JP3556598B2 - 金属−空気バッテリのための均一なシェル - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、概して、金属−空気電力供給源に関し、さらに詳細には、均一な外側シェル内に配置されたセルスタックを有する金属−空気バッテリに関する。
【0002】
発明の背景
概して、金属−空気セルは、金属アノードから水性電解質により隔てられた1以上の酸素電極を含む。金属−空気セルはまた、ペースト状の電解質中に浮遊している金属アノード粒子と協働する1以上の酸素電極を含み得る。金属−空気セル、例えば亜鉛−空気セルの作動中に、周囲空気からの酸素、および電解質からの水は、酸素電極にて変換されて水酸化物イオンを生成する。次いで亜鉛はアノードにて酸化され、水酸化物イオンと反応し、それにより、水および電子が放出されて電気エネルギーを生じる。
【0003】
金属−空気セルは、ポータブル電子機器、例えばパーソナルコンピュータ、カムコーダおよび電話に電力を供給するための望ましい手段として認められてきた。慣用の電気化学的電源と比べて、金属−空気セルは、比較的高い出力をもたらし、寿命が長く、かつ比較的軽量である。これらの利点の一部は、金属−空気セルが、金属または金属組成物などの重材料ではなく周囲空気からの酸素を電気化学プロセスにおける反応体として用いるということによる。
【0004】
高出力を維持するように金属−空気セルに反応空気流をもたらし、また、出力が要求されないときに特に、セルを周囲空気および湿度変化から隔離するエアマネージャが発達してきた。例えば、機械的エアドアシステムが、チェキー(Chieky)の米国特許第4,913,983号に示されている。この文献は、周囲空気流をバッテリハウジング内の金属−空気セルのパックに供給するために用いられるファンを記載している。バッテリパックのスイッチをオンにすると、空気入口および空気出口に隣接した機械的エアドアが開き、ファンが作動して、ハウジングに出入りする空気流を発生させる。そして、バッテリをオフにするとエアドアが閉じて、セルを周囲から隔離する。機械的エアドアは、ファンが作動していないときに、酸素、水蒸気および混入物がハウジング内に出入りすることを制限するであろうが、このような機械的エアドアはバッテリハウジング自体の複雑さを増し、バッテリパック全体の寸法およびコストを必然的に増大させる。
【0005】
エアマネージャ技術における著しい改良が、「金属−空気バッテリのための拡散制御空気孔」と題された、本願と共に所有されているペディチーニ(Pedicini)の米国特許第5,691,074号に見られる。ペディチーニは、一実施形態において、入口および出口通路以外が周囲空気から隔離された金属−空気セルの群を開示している。これらの通路は、例えば、細長い管の形態を有し得る。空気移動装置、例えばファンをハウジング内に、酸素電極を横切る空気を循環させかつ新しくするように空気を入口および出口通路に強制的に通すために配置し得る。通路は、エアムーバの作動中に十分な空気流を通過させるように、なおかつ、通路が封止されておらずかつエアムーバが作動していないときに水蒸気の通過を制限するように寸法付けられる。
【0006】
エアムーバがオフでかつセル内の湿度レベルが比較的一定であるとき、ごく限られた量の酸素が通路を通って拡散する。セル内の水蒸気は、酸素電極が酸素に露出されることをかなりの程度防止する。酸素電極は周囲空気から水蒸気により十分に隔離され、それにより、機械的エアドアにより通路を封止せずともセルは長い「保存寿命」を有する。これらの通路を、それぞれの隔離能力に応じて「拡散チューブ」、「隔離通路」または「拡散制限通路」と称し得る。
【0007】
詳細には、本願の図1が、ペディチーニの特許において開示された金属−空気バッテリの一実施形態を示す。金属−空気バッテリ10は、ハウジング20内に取り囲まれた複数のセル15を含む。ハウジング20は、セル15を周囲空気から隔離するが、複数の通気孔25は周囲空気から隔離しない。単一の空気入口開口部30および単一の出口開口部35がここでは用いられている。循環ファン40が、ハウジング20に対流空気流を出入りさせ、かつハウジング20内でガスを循環および混合させるために設けられている。図1に示した矢印45は、反応空気をセル15に供給するための、気体のハウジング20への典型的な出入りおよびハウジング20内部での循環を示す。ファン40は空気を空気入口30を通してエアプレナム入口55に流入させ、セル15を横切らせ、エアプレナム出口65から排出させ、次いで、ハウジング20内で再循環させるか、または空気出口35から排出させる。
