JP3554455B2 - パターン読み取り装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、対象面上に付されたパターンを読み取るパターン読み取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パターンが形成された対象面を照明し、この対象面からの反射光によりパターンの像を形成するタイプのパターン読み取り装置としては、従来から反射型顕微鏡や反射型パターン投影装置が知られている。これらの装置の光学系では、照明光を対物レンズを介して対象物に入射させ、対象物からの反射光を再度対物レンズを介して像面に直接、あるいは結像レンズを介して導く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の反射型の光学装置では、照明光の一部が対物レンズのレンズ面で反射されてゴースト光となるため、このゴースト光が読み取り対象であるパターンの結像位置に達した場合、パターン像のコントラストが低下して読み取り精度が悪くなるという問題がある。また、対象面に多少のうねり、ざらつきがある場合なども読み取りが困難になる。
【0004】
この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、照明光の一部が対物レンズのレンズ面で反射する場合、あるいは対象面に多少のうねりやざらつきがある場合にも、パターン像のコントラストを低下させずに読み取りが可能なパターン読み取り装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかるパターン読み取り装置は、上記の目的を達成させるため、光源から発した光束を対物レンズを介して読み取り対象であるパターンが付された対象面に入射させ、対象面で反射された光を対物レンズを介して収束させると共に、結像レンズによりパターンの像を形成して読み取るパターン読み取り装置において、光源と結像レンズとは対物レンズの光軸を挟んで互いに反対側に配置されており、光源は、照明光を対象面に対して斜めに入射させる位置に設けられており、対物レンズをその光軸に対して垂直な回動軸回りに回動可能に支持するティルト機構を備えたことを特徴とする。
【0006】
光源としては、微少面積を有する光源を用いることができる。また、上記回動軸は、照明光の主光線に対して垂直、かつ、結像レンズの光軸に対して垂直であることが望ましい。
【0007】
所定のフィルタリング効果を得るためには、対物レンズと結像レンズとの間の光路中に、光源の像を形成する光束を遮光する遮光領域を有する空間フィルタを配置することができる。対物レンズが球面収差を持つ場合には、空間フィルターは、対物レンズを介して形成される光源の近軸像点より対物レンズ側に配置することが望ましい。なお、読み取ったイメージを加工し、あいるは他の表示装置に表示させるためには、パターン像の結像位置に、パターンを読み取る撮像素子を配置すればよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるパターン読み取り光学系の実施形態を説明する。ここでは、最初に図1に基づいて発明の基本構成について説明し、続いて、図2から図5に基づいてこの発明のパターン読み取り光学系を反射型の対象物を読み取る装置に適用した実施形態について説明し、さらに、図6から図11に基づいて実施形態の光学系を適用した装置の機械的な構成例について説明する。
【0009】
図1(A)は、この発明の第1の態様の基本構成を示す光学系の説明図である。図示せぬ光源からの光束はピンホール板12により微少面積を有する光源となり、対物レンズ20を介して反射型の被検査物Oに対して斜めに入射する。被検物Oで反射された光束は、対物レンズ手段20を介して収束され、結像レンズ32により撮像面33a上に被検物のパターン像を形成する。対物レンズ20は、その光軸Axと垂直な回動軸Rxを回動中心として回動可能に支持されている。
【0010】
ピンホール板12側から対物レンズ20に入射する照明光の一部は、対物レンズ20のレンズ面で表面反射して結像レンズ32にゴースト光として入射する。このゴースト光がパターン像の位置に重なると、パターン像のコントラストが低下して読み取りが困難となる。そこで、このような場合には、対物レンズ20を回動させてゴースト光の反射方向を変える。対物レンズ20の回動は、ゴースト光の反射方向の変化に関しては高い感度を持つが、被検物Oからの正規の光束である透過光の方向の変化に関しては感度が弱いため、パターン像の位置をほとんど変化させることなくゴースト光が達する位置を変えることができる。
【0011】
図1(B)は、この発明の第2の態様の基本構成を示す光学系の説明図である。この例では、ピンホール板12からの光束が対物レンズ20を介して被検物Oに対して垂直に入射するよう構成されると共に、被検物Oからの反射光の一部は対物レンズ20を透過し、ハーフミラー40により反射されて結像レンズ32に入射する。この例でも、図1(A)の場合と同様に対物レンズ20が回動軸Rx回りに回動可能であり、ゴースト光が撮像面33a上でパターン像と重ならないよう調整することが可能である。
【0012】
なお、この種のパターン読み取り装置の光学系を空間フィルターを利用したフィルタリング光学系として構成した場合、対物レンズを回動させることによる効果は、上記のゴースト光の方向のコントロールの他に、空間フィルター上に形成される光源の像のコントロールにも利用することができる。
図1(C),(D)は、この発明の第3の態様の基本構成を示すフィルタリング光学系の説明図である。図示せぬ光源からの光束はピンホール板12により微少面積を有する光源となり、第1のレンズ手段21を介して透過型の被検査物Oに入射する。被検物Oを透過した光束は、第2のレンズ手段22を介して空間フィルター31に入射し、これを透過して結像レンズ32により撮像面33a上に被検物の強調像を形成する。空間フィルター31は、光源の像を形成する光束を遮光する遮光領域を有するフィルタであり、光源の近軸像面IMより第2のレンズ手段22側に配置されている。第2のレンズ手段22は、図中の矢印で示したように光軸と直交する回動軸Rx回りに回動調整可能に支持されている。
【0013】
図1(C)は、被検物Oの表面が均質でない場合を示している。この場合には、光源の像の形状がピンホールの形状に一致せずに変形し、空間フィルター31の遮光領域に一致しない可能性がある。ここで、第2レンズ群22を回動させると、コマ収差が変化するために光源の像の形状が変化し、回動角度によって光源の像が遮光領域に一致する場合がある。
【0014】
図1(D)は、被検物Oがプリズム作用を持つ場合を示している。この場合には、被検物Oを射出する光束が図中上側に偏向されるため、光源の像が図中上側に移動し、空間フィルター31の遮光領域により遮ることができない可能性がある。そこで、この例では、第2のレンズ手段22をレンズの中心を軸として図中反時計回りに所定の鋭角回動させる。この第2のレンズ手段22の回動により被検物Oのプリズム作用による光源の像位置の移動を相殺することができ、光源の像を形成する光束はプリズム作用がない場合と同様に空間フィルター31により遮光される。
【0015】
なお、図1(C),(D)の例では、第2のレンズ手段22が有する球面収差、そして、軸外光により生じるコマ収差、像面湾曲による影響を考慮し、光源の像の広がりが近軸像点における広がりより小さくなる位置に空間フィルター31が配置されている。これにより、従来より小さい遮光領域で被検物表面で散乱されずに被検物を透過した光線を遮ると共に、被検物Oからの散乱成分を透過させることができる。具体的には、第2のレンズ手段22の最終面から空間フィルター31までの距離Lが、第2のレンズ手段22の焦点距離foに対して、0.60fo< L < 0.95foの条件を満たす位置に配置される。この範囲では、光源像の広がりが近軸像点における広がりより小さくなるため、遮光領域を従来より小さくすることができる。実際の光学系に適用する場合には、光線追跡により光源の像の大きさが最小となる位置を求め、その位置に配置することが望ましい。
【0016】
図2は、この発明を反射型の対象物の読み取り光学系に適用した実施形態にかかるパターン読み取り光学系の構成を示す概略図である。ここでは、シリコンウェハーを読み取り対象としている。
