JP3559276B1 - 光ファイバ母材の製造方法、並びに該製造方法により製造された光ファイバ母材及び光ファイバ - Google Patents

光ファイバ母材の製造方法、並びに該製造方法により製造された光ファイバ母材及び光ファイバ Download PDF

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Abstract

【課題】 波長1385nm帯において低損失な光ファイバを製造するための光ファイバ母材を確実に製造する。
【解決手段】 無水ガラス体11’を作製するガラス体作製工程と、無水ガラス体11’を加熱・延伸して無水ガラスロッド11とするロッド延伸工程と、無水ガラスロッド11をガラスパイプ12に内挿した状態で、無水ガラスロッド11の外周面とガラスパイプ12の内周面とを乾燥する乾燥工程と、無水ガラスロッド11とガラスパイプ12とを一体化する一体化工程とを含む。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ガラスパイプ内にガラスロッドを挿入し、上記ガラスパイプ内を減圧しながら両者を加熱することで、上記ガラスパイプとガラスロッドとの一体化を行う光ファイバ母材の製造方法に関し、特に波長1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下であるシングルモード光ファイバを製造するための光ファイバ母材の製造方法、並びに該製造方法により製造した光ファイバ母材及び光ファイバに関する。
光ファイバは、光ファイバ母材を線引きすることによって製造され、この光ファイバ母材の製造方法としては、VAD(Vapor-phase Axial Deposition)法、OVD(Outside Vapor-phase Deposition)法、及びロッドインチューブ法等が知られている。
ところで、光ファイバの生産性の観点から、光ファイバ母材を大型化することが求められており、こうした大型の光ファイバ母材を製造する方法として、コア部とクラッド部とからなるガラスロッド(一次母材)の外周囲を、さらにクラッド部で覆うようにした製造方法が知られている。
具体的には、VAD法やOVD法(以下、これらを総称してスート法ともいう)によって作製したガラスロッド(コア部とクラッド部とを有する一次母材)の外周囲に、さらにスート法によってスート(ガラス微粒子)を堆積させ、これを透明化させることで大型の光ファイバ母材を製造する方法が知られている。
また、これとは異なり、上記スート法によって作製したガラスロッドをガラスパイプに内挿し、このガラスパイプを縮径させてこのガラスロッドとガラスパイプとを一体化させることにより、大型の光ファイバ母材を製造する方法も知られている。
ところで近年、波長の異なる複数の信号光を1本の光ファイバ(シングルモード光ファイバ)で同時に伝送する波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)伝送方式が注目されている。このWDM伝送方式で主に用いられる信号波長は1550nm帯であるが、これは、図6に示すように、この波長帯域は、光ファイバの損失値が最も小さいことが理由の1つである。
ここで、同図に示すように、光ファイバの波長損失特性は、1385nm帯において極めて大きいピークを有する。これは、光ファイバ中に残留するOH-イオンによる吸収損失が主な原因であり、この吸収損失を無くせば、WDM伝送システムで利用可能な波長帯域の拡大が図れ、そのことにより、WDM伝送システムにおける伝送容量を大幅に増大させることができると考えられる。
そのためには、光ファイバ中に残留するOH-イオンの濃度を低下させることが必要であり、ひいてはOH-イオンの濃度が低濃度である光ファイバ母材を製造することが必要である。
こうしたOH-イオンの濃度が低下した光ファイバ母材を製造するには、主として、以下の2つの方法が考えられる。
1つは、上述したように、スート法による光ファイバ母材の製造方法であり、スート法によって、OH-イオンの濃度が所定値以下の無水ガラス体(一次母材)を作製すると共に、これを延伸して無水ガラスロッドとし、この延伸した無水ガラスロッドの外周囲に、さらにスート法によってスートを堆積させる方法である。この方法では、無水ガラスロッドに堆積させたスートを透明化するときに、そのスートの収縮によって界面ずれが発生することを防止する必要がある。このため、スートと無水ガラスロッドとを融着させるべく、スートを堆積させるときには無水ガラスロッドの表面を加熱(例えば800℃程度)しなければならない。こうした加熱は、スートの堆積と同時に行うことから酸水素火炎により行うことになる。このため、無水ガラスロッドの外表面にOH-イオンが混入することが避けられず、これにより、光ファイバ母材のOH-イオンの濃度が増大してしまう。
そこで、無水ガラス体(無水ガラスロッド)として、コア部に対するクラッド部の外径比であるC/Cの大きいもの(例えばC/C≧7)を作製することが考えられる。このことにより、酸水素火炎による加熱によってこの無水ガラスロッドの外表面にOH-イオンが混入したとしても、そのOH-イオンがコア部から離れるようになる。その結果、光ファイバ母材におけるコア部近傍のOH-イオンの濃度が低濃度に保たれる。
しかしながらこの場合は、光ファイバ母材の生産性が低下してしまうこととなる。つまり、作製する無水ガラス体の外径は、製造装置に大きさによって制限される。このことから、無水ガラス体のC/Cを大きくするにはコア部の外径を小さくしなければならない。このため、無水ガラス体の製造装置で生産するコア部が著しく少なくなってコア部の生産性が低下してしまう。コア部の生産性が低下すると、相対的にクラッド部の生産が過剰になり、結果として製造装置の稼働率が低下して、光ファイバ母材の生産性が低下する。
OH-イオンの濃度が低下した光ファイバ母材を製造する2つ目の方法は、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法である(例えば特許文献1参照)。つまり、スート法によって無水ガラス体を作製すると共に、これを延伸して無水ガラスロッドとし、この延伸した無水ガラスロッドの外周囲に、ガラスパイプを被覆する方法である。この方法では、無水ガラスロッドにガラスパイプを被覆する際に、OH-イオンが混入し難い。このため、無水ガラス体のC/Cを大きくする必要がない。従って、OH-イオンの濃度が低下した光ファイバ母材を製造するには、その生産性の観点からは、スート法よりも、ロッドインチューブ法が適している。
