JP3556499B2 - 乗用型芝生面清掃機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーシング内に回転ブラシと送風羽根とが相上下して配設された回転ブラシユニットを備えた乗用型芝生面清掃機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用型の機体と、該機体に昇降可能に装着されて、芝生面に残存している枯草類を掬い上げて吸引回収するための回転ブラシユニットと、該回転ブラシユニットを構成するケーシングの後下端部に取付けられた接地ローラと、前記回転ブラシユニットの後方に着脱可能に装着されて、該回転ブラシユニットにより吸引回収された枯草類、塵類を収容させるための集塵バケットとを備え、前記回転ブラシユニットは、そのケーシング内に回転ブラシと送風羽根とが相上下して配設された構成の乗用型の芝生面清掃機は、枯草類の回収能力の大きな大型の芝生面清掃機として使用されている。
【0003】
この芝生面清掃機においては、回転ブラシのみならず、そのほぼ直上に配設された送風羽根が該回転ブラシと同方向に高速回転して吸引気流を生じさせているので、枯草類の回収能力が高くなって清掃効果が優れ、しかも送風羽根の作用により内部に送り込まれた枯草類、塵類を収容するための集塵バケットは、昇降リンク装置によって、その排出口が下方を向くように反転させられながら、斜後上方に持ち上げられて、収容された枯草類、或いは塵類を排出させられて、その排出も容易であるために、多用されている。
【0004】
ところで、図14に拡大して示されているように、回転ブラシユニットU’を構成するケーシング12の後下端部に取付けられた接地ローラ48と、該ケーシング12内に配設された回転ブラシ13のブラシ毛44の先端部との間には、所定の隙間が形成されていて、前記接地ローラ48に付着した土は、スクレーパ(図示せず)によって掻き落される構成になっていた。しかし、この構成では、使用中において、接地ローラ48の表面に、前記スクレーパの先端部との隙間に対応する厚さの土が付着してしまう。これにより、回転ブラシユニットU’の作業位置が、設定した位置よりも高くなってしまい、芝生面に散在している枯草類の清掃作業(吸引回収作業)に悪影響が出ていた。
【0005】
また、図14に示されるように、回転ブラシユニットU’のケーシング12の前板部17の内側面の下端部(正確には、前板部17の内側に近接配置された掬上案内板53の下端部)には、ゴム製のへら板65が芝生面に近接して取付けられていて、該へら板65と回転ブラシ13のブラシ毛44の先端との間には、所定の隙間68が形成されている。清掃作業中においては、枯草類と一緒に土類Dがケーシング12内に吸引され、そのまま上方に上がりきれない(吸引されない)ために、ケーシング12の前板部17の内側面の前記へら板65の直上の隙間68に土類Dが残って、そのまま付着・堆積してしまう。そして、清掃作業中においては、上記部分に付着・堆積した土類は、そのままの状態を維持しているが、機体の旋回時等においては、回転ブラシユニットU’を上昇させる必要があり、この際の停止衝撃力等によって、上記部分に付着・堆積していた土類Dが前記隙間68の下端部を通って、芝生面上に固まったまま落下してしまう「ぼた落ち」が発生していた。このため、この「ぼた落ち」の部分のみを、再度人手等により清掃する必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の課題は、上記した回転ブラシユニットを備えた乗用型芝生面清掃機において、接地ローラに土が付着しないようにして、回転ブラシの清掃高さを常に設定通りに保持可能にすることであり、その第2の課題は、回転ブラシユニットを上昇させる際に、上記「ぼた落ち」の発生を防止することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の課題を解決するために本発明の採用した手段は、上記構成の乗用型芝生面清掃機において、前記回転ブラシユニットを構成する回転ブラシを前記接地ローラに接触させたことである。
【0008】
これにより、清掃作業中において、回転ブラシは、常時接地ローラに接触しているために、接地ローラに土類が付着を開始する初期において、その付着が阻止されて、全清掃作業中において、接地ローラには、土類が付着していない状態を維持できる。この結果、回転ブラシの高さは、常時設定高さに維持されて、予め設定した最良条件の下で芝生面の清掃作業が行われる。
【0009】
また、第2の課題を解決するために本発明の採用した手段は、上記構成の乗用型芝生面清掃機において、前記回転ブラシユニットの上昇時において、そのケーシングの前板部の内側面に付着・堆積している土類が落下するのを防止するための土類落下防止板を、前記前板部の内側面の下端部に、前記回転ブラシと軽接触した状態で、該ケーシングの横方向に沿って取付けたことである。
【0010】
機体の旋回時等において、回転ブラシユニットを上昇させた場合においても、土類落下防止板の存在によって、ケーシングの前板部の内側面に付着・堆積している土類は、そのままの状態を維持して、落下しなくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。最初に、本発明に係る乗用型芝生面清掃機の全体構成について説明し、その後に、本発明に係る回転ブラシユニットUの部分について詳細に説明する。図1は、集塵バケットBを斜後上方に持ち上げた状態の本発明に係る芝生面清掃機の全体斜視図であり、図2は、作業状態における芝生面清掃機の側面図であり、図3は、同じく平面図であり、図4は、背面カバーCを取り外した状態における回転ブラシユニットUの斜視図である。機体1は、一つの前輪2と、一対の後輪3とを備えた三輪構造のものであって、その運転席4の側方には、油圧ポンプと、該ポンプを駆動するためのエンジン(いずれも図示せず)とが搭載されている。機体1は、これに設けられた一対の後輪3が油圧モータ5により駆動回転されて、自走する構成である。
【0012】
機体1における運転席4の後方には、回転ブラシユニットUが昇降可能に装着され、該回転ブラシユニットUの後方には、集塵バケットBが昇降リンク装置Lによって斜後上方に向けて昇降可能となって装着されている。機体1の運転席4の後方であって、しかも該機体1の幅方向の両端部には、一対の第1支柱6が立設されて、一対の第1支柱6は、高さ方向の中央部よりも上方の部分において連結バー7を介して互いに連結されていると共に、各第1支柱6は、その背面側に取付けられた支持アーム8によって、その起立姿勢が維持される構造になっている。また、機体1の後端部であって、しかもその幅方向の両端部には、一対の第2支柱9が立設されている。この一対の第2支柱9は、機体1に対して回転ブラシユニットUを支持するための平行リンク装置Lを構成する各リンク11の後端部を回動可能に連結するための部材であって、前記第1支柱6よりも、その高さが低くなっている。
【0013】
次に、機体1に対する回転ブラシユニットUの取付構造について説明する。回転ブラシユニットUは、ケーシング12の内部に回転ブラシ13と送風羽根14とが相上下して配設されて、それらの回転軸がケーシング12の各側板部15に支持された構成である。この回転ブラシユニットUは、平行リンク装置Lを介して機体1に昇降可能に支持されている。回転ブラシユニットUの両側板部15には、平行リンク装置Lを構成する上下2本の各リンク11の前端部を回動可能に連結するための連結部16が相上下して突設されている。また、回転ブラシユニットUの両側板部15には、その前板部17よりも前方に突出した状態でブラケット18がそれぞれ取付けられ、前記前板部17の前方に水平に配設されたユニット支持ロッド19の両端部が前記各ブラケット18に支持され、該支持ロッド19の長手方向の中央部に、後述するユニット昇降シリンダSのロッド21に連結される第1連結ブラケット22(図6参照)が上方に向けて固着されている。
【0014】
また、回転ブラシユニットUの両側板部15に突設されている前記各連結部16と、第2支柱9とは、平行リンク装置Lを構成する2本のリンク11を介して連結されている。また、図5及び図6に示されるように、一対の第1支柱6を連結している連結バー7の長手方向の中央部には、第2連結ブラケット23が下方を向いて固着されていて、ユニット昇降シリンダSのシリンダ本体24の上端部は、前記第2連結ブラケット23に連結されていると共に、そのロッド21の下端部は、回転ブラシユニットUの側の前記第1連結ブラケット22に連結されている。従って、回転ブラシユニットUは、その両側に配設された一対の平行リンク装置Lと、ユニット昇降シリンダSとによって、機体1に対して昇降可能に支持されている。即ち、回転ブラシユニットUが芝生面に接地している状態において、ユニット昇降シリンダSのロッド21を引っ込めると、一対の平行リンク装置Lの作用によって、その水平姿勢が維持された状態でもって、僅かに前後動しながら上昇されて、回転ブラシユニットUは、非作業位置に配置される。また、逆に、回転ブラシユニットUが非作業位置に配置されている状態で、ユニット昇降シリンダSのロッド21を突出させると、回転ブラシユニットUは、自重により、上記と同一状態で下降して、芝生面Fに接地されて、作業位置に配置される。なお、回転ブラシユニットUの昇降時において、その後方の集塵バケットBとの干渉を避けるために、平行リンク装置Lを構成する各リンク11は、作業時において、僅かに前下りとなっている。
【0015】
次に、図1ないし図3、及び図12を参照にして、集塵バケットBそのものの構造と、機体1に対する取付構造とについて説明する。この集塵バケットBは、その前端面に設けられたバケット側接続口25が、前記回転ブラシユニットUのケーシング12の背面側の上端部に設けられたケーシング側接続口26(図5参照)に接続されて、回転ブラシユニットUから送り込まれる枯草類、塵類を収容すると同時に、その背面側に設けられた排出口27が下方又は斜下方を向くように反転させることにより、内部に収容されている前記枯草類、塵類を排出可能にするためのバケットである。集塵バケットBは、バケット本体28と、その背面側の排出口27を開閉可能に閉塞するための背面盤29とから成り、両者28,29は、バケット本体28の両側面にそれぞれ配設された長さの異なる2本のリンク31,32で連結されていると共に、バケット本体28の背面部と、前記背面盤29の上端部とが排出口開閉シリンダSにより連結されて、該シリンダSのロッドの出入りにより、背面盤29をバケット本体28に対して前傾させながら上方に持ち上げることにより、バケット本体28の排出口27を開閉する構成である。
【0016】
また、図12に示されるように、集塵バケットBのバケット本体28の内部の天板部33には、隔壁板34が設けられていると共に、背面盤29の内部は中空構造になっていて、その下端面は開放された空気排出口35となっており、枯草類、塵類と一緒にバケット本体28内に流入した気流は、前記隔壁板34により分離形成された気流通路、及び背面盤29の内部を通って、その下端の空気排出口35から排出される構成になっている。
【0017】
また、バケット本体28の両側面における排出口27に近接した部分と、前記した各第1支柱6の上端部とは、長さの異なる2本のリンク36,37で構成される昇降リンク装置Lを介して連結されている。2本のリンク36,37のうち下方に配置された長さの長い側のリンク36における第1支柱6に近い部分と、該第1支柱6の下端部とは、バケット昇降シリンダSを介して連結されており、該シリンダSのロッドの出入りによって、集塵バケットBは、その排出口27が下方、或いは斜下方を向くように反転されながら、斜後上方、或いは斜前下方に向けて昇降するようになっている。そして、集塵バケットBは、その下降端に達した状態では、機体1の後端部に立設された一対の第2支柱9の間に配置された状態で、回転ブラシユニットUの後方に配置されて、該集塵バケットBの前端面のバケット側接続口25と、回転ブラシユニットUを構成するケーシング12のケーシング側接続口26とが合致して、相互に接続されるようになっている。なお、図12に示されるように、バケット本体28の前端面のバケット側接続口25と、その後端面の排出口27の周縁部には、それぞれゴムパッキン38,39が取付けられて、芝生面清掃機の作業時において、回転ブラシユニットU、或いは背面盤29と密着した際に、その密着部の気密が図られている。
【0018】
引き続いて、図4ないし図7、及び図10を参照にして、本発明の特徴が存する回転ブラシユニットUの部分について、詳細に説明する。回転ブラシユニットUの全体構成は、前記ケーシング12の内部に回転ブラシ13と送風羽根14とが相上下して配置されて、それらの各軸41,42が前記ケーシング12の両側板部15の部分で軸受(図示せず)を介して回転可能に支持されて、ケーシング12の背面側に背面カバーCが着脱可能に取付けられた構成である。
【0019】
また、回転ブラシ13は、ブラシ軸41に取付板43を介して複数個(実施例では6個)のブラシ毛44が軸方向のほぼ全長に亘り、しかも周方向に沿って等間隔をおいて取付けられた構成である。一方、送風羽根14は、羽根軸42に複数枚(実施例では3枚)の羽根板45が軸方向のほぼ全長に亘り、しかも周方向に沿って等間隔をおいて取付けられた構成である。送風羽根14は、その羽根軸42の一端部に油圧モータ46(図3参照)が直結されていて、該油圧モータ46により駆動回転され、回転ブラシ13は、送風羽根14の羽根軸42の回転がベルト伝動装置47(図4参照)を介して自身のブラシ軸41に伝達されて、前記送風羽根14と同一方向に回転する構成になっている。
【0020】
また、図2、図4、図5及び図12に示されるように、作業時における回転ブラシユニットUの高さを定めるための接地ローラ48が前記回転ブラシ13の直後に配設されている。即ち、ケーシング12の両側板部15の下端部であって、しかも前端に近い部分に、それぞれローラ支持アーム49が連結されて、各ローラ支持アーム49の後端部に前記接地ローラ48の両端部が支持されている。また、ローラ支持アーム49における接地ローラ48を支持している後端部の手前側の部分と、ケーシング12の両側板部15に突設状態で固着された支持ロッド51とは、ターンバックル52を介して連結されていて、該ターンバックル52の操作によって、ケーシング12に対する接地ローラ48の上下方向に沿った位置を調整可能にしている。また、前記回転ブラシ13の各ブラシ毛44は、図6及び図7に示されるように、接地ローラ48の外周面に所定の接触圧力で常時接触している。ここで、接地ローラ48に対する各ブラシ毛44の接触圧力は、清掃作業時に該接地ローラ48の従動回転中において、その外周面に付着せんとする土類が直ちに掻き落とされて、その付着を防止できる程度の圧力である。
【0021】
また、図4、図5及び図10に示されるように、ケーシング12の背面に装着された背面カバーCを取り外すと、該ケーシング12の背面は、全面開口された形状を成していて、その前板部17の上下端部は、送風羽根14及び回転ブラシ13の各直径に対応した円弧状にわん曲されていて、それらの外周との間に僅かの隙間が形成されるようになっている。本実施例では、ケーシング12の前板部17の内側に、その内側面との間に僅かの隙間を有して掬上案内板53が全高に亘って配設されていて、該掬上案内板53の内側面と送風羽根14及び回転ブラシ13との間に所定の隙間が形成されている。また、図4に示されるように、ケーシング12の背面側の上半部には、前記集塵バケットBの前端面のバケット側接続口25の周縁部が当てがわれるために、その両側端部と上端部とには、それぞれ当板54,55が外側及び上側に向けて一体に取付けられている。
【0022】
更に、前記背面カバーCは、図4及び図5に示されるように、背面が全面開口されたケーシング12の背面開口の上端部のケーシング側接続口26となる部分を除いた全範囲を覆うためのカバーであって、回転ブラシ13及び送風羽根14の直径にそれぞれ対応した円弧状を成していて、その長さがケーシング12の背面開口の幅に対応した2枚の各円弧板56,57の両端部が一対の側板58で連結されて一体化され、更に、上方の円弧板57の背面側に、ほぼ平板状のバケット当板59が該円弧板57の上端よりも上方に突出した状態で一体に取付けられ、各側板58に相上下して一対の係合ピン61が外側面から突出して設けられた構成である。このため、背面カバーCは、先端に向けて急激に先細り状となった形状をしている。
【0023】
また、ケーシング12の両側板部15の後端部には、背面カバーCの両端の各係合ピン61が係合される上下一対の各係合溝62が後端面に開口し、しかも僅かに前下りとなった状態で形成されている。よって、背面カバーCの両端部に設けられた各係合ピン61を、ケーシング12の両側板部15の各係合溝62に係合させて、該背面カバーCを構成する各円弧板56,57をケーシング12内に挿入すると、図5及び図10に示されるように、各円弧板56,57が回転ブラシ13の斜上方、及び送風羽根14の斜下方に配置されて、背面カバーCの背面開口の大部分が覆われて、該ケーシング12の上端部の残った開口が、ケーシング側接続口26となる。そして、この状態において、昇降リンク装置Lによって集塵バケットBを回転ブラシユニットUの後方まで移動させて配置すると、図8及び図12に示されるように、集塵バケットBの前端面の周縁に取付けられた方形枠状のゴムパッキン38が、ケーシング12の背面側に設けられている左右一対の当板54、上方の当板55及び下方に配置されているバケット当板59にそれぞれ密着して、ケーシング12のケーシング側接続口26と、集塵バケットBの側のバケット側接続口25とがほぼ気密状態で接続されると同時に、集塵バケットBの前端面の下端部分が背面カバーCの上端部のバケット当板59に当接することにより、ケーシング12に対して背面カバーCが後方に移動不能となって、取り外れなくなる。
【0024】
逆に、回転ブラシユニットUの後方に集塵バケットBが配置された作業状態において、昇降リンク装置Lを作動させて、前記集塵バケットBを斜後上方に移動させておいて、背面カバーCを僅かに上方に持ち上げるようにして、そのまま後方に引き抜くと、ケーシング12の背面の開口の大部分を覆っていた背面カバーCが該ケーシング12から取り外されて、図4に示されるように、ケーシング12の背面の全面が開口する。このケーシング12の背面が全面開口された状態において、この開口から高圧蒸気等をケーシング12の内側面、特に前板部17の内側面に吹き付けて、当該部分に付着している土等の付着堆積物を取り除く。ケーシング12の背面が全面開口されているために、高圧蒸気等の噴射作業にも全く支障はなく、しかもケーシング12の内側面の望む部位に高圧蒸気等を吹き付けられるために、ケーシング12の内側面の洗浄効果が高められる。更に、背面カバーCは、ケーシング12から取り外されているため、その内側面である各円弧板56,57の表面に付着した付着堆積物の洗浄除去は、一層簡単となる。なお、図1及び図3において、63,64は、それぞれ運転席4の前方及び側方に設けられた操作ハンドル及び操作盤を示す。
【0025】
また、図6及び図7に示されるように、ケーシング12の前板部17の内側面に近接して設けられた前記掬上案内板53の下端部には、ゴム製のへら板65がケーシング12の横方向(水平方向)に沿って取付けられていて、その下半部は、前記掬上案内板53の下端から斜下方に向けて突出している。このへら板65は、清掃作業時において、ケーシング12の前板部17の下端と芝生面Fとの間に生ずる芝生面隙間を少なくして、回転ブラシ13の高速回転によって掬い上げられた枯草類が前記芝生面隙間を通って前方に飛散されたりすること等を防止するために設けられている。
【0026】
そして、本発明においては、ゴム製の前記へら板65の上半部に、同じくゴム製の土類落下防止板66が重ね合わせられた状態で取付けられている。このへら板65と土類落下防止板66とは、ケーシング12に対して掬上案内板53を取付けるためのボルト67を介して該掬上案内板53の内側面に一体に取付けられている。土類落下防止板66は、その取付状態において、回転ブラシ13のブラシ毛44が軽接触する程度である。これにより、回転ブラシ13の下半部と、掬上案内板53の内側面との間に形成される隙間68は、その下端部において閉塞された構造となる。また、土類落下防止板66に対する回転ブラシ13のブラシ毛44の接触の程度は、その接触圧力が極めて小さな軽接触であるために、回転ブラシ13の高速回転によって、芝生面Fに散在している枯草類T’を掬い上げてケーシング12内に吸引回収する作用(清掃作用)は、全く阻害されずに、そのまま維持可能である。
【0027】
引き続いて、本発明に係る芝生面清掃機の作用について説明する。ユニット昇降シリンダSによって、回転ブラシユニットUを下降させて、その接地ローラ48を芝生面に接地させた状態で、機体1を走行させると、図12に示されるように、回転ブラシユニットUのケーシング12内に配設された回転ブラシ13及び送風羽根14が同方向に回転することにより、回転ブラシ13によって、芝生T内に残存している枯草類T’がケーシング12内に掬い上げられ、送風羽根14の回転により、その下方に及んでいる吸引力と、送風羽根14の回転作用とによって、ケーシング12内に掬い上げられた枯草類T’及び軽量の塵類は、ケーシング12の上端部の集塵バケットBとの接続開口を通って、集塵バケットB内に収容される。一方、集塵バケットB内においては、バケット本体28の天板部に隔壁板34が設けられているために、吸引された塵類は、該隔壁板34に衝突して、そのまま落下するために、空気のみが、背面盤29の中空部を通って大気に放出される。
【0028】
また、芝生面の清掃作業中においては、上記枯草類T’と一緒に土類Dも芝生面からケーシング12内に掬い上げられて、ケーシング12の前板部17の内側面、即ち、掬上案内板53の内側面の前記隙間68の部分に土類Dが付着して堆積する。そして、機体1の旋回時等においては、図9、図11及び図13でそれぞれ実線で示されるように、回転ブラシ13を回転させたままで、ユニット昇降シリンダSの作動によって、回転ブラシユニットUを芝生面から上昇させる。このようにして、回転ブラシユニットUを上昇させる際に、従来構造では、前記隙間68に収容されて、掬上案内板53の内側面に付着・堆積している土類Dは、該隙間68の下端部から芝生面の上に固まったままの状態で落下してしまうが、本発明においては、前記隙間68の下端部が土類落下防止板66によって閉塞されているために、その付着・堆積状態を維持したままとなって、土類Dの「ぼた落ち」が防止される。
【0029】
更に、接地ローラ48に関しても、回転ブラシ13のブラシ毛44が常時接触しているために、接地ローラ48に土類Dが付着を開始する初期において、その付着が阻止されて、全清掃作業中において、接地ローラ48には、土類Dが付着していない状態を維持できる。しかも、上記のようにして、回転ブラシユニットUを芝生面から上昇させた状態においても、接地ローラ48には、回転中の回転ブラシ13が接触しているために、接地ローラ48の表面には、土類Dは、殆ど付着しなくなる。この結果、回転ブラシ13の高さは、常時設定高さに維持されて、予め設定した最も条件のよい状態で芝生面の清掃作業が行われる。
【0030】
なお、土類落下防止板66に関して、上記実施例では、ゴム製のへら板65に重ね合わせる構成であるが、該へら板65よりも上方の部分に、前記隙間68を閉塞可能な厚さを有する部材を直接に取付けることも可能である。
【0031】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、乗用型芝生面清掃機において、回転ブラシユニットを構成する回転ブラシを前記接地ローラに接触させてあるので、接地ローラに土類が付着を開始する初期において、その付着が阻止されて、全清掃作業中において、接地ローラには、土類が付着していない状態を維持できる。この結果、回転ブラシの高さは、常時設定高さに維持されて、予め設定した最良条件の下で芝生面の清掃作業が行われると共に、従来機では不可欠であった接地ローラ用のスクレーパが不要となる。
【0032】
請求項2に記載の発明は、乗用型芝生面清掃機において、ケーシングの前板部の内側面の下端部に土類落下防止板を回転ブラシと軽接触した状態で、該ケーシングの横方向に沿って取付けてあるので、機体の旋回時等において、回転ブラシユニットを上昇させた場合においても、土類落下防止板の存在によって、ケーシングの前板部の内側面に付着・堆積している土類は、そのままの状態を維持して、落下しなくなる。このため、ケーシングの前板部の内側面に付着・堆積した土類の「ぼた落ち」がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】集塵バケットBを斜後上方に持ち上げた状態の本発明に係る芝生面清掃機の全体斜視図である。
【図2】作業状態における芝生面清掃機の側面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】背面カバーCを取り外した状態の回転ブラシユニットUの斜視図である。
【図5】回転ブラシユニットUの背面図である。
【図6】同じく側面図である。
【図7】回転ブラシユニットUを構成する回転ブラシ13の部分の側面拡大断面図である。
【図8】回転ブラシユニットUと集塵バケットBとの斜視図である。
【図9】機体1に対して回転ブラシユニットUが昇降する状態を示す側面図である。
【図10】作業時における回転ブラシユニットUの側面断面図である。
【図11】回転ブラシユニットUを上昇させた非作業時の側面断面図である。
【図12】芝生面清掃機の作業時における作用説明図である。
【図13】芝生面清掃機の非作業時における作用説明図である。
【図14】従来の回転ブラシユニットU’の回転ブラシ13の部分の側面拡大断面図である。
【符号の説明】
B:集塵バケット
D:土類
T’:枯草類
U:回転ブラシユニット
1:機体
12:ケーシング
13:回転ブラシ
14:送風羽根
17:ケーシングの前板部
48:接地ローラ
53:掬上案内板
66:土類落下防止板

Claims (2)

  1. 乗用型の機体と、該機体に昇降可能に装着されて、芝生面に残存している枯草類を掬い上げて吸引回収するための回転ブラシユニットと、該回転ブラシユニットを構成するケーシングの後下端部に取付けられた接地ローラと、前記回転ブラシユニットの後方に着脱可能に装着されて、該回転ブラシユニットにより吸引回収された枯草類、塵類を収容させるための集塵バケットとを備え、
    前記回転ブラシユニットは、そのケーシング内に回転ブラシと送風羽根とが相上下して配設された構成の乗用型芝生面清掃機であって、
    前記回転ブラシユニットを構成する回転ブラシを前記接地ローラに接触させたことを特徴とする乗用型芝生面清掃機。
  2. 乗用型の機体と、該機体に昇降可能に装着されて、芝生面に残存している枯草類を掬い上げて吸引回収するための回転ブラシユニットと、該回転ブラシユニットを構成するケーシングの後方に着脱可能に装着されて、該回転ブラシユニットにより吸引回収された枯草類、塵類を収容させるための集塵バケットとを備え、
    前記回転ブラシユニットは、そのケーシング内に回転ブラシと送風羽根とが相上下して配設された構成の乗用型芝生面清掃機であって、
    前記回転ブラシユニットの上昇時において、そのケーシングの前板部の内側面に付着・堆積している土類が落下するのを防止するための土類落下防止板を、前記前板部の内側面の下端部に、前記回転ブラシと軽接触した状態で、該ケーシングの横方向に沿って取付けたことを特徴とする乗用型芝生面清掃機。
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