【0017】
半導体部品の製造工程では、シリコンウェハー等の半導体基板にエッチングや蒸着等のプロセスを繰り返すことにより半導体層を積層する。シリコンウェハーには、一般に部品生成プロセスの前段階でシリアル番号がレーザーエッチングにより付され、以下の工程はこのシリアル番号により管理される。シリコンウェハーは鏡面加工されており、シリアル番号を読み取る際にはウェハーを光にかざして斜めから見る等の方法によらなければ十分に認識することができず、また、エッチングや蒸着等のプロセスが進むにしたがって文字品質が劣化するため、最終プロセスに近いウェハーのシリアル番号は特に判読が困難になる。
【0018】
実施形態の光学系は、このようなシリコンウェハー上に形成されたシリアル番号等の不鮮明なパターン、特にエッチングや蒸着等のプロセスを経て劣化したパターンを読み取ることができるよう構成されている。
【0019】
図中の符号1はシリコンウェハーであり、その鏡面加工された表面1aには読み取り対象となるパターンとしてシリアル番号がレーザーエッチングにより刻印されている。装置の光学系は、照明部10、対物レンズ20、検出部30から構成されている。対物レンズ20は、基準状態でその光軸Axが反射面である表面1aに対して垂直となるよう配置されており、対物レンズ20の光軸に対して垂直な回動軸Rxを回動中心として図中矢印で示したように回動可能とされている。照明部10と検出部30とは、基準状態での対物レンズ20の光軸Axを挟んでほぼ対称に配置されている。
【0020】
照明部10は、ハロゲンランプ等を用いた光源11と、この光源からの光の一部を透過させるピンホール12aが形成されたピンホール板12とを備え、微少面積を有する光源を構成している。光源11とピンホール板12との間には、ランプのフィラメントの像の影響をなくすため、拡散板13が配置されている。検出部30は、空間フィルター31と、結像レンズ32、そして、CCDイメージセンサ等の撮像素子33とから構成されている。図2の例では、検出部30が表面1aからの正反射成分の反射方向の延長上に配置されている。
【0021】
この例では、回動軸Rxは、照明光の主光線Ax1に対して垂直な平面と、結像レンズ32の光軸Ax2に対して垂直な平面との交線に対して平行である。対物レンズ20の回動範囲は、基準状態を中心として±45度程度を確保すれば十分である。
【0022】
光源から発して対物レンズ20を介して表面1aに達した光束は、表面1aで反射されて対物レンズ20を再度透過して空間フィルター31に入射する。この例では、シリコンウェハー1に対して照明光を平行光として入射させるように、微少面積を有する光源となるピンホール12aが対物レンズ20の前側焦点位置に配置されている。光源から発した光は対物レンズ20を透過して平行光となり、シリコンウェハー1の表面1aを斜め方向から照明する。表面1aに達した照明光は、刻印されたパターン部分では散乱反射され、それ以外の部分では正反射する。
【0023】
表面1aで反射された光束は、再度対物レンズ20を透過して検出部30側に向かう収束光となり、空間フィルター31に達する。空間フィルター31は、結像レンズ32と対物レンズ20との間の光路中で、対物レンズ20により形成される光源の像より対物レンズ20側に配置されている。空間フィルター31は、図3に示されるように結像レンズ32の瞳の中心部を覆う遮光領域31bを有する。微少面積を有する光源である照明部10から発した照明光のうちの表面1aで正反射した成分は、空間フィルター31上で遮光領域31bにほぼ収束して遮られる。
【0024】
表面1aからの反射光のうち空間フィルター31を透過した散乱反射成分は、結像レンズ32に入射する。結像レンズ32は、シリコンウェハー1の表面1aと撮像素子33とを共役にするパワーを有しており、撮像素子33上には、空間フィルター31を透過した散乱反射成分により表面1aに刻印されたパターンの像が形成される。撮像素子33は、形成されたパターンの像の情報を電気信号に変換して出力し、図示せぬ画像処理装置に入力させる。画像処理装置は、入力された画像信号に基づいてパターンの像をディスプレイ画面上に表示したり、文字認識のアルゴリズムを用いてパターンの内容を解析する。
【0025】
なお、光源部10は、光源の像の位置を空間フィルター31の遮光領域31bに対して調整するため、照明光の主光線Ax1と交差する面内、この例では対物レンズの基準時の光軸Axに対して垂直な面内で光軸Axに対して離反し、あるいは接近する方向に調整可能である。
【0026】
さらに、結像レンズ32と撮像素子33とは、結像倍率を変化させるために結像レンズの光軸Ax2に沿って移動できるよう構成されている。また、この結像レンズの移動による倍率変更を可能とするため、対物レンズと対象面である表面1aとの距離Xが0<X<0.7foの条件を満たすよう設定されている。すなわち、前述した図1(A)の構成では、X=foであり、破線で示す被検物の一点から出た光線が平行光となるため、結像レンズ32を移動させても倍率を変えることはできないが、上記の条件を満たすことにより被検物の一点から出た光線が非平行となり、結像レンズ32を光軸方向に移動させることにより結像倍率を変化させることができるようになる。
【0027】
図2の例では、前述したように検出部30が表面1aからの正反射成分の反射方向の延長上に配置されているため、空間フィルター31が設けられていない場合には、正反射成分が結像レンズに入射する。しかしながら、正反射成分はパターンの情報をほとんど持たない成分であり、かつ、強度が大きいため、正反射成分が撮像素子に取り込まれるとパターンに関する情報のS/N比が低下してパターンの検出が困難となる。そこで、この例では空間フィルター31を用いて正反射成分を除去し、散乱反射成分のみが撮像素子に取り込まれるようにすることにより、パターンに関する情報のS/N比を向上させ、パターンの認識、識別が容易になるよう構成している。撮像素子上に形成される強調像は、スペクトルの低周波成分が抑えられて主として高周波成分により形成される像であり、実際にはパターンの部分が強調された像となる。
【0028】
光源11からの照明光が対物レンズ20の表面で反射されて発生したゴースト光が結像レンズ32に入射した場合、撮像素子33上のパターン像の位置とゴースト光とが重なると、パターン像のコントラストが低下して読み取りが困難となる。このような場合には、対物レンズ20を回動させてゴースト光がパターン像に重ならないよう調整することにより、コントラストの低下を防止し、パターンの正確な読み取りが可能となる。
【0029】
表面1aでの散乱反射光の分布に偏りがある場合には、光源の像の形状が変化して空間フィルター31の遮光領域31bから外れる可能性がある。このような場合にも、対物レンズ20を回動させることによりコマ収差をコントロールして光源の像の形状を変化させることができる。また、表面1aが傾きを持つ場合には、光源部10の位置を調整して光源の像の位置を調整することにより、光源の像のできる位置を遮光領域31bに一致させることができる。
【0030】
図4は、図2の光学系を展開して示す光路図である。ピンホール板12から射出された光束が対物レンズ20により平行光となり、表面1aで反射(図中では透過)されて再度対物レンズ20に入射し、収束光として空間フィルター31を透過し、結像レンズ32を介して撮像素子33上にパターンの像を形成する。図2の光学系は、図4の光学系の表面1aを境とする一方側を折り返すことにより構成されるものである。この例では、表面1aは対物レンズ20の焦点位置より対物レンズに近接しており、表面1aの一点からの反射光線は、図1に示すような平行光ではなく発散光として結像レンズ32に入射する。
【0031】
なお、結像レンズ32の焦点距離は、読み取り対象であるシリアル番号の文字列の長さと撮像素子の撮像面のサイズとにより決定される画角と撮影倍率、全体の大きさ(移動量)等から求められる。一方、対物レンズ20の焦点距離は、結像レンズ32の焦点距離と結像倍率により決定される表面1aと結像レンズ32との距離に基づいて決定される。
【0032】
図5は、文字列の長さを2cm、撮像素子の撮像面のサイズを対角1/2インチであると想定した場合の設計例を示す光学系の説明図である。この例では、結像レンズ32の焦点距離は50mm、対物レンズ20の焦点距離foは220mmである。また、ピンホール12aからシリコンウェハー1の表面1aまでの距離aは約270mm、対物レンズ20から表面1aまでの距離bは約50mm、対物レンズ20の最終面から空間フィルター31までの距離Lは約190mmとなる。したがってこの例では、対物レンズ20の最も空間フィルター側の面と空間フィルターとの距離Lを定める条件0.60fo < L < 0.95foは、おおよそ130mm<L<210mmとなる。また、対物レンズと対象面である表面1aとの距離Xを定める条件0<X<0.7fo は、0<X<154mmとなる。
【0033】
次に、上述した光学系を組み込んだ装置の具体的な機械的構成について図6、図7を参照して説明する。なお、説明のため、図中対物レンズの基準状態での光軸と平行なx方向、x方向と垂直な面内で互いに直交するy方向とz方向とを定義する。照明光の主光線Ax1と結像レンズの光軸Ax2とは、x−z平面に含まれる。
【0034】
実施形態のパターン読み取り装置は、検査対象であるシリコンウェハーが一点鎖線で示した基準位置Tに載置されるベースフレーム100と、このベースフレーム100上にベアリング110を介して設けられ、ベースフレーム100に対して図中y方向にスライド可能に設けられた可動フレーム200とを備える。
【0035】
可動フレーム200の移動は、図7に示すボールネジを用いたフレーム駆動機構210により実現される。フレーム駆動機構210は、ベースフレーム100に固定されたネジ支持部102に回転調整可能に配置されたボールネジ211と、可動フレーム200の水平保持板201(y−z平面に平行)に固定された螺合部材212とから構成されている。ボールネジ211は、ベース側に形成された検査者が操作する操作つまみ211aと、可動フレーム側に突出する部分に形成されたネジ部211bとを備えている。ボールネジ211のネジ部211bは、螺合部材212に形成されたネジ孔に螺合しており、ベースフレーム100側の操作つまみ211aを持ってボールネジ211を回転させると、可動フレーム200が図中y方向にスライドする。
【0036】
可動フレーム200の水平保持板201には、対物レンズ20を回動可能に保持するティルト機構220が配置されると共に、この水平支持板201から鉛直に立ち上げられた支柱202には垂直保持板203(x−z平面に平行)が固定されている。垂直保持板203には、微少面積を持つ光源を構成する光ファイバー11d及びピンホール板12と、結像レンズ32が内蔵された鏡筒32Aと撮像素子33が内部に設けられたCCDユニット33Aから構成される撮像ユニット320とが固定されている。可動フレーム200の水平保持板201、ベースフレーム100、ティルト機構220の基板221には、光源11からのシリコンウェハーに導き、また、シリコンウェハーからの反射光を撮像ユニット320に導くための光路孔100a,201a,221aがそれぞれ一致した位置に形成されている。
【0037】
ティルト機構220は、支柱202、およびこれと平行に水平保持板201に立設された支持部材204(図6参照)との間に架設された基板221と、この基板221の下方に延設された軸受け部222(図7参照)とを備えている。対物レンズ20は、z方向の回動軸223aを持つレンズ枠223に収納されており、このレンズ枠223は、回動軸223aにより軸受け部222に回動可能に取り付けられている。レンズ枠223の回動軸の両端は、軸受け部222から突出しており、フレーム駆動機構210側に突出した端部には従動プーリー224が固着され、他方側に突出した端部にはエンコーダ用の回転板225が固着されている。
【0038】
レンズ支持機構220の基板221上には、レンズ駆動用モータ226が取り付けられており、このモータ226の回転軸に固定された駆動プーリー226aと従動プーリー224との間にはタイミングベルト227が掛け渡されている。エンコーダは、回動軸に取り付けられた回転板225と、この回転板225を挟んで発光素子と受光素子とを配置して構成されるフォトインタラプタ228とから構成されている。回転板225には、周方向の一カ所にスリットが形成されており、対物レンズ20が初期位置に設定された際に発光素子から発した光束がスリットを介して受光素子により検出されるよう調整されている。対物レンズ20の初期位置は、この例では対物レンズ20の光軸Axが理想的な対象面(傾きのない平面)に対して垂直となる位置である。
【0039】
光源11は、ハロゲンランプ11a、ハロゲンランプ11aから発する収束光の熱線をカットする赤外線カットフィルター11b、フィルターを透過した収束光をほぼ平行光にする負レンズ11c、そして、この負レンズを介して光が入射する光ファイバー11dから構成されている。ピンホール板12は、光ファイバーの射出側の端部を保持する保持部121が一体に形成されたピンホールユニット120として構成され、このユニットにピンホール板12に対して垂直に形成された取り付け板部122を介して垂直保持板203にボルト123,123により取り付けられている。取り付け板部122に形成された固定用の長孔124,124は、照明光の主光線Ax1に対して垂直な面内に延びており、ボルト123を緩めることにより、この面内でユニット120が一体として撮像ユニット320に接近し、あるいは離反する方向に移動できるよう構成されている。
【0040】
なお、この例では、ファイバー11dは一般に市販されている直径5mm程度の光ファイバーであり、これを微少面積を有する光源とするためのピンホールを用いているが、ファイバーの直径が1mm〜2mmであれば、ピンホールは不要である。また、ファイバー11dの端面から射出する光束の密度に偏りがある場合には、ファイバー端面とピンホールとの間に拡散板を配置することが望ましい。
【0041】
空間フィルター31は、この例では垂直保持板203に固定されたフィルターホルダー130を介して固定して設けられている。なお、対物レンズ20が実施形態のような球面単レンズである場合、球面収差が必ず残存する。また、レンズに対して光束が斜めに入射するため、コマ収差と像面湾曲とも発生する。そしてこれらの収差の影響により、光源の像を形成する光線が一点に集まらずに拡散し、その拡散の度合いは光源の近軸像点ではかなり大きくなる。したがって、空間フィルター31がこの近軸像点に配置されている場合には、確実なフィルタリングのために遮光領域を大きく確保する必要があり、像の光量が低下する。そこで、実施形態の装置では、空間フィルター31が近軸像点より対物レンズ20側であって、対物レンズ20により形成される光源の像の広がりが最小となる位置に配置されている。
【0042】
撮像ユニット320は、垂直保持板203に結像レンズ32の光軸Ax2方向に沿って形成された長孔205を介してボルト321により垂直保持板203に取り付けられており、ボルト321を緩めることにより光軸Ax2方向に沿ってスライド調整可能である。すなわち、図7に示すように、長孔205は幅広の第1段部205aが撮像ユニット320側に板厚のほぼ半分の深さで形成されると共に、この第1段部205aの幅方向の中央に、第1段部から垂直保持板203を貫通して幅狭の第2段部205bが形成されて構成されている。撮像ユニット320には、取り付け用の2つのアーム322が形成されており、それぞれのアーム322の先端に第1段部205aより小径で第2段部より大径のワッシャー323を介在させてボルト321が垂直保持板203の反対側から螺合している。上記の構成により、撮像ユニット320は、一体として結像レンズ32の光軸Ax2方向に移動可能であり、かつ、結像レンズ32は図示せぬ鏡筒の調整機構により光軸方向に調整可能である。上記の2つの調整により、結像倍率を変化させることが可能となる。
【0043】
実施形態の装置では、結像レンズ20の焦点より手前にシリコンウェハーが位置するよう位置Tが定められており、シリコンウェハーの表面の一点からの反射光線は、発散光として結像レンズ32に入射する。このため、実施形態の構成によれば結像レンズ32を光軸方向に移動させることにより、結像倍率を変化させることができる。なお、倍率を変化させるために結像レンズを移動させると、撮像素子33に対するパターンの合焦状態も変化することとなる。
【0044】
そこで、パターンの合焦状態を維持しつつ倍率を変化させるため、結像レンズ32と撮像素子33とが図8に示す軌跡に沿って移動するようそれぞれの位置を調整する。図8は、図中の上方向から下方向に向けて倍率が漸次高くなる位置を示し、物体面であるシリコンウェハーの表面を不動として、結像レンズ32と撮像素子33とが設定されるべき位置を示している。すなわち、任意の水平方向の直線が各軌跡線と交差する位置に結像レンズ32と撮像素子33とがそれぞれ位置するときに、その倍率でピントの合うパターン像が撮像素子33上に形成されることを意味している。
【0045】
パターンを読み取る際には、シリコンウェハーを図6及び図7の一点鎖線で示した基準位置Tに配置し、ハロゲンランプ11aを点灯させて撮像素子33を駆動して画像信号を読み取る。光ファイバー11dの射出側の端面から射出した光は、ピンホール板12の中央に形成されたピンホール12aを通って照明光として対物レンズ20に斜めに入射し、対物レンズを透過して対象面であるシリコンウェハーに達する。シリコンウェハーには、文字、記号等のパターンが形成されているが、装置にセットする際には、パターン配列の長手方向がy方向に一致するように位置決めする。
【0046】
シリコンウェハーの表面で反射された光束は、再度対物レンズ20を透過して撮像ユニット320側に向かう。空間フィルター31の位置で光束中の軸上領域を通る光線は空間フィルター31の遮光部31bにより遮断され、周囲の部分のみが撮像ユニット320に入射する。撮像ユニット320の撮像素子33上には、軸外光によりパターンの強調像が形成される。対物レンズ20の表面反射によるゴースト光がパターン像に重なる場合には、レンズ駆動モータ226を制御して対物レンズ20の傾きを変化させる。
【0047】
また、シリコンウェハーの表面に傾きがある場合には、傾きがない場合と比較して反射の方向が変化するため、光源の像が空間フィルター31の遮光領域31bに一致しない可能性がある。このような場合には、シリコンウェハーの表面からの鏡面反射成分が撮像素子33に達するため、正確な強調像を形成できず、パターンの読み取りが困難になる可能性がある。このような場合には、ピンホールユニット120を調整することにより誤差による影響を補償することができる。すなわち、この例では、ピンホールユニット120が照明光の主光線Ax1と垂直な面内で撮像ユニット320に対して離反、接近可能であるため、このピンホールユニット120の位置を適宜調整することにより、光源の位置を調整し、遮光領域31b上に光源の像ができるようにすることができる。
【0048】
なお、光源の像の位置を調整するためには、シリコンウェハー自体の傾きを調整するようにしてもよいが、逐次交換されて検査される対象物側に傾き機構を設けるのは機構の複雑化を招くこと、そして、反射面の傾きを調整することによる光束の反射方向の制御は調整の感度が高すぎて微少な調整が困難であることの理由から、実施形態の装置ではピンホールユニット120を調整する構成を採用している。
【0049】
図9は、ピンホールユニットを調整するための他の構成例を示す説明図である。この例では、z方向に延びるガイド溝125aが形成されたレール部材125が可動フレーム(図示せず)に固定されており、ピンホール板12とファイバー11dの射出側の端部とが固定されたピンホールユニット120aが、このガイド溝125aに沿ってz方向に移動できるよう取り付けられている。ピンホールユニットは、図6の例のように照明光の主光線Ax1に対して垂直な面内で移動できるようにしてもよいし、この例のように対物レンズ20の光軸Axに対して垂直な面内で移動できるようにしてもよい。
【0050】
光源の調整は、光源の像と空間フィルター31の遮光領域31bとの相互の位置関係の調整を目的とするため、光源側のみでなく、空間フィルター31の位置を調整するようにしてもよい。空間フィルター31の位置を調整可能とするための機構の一例を図10および図11に示す。図10(A)は可動枠の平面図、(B)はそのB−B線に沿う断面図であり、図11は可動枠を固定レールに組み付けた様子を示す平面図である。図示されるように、所定の距離をおいて開口を互いに内側に向けて平行に配置された断面「コ」字状の2本のレール部材131a,131bと、これらのレール部材の間に両端近くで渡された2本の梁部材132a,132bとから矩形の可動枠を形成し、空間フィルター31をレール部材131a,131bのコ字状の開口に挿入してし抑えネジ133で固定する。可動枠には、四方の端部にガイドピン134が設けられており、これらのガイドピン134をそれぞれガイド溝136a,136bが形成された2本の固定レール135a,135bに係合させて取り付ける。
【0051】
図10の構成によれば、可動枠にはめ込まれた空間フィルター31は可動枠に対して図中のY方向に移動可能であり、この可動枠はさらに固定レールに取り付けられてZ方向に移動可能である。したがって、これらの機能をあわせることにより、空間フィルターはY−Z平面内で位置調整が可能となる。この調整により、空間フィルター31の遮光領域31bの位置を調整し、遮光領域31b上に光源の像ができるようにすることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、対物レンズでの表面反射が観察の妨げとなる場合、対象物がプリズム作用を持つ場合、あるいは反射型の対象物の反射面が傾いている場合には、対物レンズをその光軸に対して垂直な回動軸回りに所定角度傾けることにより、像の形成位置を変更して所望のフィルタリング出力像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の基本構成を示す光学系の説明図である。
【図2】実施形態にかかるパターン読み取り装置の光学系を概念的に示す説明図である。
【図3】空間フィルターの例を示す平面図である。
【図4】図2の光学系を反射面で展開して示す光路図である。
【図5】実施形態の光学系の設計例を示す説明図である。
【図6】図5の光学系を適用したパターン読み取り装置の具体的な機械系の構成を示す正面図である。
【図7】図6の装置を90度異なる方向から見た側面図である。
【図8】倍率を調整するための結像レンズと撮像素子との移動軌跡を示す説明図である。
【図9】ピンホールユニットを調整するための他の構成例を示す説明図である
【図10】空間フィルターの取り付け部分の他の構成例を示す説明図であり、(A)は可動枠の平面図、(B)はそのB−B線に沿う断面図である。
【図11】図10の空間フィルターの取り付け部分の全体を示す平面図である。
【符号の説明】
11 光源
12 ピンホール板
12a ピンホール
20 対物レンズ
Rx 回動軸
31 空間フィルター
32 結像レンズ
33 撮像素子
【発明の属する技術分野】
この発明は、対象面上に付されたパターンを読み取るパターン読み取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パターンが形成された対象面を照明し、この対象面からの反射光によりパターンの像を形成するタイプのパターン読み取り装置としては、従来から反射型顕微鏡や反射型パターン投影装置が知られている。これらの装置の光学系では、照明光を対物レンズを介して対象物に入射させ、対象物からの反射光を再度対物レンズを介して像面に直接、あるいは結像レンズを介して導く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の反射型の光学装置では、照明光の一部が対物レンズのレンズ面で反射されてゴースト光となるため、このゴースト光が読み取り対象であるパターンの結像位置に達した場合、パターン像のコントラストが低下して読み取り精度が悪くなるという問題がある。また、対象面に多少のうねり、ざらつきがある場合なども読み取りが困難になる。
【0004】
この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、照明光の一部が対物レンズのレンズ面で反射する場合、あるいは対象面に多少のうねりやざらつきがある場合にも、パターン像のコントラストを低下させずに読み取りが可能なパターン読み取り装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかるパターン読み取り装置は、上記の目的を達成させるため、光源から発した光束を対物レンズを介して読み取り対象であるパターンが付された対象面に入射させ、対象面で反射された光を対物レンズを介して収束させると共に、結像レンズによりパターンの像を形成して読み取るパターン読み取り装置において、光源と結像レンズとは対物レンズの光軸を挟んで互いに反対側に配置されており、光源は、照明光を対象面に対して斜めに入射させる位置に設けられており、対物レンズをその光軸に対して垂直な回動軸回りに回動可能に支持するティルト機構を備えたことを特徴とする。
【0006】
光源としては、微少面積を有する光源を用いることができる。また、上記回動軸は、照明光の主光線に対して垂直、かつ、結像レンズの光軸に対して垂直であることが望ましい。
【0007】
所定のフィルタリング効果を得るためには、対物レンズと結像レンズとの間の光路中に、光源の像を形成する光束を遮光する遮光領域を有する空間フィルタを配置することができる。対物レンズが球面収差を持つ場合には、空間フィルターは、対物レンズを介して形成される光源の近軸像点より対物レンズ側に配置することが望ましい。なお、読み取ったイメージを加工し、あいるは他の表示装置に表示させるためには、パターン像の結像位置に、パターンを読み取る撮像素子を配置すればよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるパターン読み取り光学系の実施形態を説明する。ここでは、最初に図1に基づいて発明の基本構成について説明し、続いて、図2から図5に基づいてこの発明のパターン読み取り光学系を反射型の対象物を読み取る装置に適用した実施形態について説明し、さらに、図6から図11に基づいて実施形態の光学系を適用した装置の機械的な構成例について説明する。
【0009】
図1(A)は、この発明の第1の態様の基本構成を示す光学系の説明図である。図示せぬ光源からの光束はピンホール板12により微少面積を有する光源となり、対物レンズ20を介して反射型の被検査物Oに対して斜めに入射する。被検物Oで反射された光束は、対物レンズ手段20を介して収束され、結像レンズ32により撮像面33a上に被検物のパターン像を形成する。対物レンズ20は、その光軸Axと垂直な回動軸Rxを回動中心として回動可能に支持されている。
【0010】
ピンホール板12側から対物レンズ20に入射する照明光の一部は、対物レンズ20のレンズ面で表面反射して結像レンズ32にゴースト光として入射する。このゴースト光がパターン像の位置に重なると、パターン像のコントラストが低下して読み取りが困難となる。そこで、このような場合には、対物レンズ20を回動させてゴースト光の反射方向を変える。対物レンズ20の回動は、ゴースト光の反射方向の変化に関しては高い感度を持つが、被検物Oからの正規の光束である透過光の方向の変化に関しては感度が弱いため、パターン像の位置をほとんど変化させることなくゴースト光が達する位置を変えることができる。
【0011】
図1(B)は、この発明の第2の態様の基本構成を示す光学系の説明図である。この例では、ピンホール板12からの光束が対物レンズ20を介して被検物Oに対して垂直に入射するよう構成されると共に、被検物Oからの反射光の一部は対物レンズ20を透過し、ハーフミラー40により反射されて結像レンズ32に入射する。この例でも、図1(A)の場合と同様に対物レンズ20が回動軸Rx回りに回動可能であり、ゴースト光が撮像面33a上でパターン像と重ならないよう調整することが可能である。
【0012】
なお、この種のパターン読み取り装置の光学系を空間フィルターを利用したフィルタリング光学系として構成した場合、対物レンズを回動させることによる効果は、上記のゴースト光の方向のコントロールの他に、空間フィルター上に形成される光源の像のコントロールにも利用することができる。
図1(C),(D)は、この発明の第3の態様の基本構成を示すフィルタリング光学系の説明図である。図示せぬ光源からの光束はピンホール板12により微少面積を有する光源となり、第1のレンズ手段21を介して透過型の被検査物Oに入射する。被検物Oを透過した光束は、第2のレンズ手段22を介して空間フィルター31に入射し、これを透過して結像レンズ32により撮像面33a上に被検物の強調像を形成する。空間フィルター31は、光源の像を形成する光束を遮光する遮光領域を有するフィルタであり、光源の近軸像面IMより第2のレンズ手段22側に配置されている。第2のレンズ手段22は、図中の矢印で示したように光軸と直交する回動軸Rx回りに回動調整可能に支持されている。
【0013】
図1(C)は、被検物Oの表面が均質でない場合を示している。この場合には、光源の像の形状がピンホールの形状に一致せずに変形し、空間フィルター31の遮光領域に一致しない可能性がある。ここで、第2レンズ群22を回動させると、コマ収差が変化するために光源の像の形状が変化し、回動角度によって光源の像が遮光領域に一致する場合がある。
【0014】
図1(D)は、被検物Oがプリズム作用を持つ場合を示している。この場合には、被検物Oを射出する光束が図中上側に偏向されるため、光源の像が図中上側に移動し、空間フィルター31の遮光領域により遮ることができない可能性がある。そこで、この例では、第2のレンズ手段22をレンズの中心を軸として図中反時計回りに所定の鋭角回動させる。この第2のレンズ手段22の回動により被検物Oのプリズム作用による光源の像位置の移動を相殺することができ、光源の像を形成する光束はプリズム作用がない場合と同様に空間フィルター31により遮光される。
【0015】
なお、図1(C),(D)の例では、第2のレンズ手段22が有する球面収差、そして、軸外光により生じるコマ収差、像面湾曲による影響を考慮し、光源の像の広がりが近軸像点における広がりより小さくなる位置に空間フィルター31が配置されている。これにより、従来より小さい遮光領域で被検物表面で散乱されずに被検物を透過した光線を遮ると共に、被検物Oからの散乱成分を透過させることができる。具体的には、第2のレンズ手段22の最終面から空間フィルター31までの距離Lが、第2のレンズ手段22の焦点距離foに対して、0.60fo< L < 0.95foの条件を満たす位置に配置される。この範囲では、光源像の広がりが近軸像点における広がりより小さくなるため、遮光領域を従来より小さくすることができる。実際の光学系に適用する場合には、光線追跡により光源の像の大きさが最小となる位置を求め、その位置に配置することが望ましい。
【0016】
図2は、この発明を反射型の対象物の読み取り光学系に適用した実施形態にかかるパターン読み取り光学系の構成を示す概略図である。ここでは、シリコンウェハーを読み取り対象としている。
【0017】
半導体部品の製造工程では、シリコンウェハー等の半導体基板にエッチングや蒸着等のプロセスを繰り返すことにより半導体層を積層する。シリコンウェハーには、一般に部品生成プロセスの前段階でシリアル番号がレーザーエッチングにより付され、以下の工程はこのシリアル番号により管理される。シリコンウェハーは鏡面加工されており、シリアル番号を読み取る際にはウェハーを光にかざして斜めから見る等の方法によらなければ十分に認識することができず、また、エッチングや蒸着等のプロセスが進むにしたがって文字品質が劣化するため、最終プロセスに近いウェハーのシリアル番号は特に判読が困難になる。
【0018】
実施形態の光学系は、このようなシリコンウェハー上に形成されたシリアル番号等の不鮮明なパターン、特にエッチングや蒸着等のプロセスを経て劣化したパターンを読み取ることができるよう構成されている。
【0019】
図中の符号1はシリコンウェハーであり、その鏡面加工された表面1aには読み取り対象となるパターンとしてシリアル番号がレーザーエッチングにより刻印されている。装置の光学系は、照明部10、対物レンズ20、検出部30から構成されている。対物レンズ20は、基準状態でその光軸Axが反射面である表面1aに対して垂直となるよう配置されており、対物レンズ20の光軸に対して垂直な回動軸Rxを回動中心として図中矢印で示したように回動可能とされている。照明部10と検出部30とは、基準状態での対物レンズ20の光軸Axを挟んでほぼ対称に配置されている。
【0020】
照明部10は、ハロゲンランプ等を用いた光源11と、この光源からの光の一部を透過させるピンホール12aが形成されたピンホール板12とを備え、微少面積を有する光源を構成している。光源11とピンホール板12との間には、ランプのフィラメントの像の影響をなくすため、拡散板13が配置されている。検出部30は、空間フィルター31と、結像レンズ32、そして、CCDイメージセンサ等の撮像素子33とから構成されている。図2の例では、検出部30が表面1aからの正反射成分の反射方向の延長上に配置されている。
【0021】
この例では、回動軸Rxは、照明光の主光線Ax1に対して垂直な平面と、結像レンズ32の光軸Ax2に対して垂直な平面との交線に対して平行である。対物レンズ20の回動範囲は、基準状態を中心として±45度程度を確保すれば十分である。
【0022】
光源から発して対物レンズ20を介して表面1aに達した光束は、表面1aで反射されて対物レンズ20を再度透過して空間フィルター31に入射する。この例では、シリコンウェハー1に対して照明光を平行光として入射させるように、微少面積を有する光源となるピンホール12aが対物レンズ20の前側焦点位置に配置されている。光源から発した光は対物レンズ20を透過して平行光となり、シリコンウェハー1の表面1aを斜め方向から照明する。表面1aに達した照明光は、刻印されたパターン部分では散乱反射され、それ以外の部分では正反射する。
【0023】
表面1aで反射された光束は、再度対物レンズ20を透過して検出部30側に向かう収束光となり、空間フィルター31に達する。空間フィルター31は、結像レンズ32と対物レンズ20との間の光路中で、対物レンズ20により形成される光源の像より対物レンズ20側に配置されている。空間フィルター31は、図3に示されるように結像レンズ32の瞳の中心部を覆う遮光領域31bを有する。微少面積を有する光源である照明部10から発した照明光のうちの表面1aで正反射した成分は、空間フィルター31上で遮光領域31bにほぼ収束して遮られる。
【0024】
表面1aからの反射光のうち空間フィルター31を透過した散乱反射成分は、結像レンズ32に入射する。結像レンズ32は、シリコンウェハー1の表面1aと撮像素子33とを共役にするパワーを有しており、撮像素子33上には、空間フィルター31を透過した散乱反射成分により表面1aに刻印されたパターンの像が形成される。撮像素子33は、形成されたパターンの像の情報を電気信号に変換して出力し、図示せぬ画像処理装置に入力させる。画像処理装置は、入力された画像信号に基づいてパターンの像をディスプレイ画面上に表示したり、文字認識のアルゴリズムを用いてパターンの内容を解析する。
【0025】
なお、光源部10は、光源の像の位置を空間フィルター31の遮光領域31bに対して調整するため、照明光の主光線Ax1と交差する面内、この例では対物レンズの基準時の光軸Axに対して垂直な面内で光軸Axに対して離反し、あるいは接近する方向に調整可能である。
【0026】
さらに、結像レンズ32と撮像素子33とは、結像倍率を変化させるために結像レンズの光軸Ax2に沿って移動できるよう構成されている。また、この結像レンズの移動による倍率変更を可能とするため、対物レンズと対象面である表面1aとの距離Xが0<X<0.7foの条件を満たすよう設定されている。すなわち、前述した図1(A)の構成では、X=foであり、破線で示す被検物の一点から出た光線が平行光となるため、結像レンズ32を移動させても倍率を変えることはできないが、上記の条件を満たすことにより被検物の一点から出た光線が非平行となり、結像レンズ32を光軸方向に移動させることにより結像倍率を変化させることができるようになる。
【0027】
図2の例では、前述したように検出部30が表面1aからの正反射成分の反射方向の延長上に配置されているため、空間フィルター31が設けられていない場合には、正反射成分が結像レンズに入射する。しかしながら、正反射成分はパターンの情報をほとんど持たない成分であり、かつ、強度が大きいため、正反射成分が撮像素子に取り込まれるとパターンに関する情報のS/N比が低下してパターンの検出が困難となる。そこで、この例では空間フィルター31を用いて正反射成分を除去し、散乱反射成分のみが撮像素子に取り込まれるようにすることにより、パターンに関する情報のS/N比を向上させ、パターンの認識、識別が容易になるよう構成している。撮像素子上に形成される強調像は、スペクトルの低周波成分が抑えられて主として高周波成分により形成される像であり、実際にはパターンの部分が強調された像となる。
【0028】
光源11からの照明光が対物レンズ20の表面で反射されて発生したゴースト光が結像レンズ32に入射した場合、撮像素子33上のパターン像の位置とゴースト光とが重なると、パターン像のコントラストが低下して読み取りが困難となる。このような場合には、対物レンズ20を回動させてゴースト光がパターン像に重ならないよう調整することにより、コントラストの低下を防止し、パターンの正確な読み取りが可能となる。
【0029】
表面1aでの散乱反射光の分布に偏りがある場合には、光源の像の形状が変化して空間フィルター31の遮光領域31bから外れる可能性がある。このような場合にも、対物レンズ20を回動させることによりコマ収差をコントロールして光源の像の形状を変化させることができる。また、表面1aが傾きを持つ場合には、光源部10の位置を調整して光源の像の位置を調整することにより、光源の像のできる位置を遮光領域31bに一致させることができる。
【0030】
図4は、図2の光学系を展開して示す光路図である。ピンホール板12から射出された光束が対物レンズ20により平行光となり、表面1aで反射(図中では透過)されて再度対物レンズ20に入射し、収束光として空間フィルター31を透過し、結像レンズ32を介して撮像素子33上にパターンの像を形成する。図2の光学系は、図4の光学系の表面1aを境とする一方側を折り返すことにより構成されるものである。この例では、表面1aは対物レンズ20の焦点位置より対物レンズに近接しており、表面1aの一点からの反射光線は、図1に示すような平行光ではなく発散光として結像レンズ32に入射する。
【0031】
なお、結像レンズ32の焦点距離は、読み取り対象であるシリアル番号の文字列の長さと撮像素子の撮像面のサイズとにより決定される画角と撮影倍率、全体の大きさ(移動量)等から求められる。一方、対物レンズ20の焦点距離は、結像レンズ32の焦点距離と結像倍率により決定される表面1aと結像レンズ32との距離に基づいて決定される。
【0032】
図5は、文字列の長さを2cm、撮像素子の撮像面のサイズを対角1/2インチであると想定した場合の設計例を示す光学系の説明図である。この例では、結像レンズ32の焦点距離は50mm、対物レンズ20の焦点距離foは220mmである。また、ピンホール12aからシリコンウェハー1の表面1aまでの距離aは約270mm、対物レンズ20から表面1aまでの距離bは約50mm、対物レンズ20の最終面から空間フィルター31までの距離Lは約190mmとなる。したがってこの例では、対物レンズ20の最も空間フィルター側の面と空間フィルターとの距離Lを定める条件0.60fo < L < 0.95foは、おおよそ130mm<L<210mmとなる。また、対物レンズと対象面である表面1aとの距離Xを定める条件0<X<0.7fo は、0<X<154mmとなる。
【0033】
次に、上述した光学系を組み込んだ装置の具体的な機械的構成について図6、図7を参照して説明する。なお、説明のため、図中対物レンズの基準状態での光軸と平行なx方向、x方向と垂直な面内で互いに直交するy方向とz方向とを定義する。照明光の主光線Ax1と結像レンズの光軸Ax2とは、x−z平面に含まれる。
【0034】
実施形態のパターン読み取り装置は、検査対象であるシリコンウェハーが一点鎖線で示した基準位置Tに載置されるベースフレーム100と、このベースフレーム100上にベアリング110を介して設けられ、ベースフレーム100に対して図中y方向にスライド可能に設けられた可動フレーム200とを備える。
【0035】
可動フレーム200の移動は、図7に示すボールネジを用いたフレーム駆動機構210により実現される。フレーム駆動機構210は、ベースフレーム100に固定されたネジ支持部102に回転調整可能に配置されたボールネジ211と、可動フレーム200の水平保持板201(y−z平面に平行)に固定された螺合部材212とから構成されている。ボールネジ211は、ベース側に形成された検査者が操作する操作つまみ211aと、可動フレーム側に突出する部分に形成されたネジ部211bとを備えている。ボールネジ211のネジ部211bは、螺合部材212に形成されたネジ孔に螺合しており、ベースフレーム100側の操作つまみ211aを持ってボールネジ211を回転させると、可動フレーム200が図中y方向にスライドする。
【0036】
可動フレーム200の水平保持板201には、対物レンズ20を回動可能に保持するティルト機構220が配置されると共に、この水平支持板201から鉛直に立ち上げられた支柱202には垂直保持板203(x−z平面に平行)が固定されている。垂直保持板203には、微少面積を持つ光源を構成する光ファイバー11d及びピンホール板12と、結像レンズ32が内蔵された鏡筒32Aと撮像素子33が内部に設けられたCCDユニット33Aから構成される撮像ユニット320とが固定されている。可動フレーム200の水平保持板201、ベースフレーム100、ティルト機構220の基板221には、光源11からのシリコンウェハーに導き、また、シリコンウェハーからの反射光を撮像ユニット320に導くための光路孔100a,201a,221aがそれぞれ一致した位置に形成されている。
【0037】
ティルト機構220は、支柱202、およびこれと平行に水平保持板201に立設された支持部材204(図6参照)との間に架設された基板221と、この基板221の下方に延設された軸受け部222(図7参照)とを備えている。対物レンズ20は、z方向の回動軸223aを持つレンズ枠223に収納されており、このレンズ枠223は、回動軸223aにより軸受け部222に回動可能に取り付けられている。レンズ枠223の回動軸の両端は、軸受け部222から突出しており、フレーム駆動機構210側に突出した端部には従動プーリー224が固着され、他方側に突出した端部にはエンコーダ用の回転板225が固着されている。
【0038】
レンズ支持機構220の基板221上には、レンズ駆動用モータ226が取り付けられており、このモータ226の回転軸に固定された駆動プーリー226aと従動プーリー224との間にはタイミングベルト227が掛け渡されている。エンコーダは、回動軸に取り付けられた回転板225と、この回転板225を挟んで発光素子と受光素子とを配置して構成されるフォトインタラプタ228とから構成されている。回転板225には、周方向の一カ所にスリットが形成されており、対物レンズ20が初期位置に設定された際に発光素子から発した光束がスリットを介して受光素子により検出されるよう調整されている。対物レンズ20の初期位置は、この例では対物レンズ20の光軸Axが理想的な対象面(傾きのない平面)に対して垂直となる位置である。
【0039】
光源11は、ハロゲンランプ11a、ハロゲンランプ11aから発する収束光の熱線をカットする赤外線カットフィルター11b、フィルターを透過した収束光をほぼ平行光にする負レンズ11c、そして、この負レンズを介して光が入射する光ファイバー11dから構成されている。ピンホール板12は、光ファイバーの射出側の端部を保持する保持部121が一体に形成されたピンホールユニット120として構成され、このユニットにピンホール板12に対して垂直に形成された取り付け板部122を介して垂直保持板203にボルト123,123により取り付けられている。取り付け板部122に形成された固定用の長孔124,124は、照明光の主光線Ax1に対して垂直な面内に延びており、ボルト123を緩めることにより、この面内でユニット120が一体として撮像ユニット320に接近し、あるいは離反する方向に移動できるよう構成されている。
【0040】
なお、この例では、ファイバー11dは一般に市販されている直径5mm程度の光ファイバーであり、これを微少面積を有する光源とするためのピンホールを用いているが、ファイバーの直径が1mm〜2mmであれば、ピンホールは不要である。また、ファイバー11dの端面から射出する光束の密度に偏りがある場合には、ファイバー端面とピンホールとの間に拡散板を配置することが望ましい。
【0041】
空間フィルター31は、この例では垂直保持板203に固定されたフィルターホルダー130を介して固定して設けられている。なお、対物レンズ20が実施形態のような球面単レンズである場合、球面収差が必ず残存する。また、レンズに対して光束が斜めに入射するため、コマ収差と像面湾曲とも発生する。そしてこれらの収差の影響により、光源の像を形成する光線が一点に集まらずに拡散し、その拡散の度合いは光源の近軸像点ではかなり大きくなる。したがって、空間フィルター31がこの近軸像点に配置されている場合には、確実なフィルタリングのために遮光領域を大きく確保する必要があり、像の光量が低下する。そこで、実施形態の装置では、空間フィルター31が近軸像点より対物レンズ20側であって、対物レンズ20により形成される光源の像の広がりが最小となる位置に配置されている。
【0042】
撮像ユニット320は、垂直保持板203に結像レンズ32の光軸Ax2方向に沿って形成された長孔205を介してボルト321により垂直保持板203に取り付けられており、ボルト321を緩めることにより光軸Ax2方向に沿ってスライド調整可能である。すなわち、図7に示すように、長孔205は幅広の第1段部205aが撮像ユニット320側に板厚のほぼ半分の深さで形成されると共に、この第1段部205aの幅方向の中央に、第1段部から垂直保持板203を貫通して幅狭の第2段部205bが形成されて構成されている。撮像ユニット320には、取り付け用の2つのアーム322が形成されており、それぞれのアーム322の先端に第1段部205aより小径で第2段部より大径のワッシャー323を介在させてボルト321が垂直保持板203の反対側から螺合している。上記の構成により、撮像ユニット320は、一体として結像レンズ32の光軸Ax2方向に移動可能であり、かつ、結像レンズ32は図示せぬ鏡筒の調整機構により光軸方向に調整可能である。上記の2つの調整により、結像倍率を変化させることが可能となる。
【0043】
実施形態の装置では、結像レンズ20の焦点より手前にシリコンウェハーが位置するよう位置Tが定められており、シリコンウェハーの表面の一点からの反射光線は、発散光として結像レンズ32に入射する。このため、実施形態の構成によれば結像レンズ32を光軸方向に移動させることにより、結像倍率を変化させることができる。なお、倍率を変化させるために結像レンズを移動させると、撮像素子33に対するパターンの合焦状態も変化することとなる。
【0044】
そこで、パターンの合焦状態を維持しつつ倍率を変化させるため、結像レンズ32と撮像素子33とが図8に示す軌跡に沿って移動するようそれぞれの位置を調整する。図8は、図中の上方向から下方向に向けて倍率が漸次高くなる位置を示し、物体面であるシリコンウェハーの表面を不動として、結像レンズ32と撮像素子33とが設定されるべき位置を示している。すなわち、任意の水平方向の直線が各軌跡線と交差する位置に結像レンズ32と撮像素子33とがそれぞれ位置するときに、その倍率でピントの合うパターン像が撮像素子33上に形成されることを意味している。
【0045】
パターンを読み取る際には、シリコンウェハーを図6及び図7の一点鎖線で示した基準位置Tに配置し、ハロゲンランプ11aを点灯させて撮像素子33を駆動して画像信号を読み取る。光ファイバー11dの射出側の端面から射出した光は、ピンホール板12の中央に形成されたピンホール12aを通って照明光として対物レンズ20に斜めに入射し、対物レンズを透過して対象面であるシリコンウェハーに達する。シリコンウェハーには、文字、記号等のパターンが形成されているが、装置にセットする際には、パターン配列の長手方向がy方向に一致するように位置決めする。
【0046】
シリコンウェハーの表面で反射された光束は、再度対物レンズ20を透過して撮像ユニット320側に向かう。空間フィルター31の位置で光束中の軸上領域を通る光線は空間フィルター31の遮光部31bにより遮断され、周囲の部分のみが撮像ユニット320に入射する。撮像ユニット320の撮像素子33上には、軸外光によりパターンの強調像が形成される。対物レンズ20の表面反射によるゴースト光がパターン像に重なる場合には、レンズ駆動モータ226を制御して対物レンズ20の傾きを変化させる。
【0047】
また、シリコンウェハーの表面に傾きがある場合には、傾きがない場合と比較して反射の方向が変化するため、光源の像が空間フィルター31の遮光領域31bに一致しない可能性がある。このような場合には、シリコンウェハーの表面からの鏡面反射成分が撮像素子33に達するため、正確な強調像を形成できず、パターンの読み取りが困難になる可能性がある。このような場合には、ピンホールユニット120を調整することにより誤差による影響を補償することができる。すなわち、この例では、ピンホールユニット120が照明光の主光線Ax1と垂直な面内で撮像ユニット320に対して離反、接近可能であるため、このピンホールユニット120の位置を適宜調整することにより、光源の位置を調整し、遮光領域31b上に光源の像ができるようにすることができる。
【0048】
なお、光源の像の位置を調整するためには、シリコンウェハー自体の傾きを調整するようにしてもよいが、逐次交換されて検査される対象物側に傾き機構を設けるのは機構の複雑化を招くこと、そして、反射面の傾きを調整することによる光束の反射方向の制御は調整の感度が高すぎて微少な調整が困難であることの理由から、実施形態の装置ではピンホールユニット120を調整する構成を採用している。
【0049】
図9は、ピンホールユニットを調整するための他の構成例を示す説明図である。この例では、z方向に延びるガイド溝125aが形成されたレール部材125が可動フレーム(図示せず)に固定されており、ピンホール板12とファイバー11dの射出側の端部とが固定されたピンホールユニット120aが、このガイド溝125aに沿ってz方向に移動できるよう取り付けられている。ピンホールユニットは、図6の例のように照明光の主光線Ax1に対して垂直な面内で移動できるようにしてもよいし、この例のように対物レンズ20の光軸Axに対して垂直な面内で移動できるようにしてもよい。
【0050】
光源の調整は、光源の像と空間フィルター31の遮光領域31bとの相互の位置関係の調整を目的とするため、光源側のみでなく、空間フィルター31の位置を調整するようにしてもよい。空間フィルター31の位置を調整可能とするための機構の一例を図10および図11に示す。図10(A)は可動枠の平面図、(B)はそのB−B線に沿う断面図であり、図11は可動枠を固定レールに組み付けた様子を示す平面図である。図示されるように、所定の距離をおいて開口を互いに内側に向けて平行に配置された断面「コ」字状の2本のレール部材131a,131bと、これらのレール部材の間に両端近くで渡された2本の梁部材132a,132bとから矩形の可動枠を形成し、空間フィルター31をレール部材131a,131bのコ字状の開口に挿入してし抑えネジ133で固定する。可動枠には、四方の端部にガイドピン134が設けられており、これらのガイドピン134をそれぞれガイド溝136a,136bが形成された2本の固定レール135a,135bに係合させて取り付ける。
【0051】
図10の構成によれば、可動枠にはめ込まれた空間フィルター31は可動枠に対して図中のY方向に移動可能であり、この可動枠はさらに固定レールに取り付けられてZ方向に移動可能である。したがって、これらの機能をあわせることにより、空間フィルターはY−Z平面内で位置調整が可能となる。この調整により、空間フィルター31の遮光領域31bの位置を調整し、遮光領域31b上に光源の像ができるようにすることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、対物レンズでの表面反射が観察の妨げとなる場合、対象物がプリズム作用を持つ場合、あるいは反射型の対象物の反射面が傾いている場合には、対物レンズをその光軸に対して垂直な回動軸回りに所定角度傾けることにより、像の形成位置を変更して所望のフィルタリング出力像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の基本構成を示す光学系の説明図である。
【図2】実施形態にかかるパターン読み取り装置の光学系を概念的に示す説明図である。
【図3】空間フィルターの例を示す平面図である。
【図4】図2の光学系を反射面で展開して示す光路図である。
【図5】実施形態の光学系の設計例を示す説明図である。
【図6】図5の光学系を適用したパターン読み取り装置の具体的な機械系の構成を示す正面図である。
【図7】図6の装置を90度異なる方向から見た側面図である。
【図8】倍率を調整するための結像レンズと撮像素子との移動軌跡を示す説明図である。
【図9】ピンホールユニットを調整するための他の構成例を示す説明図である
【図10】空間フィルターの取り付け部分の他の構成例を示す説明図であり、(A)は可動枠の平面図、(B)はそのB−B線に沿う断面図である。
【図11】図10の空間フィルターの取り付け部分の全体を示す平面図である。
【符号の説明】
11 光源
12 ピンホール板
12a ピンホール
20 対物レンズ
Rx 回動軸
31 空間フィルター
32 結像レンズ
33 撮像素子
Claims (12)
- 光源から発した光束を対物レンズを介して読み取り対象であるパターンが付された対象面に入射させ、前記対象面で反射された光を対物レンズを介して収束させると共に、結像レンズにより前記パターンの像を形成して読み取るパターン読み取り装置において、
前記光源と前記結像レンズとは前記対物レンズの光軸を挟んで互いに反対側に配置されており、
前記光源は、前記照明光を前記対象面に対して斜めに入射させる位置に設けられており、
前記対物レンズを、前記対物レンズの光軸に対して垂直な回動軸回りに回動可能に支持するティルト機構を備えることを特徴とするパターン読み取り装置。 - 前記光源は、微少面積を有する光源であることを特徴とする請求項1に記載のパターン読み取り装置。
- 前記対物レンズは、前記光源から発した光束をほぼ平行光として前記対象面に入射させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン読み取り装置。
- 前記回動軸は、前記照明光の主光線に対して垂直、かつ、前記結像レンズの光軸に対して垂直であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のパターン読み取り装置。
- 前記ティルト機構は、前記対物レンズを少なくとも±45度の範囲で回動可能とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のパターン読み取り装置。
- 前記ティルト機構は、前記対物レンズを回動させるレンズ駆動モータを備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のパターン読み取り装置。
- 前記対物レンズと前記結像レンズとの間の光路中に、前記光源の像を形成する光束を遮光する遮光領域を有する空間フィルタが配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のパターン読み取り装置。
- 前記空間フィルターは、前記対物レンズを介して形成される前記光源の近軸像点より前記対物レンズ側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のパターン読み取り装置。
- 前記パターン像の結像位置に配置され、前記パターンを読み取る撮像素子を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のパターン読み取り装置。
- 微少面積を有する光源と、
該光源からの照明光を読み取り対象であるパターンが付された対象面に入射させ、前記対象面で反射された光を収束させる対物レンズと、
前記対物レンズを透過した反射光束中の散乱反射成分を取り出す空間フィルターと、
該空間フィルターを透過した成分により前記パターンの像を結像させる結像レンズと、
前記パターン像の結像位置に配置され、前記パターンを読み取る撮像素子と、前記対物レンズを該対物レンズの光軸に対して垂直な回動軸回りに回動可能に支持するティルト機構とを備え、
前記光源と前記結像レンズとは前記対物レンズの光軸を挟んで互いに反対側に配置されており、
前記光源は、前記照明光を前記対象面に対して斜めに入射させる位置に設けられていることを特徴とするパターン読み取り装置。 - 前記回動軸は、前記照明光の主光線に対して垂直、かつ、前記結像レンズの光軸に対して垂直であることを特徴とする請求項10に記載のパターン読み取り装置。
- 前記空間フィルターは、前記対物レンズを介して形成される前記光源の近軸像点より前記対物レンズ側に配置されていることを特徴とする請求項10または請求 項11に記載のパターン読み取り装置。
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