特開平11−171575号公報
ところで、ロッドインチューブ法により光ファイバ母材を製造する際には、次のような不都合が生じる。つまり、無水ガラスロッドをガラスパイプに内挿した状態で放置すると、空気中の水分によって無水ガラスロッドの外周面及びガラスパイプの内周面に結露が生じる場合があるのである。この状態で無水ガラスロッドとガラスパイプとを一体化させると、無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に残留する水分によって、光ファイバ母材のOH-イオンの濃度が高くなってしまう。
また、ロッドインチューブ法の一つとして、無水ガラスロッドとガラスパイプとを加熱して一体化させる前に、無水ガラスロッドが内挿されたガラスパイプの両端を酸水素火炎によって加熱して、その開口を閉じる方法がある。この方法では、酸水素火炎を用いることで水が発生すると共に、加熱されたガラスが冷却することでその表面に結露が生じ、無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に水分が残留する場合がある。
このような要因によって、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造においては、OH-イオンの濃度に、ばらつきが生じ易いという不都合がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、波長1385nm帯において低損失な光ファイバを製造するための光ファイバ母材を確実に製造することにある。
本発明の製造方法は、波長1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下であるシングルモード光ファイバを製造するための光ファイバ母材の製造方法である。
この製造方法は、上記光ファイバにおいてコアとなるコア部と、該光ファイバにおいてクラッドの一部となるクラッド部とからなりかつ、OH-イオンの濃度が2ppb以下である無水ガラス体を作製するガラス体作製工程と、上記ガラス体作製工程において作製した無水ガラス体を加熱・延伸して無水ガラスロッドとするロッド延伸工程と、上記ロッド延伸工程において延伸した無水ガラスロッドをガラスパイプに内挿した状態で、上記無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に乾燥用ガスを流して、上記無水ガラスロッドの外周面とガラスパイプの内周面とを乾燥する乾燥工程と、上記乾燥工程後に、上記ガラスパイプ内を減圧しながら、該ガラスパイプ及び無水ガラスロッドの双方を、その一端から他端に向かって軸方向に順次加熱することで上記ガラスパイプと無水ガラスロッドとを順次一体化する一体化工程とを含み、上記ロッド延伸工程では、上記無水ガラス体の外表面部分を昇華させて除去しながら、上記無水ガラス体を延伸する
この構成によると、ガラス体作製工程では、OH-イオンの濃度が2ppb以下である、コア部とクラッド部とからなる無水ガラス体を作製する。例えばスート法により作製すればよい。
ロッド延伸工程では、作製した無水ガラス体を加熱して延伸し、無水ガラスロッドとする。このとき、無水ガラスロッドにOH-イオンが混入しないようにする。つまり、作製した無水ガラス体を、無水延伸方法により延伸する。このときに、無水ガラス体の外表面部分を昇華させて除去しながら延伸することによって、延伸後のガラスロッド外表面の研磨・研削が省略可能になる。また、無水ガラス体を電気炉を用いて加熱すれば、OH-イオンの混入を抑制することができる。
こうして延伸した無水ガラスロッドをガラスパイプに内挿して、無水ガラスロッドの外周面とガラスパイプの内周面とを乾燥する乾燥工程を行う。つまり、無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に乾燥用ガスを流し、それによって、無水ガラスロッドの外周面とガラスパイプの内周面とを乾燥させる。
そして、乾燥工程が終了すれば、ガラスパイプ内を減圧しながらパイプ及びロッド加熱して、このガラスパイプと無水ガラスロッドとを一体化する一体化工程を行う。
このように、一体化工程の前に乾燥工程を行うことで、無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に水分が残留することがない。このため、OH-イオンの濃度が低濃度の光ファイバ母材を確実に製造することが可能になる。
そうして、この光ファイバ母材を線引きすれば、OH-イオンによる吸収損失の小さい、具体的には波長1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下である光ファイバが確実に得られる。
ここで、乾燥工程は、無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に、乾燥用ガスとして不活性ガスを流す工程としてもよい。
このときに、上記不活性ガスは、一体化工程においてガラスパイプ及び無水ガラスロッドを加熱する加熱炉のシールガスとしてもよい。
乾燥用ガスは、無水ガラスロッドの外周面とガラスパイプの内周面とを乾燥させるガスであればよい。このため、乾燥用ガスは水分の無い又は水分の少ないガスとすればよい。そこで、加熱炉のシールガスと同じガスを乾燥用ガスとして流用すれば、新たなガスを用意しなくてもよく、製造コストの低減化が図られる。
また、上記乾燥工程は、無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に、乾燥用ガスとして乾燥空気を流す工程としてもよい。
本発明の光ファイバ母材は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の製造方法により製造された光ファイバ母材である。この光ファイバ母材は、コア部のOH-イオンの濃度が2ppb以下とする。この光ファイバ母材を線引きすることによって、波長1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下である光ファイバが製造される。
