JP3554813B2 - 光導波路とその製造方法 - Google Patents
光導波路とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3554813B2 JP3554813B2 JP02428799A JP2428799A JP3554813B2 JP 3554813 B2 JP3554813 B2 JP 3554813B2 JP 02428799 A JP02428799 A JP 02428799A JP 2428799 A JP2428799 A JP 2428799A JP 3554813 B2 JP3554813 B2 JP 3554813B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- optical waveguide
- single crystal
- bab
- optical
- wavelength
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、光導波路とその製造方法に関するものである。さらに詳しくはこの出願の発明は、合分波器、波長/周波数選択フィルタ、光スイッチ、レーザ素子、および、非線形光学素子などの光学部品に有用な、高調波発生による波長変換用の光導波路とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、光導波路の材料としては、Ti拡散法により作製されたTi:LiNbO3 が主として用いられており、このTi:LiNbO3 はTiのドーピングによる屈折率の増大を利用したものである。
しかしながら、TiはLiNbO3 にとって不純物であり、そのため光損傷の大きな原因となっており、このTi:LiNbO3 からなる光導波路は、決して高性能なものとは言いがたかった。
【0003】
また、最近においては、LiNbO3 の代わりに波長変換用バルク単結晶として広く用いられているBaB2 O4 を用いることも検討されてはいるものの、いまだに、適切なドーパントが報告されていないのが実情である。
そこでこの出願の発明は、以上の通りの従来技術の欠点を鑑みてなされたものであり、不純物をドーピングしたものではなく、光損傷がない高性能な新しい光導波路を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、支持体単結晶がBaB 2 O 4 単結晶であり、光導波路が、その組成としてBa(B1-xMx)2O4(ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15である)で示される非線形光学酸化物単結晶からなる高調波発生による波長変換用の光導波路を提供する。
【0005】
さらに、この出願の発明においては、前記の光導波路の製造方法であって、BaB2 O4 に、Al2 O3 、Ga2 O3 、BaAl2 O4 およびBaGa2 O4 のいずれかからなるファイバーまたは線材を接触させ、800〜920℃の温度範囲で反応拡散を行うことを特徴とする光導波路の製造方法をも提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は以上のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
まず最初に説明すべきことは、この発明の光導波路を構成する非線形光学結晶そのものは、この発明の発明者によりはじめて提供されたものであって、BaB2 O4 のBの一部を元素M(MはAlまたはGa)で置換することにより、置換部分の屈折率が劇的に増大した非線形光学用酸化物単結晶を形成することに大きな特徴があり、その結果、レーザー素子や非線形光学素子などの光学分野において非常に有用な光損傷のない高性能な光導波路となる。
【0007】
前記の元素MはBと同じIII族元素であるため、置換が容易であるとともに、元素MとBは化学的性質が近く、置換による光損傷は、ほとんど無視できる。この発明の特徴について、より具体的に述べると、ア)BaB2O4のBの一部を、AlまたはGaで置換することにより結晶の屈折率が増大し、BaB2O4との間の全反射が生じ、光が伝播される、光導波路においては、バルク単結晶と比較して位相整合をとることが容易で、光強度が大きくなる。また、イ)金属のAlまたはGaを用いたのでは、これらの融点が低く、BaB2O4との反応拡散を起こすことがない、さらに、ウ)B,AlおよびGaは、同じIII族元素があるために置換が容易で、反応拡散によりこの発明のBa(B1−XMX)2O4(ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)単結晶が製造できる。このとき、Xが0.01以下では屈折率の増大が小さく、光導波路として充分なものではない。またXが0.15以上では、第2相の生成により光が散乱してしまう。またさらに、エ)800〜920℃の温度範囲での反応拡散により、非線形光学活性な低温相のBa(B1−XMX)2O4(ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)単結晶の光導波路を製造することができる。このとき、反応拡散温度が800℃未満では充分な反応拡散が起こらない。また、920℃を超えると高調波を発生しない高温相が生成してしまう。
【0008】
この発明の高調波発生による波長変換用の光導波路は、例えば図1に示したものをひとつの態様としてしめすことができる。
すなわち、支持体単結晶(1)の一部に、この発明の単結晶光導波路(2)が形成されたものとすることができる。この場合、支持体単結晶(1)としては、BaB2 O4 などを例としてあげることができる。
【0009】
光導波路(2)は、前記のとおり、組成が、Ba(B1−x Mx )2 O4 (ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)で示される非線形光学単結晶であって、この光導波路(2)の入射面(3)に波長ωの光を照射すると、出射面(4)からは、2ωの第2高調波が出射する。
もちろん、この発明の光導波路は、その具体的態様は、図1に限られることはない。
【0010】
この発明の光導波路については、BaB2 O4 単結晶にファイバーあるいは線材を接触させ、800〜920℃の温度範囲での反応拡散を行い、非線形光学用酸化物単結晶として製造することができる。
ファイバーや線材としては、Al2 O3 、Ga2 O3 、BaAl2 O4 およびBaGa2 O4 のいずれかを用いることができる。
【0011】
さらに、このBaB2 O4 単結晶にBaAl2 O4 やBaGa2 O4 等を接触させる代わりに、Ba(B1−x Mx )2 O4 (ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)を接触させて反応拡散させた場合も、同様の結果が得られる。
このBa(B1−x Mx )2 O4 の場合、元素Mの量により、光導波路の組成を制御することが可能である。
【0012】
また、この発明では、位相整合が容易な光導波路ができることにより、デバイス要素の製造コストが低下し、さらに、反応拡散により製造できるので、光導波路形成コストも低いといった大きな利点が存在する。
以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。
【0013】
【実施例】
実施例1
高周波加熱引上げ装置を用いて、直径、高さともに40mmのPtるつぼ内で、50gの化学量論組成BaB2 O4 を大気中で融解(融点:1100℃)し、直径15mm、長さ30mmのBaB2 O4 単結晶を製造した。製造した単結晶から、マルチワイヤーソーを用いて、長手方向がC軸となる10×5×20mmの角柱を切り出した。
【0014】
その単結晶角柱の表面をアセトンにて脱脂洗浄後、その表面に直径0.5mm、長さ20mmのAl2 O3 ファイバーを乗せ、マッフルタイプ電気炉にて、反応拡散のため、大気中、850℃で5時間加熱した。
加熱炉、炉外に取りだしたところ、幅1mm、長さ20mmのBa(B0.9 M0.1 )2 O4 単結晶光導波路が形成された。
【0015】
この光導波路に波長1064nmのYAGレーザー光を照射したところ、図2に示すような、波長532nmの第2高調波が出射されることを確認した。
また、BaB2 O4 単結晶にAl2 O3 ファイバーを乗せる代わりに、Ga2 O3 ファイバーを乗せて反応拡散させ、同様の光導波路を得た。
この光導波路に波長1064nmのYAGレーザー光を照射したところ、前記の場合同様に、波長532nmの第2高調波が出射されることを確認した。
実施例2
高周波加熱引き上げ装置を用いて、直径、高さともに40mmのPtるつぼ内で、50gの化学量論組成BaB2 O4 を大気中で融解(融点:1100℃)し、直径15mm、長さ30mmのBaB2 O4 単結晶を製造した。
【0016】
製造した単結晶から、マルチワイヤーソーを用いて、長手方向がC軸となる10×5×20mmの角柱を切り出した。
単結晶角柱の表面をアセトンにて脱脂洗浄後、1mm角、長さ20mmの角棒状BaAl2 O4 結晶を乗せ、マッフルタイプ電気炉にて、反応拡散のため、大気中、850℃で5時間加熱した。
【0017】
加熱後、炉外に取りだしたところ、幅1mm、長さ20mmの光導波路が形成された。
この光導波路に波長1064nmのYAGレーザー光を照射したところ、波長532nmの第2高調波が出射されることを確認した。
実施例1の場合と比較して、光導波路は狹い領域で形成され、光導波路内の組成も均一で、強度の強い光が得られた。
【0018】
また同様に、BaB2 O4 単結晶に角棒状BaAl2 O4 結晶を乗せる代わりに、角棒状BaGa2 O4 を乗せて反応拡散させ、同様の光導波路を得た。
この光導波路に波長1064nmのYAGレーザー光を照射したところ、前記の場合同様に、波長532nmの第2高調波が出射されることを確認した。
さらに、このBaB2 O4 単結晶に角棒状BaAl2 O4 結晶および角棒状BaGa2 O4 を乗せる代わりに、Ba(B1−x Mx )2 O4 (ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)乗せて反応拡散させた場合も、同様の結果が得られた。
