JP3557410B2 - クラッカー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引紐の引張り操作によって爆薬が爆発し、この爆発によって軽量の紙テープ等の被放出物が空中に放出されるクラッカーの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のクラッカーは、一般に、図5に示すように、筒状体1の内部に、爆薬3の爆風を受けて発射し、紙片や小巻きテープ等被放出物9に衝突して該被放出物9を放出口2から飛ばすための足付きパンと俗称される紙製の足付き受圧板20、あるいは丸パンと称される円板状の受圧板が配備されている(例えば、実開昭60−189796号公報)。
また、この種のクラッカーの受圧体21が、図7に示すように、発泡プラスチック製の円柱体からなるものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、足付き受圧板20を備えた上記クラッカーでは、足付き受圧板20は、本来、図6に実線で示すように、その円板部20aが筒状体1の軸線Xと直交する状態に保持されるべきものであるが、足部片20bが円板部20aに対し鈍角又は鋭角に変位し易い。このため、実際に、この足付き受圧板20を筒状体1に組み込むとき足部片20bが筒状体1の内面に対し部分的に摺接することにより円板部20aに対し鈍角又は鋭角に変位し、組み込み後に必ずしも円板部20aが筒状体1の軸線Xと直交する状態に保持されているものとは限られず、図6に仮想線で示すごとく円板部20aが軸線Xに対し斜めになっていることがよくある。かかる斜めの状態で受圧板20がそのまま爆薬3の爆風を受けて筒状体1内を移動した場合は、多量の被放出物9の飛距離を十分に出すことができない。
【0004】
これに対し、円柱状の受圧体21を備えた後者のクラッカーによれば、前者の足付き受圧板20により生じる上記のような不具合はなく、筒状体1の軸線に沿って真っ直ぐにかつ安定よく移動できるため、被放出物9をできる限り遠方にまで飛ばすことができる。
しかし、円柱状の受圧体21の材料には、一般に、発泡スチロール樹脂がよく使用されているが、この受圧体21は爆薬3の爆発片や爆熱で変形したり、破損、損傷したりし、これにより被放出物9に爆発力を有効に伝えられず、多量の被放出物9を十分に飛ばす力を低下、喪失することがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、爆薬の爆発エネルギーを直接受ける平板状の受圧板を筒状体の軸線に沿って真っ直ぐにかつ安定よく平行移動できるようにし、もって多量の被放出物をできる限り遠方にまで飛ばすことのできるクラッカーを提供することにある。また、本発明の目的は、受圧板と併用され、受圧板により押されるまま発射し被放出物に衝突して該被放出物を飛ばすための送り体を、爆薬の爆発片や爆熱から防護できるクラッカーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前端に放出口を有する筒状体の内部に、後方から前方に向かって順に爆薬受座、引紐の引張り操作で爆発する爆薬、この爆薬の爆発エネルギーを受けて前記放出口の方向へ発射される平板状の受圧板、この受圧板の衝突を受けて前記放出口の方向へ飛ばされる被放出物を備えているクラッカーにおいて、
前記受圧板は前記筒状体に圧入されて該受圧板の外周が前記筒状体の内面に圧接係合されており、かつ、前記筒状体は少なくとも前記受圧板の圧接係合する前方付近の勾配を0.2〜5°に設定して前方に向かって漸次拡開するテーパー状に形成されているとともに、該受圧板と前記被放出物との間には、前記受圧板の板厚よりも大きい厚みを有して該受圧板により押されるまま発射し前記被放出物に衝突して該被放出物を前方へ飛ばすための送り体が配備されていることに特徴を有するものである。
【0007】
この場合において、前記送り体は、前記筒状体に圧入させて該筒状体の内面に圧接係合させるか、あるいは非圧接状態に収容することができる。さらに、前記受圧板は前記送り体よりも爆発衝撃に耐え得る材料で形成することができる。
【0008】
【作用】
上記構成のクラッカーによれば、受圧板は筒状体に圧入されて該筒状体の内面に圧接係合しているので、この受圧板は筒状体の軸線と直交する状態に確実に保持することができる。したがって、受圧板は筒状体の軸線に沿って真っ直ぐにかつ安定よく移動できて多量の被放出物を送り体を介してできる限り遠方にまで飛ばすことができる。また、筒状体に圧入されて該筒状体の内面に圧接係合している受圧板は、爆薬の爆風圧を筒状体の内面との間から漏らすようなことがないため、受圧効率が高められ、送り体に爆発力を有効に伝え、発射効率を上げることができる。
【0009】
受圧板と被放出物との間には、受圧板により押されるまま被放出物を前方へ飛ばすための送り体を配備されるが、この送り体は爆薬の爆発片や爆熱により変形や破損、損傷を加えられるのを受圧板で防止されるため、送り体は被放出物に爆発力を有効に伝えることができて被放出物を飛ばす作用を確実に発揮する。また、送り体は受圧板が筒状体の内部で斜めに倒れるのを防止し、受圧板が筒状体の軸線と直交する姿勢保持をより確実にする。
【0010】
筒状体は少なくとも受圧板の圧接係合する前方付近の勾配を0.2〜5°に設定して前方に向かって漸次拡開するテーパー状に形成されているため、この筒状体の内部で受圧板が、当初、圧接係合していても、爆薬の爆発力を受けて一旦筒状体内面との係合を解いて前方へ少し移動した瞬間から筒状体内面との間に隙間を生じるため摩擦抵抗なく初速のまま速やかに前方に発射し、被放出物に送り体を介してぶつかって該被放出物を放出口から勢いよく飛ばし放出する。このように爆発時に受圧板は筒状体内面との摩擦抵抗を持続することなく飛ばされるので、爆薬量が少ない場合でも爆発力を十分に生かすことができる。
【0011】
送り体は筒状体の内面に圧接係合させておくと、受圧板の姿勢保持機能をより確実に果たすことになる。送り体が筒状体の前記テーパー内面に圧接係合する場合も、爆薬の爆発に伴って一旦筒状体内面との係合を解いた瞬間から筒状体内面との間に隙間を生じるため摩擦抵抗なく速やかに前方に発射することになる。
受圧板は送り体よりも爆発衝撃に耐え得る材料で形成しておくと、送り体を爆薬の爆片や爆熱から十分に防護することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例を示すクラッカーの断面図、図2、図3はいずれも他の実施例を示すクラッカーの断面図である。
【0013】
本発明に係るクラッカーは、図1に示すように、プラスチック、厚紙などで筒状体1を後方から前方に至るまで漸次拡開する円錐又は角錐のテーパー筒状又はラッパ状に形成し、前端に放出口2を形成する。そのテーパーの勾配は、0.2〜5°、より好ましくは0.5〜3°に設定する。筒状体1の内部後端は円錐形に形成して、引玉と称される爆薬3を受止め支持するための爆薬受座4を一体に設け、爆薬3に通された引紐5を通す引紐通し穴6を爆薬受座4に形成している。爆薬受座4は筒状体1とは別体に断面U形状(図7参照)、V形状等に形成し、これを筒状体1の内部の後端部にはめ込み固定することもできる。
【0014】
筒状体1内の爆薬3の前方には、送り体7と受圧板8とを前後にして収容配備する。受圧板8は厚紙やプラスチック等の材料で平板状に形成されるが、筒状体1内の爆薬3より所定間隔を置いた所定位置の内径よりも少し大きい径に形成され、筒状体1の前方から圧入されて前記所定位置の内面に受圧板8の外周が圧接係合される。受圧板8は筒状体1の内面に対し圧接係合されて筒状体1の軸線Xと直交する姿勢に保持される。
【0015】
送り体7は、発泡プラスチック、非発泡プラスチック、コルク、木材、パルプ材等の材料からなって受圧板8の板厚よりも数倍の厚さ(例えば、10mm前後)を有する円柱もしくは角柱状に形成されて、この外周を筒状体1の内面に圧接係合させるか、非圧接状態に収容される。送り体7は、中実状の円柱もしくは角柱状に形成する以外に、図2に示すごとき平板状のヘッド部7a及びスカート部7bを有する断面凹形状である中空状の円柱もしくは角柱状に形成することもできる。送り体7の材料が、例えば発泡プラスチックである場合、受圧板8はそれよりも爆発衝撃に耐え得る材料、例えば硬い厚紙や非発泡プラスチック等で形成される。なお、受圧板8と送り体7は、互いに接着、粘着、又は融着してもよいし、あるいは予め接着、粘着又は融着したものを使用してもよい。
【0016】
筒状体1内における送り体7と放出口2との間には、紙片や小巻テープ等の被放出物9が収容される。図示例では筒状体1の放出口2は、筒状体1とは別体に形成された前蓋10を放出口2内に緩く係合させて塞いでいるが、筒状体1が紙製の場合、筒状体1の前端又は筒状体1の外装紙にフラップ状の前蓋を一体に折曲自在に連設し、これを放出口2を塞ぐように折り込むこともできる(図5、図7参照)。
【0017】
上記実施例では筒状体1が後方から前方に至るまで漸次拡開するテーパー筒状に形成されているが、図3に示すように、筒状体1は受圧板8の圧接係合する箇所から或る距離だけ前方に向かって漸次拡開するテーパー状部1aを形成し、このテーパー状部1aの前端から前方部分1bは平行な筒状に形成するものであってもよい。また、筒状体1は受圧板8の圧接係合する箇所から爆薬受座4までの間の後方部1cは、図3に示すごとく平行筒状に形成するものであってもよい。
【0018】
上記構成のクラッカーにおいて、引紐通穴6から導出する引紐5を後方へ引っ張って爆薬3を爆発させると、受圧板8がこの爆薬の爆発エネルギーを受けて放出口2の方向へ発射し、送り体7が受圧板8により押されるまま被放出物9に衝突し、この衝突作用により被放出物9が前蓋10を押し出して放出口2を開放するや否や空中に飛ばされる。
【0019】
その際、受圧板8は発射前においては筒状体1の内面に対し軸線Xと直交する姿勢を確保するようにその外周を圧接係合しているので、この受圧板8は爆薬3の爆風を受けて発射するときは筒状体1の軸線Xに沿って真っ直ぐにかつ安定よく平行移動して、多量の被放出物9を送り体7を介してできる限り遠方にまで飛ばす。また、筒状体1に圧入されて該筒状体1の内面に圧接係合している受圧板8は、爆薬3の爆風圧を筒状体1の内面との間で漏らすようなことがないため、爆風圧を効率よく受けて飛ばされる。
【0020】
受圧板8により送り体7が爆薬3の爆発片や爆熱で変形したり、破損、損傷したりするのを防止されるため、送り体7は被放出物9を前方へ飛ばす機能を安定確実に発揮する。また送り体7は、受圧板8が筒状体1の内部で斜めに倒れるのを防止するため、受圧板8が筒状体1の軸線Xと直交する姿勢を確実に保持する機能をも発揮する。
【0021】
筒状体1は少なくとも受圧板8の圧接係合する前方付近が前方に向かって漸次拡開する前記のテーパー状に形成してあるので、この筒状体1の内部で受圧板8は、当初、圧接係合していても、爆薬3の爆発に伴って一旦筒状体1内面との係合を解いた瞬間から筒状体1内面との間に隙間を生じるため摩擦抵抗なく初速のまま速やかに前方に発射し、被放出物9に送り体7を介してぶつかって被放出物9を放出口2から遠くへ飛ばすことができる。
【0022】
送り体7はテーパー筒状体1に圧入されて該筒状体1の内面に圧接係合していると、受圧板8の姿勢保持機能をより確実に果たすことになる。このように送り体7がテーパー状の筒状体1の内面に圧接係合していても、受圧板8の場合と同様に、爆薬3の爆発に伴って一旦筒状体1内面との係合を解いた瞬間から筒状体1内面との間に隙間を生じるため摩擦抵抗なく速やかに前方に発射することになる。
【0023】
本発明は、筒状体1が、図4に示すように、後方から前方に至るまで同一径の平行な円筒状、または角筒状に形成されるものにも適用できる。この場合、受圧板8は筒状体1に圧入されて該筒状体1の内面に圧接係合することは上記実施例の場合と同様であるが、送り体7は筒状体1の内面に対し非圧接状態にして筒状体1内を摩擦抵抗なく円滑に移動できるようにする。受圧板8は、送り体7の厚みよりも薄く平板状に形成されて受圧板8の内面に対し線接触状態にあるので、筒状体1内を比較的摩擦抵抗少なく平行移動できるからである。
【0024】
上記構成のクラッカーは単筒式のものに限られず、複数個一体的にセットした複筒式のものにも同様に適用できる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、筒状体の内面に対し圧接係合されている受圧板は、筒状体の軸線と直交する姿勢に確実に保持されると共に、爆風圧を筒状体内面との間から逃がすことなく効率よく受けて送り体に有効に伝えるため、爆薬の爆発に伴って受圧板及び送り体により多量の被放出物もできる限り遠方にまで飛ばして放出することができる。しかも、受圧板により送り体を爆薬の爆発片や爆熱からよく防護できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すクラッカーの断面図である。
【図2】他の実施例を示す断面図である。
【図3】更に他の実施例を示す断面図である。
【図4】更に又、他の実施例を示す断面図である。
【図5】従来例のクラッカーの断面図である。
【図6】図5のクラッカーの受圧板の不具合な状態を示す断面図である。
【図7】他の従来例のクラッカーの断面図である。
【符号の説明】
1 筒状体
2 放出口
3 爆薬
4 爆薬受座
5 引紐
7 送り体
8 受圧板
9 被放出物
10 前蓋
Claims (4)
- 前端に放出口を有する筒状体の内部に、後方から前方に向かって順に爆薬受座、引紐の引張り操作で爆発する爆薬、この爆薬の爆発エネルギーを受けて前記放出口の方向へ発射される平板状の受圧板、この受圧板の衝突を受けて前記放出口の方向へ飛ばされる被放出物を備えているクラッカーにおいて、
前記受圧板は前記筒状体に圧入されて該受圧板の外周が前記筒状体の内面に圧接係合されており、かつ、前記筒状体は少なくとも前記受圧板の圧接係合する前方付近の勾配を0.2〜5°に設定して前方に向かって漸次拡開するテーパー状に形成されているとともに、該受圧板と前記被放出物との間には、前記受圧板の板厚よりも大きい厚みを有して該受圧板により押されるまま発射し前記被放出物に衝突して該被放出物を前方へ飛ばすための送り体が配備されていることを特徴とする、クラッカー。 - 前記送り体が前記筒状体に圧入されて該筒状体の内面に圧接係合している、請求項1記載のクラッカー。
- 前記送り体が前記筒状体の内面に対し非圧接状態にある、請求項1又は2記載のクラッカー。
- 前記受圧板が前記送り体よりも爆発衝撃に耐え得る材料で形成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載のクラッカー。
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JP2001329386A JP3557410B2 (ja) | 2001-10-26 | 2001-10-26 | クラッカー |
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JP2001329386A Expired - Lifetime JP3557410B2 (ja) | 2001-10-26 | 2001-10-26 | クラッカー |
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-
2001
- 2001-10-26 JP JP2001329386A patent/JP3557410B2/ja not_active Expired - Lifetime
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