉄心部材11と、同じく下側に位置する第2鉄心部材12とからなる。第1鉄心部材11と第2鉄心部材12とは互いに同一形状で、電磁コイルCLが巻回される中央部10aと、中央部10aに巻回された電磁コイルCLの外側に位置する短脚部10bと、中央部10aに巻回された電磁コイルCLの外側で短脚部10bに対向する位置に設けられ短脚部10bより外方に延出する長脚部10cとを有している。短脚部10bの先端面は、中央部10aの先端面と同一面上に位置するように構成してあり、長脚部10cは、短脚部10bの先端面よりもさらに外方に延出され、その延出部分にサイドヨーク10c1を形成する。このサイドヨーク10c1の延出寸法は、可動子Pの可動範囲(ストローク)に略一致して設定されている。中央部10aには、その中央に、長短脚部10c、10bの延出方向に沿って連結軸DSが貫通する貫通孔10dが設けてある。鉄心1は、これら第1鉄心部材11と第2鉄心部材12とを、互いの長脚部10cと短脚部10bとの先端がそれぞれ当接するように結合してなるものであり、可動子Pの可動空間Sが、左右を第1鉄心部材11の延出部分10c1と第2鉄心部材12の延出部分10c1とに挟まれ、上下を中央部10a、10aに挟まれて形成されるようにしてある。
【0011】
可動子Pは、後に詳述するが、板状のもので、その中心を連結軸DSの一端に止着されるようにして鉄心1に形成された可動空間S内に保持される。そして、第1鉄心部材11の貫通孔10dに緩装してある第1スプリングCSにより上方から押圧されるとともに、シリンダヘッド4内に配設された第2スプリングVSにより連結軸DSを介して下方から押圧され、これらのバランスで、電磁コイルCLに電圧が印加されない場合は、可動空間Pの軸方向中央位置で釣り合って静止する。この状態では、吸気弁2、排気弁3を構成する弁体21、31は、全閉と全開との中間位置で開成している。連結軸DSは、一端に可動子Pが止着され、他端に一対の吸気弁2及び排気弁3を同時に押圧する二股部が形成されてなるもので、第2鉄心部材12に形成された貫通孔10dに嵌め込んだブッシュBに隙間なく嵌合し、該貫通孔10dに沿って摺動移動可能に構成されている。なお、図1中符号15は弁体調整機構を示す。この弁体調整機構15は第1スプリングCSの上端位置を調整することにより、スプリング力を変え、弁体21、31の中間位置やその過渡動作の調整を行なうためのもので、第1スプリングCSの上端に当接するオネジ部材15aと、第1鉄心部材に止着され、このオネジ部材15aが螺合するメネジ部材15bとからなる。そして、このオネジ部材15aを螺進退させることにより第1スプリングCSの弾性力を調整できるようになっている。
【0012】
一方、取付部材5は、図1、図4、図5に示すように図示しないガスケットを介してシリンダヘッド4の上面に密着しシリンダヘッド4の上部開口を閉塞するもので、各気筒の直上にそれぞれ設けたスパークプラグ17を挿入するためのプラグ挿入孔5bと、このプラグ挿入孔5bの左右に形成され、気筒の並ぶ方向にその長手方向を一致させて設けた一対の装置保持孔5aとを具備する。そして、その外表面には、放熱用のフィン5cが形成してある。各装置保持孔5aには、それぞれ3つの弁体用電磁駆動装置1が取付けられる。取付状態ではこの装置保持孔5a内に少なくとも長脚部10cの延出部分10c1が埋没するように、装置保持孔5aの深さを、弁体用電磁駆動装置1の略半部が挿入し得る程度に設定してある。
【0013】
しかして、本実施例では、図3に示すように前記可動子Pの動作方向に直交する断面形状を、連結軸DSへの止着部を中心とする円形状にするとともに、サイドヨークである長脚部10cの延出部分10c1における内側面に、断面部分円弧状の曲面部10c2を形成し、この可動子Pの外側面P1が近接するようにしている。
【0014】
また、可動空間Sを形成する内側面であって可動子Pの外側面P1に臨む部位、すなわちサイドヨーク10c1の内側面に、対向するように断面部分円弧状の曲面部10c2を一対形成するととも、各曲面部10c2に潤滑用開口Kを開口させ、この潤滑用開口Kをシリンダヘッド4に設けられた図示しない潤滑油通路に連通させるようにしている。具体的には図3から図8に示すように、取付部材5の内部に給油通路8を設け、この給油通路8を介して前記潤滑油通路をサイドヨーク10c1に貫通させた第2給油通路9の一端に接続している。この第2給油通路9の他端が前記潤滑用開口Kである。給油通路8は、連結軸DSとブッシュBとの摺動部分を潤滑させるために取付部材5の底面近傍であって長手方向に沿って延びる一対の第1通路部81と、各第1通路部81に第2通路部82を介して接続され、装置保持孔5aの両側方を前記長手方向に沿って延びる一対の第3通路部83と、一端を第3通路部83に開口し他端を装置保持孔5aの内周面であって第2給油通路9の一端に対応する部位に開口する複数の連通路831とを具備する。