【0008】
隔離通路は、特に空気移動装置がオフの時に湿度が金属−空気セルに与える有害な影響を最小にするために働く。湿度レベルの高い周囲空気に露出された金属−空気セルは、セルの酸素電極を通じて過度の水を吸収して、「浸水」と称される状態により損傷することがある。あるいは、湿度レベルの低い周囲空気に露出された金属−空気セルは、過度の水蒸気をセルの電解質から酸素電極を通じて放出して、「乾燥」と称される状態により損傷することがある。隔離通路は、エアムーバがオフのときに金属−空気セルに出入りする水分を制限し、それにより、周囲の湿度レベルによる悪影響が最小化される。
【0009】
金属−空気セルに出入りする空気および水の移動に関する隔離通路の効率を、「隔離率」と称することができよう。「隔離率」は、セルの酸素電極が周囲空気に完全に露出されているときのセルによる水の損失または獲得を、セルの酸素電極が1以上の限られた開口部以外は周囲空気から隔離されているときのセルによる水の損失または獲得と比較した比率である。例えば、KOHの約35%水溶液の電解質溶液、約50%の内部相対湿度、約10%の相対湿度を有する周囲空気、および、ファンによる強制循環のない同一の金属−空気セルを仮定すると、周囲空気に完全に露出された酸素電極を有するセルからの水損失は、先に記載したタイプの1以上の隔離通路を除いて周囲空気から隔離された酸素電極を有するセルからの水分損失よりも100倍より大きいはずである。この例においては、隔離率は、約100対1より大きいであろう。
【0010】
ペディチーニによる上記の例に従えば、隔離通路はまた、ファンがオフであり内部湿度レベルが比較的一定であるときに酸素電極に到達し得る酸素の量を制限するように機能する。この隔離は、金属−空気セルの自己放電および漏電またはドレイン電流を最小にする。自己放電は、金属−空気セル内の、有効な電流を供給しない化学反応として特徴付けることができる。自己放電は、有効な電流を供給するための金属−空気セルの容量を減少させる。自己放電は、例えば、金属−空気セルが乾燥し、かつ亜鉛アノードが、使用していない期間にセル内に浸透した酸素により酸化されるときに生じる。ドレイン電流と同義語である漏洩電流は、酸素がエアムーバによりセルに供給されないときに金属−空気セルにより閉鎖回路に供給されることのある電流として特徴付けられる。上記の隔離通路はドレイン電流の総量を、出力電流よりも約50倍以上の倍率で、より少ない量に制限し得る。
【0011】
上記の隔離通路は、セルの使用中に酸素をセルに供給すること、およびセルを使用していないときにセルを隔離することにおいて有効であるが、バッテリの有効性は、全体として、通路が何らかの理由でふさがれたならば低下し得る。例えば、隔離通路は、水、砂、塵、または他の物質が偶然に通路を埋めまたは覆った場合に遮断されることがある。さらに通路は、バッテリが空気非透過性面に対して配置されても遮断されることがある。隔離通路が一旦遮断されてしまうと、セルは酸素の欠乏により作動しなくなるかもしれない。さらに、ユーザは、通路が詰まっているかどうか、またこの問題に如何に対処すべきかも分からないであろう。
【0012】
したがって、隔離通路の利点を維持しかつ適切な空気流通路を保証する金属−空気セルおよび/またはバッテリパックが必要である。これらの利点は、金属−空気セルの従来のパワーおよび寿命能力を提供する金属−空気セルまたはバッテリパックにおいて低コストで効率的に達成されなければならない。
【0013】
発明の概要
本発明は、金属−空気バッテリの改良に向けられている。金属−空気バッテリは、実質的に均一なシェル内に配置された隔離通路を有する金属−空気セルスタックを有利に提供する。実質的に均一なシェルは、セルスタックを水、塵および他の物質から保護し、隔離通路は、バッテリが作動していないときに金属−空気セルを周囲空気から保護する。このように、本発明は、高い隔離率を有し、なおかつ拡散通路が遮断または閉塞される可能性のない改良された金属−空気セルを提供する。
【0014】
本発明の一実施形態は、セルスタックに隣接し、かつ均一なシェル内に配置されたエアムーバを含む。シェルは、シリコン、ポリエチレンまたは他の材料から製造された薄フィルムの形態を有する、実質的に空気透過性でかつ水分不透過性の材料であり得る。あるいは、シェルは、複数の薄フィルムパネルを有する硬質のフレームであり得る。さらに、シェルは、シリコン膜で覆われた複数の空気孔を有するケーシングであってもよい。
【0015】
セルスタックは、複数の金属−空気セルおよび1以上のエアプレナムを含む。エアプレナムは、ほぼU字状の空気通路、または、空気を混合させるための複数のギャップを内部に有するバリケードを有し得る。隔離通路は、空気入口および空気出口を含む複数の通路を含み得る。隔離通路は、セルスタックに流入する空気流と平行な方向における第1の寸法と、セルスタックに流入する空気流に対して垂直な方向における第2の寸法とを有し得る。第1の寸法は前記第2の寸法よりも大きく、また、第2の寸法の2倍より大きくてもよい。エアプレナムはまた、1組の金属−空気セルの間の開放領域を含んでよい。
【0016】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下に記載する本発明の好ましい実施形態の詳細な説明を、図面および特許請求の範囲と共に検討することにより明らかになるであろう。
【0017】
発明の詳細な説明
ここで図面をさらに詳細に参照する。図中、複数の図面において類似の番号は類似の要素を示す。図2ないし4は、本発明の改良された金属−空気バッテリ100を示す。金属−空気バッテリ100は、金属−空気セルスタック110およびエアムーバ120を含む。エアムーバ120は、慣用のファン、ベローまたは類似のタイプの装置であってよい。この実施形態においては、約28立法フィート/分(792.87リットル/分)の容量を有する標準的なファンを用い得る。
【0018】
金属−空気セルスタック110およびエアムーバ120は実質的に均一なシェル130内に取り囲まれている。シェル130は任意の慣用の形状を有し得る。図2に示した矩形の形状は例示のためのものにすぎない。さらなる例として、図2Aは円柱形状を示す。シェル130に要求されることは、金属−空気セルスタック110を実質的に取り囲むことだけである。シェル130は正の電気接触点140および負の電気接触点150のために貫通されてもよい。
【0019】
シェル130は、好ましくは、空気透過性で水分不透過性の薄いフィルム135から製造される。フィルム135は、積層シリコーン、シリコーンゴム、または、シリコーンを膜層137として用いかつ多孔質支持層138を有する類似のタイプの材料であってよい。支持層138は、ポリエチレンを基材とした材料、例えば、ジョージア州フェアバーンのポレックス(Porex)・コーポレーションの商標ポレックスの下で入手可能な材料であってもよい。かかる材料は、全方向連続気泡気孔の網状組織を含む。他の好適な支持層138は、高密度ポリエチレン(HDPE);超高分子量ポリエチレン(UHMW);ポリプロピレン(PP);ポリフッ化ビニリデン(PVDF);ポリテトラフルオルエチレン(PTFE);ナイロン6(N6);ポリエーテルスルホン(PES);またはエチルビニルアセテート(EVA)から製造され得る。支持層138は膜層137よりもほぼ30%厚い。
【0020】
フィルム135は、セルスタック110内の電気化学反応を維持するためにフィルム135を通して十分に酸素拡散をさせるように実質的に十分に薄くなければならない。フィルム135は、また、水がフィルムを通って浸透することを防止し、かつ、電解質がセルスタック110から漏出してバッテリ100の外部と接触する可能性をなくすように実質的に水不透過性であるべきである。例えば、シリコーンゴムフィルム135を用いる場合には、フィルム135は約0.5ミル〜5ミル(0.127ミリメートル〜1.27ミリメートル)の厚さを有し得る。シェル130の表面積およびバッテリ100のドレイン率に応じて、かかるフィルム135は、バッテリ100に負荷がかけられたときに1日あたり約1,000〜10,000立方センチメートルの酸素をフィルム135を通して拡散させ得る。
【0021】
セルスタック110はシェル130内に配置されている。セルスタック110およびエアムーバ120は、ストラット160または類似の構造体によりシェル130に取り付けられ得る。図3および4に示した実施形態において、6個の金属−空気セル170がセルスタック110内に配置されている。1以上の空気電極、1以上の金属電極および電解質を有する任意の慣用タイプの金属−空気セル170を用いることができる。金属−空気セル170は、3つの組に、すなわち、上側の組180、真中の組190および下側の組200に配置され得る。上側の組180と真中の組190の間に上側分離層210が配置されている。真中の組190と下側の組200の間に下側分離層220が配置されている。分離層210,220は実質的に硬質の、空気不透過性の材料から製造され、または、単純に金属−空気セル170の外側ケーシング上の複数の突出部であってもよい。
【0022】
金属−空気セルの組180,190,200の各々の内部にエアプレナム230が配置されている。エアプレナム230は、1以上の隔離通路235を介して、反応空気をそれぞれの金属−空気セル170にもたらす。図5は、エアプレナム230の設計を単純化して示す。空気は空気入口240からエアプレナム230に入り、バリア250の周囲を通り、次いで空気出口260から出ていく。この通路235(空気入口240および空気出口260)は本質的に矩形であり、より正確には、セルスタック110の壁部内の「ギャップ」として定義され得る。通路235およびエアムーバ120は、周囲空気が空気入口240からセル170の酸素電極に向かって流入し、かつ、酸素が消耗された空気が酸素電極から離れて空気出口260を通って排出するように配置される。さらに、第1グループの通路235は共に入口として機能し、第2グループの通路235は共に出口として機能し得る。
【0023】
ここでは1つの空気入口240と1つの空気出口260が示されているが、単一の通路235を往復動エアムーバ120と共に用いてもよいことが理解される。別の方法においては、周囲空気が通路235を通って酸素電極に向かって流れ、次いで酸素が少なくとも部分的に消耗された空気が酸素電極から離れて通路235を通って流れる。さらに、複数の通路235を、それらの通路235が入口として一斉に機能し、その後出口として一斉に機能するように全体として交互に用いてもよい。1以上の通路235を通る往復動空気流により空気が酸素電極に供給される場合には、エアムーバ120が酸素電極付近の空気の少なくとも幾らかを混合させることが好ましい。この混合は、比較的均一な酸素分布に電極が露出されることを保証する。
【0024】
本願の隔離通路235は、(i)負荷に電力を供給するための出力電流を金属−空気セル170が供給するように、エアムーバ120の作動中に十分な空気流を通路235に通すため、また、(ii)酸素電極が少なくとも部分的に周囲空気から隔離されるように、通路235が封止されずかつエアムーバ120が作動していないときに通路235を通る空気の流れおよび拡散を制限するように、寸法付けられる。隔離通路235は、内部の水蒸気がセルの酸素電極を保護するように一定の湿度レベルを維持する。各隔離通路235は、周囲空気と酸素電極との間に開放連絡通路を少なくとも部分的に形成しつつ隔離機能をもたらす。それゆえ、隔離通路235は、隔離通路235を封止するための慣用的なエアドア又はドア等を必要とせずに隔離機能をもたらす。これらの隔離通路235は、金属−空気セル170の効率、パワーおよび寿命を保持する。
【0025】
隔離通路235は、エアムーバ120が作動していないときに空気の流れおよび拡散を実質的に制限するが、幾つかのシステムにおいては、隔離通路235を通しての限られた量の拡散を可能にすることが望ましい。例えば、隔離通路は、二次または蓄金属−空気セルにおいて、酸素を酸素電極から周囲環境へ拡散させ得る。別の例として、少なくとも限られた量の酸素を、周囲空気から隔離通路235を通して酸素電極へ拡散させ得る。この限られた量の拡散が、電流需要が低いまたは無の状態から出力電流が最大の状態に金属−空気セル170が移行するときに生じ得るいずれの遅れも最小にするように、一定の「開放セル電圧」を維持する。
【0026】
隔離通路235は、十分な出力電流、典型的には少なくとも50ミリアンペア、好ましくは少なくとも130ミリアンペアの出力電流を金属−空気セル170から得ることができるように、エアムーバが作動している間に十分な量の空気流が隔離通路235を通って流れることを可能にするように構成および配置されることが好ましい。さらに、隔離通路235は、エアムーバ120が作動していないときの漏洩電流すなわちドレイン電流が出力電流よりも約50倍以上小さいように、隔離通路235を通る空気流および拡散を制限するように構成されることが好ましい。さらに、隔離通路235は、好ましくは50対1よりも大きい「隔離率」をもたらすように構成される。
【0027】
さらに詳細には、隔離通路235は、各々、そこを貫通する流れの方向に対してほぼ垂直な幅262および高さ263と、貫通する流れの方向に対してほぼ平行な長さ264とを有することが好ましい。これらの寸法は、エアムーバ120が隔離通路235に空気流を強制的に通さないとき、隔離通路235を通る空気流および拡散を実質的に除去するように選択される。長さ264は、好ましくは、幅262および高さ263よりも長く、さらに好ましくは、長さ264は、幅262および高さ263の約2倍よりも長い。より大きい比率を用いることが好ましい。金属−空気セル170の性質および通路235の設計に応じて、比率は約10対1より大きくてもよい。特定の用途のための好ましい寸法は、通路およびプレナムの幾何学的形状、用いられる特定のエアムーバ、ならびに、所望のレベルにてセルを作動するのに必要な空気の容積に関係するであろう。
【0028】
図3ないし6の例において、各金属−空気セル170は、約3.2インチ(81.28ミリメートル)の長さ、約1.6インチ(40.64ミリメートル)の幅および約0.25インチ(6.35ミリメートル)の高さを有する。同様に、3つのエアプレナム230の各々も、約3.2インチ(81.28ミリメートル)の長さおよび約3.2インチ(81.28ミリメートル)の幅を有することになる。エアプレナム230の高さは約0.04インチ(1.016ミリメートル)となろう。隔離通路235は、各々、約0.2インチ(5.08ミリメートル)の長さ264、約0.04インチ(1.016ミリメートル)の高さ263、および、約0.1インチ(2.54ミリメートル)の幅262を有し得る。したがって、本発明の実施形態の矩形構造において、長さ264の、幅262と高さ263に対する比率は約2対1である。
【0029】
隔離通路235は必ずしも矩形でなくてよい。なぜなら、所望の隔離をもたらす断面形状であればいずれの形状も適するからである。例えば、隔離通路235は管状でもよく、この場合、隔離通路235は約0.04インチ(1.016ミリメートル)の直径および約0.2インチ(5.08ミリメートル)の長さを有するものであってもよい。隔離通路235は、また、隔離通路235の少なくとも一部が望ましい隔離をもたらすように作動するのであれば、長さに沿って均一である必要はない。さらに、隔離通路235は、長さ264に沿って真っ直ぐでも湾曲していてもよい。実際、隔離通路235は、空気および水蒸気を、それらが周囲空気から空気電極へ移動するときに、十分に制限された通路を進ませさえすればよい。他の隔離通路およびシステムの例は、米国特許第5,691,074号および米国特許出願第08/556,613号に開示されている。
【0030】
エアムーバ120の作動に応じて空気流を通過させるための隔離通路235の好ましい容量は、金属−空気セル170の望ましい容量によって決まる。複数の通路の集合空気流量が好ましい総空気流量と等しくなるように、任意の個数の隔離通路235を用いることができる。当業者は、エアムーバ120により発生される圧力差が増大した場合には、隔離通路235の長さ264を長くし、および/または断面積を小さくし得ることを理解するであろう。エアムーバ120により発生される圧力差と隔離通路235の寸法との釣合を見つけることができ、この釣合で、エアムーバ120が空気を隔離通路235内に強制的に通さないとき、隔離通路235を通る空気流および拡散が十分に低減されるであろう。このように、本発明は、適切な隔離率を有し、空気通路235が遮断されまたは覆われてもそれに関係なく任意の配置方向において作動することができるバッテリ100を得る。むしろ、空気はいずれの方向からもシェル130を浸透することができる。
【0031】
図7は別のエアプレナムの設計を示す。この設計において、エアプレナム270は、一連のギャップ290をその内部に有するバリケード280を有する。ギャップ290は空気を通過させ、また、気体がエアプレナム270内で混合することを促進する。本発明のセルスタック110には、任意の慣用の内部エアプレナムの設計を用いることができる。
【0032】
図8は本発明の別の実施形態を示す。この図は、変型シェル310を有する金属−空気バッテリ300を示す。この実施形態において、シェル310は、実質的に硬質のフレーム320および複数のフィルムパネル330を含む。硬質のフレーム320は、実質的に硬質で非導電性の任意のポリマーまたは類似の材料から製造され得る。フィルムパネル330は先に述べたフィルム135の材料と同一の材料から製造される。パネル330は、ヒートシール、ホットメルト接着または類似の接着手段により硬質のフレームに連結されている。硬質のフレーム320は任意の慣用の形状をなし得る。唯一の必要条件は、パネル330が十分な酸素を通過させるために十分な寸法を有さなければならないことである。
【0033】
図9は本発明のさらなる実施形態であり、変型シェル400を示す。変型シェル400は、複数の空気穴420を有する硬質のケース410を有する。硬質のケース410は、実質的に硬質の任意の非導電性ポリマーまたは類似の材料から製造され得る。空気穴420は、十分な空気流を通過させるための任意の寸法または個数であり得る。そして、ケーシング410および空気穴420は、先に記載した薄いフィルム135または膜層137と類似したシリコーン膜430により順次覆われている。膜430はケーシング410のいずれの側にも配置され得る。膜430は、慣用の手段により固定するように取り付けられ、またはケーシング410上に真空成形され得る。
【0034】
図10および11は、本発明の別の実施形態を示す。これらの図は、複数の「開放」エアプレナム360を有する変型セルスタック350を示す。先に記載したエアプレナム230,270と比較して、この実施形態において示される開放エアプレナム360は、側壁、空気入口および空気出口を有さない。むしろ、開放エアプレナム360は、複数の金属−空気セル170の間に配置された複数の支柱370または他の支持構造体を有するだけである。しかし、エアプレナム360の高さ(すなわち、空気流の方向に対して垂直な方向)はかなり低減される。
【0035】
この実施形態において、各エアプレナム360の高さは約0.01インチ(0.254ミリメートル)にすぎない。このような非常に低い高さは、空気または水蒸気がこの狭いギャップ内を移動してエアプレナム360を横切らなくてはならないため、幾分かの隔離機能をもたらす。隔離機能は、エアプレナム360の外周上においてはそれほど効果的ではないかもしれないが、エアプレナム360の内部は拡散から十分に保護される。しかし、このように高さが低ければ、エアプレナム360内を横切って通過する十分な空気流をもたらすために、より強力なファン120が必要であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願と共有される米国特許第5,691,074号に記載された拡散通路を用いた金属−空気バッテリの一実施形態を示す。
【図2】図2は、均一な矩形の外側シェルを有する本発明の金属−空気バッテリの斜視図であり、図2Aは、均一な円柱状の外側シェルを有する本発明の金属−空気バッテリの斜視図である。
【図3】図3は本発明の金属−空気バッテリの断面図であり、図3Aは、膜層および支持層を示すフィルムの断面図である。
【図4】図4は、本発明のセルスタックの平面図である。
【図5】図5は、本発明のエアプレナムの断面図である。
【図6】図6は、本発明の隔離通路の斜視図である。
【図7】図7は、別のエアプレナムの断面図である。
【図8】図8は、別の外側シェルを有する本発明の金属−空気バッテリの斜視図である。
【図9】図9は、別の外側シェルを有する本発明の金属−空気バッテリの分解図である。
【図10】図10は、別の設計のエアプレナムを有する本発明の金属−空気バッテリの斜視図である。
【図11】図11は、本発明の別のエアプレナムの断面図である。
Claims (26)
- 空気電極を有するセルを含む改良された金属−空気バッテリであって、
実質的に空気透過性で水分不透過性の材料を含むシェルと、
前記シェル内に配置された金属−空気セルスタックとを有し、前記スタックは空気電極を有する金属−空気セルを含み、
前記金属−空気セルスタックは隔離通路を有し、
前記金属−空気セルスタックは、前記バッテリの作動のため酸素が前記材料を通過する間、前記シェルに取り囲まれたままであり、
前記隔離通路は、前記シェルと前記空気電極との間に配置され、前記バッテリが作動していない間、前記金属−空気セルを周囲空気から保護するように寸法付けられる金属−空気バッテリ。 - 前記シェル内に配置されたエアムーバをさらに含む請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 負荷に電力を供給するための出力電流を供給するため、前記金属−空気セルを作動させるために十分な空気流を前記隔離通路に通すため、前記シェル内に配置されたエアムーバをさらに含み、前記隔離通路は、前記エアムーバが作動していないとき、封止されないまま通路を通る空気の流れを制限する、請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記セルスタックが、空気電極に対向して近接して間隔をあけて配置された対向するセル間に開放エアプレナムを形成する一対の金属−空気セルを含み、前記隔離通路は前記エアプレナムを有する、請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記シェルが薄いフィルムを含む請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記シェルがシリコンを基材とした材料を含む請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記シェルが、ポリエチレンを基材とした材料を含む請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記シェルが硬質のフレームを含む請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記シェルが複数のフィルムパネルを含む請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記シェルがケーシングを含む請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記ケーシングが複数の空気穴を含む請求項10に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記シェルがシリコン膜を含む請求項11に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記セルスタックが複数の金属−空気セルを有する請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記セルスタックがエアプレナムを有する請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記エアプレナムがほぼU字状の空気通路を含む請求項14に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記エアプレナムが複数のギャップを内部に有するバリケードを含む請求項14に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記エアプレナムが複数の支柱を有する前記請求項14に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記セルスタックが1組の金属−空気セルを含み、前記エアプレナムがセルの前記組の間に配置された請求項14に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記エアプレナムが金属−空気セルの前記組の間の開放領域を含む請求項18に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記隔離通路が複数の隔離通路を含む請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記隔離通路が空気入口および空気出口を有する請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記隔離通路が、前記セルスタックに流入する空気流と平行な方向における第1の寸法と、前記セルスタックに流入する空気流に対して垂直な方向における第2の寸法とを有する請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記第1の寸法が前記第2の寸法よりも大きい請求項22に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記第1の寸法が前記第2の寸法の2倍よりも大きい請求項23に記載の金属−空気バッテリ。
- 前記シェルを通る酸素の浸透が前記バッテリを作動するための単独の源である請求項1に記載の金属−空気バッテリ。
- 空気電極を有するセルを含む改良された電源であって、
実質的に空気透過性で水分不透過性の材料を含むシェルと、
前記シェル内に配置されたセルスタックとを有し、前記スタックは空気電極を有するセルを含み、
前記セルスタックは隔離通路を有し、
前記セルスタックは、前記電源の作動のため酸素が前記材料を通過する間、前期シェルに取り囲まれたままであり、
前記隔離通路は、前記シェルと前記空気電極との間に配置され、前記電源が作動していない間、前記セルを周囲空気から保護するように寸法付けられる電源。
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