JP3554109B2 - 冷却構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却構造に係り、特にプリント板に実装された発熱体を強制空冷にて冷却する冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10に示すように、例えば電子機器等の機器100内にシェルフ構造にて実装されたプリント板102を、シェルフ構造の上に搭載された冷却ファン101,101によって強制空冷することで、電子部品等の熱によって劣化または破損してしまうことを守っていた。尚、103は、外気中の粉塵等を電子機器100内に混入されることを防止するエアフィルタである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の空冷では電子機器全体としての冷却を行うものであるため、局所的な発熱や急激な(異常な)温度上昇があった場合には、最適な冷却を行わせることができない欠点があった。
【0004】
このため本発明では、局所的な発熱や急激な温度上昇に対処可能である冷却構造を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、プリント板に実装された発熱体を強制空冷にて冷却する冷却構造において、前記発熱体に対して揮発性液体を供給する供給部と、該発熱体の温度を検出するセンサと、強制空冷であるにも係わらず該センサが検出する温度が所定温度を越えたとき該供給部を開状態にして揮発性液体を前記発熱体に対して供給するように制御する供給制御機構と、
を備えたことを特徴とする冷却構造、によって達成することができる。
【0006】
即ち、電子機器全体としては空冷にて冷却を行うものの、全体的な冷却で対処不可能となったときには、揮発性液体を発熱体に供給することで補助的な冷却を行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
尚、図1乃至図10を通じて、同一符号を付したものは同一対象物をそれぞれ示すものである。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態を示す図である。図2は、ノズル開閉機構の第1の例を示す図である。図3は、ノズル開閉機構の第2の例を示す図である。
【0011】
図4はノズル開閉機構の第3の例を示す図である。図5は本発明の参考例を示す図である。図6は参考例の変形例を示す図である。
【0012】
図7は、参考例をスイッチとして利用する図である。まず、本発明の実施の形態について図1を用いて説明する。図示しない電子機器には多数枚のプリント板1が実装されており、更にその1枚のプリント板1には多数の発熱体2、例えばMPU等が実装されている。これらプリント板1は電子機器全体としては図示しない冷却ファンを回転させることで発生する冷却風によって強制空冷されているが、発熱体の仕事量が一時的に多い時等では冷却ファンの回転による冷却だけでは発熱体の動作を保証できなくなるので、二次的な冷却構造として図1の実施の形態を適用する。
【0013】
その二次的な冷却構造は、発熱体の冷媒となる揮発性液体を貯蔵するタンク3と、揮発性液体を発熱体に噴射するためのノズル6および、ノズル6からの揮発性液体を噴射されるための噴射制御機構5から構成される。タンク3と噴射制御機構5間、および噴射制御機構5とノズル6間は揮発性液体の通路となる配管7によって結合されている。
【0014】
噴射制御機構5には信号線8を介して発熱体2の温度を検出するセンサ4が接続されており、このセンサ4が発熱体2が所定温度を越えることを検出したとき、噴射制御機構5を開状態にして所定量の揮発性液体が発熱体2に対して噴射され、発熱体2の冷却が行われる。
【0015】
発熱体2に対して噴射された揮発性液体は気化して電子機器の外部に排出されることになるので、使い捨てとなる揮発性液体を補充する必要が生じ、そのためにはタンク3をカートリッジ式で交換できるようにしておくことが望ましく、また、揮発性液体は、発熱体2の温度が70〜80°となったときに気化させるような沸点が78°であるアルコール系を利用することができる。
【0016】
この実施の形態において、ノズル6から不用意に揮発性液体が漏れることを防止する策として、図2の例を適用することも必要である。即ち、ノズル開閉機構として、所定温度以下の状態ではノズル6の開口部10が塞がれるように、第1および第2の支持台9,9’を突き合わせておき、所定温度を越えた状態ではその関係が解除され、開口部10が開くように第1の支持台9を移動させる。
【0017】
その第1の支持台9を実質的に動作させるのは第2の支持台9’に設けられた熱膨張部材11で、この熱膨張部材11が所定温度に反応して形状変化を起こすことで、第1の支持台9の凹部9aに衝突して押し上げることで、開口部10が開くものである。
【0018】
第1の支持台9と第2の支持台9’を所定温度以下では突き合わせておくために、バネ12によって付勢しておき、所定温度を越えたときはこのバネ12を熱膨張部材11によって反付勢方向に押し上げるものである。
【0019】
次にノズル開閉機構の第2の例について図3を用いて説明する。この例では開口部10を熱膨張を行う板12,12を互いに重ね合わせておき、それら板12,12の両端12aは固定されている。また板12,12は、開口部10近辺でも4辺を抑え部材13によって支持されている。
【0020】
この構造において、所定温度以下であれば、開口部10を2枚の板12,12で塞いだ状態となり、所定温度を越えると、板12,12が熱膨張を行うもののその両端12aおよび抑え部材13によって固定されている部分が存在することによって、図3(b)のように板12,12が変形して開口部10の近辺に隙間18が発生する。この隙間18が発生すると開口部10を塞ぐものがなくなり、開口部10から揮発性液体を噴射することが可能となる。
【0021】
図4はノズル開閉機構の第3の例を示すものであり、この例では、熱膨張率の異なる2枚一組の例えばバイメタル等の板14,15を貼り合わせ、且つそれら板のペアを開口部10を塞ぐように重ね合わせ、その両端16を固定する。この状態では所定温度以下であるため、開口部10は塞がれた状態となるが、所定温度を越えると、板14,15の熱膨張の違いによって板14,15が外側に撓み(14a,15a)隙間17が発生する。この隙間17が発生すると開口部10を塞ぐものがなくなり、開口部10から揮発性液体を噴射できる。
【0022】
これまでの実施の形態では揮発性液体を使い捨てするタイプであったが、参考例は揮発性液体のリサイクル利用を可能にするものである。図5(a)に示すように、プリント板に実装された発熱体20に対し、放熱特性に優れた部材から構成された放熱部材21を取り付ける。この放熱部材21は内部に密閉された空間を22を有し、その壁面には放熱部材21を収縮させるためのベローズ24が形成されて、この内部空間22内には揮発性液体23が封入されている。尚、ベローズ24は図5中ではベローズ24間に隙間があるように示されているが、実質的には各ベローズ間は互いに密接した状態にある。
【0023】
所定温度になると、放熱部材21が膨張すると共に、放熱部材21内の揮発性液体23’も発熱体20の熱を奪って気化する。膨張した放熱部材21はベローズ24’が伸張するとによって放熱部材21の表面積が増加する。この表面積が増加することで、冷却ファンからの冷却風が衝突する面積が増加し、局所冷却が可能となる。
【0024】
膨張した放熱部材21が充分に冷却される、つまり所定温度以下になると、放熱部材21は元の状態に変形すると共に、気化した揮発性液体23’も液化することで、繰り返し揮発性液体23を利用することができる。
【0025】
図6は参考例の変形例を示すものである。図5の参考例では、ベローズ付きの放熱部材21を用いたが、この例では中空ピストンを利用している。つまり、凹型形状部材28と逆凹型形状部材27を組み合わせて中空ピストンを構成し、内部空間30内には揮発性液体が封入されている。尚、29は部材28と27の機密性を高めるためのOリングである。
【0026】
図6(a)に示すように、所定温度以下では内部空間30内で揮発性液体26が液状であるが、所定温度を越えると揮発性液体26’が気化すると共に、図6(b)に示すように、部材27が温度に反応して熱膨張し、中空ピストンがスライドする。すると、内部空間31が増加し、冷却ファンからの冷却風が衝突する面積が増加し、局所冷却が可能となる。この例も図5の例と同様に所定温度以下になると、中空ピストンが元の状態に戻り、気化した揮発性液体も液化することで、繰り返し揮発性液体を利用することができる。
【0027】
図7に参考例をスイッチとして利用した例を示す。図5に示す参考例では放熱部材が熱膨張を起こすことを説明したが、この熱膨張する位置にスイッチ32を設けておくことで、熱膨張した放熱部材21がスイッチ32を押すことによって図7(a)の非接点の状態から、図7(b)の接点状態にすることができる。
【0028】
また、図7(c)に示すような回路構成を組んでおくことにより、スイッチ32のオン時に制御回路34の制御によって冷却ファン33を予備を回転させたり、または冷却ファン33の回転数を増加させたりすることで、揮発性液体の気化に連動して冷却ファン側も制御することができ、効率の良い局所冷却を行うことが可能となる。
【0029】
図8および図9を用いて参考例を防風壁として利用した場合を説明する。プリント板25に実装された発熱体20に櫛歯状のフィン35を取り付ける。そして、そのフィン35の両端に参考例にて説明したように、その内部空間に揮発性液体が封入された放熱部材21が取り付けられている。強制空冷であっても常温時であれば図8(a)に示すように放熱部材21は収縮している。放熱部材21が収縮していることにより、図8(a)に示すように冷却風はフィン35の隙間を通ると共に放熱部材21の取り付け位置以外のスペース36も通ることになる。
【0030】
図9は放熱部材21が膨張した状態を示す。高温時になると、内部空間内の揮発性液体が気化することにより、放熱部材21が膨張する(図9(a)の膨張部材21−1)。その結果この膨張した放熱部材21−1がスペース36を塞ぐことになる。(図9(b))。放熱部材21−1がスペース36を塞ぐことにより本来スペース36に流れるはずであった冷却風を発熱体20に取り付けされたフィン35へと集中させることが可能となる。
【0031】
つまり、参考例では放熱部材が膨張することにより、冷却風に衝突する放熱部材の表面積を実質的に増加させることで局所冷却が可能となることを説明したが、膨張した放熱部材は表面積を増加させるときに膨張前の放熱部材の取り付け位置以外に流れる冷却風の流路を塞ぐことになる。従って、この膨張した放熱部材が言わば防風壁となって、本来放熱部材の取り付け位置以外を流れる冷却風を発熱体により近い放熱部材へと流路変更させることにより、更なる局所冷却が可能となる。
【0032】
特に、図9においては、放熱部材が膨張して表面積が実質的に増加する理由によって局所冷却を行わせることと、フィンと冷却風を集中させる理由によって局所冷却を行わせることが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次の効果を期待できる。
第1に発熱体が異常発熱したときに熱破壊を防止することができる。
【0034】
第2に冷却環境に異常が生じたときに発熱体の熱破壊が防止できる。
第3に発熱体の仕事量が一時的に多い時(一時的に高発熱)に冷却のバックアップを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図である。
【図2】ノズル開閉機構の第1の例を示す図である。
【図3】ノズル開閉機構の第2の例を示す図である。
【図4】ノズル開閉機構の第3の例を示す図である。
【図5】本発明の参考例を示す図である。
【図6】参考例の変形例を示す図である。
【図7】参考例をスイッチとして利用する図である。
【図8】参考例を防風壁として利用する図である。
【図9】図8の作用を示す図である。
【図10】空冷式機器を示す図である。
【符号の説明】
1 プリント板,
2 発熱体,
3 タンク,
4 センサ,
5 供給制御機構,
6 ノズル,
9,9’ 第1および第2の支持台,
10 開口部,
11 熱膨張部材,
21 放熱部材,
23 揮発性液体,
Claims (4)
- プリント板に実装された発熱体を強制空冷にて冷却する冷却構造において、
前記発熱体に対して揮発性液体を供給する供給部と、
該発熱体の温度を検出するセンサと、
強制空冷であるにも係わらず該センサが検出する温度が所定温度を越えたとき該供給部を開状態にして揮発性液体を前記発熱体に対して供給するように制御する供給制御機構と、
を備えたことを特徴とする冷却構造。 - 前記供給制御機構は、前記発熱体の温度が所定温度以下であるときは互いに接触することで前記供給部の開口部を閉口し、所定温度を越えるときは非接触となることで当該開口部を開口する第1および第2の支持台と、
当該所定温度に応じて形状が変化することによって該第1および第2の支持台間の接触を解除する熱膨張部材とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の冷却構造。 - 前記供給制御機構は、その両端が支持された互いに重ね合わされた2枚の熱膨張部材の板から構成され、前記所定温度を越えるときは該熱膨張部材の板による歪みを前記供給部に集中させて隙間を形成することを特徴とする請求項1に記載の冷却構造。
- 前記供給制御機構は、熱膨張の異なる部材を張り合わせた2組を重ね合わせた熱膨張部材から構成され、前記所定温度を越えるときは該熱膨張部材による歪みを前記供給部に集中させて隙間を形成することを特徴とする請求項1に記載の冷却構造。
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