【0015】
このように構成した弁体用電磁駆動装置1は、上側の電磁コイルCLに電圧が印加されると、第1スプリングCSの押圧付勢力に抗し、かつ吸気弁2及び排気弁3を全閉方向に付勢する第2スプリングVSに付勢されて可動子Pが上側に引き上げられ、連結軸DSが上側に移動して吸気弁2及び排気弁3が全閉となる。一方、上側の電磁コイルCLを断電し、下側の電磁コイルCLに通電すると、第1スプリングCSに付勢され、第2スプリングVSの押圧付勢力に抗して可動子Pは下側に引き下げられ、連結軸DSが吸気弁2及び排気弁3を押し下げて開成させる。
【0016】
しかして、本実施例によれば、可動子Pの断面形状を円形状としているので、可動子Pが連結軸DS回りに回転しても、可動子Pの外側面P1と可動空間Sを形成する鉄心1の内側面、すなわち曲面部10c2とのクリアランスが変化することはなく、これらが接触して吸排気弁2、3の開閉に係る動作抵抗が大きくなるという不具合を簡単な構成で回避できる。
【0017】
また、がた等に起因して可動子Pが接触し得るおそれのある曲面部10c2に潤滑用開口Kを設けてこの部分を強制潤滑しているので、これらが接触したとしても、その動作円滑性が著しく低下して制御が困難になったり、接触部分が摩耗したりすることを有効に防止できる。
また、潤滑油の供給通路を主として取付部材5に形成したことにより、シリンダヘッド4における図示しない潤滑油通路を複雑にすることなく、効率よく潤滑油を弁体用電磁駆動装置1に供給することができる。
【0018】
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではない。例えば、弁体用電磁駆動装置1における鉄心構造及び可動子形状等は、上記実施例に限定されるものではなく、各種のものを適用することができる。
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、可動子が連結軸回りに回転しても、可動子の外側面と可動空間を形成する鉄心の内側面とのクリアランスが変化することはないので、これらが接触して吸排気弁の開閉に係る動作抵抗が大きくなるという不具合を簡単な構成で回避できる。
【0020】
また、鉄心の前記可動空間を形成する内側面であって前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に臨む部位に、シリンダヘッド内に設けた潤滑油通路に連通する開口を設けているものであれば、鉄心の内側面と可動子外側面との間を強制潤滑できるので、これらが接触したとしても、その動作円滑性が著しく低下したり、大きな摩耗が生じたりすることを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図。
【図2】同実施例の鉄心を示す分解斜視図。
【図3】同実施例の可動子を示す部分断面図。
【図4】同実施例の取付部材を示す平面図。
【図5】同実施例の取付部材を示す正面図。
【図6】図4のZ−Z線に沿った断面図。
【図7】図4のY−Y線に沿った断面図。
【図8】図4のX−X線に沿った断面図。
【符号の説明】
100…弁体用電磁駆動装置
1…鉄心
2…吸気弁
3…排気弁
21、31…弁体
4…シリンダヘッド
5…取付部材
K…潤滑用開口
S…可動空間
DS…連結軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車用のエンジンの吸気弁や排気弁を開閉するために取り付けられる弁体用電磁駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用の可変バルブタイミング方式のエンジンにおいて、弁体たる吸気弁や排気弁を開閉するために、例えば、特開平9−256823号公報のもののように、カムの代わりとなる弁体用電磁駆動装置すなわち弁体用電磁駆動装置を使用するものが知られている。この種の弁体用電磁駆動装置は、シリンダヘッドにおいて吸・排気弁の上方に固定され、鉄心に巻回された電磁コイルに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心内に形成した可動空間に位置させた可動子に作用させ、該可動子に連結軸を介して連結されている吸・排気弁を駆動するものである。係る連結軸は、例えばベアリングやブッシュによって往復作動可能に鉄心内に支持されており、その摺動部分に対しては、通常、エンジンの潤滑油が供給されて、摩擦抵抗を低減するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来可動子は、動作方向(連結軸方向)に直交する断面形状が略矩形状であり、鉄心内の可動子を収容する可動空間の形状もこれに合わせて断面形状が矩形状であるのが一般的であったため、可動子が連結軸回りに回転することにより、可動子の外側面と可動空間を形成する鉄心の内側面(サイドヨーク)とが接触し、吸排気弁の開閉に係る動作抵抗が大きくなるという不具合があった。