【0019】
このBa(B1−x Mx )2 O4 の場合、元素Mの量により、光導波路の組成を制御することが可能であった。
比較例1
高周波加熱引き上げ装置を用いて、直径、高さともに40mmのPtるつぼ内で、50gの化学量論組成BaB2 O4 を大気中で融解(融点:1100℃)し、直径15mm、長さ30mmのBaB2 O4 単結晶を製造した。
【0020】
製造した単結晶から、マルチワイヤーソーを用いて、長手方向がC軸となる10×5×20mmの角柱を切り出した。
その単結晶角柱の表面をアセトンにて脱脂洗浄後、直径0.5mm、長さ20mmのAl2 O3 ファイバーを乗せ、マッフルタイプ電気炉にて、反応拡散のため、大気中、930℃で5時間加熱した。この930℃という温度は、この発明の製造方法における温度範囲外のものである。
【0021】
加熱後、炉外に取りだし、波長1062nmのYAGレーザー光を照射した。しかしながら、第2高調波は観察されなかった。
比較例2
高周波加熱引き上げ装置を用いて、直径、高さともに40mmのPtるつぼ内で、50gの化学量論組成BaB2 O4 を大気中で融解(融点:1100℃)し、直径15mm、長さ30mmのBaB2 O4 単結晶を製造した。
【0022】
製造した単結晶から、マルチワイヤーソーを用いて、長手方向がC軸となる10×5×20mmの角柱を切り出した。
その単結晶角柱の表面をアセトンにて脱脂洗浄後、直径0.5mm、長さ20mmのAl2 O3 ファイバーを乗せ、マッフルタイプ電気炉にて、反応拡散のため、大気中、790℃で5時間加熱した。
【0023】
この790℃という温度は、本発明の請求項で規定した温度範囲外である。
加熱後、炉外に取りだしたところ、わずかに反応拡散が生じていたが、断続的で、光導波路は形成されなかった。
【0024】
【発明の効果】
以上詳しく述べた通り、この発明によって、不純物をドーピングすることなく、置換による光損傷がない高性能な高調波発生による波長変換用の光導波路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を例示した概略図である。
【図2】光導波路において発生した高調波スペクトルの強さを示した関係図である。なお、比較のために、1×1×20mmの角柱状Ba(B0.5 Al0.5 )2 O4 バルク単結晶にYAGレーザー光を照射した場合に出射した第2高調波スペクトルもBulkの表示のもとに示した。
【符号の説明】
1 支持体単結晶
2 単結晶光導波路
3 入射面
4 出射面
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、光導波路とその製造方法に関するものである。さらに詳しくはこの出願の発明は、合分波器、波長/周波数選択フィルタ、光スイッチ、レーザ素子、および、非線形光学素子などの光学部品に有用な、高調波発生による波長変換用の光導波路とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、光導波路の材料としては、Ti拡散法により作製されたTi:LiNbO3 が主として用いられており、このTi:LiNbO3 はTiのドーピングによる屈折率の増大を利用したものである。
しかしながら、TiはLiNbO3 にとって不純物であり、そのため光損傷の大きな原因となっており、このTi:LiNbO3 からなる光導波路は、決して高性能なものとは言いがたかった。
【0003】
また、最近においては、LiNbO3 の代わりに波長変換用バルク単結晶として広く用いられているBaB2 O4 を用いることも検討されてはいるものの、いまだに、適切なドーパントが報告されていないのが実情である。
そこでこの出願の発明は、以上の通りの従来技術の欠点を鑑みてなされたものであり、不純物をドーピングしたものではなく、光損傷がない高性能な新しい光導波路を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、支持体単結晶がBaB 2 O 4 単結晶であり、光導波路が、その組成としてBa(B1-xMx)2O4(ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15である)で示される非線形光学酸化物単結晶からなる高調波発生による波長変換用の光導波路を提供する。
【0005】
さらに、この出願の発明においては、前記の光導波路の製造方法であって、BaB2 O4 に、Al2 O3 、Ga2 O3 、BaAl2 O4 およびBaGa2 O4 のいずれかからなるファイバーまたは線材を接触させ、800〜920℃の温度範囲で反応拡散を行うことを特徴とする光導波路の製造方法をも提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は以上のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
まず最初に説明すべきことは、この発明の光導波路を構成する非線形光学結晶そのものは、この発明の発明者によりはじめて提供されたものであって、BaB2 O4 のBの一部を元素M(MはAlまたはGa)で置換することにより、置換部分の屈折率が劇的に増大した非線形光学用酸化物単結晶を形成することに大きな特徴があり、その結果、レーザー素子や非線形光学素子などの光学分野において非常に有用な光損傷のない高性能な光導波路となる。
【0007】
前記の元素MはBと同じIII族元素であるため、置換が容易であるとともに、元素MとBは化学的性質が近く、置換による光損傷は、ほとんど無視できる。この発明の特徴について、より具体的に述べると、ア)BaB2O4のBの一部を、AlまたはGaで置換することにより結晶の屈折率が増大し、BaB2O4との間の全反射が生じ、光が伝播される、光導波路においては、バルク単結晶と比較して位相整合をとることが容易で、光強度が大きくなる。また、イ)金属のAlまたはGaを用いたのでは、これらの融点が低く、BaB2O4との反応拡散を起こすことがない、さらに、ウ)B,AlおよびGaは、同じIII族元素があるために置換が容易で、反応拡散によりこの発明のBa(B1−XMX)2O4(ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)単結晶が製造できる。このとき、Xが0.01以下では屈折率の増大が小さく、光導波路として充分なものではない。またXが0.15以上では、第2相の生成により光が散乱してしまう。またさらに、エ)800〜920℃の温度範囲での反応拡散により、非線形光学活性な低温相のBa(B1−XMX)2O4(ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)単結晶の光導波路を製造することができる。このとき、反応拡散温度が800℃未満では充分な反応拡散が起こらない。また、920℃を超えると高調波を発生しない高温相が生成してしまう。
【0008】
この発明の高調波発生による波長変換用の光導波路は、例えば図1に示したものをひとつの態様としてしめすことができる。
すなわち、支持体単結晶(1)の一部に、この発明の単結晶光導波路(2)が形成されたものとすることができる。この場合、支持体単結晶(1)としては、BaB2 O4 などを例としてあげることができる。
【0009】
光導波路(2)は、前記のとおり、組成が、Ba(B1−x Mx )2 O4 (ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)で示される非線形光学単結晶であって、この光導波路(2)の入射面(3)に波長ωの光を照射すると、出射面(4)からは、2ωの第2高調波が出射する。
もちろん、この発明の光導波路は、その具体的態様は、図1に限られることはない。
【0010】
この発明の光導波路については、BaB2 O4 単結晶にファイバーあるいは線材を接触させ、800〜920℃の温度範囲での反応拡散を行い、非線形光学用酸化物単結晶として製造することができる。
ファイバーや線材としては、Al2 O3 、Ga2 O3 、BaAl2 O4 およびBaGa2 O4 のいずれかを用いることができる。
【0011】
さらに、このBaB2 O4 単結晶にBaAl2 O4 やBaGa2 O4 等を接触させる代わりに、Ba(B1−x Mx )2 O4 (ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)を接触させて反応拡散させた場合も、同様の結果が得られる。
このBa(B1−x Mx )2 O4 の場合、元素Mの量により、光導波路の組成を制御することが可能である。
【0012】
また、この発明では、位相整合が容易な光導波路ができることにより、デバイス要素の製造コストが低下し、さらに、反応拡散により製造できるので、光導波路形成コストも低いといった大きな利点が存在する。
以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。
【0013】
【実施例】
実施例1
高周波加熱引上げ装置を用いて、直径、高さともに40mmのPtるつぼ内で、50gの化学量論組成BaB2 O4 を大気中で融解(融点:1100℃)し、直径15mm、長さ30mmのBaB2 O4 単結晶を製造した。製造した単結晶から、マルチワイヤーソーを用いて、長手方向がC軸となる10×5×20mmの角柱を切り出した。
【0014】
その単結晶角柱の表面をアセトンにて脱脂洗浄後、その表面に直径0.5mm、長さ20mmのAl2 O3 ファイバーを乗せ、マッフルタイプ電気炉にて、反応拡散のため、大気中、850℃で5時間加熱した。
加熱炉、炉外に取りだしたところ、幅1mm、長さ20mmのBa(B0.9 M0.1 )2 O4 単結晶光導波路が形成された。
【0015】
この光導波路に波長1064nmのYAGレーザー光を照射したところ、図2に示すような、波長532nmの第2高調波が出射されることを確認した。
また、BaB2 O4 単結晶にAl2 O3 ファイバーを乗せる代わりに、Ga2 O3 ファイバーを乗せて反応拡散させ、同様の光導波路を得た。
この光導波路に波長1064nmのYAGレーザー光を照射したところ、前記の場合同様に、波長532nmの第2高調波が出射されることを確認した。
