JP3556927B2 - 印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機の各操作対象の作動量を最適なものに自動設定する、印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷機において、インキキー開度,湿し水量,給排紙部の調整量等は、印刷物の品質を直接左右する重要な操作量であり、これらの操作量は印刷条件(インキ種,紙種,絵柄面積率等)に応じてジョブ毎に適宜調整する必要がある。従来、これらの操作量の調整は、印刷機を操作するオペレータの熟練に頼るところが大きかった。
【0003】
しかしながら、このように操作量の調整をオペレータの熟練に頼る場合、オペレータの熟練度の差に応じて印刷物の品質に差が生じてしまう虞がある。また、通常、良好な品質の印刷物(以下、OKシートという)が得られるまでには試印刷を繰り返し行うが、熟練していないオペレータの場合にはOKシートが得られるまでに多くの試印刷を要し、多量の損紙を発生させてしまう虞がある。このため、かつてから、オペレータの熟練に頼ることなく操作量を印刷条件に応じて正確に且つ容易に調整できるようにして印刷機を容易に運転できるようにしたシステムの開発が望まれていた。
【0004】
このような技術としては、例えば特開平11−342597号公報に、印刷機の各種操作量を、エキスパートシステムに記憶された操作メディア間の相互作用に関する情報に基づき自動制御するようにした、印刷機の運転支援システムが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、印刷機の運転においては、制御目的(例えば定常状態における運転の安定化や印刷機の早期立ち上げ等)に応じて、印刷機の多数ある操作対象の中から適切なものを選択して制御することが、制御目的を早期に達成するに当たって極めて重要である。また、1つの制御目的を達成するために複数の操作対象を制御しなければならない場合、これらの操作量が互いに影響を及ぼしあうため、トータルとして最適な操作量を設定することが重要である。
【0006】
しかしながら、上記公報には、このような点も含め具体的な印刷機の制御方法に関する具体的な情報の開示が極めて少ないため、この公報に基づき、安定して印刷機の運転支援を実施するのは困難である。
また、上記公報には、実際に検出したn次元空間上の多数の離散的な参照点を補間してこれに基づきカラー制御及び濃度制御を行なうとの記載がある。これは、操作メディア間の相互作用に関する各種実運転情報がエキスパートシステムに蓄積されるとともにこの実運転情報に基づき各種制御特性が推定され、さらにこの各種制御特性に基づき印刷機の各種操作量が設定されるものと読みとれる。
【0007】
しかしながら、実運転情報は、測定誤差や現実的に考慮しえない各種条件の影響等により誤差を有しており、このような誤差を有する多数のデータ群の中から信頼性の高い制御特性を推定することが、安定して印刷機の運転支援を実施する上で極めて重要なポイントとなるが、上記公報にはこのような点に関し何ら情報が開示されていない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、印刷機の運転支援を確実且つ安定して行なえるようにした、印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、印刷機の印刷条件,印刷物の印刷品質情報及び該印刷機の機械情報に基づいて該印刷機の各操作対象の各種操作量を自動設定し、該各種操作量設定値を、該印刷機の各操作対象の作動を制御する印刷機制御装置に出力する、印刷機の運転支援装置であって、該印刷条件,該印刷品質情報及び該機械情報が相互に関連付けられて一組のデータ組として記憶され蓄積される情報蓄積手段と、制御モードに応じて排除すべき排除因子を設定し、該排除因子の排除に有効な該印刷機の複数の操作対象を操作グループとして割り付ける操作グループ割付手段と、該情報蓄積手段に蓄積された多数組の該データ組の中から、現状の所定の印刷条件と略一致する印刷条件下のデータ組を収集する情報収集手段と、排除因子の有無を確認するための所定の印刷品質情報である評価パラメータと該操作グループとして選択された該操作対象とを座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、該操作グループとして選択された該操作対象の操作量特性線として設定し、該排除因子を排除すべく、該操作量特性線に基づいて該操作対象の操作量を設定することを、該排除因子毎に行なう、操作量設定手段とをそなえて構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、請求項1記載の印刷機の運転支援装置において、該操作グループ割付手段は、該操作グループをなす上記の複数の操作対象に対して、該排除因子の排除に効果の高い順に優先順位を設定し、該操作量設定手段は、該操作対象のそれぞれに対して標準操作範囲を設定し、該優先順位の高い操作対象から、該操作量特性線に基づいて該標準操作範囲内で操作量を設定し、該操作量の設定だけでは該排除因子を排除できない場合には、次に優先順位の高い操作対象に対して該操作量特性線に基づいて該標準操作範囲内で操作量を設定することを特徴している。
【0011】
請求項3記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、請求項2記載の印刷機の運転支援装置において、該操作グループ内の1つの操作対象の操作量を該標準操作範囲内で操作するだけでは該排除因子を排除できないために該操作グループの内の複数の操作対象の操作量が同時に設定される場合には、該同時に設定される操作対象の操作変化量の合計が最小となるように、該操作量を設定することを特徴としている。
【0012】
請求項4記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、請求項1〜3の何れか一項に記載の印刷機の運転支援装置において、該情報収集手段は、該情報蓄積手段に蓄積された多数組の該データ組の中から、印刷シート1枚を印刷するのに消費されるインキ量に相関する特定の印刷条件が、現状の絵柄における上記の特定の印刷条件と略一致することを条件の一つとしてデータ組を収集することを特徴としている。
請求項5記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、請求項1記載の印刷機の運転支援装置において、該操作グループ割付手段は、該制御モードが、定常運転下における品質の安定化を目的とするモードである場合には、該排除因子として網点変動を設定するとともに、該網点変動についての操作グループにインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の4つの操作対象を割り付け、該操作量設定手段は、該排除因子として該網点変動が設定された場合には、評価パラメータとしてドット径を設定して、該ドット径と上記の操作グループに割り付けられたインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の内の少なくとも1つの操作対象とをそれぞれ座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、上記の少なくとも1つの操作対象における該網点変動についての操作量特性線として設定し、該網点変動を排除すべく、該操作量特性線に基づいて、上記の少なくとも1つの操作対象における操作量を設定することを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の本発明の印刷機の運転支援システムは、印刷機に対して印刷条件を出力する印刷条件出力装置と、印刷物の印刷品質情報を検出する印刷品質検出装置と、該印刷機の機械情報を検出する機械情報検出装置と、該印刷機の種々の各操作対象の作動を制御する印刷機制御装置と、請求項1〜5の何れか一項に記載の運転支援装置とをそなえて構成され、該情報蓄積手段が、該印刷条件出力装置からの該印刷条件、該印刷品質検出装置からの該印刷品質情報及び該機械情報検出装置からの該機械情報を相互に関連付けて一組のデータ組として記憶し蓄積することを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の本発明の印刷機の運転支援方法は、印刷機の各操作対象の作動量を最適なものに自動設定する印刷機の運転支援方法において、制御モードに応じて排除すべき排除因子を設定し、該排除因子の排除に有効な該印刷機の複数の操作対象を操作グループとして割り付ける第1のステップと、それぞれ印刷条件,印刷品質情報及び機械情報が相互に関連づけられた多数組のデータ組の中から、現状の所定の印刷条件と略一致する印刷条件下のデータ組を収集する第2のステップと、排除因子の有無を確認するための所定の印刷品質情報である評価パラメータと該操作グループとして選択された該操作対象とを座標軸とする座標上に、該収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、該操作グループとして選択された該操作対象の操作量特性線として設定し、該排除因子を排除すべく該操作量特性線に基づいて該操作対象の操作量を設定することを、該排除因子毎に行なう、第3のステップとをそなえて構成されていることを特徴としている。
請求項8記載の本発明の印刷機の運転支援方法は、請求項7記載の印刷機の運転支援方法において、該第1のステップでは、該制御モードが、定常運転下における品質の安定化を目的とするモードである場合には、該排除因子として、該排除因子として網点変動を設定するとともに、該網点変動についての操作グループにインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の4つの操作対象を割り付け、該第3のステップでは、該排除因子として該網点変動が設定された場合には、評価パラメータとしてドット径を設定して、該ドット径と上記の操作グループに割り付けられたインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の内の少なくとも1つの操作対象とをそれぞれ座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、上記の少なくとも1つの操作対象における該網点変動につての操作量特性線として設定し、該網点変動を排除すべく、該操作量特性線に基づいて、上記の少なくとも1つの操作対象における操作量を設定することを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図8は本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法について示す図であり、図1は運転支援システムの全体構成を示す模式図、図2は印刷機の運転支援装置の構成を示す模式的な機能ブロック図、図3は運転支援方法を説明するための概念図であって座標空間を示す模式的な斜視図、図4(a),(b)は印刷機の運転支援方法を説明するための図であってドット径と湿し水供給量とを座標軸とする模式的な座標を示す図、図5は運転支援方法を説明するための模式的なフローチャート、図6は運転支援方法を説明するための模式的なフローチャート、図7は運転支援方法の変形例を説明するための図であってドット径と湿し水供給量とを座標軸とする模式的な座標を示す図、図8は運転支援方法の変形例を説明するための図であってドット径,湿し水供給量及びインキ供給量を座標軸とする模式的な座標を示す図である。
【0016】
本発明の一実施形態としての運転支援システムは、図1に示すように、生産管理サーバ(印刷条件出力装置)1と、印刷画像の編集が行なわれる編集局2と、複数(ここでは2つ)の印刷局3A,3Bと、印刷物の最終加工(裁断及び製本等)を行なう出荷局4と、故障診断装置5とをそなえて構成されている。
