JP3557731B2 - 射出成形用エチレン系樹脂組成物及び射出成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形用エチレン系樹脂組成物及び射出成形体に関するものである。更に詳しくは、本発明は、射出成形性、耐熱性、強度及び外観を十分に満足し得る水準に維持し、かつ透明性を大きく改良した射出成形用エチレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エチレン−α−オレフィン共重合体は、寸法精度及び光沢に優れる性質を利用し、バンド、電線などの保護カバー、キャップ、パッキン、バケツ、箱などの射出成形品に使用されている。しかしながら、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体は透明性に劣るという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、射出成形性、耐熱性、強度及び外観を十分に満足し得る水準に維持し、かつ透明性を大きく改良した射出成形用エチレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体を提供する点に存するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のうち第一の発明は、下記(A)90〜99.5重量%及び(B)0.5〜10重量%からなる射出成形用エチレン系樹脂組成物に係るものである。
(A):メルトフローレートが1〜100g/10分であり、かつ密度が0.910〜0.950g/cm3 であるエチレン−α−オレフィン共重合体
(B):高密度ポリエチレンにガンマー線を照射線量10〜80キログレイ照射して得られ、かつゲル分率が15重量%以下であるガンマー線照射高密度ポリエチレン
【0005】
また、本発明のうち第二の発明は上記の樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体に係るものである。
【0006】
本発明の(A)は、メルトフローレートが1〜100g/10分であり、かつ密度が0.910〜0.950g/cm3 であるエチレン−α−オレフィン共重合体である。
【0007】
(A)のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などが用いられるが、炭素数3〜10のものが好ましい。なお、これらのα−オレフィンは、その一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0008】
(A)のメルトフローレートは1〜100g/10分、好ましくは2〜70g/10分である。メルトフローレートが過小であると射出成形性に劣り、一方メルトフローレートが過大であると強度に劣る。なお、メルトフローレートは、JIS−K7210に従い、温度190℃、荷重2.16kgで測定した値である。
【0009】
(A)の密度は0.910〜0.950g/cm3 、好ましくは0.910〜0.940g/cm3 である。密度が過小であると耐熱性に劣り、一方密度が過大であると透明性に対する改良効果が不十分となる。
【0010】
(A)は、遷移金属触媒を用い、溶媒の存在下又は不存在下、気−固、液−固又は均一液相下、エチレンとα−オレフィンとを重合させることにより得られる。通常の重合反応条件は、温度30〜300℃、圧力常圧〜3000kg/cm2 である。
【0011】
本発明の(B)は、高密度ポリエチレンにガンマー線を照射線量10〜80キログレイ照射して得られ、かつゲル分率が15重量%以下であるガンマー線照射高密度ポリエチレンである。
【0012】
ガンマー線照射に付される高密度ポリエチレンは、エチレンの単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体である。α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などが用いられるが、炭素数3〜10のものが好ましい。なお、これらのα−オレフィンは、その一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0013】
高密度ポリエチレンの密度は、通常0.942〜0.970g/cm3 、好ましくは0.945〜0.965g/cm3 である。該密度が過小であると透明性に対する改良効果が不十分となる。
【0014】
高密度ポリエチレンは、遷移金属触媒を用い、溶媒の存在下又は不存在下、気−固、液−固又は均一液相下、エチレン又はエチレンとα−オレフィンを重合させることにより得られる。通常の重合反応条件は、温度30〜300℃、圧力常圧〜300kg/cm2 である。
【0015】
本発明の(B)は、上記の高密度ポリエチレンにガンマー線を照射線量10〜80キログレイ、好ましくは15〜70キログレイ照射して得られる。照射線量が過少であると透明性に対する改良効果が不十分となり、一方照射線量が過多であると成形品の表面にスジやブツが発生し、その外観を悪化させる。
【0016】
ガンマー線源としては、通常コバルト60が使用される。ポリエチレンなどのポリオレフィンにガンマー線を照射することにより架橋を行う技術は公知(たとえば、篠原、柏原共著「新物理学進歩シリーズ10 放射線と高分子」槙書店
1968、及び、A.チャルスビー著「放射線と高分子」朝倉書店 1962)であり、本発明においても公知の方法を用いることができる。
【0017】
(B)は、そのゲル分率が15重量%以下、好ましくは10重量%以下である必要がある。ゲル分率が過多であると成形品の表面にスジやブツが発生し、外観に劣る。なお、ゲル分率の測定法は、実施例の項で説明する。
【0018】
本発明においては、(A)と(B)のメルトフローレートの比((A)/(B))が50未満であることが良好な分散性を得る観点から好ましい。該比が過大であると分散性が悪化し、成形品の表面にスジやブツなどが発生し、外観に劣る場合がある。なお、メルトフローレートは、温度190℃、荷重2.16kgで測定される。
【0019】
本発明の樹脂組成物は、(A)90〜99.5重量%及び(B)0.5〜10重量%からなり、好ましくは(A)92〜99.5重量%及び(B)0.5〜8重量%からなる。(A)が過少(すなわち、(B)が過多)であると強度に劣る。一方、(A)が過多(すなわち、(B)が過少)であると透明性の改良効果が不十分となる。なお、樹脂組成物には、必須成分である(A)及び(B)に加えて、適宜使用し得る成分として、中和剤、分散剤、酸化防止剤、滑剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、顔料、フィラーなどを含有させてもよい。
【0020】
樹脂組成物を得るためのブレンド方法としては、通常の混合操作、たとえばタンブラーブレンダー法、ヘンシェルミキサー法、バンバリーミキサー法、押出造粒法などをあげることができる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、射出成形性、耐熱性、強度及び外観を十分に満足し得る水準に維持し、かつ透明性を大きく改良したものであり、射出成形用途に最適に使用し得る。
【0022】
射出成形の方法としては、特に制限はなく、シリンダー内で樹脂組成物を溶融可塑化し、金型内に射出、冷却することにより成形される成形法であればどのような成形法でもよい。可塑化方式はプランジャー式及びインラインスクリュー式のいずれでもよく、型締め方式としては直圧式、トグル式、ウエッジ式及びそれらの複合型のいずれでもよい。通常のスプルーランナーシステムの他にホットランナーシステム、ランナレスシステムといった特殊なシステムを用いてもよい。ゲートは一点式、多点式、スリット状のものでもよく、又、ピンポイントノズルを用いて成形してもよい。製品形状からは、大型成形、小型成形、原肉成形、薄肉成形いずれでもよい。また、多色成形、サンドイッチ成形、ガスアシスト射出成形といった特殊な成形法を用いてもよい。更に、予め金属など他の材質、ラベルや装触材を金型内にセットしておいて成形するインモールド成形やインサート成形、射出成形後、連続的にブロー成形を行なうインジェクションブロー成形、射出時あるいは射出完了後に金型を移動、圧縮するいわゆるプレスモールド法により成形してもよい。
【0023】
本発明の射出成形品の具体例としては、束ねバンド、電線などの保護カバー、ヒンジ付キャップ、プルタブ付キャップ、ノズルキャップなどのキャップ、シール蓋、パッキン、バケツ、箱などをあげることができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1〜7及び比較例1〜7
表1〜2に示す成分を30mm径のスクリューを有する押出機にて200℃で造粒し、評価を行なった。結果を表1〜2に示した。
【0025】
測定・評価方法は次の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS−K7210に従い、温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
(2)密度
150℃で厚さ1mmにプレス成形したシートを使用し、JIS−K6760により測定した。
(3)ゲル分率
測定試料を100メッシュの網篭に入れ、その状態で沸騰キシレン中に投入し、6時間還流操作を行った。網篭中に残存したゲルは風乾した後、真空乾燥させた。そして抽出したゲルの重量を測定し、以下の式に基づきゲル分率(重量%)を算出した。
ゲル分率=(ゲル重量/全試料重量)×100
(4)Haze(透明性)
射出成形機(東芝機械社製 商品名「IS−100EN」)を使用し、射出圧力800kg/cm2 、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、成形サイクル40秒の条件下、15cm角×1.5cm厚さの射出成形品を得た。該成形品について、ASTM D1003に準拠してHazeを測定した。
(5)表面外観
Haze測定用に得た射出成形品について、その表面のブツの存在について目視観察し、○(ブツやスジがなく、表面外観に優れる。)と×(ブツやスジがあり、表面外観に劣る。)で評価した。
【0026】
結果から次のことがわかる。本発明の条件を充足するすべての実施例は、すべての評価項目において満足すべき結果を示している。一方、(B)を用いなかった比較例1〜3及び6は透明性に劣る。また、ゲル分率が過多の(B)を用いた比較例4及び5は表面外観に劣る。更に、密度が過大な(A)を用いた比較例7は透明性に劣る。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
*1 (A)の種類
A1:エチレン−ブテン−1共重合体(ブテン−1含量=7重量%)
A2:エチレン−ブテン−1共重合体(ブテン−1含量=3重量%)
A3:エチレン−ヘキセン−1共重合体(ヘキセン−1含量=10重量%)
A4:高密度ポリエチレン(丸善ポリマー社製 ケミレッツ−HD 2050)*2 (B)の高密度ポリエチレンの種類
B1:旭化成工業社製 サンテック J300
B2:丸善ポリマー社製 ケミレッツ−HD 1070
*3 γ線(ガンマー線)の照射方法:コバルト60のガンマー線照射室内において、照射する高密度ポリエチレンペレットの荷姿が25kgの紙袋に対し、室温、空気雰囲気下で照射した。照射量の単位「kGy」はキログレイを意味する。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、射出成形性、耐熱性、強度及び外観を十分に満足し得る水準に維持し、かつ透明性を大きく改良した射出成形用エチレン系樹脂組成物及び該樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体を提供することができた。
Claims (2)
- 下記(A)90〜99.5重量%及び(B)0.5〜10重量%からなる射出成形用エチレン系樹脂組成物。
(A):メルトフローレートが1〜100g/10分であり、かつ密度が0.910〜0.950g/cm3 であるエチレン−α−オレフィン共重合体
(B):高密度ポリエチレンにガンマー線を照射線量10〜80キログレイ照射して得られ、かつゲル分率が15重量%以下であるガンマー線照射高密度ポリエチレン - 請求項1記載の樹脂組成物を射出成形して得られる射出成形体。
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