実施例2
高周波加熱引き上げ装置を用いて、直径、高さともに40mmのPtるつぼ内で、50gの化学量論組成BaB2 O4 を大気中で融解(融点:1100℃)し、直径15mm、長さ30mmのBaB2 O4 単結晶を製造した。
【0016】
製造した単結晶から、マルチワイヤーソーを用いて、長手方向がC軸となる10×5×20mmの角柱を切り出した。
単結晶角柱の表面をアセトンにて脱脂洗浄後、1mm角、長さ20mmの角棒状BaAl2 O4 結晶を乗せ、マッフルタイプ電気炉にて、反応拡散のため、大気中、850℃で5時間加熱した。
【0017】
加熱後、炉外に取りだしたところ、幅1mm、長さ20mmの光導波路が形成された。
この光導波路に波長1064nmのYAGレーザー光を照射したところ、波長532nmの第2高調波が出射されることを確認した。
実施例1の場合と比較して、光導波路は狹い領域で形成され、光導波路内の組成も均一で、強度の強い光が得られた。
【0018】
また同様に、BaB2 O4 単結晶に角棒状BaAl2 O4 結晶を乗せる代わりに、角棒状BaGa2 O4 を乗せて反応拡散させ、同様の光導波路を得た。
この光導波路に波長1064nmのYAGレーザー光を照射したところ、前記の場合同様に、波長532nmの第2高調波が出射されることを確認した。
さらに、このBaB2 O4 単結晶に角棒状BaAl2 O4 結晶および角棒状BaGa2 O4 を乗せる代わりに、Ba(B1−x Mx )2 O4 (ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15)乗せて反応拡散させた場合も、同様の結果が得られた。
【0019】
このBa(B1−x Mx )2 O4 の場合、元素Mの量により、光導波路の組成を制御することが可能であった。
比較例1
高周波加熱引き上げ装置を用いて、直径、高さともに40mmのPtるつぼ内で、50gの化学量論組成BaB2 O4 を大気中で融解(融点:1100℃)し、直径15mm、長さ30mmのBaB2 O4 単結晶を製造した。
【0020】
製造した単結晶から、マルチワイヤーソーを用いて、長手方向がC軸となる10×5×20mmの角柱を切り出した。
その単結晶角柱の表面をアセトンにて脱脂洗浄後、直径0.5mm、長さ20mmのAl2 O3 ファイバーを乗せ、マッフルタイプ電気炉にて、反応拡散のため、大気中、930℃で5時間加熱した。この930℃という温度は、この発明の製造方法における温度範囲外のものである。
【0021】
加熱後、炉外に取りだし、波長1062nmのYAGレーザー光を照射した。しかしながら、第2高調波は観察されなかった。
比較例2
高周波加熱引き上げ装置を用いて、直径、高さともに40mmのPtるつぼ内で、50gの化学量論組成BaB2 O4 を大気中で融解(融点:1100℃)し、直径15mm、長さ30mmのBaB2 O4 単結晶を製造した。
【0022】
製造した単結晶から、マルチワイヤーソーを用いて、長手方向がC軸となる10×5×20mmの角柱を切り出した。
その単結晶角柱の表面をアセトンにて脱脂洗浄後、直径0.5mm、長さ20mmのAl2 O3 ファイバーを乗せ、マッフルタイプ電気炉にて、反応拡散のため、大気中、790℃で5時間加熱した。
【0023】
この790℃という温度は、本発明の請求項で規定した温度範囲外である。
加熱後、炉外に取りだしたところ、わずかに反応拡散が生じていたが、断続的で、光導波路は形成されなかった。
【0024】
【発明の効果】
以上詳しく述べた通り、この発明によって、不純物をドーピングすることなく、置換による光損傷がない高性能な高調波発生による波長変換用の光導波路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を例示した概略図である。
【図2】光導波路において発生した高調波スペクトルの強さを示した関係図である。なお、比較のために、1×1×20mmの角柱状Ba(B0.5 Al0.5 )2 O4 バルク単結晶にYAGレーザー光を照射した場合に出射した第2高調波スペクトルもBulkの表示のもとに示した。
【符号の説明】
1 支持体単結晶
2 単結晶光導波路
3 入射面
4 出射面
Claims (1)
- 支持体単結晶がBaB 2 O 4 単結晶であり、光導波路が、その組成としてBa(B1-xMx)2O4(ただし、MはAlまたはGaで、0.01<X<0.15である)で示される非線形光学酸化物単結晶からなることを特徴とする高調波発生による波長変換用の光導波路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02428799A JP3554813B2 (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 光導波路とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02428799A JP3554813B2 (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 光導波路とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000221552A JP2000221552A (ja) | 2000-08-11 |