上記光ファイバ母材は、軸方向長さ1m当りの気泡の数が、5以下であることが好ましい。光ファイバ母材の気泡は、光ファイバ中において気泡となり、散乱損失を増大させるためである。
本発明の光ファイバは、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の製造方法により製造された光ファイバ母材を線引きした光ファイバである。この光ファイバは、波長1385nm帯の損失値が低くなる(0.4dB/km以下)。
以上説明したように、本発明によれば、無水ガラスロッドとガラスパイプとを一体化させる前に無水ガラスロッドの外周面とガラスパイプの内周面とを乾燥させることで、その無水ガラスロッドの外周面やガラスパイプの内周面に水分が残留することがなく、それによって、光ファイバ母材のOH-イオンの濃度がばらつくことを防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、ロッドインチューブ法によるものであり、コア部11aとクラッド部11bとからなる無水ガラス体11’(図1参照)を作製するガラス体作製工程と、この無水ガラス体11’を延伸して無水ガラスロッド11とするロッド延伸工程と、無水ガラスロッド11をガラスパイプ12に内挿した状態で、この無水ガラスロッド11の外周面とガラスパイプ12の内周面とを乾燥する乾燥工程と、延伸した無水ガラスロッド11をガラスパイプ12と一体化させる一体化工程とからなる。これにより、コア部11aと、このコア部11aの周囲を覆うクラッド部13とからなる光ファイバ母材1が製造される(図4参照)。
(ガラス体作製工程、パイプ作製工程)
ガラス体作製工程では、図4に示すように、光ファイバにおいてコアとなるコア部11aと、光ファイバにおいてクラッドの一部となるクラッド部11bとからなり、特にその外表面部分以外の部分における(コア部11a近傍における)OH-イオンの濃度が所定値以下、具体的には濃度が2ppb以下である無水ガラス体11’を作製する。
具体的には、VAD法によってガラス微粒子を堆積させたガラス微粒子堆積体を作製し、これを脱水・焼結することにより、無水ガラス体11’を作製する。この無水ガラス体11’の作製は、通常行われている方法により行えばよい。具体的には、堆積させたスートを、先ず、約1200℃の加熱炉により、ヘリウムガス及び塩素ガス雰囲気中で脱水処理する脱水工程を行った後に、約1500℃以上の高温加熱炉により、ヘリウムガス雰囲気中で透明ガラス化する透明化工程を行って無水ガラス体11’を作製する。
但し、上述したように、無水ガラス体11’の外表面部分以外の部分におけるOH-イオンの濃度は2ppb以下となるようにする。また、上記無水ガラス体11’のC/C(コア部11aの外径dに対するクラッド部11bの外径Dの比D/d(図4参照))は、3.5〜4.5となるようにする。このC/Cは、光ファイバ母材1(無水ガラス体11’)の生産性の観点からは、4程度が好ましい。
尚、この無水ガラス体11’は、OVD法によって作製するようにしてもよい。
また、無水ガラスロッド11と一体化させるガラスパイプ12は、例えばOVD法等によって作製するようにすればよい。但し、このガラスパイプ12のOH-イオン濃度は、1ppm以下となるようにする。
(ロッド延伸工程)
図1は、ガラス体作製工程において作製した無水ガラス体11’を延伸させて無水ガラスロッド11とする延伸装置Aを示している。この延伸装置Aにセットする無水ガラス体11’には、その両端部に、この無水ガラス体11’と同軸となるようにそれぞれ補助パイプ21,22が取り付けられる。
そして、上記延伸装置Aは、それぞれチャック23a,24aを有する上側把持部23と、下側把持部24とを備えており、この上側把持部23と下側把持部24とによって、無水ガラス体11’を、Z方向(同図における上下方向)に延びて配設する。すなわち、上側把持部23のチャック23aは、上記無水ガラス体11’の上端に取り付けられた補助パイプ21における上端部分を把持する一方、下側把持部24のチャック24aは、無水ガラス体11’の下端に取り付けられた補助パイプ22における下端部分を把持する。
上記上側把持部23は、無水ガラス体11’(無水ガラスロッド11)を挟んだ両側位置に、Z方向に延びて配設された一対のガイド25,25に案内されて、第1移動機構31によってZ方向に移動する。
上記第1移動機構31は、Z方向に延びて配設されかつ、上記上側把持部23に対して螺合するボールねじ31aと、このボールねじ31aの上端部分に取り付けられた従動プーリ31bと、第1モータ31cによって駆動される駆動プーリ31dと、この従動プーリ31bと駆動プーリ31dとの間に巻き掛けられたベルト31eとから構成されている。上記第1モータ31cによって駆動プーリ31dが駆動されると、ベルト31eを介して従動プーリ31bが回転し、これにより、ボールねじ31aが回転する。このことによって、上側把持部23がガイド25,25に案内されてZ方向に移動する(無水ガラス体11’の延伸を行う場合には、下方に移動する)。
一方、上記下側把持部24は、上記一対のガイド25,25に案内されて第2移動機構32によってZ方向に移動可能である。
上記第2移動機構32は、第1移動機構31と同様に、Z方向に延びて配設されかつ、この下側把持部24に対して螺合するボールねじ32aと、このボールねじ32aの下端部分に取り付けられた従動プーリ32bと、第2モータ32cによって駆動される駆動プーリ32dと、この従動プーリ32bと駆動プーリ32dとの間に巻き掛けられたベルト32eとから構成されている。上記第2モータ32cによって駆動プーリ32dが駆動されることによって、ベルト32eを介して従動プーリ32b及びボールねじ32aが回転し、これにより、下側把持部24がガイド25,25に案内されてZ方向に移動する(無水ガラス体11’の延伸を行う場合には、下方に移動する)。
このように、延伸装置Aにおいては、上側把持部23は、第1モータ31cによって移動する一方、下側把持部24は、第2モータ32cによって移動する。このため、これら第1及び第2モータ31c,32cの回転速度を互いに異ならせることによって、上側把持部23の移動速度と、下側把持部24の移動速度とを互いに異ならせることが可能である(同図の白抜きの矢印参照)。この延伸装置Aにおいては、下側把持部24の移動速度を、上側把持部23の移動速度よりも高くすることによって、無水ガラス体11’を下方に引っ張るようにし、これにより、上記無水ガラス体11’を延伸する。
また、上記上側及び下側把持部23,24のチャック23a,24aは、Z方向に延びる軸(Z軸)回りに回転可能に構成されており、これら各チャック23a,24aはそれぞれ、第1回転機構71及び第2回転機構72によってZ軸回りに回転する(同図の矢印参照)。
上記第1回転機構71は、上記上側把持部23のチャック23aと一体化された従動プーリ71aと、第3モータ71bによって駆動される駆動プーリ71cと、この従動プーリ71aと駆動プーリ71cとの間に巻き掛けられたベルト71dとから構成されている。これにより、上記第3モータ71bによって駆動プーリ71cが駆動されると、ベルト71d及び従動プーリ71aを介して上側把持部23のチャック23aがZ軸回りに回転する。
一方、上記第2回転機構72も上記第1回転機構71と同様に、従動プーリ72aと、第4モータ72bと、駆動プーリ72cと、ベルト72dとから構成されている。第4モータ73bによって駆動プーリ72cが駆動されることによって、ベルト72d及び従動プーリ72aを介して下側把持部24のチャック24aがZ軸回りに回転する。
尚、上記第1及び第2回転機構71,72は、各チャック23a,24aを互いに同じ回転数で回転させる。
上記延伸装置Aは、無水ガラス体11’を加熱する電気炉4を備えており、この電気炉4は、上記上側把持部23と下側把持部24との中間位置に配設されている。この電気炉4は、図2に示すように、その中心軸がZ方向に延びるような向きに配設された略リング状のカーボンヒータ41と、このカーボンヒータ41に内嵌されてZ方向に延びるカーボン炉心管42と、このカーボン炉心管42の外周囲を囲むように配設された断熱材43と、これらカーボンヒータ41、カーボン炉心管42及び断熱材43を収容するケース45とから構成されている。上記ケース45には、その上端部及び下端部に、無水ガラス体11’が通過可能な開口が形成されている。
上記カーボン炉心管42は、Z方向に延びて配設された無水ガラス体11’と略同軸となる位置に配設されている。また、このカーボン炉心管42は、無水ガラス体11’の外径よりも大きい内径を有しており、これにより、上記無水ガラス体11’はその軸方向に上記電気炉4内を通過可能にされている。無水ガラス体11’が、軸方向に上記電気炉4内を通過することにより、この無水ガラス体11’は、その下端から上端に向かって順次、カーボンヒータ41によって加熱される。
尚、電気炉4には、カーボンヒータ41の近傍に配設された赤外線温度計44を備えている。無水ガラス体11’の延伸の最中には、この温度計44によってカーボンヒータ41の加熱温度を検出し、これをモニタする。尚、上記電気炉4は、高周波加熱式のヒータを有するものとしてもよい。
次に、この延伸装置1による無水ガラス体11’の延伸方法について説明する。先ず、無水ガラス体11’の上側に取り付けられた補助パイプ21の上端部分を、電気炉4の上方位置において、上側把持部23のチャックによって把持すると共に、無水ガラス体11’の下側に取り付けられた補助パイプ22の下側部分を、電気炉4の下方位置において、下側把持部24のチャックによって把持する。これにより上記無水ガラス体11’(補助パイプ22)は、電気炉4内を貫通した状態で、Z方向に延びるように配設される。
この状態で、上記第1及び第2移動機構31,32の第1及び第2モータ31c,32cをそれぞれ所定の回転数で駆動させ、これにより、上記無水ガラス体11’を下方に移動させる。このときには、第1及び第2回転機構71,72の第3及び第4モータ71b,72bをそれぞれ所定の回転数で駆動させる。このことにより、無水ガラス体11’を、Z軸回りに回転させる。こうして、上記無水ガラス体11’を回転させながら、その下端から上端に向かって順次電気炉4により加熱する。このとき、下側把持部24の移動速度を、上側把持部23の移動速度よりも高く設定する。これにより、電気炉4によって加熱された無水ガラス体11’は、下方に引っ張られるようになり、これにより、上記無水ガラス体11’は、所定の外径となるまで延伸されて無水ガラスロッド11となる。
ここで、無水ガラス体11’を延伸する際の、上記電気炉4による無水ガラス体11’の加熱温度は、この無水ガラス体11’の外表面部分が昇華する温度に設定する。具体的に加熱温度は、2100℃〜2300℃に設定する。
こうすることで、ガラス体作製工程において作製した無水ガラス体11’の外表面に傷が生じていたり、また、上記電気炉4内を通過する際に、灰等の異物が無水ガラス体11’の外表面に付着したりしても、上記傷や異物を、無水ガラス体11’の外表面部分と共に除去することができる。また、スート法により作製した無水ガラス体11’の外表面部分は、OH-イオン濃度が比較的高い場合があるが、そのOH-イオン濃度の高い外表面部分を除去することができる。このため、延伸した無水ガラスロッド11の外表面を、改めて研磨・研削する必要がない。
尚、上記無水ガラス体11’の加熱温度は、好ましくは2200℃〜2250℃である。こうすることで、無水ガラス体11’の外表面部分を確実に除去可能になると共に、必要以上に加熱温度を高めないことで電気炉4の長寿命化が図られる。
このように、上記延伸装置Aは、電気炉4により無水ガラス体11’を加熱する装置である。このため、この無水ガラス体11’の外表面にOH-イオンが混入することがない。また、無水ガラス体11’の外表面部分は、OH-イオンの濃度が比較的高くなり易いが、その外表面部分を除去することで、無水ガラスロッド11のOH-イオンの濃度がさらに低下する。さらに、無水ガラス体11’の外表面部分を除去することで、無水ガラスロッド11の外表面を滑らかにすることができる。具体的には、その外表面に、0.5μm以上の凹凸がほとんど含まれないようになる。
(一体化工程)
図3は、ロッド延伸工程において延伸した無水ガラスロッド11と、パイプ作製工程において作製したガラスパイプ12とを一体化させる母材製造装置Bを示している。この母材製造装置Bは、ロッドインチューブ法により光ファイバ母材1を製造するものである。
上記母材製造装置Bには、Z方向(同図における上下方向)に延びて配設された上記ガラスパイプ12の上端部分を把持することで、このガラスパイプ12を吊り下げ状態にする第1把持部51と、同じくZ方向に延びて配設された上記無水ガラスロッド11の上端部分を把持することで、この無水ガラスロッド11を吊り下げ状態にする第2把持部52とが設けられている。この第1及び第2把持部51,52はそれぞれ、ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11の位置を、X方向(同図における紙面横方向)及びY方向(紙面に直行する方向)に移動可能に構成されていると共に、上記ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11のZ方向に対する傾きを調整可能に構成されている。この構成により、上記ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11は、それぞれ鉛直にかつ、互いに同軸に位置付けられる。
また、上記各把持部51,52はそれぞれ、Z方向に移動可能にされている。この各把持部51,52の下方への移動に伴い、上記ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11がそれぞれ下方に移動する。尚、上記第1及び第2把持部51,52の移動速度は、それぞれ変更可能であると共に、第1把持部51と第2把持部52とで互いに異なる速度に設定することも可能である。このため、上記ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11の移動速度(後述するヒータ6への送り速度)が調整可能にされており、さらに、上記ガラスパイプ12の送り速度と無水ガラスロッド11の送り速度とを互いに異ならせることも可能にされている。
上記第1把持部51の下方位置には、上記ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11を加熱する略リング状のヒータ6が配設されている。このヒータ6は、図示省略の加熱炉内に配設されたものであって、上記ガラスパイプ12の外径よりも大きい内径を有していると共に、上記ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11と略同軸となる位置に配設されている。これにより、上記ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11はその軸方向に上記ヒータ6内を通過可能にされている。
この構成によって、上記第1及び第2把持部51,52によってガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11が下方に移動されると、このガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11は上記ヒータ6内をその一端(下端)から順次通過する。これにより、ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11が、その一端から他端に向かって順次加熱される。
尚、このヒータ6を備える加熱炉としては、具体的には、カーボン抵抗加熱炉や高周波誘導加熱炉が例示される。この加熱炉内には、外気に対するシールガスとして、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス等)が流される。
上記ヒータ6の下方位置には、このヒータ6の中心軸を挟んだ両側位置に、それぞれ2つのローラ53,53、…が配設されている。この各ローラ53は、回転可能に構成されていて、上記ヒータ6を通過することによって一体化したガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との一体化物(光ファイバ母材1)を、相対向した二対のローラ53,53,…で挟み込んで、この一体化物を下方に引き取る。この各ローラ53,53の回転速度は変更可能であり、これにより、一体化物のヒータ6からの引き取り速度を調整することが可能である。こうして一体化物のヒータ6からの引き取り速度を調整することにより、この一体化物を延伸して、その外径が所定の径となった光ファイバ母材1にさせる。
また、上記第1把持部51に把持されたガラスパイプ12の上端面には、その上端開口を閉止する閉止キャップ7が取り付けられる。この閉止キャップ7には、図示省略の真空ポンプ及び乾燥用ガス供給装置が接続されている。上記閉止キャップ7は、真空ポンプと乾燥用ガス供給装置とに選択的に接続される。上記閉止キャップ7を真空ポンプ側に接続した状態でこの真空ポンプを駆動させたときには、上記ガラスパイプ12内を減圧することができる。一方、上記閉止キャップ7を乾燥用ガス供給装置側に接続した状態でこの乾燥用ガス供給装置を駆動させたときには、無水ガラスロッド11が内挿されたガラスパイプ12内に乾燥用ガスを供給することができる。本実施形態では、乾燥用ガスとして、加熱炉のシールガスと同じガスを供給する。
次に、この母材製造装置Bによる光ファイバ母材1の製造方法について説明する。
−ガラスパイプ及び無水ガラスロッドのセッティング−
先ず、ガラスパイプ12の上端部分を第1把持部51によって把持し、この第1把持部51によって、上記ガラスパイプ12がヒータ6に対して同軸となるように上記ガラスパイプ12のX,Y方向位置をそれぞれ調整すると共に、上記ガラスパイプ12が鉛直に配設されるように上記ガラスパイプ12の傾きを調整する。
次に、無水ガラスロッド11の上端部分を第2把持部52によって把持し、この第2把持部52によって、上記無水ガラスロッド11がガラスパイプ12に対して同軸となるように上記無水ガラスロッド11のX,Y方向位置をそれぞれ調整すると共に、上記無水ガラスロッド11が鉛直に配設されるように上記無水ガラスロッド11の傾きを調整する。そして、無水ガラスロッド11をガラスパイプ12内に内挿する。
尚、図示は省略するが、ガラスパイプ12の上端に、このガラスパイプ12と同軸となるように補助パイプを取り付け、この補助パイプの上端部分を上記第1把持部51によって把持するようにしてもよい。また、無水ガラスロッド11の上端に、この無水ガラスロッド11と同軸となるように補助ロッドを取り付け、この補助ロッドの上端部分を上記第2把持部52によって把持するようにしてもよい。
−ガラスパイプ及び無水ガラスロッドの乾燥−
上記ガラスパイプ12の上端開口を閉止キャップ7により閉止し、この閉止キャップ7を乾燥用ガス供給装置側に接続する。そして、この乾燥用ガス供給装置を駆動させることにより、ガラスパイプ12内に乾燥用ガスを供給する。このときガラスパイプ12の下端開口は閉止されていないため、乾燥用ガスは、無水ガラスロッド11の外周面とガラスパイプ12の内周面との間の空間16を流れて、ガラスパイプ12の下端開口から排出される。尚、図3はガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との一体化を開始した後の状態を示しているため、ガラスパイプ12の下端開口は図示されていない。こうして、無水ガラスロッド11の外周面とガラスパイプ12の内周面とを乾燥させる。
この乾燥用ガスは、無水ガラスロッド11とガラスパイプ12との間が乾燥するまでガラスパイプ12内に供給すればよい。例えば2時間程度、ガラスパイプ12内に乾燥用ガスを供給すればよい。
−ガラスパイプ及び無水ガラスロッドの一体化−
ガラスパイプ12内に所定時間だけ乾燥用ガスを供給すれば、そのまま乾燥用ガス(加熱炉のシールガス)の供給を継続しつつ、上記第1及び第2把持部51,52をそれぞれ所定の速度で下方に移動させることにより、上記ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11とをヒータ6内に送る。つまり、乾燥用ガスをパージガスとして用い、ガラスパイプ12の下端開口から灰等の異物が、ガラスパイプ12内に流入することを防止する。
上記ガラスパイプ12の下端がヒータ6によって加熱されれば、その下端が縮径し開口が閉塞する。この下端開口が閉塞する直前に、閉止キャップ7を真空ポンプ側に接続し、これにより、ガラスパイプ12内を減圧する。
この状態で、ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11とをヒータ6へ送ることを継続することにより、このガラスパイプ12と無水ガラスロッド11とが、その軸方向に上記ヒータ6内を通過するようになる。これにより、上記ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11とが、その下端から上端に向かって上記ヒータ6により順次加熱され、上記ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11とは、その下端から上端に向かって順次溶融する。このときに、ガラスパイプ12内が減圧されているため、このガラスパイプ12内外の圧力差によって溶融したガラスパイプ12が縮径する。その結果、ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11とが、その長手方向に順次一体化する。
こうして一体化したガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との一体化物は、ローラ53,53,…によって引き取られることで、所定の外径になるまで延伸され、光ファイバ母材1が製造されることになる。
一体化工程において製造した光ファイバ母材1を、線引き装置(図示省略)によって線引きすることにより、光ファイバが製造されることとなる。
このように、本実施形態に係る光ファイバ母材1の製造方法によると、無水ガラス体11’を、ロッド延伸工程において延伸するときに、この無水ガラス体11’を電気炉4により加熱するようにしている。これにより、加熱の際にOH-イオンが発生しないため、この無水ガラス体11’の表面にOH-イオンが混入することがない。
また、無水ガラス体11’を延伸するときの、電気炉4の加熱温度を2100℃〜2300℃に設定することにより、この無水ガラス体11’の外表面部分を昇華させて除去しながら、上記無水ガラス体11’を延伸することができる。これにより、無水ガラス体11’の外表面の傷や異物を除去することもできると共に、スート法により作製された無水ガラス体11’において、OH-イオンの濃度が比較的高濃度となり易い外表面部分を除去することができる。その結果、この無水ガラスロッド11とガラスパイプ12とを一体化させることにより、OH-イオンの濃度の低い光ファイバ母材1、具体的には、コア部11a近傍のOH-イオンの濃度が2ppb以下である大型の光ファイバ母材1を製造することができる。また、ガラスロッド11の表面が滑らかであるから、その外表面部分を研磨・研削等しなくても、気泡が混入していない光ファイバ母材1(具体的には、軸方向長さ1m当りの気泡の数が5以下の光ファイバ母材1)を、容易に製造することができる。
こうして製造した光ファイバ母材1を線引きした光ファイバは、OH-イオンの吸収損失が低いため、波長1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下であって、その波長1385nm帯の損失値が、波長1310nm帯の損失値以下である光ファイバとなる。
このように、無水ガラス体11’を延伸するときに、電気炉4を用いて、無水ガラス体11’の外表面部分を除去しながらこれを延伸するため、ロッド延伸工程において、無水ガラス体の延伸とその表面研磨(研削)とが一度に行われることになり、これにより、低損失の光ファイバを製造し得る光ファイバ母材を、安価に製造することができる。
さらに、無水ガラスロッド11とガラスパイプ12とを一体化させるときには、ロッド11とパイプ12との一体化と同時に、これらを一体化した一体化物を延伸するようにしている。これにより、一体化の最中に、上記無水ガラスロッド11には、その軸方向(Z方向)の張力が付与される。このため、例えばガラスロッド11とガラスパイプ12との一体化のみを行い、その一体化物の延伸を行わない場合には、上記無水ガラスロッド11に径方向の圧縮歪みが発生し、これにより、光ファイバ母材1を線引きした光ファイバにおいては、圧縮歪みに起因する損失(特に長波長側において損失が増大するマイクロベンドによる散乱損失)が発生してしまうが、ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11の一体化と同時に延伸を行うことで、こうした損失の発生が防止される。すなわち、無水ガラスロッド11とガラスパイプ12とを一体化させるときに、無水ガラスロッド11に、軸方向の張力を付与することにより、この無水ガラスロッド11に対する径方向の圧縮歪みが緩和された状態で無水ガラスロッド11とガラスパイプ12とが一体化する。こうして製造された光ファイバ母材1を線引きして光ファイバとしたときには、圧縮歪みに起因する損失増加がなく、OH-イオンによる吸収損失の低下と相俟って、約1200nm〜1600nmの広い波長帯域の全域に亘って低損失の光ファイバが得られる。
また、無水ガラスロッド11とガラスパイプ12とを一体化する前に、ガラスパイプ12内に乾燥用ガスを供給して、無水ガラスロッド11の外周面やガラスパイプ12の内周面を乾燥させる。このことで、このガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との間に水分が残留することがない。これによって、光ファイバ母材1のOH-イオンの濃度にばらつきが生じることが防止され、OH-イオンの濃度が低濃度の光ファイバ母材1を確実に製造することができる。
尚、ガラスパイプ12及び無水ガラスロッド11の乾燥は、このガラスパイプ12と無水ガラスロッド11とを一体化する直前に行うことが好ましい。
尚、この乾燥用ガスとしては、本実施形態では、加熱炉のシールガス(窒素ガスやアルゴンガス)と同じガスとしたが、乾燥用ガスはこれに限らない。無水ガラスロッド11の外周面やガラスパイプ12の内周面を乾燥させることができれば、乾燥用ガスとしてどのようなガスを用いてもよい。乾燥用ガスとしては、水分の少ない、又は水分の無いガスが特に好ましい。例えば乾燥空気は、乾燥用ガスとして好適である。
また、不活性ガスも、加熱炉のシールガスと同じガスとする必要はない。加熱炉のシールガスを乾燥用ガスに流用すれば、製造コストの低減化を図ることができる。
また、乾燥用ガスとしては、脱水に広く用いられる塩素ガスとしてもよい。
尚、上記実施形態では、無水ガラス体11’を延伸する際に、電気炉4により加熱をすることで、OH-イオンの濃度が低い延伸無水ガラスロッド11を得るようにしているが、これに限らず、例えば無水ガラスロッド11をプラズマ火炎により加熱して延伸することでも、OH-イオンの濃度が低い延伸無水ガラスロッド11は得られる。また、酸水素火炎によって加熱・延伸した無水ガラスロッド11の外表面を、プラズマ火炎研磨や、機械的研削により除去することでも、OH-イオンの濃度が低い延伸無水ガラスロッド11は得られる。
(変形例)
上記実施形態では、母材製造装置Bにおいて、ガラスパイプ12の上端開口に閉止キャップ7と取り付ける一方で、上記ガラスパイプ12の下端開口は開放させた状態にして、このガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との一体化を行った。
これとは異なり、上記ガラスパイプ12は、無水ガラスロッド11が内挿された状態でその端部開口を閉止してもよい。
つまり、図5に示すように、無水ガラスロッド11の一端(ガラスパイプ12との一体化を開始する端)には、補助ロッド(管状でもよい)14を互いに同軸に接合し、無水ガラスロッド11の他端(ガラスパイプ12との一体化が終了する端)には、真空ポンプに接続される補助パイプ15を互いに同軸に接合する。補助パイプ15には、その内周面から外周面に向かって径方向に貫通する貫通孔15aを形成して、無水ガラスロッド11をガラスパイプ12に内挿した状態では、上記貫通孔15aがガラスパイプ12内に位置するようにする。
そして、上記ガラスパイプ12の一端(ガラスロッド11との一体化を開始する端)は、酸水素火炎によって加熱することで、ガラスロッド11の外周面に溶着させる。これにより、上記ガラスパイプ12の一端開口を閉止する。一方、上記ガラスパイプ12の他端(ガラスロッド11との一体化が終了する端)は、その周方向の2〜3箇所を酸水素火炎によって加熱することで、内方に突出する突起部12aを形成する。これにより、各突起部12aの先端を上記無水ガラスロッド11の外周面に点付ける。
この状態で、上記補助パイプ15を乾燥用ガス供給装置に接続して、貫通孔15aから乾燥用ガスをガラスパイプ12内に供給する。この乾燥用ガスは、ガラスパイプ12内を一端に向かって軸方向に流れ、閉止された一端部で折り返してガラスパイプ12内を他端に向かって軸方向に流れる。そして、ガラスパイプ12の他端開口から排出される(同図の矢印参照)。こうして、ガラスパイプ12の内周面と無水ガラスロッド11の外周面とを乾燥させて、ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との間に水分が残留することを防止することができる。
そして乾燥が終了すれば、上述したように、母材製造装置Bを用いてガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との一体化を行う。このときには、上記補助パイプ15は真空ポンプに接続し、それによって、ガラスパイプ12内を減圧しながら、ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との一体化を行う。
変形例においては、ガラスパイプ12の端部を加工する際に酸水素火炎を用いるため、水分が発生する上に、加熱されたガラスが冷却する際にその表面に結露が生じる。このため、ガラスパイプ12と無水ガラスロッド11との間に水分が残留し易い。しかしながら、無水ガラスロッド11とガラスパイプ12とを一体化させる前に、無水ガラスロッド11の外周面及びガラスパイプ12の内周面を乾燥させることによって、製造した光ファイバ母材1のOH-イオンの濃度にばらつきが生じることを抑制することができる。
次に、本発明に関して具体的に実施した実施例について、表1を参照しながら説明する。
Figure 0003559276
先ず、実施例1〜10及び比較例1〜10に係る光ファイバ母材を製造した。実施例1〜10に係る光ファイバ母材は、ガラス体作製工程、ロッド延伸工程、乾燥工程及び一体化工程の各工程を経て製造した光ファイバ母材である。この内、実施例1〜5に係る光ファイバ母材は、上記の実施形態に準じて、ガラスパイプの上端開口に閉止キャップと取り付ける一方で、上記ガラスパイプの下端開口は開放させた状態にして、このガラスパイプと無水ガラスロッドとの一体化を行い製造した。一方、実施例6〜10に係る光ファイバ母材は、上記の変形例に準じて、ガラスパイプの端部開口を、無水ガラスロッド11が内挿された状態で閉止した上で、このガラスパイプと無水ガラスロッドとの一体化を行い製造した。
これに対し、比較例1〜10に係る光ファイバ母材は、ガラス体作製工程、ロッド延伸工程及び一体化工程の各工程を経て製造した光ファイバ母材である。つまり、比較例1〜10に係る光ファイバ母材は、乾燥工程を省略して製造されたものである。また、各比較例に係る光ファイバは、上記の変形例に準じて、ガラスパイプの端部開口を、無水ガラスロッド11が内挿された状態で閉止した上で、このガラスパイプと無水ガラスロッドとの一体化を行い製造した。
尚、ガラス体作製工程、ロッド延伸工程及び一体化工程の各工程の条件は、各実施例及び各比較例で互いに同じである。
そして、上記各例の光ファイバ母材を線引きして光ファイバとし、1385nm帯の損失値をそれぞれ測定した。その結果、各実施例の光ファイバは、1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下であって、そのばらつきも小さかった。特に実施例1〜5の光ファイバは、1385nm帯の損失値が0.3dB/km以下と極めて小さくなった。
これに対し、比較例の光ファイバは、損失値のばらつきが比較的大きく、1385nm帯の損失値が0.4dB/kmよりも大きい光ファイバも存在していた。
以上の結果から、一体化工程の前に乾燥工程を行うことで、波長1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下であるシングルモード光ファイバを製造するための光ファイバ母材を、確実に製造し得ることが判る。
以上説明したように、本発明は、無水ガラスロッドとガラスパイプとを一体化させる前に無水ガラスロッドの外周面とガラスパイプの内周面とを乾燥させることで、光ファイバ母材のOH-イオンの濃度がばらつくことを防止することができ、光ファイバ母材の製造、特に波長1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下であるシングルモード光ファイバを製造するための光ファイバ母材の製造等に有用である。
延伸装置の概略構成を示す図である。 延伸装置における電気炉の構成を示す図である。 母材製造装置の概略構成を示す図である。 光ファイバ母材の断面を示す断面図である。 無水ガラスロッドが内挿されたガラスパイプの端部開口を閉止した状態を示す断面図である。 通常の光ファイバの波長損失特性を示す図である。
符号の説明
1 光ファイバ母材
11 無水ガラスロッド
11’ 無水ガラス体
11a コア部
11b クラッド部
12 ガラスパイプ
4 電気炉
A 延伸装置
B 母材製造装置

Claims (7)

  1. 波長1385nm帯の損失値が0.4dB/km以下であるシングルモード光ファイバを製造するための光ファイバ母材の製造方法であって、
    上記光ファイバにおいてコアとなるコア部と、該光ファイバにおいてクラッドの一部となるクラッド部とからなりかつ、OH-イオンの濃度が2ppb以下である無水ガラス体を作製するガラス体作製工程と、
    上記ガラス体作製工程において作製した無水ガラス体を加熱・延伸して無水ガラスロッドとするロッド延伸工程と、
    上記ロッド延伸工程において延伸した無水ガラスロッドをガラスパイプに内挿した状態で、上記無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に乾燥用ガスを流して、上記無水ガラスロッドの外周面とガラスパイプの内周面とを乾燥する乾燥工程と、
    上記乾燥工程後に、上記ガラスパイプ内を減圧しながら、該ガラスパイプ及び無水ガラスロッドの双方を、その一端から他端に向かって軸方向に順次加熱することで上記ガラスパイプと無水ガラスロッドとを順次一体化する一体化工程とを含み、
    上記ロッド延伸工程では、上記無水ガラス体の外表面部分を昇華させて除去しながら、上記無水ガラス体を延伸する
    ことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法において、
    乾燥工程は、無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に、乾燥用ガスとして不活性ガスを流す工程である
    ことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  3. 請求項2に記載の光ファイバ母材の製造方法において、
    不活性ガスは、一体化工程においてガラスパイプ及び無水ガラスロッドを加熱する加熱炉のシールガスである
    ことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  4. 請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法において、
    乾燥工程は、無水ガラスロッドとガラスパイプとの間に、乾燥用ガスとして乾燥空気を流す工程である
    ことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の製造方法により製造された光ファイバ母材であって、
    コア部のOH-イオンの濃度が2ppb以下である
    ことを特徴とする光ファイバ母材。
  6. 請求項5に記載の光ファイバ母材の製造方法において、
    軸方向長さ1m当りの気泡の数が5以下である
    ことを特徴とする光ファイバ母材。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の製造方法により製造された光ファイバ母材を線引きした光ファイバ。
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