JP3558753B2 - フレーム転送優先処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレームリレー交換方式を採用したフレームリレー網における端末間の遅延時間の短縮化技術に関する。ここで、遅延時間とは、フレームリレー網内のある地点(端末、ノード)から他の地点(端末、ノード)までのフレームの転送に要する時間をいう。
【0002】
フレームリレー交換方式は、情報をデータリンク手順(HDLC)のフレームで送受信し、HDLCのアドレス部で宛て先を指定することで、物理回線をフレーム多重するとともに、フレーム単位の交換を実現する交換方式であり、これを採用したフレームリレー網は、例えば米国において新しい情報通信サービスとして提供が開始され、わが国においてもLAN間接続に適した広域網として期待されている。このようなフレームリレー網において、端末間の遅延時間を短縮化する技術が要請されている。
【0003】
【従来の技術】
フレームリレー交換方式は、メッセージ蓄積交換方式であるため、端末間の遅延時間は、フレーム長及びフレームリレー網内の中継ノードの段数に大きく左右される。ここで、端末間の遅延時間とは、発信端末から送信されたフレームが着信端末に受信されるまでに要する時間をいう。
【0004】
端末間に固定的に設定されている論理パス(PVC:Permanent Virtual Circuit)上に存在する各ノードにおいては、順調に疎通している場合であっても、端末間で見た場合にはその遅延時間が大きくなり、着信端末から発信端末に対してフレームの再送要求が発生してフレームの再送が行われる等により、フレームリレー網内のトラヒックが増大し、さらに端末間の遅延時間に悪影響を及ぼすという悪循環に陥る場合がある。
【0005】
この問題を緩和するため、従来は以下のような優先処理方式を採用していた。即ち、端末間に固定的に設定されている各論理パスのそれぞれについて重要度によるランク付けを行い、このランク付けに従って、各ノード毎に該ノードを通過する各論理パスに優先順位を割り付け、その情報を設定・保持する。各ノードにおいては、該ノードに到着したフレームがどの論理パスに属するかを判定し、該論理パスに設定された優先順位毎に配置された送信待ちキュー(行列)に繋げて、優先順位の高い送信待ちキューに繋げられたフレームを優先して交換・転送処理を行う。
【0006】
この場合において、論理パスに対する優先順位の割り付けは、各優先順位に含まれる論理パスの本数を考慮に入れて、優先順位の高いものほど、含まれる論理パスの本数が少なくなるように設定する。そうしないと、高い優先順位が割り付けられた論理パスにトラヒックが集中した場合には、輻輳等によりかえって端末間の遅延時間が増大するからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術によると、以下のような問題があった。即ち、高い優先順位の論理パスが一つのノードに多く集まってしまった場合に、それらの論理パスのトラヒックが上がってしまい、遅延時間がかえって増大する場合がある。
【0008】
また、各論理パスについての優先順位の割り付けが難しく、高い優先順位の論理パスの本数を少なくして余裕をもたせて疎通させても、優先順位の低い論理パスで大幅な遅延や廃棄が発生する場合がある。さらに、優先順位毎に送信待ちキューを配置する必要があり、非効率的である。
【0009】
加えて、一のノードにおいて、転送されてきた各フレームについての中継ノード数は様々であり、ノードの中継数の差によるそこまでに要した実際の遅延時間が考慮されていない。
【0010】
よって、本発明の目的は、フレームの実際の遅延時間を考慮しつつ動的に且つ高効率的に端末間の遅延時間の短縮化を図ることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を図1を参照して簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0012】
複数の端末1a、1b、1c、1dを収容した複数のノード2を物理回線で接続し、固定的に設定された論理パス3a、3bを介してフレームを転送することにより端末間(例えば、端末1aと端末1b又は端末1cと端末1d間)で通信するようにしたフレームリレー網の該ノード2に適用されるフレーム転送優先処理装置である。
【0013】
複数の論理パス3a、3bのそれぞれについて、該論理パス3a、3bを転送されるフレームの発信端末(例えば、端末1a、1cとする)からノード2までの転送に実際に要した時間である実遅延時間を計測する実遅延時間計測手段4と、前記複数の論理パス3a、3bのそれぞれについて、該論理パス3a、3bを転送されるフレームの発信端末1a、1cからノード2までの転送に許容される予め設定された時間である許容遅延時間が記憶された許容遅延時間記憶手段5とを備えている。
【0014】
さらに、前記複数の論理パス3a、3bのそれぞれを転送されるフレームについて、前記実遅延時間と前記許容遅延時間とを比較し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレーム(例えば、論理パス3aを転送されるフレーム)を、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレーム(例えば、論理パス3bを転送されるフレーム)に対して優先的に転送する転送処理手段6を備えている。
【0015】
転送処理手段6は、通常は受信したフレームを受信順に処理・転送する。例えば、端末1aから発信されたフレームについては、実遅延時間計測手段4により端末1aからノード2までの転送に要した時間(実遅延時間)が計測されており、転送処理手段6はこの実遅延時間と許容遅延時間記憶手段5に予め設定された該論理パス3aについての許容遅延時間と比較する。実遅延時間が許容遅延時間より大きい場合には、この論理パス3aについてのフレームは他の論理パス3bについてのフレームに優先して処理・転送される。
【0016】
このように、論理パス3aを転送されるフレームの実遅延時間が大きくなると、他の論理パス3bを転送されるフレームに優先して処理されるから、論理パス3aを転送されるフレームについて端末間(端末1aと端末1b間)の遅延時間が短縮化され、安定的な通信を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2は図1に示した転送処理手段6のより具体的な構成を示すブロック図である。転送処理手段6は、通常送信待ち行列手段11、優先送信待ち行列手段12、送信手段13、優先判定手段14及びフレーム移動手段15を有している。
【0018】
通常送信待ち行列手段11には、受信順に転送すべきフレームが設定される。優先送信待ち行列手段12には、優先的に転送すべきフレームが設定される。送信手段13は、優先送信待ち行列手段12にフレームが設定されている場合には該優先送信待ち行列手段12から、優先送信待ち行列手段12にフレームが設定されていない場合には通常送信待ち行列手段11からフレームを取り出して送信する。
【0019】
優先判定手段14は、複数の論理パスのそれぞれを転送されるフレームについて、前記実遅延時間と前記許容遅延時間とを比較し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを優先送信待ち行列手段12に設定し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームを通常送信待ち行列手段11に設定する。
【0020】
フレーム移動手段15は、優先判定手段14が、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断した場合であって、通常送信待ち行列手段11に、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームと同一の論理パスを転送される他の送信待ちフレームが存在する場合には、優先判定手段14が優先送信待ち行列手段12に前記フレームを設定する前に、通常送信待ち行列手段11の前記他の送信待ちフレームを配列を保存した状態で優先送信待ち行列手段12に移動する。
【0021】
また、これとは逆に、フレーム移動手段は、優先判定手段14が、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断した場合であって、優先送信待ち行列手段12に、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームと同一の論理パスを転送される他の送信待ちフレームが存在する場合には、優先判定手段14が通常送信待ち行列手段11に前記フレームを設定する前に、優先送信待ち行列手段12の前記他の送信待ちフレームを配列を保存した状態で通常送信待ち行列手段11に移動する。
【0022】
図3は図1に示した実遅延時間計測手段4のより具体的な構成を示すブロック図である。実遅延時間計測手段4は、回線実遅延時間計測手段16、ノード内実遅延時間計測手段17、及び実遅延時間蓄積手段18を有している。
【0023】
回線実遅延時間計測手段16は、物理回線の回線速度及び受信したフレームのフレーム長に基づき、回線における遅延時間である回線実遅延時間を算出する。ノード内実遅延時間検出手段17は、フレームの受信時刻及び送信時刻からノード内での遅延時間であるノード内実遅延時間を算出する。
【0024】
実遅延時間蓄積手段18は、転送するフレームに蓄積遅延時間を設定するタイム部が有る場合には、該タイム部に設定されている蓄積遅延時間に前記回線実遅延時間及び前記ノード内実遅延時間を加算して該タイム部に設定する加算処理を行い、転送するフレームに該タイム部が無い場合には、該フレームを該タイム部を有するフレームにフォーマット変換した後に、該加算処理を行う。
【0025】
図4は図1に示した許容遅延時間記憶手段5のより具体的な構成を示すブロック図である。許容遅延時間記憶手段5に予め記憶される許容遅延時間は、最大許容遅延時間19及び通常許容遅延時間20の二種類である。
【0026】
最大許容遅延時間19は、物理回線の回線速度及び最長フレームのフレーム長に基づき算出された回線最大遅延時間に、ノード内でフレームが受信されてから送信まれるまでに通常要する時間であるノード内平均遅延時間を加算した時間であり、一方、通常許容遅延時間20は、物理回線の回線速度及び平均長フレームのフレーム長に基づき算出された回線平均遅延時間に前記ノード内平均遅延時間を加算した時間である。
【0027】
図5は本発明が適用されたフレームリレー網の一例を示す図である。このフレームリレー網は、端末21a、端末21bを含む複数の端末を収容した複数のノード(多重化装置)22a、22b、22c)を物理回線で接続し、複数の固定的に設定された論理パス(PVC:Permanent Virtual Circuit)を介してフレームを転送することにより端末間で通信するようにした通信網である。
【0028】
図6は本発明が適用されたフレームリレー網における各ノードの構成を示す図である。同図において、23はフレーム受信部、24は受信キュー、25はフレームリレー・サポート・ファームウエアのフレームスイッチ部、26aは優先送信待ちキュー(図2の優先送信待ち行列手段12に相当する)、26bは通常送信待ちキュー(図2の通常送信待ち行列手段11に相当する)、27はフレーム送信部(図2の送信手段13に相当する部分を含む)である。
【0029】
端末から送られたフレームはフレーム受信部23により受信され、フレーム受信部23は受信したフレームを受信キュー24にキューイングする(繋ぐ)。フレームスイッチ部25は、PVC種別獲得部28及び優先判定部29を備えている。
【0030】
PVC種別獲得部28は、PVC情報が予め格納されたPVC情報記憶部28a及び回線情報が予め格納された回線情報記憶部28bを有している。PVC情報記憶部28aに格納されたPVC情報は、複数のデータリンクコネクション識別子(DLCI)に対応した論理パス番号(一の論理パスを他の論理パスから識別するためのデータ)及び物理回線番号(一の物理回線を他の物理回線から識別するためのデータ)からなる情報である。回線情報記憶部28bに格納された回線情報は、物理回線番号に対応して該物理回線の回線速度が設定されてなる情報である。
【0031】
優先判定部29は、許容遅延時間が予め格納される許容遅延時間記憶部29a(図1の許容遅延時間記憶手段5に相当する)及びPVC管理テーブルが設定されたPVC管理テーブル記憶部29bを有している。許容遅延時間記憶部29aに格納される許容遅延時間は、図4を参照して説明したように、最大許容遅延時間及び通常許容遅延時間の二種類あり、各論理パス番号に対応して予め決定され格納されている。
【0032】
最大許容遅延時間は、物理回線の回線速度及び最長フレームのフレーム長に基づき算出された回線最大遅延時間に、ノード内でフレームが受信されてから送信まれるまでに通常要する時間であるノード内平均遅延時間を加算した時間である。一方、通常許容遅延時間は、物理回線の回線速度及び平均長フレームのフレーム長に基づき算出された回線平均遅延時間に前記ノード内平均遅延時間を加算した時間である。
【0033】
これらを図5を参照して具体的に説明すると、ある一の論理パスについて、ノード22aの許容遅延時間記憶部29aに設定される最大許容遅延時間は〔Tm1+Tm2〕であり、通常許容遅延時間は〔Tn1+Tm2〕である。ノード22bの許容遅延時間記憶部29aに設定される最大許容遅延時間は〔Tm1+Tm2+Tm3+Tm4〕であり、通常許容遅延時間は〔Tn1+Tm2+Tn3+Tm4〕である。ノード22cの許容遅延時間記憶部29aに設定される最大許容遅延時間は〔Tm1+Tm2+Tm3+Tm4+Tm5+Tm6〕であり、通常許容遅延時間は〔Tn1+Tm2+Tn3+Tm4+Tn5+Tm6〕である。
【0034】
PVC管理テーブル記憶部29bに設定されるPVC管理テーブルについて、図7を参照して説明する。
PVC管理テーブル記憶部29bには、各論理パスのそれぞれについて、優先処理時に使用するPVC優先管理テーブル30a及び通常処理時に使用するPVC通常管理テーブル30bの二種類のテーブルが設定されている。PVC優先管理テーブル30aは、優先送信待ちキュー26aにキューイングされている各送信待ちフレームについての情報が格納されるフレーム格納用バッファ32のアドレスが各論理パス毎に設定されるテーブルであり、PVC通常管理テーブル30bは、通常送信待ちキュー26bにキューイングされている各送信待ちフレームについての情報が格納されるフレーム格納用バッファのアドレスが各論理パス毎に設定されるテーブルである。
【0035】
これらの管理テーブル30a、30bは、リングキュー管理方式を採用しており、入力ポインタ31a及び出力ポインタ31bをフレームのキューイング及びデキューイングに応じて移動することにより、各論理パスについての送信待ちフレームを管理する。
【0036】
フレーム格納用バッファ32に格納される送信待ちフレームについての情報は、該フレームが転送される論理パスの識別子であるPVC情報32a、前に存するフレームの格納位置を示す前格納ポインタ32b、及び後に存するフレームの格納位置を示す次格納ポインタ32c、及びデータ領域32dから構成されている。
【0037】
このように送信待ちの各フレームについて、それぞれ前及び次格納ポインタ32b、32cを設定することにより前後のフレームの配列関係を特定するようにしたのは、配列関係の変更が、フレーム格納用バッファの該当する前及び次格納ポインタ32b、32cを書き換えることのみにより容易且つ効率的に行えるようにするためである。
【0038】
例えば、同図に示されているように、通常送信待ちキュー26bに論理パスPVCcについてのフレーム33a、論理パスPVCaについてのフレーム33b、論理パスPVCbについてのフレーム33c、論理パスPVCaについてのフレーム33dがこの順でキューイングされている場合であって、この通常送信待ちキュー26bから優先送信待ちキュー26aに論理パスPVCaについてのフレームの移動を行う場合には、該当するフレームの前及び次格納ポインタ32b、32cを書き換えて、フレーム33aとフレーム33b及びフレーム33cとフレーム33dのリンクを解除し、フレーム33aとフレーム33cのリンクを設定する。なお、この処理に伴い、論理パスPVCaについてのフレーム33b及び33dは、PVC通常管理テーブル30bによる管理からPVC優先管理テーブル30aによる管理へと変更される。
【0039】
以下、図5における各ノード22a、22b、22cのPVC種別獲得部28及び優先判定部29の処理を、図8〜図10を参照して説明する。なお、ノード22aの処理を中心に説明する。
【0040】
まず、図8において、端末からフレームを受信すると(ST1)、該フレームをフォーマット変換し、受信回線速度と受信フレーム長から回線実遅延時間Tm1′を算出し、フレームのタイム部(time部)に設定するとともに、該フレームの受信時刻を獲得し(ST2)、フレームに設定されているデータリンクコネクション識別子(DLCI)に基づきPVC情報記憶部28aのPVC情報を参照してPVC種別(論理パス番号)を獲得する(ST3)。
【0041】
ここで、ST2におけるフレームのフォーマット変換について説明すると、図11(A)に示されているように、端末からの受信フレームは、開始フラグ34a、データリンクコネクション識別子(DLCI)34b、情報フィールド34c、フラグチェックシーケンス(FCS)34d及び終了フラグ34eから構成されており、これを図11(B)に示されているように、開始フラグ34aとデータリンクコネクション識別子34bの間に、データリンクコネクション識別子34f(データリンクコネション識別子34bをコピーしたもの)及びタイム部(time部)34gを挿入する。
【0042】
このフォーマット変換処理は、発信端末を直接収容したノード22aにおいてのみ行われ、他のノード22b、22cでは行われない。また、着信端末を直接収容したノード22cにおいては、図11(B)に示したようにフォーマット変換されたフレームを、図11(C)に示されているように元のフォーマットに戻す処理が行われる。なお、図11(A)〜(C)に示したフレームのフォーマットは、一例であって、HDLCのフォーマットであれば他のフォーマットでも良い。
【0043】
ST2における回線実遅延時間Tm1′は、受信したフレームのフレーム長を計測して、これと該フレームが送られてきた物理回線の回線速度とを積算することにより算出し、フレームのタイム部に設定されている時間に加算して実遅延時間(この場合は回線実遅延時間Tm1′と等しい)とし、フレームのタイム部に書き込む。
【0044】
次いで、図9を参照する。その後、当該PVC(受信したフレームが転送される論理パス)についての最大許容遅延時間Tm1を許容遅延時間記憶部29aから取り出して、この最大許容遅延時間Tm1と該実遅延時間Tm1′を比較判断する(ST4)。ST4において、実遅延時間Tm1′が最大許容遅延時間Tm1よりも大きい場合には、当該PVCについてのフレームが通常送信待ちキュー(行列)26bにキューイングされているか否かを判断する(ST5)。
【0045】
ST5において、当該PVCについてのフレームが通常送信待ちキュー26bにキューイングされている場合には、PVC通常管理テーブル30bを参照して、通常送信待ちキュー26bにキューイングされている各フレームについてのフレーム格納用バッファ32を獲得し、当該PVCについてのフレームを除外するように、前後のフレームについてのフレーム格納用バッファ32のチェーン情報(前格納ポインタ32b及び次格納ポインタ32c)を変更する(ST6)。
【0046】
次いで、当該PVCについてのPVC通常管理テーブル30b内のフレーム格納用バッファ32を、PVC優先管理テーブル30aへ移動し、PVC通常管理テーブル30bの入出力ポインタ31a、31bをリセットし(ST7)、優先処理送信待ちキュー26aにキューイングする(ST8)。ST5において、当該PVCについてのフレームが通常送信待ちキュー26bにキューイングされていない場合には、ST6及び7を実行せずに、ST8に進む。
【0047】
その後、ST1で受信したフレームが送信されるときに、送信時刻を獲得し、ST2で獲得した受信時刻との差からノード内実遅延時間Tm2を算出し、該フレームのタイム部に加算して(ST9)、この処理を終了する。
【0048】
ST4において、実遅延時間Tm1′が最大許容遅延時間Tm1よりも小さい場合には、図10のST10に進んで、優先処理中か否か、即ち、当該PVCについての現在処理中のフレームの一つ前に受信したフレームが優先送信待ちキュー26aにキューイングされたか否かを判断し、優先処理中である場合には、許容遅延時間記憶部29aから当該PVCについての通常許容遅延時間Tn1を取り出して、この通常許容遅延時間Tn1と該実遅延時間Tm1′を比較判断する(ST11)。
【0049】
ST11において、実遅延時間Tm1′が通常許容遅延時間Tn1よりも大きい場合には、図9のST8に進む。ST11において、実遅延時間Tm1′が通常許容遅延時間Tn1よりも小さい場合には、当該PVCについてのフレームが優先送信待ちキュー(行列)26aにキューイングされているか否かを判断する(ST12)。
【0050】
ST12において、当該PVCについてのフレームが優先送信待ちキュー26aにキューイングされている場合には、PVC優先管理テーブル30aを参照して、優先送信待ちキュー26aにキューイングされている各フレームについてのフレーム格納用バッファ32を獲得し、当該PVCについてのフレームを除外するように、前後のフレームについてのフレーム格納用バッファ32のチェーン情報(前格納ポインタ32b及び次格納ポインタ32c)を変更する(ST13)。
【0051】
次いで、当該PVCについてのPVC優先管理テーブル30a内のフレーム格納用バッファ32を、PVC通常管理テーブル30bへ移動し、PVC優先管理テーブル30aの入出力ポインタ31a、31bをリセットし(ST14)、通常送信待ちキュー26aにキューイングし(ST15)、図9のST9に進む。
【0052】
ST12において、当該PVCについてのフレームが優先送信待ちキュー26aにキューイングされていない場合には、ST13及びST14を実行せずに、ST15に進む。また、ST10において、優先制御中でないと判断した場合には、ST15に進む。
【0053】
本実施の形態によると、各ノード毎に、最大遅延時間と通常遅延時間の二つのパラメータを設定し、実遅延時間と比較しながら、通常処理又は優先処理を行うようにし、一のノードにおける各フレームについての中継ノード数の差によるそこまでに要した時間を考慮して処理するようにしたから、端末間の遅延時間を高効率的に短縮化することができるとともに、安定した疎通を行うことができる。なお、各論理パスについての相対的優先性の設定又は変更は、最大許容遅延時間、通常許容遅延時間を構成するノード内平均遅延時間を優先性を低くする場合には伸長し、優先性を高くする場合には短縮することにより行うことができる。
【0054】
また、フレーム格納用バッファ32のチェーン情報(前及び次格納ポインタ32b、32c)により前後のフレームの配列関係を管理するようにしたから、通常送信待ちキュー26bから優先送信待ちキュー26aへ又は優先送信待ちキュー26aから通常送信待ちキュー26bへのフレームの移動に伴う前後のフレームの配列関係の変更を高速且つ効率的に行うことができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成したので、高効率的に端末間の遅延時間の短縮化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成を示すブロック図である。
【図2】本発明一実施の形態の構成図であって、図1の転送処理手段のより具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明一実施の形態の構成図であって、図1の実遅延時間計測手段のより具体的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明一実施の形態の構成図であって、図1の許容遅延時間記憶手段のより具体的な構成を示すブロック図である。
【図5】本発明一実施の形態のフレームリレー網の構成を示す図である。
【図6】本発明一実施の形態のノードの構成を示す図である。
【図7】本発明一実施の形態のPVC管理テーブル等の構成を示す図である。
【図8】本発明一実施の形態の処理フローチャート(その1)である。
【図9】本発明一実施の形態の処理フローチャート(その2)である。
【図10】本発明一実施の形態の処理フローチャート(その3)である。
【図11】本発明一実施の形態のフレームの構成図であり、(A)は端末からの受信フレームの構成を、(B)はフレームリレー網内のフレームの構成を、(C)は端末への送信フレームの構成を示している。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d 端末
2 ノード
3a、3b 論理パス(PVC)
4 実遅延時間計測手段
5 許容遅延時間記憶手段
6 転送処理手段
Claims (7)
- 複数の端末を収容した複数のノードを物理回線で接続し、複数の固定的に設定された論理パスを介してフレームを転送することにより端末間で通信するようにしたフレームリレー網の該ノードに適用されるフレーム転送優先処理装置であって、
前記複数の論理パスのそれぞれについて、該論理パスを転送されるフレームの発信端末からノードまでの転送に実際に要した時間である実遅延時間を計測する実遅延時間計測手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれについて、該論理パスを転送されるフレームの発信端末からノードまでの転送に許容される予め設定された時間である許容遅延時間が記憶された許容遅延時間記憶手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれを転送されるフレームについて、前記実遅延時間と前記許容遅延時間とを比較し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームに対して優先的に転送する転送処理手段とを備え、
前記転送処理手段は、
優先的に転送すべきフレームが設定される優先送信待ち行列手段と、
通常的に転送すべきフレームが設定される通常送信待ち行列手段と、
前記優先送信待ち行列手段にフレームが設定されている場合には該優先送信待ち行列手段から、前記優先送信待ち行列手段にフレームが設定されていない場合には前記通常送信待ち行列手段からフレームを順次取り出して送信する送信手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれを転送されるフレームについて、前記実遅延時間と前記許容遅延時間とを比較し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを前記優先送信待ち行列手段に設定し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームを、前記通常送信待ち行列手段に設定する優先判定手段と、
前記優先判定手段が、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断した場合であって、前記通常送信待ち行列手段に、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームと同一の論理パスを転送される他の送信待ちフレームが存在する場合には、前記優先判定手段が前記優先送信待ち行列手段に前記フレームを設定する前に、前記通常送信待ち行列手段の前記他の送信待ちフレームを配列を保存した状態で前記優先送信待ち行列手段に移動するフレーム移動手段とを有することを特徴とするフレーム転送優先処理装置。 - 請求項1に記載のフレーム転送優先処理装置において、
前記転送処理手段の前記フレーム移動手段は、
前記優先判定手段が、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断した場合であって、前記優先送信待ち行列手段に、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームと同一の論理パスを転送される他の送信待ちフレームが存在する場合には、前記優先判定手段が前記通常送信待ち行列手段に前記フレームを設定する前に、前記優先送信待ち行列手段の前記他の送信待ちフレームを配列を保存した状態で前記通常送信待ち行列手段に移動するようにしたことを特徴とするフレーム転送優先処理装置。 - 請求項2に記載のフレーム転送優先処理装置において、
前記通常送信待ち行列手段又は前記優先送信待ち行列手段に設定されるフレームについての情報として、該フレームが転送される論理パスの識別子、前に存するフレームの格納位置を示す前格納ポインタ、及び後に存するフレームの格納位置を示す次格納ポインタを設け、
前記フレーム移動手段による前記フレームの移動処理に伴うフレームの減少又は増加時に、該前格納ポインタ及び該次格納ポインタの一方又は双方を書き換えることにより、前後の配列関係を変更するようにしたことを特徴とするフレーム転送優先処理装置。 - 複数の端末を収容した複数のノードを物理回線で接続し、複数の固定的に設定された論理パスを介してフレームを転送することにより端末間で通信する ようにしたフレームリレー網の該ノードに適用されるフレーム転送優先処理装置であって、
前記複数の論理パスのそれぞれについて、該論理パスを転送されるフレームの発信端末からノードまでの転送に実際に要した時間である実遅延時間を計測する実遅延時間計測手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれについて、該論理パスを転送されるフレームの発信端末からノードまでの転送に許容される予め設定された時間である許容遅延時間が記憶された許容遅延時間記憶手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれを転送されるフレームについて、前記実遅延時間と前記許容遅延時間とを比較し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームに対して優先的に転送する転送処理手段とを備え、
前記転送処理手段は、
優先的に転送すべきフレームが設定される優先送信待ち行列手段と、
通常的に転送すべきフレームが設定される通常送信待ち行列手段と、
前記優先送信待ち行列手段にフレームが設定されている場合には該優先送信待ち行列手段から、前記優先送信待ち行列手段にフレームが設定されていない場合には前記通常送信待ち行列手段からフレームを順次取り出して送信する送信手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれを転送されるフレームについて、前記実遅延時間と前記許容遅延時間とを比較し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを前記優先送信待ち行列手段に設定し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームを、前記通常送信待ち行列手段に設定する優先判定手段とを有し、
前記実遅延時間計測手段は、
物理回線の回線速度及び受信したフレームのフレーム長に基づき、回線における遅延時間である回線実遅延時間を算出する回線実遅延時間検出手段と、
フレームの受信時刻及び送信時刻からノード内での遅延時間であるノード内実遅延時間を算出するノード内実遅延時間検出手段と、を有することを特徴とするフレーム転送優先処理装置。 - 請求項4に記載のフレーム転送優先処理装置において、
前記実遅延時間計測手段は、
転送するフレームに蓄積遅延時間を設定するタイム部が有る場合には、該タイム部に設定されている蓄積遅延時間に前記回線実遅延時間及び前記ノード内実遅延時間を加算して該タイム部に設定する加算処理を行い、転送するフレームに該タイム部が無い場合には、該フレームを該タイム部を有するフレームにフォーマット変換した後に、該加算処理を行う実遅延時間蓄積手段を有することを特徴とするフレーム転送優先処理装置。 - 複数の端末を収容した複数のノードを物理回線で接続し、複数の固定的に設定された論理パスを介してフレームを転送することにより端末間で通信するようにしたフレームリレー網の該ノードに適用されるフレーム転送優先処理装置であって、
前記複数の論理パスのそれぞれについて、該論理パスを転送されるフレームの発信端末からノードまでの転送に実際に要した時間である実遅延時間を計測する実遅延時間計測手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれについて、該論理パスを転送されるフレームの発信端末からノードまでの転送に許容される予め設定された時間である許容遅延時間が記憶された許容遅延時間記憶手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれを転送されるフレームについて、前記実遅延時間と前記許容遅延時間とを比較し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームに対して 優先的に転送する転送処理手段とを備え、
前記転送処理手段は、
優先的に転送すべきフレームが設定される優先送信待ち行列手段と、
通常的に転送すべきフレームが設定される通常送信待ち行列手段と、
前記優先送信待ち行列手段にフレームが設定されている場合には該優先送信待ち行列手段から、前記優先送信待ち行列手段にフレームが設定されていない場合には前記通常送信待ち行列手段からフレームを順次取り出して送信する送信手段と、
前記複数の論理パスのそれぞれを転送されるフレームについて、前記実遅延時間と前記許容遅延時間とを比較し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを前記優先送信待ち行列手段に設定し、前記実遅延時間が前記許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームを、前記通常送信待ち行列手段に設定する優先判定手段とを有し、
前記許容遅延時間記憶手段に記憶される許容遅延時間は、
物理回線の回線速度及び最長フレームのフレーム長に基づき算出された回線最大遅延時間に、ノード内でフレームが受信されてから送信されるまでに通常要する時間であるノード内平均遅延時間を加算した時間である最大許容遅延時間、及び物理回線の回線速度及び平均長フレームのフレーム長に基づき算出された回線平均遅延時間に前記ノード内平均遅延時間を加算した時間である通常許容遅延時間の二種類からなることを特徴とするフレーム転送優先処理装置。 - 請求項6に記載のフレーム転送優先処理装置において、
前記転送処理手段の前記優先判定手段は、
前記実遅延時間が前記最大許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを、前記優先送信待ち行列手段に設定し、
前記実遅延時間が前記最大許容遅延時間よりも小さく、前記実遅延時間が前記通常許容遅延時間よりも大きいと判断したフレームを、該フレームと同一の論理パスを直前に転送されたフレームが前記優先送信待ち行列手段に設定された場合には、前記優先送信待ち行列手段に設定し、
前記実遅延時間が前記通常許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームを、該フレームと同一の論理パスを直前に転送されたフレームが前記優先送信待ち行列手段に設定された場合には、前記通常送信待ち行列手段に設定し、
前記実遅延時間が前記最大許容遅延時間よりも小さいと判断したフレームを、該フレームと同一の論理パスを直前に転送されたフレームが前記通常送信待ち行列手段に設定された場合には、前記通常送信待ち行列手段に設定するようにしたことを特徴とするフレーム転送優先処理装置。
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