JP3554813B2 true JP3554813B2 (ja) | 2004-08-18 |
Family
ID=12133975
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02428799A Expired - Lifetime JP3554813B2 (ja) | 1999-02-01 | 1999-02-01 | 光導波路とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3554813B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010009581A1 (zh) | 2008-07-25 | 2010-01-28 | 中国科学院福建物质结构研究所 | 掺杂的低温相偏硼酸钡单晶体、其制备方法及其变频器件 |
-
1999
- 1999-02-01 JP JP02428799A patent/JP3554813B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000221552A (ja) | 2000-08-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Komatsu et al. | Preferential growth orientation of laser-patterned LiNbO3 crystals in lithium niobium silicate glass | |
US7891215B2 (en) | Thermally stable IR-transmitting chalcogenide glass | |
US8351109B2 (en) | Nonlinear optic glassy fibers, methods of making and applications of the same | |
JP3554813B2 (ja) | 光導波路とその製造方法 | |
KR20010023537A (ko) | 디스프로슘이첨가된저포논에너지섬유증폭기 | |
JPWO2006104051A1 (ja) | 波長変換素子 | |
JPH063546A (ja) | シングルモード光導波路 | |
JP4665162B2 (ja) | 光学素子及びその製造方法 | |
JPH11508869A (ja) | ガラス | |
JP2006512610A (ja) | 「光損傷」に対する結晶の耐性の向上 | |
Jaschin et al. | Enhanced second harmonic generation and photoluminescence in Pr-doped LiNb0. 5Ta0. 5O3 nanocrystals embedded in a borate based glass | |
US5077239A (en) | Chalcogenide glass, associated method and apparatus | |
He et al. | Femtosecond-laser-inscribed fiber bragg gratings for high-tempertature sensing | |
JPH01249698A (ja) | β−BaBzO↓4非線形光学単結晶の製造方法 | |
JP3317338B2 (ja) | 波長変換結晶及びその製造方法並びにこれを用いたレーザ装置 | |
JPH05327107A (ja) | 光導波路型光増幅器及びその作製方法 | |
JP2005272198A (ja) | 二次光非線形透明結晶化ガラスの製造方法 | |
Ahluwalia | Optical Fibers | |
JP3261649B2 (ja) | 光学用四ほう酸リチウム単結晶の育成方法 | |
JP5333715B2 (ja) | ガラス、結晶化ガラス、結晶化ガラスの製造方法及び光学部材 | |
Pureza et al. | Nonlinear properties of chalcogenide glass fibers | |
JPH07159817A (ja) | レーザーパルス圧縮素子 | |
Green et al. | Fabrication of twin-rectangular-cored fibre couplers | |
JPH04168430A (ja) | 有機非線形光学材料とその製造方法 | |
JPH0815534A (ja) | 結晶性ファイバおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040303 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |