JP3554819B2 - 増幅器の非線形特性測定方法および非線形特性測定装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地上デジタルテレビジョン放送で行なわれる直交周波数分割多重伝送に用いられる増幅器の非線形特性測定方法および非線形特性測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地上テレビジョン放送の伝送においては、特に高層建築が林立する都市部において、建築物に反射し遅延して到着する電波による妨害(マルチパス妨害)が大きな問題となる。この妨害は、アナログ変調による放送波については、ゴーストとしてよく知られた問題である。デジタル変調による放送波においては、受信機が受信中のシンボルに対し、過去に到着しているべきシンボルが遅延して干渉するシンボル間干渉となる。妨害波が受けた遅延時間が、1シンボルの長さに比して、例えば数十分の1といったきわめて小さい値であれば、そのようなシンボル間干渉の影響は小さい。すなわち、同じデータを伝送するなら、シンボル長がなるべく大きい方式を用いると、シンボル間干渉の影響を小さくすることができる。
【0003】
そのような方式の一つにOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)がある。これは、複数の搬送波を用いる多重化によってデータの転送を分担させ、シンボル長を大きくすることで、遅延到来波による妨害を小さくすることができる方式である。このような性質から、我が国の地上デジタルテレビジョン放送の方式に採用されることになった。
【0004】
OFDM方式では、数百から数千のデジタル変調波を周波数軸上に等間隔に並べて伝送する。これを、一般的なFDM(Frequency Division Multiplexing)と比較してみると、変調波のスペクトル間隔に違いがある。一般的なFDM方式では、各々の変調波のスペクトルは互いに重ならないよう周波数間隔をあけて配置されており、受信側においても、個々の変調波を抽出するためのフィルタを用いる必要がある。しかしOFDM方式においては、周波数間隔をシンボル長の逆数とし、すべてのシンボルタイミングを一致させる。この条件下では、スペクトルの一部が重なるような多重化となるが、受信側では完全に分離可能である。このように、通常のFDMでは、多重化を行う前および受信時の双方においてフィルタが必要であるが、OFDMでは使用しない。
【0005】
また実用的には、OFDM信号のシンボル長を、上記で述べたシンボル間干渉の影響を小さくするための長さより、過剰にすることが多い。この過剰な部分はガードインターバルと呼ばれ、この長さより遅延時間が短い妨害波が混入しても、復調時にシンボル間干渉の影響を抑止できる構成となっている。
【0006】
信号の生成は、例えば図5(a)のように行う。まず、入力されたデジタルデータは、1シンボルで伝送されるビット数だけ蓄積され、個々のキャリアに割り当てられる。つまり、個々のキャリアに対し、通常用いられるPSK(Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)と同様にマッピングされた複素信号点データが生成される。このとき、所定の規則に基づき、一部のキャリアにパイロット(復調における基準点)の役割をする受信側に既知の複素信号点データを割り当てる。以上のデータ群は逆フーリエ変換され、個々のキャリアの生成と合成が同時に行われる。出力信号は、OFDMの時系列複素データに対応した信号となる。ガードインターバルを付加する場合には、シンボルの最後の部分の複写をシンボルの先頭に付加する操作を行う。この複素データには、DA変換および直交変調等の手段による周波数変換が予め決められた組み合わせで行われ、放送に用いられる中心周波数に変換される。変換された信号を増幅して空中線に供給することで、送信が実現できる。
【0007】
受信の原理は、図5(b)に沿って説明すると、次のとおりである。空中線から入力された信号は適当な増幅の後、周波数変換およびAD変換が予め決められた組み合わせで行われ、予め決められた周波数のデジタル複素データに変換される。ここで、後段のFFT(高速フーリエ変換)による処理に支障がないよう、予め決められた方法でサンプリング周波数と、中心周波数の微調整が行われる必要がある。また、復調に使用する1シンボル分の区間を、予め決められた方法で切り出す。切り出されたデータはFFTに入力され、FFTの出力が各キャリアの複素信号点データとなる。これらのデータの中からパイロットを抽出して処理し、各キャリアの振幅と位相の基準を算出し、複素信号点空間における位置の補正を行う。補正された位置に対応するデジタルデータを見いだし、これらのデータを変調時と逆の手順で並べ替えることにより、1シンボル分のビット列を得ることができる。
【0008】
この直交周波数分割多重(OFDM)信号の瞬時電力の確率密度分布は、一般に自由度2のχ2分布として知られている分布にほぼ従い、平均電力と瞬時電力の最大値の間に数十倍の差が生じることが知られている。このため、OFDM方式の放送では、一般に平均電力で表される送信電力に対して、その数十倍まで、線形の増幅度を有する送信装置が必要になることも知られている。
【0009】
もし上記のように十分な余裕のある装置が使えない場合は、電力が大きくなる部分で、装置の非線形性により、歪みの影響を受けることになる。非線形性の簡単な例として、OFDM方式の特徴であるマルチキャリア入力間に、3次相互変調積が発生したと仮定する。例えば、周波数がf1、f2である2キャリア間の3次相互変調積として、周波数が2・f1−f2や2・f2−f1となる成分が発生する。これらの周波数に他のキャリアが存在すれば、妨害信号となって伝送誤りが発生する原因となる。実際の増幅器では、非線形性による位相回転も加わった、さらに複雑な挙動を示すことが多い。
【0010】
従って、上記のような伝送エラーを避けるためは、その増幅器が持つ非線形性を把握することが必要であり、そのための測定手段が不可欠である。
【0011】
これらの特性を測定するための従来の方法として、OFDM信号の統計的な性質を反映した測定用の信号を入力し、出力信号と同時に測定し比較する方法が文献1(永塚ほか「増幅器によるOFDM信号の劣化と非線形特性の測定法」映像情報メディア学会誌1999年11月号p.1550-1556)に記載されている。
【0012】
ここには、2種類の測定方法が記載されているが、瞬時電力が平均電力よりも大きくなる領域を測定する目的で、包絡線がSINC関数となるよう生成した信号を入力して測定する方法に着目すると、次の3つの欠点がある。
欠点1) 運用中には測定できない。
欠点2) 特別な信号を発生する装置を必要とする。
欠点3) 入力側と出力側の両方を測定した上、測定データ間の時間関係を一致させる操作が必要である。
【0013】
また、OFDM信号を使って非線形ひずみを補正する方法が特開2000-22659号公報に記載されている。ここに記載された測定方法における構成では、OFDM変調器は、非線形特性を有する高出力増幅器を通過した後の送信信号を復調する直交復調手段を備えている。また、直交復調手段から出力される復調信号と、送信信号に予め歪みを与えるプリディストーション回路の出力とが、モデリング手段に与えられる。そして、モデリング手段は与えられた信号に基づいて、高出力増幅器の非線形特性をモデリングし、そのモデリング結果をプリディストーション回路に反映する。つまり、送信信号から非線形歪みを良好に除去すべく、時々刻々変化する非線形特性を動的に求め、これに追従したプリディストーションを行うというものである。
【0014】
この方法は、放送中の信号を使用するため、上記の欠点1と2は克服できる。しかし、入出力の両方の信号を測定することには変わりなく、上記の欠点3は解決できない。(前記の特開2000-22659号公報に記載された構成では、変調器内に測定機能を包含していることになる。このため、見かけ上は出力のみの測定であるが、この機能のみを変調器の外に出すことを考えると、やはり欠点3が生じることが分かる)。また、実際の運用状態において測定する場合は、増幅器には常に異なる信号が入力され続けるため、入出力の完全な同時測定が必要である。この場合、1系統の測定装置を入力と出力で使いまわすという方法は不可能である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来の増幅器の非線形特性測定方法および非線形特性測定装置では、上記の様に、入力側と出力側の両方を測定した上、測定データ間の時間関係を一致させる操作が必要であった。
【0016】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、OFDM信号の増幅動作中において、出力信号のみから測定することができる増幅器の非線形特性測定方法および非線形特性測定装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明は、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定方法で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐し、第1のマルチキャリア信号を第1のデジタル信号処理手段に通して得られた信号と、第2のマルチキャリア信号を第2のデジタル信号処理手段に通して得られた信号と、のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得することを特徴としている。ここで、第1のデジタル信号処理手段は、雑音を除去する手段であり、第2のデジタル信号処理手段は、フーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加え、さらにフーリエ逆変換を施すデジタル信号処理手段である。
【0018】
また、第2の発明は、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定方法で、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定方法で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐し、第1のマルチキャリア信号を帯域制限フィルタに通して得られた信号と、フーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加えた信号にさらにフーリエ逆変換を施すフィルタに第2のマルチキャリア信号を通して得られた信号と、のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得することを特徴としている。
【0019】
上記の第1あるいは第2の発明において、マルチキャリア信号をフーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加える方法が必要であるが、本発明においては、次の方法により、パイロットとして信頼できるものを発生する第3の発明により解決している。
【0020】
この第3の発明は、上記した第1あるいは第2の発明の構成に加えて、上記の信号空間ダイアグラムに関する補正を加える際に用いるパイロットに、複数のシンボルの処理から得られたものを平均化したものを使用することを特徴としている。
【0021】
また、第4の発明は、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定装置で、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定装置で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐する手段と、第1のマルチキャリア信号を周波数帯域を制限する手段に通して第1の信号を得る手段と、第2のマルチキャリア信号をフーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加え、さらにフーリエ逆変換を施すデジタル信号処理手段に通して第2の信号を得る手段と、第1の信号と第2の信号のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得する手段を備える事を特徴としている。
【0022】
また、第5の発明は、上記した第4の発明の構成に加えて、上記の信号空間ダイアグラムに関する補正を加える際に用いるパイロットを発生する手段を備え、その手段は、複数のシンボルの処理により得られたものを平均化して発生する手段であることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の概略を説明し、続いて実施の形態を説明する。本発明の課題は、増幅器による非線形ひずみを受ける前の入力信号を、測定された出力信号から推定する手法を確立することにある。この被測定信号は、送信直前の信号であるから、誤り訂正符号を使用しない状態でも、ビットエラーのない復調が可能である品質を備えているものとする。
【0024】
まず、一般的な復調器と同様の手法を用いれば、被測定信号から有効シンボル区間を切り出して処理し、キャリアごとの複素信号点を得ることができる。この複素信号点は、非線形ひずみによって、本来の位置からずれたものである。しかし、ビットエラーが起こらない程度の品質であるため、最も近接した本来の信号点が、非線形ひずみを受ける前の正しい信号点と考えることができる。また、誤り訂正符号が使われている信号であれば、誤り訂正符号を解き、再度符号化したものを正しい信号点とすれば、いっそう確実な信号点判定を行うこともできる。
【0025】
非線形ひずみの影響をこのように取り除いた複素信号点を使い、再度OFDM変調を行って信号を生成する。このとき、復調時にパイロットから得られたキャリアごとの振幅および位相の基準を使用して、再度変調されたOFDM信号の各キャリアが、測定によって得られた信号と同じ振幅および位相基準を持つように変換する。以上の処理の結果得られる信号は、増幅器によって非線形ひずみを受ける前の信号波形を推定したものである。
【0026】
以上の手順で問題になるのは、各キャリアの振幅および位相の基準を得るために挿入されているパイロットも、非線形ひずみにより影響を受けていることである。非線形ひずみの影響をキャリア単位で見ると、キャリア数が千を超えるようなものであれば、平均が0で加法性のガウス雑音と同様に扱うことができる(上記の文献1参照)。従って、多数のシンボル内のパイロットを収集し、キャリア別にシンボル間の平均処理を行えば、非線形ひずみの影響を軽減することができる。この平均処理は、パイロットの存在するすべてのキャリアについて行う必要がある。従って、以下の説明においては、パイロットに関しては、非線形ひずみの影響は、このような方法により低減されているものとする。
【0027】
また、搬送周波数をω0、とし、r(t)とψ(t)とをそれぞれ変調された信号の包絡線振幅と位相角とする。このとき、入力信号は、x(t)=r(t)cos(ω0t + ψ(t))と表わされる。また、これに対応して、出力信号は、y(t)=A(t)cos(ω0t + ψ(t) + Φ(t))、と表わされるものとする。このとき、r(t)とA(t)の時間に依存しない関係を記述するのがAM−AM変換特性であり、r(t)とΦ(t)の時間に依存しない関係を記述するのがAM−PM変換特性である。増幅器の非線形特性は、これらのAM−AM変換特性やAM−PM変換特性により把握することができることは、よく知られている。
【0028】
次に、実施形態を、図1〜図4を用いて説明する。ここでは、OFDM方式を採用した日本の地上デジタルテレビジョン放送方式(電気通信技術審議会答申「地上デジタルテレビジョン放送方式の技術的条件」1999年5月24日)に基づいた信号を使って本測定方式を実施する例を述べる。またここでは、同放送方式のMode3で13セグメントが使用された信号(キャリア数5617本)を想定する。
【0029】
図1は、本発明の望ましい構成を示す図で、ブロック図における信号の流れを示す図である。図1の信号入力部分には、被測定OFDM信号が入力される。AD変換・周波数補正部では、入力されたアナログ信号が適当な周波数帯に周波数変換された後、AD(アナログ−デジタル)変換される。AD変換にあたっては、入力された信号の有効シンボル長が65536サンプル点に相当するようサンプリング周波数が決定される。有効シンボル長あたりのサンプル点数は、FFT(高速フーリエ変換)アルゴリズムを使用する都合上、2のベキ乗でなければならない。キャリア数が5617本であれば、通常の復調では8192点でよいが、OFDM信号は非線形ひずみを受けるとその周波数帯域幅が広がるため、サンプリング周波数を、これより大きくとる必要がある。
【0030】
この例のように有効シンボル長あたり65536点のサンプリングを行う場合のサンプリング周波数は、次の様に求めることができる。まず、キャリア間隔=セグメント当たりの帯域幅(6/14MHz)/セグメント当たりのキャリア数(432)≒0.99kHzであり、1シンボル長は、そのキャリア間隔の逆数である。この1シンボル長の間に、65536点のサンプリングを行うことになるから、1秒当たり、キャリア間隔・・・・・・点のサンプリングを行う。従って、サンプリング周波数は、およそ、0.99kHz・・・・・・≒65MHzとなる。なお、サンプリング周波数を持つ信号の再生は、すでに復調器のために開発された一般的な方法によって実現でき、この方法については、例えば文献2(影山「地上デジタルテレビジョン放送用受信機の要素技術について」1998年映像情報メディア学会年次大会S3-3)に、ガードインターバル信号が有効シンボル期間後部の信号を巡回的に複写したものであることを利用し、これらの複素相関関数の位相からクロック周波数誤差およびキャリア周波数間隔以内のキャリア周波数誤差を同時推定する手法のブロック図が記載されている。
【0031】
このときのOFDM信号の中心周波数をfCとすれば、サンプリングされたデジタルデータは、exp(-j2πfCt)、を乗じられ、複素データに変換される。この複素データには、中心キャリアの周波数を0とするOFDM信号成分と、それに随伴する信号で、同じ信号が周波数軸上で反転された、中心キャリアの周波数が-2fCの成分が発生する。なお、中心周波数の再生は、例えば文献2に記載されたよく知られた方法によって実現できる。
【0032】
2つの周波数成分のうち、使用されるのは中心周波数が0の方のみである。これら2つの成分が容易に分離できるよう、デジタルサンプリング直前のアナログ信号の中心周波数(fC)を決定することが必要である。中心周波数が0である必要な成分と、それに随伴して発生し中心周波数が-2fCである不要な成分は、容易に分離できる様にするため、なるべく離れた位置にあるのが望ましい。このためには、アナログ信号の中心周波数(fC)をサンプリング周波数の1/4とすれば、不要成分の中心はナイキスト周波数(標本化定理により、ひずみなくサンプリングできることが保証される原信号周波数の最大値。)に相当する部分に現れるので、理想的である。
【0033】
以上の処理において用いられるサンプリング周波数と中心周波数は、入力信号から再生する方法の他に、測定されるOFDM信号の発生装置から周波数基準信号を得て利用することも可能である。
【0034】
ここで想定している地上デジタルテレビジョンのOFDM信号は、図2のようなガードインターバルを含む構成になっている。このガードインターバルは、主にマルチパスによる信号遅延の影響を軽減するために設けられており、有効信号の一部を繰り返して用いている。
【0035】
図1のシンボル区間決定部では、同一シンボル区間内から有効シンボル長に相当する区間を切り出す処理を行う。1つの処理シンボル区間が決定されれば、ガードインターバル長に相当する時間のデータを破棄して、続く有効シンボル長相当のデータを次の処理シンボル区間のデータと決定する。このように、次々と処理シンボル区間を決定する。
【0036】
処理シンボル区間の決定には、すでに開発された一般的な方法が使用できる。例えば文献2には、相関値を演算することにより、例えば相関ピークにてシンボルの切り出し位置(FFTの窓位置)の時間基準を抽出する旨、記載されている。
【0037】
測定対象となる増幅器が、放送波を受信して再度送信する放送波中継用システムを構成するものである場合には、入力信号に遅延到来波が混入している可能性がある。この場合、処理シンボル区間内に異なったシンボル区間の遅延到来波が混入しないように処理シンボル区間を決定する必要がある。このためには、特開2000-022657号公報に記載された『インパルス応答検出回路により、受信信号から伝送路のインパルス応答を検出し、それにより伝送路における遅延波の発生状況を検出する。次に、時間窓位置制御信号発生回路により、OFDMを復調するための離散フーリエ変換を行なう時間窓の位置を、上記のインパルス応答の内容に応じて制御するための制御信号を発生する。離散フーリエ変換器は、上記制御信号により制御された時間軸上の時間窓位置において離散フーリエ変換を行なう。』、などの方法を利用することができる。
【0038】
また、その他の方法として、測定されるOFDM信号の発生装置からシンボル同期信号を得て利用する方法もある。
【0039】
キャリア成分分解部では、前段で取得したシンボル区間長の信号をFFT処理する。本例の場合は、1シンボル長を65536サンプルとしたため、65536段の複素FFT演算を行う。中心周波数が0になるよう周波数変換がなされているため、直流成分を中心とした5617出力の結果が、復調の結果得られる各キャリアの複素信号点を表す複素数である。非線形性によりOFDM信号の帯域幅が広がっていれば、中心の5617に隣接した出力群に、非線形性に起因する成分が発生する。処理後の信号は、パイロットに関する情報を提供するための系統A、補正を受けた信号を提供するための系統B、補正を受けない信号を提供するための系統C、のそれぞれに供給される。ここで、キャリア成分分解部と系統Cと後述する時間領域信号生成部2は、第1のデジタル処理手段であり、周波数帯域を制限する手段である、第1のデジタル信号処理手段を構成し、また、キャリア成分分解部と系統Bと後述する時間領域信号生成部1は、第2のデジタル信号処理手段を構成している。
【0040】
まず、系統Aに関して、説明する。現実的には、受信時の処理シンボル区間は、本来の有効シンボル区間と正確には一致せず、当該シンボルのガードインターバル区間との間にまたがって決定されることになる。この場合、FFT後の各キャリアの複素信号点位置は、送信側で意図したものから、キャリア毎に異なった角度で回転した状態となる。また、遅延波が混入した信号であれば,遅延波によって希望波が強められるキャリアと弱められるキャリアが発生する。このように、キャリアごとに振幅と位相の基準が異なるため、その情報を得るためのパイロットが挿入されることが規格上定められている。
【0041】
64QAMを使用するものと仮定すると、そのパイロット配置は、図3のように規定される。図3は、マルチキャリアとしての信号の構成を時間軸と周波数軸に沿って示す模式図である。パイロットは、シンボルにかかわらず(時間経過によらず)、キャリア位置のみに依存した各信号空間ダイアグラムにおける特定の複素信号点に対応している。図1のパイロット抽出部では、キャリア成分分解部から出力された複素信号点のうち、パイロットであるものを抽出してパイロット平均化部に出力する。
【0042】
パイロット平均化部は、多数の処理シンボル区間について、パイロット抽出部が出力した結果をキャリアごとに平均化する。例えば、パイロット抽出部が処理したシンボル数が400であれば、図3で最右端に示したキャリアを除き、各パイロットでは100個のデータを平均化することになる。
【0043】
次に、補正を受けた信号を提供するための系統Bについて説明する。振幅・位相基準算出部では、パイロット平均化部で得られたパイロットと、OFDM信号の規格で規定されたパイロットの本来の複素信号点のデータを使い、全キャリアの振幅および位相基準が推定される。この部分には、復調器に用いられる既によく知られた方法を用いることができる。
【0044】
振幅・位相基準補正部では、各処理シンボル区間のキャリア成分分解部の出力データに対し、振幅・位相基準算出部の結果を使って、振幅・位相基準を補正する。この処理が完了すると、複素信号点は、図4に示した64QAMの信号空間ダイアグラムの理想的な信号点配置のいずれかに、非線形ひずみによる偏差が重畳されたデータとなる。
【0045】
図4の信号点配置は、地上デジタル放送規格の64QAMにおいて、パイロット(点アおよびイ)の複素振幅を(√42×4/3,0)に規格化した座標により表現したものである。
【0046】
複素信号点修正部では、振幅・位相基準補正部から出力された信号点を、図4に示した64QAM信号空間ダイアグラムの信号点配置の最も近い点に修正する。信号点がパイロットの場合には点ア、イのうちいずれかを、それ以外の信号点である場合には、64QAMのいずれかの信号点に修正する。
【0047】
振幅・位相基準再補正部では、複素信号点修正部から出力される複素信号点を、振幅・位相基準補正部が処理を行う前と同じ振幅・位相基準をもった複素信号点に変換する。振幅・位相基準補正部と逆の操作である。
【0048】
時間領域信号生成部1は、複素信号点のデータから時間領域の信号を生成する。キャリア成分分解部とは逆の操作で、図5の構成に示した変調操作における逆フーリエ変換(IFFT)と同じ演算を行なう。ただし、キャリア成分分解部と同じ段数のIFFT演算を行う必要がある。この例では、直流を中心とする5617データがキャリアごとの複素信号点に相当するデータであり、それ以外の入力には(0,0)を挿入し、65536段の演算を行なう必要がある。この部分の出力信号は、シンボル区間決定部で切り出した信号の非線形ひずみを補正した信号に相当する。
【0049】
次に、補正を受けない信号を提供するための系統Cについて説明する。帯域外成分抑圧部では、キャリア成分分解部の出力のうち、必要でない周波数成分が(0,0)に変換され、時間領域信号生成部2で再度時間領域信号に変換される。この部分は、AD変換・周波数補正部において発生した不要な周波数成分や、AD変換前の周波数変換等で発生した雑音を除去するフィルタの役割を果たす。(0,0)に変換されずに残されるべき周波数成分は、OFDM信号の中心周波数を中心に、例えば、OFDM信号本来の帯域幅の5倍の範囲内に限ることができる。この倍数は、ひずみの程度により決定し、大きなひずみに対応する場合、倍率を増加させることが望ましい。不要な周波数成分は抑圧されなければならないが、増幅器によりひずみを受けたOFDM信号は帯域幅が広がっているため、正確な時間領域の信号を得るためには、なるべく広い帯域を通過させることが望ましい。
【0050】
信号比較部では、補正を受けた系統Bで再現された信号
x'(t)=r'(t)cos(ω0t+ψ'(t) )と、補正を受けない系統Cで再現された信号
y'(t)=A'(t)cos(ω0t +ψ'(t) + Φ'(t))とを比較して、その結果を特性集積部へ出力する。また、x'(t)は、歪みの原因となる要素が除去された上で再合成されたものであるから、もとのx(t)に非常に近いものと考えることができる。
【0051】
特性集積部では、多数のシンボルから得られた信号を集積し、増幅器の特性としてまとめる機能を持つ。この蓄積数は、パイロット平均化部の蓄積数、あるいは、振幅・位相基準算出部での蓄積数とは、必ずしも一致しない。この特性集積部では、上記のx'(t)とy'(t)とを比較する。AM−AM変換特性は、A'をr'の関数として、また、AM−PM変換特性はΦ'をr'の関数として求めることができる。
【0052】
このような、AM−AM変換特性やAM−PM変換特性の測定にあたって重要なのは、主に包絡線振幅が大きい部分であり、各シンボル内で包絡線が最大となる点とその時間的に近傍のデータのみを把握すれば充分である場合が多い。この場合、信号比較部において該当する部分のデータのみを選別して特性集積部に出力することで、特性集積部でのデータ処理量を減らすことも可能である。
【0053】
【発明の効果】
この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0054】
増幅器の出力側の信号のみを測定して、その非線形特性を測定することが可能になった。また、信号を取り出す測定箇所が単独であるため、従来技術の問題であった、複数の信号の測定においてそれらの間の時間関係を合わせる、という処理が必要なくなった。さらに、増幅器の前に、フィルタなどの周波数特性を持った線形素子が挿入されている場合も、パイロットの推定操作を行う構成にしたので、上記の線形素子によるキャリア毎に異なる減衰や位相回転を除去できるため、非線形性のみを測定することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の望ましい構成を示す図で、信号の流れを示すブロック図である。
【図2】信号の時間軸に沿って、シンボルの構成を示す模式図である。
【図3】マルチキャリアとしての信号の構成を、時間軸と周波数軸に沿って示す模式図である。
【図4】64QAM信号空間ダイアグラムの信号点配置を示す図である。
【図5】OFDM方式の信号の送受信に用いられる構成の一例で、(a)変調側、(b)復調側の構成を示すブロック図である。
【発明の属する技術分野】
この発明は、地上デジタルテレビジョン放送で行なわれる直交周波数分割多重伝送に用いられる増幅器の非線形特性測定方法および非線形特性測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地上テレビジョン放送の伝送においては、特に高層建築が林立する都市部において、建築物に反射し遅延して到着する電波による妨害(マルチパス妨害)が大きな問題となる。この妨害は、アナログ変調による放送波については、ゴーストとしてよく知られた問題である。デジタル変調による放送波においては、受信機が受信中のシンボルに対し、過去に到着しているべきシンボルが遅延して干渉するシンボル間干渉となる。妨害波が受けた遅延時間が、1シンボルの長さに比して、例えば数十分の1といったきわめて小さい値であれば、そのようなシンボル間干渉の影響は小さい。すなわち、同じデータを伝送するなら、シンボル長がなるべく大きい方式を用いると、シンボル間干渉の影響を小さくすることができる。
【0003】
そのような方式の一つにOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)がある。これは、複数の搬送波を用いる多重化によってデータの転送を分担させ、シンボル長を大きくすることで、遅延到来波による妨害を小さくすることができる方式である。このような性質から、我が国の地上デジタルテレビジョン放送の方式に採用されることになった。
【0004】
OFDM方式では、数百から数千のデジタル変調波を周波数軸上に等間隔に並べて伝送する。これを、一般的なFDM(Frequency Division Multiplexing)と比較してみると、変調波のスペクトル間隔に違いがある。一般的なFDM方式では、各々の変調波のスペクトルは互いに重ならないよう周波数間隔をあけて配置されており、受信側においても、個々の変調波を抽出するためのフィルタを用いる必要がある。しかしOFDM方式においては、周波数間隔をシンボル長の逆数とし、すべてのシンボルタイミングを一致させる。この条件下では、スペクトルの一部が重なるような多重化となるが、受信側では完全に分離可能である。このように、通常のFDMでは、多重化を行う前および受信時の双方においてフィルタが必要であるが、OFDMでは使用しない。
【0005】
また実用的には、OFDM信号のシンボル長を、上記で述べたシンボル間干渉の影響を小さくするための長さより、過剰にすることが多い。この過剰な部分はガードインターバルと呼ばれ、この長さより遅延時間が短い妨害波が混入しても、復調時にシンボル間干渉の影響を抑止できる構成となっている。
【0006】
信号の生成は、例えば図5(a)のように行う。まず、入力されたデジタルデータは、1シンボルで伝送されるビット数だけ蓄積され、個々のキャリアに割り当てられる。つまり、個々のキャリアに対し、通常用いられるPSK(Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)と同様にマッピングされた複素信号点データが生成される。このとき、所定の規則に基づき、一部のキャリアにパイロット(復調における基準点)の役割をする受信側に既知の複素信号点データを割り当てる。以上のデータ群は逆フーリエ変換され、個々のキャリアの生成と合成が同時に行われる。出力信号は、OFDMの時系列複素データに対応した信号となる。ガードインターバルを付加する場合には、シンボルの最後の部分の複写をシンボルの先頭に付加する操作を行う。この複素データには、DA変換および直交変調等の手段による周波数変換が予め決められた組み合わせで行われ、放送に用いられる中心周波数に変換される。変換された信号を増幅して空中線に供給することで、送信が実現できる。
【0007】
受信の原理は、図5(b)に沿って説明すると、次のとおりである。空中線から入力された信号は適当な増幅の後、周波数変換およびAD変換が予め決められた組み合わせで行われ、予め決められた周波数のデジタル複素データに変換される。ここで、後段のFFT(高速フーリエ変換)による処理に支障がないよう、予め決められた方法でサンプリング周波数と、中心周波数の微調整が行われる必要がある。また、復調に使用する1シンボル分の区間を、予め決められた方法で切り出す。切り出されたデータはFFTに入力され、FFTの出力が各キャリアの複素信号点データとなる。これらのデータの中からパイロットを抽出して処理し、各キャリアの振幅と位相の基準を算出し、複素信号点空間における位置の補正を行う。補正された位置に対応するデジタルデータを見いだし、これらのデータを変調時と逆の手順で並べ替えることにより、1シンボル分のビット列を得ることができる。
【0008】
この直交周波数分割多重(OFDM)信号の瞬時電力の確率密度分布は、一般に自由度2のχ2分布として知られている分布にほぼ従い、平均電力と瞬時電力の最大値の間に数十倍の差が生じることが知られている。このため、OFDM方式の放送では、一般に平均電力で表される送信電力に対して、その数十倍まで、線形の増幅度を有する送信装置が必要になることも知られている。
【0009】
もし上記のように十分な余裕のある装置が使えない場合は、電力が大きくなる部分で、装置の非線形性により、歪みの影響を受けることになる。非線形性の簡単な例として、OFDM方式の特徴であるマルチキャリア入力間に、3次相互変調積が発生したと仮定する。例えば、周波数がf1、f2である2キャリア間の3次相互変調積として、周波数が2・f1−f2や2・f2−f1となる成分が発生する。これらの周波数に他のキャリアが存在すれば、妨害信号となって伝送誤りが発生する原因となる。実際の増幅器では、非線形性による位相回転も加わった、さらに複雑な挙動を示すことが多い。
【0010】
従って、上記のような伝送エラーを避けるためは、その増幅器が持つ非線形性を把握することが必要であり、そのための測定手段が不可欠である。
【0011】
これらの特性を測定するための従来の方法として、OFDM信号の統計的な性質を反映した測定用の信号を入力し、出力信号と同時に測定し比較する方法が文献1(永塚ほか「増幅器によるOFDM信号の劣化と非線形特性の測定法」映像情報メディア学会誌1999年11月号p.1550-1556)に記載されている。
【0012】
ここには、2種類の測定方法が記載されているが、瞬時電力が平均電力よりも大きくなる領域を測定する目的で、包絡線がSINC関数となるよう生成した信号を入力して測定する方法に着目すると、次の3つの欠点がある。
欠点1) 運用中には測定できない。
欠点2) 特別な信号を発生する装置を必要とする。
欠点3) 入力側と出力側の両方を測定した上、測定データ間の時間関係を一致させる操作が必要である。
【0013】
また、OFDM信号を使って非線形ひずみを補正する方法が特開2000-22659号公報に記載されている。ここに記載された測定方法における構成では、OFDM変調器は、非線形特性を有する高出力増幅器を通過した後の送信信号を復調する直交復調手段を備えている。また、直交復調手段から出力される復調信号と、送信信号に予め歪みを与えるプリディストーション回路の出力とが、モデリング手段に与えられる。そして、モデリング手段は与えられた信号に基づいて、高出力増幅器の非線形特性をモデリングし、そのモデリング結果をプリディストーション回路に反映する。つまり、送信信号から非線形歪みを良好に除去すべく、時々刻々変化する非線形特性を動的に求め、これに追従したプリディストーションを行うというものである。
【0014】
この方法は、放送中の信号を使用するため、上記の欠点1と2は克服できる。しかし、入出力の両方の信号を測定することには変わりなく、上記の欠点3は解決できない。(前記の特開2000-22659号公報に記載された構成では、変調器内に測定機能を包含していることになる。このため、見かけ上は出力のみの測定であるが、この機能のみを変調器の外に出すことを考えると、やはり欠点3が生じることが分かる)。また、実際の運用状態において測定する場合は、増幅器には常に異なる信号が入力され続けるため、入出力の完全な同時測定が必要である。この場合、1系統の測定装置を入力と出力で使いまわすという方法は不可能である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来の増幅器の非線形特性測定方法および非線形特性測定装置では、上記の様に、入力側と出力側の両方を測定した上、測定データ間の時間関係を一致させる操作が必要であった。
【0016】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、OFDM信号の増幅動作中において、出力信号のみから測定することができる増幅器の非線形特性測定方法および非線形特性測定装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明は、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定方法で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐し、第1のマルチキャリア信号を第1のデジタル信号処理手段に通して得られた信号と、第2のマルチキャリア信号を第2のデジタル信号処理手段に通して得られた信号と、のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得することを特徴としている。ここで、第1のデジタル信号処理手段は、雑音を除去する手段であり、第2のデジタル信号処理手段は、フーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加え、さらにフーリエ逆変換を施すデジタル信号処理手段である。
【0018】
また、第2の発明は、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定方法で、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定方法で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐し、第1のマルチキャリア信号を帯域制限フィルタに通して得られた信号と、フーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加えた信号にさらにフーリエ逆変換を施すフィルタに第2のマルチキャリア信号を通して得られた信号と、のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得することを特徴としている。
【0019】
上記の第1あるいは第2の発明において、マルチキャリア信号をフーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加える方法が必要であるが、本発明においては、次の方法により、パイロットとして信頼できるものを発生する第3の発明により解決している。
【0020】
この第3の発明は、上記した第1あるいは第2の発明の構成に加えて、上記の信号空間ダイアグラムに関する補正を加える際に用いるパイロットに、複数のシンボルの処理から得られたものを平均化したものを使用することを特徴としている。
【0021】
また、第4の発明は、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定装置で、直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定装置で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐する手段と、第1のマルチキャリア信号を周波数帯域を制限する手段に通して第1の信号を得る手段と、第2のマルチキャリア信号をフーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加え、さらにフーリエ逆変換を施すデジタル信号処理手段に通して第2の信号を得る手段と、第1の信号と第2の信号のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得する手段を備える事を特徴としている。
【0022】
また、第5の発明は、上記した第4の発明の構成に加えて、上記の信号空間ダイアグラムに関する補正を加える際に用いるパイロットを発生する手段を備え、その手段は、複数のシンボルの処理により得られたものを平均化して発生する手段であることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の概略を説明し、続いて実施の形態を説明する。本発明の課題は、増幅器による非線形ひずみを受ける前の入力信号を、測定された出力信号から推定する手法を確立することにある。この被測定信号は、送信直前の信号であるから、誤り訂正符号を使用しない状態でも、ビットエラーのない復調が可能である品質を備えているものとする。
【0024】
まず、一般的な復調器と同様の手法を用いれば、被測定信号から有効シンボル区間を切り出して処理し、キャリアごとの複素信号点を得ることができる。この複素信号点は、非線形ひずみによって、本来の位置からずれたものである。しかし、ビットエラーが起こらない程度の品質であるため、最も近接した本来の信号点が、非線形ひずみを受ける前の正しい信号点と考えることができる。また、誤り訂正符号が使われている信号であれば、誤り訂正符号を解き、再度符号化したものを正しい信号点とすれば、いっそう確実な信号点判定を行うこともできる。
【0025】
非線形ひずみの影響をこのように取り除いた複素信号点を使い、再度OFDM変調を行って信号を生成する。このとき、復調時にパイロットから得られたキャリアごとの振幅および位相の基準を使用して、再度変調されたOFDM信号の各キャリアが、測定によって得られた信号と同じ振幅および位相基準を持つように変換する。以上の処理の結果得られる信号は、増幅器によって非線形ひずみを受ける前の信号波形を推定したものである。
【0026】
以上の手順で問題になるのは、各キャリアの振幅および位相の基準を得るために挿入されているパイロットも、非線形ひずみにより影響を受けていることである。非線形ひずみの影響をキャリア単位で見ると、キャリア数が千を超えるようなものであれば、平均が0で加法性のガウス雑音と同様に扱うことができる(上記の文献1参照)。従って、多数のシンボル内のパイロットを収集し、キャリア別にシンボル間の平均処理を行えば、非線形ひずみの影響を軽減することができる。この平均処理は、パイロットの存在するすべてのキャリアについて行う必要がある。従って、以下の説明においては、パイロットに関しては、非線形ひずみの影響は、このような方法により低減されているものとする。
【0027】
また、搬送周波数をω0、とし、r(t)とψ(t)とをそれぞれ変調された信号の包絡線振幅と位相角とする。このとき、入力信号は、x(t)=r(t)cos(ω0t + ψ(t))と表わされる。また、これに対応して、出力信号は、y(t)=A(t)cos(ω0t + ψ(t) + Φ(t))、と表わされるものとする。このとき、r(t)とA(t)の時間に依存しない関係を記述するのがAM−AM変換特性であり、r(t)とΦ(t)の時間に依存しない関係を記述するのがAM−PM変換特性である。増幅器の非線形特性は、これらのAM−AM変換特性やAM−PM変換特性により把握することができることは、よく知られている。
【0028】
次に、実施形態を、図1〜図4を用いて説明する。ここでは、OFDM方式を採用した日本の地上デジタルテレビジョン放送方式(電気通信技術審議会答申「地上デジタルテレビジョン放送方式の技術的条件」1999年5月24日)に基づいた信号を使って本測定方式を実施する例を述べる。またここでは、同放送方式のMode3で13セグメントが使用された信号(キャリア数5617本)を想定する。
【0029】
図1は、本発明の望ましい構成を示す図で、ブロック図における信号の流れを示す図である。図1の信号入力部分には、被測定OFDM信号が入力される。AD変換・周波数補正部では、入力されたアナログ信号が適当な周波数帯に周波数変換された後、AD(アナログ−デジタル)変換される。AD変換にあたっては、入力された信号の有効シンボル長が65536サンプル点に相当するようサンプリング周波数が決定される。有効シンボル長あたりのサンプル点数は、FFT(高速フーリエ変換)アルゴリズムを使用する都合上、2のベキ乗でなければならない。キャリア数が5617本であれば、通常の復調では8192点でよいが、OFDM信号は非線形ひずみを受けるとその周波数帯域幅が広がるため、サンプリング周波数を、これより大きくとる必要がある。
【0030】
この例のように有効シンボル長あたり65536点のサンプリングを行う場合のサンプリング周波数は、次の様に求めることができる。まず、キャリア間隔=セグメント当たりの帯域幅(6/14MHz)/セグメント当たりのキャリア数(432)≒0.99kHzであり、1シンボル長は、そのキャリア間隔の逆数である。この1シンボル長の間に、65536点のサンプリングを行うことになるから、1秒当たり、キャリア間隔・・・・・・点のサンプリングを行う。従って、サンプリング周波数は、およそ、0.99kHz・・・・・・≒65MHzとなる。なお、サンプリング周波数を持つ信号の再生は、すでに復調器のために開発された一般的な方法によって実現でき、この方法については、例えば文献2(影山「地上デジタルテレビジョン放送用受信機の要素技術について」1998年映像情報メディア学会年次大会S3-3)に、ガードインターバル信号が有効シンボル期間後部の信号を巡回的に複写したものであることを利用し、これらの複素相関関数の位相からクロック周波数誤差およびキャリア周波数間隔以内のキャリア周波数誤差を同時推定する手法のブロック図が記載されている。
【0031】
このときのOFDM信号の中心周波数をfCとすれば、サンプリングされたデジタルデータは、exp(-j2πfCt)、を乗じられ、複素データに変換される。この複素データには、中心キャリアの周波数を0とするOFDM信号成分と、それに随伴する信号で、同じ信号が周波数軸上で反転された、中心キャリアの周波数が-2fCの成分が発生する。なお、中心周波数の再生は、例えば文献2に記載されたよく知られた方法によって実現できる。
【0032】
2つの周波数成分のうち、使用されるのは中心周波数が0の方のみである。これら2つの成分が容易に分離できるよう、デジタルサンプリング直前のアナログ信号の中心周波数(fC)を決定することが必要である。中心周波数が0である必要な成分と、それに随伴して発生し中心周波数が-2fCである不要な成分は、容易に分離できる様にするため、なるべく離れた位置にあるのが望ましい。このためには、アナログ信号の中心周波数(fC)をサンプリング周波数の1/4とすれば、不要成分の中心はナイキスト周波数(標本化定理により、ひずみなくサンプリングできることが保証される原信号周波数の最大値。)に相当する部分に現れるので、理想的である。
【0033】
以上の処理において用いられるサンプリング周波数と中心周波数は、入力信号から再生する方法の他に、測定されるOFDM信号の発生装置から周波数基準信号を得て利用することも可能である。
【0034】
ここで想定している地上デジタルテレビジョンのOFDM信号は、図2のようなガードインターバルを含む構成になっている。このガードインターバルは、主にマルチパスによる信号遅延の影響を軽減するために設けられており、有効信号の一部を繰り返して用いている。
【0035】
図1のシンボル区間決定部では、同一シンボル区間内から有効シンボル長に相当する区間を切り出す処理を行う。1つの処理シンボル区間が決定されれば、ガードインターバル長に相当する時間のデータを破棄して、続く有効シンボル長相当のデータを次の処理シンボル区間のデータと決定する。このように、次々と処理シンボル区間を決定する。
【0036】
処理シンボル区間の決定には、すでに開発された一般的な方法が使用できる。例えば文献2には、相関値を演算することにより、例えば相関ピークにてシンボルの切り出し位置(FFTの窓位置)の時間基準を抽出する旨、記載されている。
【0037】
測定対象となる増幅器が、放送波を受信して再度送信する放送波中継用システムを構成するものである場合には、入力信号に遅延到来波が混入している可能性がある。この場合、処理シンボル区間内に異なったシンボル区間の遅延到来波が混入しないように処理シンボル区間を決定する必要がある。このためには、特開2000-022657号公報に記載された『インパルス応答検出回路により、受信信号から伝送路のインパルス応答を検出し、それにより伝送路における遅延波の発生状況を検出する。次に、時間窓位置制御信号発生回路により、OFDMを復調するための離散フーリエ変換を行なう時間窓の位置を、上記のインパルス応答の内容に応じて制御するための制御信号を発生する。離散フーリエ変換器は、上記制御信号により制御された時間軸上の時間窓位置において離散フーリエ変換を行なう。』、などの方法を利用することができる。
【0038】
また、その他の方法として、測定されるOFDM信号の発生装置からシンボル同期信号を得て利用する方法もある。
【0039】
キャリア成分分解部では、前段で取得したシンボル区間長の信号をFFT処理する。本例の場合は、1シンボル長を65536サンプルとしたため、65536段の複素FFT演算を行う。中心周波数が0になるよう周波数変換がなされているため、直流成分を中心とした5617出力の結果が、復調の結果得られる各キャリアの複素信号点を表す複素数である。非線形性によりOFDM信号の帯域幅が広がっていれば、中心の5617に隣接した出力群に、非線形性に起因する成分が発生する。処理後の信号は、パイロットに関する情報を提供するための系統A、補正を受けた信号を提供するための系統B、補正を受けない信号を提供するための系統C、のそれぞれに供給される。ここで、キャリア成分分解部と系統Cと後述する時間領域信号生成部2は、第1のデジタル処理手段であり、周波数帯域を制限する手段である、第1のデジタル信号処理手段を構成し、また、キャリア成分分解部と系統Bと後述する時間領域信号生成部1は、第2のデジタル信号処理手段を構成している。
【0040】
まず、系統Aに関して、説明する。現実的には、受信時の処理シンボル区間は、本来の有効シンボル区間と正確には一致せず、当該シンボルのガードインターバル区間との間にまたがって決定されることになる。この場合、FFT後の各キャリアの複素信号点位置は、送信側で意図したものから、キャリア毎に異なった角度で回転した状態となる。また、遅延波が混入した信号であれば,遅延波によって希望波が強められるキャリアと弱められるキャリアが発生する。このように、キャリアごとに振幅と位相の基準が異なるため、その情報を得るためのパイロットが挿入されることが規格上定められている。
【0041】
64QAMを使用するものと仮定すると、そのパイロット配置は、図3のように規定される。図3は、マルチキャリアとしての信号の構成を時間軸と周波数軸に沿って示す模式図である。パイロットは、シンボルにかかわらず(時間経過によらず)、キャリア位置のみに依存した各信号空間ダイアグラムにおける特定の複素信号点に対応している。図1のパイロット抽出部では、キャリア成分分解部から出力された複素信号点のうち、パイロットであるものを抽出してパイロット平均化部に出力する。
【0042】
パイロット平均化部は、多数の処理シンボル区間について、パイロット抽出部が出力した結果をキャリアごとに平均化する。例えば、パイロット抽出部が処理したシンボル数が400であれば、図3で最右端に示したキャリアを除き、各パイロットでは100個のデータを平均化することになる。
【0043】
次に、補正を受けた信号を提供するための系統Bについて説明する。振幅・位相基準算出部では、パイロット平均化部で得られたパイロットと、OFDM信号の規格で規定されたパイロットの本来の複素信号点のデータを使い、全キャリアの振幅および位相基準が推定される。この部分には、復調器に用いられる既によく知られた方法を用いることができる。
【0044】
振幅・位相基準補正部では、各処理シンボル区間のキャリア成分分解部の出力データに対し、振幅・位相基準算出部の結果を使って、振幅・位相基準を補正する。この処理が完了すると、複素信号点は、図4に示した64QAMの信号空間ダイアグラムの理想的な信号点配置のいずれかに、非線形ひずみによる偏差が重畳されたデータとなる。
【0045】
図4の信号点配置は、地上デジタル放送規格の64QAMにおいて、パイロット(点アおよびイ)の複素振幅を(√42×4/3,0)に規格化した座標により表現したものである。
【0046】
複素信号点修正部では、振幅・位相基準補正部から出力された信号点を、図4に示した64QAM信号空間ダイアグラムの信号点配置の最も近い点に修正する。信号点がパイロットの場合には点ア、イのうちいずれかを、それ以外の信号点である場合には、64QAMのいずれかの信号点に修正する。
【0047】
振幅・位相基準再補正部では、複素信号点修正部から出力される複素信号点を、振幅・位相基準補正部が処理を行う前と同じ振幅・位相基準をもった複素信号点に変換する。振幅・位相基準補正部と逆の操作である。
【0048】
時間領域信号生成部1は、複素信号点のデータから時間領域の信号を生成する。キャリア成分分解部とは逆の操作で、図5の構成に示した変調操作における逆フーリエ変換(IFFT)と同じ演算を行なう。ただし、キャリア成分分解部と同じ段数のIFFT演算を行う必要がある。この例では、直流を中心とする5617データがキャリアごとの複素信号点に相当するデータであり、それ以外の入力には(0,0)を挿入し、65536段の演算を行なう必要がある。この部分の出力信号は、シンボル区間決定部で切り出した信号の非線形ひずみを補正した信号に相当する。
【0049】
次に、補正を受けない信号を提供するための系統Cについて説明する。帯域外成分抑圧部では、キャリア成分分解部の出力のうち、必要でない周波数成分が(0,0)に変換され、時間領域信号生成部2で再度時間領域信号に変換される。この部分は、AD変換・周波数補正部において発生した不要な周波数成分や、AD変換前の周波数変換等で発生した雑音を除去するフィルタの役割を果たす。(0,0)に変換されずに残されるべき周波数成分は、OFDM信号の中心周波数を中心に、例えば、OFDM信号本来の帯域幅の5倍の範囲内に限ることができる。この倍数は、ひずみの程度により決定し、大きなひずみに対応する場合、倍率を増加させることが望ましい。不要な周波数成分は抑圧されなければならないが、増幅器によりひずみを受けたOFDM信号は帯域幅が広がっているため、正確な時間領域の信号を得るためには、なるべく広い帯域を通過させることが望ましい。
【0050】
信号比較部では、補正を受けた系統Bで再現された信号
x'(t)=r'(t)cos(ω0t+ψ'(t) )と、補正を受けない系統Cで再現された信号
y'(t)=A'(t)cos(ω0t +ψ'(t) + Φ'(t))とを比較して、その結果を特性集積部へ出力する。また、x'(t)は、歪みの原因となる要素が除去された上で再合成されたものであるから、もとのx(t)に非常に近いものと考えることができる。
【0051】
特性集積部では、多数のシンボルから得られた信号を集積し、増幅器の特性としてまとめる機能を持つ。この蓄積数は、パイロット平均化部の蓄積数、あるいは、振幅・位相基準算出部での蓄積数とは、必ずしも一致しない。この特性集積部では、上記のx'(t)とy'(t)とを比較する。AM−AM変換特性は、A'をr'の関数として、また、AM−PM変換特性はΦ'をr'の関数として求めることができる。
【0052】
このような、AM−AM変換特性やAM−PM変換特性の測定にあたって重要なのは、主に包絡線振幅が大きい部分であり、各シンボル内で包絡線が最大となる点とその時間的に近傍のデータのみを把握すれば充分である場合が多い。この場合、信号比較部において該当する部分のデータのみを選別して特性集積部に出力することで、特性集積部でのデータ処理量を減らすことも可能である。
【0053】
【発明の効果】
この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0054】
増幅器の出力側の信号のみを測定して、その非線形特性を測定することが可能になった。また、信号を取り出す測定箇所が単独であるため、従来技術の問題であった、複数の信号の測定においてそれらの間の時間関係を合わせる、という処理が必要なくなった。さらに、増幅器の前に、フィルタなどの周波数特性を持った線形素子が挿入されている場合も、パイロットの推定操作を行う構成にしたので、上記の線形素子によるキャリア毎に異なる減衰や位相回転を除去できるため、非線形性のみを測定することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の望ましい構成を示す図で、信号の流れを示すブロック図である。
【図2】信号の時間軸に沿って、シンボルの構成を示す模式図である。
【図3】マルチキャリアとしての信号の構成を、時間軸と周波数軸に沿って示す模式図である。
【図4】64QAM信号空間ダイアグラムの信号点配置を示す図である。
【図5】OFDM方式の信号の送受信に用いられる構成の一例で、(a)変調側、(b)復調側の構成を示すブロック図である。
Claims (5)
- 直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定方法で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐し、第1のマルチキャリア信号を第1のデジタル信号処理手段に通して得られた信号と、第2のマルチキャリア信号を第2のデジタル信号処理手段に通して得られた信号と、のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得し、
第1のデジタル信号処理手段は、雑音を除去する手段であり、第2のデジタル信号処理手段は、フーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加え、さらにフーリエ逆変換を施すデジタル信号処理手段であることを特徴とする増幅器の非線形特性測定方法。 - 直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定方法で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐し、第1のマルチキャリア信号を帯域制限フィルタに通して得られた信号と、フーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加えた信号にさらにフーリエ逆変換を施すフィルタに第2のマルチキャリア信号を通して得られた信号と、のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得することを特徴とする増幅器の非線形特性測定方法。
- 上記の信号空間ダイアグラムに関する補正を加える際に用いるパイロットに、複数のシンボルの処理から得られたものを平均化したものを使用することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の増幅器の非線形特性測定方法。
- 直交周波数分割多重伝送における増幅器の特性測定装置で、マルチキャリア信号を第1と第2のマルチキャリア信号に分岐する手段と、第1のマルチキャリア信号を周波数帯域を制限する手段に通して第1の信号を得る手段と、第2のマルチキャリア信号をフーリエ変換して得た信号に信号空間ダイアグラムに関する補正を加え、さらにフーリエ逆変換を施すデジタル信号処理手段に通して第2の信号を得る手段と、第1の信号と第2の信号のそれぞれの振幅と、それぞれの位相を比較することにより、非線形特性を取得する手段と、を備える事を特徴とする増幅器の非線形特性測定装置。
- 上記の信号空間ダイアグラムに関する補正を加える際に用いるパイロットを発生する手段を備え、その手段は、複数のシンボルの処理により得られたものを平均化して発生する手段であることを特徴とする請求項4に記載の増幅器の非線形特性測定装置。
Priority Applications (1)
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JP2001095683A JP3554819B2 (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 増幅器の非線形特性測定方法および非線形特性測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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