また、可動子の外側面とサイドヨークとのクリアランスは電磁ロスを極力抑制する目的からかなり小さく設定されているため、可動子のわずかながたでその外側面と前記サイドヨークとが接触し易く、このことも動作抵抗を増大させる原因の1つであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような不具合に着目してなされたものであって、可動子の形状を好適に設定することにより、また、鉄心の内側面と可動子外側面との間を強制潤滑することにより、上述した不具合を解消し、可動子の動作円滑性を向上させることを主たる目的としている。
【0005】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明に係る弁体用電磁駆動装置は、鉄心に巻回された電磁コイルに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心内に形成した可動空間に位置させた可動子に作用させ、該可動子に連結されている吸気弁または排気弁の弁体を駆動する内燃機関の弁体用駆動装置において、前記可動子の動作方向に直交する断面形状を円形状にしているとともに、前記可動空間が開放されているとともに、前記鉄心の前記可動空間を形成する内側面に、前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に沿った断面部分円弧状の曲面部を形成していることを特徴とする。
【0006】
このようなものであれば、可動子が連結軸回りに回転しても、可動子の外側面と可動空間を形成する鉄心の内側面とのクリアランスが変化することはないので、これらが接触して吸排気弁の開閉に係る動作抵抗が大きくなるという不具合を簡単な構成で回避できる。
【0007】
可動子の動作円滑性を担保するには、シリンダヘッドの上面に固定される取付部材に保持され、鉄心に巻回された電磁コイルに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心のサイドヨークに挟まれた部分に形成した可動空間に位置させた可動子に作用させ、該可動子に連結されている吸気弁または排気弁の弁体を駆動する内燃機関の弁体用駆動装置において、鉄心の前記可動空間を形成する内側面であって前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に臨む部位に、シリンダヘッド内に設けた潤滑油通路に前記取付部材の内部に設けた給油通路を介して連通する潤滑用開口を設け、前記可動子の動作方向に直交する断面形状を円形状にしているとともに、前記可動空間が開放され、前記鉄心の前記可動空間を形成する内側面に、前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に沿った断面部分円弧状の曲面部を形成しているものも挙げられる。このようなものであれば、鉄心の内側面と可動子外側面との間を強制潤滑できるので、これらが接触したとしても、その動作円滑性が著しく低下したり、傷が付いたりすることを有効に防止できる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1〜7を参照して説明する。
本実施例に係るエンジンは、例えば3気筒のもので、一つの気筒に対して、一対の吸入弁2と一対の排気弁3とが装備され、各気筒の各吸気弁2を、1個の弁体用電磁駆動装置100により、同様に各気筒の各排気弁3を1個の弁体用電磁駆動装置100によりそれぞれ開閉する構成である。
【0009】
この弁体用電磁駆動装置100は、図1に示すように、鉄心1に巻回された電磁コイルCLに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心1内に形成した可動空間Sに位置させた可動子Pに作用させて動かし、この可動子Pに連結軸DSを介して連結してある吸気弁2または排気弁3の弁体21、31を駆動するもので、シリンダヘッド4の上面に固定される取付部材5に保持されている。
【0010】
各部を詳述すると、鉄心1は、図2に示すように、シリンダヘッド4に取り付けられた際に上側に位置する第1鉄心部材11と、同じく下側に位置する第2鉄心部材12とからなる。第1鉄心部材11と第2鉄心部材12とは互いに同一形状で、電磁コイルCLが巻回される中央部10aと、中央部10aに巻回された電磁コイルCLの外側に位置する短脚部10bと、中央部10aに巻回された電磁コイルCLの外側で短脚部10bに対向する位置に設けられ短脚部10bより外方に延出する長脚部10cとを有している。短脚部10bの先端面は、中央部10aの先端面と同一面上に位置するように構成してあり、長脚部10cは、短脚部10bの先端面よりもさらに外方に延出され、その延出部分にサイドヨーク10c1を形成する。このサイドヨーク10c1の延出寸法は、可動子Pの可動範囲(ストローク)に略一致して設定されている。中央部10aには、その中央に、長短脚部10c、10bの延出方向に沿って連結軸DSが貫通する貫通孔10dが設けてある。鉄心1は、これら第1鉄心部材11と第2鉄心部材12とを、互いの長脚部10cと短脚部10bとの先端がそれぞれ当接するように結合してなるものであり、可動子Pの可動空間Sが、左右を第1鉄心部材11の延出部分10c1と第2鉄心部材12の延出部分10c1とに挟まれ、上下を中央部10a、10aに挟まれて形成されるようにしてある。
【0011】
可動子Pは、後に詳述するが、板状のもので、その中心を連結軸DSの一端に止着されるようにして鉄心1に形成された可動空間S内に保持される。そして、第1鉄心部材11の貫通孔10dに緩装してある第1スプリングCSにより上方から押圧されるとともに、シリンダヘッド4内に配設された第2スプリングVSにより連結軸DSを介して下方から押圧され、これらのバランスで、電磁コイルCLに電圧が印加されない場合は、可動空間Pの軸方向中央位置で釣り合って静止する。この状態では、吸気弁2、排気弁3を構成する弁体21、31は、全閉と全開との中間位置で開成している。連結軸DSは、一端に可動子Pが止着され、他端に一対の吸気弁2及び排気弁3を同時に押圧する二股部が形成されてなるもので、第2鉄心部材12に形成された貫通孔10dに嵌め込んだブッシュBに隙間なく嵌合し、該貫通孔10dに沿って摺動移動可能に構成されている。なお、図1中符号15は弁体調整機構を示す。この弁体調整機構15は第1スプリングCSの上端位置を調整することにより、スプリング力を変え、弁体21、31の中間位置やその過渡動作の調整を行なうためのもので、第1スプリングCSの上端に当接するオネジ部材15aと、第1鉄心部材に止着され、このオネジ部材15aが螺合するメネジ部材15bとからなる。そして、このオネジ部材15aを螺進退させることにより第1スプリングCSの弾性力を調整できるようになっている。
【0012】
一方、取付部材5は、図1、図4、図5に示すように図示しないガスケットを介してシリンダヘッド4の上面に密着しシリンダヘッド4の上部開口を閉塞するもので、各気筒の直上にそれぞれ設けたスパークプラグ17を挿入するためのプラグ挿入孔5bと、このプラグ挿入孔5bの左右に形成され、気筒の並ぶ方向にその長手方向を一致させて設けた一対の装置保持孔5aとを具備する。そして、その外表面には、放熱用のフィン5cが形成してある。各装置保持孔5aには、それぞれ3つの弁体用電磁駆動装置1が取付けられる。取付状態ではこの装置保持孔5a内に少なくとも長脚部10cの延出部分10c1が埋没するように、装置保持孔5aの深さを、弁体用電磁駆動装置1の略半部が挿入し得る程度に設定してある。
【0013】
しかして、本実施例では、図3に示すように前記可動子Pの動作方向に直交する断面形状を、連結軸DSへの止着部を中心とする円形状にするとともに、サイドヨークである長脚部10cの延出部分10c1における内側面に、断面部分円弧状の曲面部10c2を形成し、この可動子Pの外側面P1が近接するようにしている。
【0014】
また、可動空間Sを形成する内側面であって可動子Pの外側面P1に臨む部位、すなわちサイドヨーク10c1の内側面に、対向するように断面部分円弧状の曲面部10c2を一対形成するととも、各曲面部10c2に潤滑用開口Kを開口させ、この潤滑用開口Kをシリンダヘッド4に設けられた図示しない潤滑油通路に連通させるようにしている。具体的には図3から図8に示すように、取付部材5の内部に給油通路8を設け、この給油通路8を介して前記潤滑油通路をサイドヨーク10c1に貫通させた第2給油通路9の一端に接続している。この第2給油通路9の他端が前記潤滑用開口Kである。給油通路8は、連結軸DSとブッシュBとの摺動部分を潤滑させるために取付部材5の底面近傍であって長手方向に沿って延びる一対の第1通路部81と、各第1通路部81に第2通路部82を介して接続され、装置保持孔5aの両側方を前記長手方向に沿って延びる一対の第3通路部83と、一端を第3通路部83に開口し他端を装置保持孔5aの内周面であって第2給油通路9の一端に対応する部位に開口する複数の連通路831とを具備する。
【0015】
このように構成した弁体用電磁駆動装置1は、上側の電磁コイルCLに電圧が印加されると、第1スプリングCSの押圧付勢力に抗し、かつ吸気弁2及び排気弁3を全閉方向に付勢する第2スプリングVSに付勢されて可動子Pが上側に引き上げられ、連結軸DSが上側に移動して吸気弁2及び排気弁3が全閉となる。一方、上側の電磁コイルCLを断電し、下側の電磁コイルCLに通電すると、第1スプリングCSに付勢され、第2スプリングVSの押圧付勢力に抗して可動子Pは下側に引き下げられ、連結軸DSが吸気弁2及び排気弁3を押し下げて開成させる。
【0016】
しかして、本実施例によれば、可動子Pの断面形状を円形状としているので、可動子Pが連結軸DS回りに回転しても、可動子Pの外側面P1と可動空間Sを形成する鉄心1の内側面、すなわち曲面部10c2とのクリアランスが変化することはなく、これらが接触して吸排気弁2、3の開閉に係る動作抵抗が大きくなるという不具合を簡単な構成で回避できる。
【0017】
また、がた等に起因して可動子Pが接触し得るおそれのある曲面部10c2に潤滑用開口Kを設けてこの部分を強制潤滑しているので、これらが接触したとしても、その動作円滑性が著しく低下して制御が困難になったり、接触部分が摩耗したりすることを有効に防止できる。
また、潤滑油の供給通路を主として取付部材5に形成したことにより、シリンダヘッド4における図示しない潤滑油通路を複雑にすることなく、効率よく潤滑油を弁体用電磁駆動装置1に供給することができる。
【0018】
なお、本発明は以上に説明した実施例に限定されるものではない。例えば、弁体用電磁駆動装置1における鉄心構造及び可動子形状等は、上記実施例に限定されるものではなく、各種のものを適用することができる。
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、可動子が連結軸回りに回転しても、可動子の外側面と可動空間を形成する鉄心の内側面とのクリアランスが変化することはないので、これらが接触して吸排気弁の開閉に係る動作抵抗が大きくなるという不具合を簡単な構成で回避できる。
【0020】
また、鉄心の前記可動空間を形成する内側面であって前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に臨む部位に、シリンダヘッド内に設けた潤滑油通路に連通する開口を設けているものであれば、鉄心の内側面と可動子外側面との間を強制潤滑できるので、これらが接触したとしても、その動作円滑性が著しく低下したり、大きな摩耗が生じたりすることを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図。
【図2】同実施例の鉄心を示す分解斜視図。
【図3】同実施例の可動子を示す部分断面図。
【図4】同実施例の取付部材を示す平面図。
【図5】同実施例の取付部材を示す正面図。
【図6】図4のZ−Z線に沿った断面図。
【図7】図4のY−Y線に沿った断面図。
【図8】図4のX−X線に沿った断面図。
【符号の説明】
100…弁体用電磁駆動装置
1…鉄心
2…吸気弁
3…排気弁
21、31…弁体
4…シリンダヘッド
5…取付部材
K…潤滑用開口
S…可動空間
DS…連結軸
Claims (2)
- 鉄心に巻回された電磁コイルに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心内に形成した可動空間に位置させた可動子に作用させ、該可動子に連結されている吸気弁または排気弁の弁体を駆動する内燃機関の弁体用駆動装置において、
前記可動子の動作方向に直交する断面形状を円形状にしているとともに、
前記可動空間が開放され、前記鉄心の前記可動空間を形成する内側面に、前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に沿った断面部分円弧状の曲面部を形成していることを特徴とする弁体用電磁駆動装置。 - シリンダヘッドの上面に固定される取付部材に保持され、サイドヨークを有する鉄心に巻回された電磁コイルに電圧を負荷した際に発生する電磁力を、前記鉄心のサイドヨークに挟まれた部分に形成した可動空間に位置させた可動子に作用させ、該可動子に連結されている吸気弁または排気弁の弁体を駆動する内燃機関の弁体用駆動装置において、
鉄心の前記可動空間を形成する内側面であって前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に臨む部位に、シリンダヘッド内に設けた潤滑油通路に前記取付部材の内部に設けた給油通路を介して連通する潤滑用開口を設け、
前記可動子の動作方向に直交する断面形状を円形状にしているとともに、
前記可動空間が開放され、前記鉄心の前記可動空間を形成する内側面に、前記可動子の動作方向に沿って形成されている外側面に沿った断面部分円弧状の曲面部を形成していることを特徴とする弁体用電磁駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01419799A JP3559466B2 (ja) | 1999-01-22 | 1999-01-22 | 弁体用電磁駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01419799A JP3559466B2 (ja) | 1999-01-22 | 1999-01-22 | 弁体用電磁駆動装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000213662A JP2000213662A (ja) | 2000-08-02 |
JP3559466B2 true JP3559466B2 (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=11854406
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01419799A Expired - Fee Related JP3559466B2 (ja) | 1999-01-22 | 1999-01-22 | 弁体用電磁駆動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3559466B2 (ja) |
-
1999
- 1999-01-22 JP JP01419799A patent/JP3559466B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000213662A (ja) | 2000-08-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5682848A (en) | Engine valve control system using a latchable rocker arm activated by a solenoid mechanism | |
US6923151B2 (en) | Apparatus for the adjustment of the stroke of a valve actuated by a camshaft | |
US8079337B2 (en) | Variable valve lift apparatus | |
JP3559466B2 (ja) | 弁体用電磁駆動装置 | |
EP1619360A1 (en) | Valve gear of engine | |
US6789521B2 (en) | Valve system for engine | |
US6745733B2 (en) | Actuating system for mode-switching rocker arm device | |
KR0185718B1 (ko) | 내연기관의 밸브 작동 장치 | |
JP2015010554A (ja) | エンジン | |
JP4342372B2 (ja) | 内燃機関の動弁装置 | |
JP3182638B2 (ja) | メカニカルガバナ付きディーゼルエンジン | |
JP2779429B2 (ja) | 動弁機構のバルブタイミング・リフト量可変機構 | |
JPH0586818A (ja) | ローラロツカアーム | |
JPS6029648Y2 (ja) | 燃料噴射装置の取付構造 | |
JP2893748B2 (ja) | エンジンの弁作動装置 | |
JP3074202B2 (ja) | 内燃機関の動弁装置 | |
KR20040029441A (ko) | 내연 기관의 밸브 가동 장치에 있어서의 로커 암 샤프트의회전 정지 장치 | |
JP4206183B2 (ja) | 内燃機関の動弁装置 | |
KR100992335B1 (ko) | 내연 기관의 가변식 동작 밸브 기구 | |
JP2005240796A (ja) | エンジンの動弁装置 | |
JP3200157B2 (ja) | エンジンの弁作動装置 | |
KR200158167Y1 (ko) | 자동차용 밸브간극조절장치 | |
JPS5996404A (ja) | 内燃機関の開閉弁駆動装置 | |
JP2848683B2 (ja) | 内燃機関の動弁装置 | |
EP3363999A1 (en) | Engine |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040518 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040521 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110528 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |