JP3558783B2 - 水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水およびその処理方法に係り、特に、クラスターが小さく、しかも、遠赤外線効果を有する水およびその処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、水は飲用のみならず、あらゆる用途に用いられている。なかでも、人体は大部分が水で構成されており、水は人体にとって必要不可欠なものであり、しかも、水のもつ役割は極めて重要なものとなっている。この水の重要性は、他の生命体にとっても同様である。
【0003】
水としては、水道水、自然の湧き水(ミネラルウォーター)、純水等の処理水等が一般的であり、飲用水としては、水道水および自然の湧き水を用いるのが一般的である。この場合、湧き水に関してはそのまま飲用するが、水道水の場合は、カルキ等の処理剤、その他不純物等が混入していることから、浄水器が多く利用されてきている。
【0004】
しかしながら、浄水器の場合は、基本的に、活性炭を用いてカルキや配管の錆び等のにおいを除去したり、特殊フィルタを用いて混入物を除去するものであり、水自体の特性を変更するものではない。
【0005】
ここで、近年、水分子のクラスターが小さい、いわゆるクラスター水を飲用すると、人体の代謝機能が改善されることが知られてきており、クラスターを小さくする手段が各種開発されてきている。
【0006】
このようなクラスター水としては、例えば、高周波還元水、磁気処理水、電子水、酸性アルカリ性電解水等があり、これらはいずれも電気や磁気エネルギーを用いて水分子を振動させて、この振動により水分子のクラスターを下げるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来のクラスターを下げる手段においては、確かに、水分子のクラスターを下げる効果はあるが、人体にとって代謝機能を高めるためには、水が人体に取込まれた場合に、比熱容量や熱伝導率を高めることが重要であり、前記従来のクラスター水では、このような効果はまったく考慮されていないという問題を有している。
【0008】
本発明は前記した点に鑑みなされたもので、クラスターが小さく、遠赤外線効果を有し、遠赤外線を効率よく吸収して熱に変換することができ、しかも、あらゆる液体に対して適用することのできる水およびその処理方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の発明に係る水の処理方法は、水の中に、遠赤外線放射率が0.9以上で、SiO が63%、Al が18.7%、Fe が15%、MnO が0.2%、ZnOが0.03%、CoOが1.07%の組成比率とし、これら混合材料の微粉末の粒径を1μm〜5μmとしたセラミックを、前記水の重量に対して約20%の重量比となるように浸漬し、前記水に対して第1種アースが接続された電極を入れ、この状態で、12時間以上放置することを特徴とするものである。
【0014】
この請求項1の発明によれば、水に対して遠赤外線の放射率が0.9以上で、SiO2 が63%、Al23 が18.7%、Fe23 が15%、MnO2 が0.2%、ZnOが0.03%、CoOが1.07%の組成比率とし、これら混合材料の微粉末の粒径を1μm〜5μmとしたセラミックを、水の重量に対して約20%の重量比となるように浸漬した状態で12時間以上放置することにより、この水がセラミックから効率よく放射される遠赤外線の波長の放射エネルギーすなわち一定波長の振動を受ける。このように処理された水に対して遠赤外線の放射が加わった場合、水の振動数が遠赤外線の波長の振動に変化されていることから、水分子が共振することとなり、遠赤外線を効率よく吸収して熱に変換しやすい水にすることができる
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
本発明に係る水は、一般的な水道水等が(H2 O)15〜20程度のクラスターを有しているのに対して、(H2 O) 5〜 8のクラスターを有するように構成されている。
【0021】
次に、本発明に係る水の処理方法について図1に示すブロック図を参照して説明する。
【0022】
まず、所定の貯留槽を用意し、この貯留槽の内部に水を貯留する。この水は、天然の湧き水であれば理想的であるが、通常の水道水あるいは精製水等いずれの水であってもよい。そして、前記貯留槽の内部にセラミックを、貯留槽に貯留される水の重量に対して10%以上、好ましくは、約20%の重量比となるように浸漬する。これは、セラミックの重量比が多ければ多いほど水の処理時間は短縮することができるものであるが、貯留槽の水の貯留量とその後の処理効率を考えると、20%程度が最も水の回収率が高く、処理効率が高いためである。
【0023】
そして、前記貯留槽の内部の水に対して、例えば、Ag、Pt、Au等からなる電極を入れ、この電極に第1種アースを接続し、この状態で、少なくとも、12時間放置する。
【0024】
前記セラミックは、遠赤外線の放射率および放射量の極めて高いセラミックとされており、このセラミックは、具体的には、SiO (シリカ)、Al (アルミナ)、Fe (酸化鉄)、MnO (二酸化マンガン)、ZnO(酸化亜鉛)、CoO(一酸化コバルト)の各材料を混合して微粉末状に構成した後、焼成することにより多孔質の球状に形成されている。なお、このセラミックの形状は球状に限定されるものではなく、立方体、直方体、多面体、棒状等任意の形状に形成してもよい。
【0025】
前記セラミックの組成は、例えば、SiO2 が50〜70%、Al23 が10〜30%、Fe23 が10〜20%、MnO2 が0.1〜0.3%、ZnOが0.01〜0.05%、CoOが1〜1.2%の範囲となるように構成されている。また、各材料の焼成温度は1000℃〜1200℃とされ、前記混合材料の微粉末の粒径は、1μm〜5μmとされている。これは、粒径が1μm以下であると、焼成が進みすぎることにより、シンタリングを起こして多孔質を形成しなくなってしまい、しかも、多孔質を形成しないことから表面積が少なくなり、遠赤外線の放射率が0.7〜0.8程度しか確保できないためである。また、粒径が5μm以上であると、多孔質の表面積が少なく、遠赤外線の放射率がやはり0.7〜0.8程度しか確保できなくなってしまうためである。このように混合材料の微粉末の粒径を1μm〜5μmとすることにより、遠赤外線の放射率を約0.9以上の高い水準で確保することができ、しかも、このような微粉末材料を焼成することにより、極めて微細な多孔質を形成することができるので、実際の表面積を著しく高めることができ、これによって遠赤外線の放射量を増大させることができるものである。
【0026】
さらに、最も好ましい実施形態として、前記セラミックの組成を、SiO が63%、Al が18.7%、Fe が15%、MnO が0.2%、ZnOが0.03%、CoOが1.07%とし、前記混合材料の微粉末の粒径を3.8μmに形成し、その焼成温度を1080℃として形成する。このようにして形成されたセラミックをフーリエ変換型赤外線分光光度計を用いて測定した結果、波長4〜1000μmの遠赤外線の放射率が平均0.96となり、極めて高い放射率を確保することができた。
【0027】
その後、フィルタを介して不純物を除去した後、熱処理が施され、ビン、ボトル、缶等の容器に充填される。
【0033】
次に、本発明の水と水道水とを加熱した場合の温度上昇率を測定した結果について説明する。
【0034】
これは、周囲に断熱材を巻付けたビーカに500ccの水を入れ、このビーカを出力500Wの電熱ヒータ上に載置して2分間加熱した後、0.1℃の分解能を有する半導体温度計により、ビーカ内の水の水面下3mm位置における温度を測定したものである。この測定を、本発明の水と水道水についてそれぞれ10回ずつ行なった。なお、測定前に、本発明の水および水道水のいずれも室温に放置し、測定開始温度を27℃±0.3℃として測定を行なった。この測定結果を表1に示す。
【0035】
Figure 0003558783
この実験結果によれば、水道水では、平均62.23℃に水温が上昇したのに対し、本発明の水では、平均69.64℃まで水温が上昇し、約7.41℃の温度上昇差が確認された。この温度上昇を熱量に換算すると、本発明の水は、水道水に比較して、約17.4%も多くヒータの熱が伝達されたことがわかる。これは、本発明の水のクラスターが小さいので、ヒータに対して分子が多く接することになることが主な理由であると考えられる。
【0036】
また、次に、本発明の水と水道水とに赤外線を照射した場合の温度上昇率を測定した結果について説明する。
【0037】
図2はこの実験に用いた実験装置を模式的に示したもので、内側底面が1辺が10mmの正方形を有する四角筒状に形成された分光光度計用の光学試験セル1を用いるものであり、この光学試験セル1の一面側に、光源としてのハロゲンランプ2を所定間隔を有するように配設する。前記光学試験セル1とハロゲンランプ2との間に、前記ハロゲンランプ2から発光された光を平行光にするレンズ3を光学試験セル1に対して100mmの距離を有するように配設し、前記光学試験セル1とレンズ3との間に、前記ハロゲンランプ2から照射される光のうち1100nm以下の光線をカットする光学フィルタ4を配設する。この光学フィルタ4により、光学試験セル1には近赤外線および遠赤外線が照射されることになる。さらに、前記光学試験セル1の近傍に、前記レンズ3を介して光源から照射される光を前記光学試験セル1の下方部分にのみ照射させるためのスリット5を配置した。
【0038】
このような装置を用いて、前記光学試験セル1に水を4cc入れ、前記ハロゲンランプ2を点灯させた状態で、21分放置し、その後、0.1℃の分解能を有する半導体温度計により、前記光学試験セル1内の水の水面から4mmの位置における温度を測定した。この測定を、本発明の水と水道水についてそれぞれ10回ずつ行ない、測定中、水の攪拌等は行なわなかった。なお、測定前に、本発明の水および水道水のいずれも室温に放置し、測定開始温度を25.5℃±0.3℃として測定を行なった。この測定結果を次の表2に示す。
【0039】
Figure 0003558783
この実験結果によれば、水道水では、平均28.87℃に水温が上昇したのに対し、本発明の水では、平均29.74℃まで水温が上昇し、約0.87℃の温度上昇差が確認された。これは、本発明の水は遠赤外線の吸収率が高いことから、ハロゲンランプ2からの光が熱線として本発明の水に吸収され、これにより、水道水より温度が高くなったものと考えられる。
【0040】
このような実験結果から、本発明の水は、クラスターが小さく、しかも、遠赤外線効果を有するものであることがわかる。
【0042】
なお、前述の水に対するセラミックの浸漬時間は、水の重量に対するセラミックの重量比が20%の場合の浸漬時間であり、セラミックの重量比が増えれば浸漬時間は短くてもよいし、減少すれば浸漬時間は長くなる。
【0043】
この場合に、水に対するセラミックの浸漬時間を12時間としたのは、前述のヒータ加熱による水の温度上昇実験と同様の実験を、重量比20%のセラミックを浸漬した後、1時間毎に行なうと、図3に示すような結果となり、12時間経過する前は、時間の経過とともに温度上昇が確認されるのに対して、12時間経過した後は、温度上昇にほとんど大きな変化が見られないためである。
【0044】
次に、本発明の水が人体に取込まれた場合の効果について説明する。
【0045】
まず、過酸化脂質に対して本発明の水が与える影響について実験した結果について説明する。
【0046】
図4はこの実験に用いた実験装置を模式的に示したもので、前記赤外線照射による水の温度上昇実験と同様に、分光光度計用の光学試験セル1を用いるものであり、この光学試験セル1の一面側に、光源としてのハロゲンランプ2を所定間隔を有するように配設する。前記光学試験セル1とハロゲンランプ2との間に、前記ハロゲンランプ2から発光された光を平行光にするレンズ3を配設し、前記光学試験セル1の他面側に、受光素子としてのフォトダイオード6を配設する。前記光学試験セル1とフォトダイオード6との間に、光学試験セル1を透過した光を集光させるレンズ7を配設し、前記フォトダイオード6に、フォトダイオード6の測定電圧から前記光学試験セル1を透過する光の強度を測定する測定装置8を接続するようにしたものである。
【0047】
このような装置を用いて、まず、前記光学試験セル1の内部に動物性脂質としてラードを、例えば、60℃程度に加熱して溶融した状態で1cc充填し、過酸化水素水1ccを入れた後、攪拌する。これにより、前記ラードが過酸化脂質に変化され、前記光学試験セル1の内部下方に水が、上方に乳濁した過酸化脂質が位置することとなる。
【0048】
その後、この光学試験セル1を体温と同じ約36℃のお湯に浸してその温度を保持しながら、前記光学試験セル1に対して、本発明の水および通常の水道水を1時間毎に1/30ccずつ滴下し、前記過酸化脂質部分の光の透過率を測定した。なお、本発明の水および水道水を滴下して光の透過率を測定後、光学試験セル1を攪拌することとした。この場合に、過酸化脂質が分解されると、過酸化脂質の色が乳濁色から透明に変化することから、過酸化脂質の分解により光の透過面積が増加することになり、したがって、光の透過率は増加することになり、光の透過率が増加した場合に、過酸化脂質が減少したものとして、この光の透過率から過酸化脂質の減少率を算出した結果を次の表3に示すとともに、その実験結果のグラフを図5に示す。
【0049】
Figure 0003558783
この実験結果によれば、2時間経過時点では両者に差はないが、3時間経過すると、本発明の水を滴下した過酸化脂質が2.8%減少し、4時間経過後には9.9%減少し、さらに、7時間経過で17.9%もの減少が確認された。この間、水道水を滴下した過酸化脂質の方は、まったく変化が見られなかった。
【0050】
これは、本発明の水は、クラスターが小さいので、脂質の細部にまで水が浸透し、しかも、遠赤外線効果を有するため温度伝達が良好となり、脂質が熱により柔らかくなり、還元電位で還元することにより脂質が溶けやすくなるものと考えられる。
【0051】
また、次に、活性酸素に対して本発明の水が与える影響について実験した結果について説明する。
【0052】
本実験においても、前記図4に示すものと同様の実験装置を用い、光学試験セル1に本発明の水を2ml、ヨウドカリウムを3/30ml、デンプンを3/30ml、過酸化水素水1/30mlを入れ、この溶液に対してヨウ素デンプン反応を利用したヨウ素滴定法を行ない、標準液を1/30mlする毎に、光の透過率を測定した。この場合に、一般に、ヨウ素デンプン反応では、紫色を呈する反応が確認されるが、活性酸素が減少すると、紫色の反応色が変化することから、光の透過率が変化することになり、この光の透過率から活性酸素の減少率を算出した結果を次の表4に示すとともに、その実験結果のグラフを図6に示す。
【0053】
Figure 0003558783
この実験結果によれば、標準液を滴下する毎に本発明の水は活性酸素が減少することが確認され、最後には、15%もの減少率が確認された。この間、水道水の方は、まったく変化が見られなかった。
【0054】
これは、本発明の水は、還元電位が低く構成されているので、活性酸素に対して本発明の水の還元電位が作用することになり、活性酸素を安定化することができるものと考えられる。
【0055】
次に、人体の最大酸素摂取量に対して本発明の水が与える影響について実験した結果について説明する。
【0056】
12名の被験者に本発明の水を2ヵ月間摂取してもらい、各人の最大酸素摂取量を測定した結果を次の表5に示す。
【0057】
Figure 0003558783
この実験結果によれば、平均で13.26%の最大酸素摂取量の増加が確認された。これは、本発明の水のクラスターが小さいことから、その水が血液中を循環する場合に、人体の肺の中の毛細血管のすみずみにまで血液が行き渡ることになり、しかも、遠赤外線効果により代謝機能が増大することが、最大酸素摂取量増加の理由と考えられる。
【0058】
したがって、本発明の水は、クラスターが小さく、しかも、遠赤外線効果を有し、さらに、還元電位が低く構成されているので、例えば、人体に取入れられた場合に、吸収が早く、しかも、代謝機能を高めることができ、人体にも調和するものとなる。
【0059】
また、前述の実施形態においては、主として水を飲用として適用する場合について説明したが、本発明の水は、飲用水のみに適用されるものではなく、通常の水が使用される場合のすべてに適用することができ、例えば、ジュース、コーヒー、紅茶、緑茶等の清涼飲料水、酒類、薬品や栄養剤の混入液、さらには、醤油、酢等の液体調味料、化粧水等の化粧品等の水を利用するあらゆる液体について適用することができる。
【0060】
さらに、本発明の水を調理に適用すると、前述の実験からもわかるとおり、水の沸騰時間が短縮され、また、例えば、野菜、肉等の食料品を茹でる場合に、クラスターが小さく、水分子の接触面積が高まり、しかも、水分子の熱伝達が早いので、火の通りがムラがなく、早く茹で上げることができる。
【0062】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、クラスターが小さく、遠赤外線効果を有するので、遠赤外線の放射が加わった場合、水の振動数が遠赤外線の波長の振動に変化されていることから、水分子が共振することとなり、遠赤外線を効率よく吸収して熱に変換しやすい状態となり、その結果、比熱容量や熱伝導率も向上することになり、人体に取込まれた場合に、吸収されやすく、人体内の代謝機能を高めることができ、しかも、あらゆる液体に対して適用することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水処理方法の実施の一形態を示すブロック図
【図2】本発明の水の実験装置を示す概略図
【図3】セラミックの浸漬時間に対する水の温度上昇率との関係を示すグラフ
【図4】本発明の水の他の実験装置を示す概略図
【図5】本発明の水による過酸化脂質の減少率を示すグラフ
【図6】本発明の水による活性酸素の減少率を示すグラフ
【符号の説明】
1 光学試験セル
2 ハロゲンランプ
3,7 レンズ
4 光学フィルタ
5 スリット
6 フォトダイオード
8 測定装置

Claims (1)

  1. 水の中に、遠赤外線放射率が0.9以上で、SiO が63%、Al が18.7%、Fe が15%、MnO が0.2%、ZnOが0.03%、CoOが1.07%の組成比率とし、これら混合材料の微粉末の粒径を1μm〜5μmとしたセラミックを、前記水の重量に対して約20%の重量比となるように浸漬し、前記水に対して第1種アースが接続された電極を入れ、この状態で、12時間以上放置することを特徴とする水の処理方法。
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