生産管理サーバ1には印刷物の品質目標を含む印刷条件が記憶されている。生産管理サーバ1はこのような印刷条件を各印刷局3A,3Bの印刷機制御装置32へ出力するようになっており、各印刷局3A,3Bはこの印刷条件に基づき印刷を実施するようになっている。印刷条件とは、主に生産や資材に関する情報であり、例えば印刷枚数,納期,インキ種,紙種,ブランケット種,湿し水種等,絵柄面積率,インキ盛り量(絵柄の目標色)に関する情報である。生産管理サーバ1は、この他、製本等のページ割情報等を出荷局4へ出力するようになっている。
【0017】
印刷局3A,3Bは同一のシステム構成となっており、代表して印刷局3Aのシステム構成を説明すると、印刷局3Aは、印刷機31,印刷機制御装置(Intelligent Press Control)32,印刷運転支援装置33及び印刷品質管理装置(印刷品質検出装置)34をそなえて構成されている。なお、印刷品質管理装置34は、複数の印刷局に対して共用で1台設けられることもある。
【0018】
印刷機31は、給紙装置,複数の印刷ユニット,排紙装置等の各種構成装置が連結されて構成され、そして、同じく印刷局3A内に設けられた上記印刷機制御装置32によって構成装置毎に制御されるようになっている。各構成装置には、印刷機31のコンディション、すなわち、機械条件(機械情報)を検出するための1又は複数のセンサ(機械情報検出手段、図示略)がそなえられている。ここでは、機械条件として、周囲温度,周囲湿度,版面温度,版面湿度,紙面温度,紙面湿度,印刷速度,棒圧,印圧等が検出されている。各センサにより検出された機械条件に関する各情報は、印刷機制御装置32に出力されるようになっている。また、これらの情報は、印刷機制御装置32を介して印刷運転支援装置33に出力されるようになっている。
【0019】
また、印刷機制御装置32は、印刷機31の各操作対象の操作量をプリセットする機能を有している。ここでいう操作対象とは、例えば、給紙装置の場合には、さばきエア量,板バネ押さえ量,補助エア量等であり、印刷ユニットの場合には湿し水供給量,インキキー開度,見当等であり、排紙装置の場合には排紙調整ファン,サイドジョガー,真空吸引車等である。印刷機制御装置32は、後述する印刷運転支援装置33からの操作量設定値を受信するとこれら各操作量をプリセットするようになっている。
【0020】
印刷品質管理装置34は、印刷シート(印刷物)の品質を検出/管理するためのもので、検出された印刷品質情報を印刷運転支援装置33に出力するようになっている。ここでいう印刷品質とは、例えば色調に関するものであり、発色,色再現域,色違い量等である。
ここで、印刷運転支援装置33の構成について図1及び図2を参照して説明すると、印刷運転支援装置33はデータベース(情報蓄積手段)33aを有しており、データベース33aには、生産管理サーバ1から各種印刷情報が、印刷機31のセンサから各種機械情報が、それぞれ印刷機制御装置32を介して入力され、また、印刷品質管理装置34から各種印刷品質情報が入力されるようになっている。これらの一連の印刷情報,機械情報及び印刷品質情報は互いに関連づけられたデータ組としてデータベース33aに記憶/蓄積されるようになっている。
【0021】
また、印刷運転支援装置33には、操作グループ割付手段33bがそなえられている。操作グループ割付手段33bは、例えば表1に示すように、運転支援の目的(制御モード)に応じてその目的を達成するために排除すべき因子(排除因子)を設定し、さらに、各排除因子に対して評価パラメータ及び排除因子を排除するための操作グループをそれぞれ設定するものである。
【0022】
評価パラメータとは、排除因子の有無を確認するための具体的な評価対象となる印刷品質である。また、操作グループとは、排除因子を抑制するのに有効な操作対象を選抜してグループ化したものであり、さらに操作グループ内の操作対象には、排除因子を抑制する効果の高い順に優先順位がつけられている。表1では排除因子を抑制する効果が大きいものほど左側に示している。
【0023】
そして、後述の操作量設定手段33dは、排除因子を抑制する効果の高い操作対象から順にその操作量を設定し、これを印刷機制御装置32に出力するようになっており、印刷機制御装置32は、この操作量設定情報を受けて、かかる操作対象の操作量をプリセットするようになっている。
【0024】
【表1】
【0025】
操作グループ割付手段33bによる割り付けについて具体的に説明すると、ここでは、運転支援の目的として(換言すると制御モードとして)、▲1▼定常運転下におけ品質の安定化(運転の安定化)、及び▲2▼運転開始時(運転過渡状態)の印刷機の早期立ち上げが設定されている。即ち、印刷運転支援装置33には、運転の安定化機能及び早期立ち上げ機能が設けられている。
【0026】
そして、上表1に示すように▲1▼運転の安定化を目的として運転支援が行なわれる場合、操作グループ割付手段33bは、排除因子として、1)インキ膜厚変動,2)網点色変動,3)障害を設定するようになっている。
さらに、操作グループ割付手段33bは、1)インキ膜厚変動に対して、ここでは、評価パラメータとして、印刷品質管理装置34により色座標値(L,a,b)に基づき検出される色違い量Aを設定し、操作グループとして、インキ供給量,湿し水供給量,インキ温度,揺動振幅を設定するようになっている。上述したように操作グループ内の操作対象には優先順位が付けられており、操作量設定手段33dは、例えば先ずインキ供給量と湿し水供給量とを設定し、これだけでは色違い量Aを所定値以下にできなければ、次にインキ温度及び揺動振幅をプリセットするようになっている。
【0027】
また、2)網点色変動に対しては、ここでは、評価パラメータには、色違い量Bとして、印刷品質管理装置34により検出される色座標値(L,a,b)及び/又はドット径φが設定され、操作グループとして、インキ供給量,湿し水供給量,インキ温度,印圧が設定されようになっている。
また、3)障害に対しては、ここでは、評価パラメータとして、印刷品質管理装置34により検出される汚れ及び/又は見当ずれが設定され、操作グループとして、インキ供給量,湿し水供給量,印刷速度が設定されようになっている。
【0028】
同様に、▲2▼早期立ち上げを目的として運転支援が行なわれる場合、操作グループ割付手段33bは、排除因子として、1)給紙停止,2)色不一致を設定するようになっている。
そして、操作グループ割付手段33bは、1)給紙停止に対しては、ここでは、評価パラメータとして、印刷機制御装置32により記録される停止頻度を設定し、操作グループとして、印刷速度,給紙空気圧,給紙吹出し位置,爪高さを設定するようになっている。
【0029】
また、2)色不一致に対しては、ここでは、評価パラメータとして、印刷品質管理装置34により検出される色違い量Cが設定され、操作グループとして、印間インキ量,インキ供給量,水供給方式,インキ温度調整が設定される。
さて、印刷運転支援装置33には、情報収集手段33c及び操作量設定手段33dがさらにそなえられている。運転の安定化を目的として行なわれる網点変動の抑制を例に取り、情報収集手段33c及び操作量設定手段33dについて、図3を参照しながら説明する。
【0030】
情報収集手段33cは、先ず、操作グループ割付手段33bにより、排除因子である網点変動を抑制するための操作グループとして設定された操作対象の内、優先順の高いインキ供給量I及び湿し水供給量Wをプリセットすべく、データベース33aから所定のデータ組d1,d2,d3…を収集するようになっている。ここでいう所定のデータ組とは、所定の印刷条件が現状印刷条件と略同じであり、さらに、インキ供給量I及び湿し水供給量Wとともに網点変動の操作グループとして設定されたインキ温度及び印圧が、機械情報検出手段によりそれぞれ検出された現状のインキ温度及び印圧と略等しい情報のことである。
【0031】
そして、操作量設定手段33dは、概念的に、図3に示すように、対応する評価量パラメータ(ここではドット径φ),インキ供給量I,湿し水供給量Wをそれぞれ座標軸とする一次座標空間S1上に、上記データ組d1,d2,d3…をそれぞれプロットする。
各データ組d1,d2,d3…は、測定誤差や現実的に考慮しえない各種条件の影響等により誤差をそれぞれ有しており、これらのデータ組d1,d2,d3…の集団(特性母集団)Dも図3に示すようなバラツキを有する3次元形状となる。このため、操作量設定手段33dは、このような個々の各データ組d1,d2,d3…の誤差に影響されないように、特性母集団Dの分布特性を代表する主軸成分を操作量特性線Aとして設定し、この操作量特性線Aに基づき各操作対象(インキ供給量I,湿し水供給量W)の操作量を設定するようになっている。つまり、インキ供給量I,湿し水供給量Wにより規定される制御点が、操作量特性線A上にあることを条件の1つとして、インキ供給量I,湿し水供給量Wの操作量を設定するようになっているのである。
【0032】
なお、ここでは、特性母集団Dの主軸成分として直線状に操作量特性線Aを規定しており、このため、以下、操作量特性線Aを操作量特性直線Aという。また、特性母集団Dの主軸成分(操作量特性直線)Aは例えば以下のようにして演算される。
特性母集団Dの主軸成分Aはデータd1,d2,d3…の共分散行列の固有分解により求められる。今、蓄積されたデータd1,d2,d3…がp次元の点であると、下式(1)のように表記できる。
【0033】
【数1】
【0034】
また、この共分散行列は下式(2)のように記述される。
【0035】
【数2】
【0036】
上式(2)中の行列要素Cij は下式(3)で表される。
【0037】
【数3】
【0038】
上式(3)中のraiは、rのi番目要素の期待値であり、下式(4)のように表される。
【0039】
【数4】
【0040】
主軸成分分析においては、図3に示す分布空間(特性母集団D)の中で、分散が最も大きくなる軸を1次とする。また、特性母集団Dの全てのサンプル空間をYとすると、Yは下式(5)のような線形結合として表すことができる。
【0041】
【数5】
【0042】
このため、このYが最大になるように下式(6)を定めることとなる。但し、αは正規化ベクトルであり、αt・α=1が成り立つ。
【0043】
【数6】
【0044】
Yの分散は共分散行列Σを用いて、αt・Σ・αと表される。この最大化問題はラグランジュの未定乗数法が適用できるので、下式(7)のように表せる。
【0045】
【数7】
【0046】
すなわち、(Σ−λI)・αの“0”でない解を求めることに帰着する。よって、λ は、下式(8)の根であり、Σの固有値である。また、αは固有ベクトルとなる。
【0047】
【数8】
【0048】
この固有ベクトルαは固有値方程式を解けば求まり、これが主軸成分である。主軸成分は、1次,2次…N次まで存在するが、それぞれは母集団の分散が大きい方向順のベクトルを示し、ここでは1次主軸成分を特に主軸成分としている。さて、上述したようにデータベース33aには逐次各種測定データが蓄積され、例えば、上記データ組d1,d2,d3…も常に新規のものが追加されていくので、経年変化や印刷機毎の特性に応じて操作量特性直線Aが最適化されるようになっている。つまり、運転支援制御装置33(操作量設定手段33d)は学習機能を有しているのである。なお、データベース33aには、出荷時において予め標準データが記憶されており、この標準データにより、各操作対象に対して標準的な操作量特性直線が得られるようになっている
また、インキ供給量I,湿し水供給量Wは、このように操作量特性直線Aに基づいて設定されるが、インキ供給量I,湿し水供給量Wには、現実的に操作可能な標準操作範囲IMIN〜IMAX,WMIN〜WMAXがそれぞれ設定されている。この標準操作範囲は、図3の一次座標空間S1上では、二次元的な範囲R1により示されている。標準操作範囲R1は、この範囲を超えて操作量を設定すると機械に過剰な負担が掛かってしまうような範囲である。
【0049】
図4(a),(b)は、図3に示す一次座標空間S1をφ−W平面に投影したものであるが、図4(a)に示すように、操作量特性直線A上で目標ドット径φPにある点Xの湿し水供給量W1が、(インキ供給量Iが所定範囲IMIN〜IMAX内にあることを前提として)所定範囲WMIN〜WMAX内であり上記標準操作範囲R1内にあれば、この点Xに対応するインキ供給量及び湿し水供給量W1が操作量として設定されるようになっている。
【0050】
一方、図4(b)に示すように、操作量特性直線A上で目標ドット径φPにある点Xの湿し水供給量及びインキ供給量の何れか一方(ここでは湿し水供給量W1)が、標準操作範囲R1から外れてしまう場合には、点Xに代えて標準操作範囲R1内の所定の座標点(以下、操作対象変更点ともいう)X′に対応する各座標値W1′,I1′がインキ供給量及び湿し水量の各設定値とされる。
【0051】
そして、制御点を座標点X′としただけでは、目標ドット径φPに到達しないため、制御不足分ΔφP(ΔφP=φP−φP′,φP′:座標点X′に対応するドット径)を補うべく、網点色変動抑制のための操作グループとして設定された操作対象の内、残りのインキ温度Tと印圧Pとが、上述の湿し水供給量W及びインキ供給量Iと同様の手法によりプリセットされるようになっている。
【0052】
つまり、先ず、情報収集手段33cは、印刷条件が同じであり、且つ、インキ供給量及び湿し水供給量が、操作対象変更点X′に対応するインキ供給量I1′及び湿し水供給量W1′と略同じであることを条件としてデータベース33aから所定の情報(データ組e 1 ,e 2 ,e 3 …)を収集するようになっている。
そして、操作量設定手段33dにより、概念的に、図3に示すように、対応する評価量パラメータ(ドット径φ),インキ温度T,印圧Pをそれぞれ座標軸とする二次座標空間S2上に、上記データ組e1,e2,e3…がプロットされ、これらの複数のデータ組e1,e2,e3…からなる特性母集団Eの操作量特性直線Bが演算されるようになっている。また、二次座標空間S2上に標準操作範囲R2(インキ温度T:TMIN〜TMAX,印圧P:PMIN〜PMAX)が設定される。
【0053】
そして、図3に示すように、操作量特性直線B上で目標ドット径φPにある所定の座標点Yが、上記標準操作範囲R2内にあれば、この座標点Yが制御目標点となり、制御目標点Yに対応するインキ温度及び印圧が設定値とされるようになっている。そして、この時点で、座標点X′,Yが印刷機制御装置32に出力され、印刷機制御装置32によりインキ供給量I,湿し水供給量W,インキ温度T及び印圧Pの各操作量がプリセットされるようになっている。
【0054】
一方、座標点Yが、標準操作範囲R2から外れていれば、印刷運転支援装置33から故障診断装置35に通知がなされるようになっている。
ここで、上記操作対象変更点X′の決定方法について図3を参照して補足すると、現状制御点Oから操作対象変更点X′に状態を変更するのに必要な湿し水供給量W及びインキ供給量Iの各操作変更量ΔW,ΔIは、座標点O,X′を結ぶ操作量ベクトルVAのW軸方向成分及びI軸方向成分であり、同様に、操作対象変更点X′から制御目標点Yに状態を変更するのに必要な印圧P及びインキ温度Tの各操作変更量ΔP,ΔTは、座標点X′,Yを結ぶ操作量ベクトルVBのP軸方向成分及びT軸方向成分である。
【0055】
そして、印刷運転支援装置33は、これらの各操作変更量ΔW,ΔI,ΔP,ΔTのトータル操作変更量βが最も小さくなるように操作対象変更点X′を設定するようになっており、ここでは、下式(9)によりトータル操作変更量βを算出するようになっている。下式(9)中のLAは、一次座標空間S1における操作量ベクトルVAのI−W平面への射影ベクトルVA′のスカラ量であり、LBは、二次座標空間S2における操作量ベクトルVBのT−P平面への射影ベクトル(図示略)のスカラ量である。
【0056】
β=K1×LA+K2×LB …(9)
各スカラ量LA,LBは何れも異なる座標空間でのスカラ量であることから、上式(9)では、係数K1,K2により、各スカラ量LA,LBに対して個別に重み付けをすることにより両スカラ量間の調整を図っている。これら係数K1,K2は例えば経験的に決められる。
【0057】
或いは、下式(10)によりトータル操作変更量βを算出するようにしてもよい。
β=K3×ΔW+K4×ΔI+K5×ΔP+K6×ΔT …(10)
上式(9)と同様に、各操作変更量ΔW,ΔI,ΔP,ΔTが何れも異なる物理量であることから、上式(10)では、係数K3〜K6により、各操作変更量ΔW,ΔI,ΔP,ΔTに対して重み付けをしており、これら係数K3〜K6は例えば経験的に決められる。
【0058】
このようにトータル操作変更量βが最小となるように操作対象変更点X′を設定する際、操作量設定手段33dは、操作対象変更点X′の候補点を操作量特性直線A上で微少量づつ移動させ、この移動毎に、かかる候補点に対応するデータ組をデータベース33aから収集して制御目標点Yの候補点をその都度設定して上記トータル操作変更量βを計算し、これを繰り返すことによりトータル操作変更量βが最小となる組み合わせを各設定点X′,Yとするようになっている。
【0059】
勿論、トータル操作変更量βの定義はこれに限定されず実状に応じて適宜設定されるものである。
なお、上述したように、操作量設定手段33dが操作量特性直線を設定するためにデータベース33aから各種情報を収集するが、この際、各種情報は、所定の印刷条件が略同一であることを条件として収集される。このような所定の印刷条件として、総合画線率を含めることが好ましい。総合画線率とは、印刷シート1枚を印刷するために消費されるインキ量に相関するもので、総合画線率に応じて各種の操作対象の操作量が大きく変化する。したがって、総合画線率をこのような条件にいれることにより、操作量特性直線ひいては各種操作量の適正化を図れる。
【0060】
本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援システム及び印刷機の運転支援装置は、上述したように構成されており、印刷の開始と同時に、例えば以下の手法(本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法)により、各印刷局3A, 3B毎に印刷運転支援装置33により運転支援制御が行なわれる。以下では、定常運転下における運転の安定化を目的として行なわれる印刷運転支援を例に取りを説明する。
【0061】
先ず、表1に示すように、運転支援の目的に応じて、排除因子が設定され、ここでは、運転支援の目的は、運転の安定化なので、排除因子として、インキ膜厚変動,網点色変動,障害が設定され、これと同時に、各排除因子毎に評価パラメータが設定されるとともに操作グループが割り付けられる。操作グループ内の複数の操作対象には、排除因子の排除に効果の高い順にプリセットされるように優先順位が設定される(第1のステップ)。
【0062】
そして、各排除因子(インキ膜厚変動,網点色変動,障害)に対して、図5のフローチャートに示すようにして、それぞれ所定の操作対象がプリセットされる。以下、排除因子として網点変動を例にとり説明すると、先ず、ステップS10で、生産管理サーバ31に対し、評価パラメータの目標値(品質目標、ここでは目標ドット径φP)の出力が要求され収集される。
【0063】
次いで、ステップS20で、生産管理サーバ31から、現状の印刷条件(紙種やインキ種等の資材情報及び予定印刷枚数等の生産情報)が収集され、印刷品質管理装置34から、所定の印刷品質情報(ここではドット径φ)が収集され、印刷機31の各種センサから、例えば現状のインキ供給量や湿し水供給量等のような機械情報が収集される。
【0064】
次に、ステップS30で、ステップS10で収集した目標設定値φPとステップS20で収集したドット径検出情報φとの差分Δφ(=φ−φP)が演算される。そして、ステップS40で、この差分Δφが許容値H以上であるか否かが判定され、差分Δφが許容値Hよりも小さければNOのルートを通ってステップS60へ進み、S20で収集された現状の印刷条件,品質情報及び機械情報が関連付けられてデータベース33aに記憶され、制御が終了する。なお、許容値Hは、ステップS10において、目標ドット径φPとともに生産管理サーバ31から印刷運転支援装置33に出力されるものである。一方、差分Δφが許容値H以上であればYESのルートを通ってステップS50へ進み、操作量が設定される。
【0065】
そして、図5のステップS50における操作量の設定は、詳細には図6のフローチャートに示すようにして行なわれる。つまり、先ず、ステップA10で、後述する変数nが1にセットされ(n=1)、ステップA20へ進む。ステップA20(第2のステップ)では、操作グループの中から、プリセットされる操作対象が、優先順位の高い順から一つ或いは複数(ここではインキ供給量Iと湿し水供給量Wの2つ)が選択され、ここでは、図2に示すように、これら操作対象と、それに対応する評価量パラメータ(ここではドット径φ)とからなるn次(ここでは1次)座標空間S1が設定される。
【0066】
そして、データベース33aに記憶されたデータ組の中から、図5のステップS20で検出された現状の印刷条件と略等しい印刷条件下のデータ組d1,d2,d3…が収集される(例えば、現状で紙種a,インキ種bが使用されているのであれば、紙種a,インキ種bを使用時のデータ組が収集される)。そして、そのデータ組d1,d2,d3…が1次座標空間S1上にプロットされ、操作量特性直線Aが設定される。そして、図4(a),(b)に示すように、この操作量特性直線A上で、品質目標値(ここでは目標ドット径φP)にある制御点Xが候補制御点とされる。
【0067】
次に、ステップA30でこの候補制御点Xが標準操作範囲R1内であるか否かが判定され、図4(a)に示すように、候補制御点Xが標準操作範囲R1内であれば、この候補制御点Xに移行しても印刷機31に過剰な負担を掛ける虞はないとして、ステップA40に進み制御点Xに対応する座標値が、インキ供給量I,湿し水供給量Wの設定値ととしてセットされる。
【0068】
一方、ステップA30で候補制御点Xが図4(b)に示すように標準操作範囲R1外であると判定された場合には、ステップA110に進み、変数nがカウントされる(n=n+1)。この際、標準操作範囲R1内にある制御点X′が仮の操作対象変更点として設定される。
そして、ステップA120では、この変数nが3以上であるか否かが判定され、変数nが3よりも小さければステップA20に進む。ステップA20では、操作量グループの内で、前回の操作対象として選択されたものの次に優先順位の高い操作対象(ここではインキ温度T及び印圧P)により、新たにn次(ここでは2次)座標空間S2を想定して、この座標空間において操作量特性直線VBを決定する。そして、この操作量特性曲線VBに基づき、インキ供給量I,湿し水供給量W,インキ温度T及び印圧Pの各操作量の合計が最小になるように上記操作対象変更点X′を見直しつつ候補制御点Yを決定する。
【0069】
そして、ステップA30で候補制御点Yが標準操作範囲R2内であると判定された場合には、ステップA40で候補制御点X′,Yに対応する各座標値が、インキ供給量I,湿し水供給量W,インキ温度T及び印圧Pの設定値としてセットされ、図5のフローチャートのステップS60を経て制御が終了する。そして、これらの設定値が印刷制御装置32に出力され、実際に各操作対象の操作量がプリセットされる。
【0070】
一方、ステップA120で変数nが3以上であれば、ステップA130に進み、故障診断装置5に通報され、運転支援を強制終了する。
このように、本印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法によれば、運転支援の目的に応じて排除因子が設定されるとともに、排除因子の抑制効果の高い操作対象が、予め操作グループとして選抜され、さらに、操作グループを構成する各操作対象は、排除因子の抑制効果の高い順から優先的にプリセットされるので、排除因子の抑制ひいては運転支援を効率的に行なえるという利点がある。
【0071】
また、多数の実測値からなる特性母集団の全体的な分布特性を示す操作量特性直線に基づき、操作量が制御されるので、信頼性の高い制御を行なえるという利点がある。さらに、各操作対象の操作量の合計が最小になるように各操作量が決定されるので、この点からも、運転支援を効率的に行なえるという利点がある。また、各種実測値がデータベース33aに蓄積されるので、実測値に基づき設定される操作量設定直線は、印刷機個々の特性や経年変化に応じて最適化され、ひいては、運転支援制御そのものが印刷機個々の特性や経年変化に応じて最適化されるという利点がある。
【0072】
なお、本発明の印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法は、上述の実施形態に限定されず本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形を行なうことが可能である。
例えば、上述の実施形態では、操作量特性直線が標準操作範囲内で目標値に到達しない場合には、操作対象を変更するようにしていたが、例えば、図7の座標空間(便宜的にW−φ座標平面で表す)に示すように制御を行なうことも可能である。つまり、評価量パラメータ(ここではドット径φ)が目標ドット径φPになるように操作対象(ここでは湿し水供給量W)を操作量特性直線A1上で操作しようとすると制御点が標準操作範囲R1を超えてしまうため、標準操作範囲R1内でドット径φをできるだけ目標ドット径φPに近づけるように操作量特性直線A1上の制御点を中継制御点Zとして設定する。
【0073】
そして、水供給量W等を、中継制御点Zにより規定される設定量(ここでは水供給量Wに関してはWMAX)に実際に制御した後、標準操作範囲R1内であって且つ目標ドット径φPに対応する制御点を目標制御点Xとするのである。なお、目標制御点Xには、中継制御点Zからこの目標制御点Xまでの湿し水供給量W及びドット径Iのトータル操作変化量βが最小となる制御点が選択される。
【0074】
このような制御でも、標準操作範囲R1内においては操作量特性直線A1上で制御点が設定されるので制御を安定して行なえる。
また、水供給量W及びインキ供給量Iをプリセットするだけでは網点変動(排除因子)を排除できないためにさらにインキ温度T及び印圧Pをプリセットする場合、上述の実施形態では、印刷支援装置33で水供給量W,インキ供給量I,インキ温度T及び印圧Pの設定値を確定した後、これらの設定値を印刷機制御装置32に出力し各操作量を同時に変更するようにしている。
【0075】
これに対し、先ず、水供給量W,インキ供給量Iを実際に変更した後、改めてインキ温度T及び印圧Pの設定/変更を行なうようにしても良い。この場合、インキ温度T及び印圧Pを組み合わせてプリセットしても、ドット径を目標値にできない場合には、ドット径が目標値になるまで、これらの操作対象の組み合わせを操作グループ内で順次変更して操作量を変更するようにしても良い。例えば、インキ温度T及び印圧Pを組み合わせてプリセットした後、水供給量Wとインキ温度Tとを組み合わせて同時にプリセットするようにしても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、図2に示すように特性母集団Dが長円形状であるため、操作量特性直線Aとして代表的な主軸成分を一つに特定できる。しかし、例えば図8に示すように、特性母集団Dが、分散しているため代表的な主軸成分が複数(ここでは3つ)ある場合には、例えば以下のようにして操作量ベクトルVAを決定すればよい。
【0077】
つまり、これらの主軸成分及びその寄与比率から各主軸成分に対する操作量ベクトルVA1,VA2,VA3を決定し、これらの操作量ベクトルVA1,VA2,VA3の合計を、最終的な操作量ベクトルVAとするのである。
また、操作量特性線(主軸成分)は、上述の実施形態では直線で設定されているが、特性母集団Dの分布状態に応じて適宜設定されるものであり、曲線で設定されることもある。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の印刷機の運転支援装置,請求項6記載の本発明の印刷機の運転支援システム及び請求項7記載の本発明の印刷機の運転支援方法によれば、各排除因子に対して操作グループが割り付けられるとともに、相互に関連付けて記憶された一連の印刷条件,印刷品質情報及び機械情報からなる多数組のデータ組の中から、現状の所定の印刷条件と略一致する印刷条件下のデータ組が収集される。そして、排除因子の有無を確認するための所定の印刷品質情報である評価パラメータと操作グループとして選択された操作対象とを座標軸とする座標上に、この情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、座標上におけるデータ組の分布特性を代表する主軸成分が、該操作グループとして選択された該操作対象の操作量特性線として設定することが、排除因子毎に行なわれる。したがって、排除因子毎に、データ組に基づき極めて信頼性の高い操作量特性線が得られ、この操作量特性線から操作対象の操作量が設定されるので、印刷機の所定の操作対象に対し、現在の運転下での最適な操作量を確実に設定でき、印刷機の運転支援を確実に且つ安定して行なえるという利点がある。
【0079】
請求項2記載の本発明の印刷機の運転支援装置によれば、操作グループをなす複数の操作対象のそれぞれに対して、排除因子の排除に対して効果の高い順に優先順位が設定され、また、操作対象のそれぞれに対して操作可能な標準操作範囲が設定される。そして、操作量特性線に基づいて設定された操作量が標準操作範囲を超える場合には、次に優先順位の高い操作対象に対して操作量特性線に基づいて標準操作範囲内で操作量が設定されるので、効率的に運転支援を行なえ、且つ、標準操作範囲内で安全に操作が行なわれるという利点がある。
【0080】
請求項3記載の本発明の印刷機の運転支援装置によれば、該操作グループ内の1つの操作対象の操作量を該標準操作範囲内で操作するだけでは該排除因子を排除できないために操作グループをなす操作対象の内の複数の操作対象に対して操作量が同時に設定される場合には、同時に設定される操作対象の操作変更量の合計が最小となるように、各操作量が設定されるので、効率的に運転支援を行なえるという利点がある。
【0081】
請求項4記載の本発明の印刷機の運転支援装置によれば、情報収集手段は、印刷シート1枚を印刷するのに消費されるインキ量に相関する特定の印刷条件が、現状の絵柄における上記の特定の印刷条件と略一致する総合画線率におけるデータ組を情報蓄積手段から収集するので、各操作対象の操作量に対して影響の大きい総合画線率に応じて制御が行なわれるようになるので、効果的に運転支援を行なえるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援装置の構成を示す模式的な機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援装方法を説明するための概念図であって座標空間を示す模式的な斜視図である。
【図4】(a),(b)は本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法を説明するための図であって、ドット径と湿し水供給量とを座標軸とする模式的な座標を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法を説明するための模式的なフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法を説明するための模式的なフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法の変形例を説明するための図であって、ドット径と湿し水供給量とを座標軸とする模式的な座標を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法の変形例を説明するための図であって、ドット径,湿し水供給量及びインキ供給量を座標軸とする模式的な座標を示す図である。
【符号の説明】
1 生産管理サーバ(印刷条件出力装置)
2 編集局
3A,3B 印刷局
4 出荷局
5 故障診断装置
31 印刷機
32 印刷機制御装置
33 印刷運転支援装置
33a データベース(情報蓄積手段)
33b 操作グループ割付手段
33c 情報収集手段
33d 操作量設定手段
34 印刷品質管理装置(印刷品質検出装置)
A,B 操作量特性直線(操作量特性線)
D,E 特性母集団
O 現状制御点
R1,R2 標準操作範囲
S1,S2 座標空間
VA,VB 操作量ベクトル
VA′ 射影ベクトル
X,Y 制御点
X′ 操作対象変更点
d1,d2,d3,e1,e2,e3 データ組
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機の各操作対象の作動量を最適なものに自動設定する、印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷機において、インキキー開度,湿し水量,給排紙部の調整量等は、印刷物の品質を直接左右する重要な操作量であり、これらの操作量は印刷条件(インキ種,紙種,絵柄面積率等)に応じてジョブ毎に適宜調整する必要がある。従来、これらの操作量の調整は、印刷機を操作するオペレータの熟練に頼るところが大きかった。
【0003】
しかしながら、このように操作量の調整をオペレータの熟練に頼る場合、オペレータの熟練度の差に応じて印刷物の品質に差が生じてしまう虞がある。また、通常、良好な品質の印刷物(以下、OKシートという)が得られるまでには試印刷を繰り返し行うが、熟練していないオペレータの場合にはOKシートが得られるまでに多くの試印刷を要し、多量の損紙を発生させてしまう虞がある。このため、かつてから、オペレータの熟練に頼ることなく操作量を印刷条件に応じて正確に且つ容易に調整できるようにして印刷機を容易に運転できるようにしたシステムの開発が望まれていた。
【0004】
このような技術としては、例えば特開平11−342597号公報に、印刷機の各種操作量を、エキスパートシステムに記憶された操作メディア間の相互作用に関する情報に基づき自動制御するようにした、印刷機の運転支援システムが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、印刷機の運転においては、制御目的(例えば定常状態における運転の安定化や印刷機の早期立ち上げ等)に応じて、印刷機の多数ある操作対象の中から適切なものを選択して制御することが、制御目的を早期に達成するに当たって極めて重要である。また、1つの制御目的を達成するために複数の操作対象を制御しなければならない場合、これらの操作量が互いに影響を及ぼしあうため、トータルとして最適な操作量を設定することが重要である。
【0006】
しかしながら、上記公報には、このような点も含め具体的な印刷機の制御方法に関する具体的な情報の開示が極めて少ないため、この公報に基づき、安定して印刷機の運転支援を実施するのは困難である。
また、上記公報には、実際に検出したn次元空間上の多数の離散的な参照点を補間してこれに基づきカラー制御及び濃度制御を行なうとの記載がある。これは、操作メディア間の相互作用に関する各種実運転情報がエキスパートシステムに蓄積されるとともにこの実運転情報に基づき各種制御特性が推定され、さらにこの各種制御特性に基づき印刷機の各種操作量が設定されるものと読みとれる。
【0007】
しかしながら、実運転情報は、測定誤差や現実的に考慮しえない各種条件の影響等により誤差を有しており、このような誤差を有する多数のデータ群の中から信頼性の高い制御特性を推定することが、安定して印刷機の運転支援を実施する上で極めて重要なポイントとなるが、上記公報にはこのような点に関し何ら情報が開示されていない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、印刷機の運転支援を確実且つ安定して行なえるようにした、印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、印刷機の印刷条件,印刷物の印刷品質情報及び該印刷機の機械情報に基づいて該印刷機の各操作対象の各種操作量を自動設定し、該各種操作量設定値を、該印刷機の各操作対象の作動を制御する印刷機制御装置に出力する、印刷機の運転支援装置であって、該印刷条件,該印刷品質情報及び該機械情報が相互に関連付けられて一組のデータ組として記憶され蓄積される情報蓄積手段と、制御モードに応じて排除すべき排除因子を設定し、該排除因子の排除に有効な該印刷機の複数の操作対象を操作グループとして割り付ける操作グループ割付手段と、該情報蓄積手段に蓄積された多数組の該データ組の中から、現状の所定の印刷条件と略一致する印刷条件下のデータ組を収集する情報収集手段と、排除因子の有無を確認するための所定の印刷品質情報である評価パラメータと該操作グループとして選択された該操作対象とを座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、該操作グループとして選択された該操作対象の操作量特性線として設定し、該排除因子を排除すべく、該操作量特性線に基づいて該操作対象の操作量を設定することを、該排除因子毎に行なう、操作量設定手段とをそなえて構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、請求項1記載の印刷機の運転支援装置において、該操作グループ割付手段は、該操作グループをなす上記の複数の操作対象に対して、該排除因子の排除に効果の高い順に優先順位を設定し、該操作量設定手段は、該操作対象のそれぞれに対して標準操作範囲を設定し、該優先順位の高い操作対象から、該操作量特性線に基づいて該標準操作範囲内で操作量を設定し、該操作量の設定だけでは該排除因子を排除できない場合には、次に優先順位の高い操作対象に対して該操作量特性線に基づいて該標準操作範囲内で操作量を設定することを特徴している。
【0011】
請求項3記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、請求項2記載の印刷機の運転支援装置において、該操作グループ内の1つの操作対象の操作量を該標準操作範囲内で操作するだけでは該排除因子を排除できないために該操作グループの内の複数の操作対象の操作量が同時に設定される場合には、該同時に設定される操作対象の操作変化量の合計が最小となるように、該操作量を設定することを特徴としている。
【0012】
請求項4記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、請求項1〜3の何れか一項に記載の印刷機の運転支援装置において、該情報収集手段は、該情報蓄積手段に蓄積された多数組の該データ組の中から、印刷シート1枚を印刷するのに消費されるインキ量に相関する特定の印刷条件が、現状の絵柄における上記の特定の印刷条件と略一致することを条件の一つとしてデータ組を収集することを特徴としている。
請求項5記載の本発明の印刷機の運転支援装置は、請求項1記載の印刷機の運転支援装置において、該操作グループ割付手段は、該制御モードが、定常運転下における品質の安定化を目的とするモードである場合には、該排除因子として網点変動を設定するとともに、該網点変動についての操作グループにインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の4つの操作対象を割り付け、該操作量設定手段は、該排除因子として該網点変動が設定された場合には、評価パラメータとしてドット径を設定して、該ドット径と上記の操作グループに割り付けられたインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の内の少なくとも1つの操作対象とをそれぞれ座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、上記の少なくとも1つの操作対象における該網点変動についての操作量特性線として設定し、該網点変動を排除すべく、該操作量特性線に基づいて、上記の少なくとも1つの操作対象における操作量を設定することを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の本発明の印刷機の運転支援システムは、印刷機に対して印刷条件を出力する印刷条件出力装置と、印刷物の印刷品質情報を検出する印刷品質検出装置と、該印刷機の機械情報を検出する機械情報検出装置と、該印刷機の種々の各操作対象の作動を制御する印刷機制御装置と、請求項1〜5の何れか一項に記載の運転支援装置とをそなえて構成され、該情報蓄積手段が、該印刷条件出力装置からの該印刷条件、該印刷品質検出装置からの該印刷品質情報及び該機械情報検出装置からの該機械情報を相互に関連付けて一組のデータ組として記憶し蓄積することを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の本発明の印刷機の運転支援方法は、印刷機の各操作対象の作動量を最適なものに自動設定する印刷機の運転支援方法において、制御モードに応じて排除すべき排除因子を設定し、該排除因子の排除に有効な該印刷機の複数の操作対象を操作グループとして割り付ける第1のステップと、それぞれ印刷条件,印刷品質情報及び機械情報が相互に関連づけられた多数組のデータ組の中から、現状の所定の印刷条件と略一致する印刷条件下のデータ組を収集する第2のステップと、排除因子の有無を確認するための所定の印刷品質情報である評価パラメータと該操作グループとして選択された該操作対象とを座標軸とする座標上に、該収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、該操作グループとして選択された該操作対象の操作量特性線として設定し、該排除因子を排除すべく該操作量特性線に基づいて該操作対象の操作量を設定することを、該排除因子毎に行なう、第3のステップとをそなえて構成されていることを特徴としている。
請求項8記載の本発明の印刷機の運転支援方法は、請求項7記載の印刷機の運転支援方法において、該第1のステップでは、該制御モードが、定常運転下における品質の安定化を目的とするモードである場合には、該排除因子として、該排除因子として網点変動を設定するとともに、該網点変動についての操作グループにインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の4つの操作対象を割り付け、該第3のステップでは、該排除因子として該網点変動が設定された場合には、評価パラメータとしてドット径を設定して、該ドット径と上記の操作グループに割り付けられたインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の内の少なくとも1つの操作対象とをそれぞれ座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、上記の少なくとも1つの操作対象における該網点変動につての操作量特性線として設定し、該網点変動を排除すべく、該操作量特性線に基づいて、上記の少なくとも1つの操作対象における操作量を設定することを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図8は本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法について示す図であり、図1は運転支援システムの全体構成を示す模式図、図2は印刷機の運転支援装置の構成を示す模式的な機能ブロック図、図3は運転支援方法を説明するための概念図であって座標空間を示す模式的な斜視図、図4(a),(b)は印刷機の運転支援方法を説明するための図であってドット径と湿し水供給量とを座標軸とする模式的な座標を示す図、図5は運転支援方法を説明するための模式的なフローチャート、図6は運転支援方法を説明するための模式的なフローチャート、図7は運転支援方法の変形例を説明するための図であってドット径と湿し水供給量とを座標軸とする模式的な座標を示す図、図8は運転支援方法の変形例を説明するための図であってドット径,湿し水供給量及びインキ供給量を座標軸とする模式的な座標を示す図である。
【0016】
本発明の一実施形態としての運転支援システムは、図1に示すように、生産管理サーバ(印刷条件出力装置)1と、印刷画像の編集が行なわれる編集局2と、複数(ここでは2つ)の印刷局3A,3Bと、印刷物の最終加工(裁断及び製本等)を行なう出荷局4と、故障診断装置5とをそなえて構成されている。
生産管理サーバ1には印刷物の品質目標を含む印刷条件が記憶されている。生産管理サーバ1はこのような印刷条件を各印刷局3A,3Bの印刷機制御装置32へ出力するようになっており、各印刷局3A,3Bはこの印刷条件に基づき印刷を実施するようになっている。印刷条件とは、主に生産や資材に関する情報であり、例えば印刷枚数,納期,インキ種,紙種,ブランケット種,湿し水種等,絵柄面積率,インキ盛り量(絵柄の目標色)に関する情報である。生産管理サーバ1は、この他、製本等のページ割情報等を出荷局4へ出力するようになっている。
【0017】
印刷局3A,3Bは同一のシステム構成となっており、代表して印刷局3Aのシステム構成を説明すると、印刷局3Aは、印刷機31,印刷機制御装置(Intelligent Press Control)32,印刷運転支援装置33及び印刷品質管理装置(印刷品質検出装置)34をそなえて構成されている。なお、印刷品質管理装置34は、複数の印刷局に対して共用で1台設けられることもある。
【0018】
印刷機31は、給紙装置,複数の印刷ユニット,排紙装置等の各種構成装置が連結されて構成され、そして、同じく印刷局3A内に設けられた上記印刷機制御装置32によって構成装置毎に制御されるようになっている。各構成装置には、印刷機31のコンディション、すなわち、機械条件(機械情報)を検出するための1又は複数のセンサ(機械情報検出手段、図示略)がそなえられている。ここでは、機械条件として、周囲温度,周囲湿度,版面温度,版面湿度,紙面温度,紙面湿度,印刷速度,棒圧,印圧等が検出されている。各センサにより検出された機械条件に関する各情報は、印刷機制御装置32に出力されるようになっている。また、これらの情報は、印刷機制御装置32を介して印刷運転支援装置33に出力されるようになっている。
【0019】
また、印刷機制御装置32は、印刷機31の各操作対象の操作量をプリセットする機能を有している。ここでいう操作対象とは、例えば、給紙装置の場合には、さばきエア量,板バネ押さえ量,補助エア量等であり、印刷ユニットの場合には湿し水供給量,インキキー開度,見当等であり、排紙装置の場合には排紙調整ファン,サイドジョガー,真空吸引車等である。印刷機制御装置32は、後述する印刷運転支援装置33からの操作量設定値を受信するとこれら各操作量をプリセットするようになっている。
【0020】
印刷品質管理装置34は、印刷シート(印刷物)の品質を検出/管理するためのもので、検出された印刷品質情報を印刷運転支援装置33に出力するようになっている。ここでいう印刷品質とは、例えば色調に関するものであり、発色,色再現域,色違い量等である。
ここで、印刷運転支援装置33の構成について図1及び図2を参照して説明すると、印刷運転支援装置33はデータベース(情報蓄積手段)33aを有しており、データベース33aには、生産管理サーバ1から各種印刷情報が、印刷機31のセンサから各種機械情報が、それぞれ印刷機制御装置32を介して入力され、また、印刷品質管理装置34から各種印刷品質情報が入力されるようになっている。これらの一連の印刷情報,機械情報及び印刷品質情報は互いに関連づけられたデータ組としてデータベース33aに記憶/蓄積されるようになっている。
【0021】
また、印刷運転支援装置33には、操作グループ割付手段33bがそなえられている。操作グループ割付手段33bは、例えば表1に示すように、運転支援の目的(制御モード)に応じてその目的を達成するために排除すべき因子(排除因子)を設定し、さらに、各排除因子に対して評価パラメータ及び排除因子を排除するための操作グループをそれぞれ設定するものである。
【0022】
評価パラメータとは、排除因子の有無を確認するための具体的な評価対象となる印刷品質である。また、操作グループとは、排除因子を抑制するのに有効な操作対象を選抜してグループ化したものであり、さらに操作グループ内の操作対象には、排除因子を抑制する効果の高い順に優先順位がつけられている。表1では排除因子を抑制する効果が大きいものほど左側に示している。
【0023】
そして、後述の操作量設定手段33dは、排除因子を抑制する効果の高い操作対象から順にその操作量を設定し、これを印刷機制御装置32に出力するようになっており、印刷機制御装置32は、この操作量設定情報を受けて、かかる操作対象の操作量をプリセットするようになっている。
【0024】
【表1】
【0025】
操作グループ割付手段33bによる割り付けについて具体的に説明すると、ここでは、運転支援の目的として(換言すると制御モードとして)、▲1▼定常運転下におけ品質の安定化(運転の安定化)、及び▲2▼運転開始時(運転過渡状態)の印刷機の早期立ち上げが設定されている。即ち、印刷運転支援装置33には、運転の安定化機能及び早期立ち上げ機能が設けられている。
【0026】
そして、上表1に示すように▲1▼運転の安定化を目的として運転支援が行なわれる場合、操作グループ割付手段33bは、排除因子として、1)インキ膜厚変動,2)網点色変動,3)障害を設定するようになっている。
さらに、操作グループ割付手段33bは、1)インキ膜厚変動に対して、ここでは、評価パラメータとして、印刷品質管理装置34により色座標値(L,a,b)に基づき検出される色違い量Aを設定し、操作グループとして、インキ供給量,湿し水供給量,インキ温度,揺動振幅を設定するようになっている。上述したように操作グループ内の操作対象には優先順位が付けられており、操作量設定手段33dは、例えば先ずインキ供給量と湿し水供給量とを設定し、これだけでは色違い量Aを所定値以下にできなければ、次にインキ温度及び揺動振幅をプリセットするようになっている。
【0027】
また、2)網点色変動に対しては、ここでは、評価パラメータには、色違い量Bとして、印刷品質管理装置34により検出される色座標値(L,a,b)及び/又はドット径φが設定され、操作グループとして、インキ供給量,湿し水供給量,インキ温度,印圧が設定されようになっている。
また、3)障害に対しては、ここでは、評価パラメータとして、印刷品質管理装置34により検出される汚れ及び/又は見当ずれが設定され、操作グループとして、インキ供給量,湿し水供給量,印刷速度が設定されようになっている。
【0028】
同様に、▲2▼早期立ち上げを目的として運転支援が行なわれる場合、操作グループ割付手段33bは、排除因子として、1)給紙停止,2)色不一致を設定するようになっている。
そして、操作グループ割付手段33bは、1)給紙停止に対しては、ここでは、評価パラメータとして、印刷機制御装置32により記録される停止頻度を設定し、操作グループとして、印刷速度,給紙空気圧,給紙吹出し位置,爪高さを設定するようになっている。
【0029】
また、2)色不一致に対しては、ここでは、評価パラメータとして、印刷品質管理装置34により検出される色違い量Cが設定され、操作グループとして、印間インキ量,インキ供給量,水供給方式,インキ温度調整が設定される。
さて、印刷運転支援装置33には、情報収集手段33c及び操作量設定手段33dがさらにそなえられている。運転の安定化を目的として行なわれる網点変動の抑制を例に取り、情報収集手段33c及び操作量設定手段33dについて、図3を参照しながら説明する。
【0030】
情報収集手段33cは、先ず、操作グループ割付手段33bにより、排除因子である網点変動を抑制するための操作グループとして設定された操作対象の内、優先順の高いインキ供給量I及び湿し水供給量Wをプリセットすべく、データベース33aから所定のデータ組d1,d2,d3…を収集するようになっている。ここでいう所定のデータ組とは、所定の印刷条件が現状印刷条件と略同じであり、さらに、インキ供給量I及び湿し水供給量Wとともに網点変動の操作グループとして設定されたインキ温度及び印圧が、機械情報検出手段によりそれぞれ検出された現状のインキ温度及び印圧と略等しい情報のことである。
【0031】
そして、操作量設定手段33dは、概念的に、図3に示すように、対応する評価量パラメータ(ここではドット径φ),インキ供給量I,湿し水供給量Wをそれぞれ座標軸とする一次座標空間S1上に、上記データ組d1,d2,d3…をそれぞれプロットする。
各データ組d1,d2,d3…は、測定誤差や現実的に考慮しえない各種条件の影響等により誤差をそれぞれ有しており、これらのデータ組d1,d2,d3…の集団(特性母集団)Dも図3に示すようなバラツキを有する3次元形状となる。このため、操作量設定手段33dは、このような個々の各データ組d1,d2,d3…の誤差に影響されないように、特性母集団Dの分布特性を代表する主軸成分を操作量特性線Aとして設定し、この操作量特性線Aに基づき各操作対象(インキ供給量I,湿し水供給量W)の操作量を設定するようになっている。つまり、インキ供給量I,湿し水供給量Wにより規定される制御点が、操作量特性線A上にあることを条件の1つとして、インキ供給量I,湿し水供給量Wの操作量を設定するようになっているのである。
【0032】
なお、ここでは、特性母集団Dの主軸成分として直線状に操作量特性線Aを規定しており、このため、以下、操作量特性線Aを操作量特性直線Aという。また、特性母集団Dの主軸成分(操作量特性直線)Aは例えば以下のようにして演算される。
特性母集団Dの主軸成分Aはデータd1,d2,d3…の共分散行列の固有分解により求められる。今、蓄積されたデータd1,d2,d3…がp次元の点であると、下式(1)のように表記できる。
【0033】
【数1】
【0034】
また、この共分散行列は下式(2)のように記述される。
【0035】
【数2】
【0036】
上式(2)中の行列要素Cij は下式(3)で表される。
【0037】
【数3】
【0038】
上式(3)中のraiは、rのi番目要素の期待値であり、下式(4)のように表される。
【0039】
【数4】
【0040】
主軸成分分析においては、図3に示す分布空間(特性母集団D)の中で、分散が最も大きくなる軸を1次とする。また、特性母集団Dの全てのサンプル空間をYとすると、Yは下式(5)のような線形結合として表すことができる。
【0041】
【数5】
【0042】
このため、このYが最大になるように下式(6)を定めることとなる。但し、αは正規化ベクトルであり、αt・α=1が成り立つ。
【0043】
【数6】
【0044】
Yの分散は共分散行列Σを用いて、αt・Σ・αと表される。この最大化問題はラグランジュの未定乗数法が適用できるので、下式(7)のように表せる。
【0045】
【数7】
【0046】
すなわち、(Σ−λI)・αの“0”でない解を求めることに帰着する。よって、λ は、下式(8)の根であり、Σの固有値である。また、αは固有ベクトルとなる。
【0047】
【数8】
【0048】
この固有ベクトルαは固有値方程式を解けば求まり、これが主軸成分である。主軸成分は、1次,2次…N次まで存在するが、それぞれは母集団の分散が大きい方向順のベクトルを示し、ここでは1次主軸成分を特に主軸成分としている。さて、上述したようにデータベース33aには逐次各種測定データが蓄積され、例えば、上記データ組d1,d2,d3…も常に新規のものが追加されていくので、経年変化や印刷機毎の特性に応じて操作量特性直線Aが最適化されるようになっている。つまり、運転支援制御装置33(操作量設定手段33d)は学習機能を有しているのである。なお、データベース33aには、出荷時において予め標準データが記憶されており、この標準データにより、各操作対象に対して標準的な操作量特性直線が得られるようになっている
また、インキ供給量I,湿し水供給量Wは、このように操作量特性直線Aに基づいて設定されるが、インキ供給量I,湿し水供給量Wには、現実的に操作可能な標準操作範囲IMIN〜IMAX,WMIN〜WMAXがそれぞれ設定されている。この標準操作範囲は、図3の一次座標空間S1上では、二次元的な範囲R1により示されている。標準操作範囲R1は、この範囲を超えて操作量を設定すると機械に過剰な負担が掛かってしまうような範囲である。
【0049】
図4(a),(b)は、図3に示す一次座標空間S1をφ−W平面に投影したものであるが、図4(a)に示すように、操作量特性直線A上で目標ドット径φPにある点Xの湿し水供給量W1が、(インキ供給量Iが所定範囲IMIN〜IMAX内にあることを前提として)所定範囲WMIN〜WMAX内であり上記標準操作範囲R1内にあれば、この点Xに対応するインキ供給量及び湿し水供給量W1が操作量として設定されるようになっている。
【0050】
一方、図4(b)に示すように、操作量特性直線A上で目標ドット径φPにある点Xの湿し水供給量及びインキ供給量の何れか一方(ここでは湿し水供給量W1)が、標準操作範囲R1から外れてしまう場合には、点Xに代えて標準操作範囲R1内の所定の座標点(以下、操作対象変更点ともいう)X′に対応する各座標値W1′,I1′がインキ供給量及び湿し水量の各設定値とされる。
【0051】
そして、制御点を座標点X′としただけでは、目標ドット径φPに到達しないため、制御不足分ΔφP(ΔφP=φP−φP′,φP′:座標点X′に対応するドット径)を補うべく、網点色変動抑制のための操作グループとして設定された操作対象の内、残りのインキ温度Tと印圧Pとが、上述の湿し水供給量W及びインキ供給量Iと同様の手法によりプリセットされるようになっている。
【0052】
つまり、先ず、情報収集手段33cは、印刷条件が同じであり、且つ、インキ供給量及び湿し水供給量が、操作対象変更点X′に対応するインキ供給量I1′及び湿し水供給量W1′と略同じであることを条件としてデータベース33aから所定の情報(データ組e 1 ,e 2 ,e 3 …)を収集するようになっている。
そして、操作量設定手段33dにより、概念的に、図3に示すように、対応する評価量パラメータ(ドット径φ),インキ温度T,印圧Pをそれぞれ座標軸とする二次座標空間S2上に、上記データ組e1,e2,e3…がプロットされ、これらの複数のデータ組e1,e2,e3…からなる特性母集団Eの操作量特性直線Bが演算されるようになっている。また、二次座標空間S2上に標準操作範囲R2(インキ温度T:TMIN〜TMAX,印圧P:PMIN〜PMAX)が設定される。
【0053】
そして、図3に示すように、操作量特性直線B上で目標ドット径φPにある所定の座標点Yが、上記標準操作範囲R2内にあれば、この座標点Yが制御目標点となり、制御目標点Yに対応するインキ温度及び印圧が設定値とされるようになっている。そして、この時点で、座標点X′,Yが印刷機制御装置32に出力され、印刷機制御装置32によりインキ供給量I,湿し水供給量W,インキ温度T及び印圧Pの各操作量がプリセットされるようになっている。
【0054】
一方、座標点Yが、標準操作範囲R2から外れていれば、印刷運転支援装置33から故障診断装置35に通知がなされるようになっている。
ここで、上記操作対象変更点X′の決定方法について図3を参照して補足すると、現状制御点Oから操作対象変更点X′に状態を変更するのに必要な湿し水供給量W及びインキ供給量Iの各操作変更量ΔW,ΔIは、座標点O,X′を結ぶ操作量ベクトルVAのW軸方向成分及びI軸方向成分であり、同様に、操作対象変更点X′から制御目標点Yに状態を変更するのに必要な印圧P及びインキ温度Tの各操作変更量ΔP,ΔTは、座標点X′,Yを結ぶ操作量ベクトルVBのP軸方向成分及びT軸方向成分である。
【0055】
そして、印刷運転支援装置33は、これらの各操作変更量ΔW,ΔI,ΔP,ΔTのトータル操作変更量βが最も小さくなるように操作対象変更点X′を設定するようになっており、ここでは、下式(9)によりトータル操作変更量βを算出するようになっている。下式(9)中のLAは、一次座標空間S1における操作量ベクトルVAのI−W平面への射影ベクトルVA′のスカラ量であり、LBは、二次座標空間S2における操作量ベクトルVBのT−P平面への射影ベクトル(図示略)のスカラ量である。
【0056】
β=K1×LA+K2×LB …(9)
各スカラ量LA,LBは何れも異なる座標空間でのスカラ量であることから、上式(9)では、係数K1,K2により、各スカラ量LA,LBに対して個別に重み付けをすることにより両スカラ量間の調整を図っている。これら係数K1,K2は例えば経験的に決められる。
【0057】
或いは、下式(10)によりトータル操作変更量βを算出するようにしてもよい。
β=K3×ΔW+K4×ΔI+K5×ΔP+K6×ΔT …(10)
上式(9)と同様に、各操作変更量ΔW,ΔI,ΔP,ΔTが何れも異なる物理量であることから、上式(10)では、係数K3〜K6により、各操作変更量ΔW,ΔI,ΔP,ΔTに対して重み付けをしており、これら係数K3〜K6は例えば経験的に決められる。
【0058】
このようにトータル操作変更量βが最小となるように操作対象変更点X′を設定する際、操作量設定手段33dは、操作対象変更点X′の候補点を操作量特性直線A上で微少量づつ移動させ、この移動毎に、かかる候補点に対応するデータ組をデータベース33aから収集して制御目標点Yの候補点をその都度設定して上記トータル操作変更量βを計算し、これを繰り返すことによりトータル操作変更量βが最小となる組み合わせを各設定点X′,Yとするようになっている。
【0059】
勿論、トータル操作変更量βの定義はこれに限定されず実状に応じて適宜設定されるものである。
なお、上述したように、操作量設定手段33dが操作量特性直線を設定するためにデータベース33aから各種情報を収集するが、この際、各種情報は、所定の印刷条件が略同一であることを条件として収集される。このような所定の印刷条件として、総合画線率を含めることが好ましい。総合画線率とは、印刷シート1枚を印刷するために消費されるインキ量に相関するもので、総合画線率に応じて各種の操作対象の操作量が大きく変化する。したがって、総合画線率をこのような条件にいれることにより、操作量特性直線ひいては各種操作量の適正化を図れる。
【0060】
本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援システム及び印刷機の運転支援装置は、上述したように構成されており、印刷の開始と同時に、例えば以下の手法(本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法)により、各印刷局3A, 3B毎に印刷運転支援装置33により運転支援制御が行なわれる。以下では、定常運転下における運転の安定化を目的として行なわれる印刷運転支援を例に取りを説明する。
【0061】
先ず、表1に示すように、運転支援の目的に応じて、排除因子が設定され、ここでは、運転支援の目的は、運転の安定化なので、排除因子として、インキ膜厚変動,網点色変動,障害が設定され、これと同時に、各排除因子毎に評価パラメータが設定されるとともに操作グループが割り付けられる。操作グループ内の複数の操作対象には、排除因子の排除に効果の高い順にプリセットされるように優先順位が設定される(第1のステップ)。
【0062】
そして、各排除因子(インキ膜厚変動,網点色変動,障害)に対して、図5のフローチャートに示すようにして、それぞれ所定の操作対象がプリセットされる。以下、排除因子として網点変動を例にとり説明すると、先ず、ステップS10で、生産管理サーバ31に対し、評価パラメータの目標値(品質目標、ここでは目標ドット径φP)の出力が要求され収集される。
【0063】
次いで、ステップS20で、生産管理サーバ31から、現状の印刷条件(紙種やインキ種等の資材情報及び予定印刷枚数等の生産情報)が収集され、印刷品質管理装置34から、所定の印刷品質情報(ここではドット径φ)が収集され、印刷機31の各種センサから、例えば現状のインキ供給量や湿し水供給量等のような機械情報が収集される。
【0064】
次に、ステップS30で、ステップS10で収集した目標設定値φPとステップS20で収集したドット径検出情報φとの差分Δφ(=φ−φP)が演算される。そして、ステップS40で、この差分Δφが許容値H以上であるか否かが判定され、差分Δφが許容値Hよりも小さければNOのルートを通ってステップS60へ進み、S20で収集された現状の印刷条件,品質情報及び機械情報が関連付けられてデータベース33aに記憶され、制御が終了する。なお、許容値Hは、ステップS10において、目標ドット径φPとともに生産管理サーバ31から印刷運転支援装置33に出力されるものである。一方、差分Δφが許容値H以上であればYESのルートを通ってステップS50へ進み、操作量が設定される。
【0065】
そして、図5のステップS50における操作量の設定は、詳細には図6のフローチャートに示すようにして行なわれる。つまり、先ず、ステップA10で、後述する変数nが1にセットされ(n=1)、ステップA20へ進む。ステップA20(第2のステップ)では、操作グループの中から、プリセットされる操作対象が、優先順位の高い順から一つ或いは複数(ここではインキ供給量Iと湿し水供給量Wの2つ)が選択され、ここでは、図2に示すように、これら操作対象と、それに対応する評価量パラメータ(ここではドット径φ)とからなるn次(ここでは1次)座標空間S1が設定される。
【0066】
そして、データベース33aに記憶されたデータ組の中から、図5のステップS20で検出された現状の印刷条件と略等しい印刷条件下のデータ組d1,d2,d3…が収集される(例えば、現状で紙種a,インキ種bが使用されているのであれば、紙種a,インキ種bを使用時のデータ組が収集される)。そして、そのデータ組d1,d2,d3…が1次座標空間S1上にプロットされ、操作量特性直線Aが設定される。そして、図4(a),(b)に示すように、この操作量特性直線A上で、品質目標値(ここでは目標ドット径φP)にある制御点Xが候補制御点とされる。
【0067】
次に、ステップA30でこの候補制御点Xが標準操作範囲R1内であるか否かが判定され、図4(a)に示すように、候補制御点Xが標準操作範囲R1内であれば、この候補制御点Xに移行しても印刷機31に過剰な負担を掛ける虞はないとして、ステップA40に進み制御点Xに対応する座標値が、インキ供給量I,湿し水供給量Wの設定値ととしてセットされる。
【0068】
一方、ステップA30で候補制御点Xが図4(b)に示すように標準操作範囲R1外であると判定された場合には、ステップA110に進み、変数nがカウントされる(n=n+1)。この際、標準操作範囲R1内にある制御点X′が仮の操作対象変更点として設定される。
そして、ステップA120では、この変数nが3以上であるか否かが判定され、変数nが3よりも小さければステップA20に進む。ステップA20では、操作量グループの内で、前回の操作対象として選択されたものの次に優先順位の高い操作対象(ここではインキ温度T及び印圧P)により、新たにn次(ここでは2次)座標空間S2を想定して、この座標空間において操作量特性直線VBを決定する。そして、この操作量特性曲線VBに基づき、インキ供給量I,湿し水供給量W,インキ温度T及び印圧Pの各操作量の合計が最小になるように上記操作対象変更点X′を見直しつつ候補制御点Yを決定する。
【0069】
そして、ステップA30で候補制御点Yが標準操作範囲R2内であると判定された場合には、ステップA40で候補制御点X′,Yに対応する各座標値が、インキ供給量I,湿し水供給量W,インキ温度T及び印圧Pの設定値としてセットされ、図5のフローチャートのステップS60を経て制御が終了する。そして、これらの設定値が印刷制御装置32に出力され、実際に各操作対象の操作量がプリセットされる。
【0070】
一方、ステップA120で変数nが3以上であれば、ステップA130に進み、故障診断装置5に通報され、運転支援を強制終了する。
このように、本印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法によれば、運転支援の目的に応じて排除因子が設定されるとともに、排除因子の抑制効果の高い操作対象が、予め操作グループとして選抜され、さらに、操作グループを構成する各操作対象は、排除因子の抑制効果の高い順から優先的にプリセットされるので、排除因子の抑制ひいては運転支援を効率的に行なえるという利点がある。
【0071】
また、多数の実測値からなる特性母集団の全体的な分布特性を示す操作量特性直線に基づき、操作量が制御されるので、信頼性の高い制御を行なえるという利点がある。さらに、各操作対象の操作量の合計が最小になるように各操作量が決定されるので、この点からも、運転支援を効率的に行なえるという利点がある。また、各種実測値がデータベース33aに蓄積されるので、実測値に基づき設定される操作量設定直線は、印刷機個々の特性や経年変化に応じて最適化され、ひいては、運転支援制御そのものが印刷機個々の特性や経年変化に応じて最適化されるという利点がある。
【0072】
なお、本発明の印刷機の運転支援装置及び印刷機の運転支援システム並びに印刷機の運転支援方法は、上述の実施形態に限定されず本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形を行なうことが可能である。
例えば、上述の実施形態では、操作量特性直線が標準操作範囲内で目標値に到達しない場合には、操作対象を変更するようにしていたが、例えば、図7の座標空間(便宜的にW−φ座標平面で表す)に示すように制御を行なうことも可能である。つまり、評価量パラメータ(ここではドット径φ)が目標ドット径φPになるように操作対象(ここでは湿し水供給量W)を操作量特性直線A1上で操作しようとすると制御点が標準操作範囲R1を超えてしまうため、標準操作範囲R1内でドット径φをできるだけ目標ドット径φPに近づけるように操作量特性直線A1上の制御点を中継制御点Zとして設定する。
【0073】
そして、水供給量W等を、中継制御点Zにより規定される設定量(ここでは水供給量Wに関してはWMAX)に実際に制御した後、標準操作範囲R1内であって且つ目標ドット径φPに対応する制御点を目標制御点Xとするのである。なお、目標制御点Xには、中継制御点Zからこの目標制御点Xまでの湿し水供給量W及びドット径Iのトータル操作変化量βが最小となる制御点が選択される。
【0074】
このような制御でも、標準操作範囲R1内においては操作量特性直線A1上で制御点が設定されるので制御を安定して行なえる。
また、水供給量W及びインキ供給量Iをプリセットするだけでは網点変動(排除因子)を排除できないためにさらにインキ温度T及び印圧Pをプリセットする場合、上述の実施形態では、印刷支援装置33で水供給量W,インキ供給量I,インキ温度T及び印圧Pの設定値を確定した後、これらの設定値を印刷機制御装置32に出力し各操作量を同時に変更するようにしている。
【0075】
これに対し、先ず、水供給量W,インキ供給量Iを実際に変更した後、改めてインキ温度T及び印圧Pの設定/変更を行なうようにしても良い。この場合、インキ温度T及び印圧Pを組み合わせてプリセットしても、ドット径を目標値にできない場合には、ドット径が目標値になるまで、これらの操作対象の組み合わせを操作グループ内で順次変更して操作量を変更するようにしても良い。例えば、インキ温度T及び印圧Pを組み合わせてプリセットした後、水供給量Wとインキ温度Tとを組み合わせて同時にプリセットするようにしても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、図2に示すように特性母集団Dが長円形状であるため、操作量特性直線Aとして代表的な主軸成分を一つに特定できる。しかし、例えば図8に示すように、特性母集団Dが、分散しているため代表的な主軸成分が複数(ここでは3つ)ある場合には、例えば以下のようにして操作量ベクトルVAを決定すればよい。
【0077】
つまり、これらの主軸成分及びその寄与比率から各主軸成分に対する操作量ベクトルVA1,VA2,VA3を決定し、これらの操作量ベクトルVA1,VA2,VA3の合計を、最終的な操作量ベクトルVAとするのである。
また、操作量特性線(主軸成分)は、上述の実施形態では直線で設定されているが、特性母集団Dの分布状態に応じて適宜設定されるものであり、曲線で設定されることもある。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の印刷機の運転支援装置,請求項6記載の本発明の印刷機の運転支援システム及び請求項7記載の本発明の印刷機の運転支援方法によれば、各排除因子に対して操作グループが割り付けられるとともに、相互に関連付けて記憶された一連の印刷条件,印刷品質情報及び機械情報からなる多数組のデータ組の中から、現状の所定の印刷条件と略一致する印刷条件下のデータ組が収集される。そして、排除因子の有無を確認するための所定の印刷品質情報である評価パラメータと操作グループとして選択された操作対象とを座標軸とする座標上に、この情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、座標上におけるデータ組の分布特性を代表する主軸成分が、該操作グループとして選択された該操作対象の操作量特性線として設定することが、排除因子毎に行なわれる。したがって、排除因子毎に、データ組に基づき極めて信頼性の高い操作量特性線が得られ、この操作量特性線から操作対象の操作量が設定されるので、印刷機の所定の操作対象に対し、現在の運転下での最適な操作量を確実に設定でき、印刷機の運転支援を確実に且つ安定して行なえるという利点がある。
【0079】
請求項2記載の本発明の印刷機の運転支援装置によれば、操作グループをなす複数の操作対象のそれぞれに対して、排除因子の排除に対して効果の高い順に優先順位が設定され、また、操作対象のそれぞれに対して操作可能な標準操作範囲が設定される。そして、操作量特性線に基づいて設定された操作量が標準操作範囲を超える場合には、次に優先順位の高い操作対象に対して操作量特性線に基づいて標準操作範囲内で操作量が設定されるので、効率的に運転支援を行なえ、且つ、標準操作範囲内で安全に操作が行なわれるという利点がある。
【0080】
請求項3記載の本発明の印刷機の運転支援装置によれば、該操作グループ内の1つの操作対象の操作量を該標準操作範囲内で操作するだけでは該排除因子を排除できないために操作グループをなす操作対象の内の複数の操作対象に対して操作量が同時に設定される場合には、同時に設定される操作対象の操作変更量の合計が最小となるように、各操作量が設定されるので、効率的に運転支援を行なえるという利点がある。
【0081】
請求項4記載の本発明の印刷機の運転支援装置によれば、情報収集手段は、印刷シート1枚を印刷するのに消費されるインキ量に相関する特定の印刷条件が、現状の絵柄における上記の特定の印刷条件と略一致する総合画線率におけるデータ組を情報蓄積手段から収集するので、各操作対象の操作量に対して影響の大きい総合画線率に応じて制御が行なわれるようになるので、効果的に運転支援を行なえるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援装置の構成を示す模式的な機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援装方法を説明するための概念図であって座標空間を示す模式的な斜視図である。
【図4】(a),(b)は本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法を説明するための図であって、ドット径と湿し水供給量とを座標軸とする模式的な座標を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法を説明するための模式的なフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法を説明するための模式的なフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法の変形例を説明するための図であって、ドット径と湿し水供給量とを座標軸とする模式的な座標を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態としての印刷機の運転支援方法の変形例を説明するための図であって、ドット径,湿し水供給量及びインキ供給量を座標軸とする模式的な座標を示す図である。
【符号の説明】
1 生産管理サーバ(印刷条件出力装置)
2 編集局
3A,3B 印刷局
4 出荷局
5 故障診断装置
31 印刷機
32 印刷機制御装置
33 印刷運転支援装置
33a データベース(情報蓄積手段)
33b 操作グループ割付手段
33c 情報収集手段
33d 操作量設定手段
34 印刷品質管理装置(印刷品質検出装置)
A,B 操作量特性直線(操作量特性線)
D,E 特性母集団
O 現状制御点
R1,R2 標準操作範囲
S1,S2 座標空間
VA,VB 操作量ベクトル
VA′ 射影ベクトル
X,Y 制御点
X′ 操作対象変更点
d1,d2,d3,e1,e2,e3 データ組
Claims (8)
- 印刷機の印刷条件,印刷物の印刷品質情報及び該印刷機の機械情報に基づいて該印刷機の各操作対象の各種操作量を自動設定し、該各種操作量設定値を、該印刷機の各操作対象の作動を制御する印刷機制御装置に出力する、印刷機の運転支援装置であって、
該印刷条件,該印刷品質情報及び該機械情報が相互に関連付けられて一組のデータ組として記憶され蓄積される情報蓄積手段と、
制御モードに応じて排除すべき排除因子を設定し、該排除因子の排除に有効な該印刷機の複数の操作対象を操作グループとして割り付ける操作グループ割付手段と、
該情報蓄積手段に蓄積された多数組の該データ組の中から、現状の所定の印刷条件と略一致する印刷条件下のデータ組を収集する情報収集手段と、
該排除因子の有無を確認するための所定の印刷品質情報である評価パラメータと該操作グループとして選択された該操作対象とを座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、該操作グループとして選択された該操作対象の操作量特性線として設定し、該排除因子を排除すべく、該操作量特性線に基づいて該操作対象の操作量を設定することを、該排除因子毎に行なう、操作量設定手段とをそなえて構成されている
ことを特徴とする、印刷機の運転支援装置。 - 該操作グループ割付手段は、該操作グループをなす上記の複数の操作対象に対して、該排除因子の排除に効果の高い順に優先順位を設定し、
該操作量設定手段は、該操作対象のそれぞれに対して標準操作範囲を設定し、該優先順位の高い操作対象から、該操作量特性線に基づいて該標準操作範囲内で操作量を設定し、該操作量の設定だけでは該排除因子を排除できない場合には、次に優先順位の高い操作対象に対して該操作量特性線に基づいて該標準操作範囲内で操作量を設定する
ことを特徴とする、請求項1記載の印刷機の運転支援装置。 - 該操作グループ内の1つの操作対象の操作量を該標準操作範囲内で操作するだけでは該排除因子を排除できないために該操作グループの内の複数の操作対象の操作量が同時に設定される場合には、該同時に設定される操作対象の操作変化量の合計が最小となるように、該操作量を設定する
ことを特徴とする、請求項2記載の印刷機の運転支援装置。 - 該情報収集手段は、該情報蓄積手段に蓄積された多数組の該データ組の中から、印刷シート1枚を印刷するのに消費されるインキ量に相関する特定の印刷条件が、現状の絵柄における上記の特定の印刷条件と略一致することを条件の一つとしてデータ組を収集する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の印刷機の運転支援装置。 - 該操作グループ割付手段は、該制御モードが、定常運転下における品質の安定化を目的とするモードである場合には、該排除因子として網点変動を設定するとともに、該網点変動についての操作グループにインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の4つの操作対象を割り付け、
該操作量設定手段は、該排除因子として該網点変動が設定された場合には、評価パラメータとしてドット径を設定して、該ドット径と上記の操作グループに割り付けられたインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の内の少なくとも1つの操作対象とをそれぞれ座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、上記の少なくとも1つの操作対象における該網点変動についての操作量特性線として設定し、該網点変動を排除すべく、該操作量特性線に基づいて、上記の少なくとも1つの操作対象における操作量を設定する
ことを特徴とする、請求項1記載の印刷機の運転支援装置。 - 印刷機に対して印刷条件を出力する印刷条件出力装置と、印刷物の印 刷品質情報を検出する印刷品質検出装置と、該印刷機の機械情報を検出する機械情報検出装置と、該印刷機の種々の各操作対象の作動を制御する印刷機制御装置と、請求項1〜5の何れか一項に記載の運転支援装置とをそなえて構成され、
該情報蓄積手段が、該印刷条件出力装置からの該印刷条件、該印刷品質検出装置からの該印刷品質情報及び該機械情報検出装置からの該機械情報を相互に関連付けて一組のデータ組として記憶し蓄積する
ことを特徴とする、印刷機の運転支援システム。 - 印刷機の各操作対象の作動量を最適なものに自動設定する印刷機の運転支援方法において、
制御モードに応じて排除すべき排除因子を設定し、該排除因子の排除に有効な該印刷機の複数の操作対象を操作グループとして割り付ける第1のステップと、
それぞれ印刷条件,印刷品質情報及び機械情報が相互に関連づけられた多数組のデータ組の中から、現状の所定の印刷条件と略一致する印刷条件下のデータ組を収集する第2のステップと、
該排除因子の有無を確認するための所定の印刷品質情報である評価パラメータと該操作グループとして選択された該操作対象とを座標軸とする座標上に、該収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、該操作グループとして選択された該操作対象の操作量特性線として設定し、該排除因子を排除すべく該操作量特性線に基づいて該操作対象の操作量を設定することを、該排除因子毎に行なう、第3のステップとをそなえて構成されている
ことを特徴とする、印刷機の運転支援方法。 - 該第1のステップでは、該制御モードが、定常運転下における品質の安定化を目的とするモードである場合には、該排除因子として、該排除因子として網点変動を設定するとともに、該網点変動についての操作グループにインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の4つの操作対象を割り付け、
該第3のステップでは、該排除因子として該網点変動が設定された場合には、評価パラメータとしてドット径を設定して、該ドット径と上記の操作グループに割り付けられたインキ供給量,湿し水供給量,インキ温度調整及び印圧の内の少なくとも1つの操作対象とをそれぞれ座標軸とする座標上に、該情報収集手段により収集されたデータ組を分布させ、該座標上における該データ組の分布特性を代表する主軸成分を、上記の少なくとも1つの操作対象における該網点変動についての操作量特性線として設定し、該網点変動を排除すべく、該操作量特性線に基づいて、上記の少なくとも1つの操作対象における操作量を設定する
ことを特徴とする、請求項7記載の印刷機の運転支援方法。
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