JP3553566B1 - 頭部装着具 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の諸問題を新規な構成で解決し、しかも使い勝手の良い頭部装着具を提供すること。
【解決手段】帽子10は大別して頭周り部11、庇部12及び冠部13を有している。頭周り部11は切り離し端部の重ね合わせ長を変更することで、頭周り部11のサイズ、すなわち頭周りサイズが調整可能となっている。また、冠部13は帽子10の前後方向に延びる冠形成体17により形成されており、該冠形成体17は頭周り部11に対して離着可能に接続されると共に、冠形成体17において頭周り部11との接続位置が変更可能となっている。これにより、冠部13の長さ、すなわち帽子深さが調整できる。
【選択図】 図1

Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、外出時等に着用するキャップ、ハット等の帽子や、ヘルメット等の下に着用する中敷き帽子といった頭部装着具に関するものである。
【従来の技術】
従来より、サイズ調整を可能とした帽子が各種提案されている。例えば、特許文献1では、帽子本体の後部中央に切除部を設けると共に該切除部にサイズ調節用ベルトとサイズ調節具を設けた帽子において、前記サイズ調節用ベルトを伸縮性のある弾性織布により形成すると共に、帽子本体の内周下縁部に沿って弾性織布性のスエットバンドを縫着する構成としていた。そしてこれにより、フィット感が向上し、風等による脱げ落ちが防止できるものとしていた。その他にも、帽子の周方向に調整ひもを設けてこの調整ひもを絞ったり緩めたりすることにより頭回りサイズを調整するものや、帽子全体を伸縮性のある素材で形成するものなどが提案されている。
【特許文献1】
特開2003−3316号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既存の帽子では以下に示す問題があった。すなわち、上記特許文献1の帽子では、サイズ調整のために帽子の頭周りサイズを小さくすると、それに伴い帽子本体後部で余り皺が生じ、後方への出っ張りが生じるなど見栄えが損なわれるおそれが生じる。また、元々大きめの帽子を被る場合や、頭囲の比較的小さい人(例えば女性や年少者など)が帽子を被る場合において、帽子がずり落ちて目や耳等にかからないようにするには、サイズ調節具をきつめに締め付けておかなければならず、この状態で帽子を長時間着用すると、その圧迫から不快感が生じるおそれもあった。頭周り方向に調整ひもを設けた帽子でも同様の問題が生じ得る。
また、帽子全体を伸縮性のある素材で形成した帽子では、ニット素材やウレタン素材を用いなければならない等、素材の限定が強いられるという不都合が生じる。更に伸縮性素材を使用した帽子の場合、繰り返し使用すること又は洗濯することにより素材の収縮率が低下し、帽子自体の形状が保てなくなる、帽子全体が伸びてしまう、頭に対して帽子の密着感がなくなる等の問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記諸問題を新規な構成で解決し、しかも使い勝手の良い頭部装着具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
手段1では、頭周りに合わせて設けられる頭周り部と、帯状の冠形成体によって構成される冠部とを有し、前記頭周り部に交差させて前記冠形成体を接続することにより、該冠形成体の先端部が頭周り部と対応する位置よりも下方に垂れ下がる構成とし、前記冠形成体を、前記冠部を形成するために必要な部分とそれ以外の前記頭周り部に対応する位置及びそれよりも先端部側からなる余剰部分とから構成し、前記冠形成体の前記余剰部分及び前記頭周り部には、両者を離着可能に接続する面ファスナをそれぞれ設け、前記頭周り部の面ファスナに対する前記余剰部分の面ファスナの接続位置を調整することにより、前記冠部の長さを調整可能としている。本構成によれば、冠部の長さを変更することにより頭部装着具の深さが変更できるようになる。従って、必ずしも頭周りサイズを過剰にきつくしなくても頭部装着具がずり落ちることはなく、安定した状態で頭部装着具を着用することができる。また、サイズ調整のために伸縮性素材の使用が強いられる等の制約が生じず、更に伸縮性素材であるが故に生じる伸びや着用感の経時変化といった問題も生じない。以上により、深さ調整可能となる新規な構成を付加することで従来の諸問題が解決でき、しかも使い勝手の良い頭部装着具を提供することができるようになる。
なお、本手段の頭部装着具は、外出時等に着用するキャップやハット等の帽子の他、手段12に記載したように、ヘルメットの中敷き帽子としても使用できる。
手段2では、前記頭回り部の後方部にはその内外両側に前記面ファスナを取り付け、頭回り部の外側から内側に折り返すようにして冠形成体が接続されるように構成した。本構成によれば、冠部を所望の長さとすることができる。
手段3では、前記頭回り部の面ファスナをフック面が外側に向いたファスナ部材とし、前記余剰部分の面ファスナをループ面が内側に向いたファスナ部材とした。本構成によれば、フック面側のファスナ部材が頭皮に当たることが避けられる。
手段4では、前記冠形成体の少なくとも一端を前記頭周り部に離着不能に接続すると共に、他端を前記頭周り部に対して離着可能に接続する構成としている。この場合、冠形成体の少なくとも一端を離着不能な固定端とすることで、当該冠形成体の長さ調整を容易に行うことができるようになる。
手段5では特に、前記頭周り部において頭部装着具前方部に前記冠形成体を離着不能に 接続すると共に、頭部装着具後方部に前記冠形成体を離着可能に接続しており、頭部装着具後方部にて冠形成体の長さ調整が行われる。本構成によれば、冠形成体の離着部分が前方より見えにくくなり、頭部装着具としての見栄えが向上する。またこの場合、前方から見ただけでは、前記の如く深さ調整可能な構成を持つものとは見分けのつかない頭部装着具を実現することも可能となる。なお、キャップ型タイプの帽子のように庇部を有する頭部装着具では、庇部とは反対側が頭部装着具後方部となり、その後方部において冠形成体が離着可能な構成となっている。
手段6では、前記頭周り部を頭周り方向の長さが調整可能な構成としたため、冠部の深さ調整だけでなく、頭周り部の頭周りサイズの調整も可能となる。頭の形状に合わせて頭部装着具を着用するには、深さサイズだけでなく、頭周りサイズも調整するのが望ましく、手段6によれば、頭部装着具を着用した時の安定感がより一層向上する。
上記の如く安定状態での着用が可能となる頭部装着具にあっては、頭部装着具に重量がかかる状態であってもずり落ちが防止されるため、例えば携帯ラジオ、小型ライト等の携帯装備品やその他小物類を装備することも可能となる。手段7では、前記頭周り部又は前記冠部に、携帯装備品等を装備可能とするための可装部を設けている。可装部としては、収納ポケットや携帯バンド等を頭周り部又は冠部に設けると良い。
また、手段8では、前記頭周り部又は前記冠部に、頭周り部よりも下方に垂れ下がった袋体を設けている。かかる場合、袋体は、頭周り部よりも下方に垂れ下がった状態で設けられているため、着用者の頸部又は耳元の辺りに袋体がくることになる。従って、例えば、夏場において袋体に保冷剤を入れて頸部辺りを冷やしたり、逆に冬場において袋体に保温剤を入れて耳元辺りを暖めたりするのに好都合な頭部装着具が実現できる。特に作業用ヘルメットの中敷き帽子として使用し、炎天下で着用する場合を想定すると、袋体に保冷剤を入れることで頭部や頸部を効率良く冷やすことが可能となる。その他、前記袋体に脱臭剤や汗取り剤(吸湿剤)を入れることも考えられる。
前記手段8では手段9に記載したように、前記袋体を前記頭周り部又は前記冠部とは別部材として、当該頭周り部又は冠部に対して着脱可能としても良く、本構成によれば、必要に応じて前記袋体を装着又は離脱させたり、大きさや長さ等が異なる袋体を選択的に装着したりすることが可能となる。また、頭周り部又は冠部に対する袋体の取り付け位置を変更することにより、袋体の垂れ下がり長さを容易に変更できるようになる。故に、例えば、着用者が所望とする場所を確実に冷却したりすることができるようになる。
手段10では、冠形成体の垂れ下がり部分に袋体を設けている。つまり本手段10では、冠形成体は、頭部装着具の深さ調整機能を有することに加え、保冷剤等の収容機能を有する構成となっている。
前記袋体に保冷剤を収容する場合、手段11に記載したように、前記袋体を着用者の頸部まで垂れ下げる構成とすると良い。これにより、頭部だけでなく頸部にかけても冷却効果が得られ、例えば、作業用ヘルメットの中敷き帽子として使用し、炎天下で着用する場合にも頭部や頸部を効率良く冷やすことが可能となる。
頭周り部の少なくとも2点を結ぶように冠部を設ける構成では、着用者の頭で冠部で覆われない部分ができることもある。そこで、手段13に記載したように、前記頭周り部及び前記冠部の全体又はほぼ全体を覆う帽体部を更に設けるようにしても良い。これにより、冠部と帽体部とにより頭部の保護や直射日光の遮断等が可能となる。本構成にあっても、既述の通り深さ調整が可能となること等の優れた効果が得られることに変わりはない。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
【0025】
図1は本実施の形態における帽子10の外観形状を示す斜視図であり、(a)は斜め前方より見た図、(b)は斜め後方より見た図である。図1に示すように、帽子10は大別して頭周り部11、庇部12及び冠部13を有している。頭周り部11は円環状をなし、その前方側には庇部12が取り付けられている。頭周り部11には前方部から後方部にかけて冠部13が設けられている。冠部13は、前方部が幅広で、それ以外が幅狭な帯状をなす形状となっている。帽子10は、概ね全体が例えば木綿素材で構成されるが、この他フェルトや、ナイロン等の合成繊維、天然繊維と合成繊維との混紡繊維等でも良く、更に布地ではなく皮革素材、紙素材であっても良い。
【0026】
また本実施の形態の帽子10は、頭周り方向及び深さ方向にサイズ調節可能となっている。詳述すると、図2に示すように、頭周り部11は少なくとも一部が切り離されてなるベルト体15により形成されており、該ベルト体15の切り離し端部における重ね合わせ長を変更することで、頭周り部11のサイズ、すなわち頭周りサイズが調整可能となっている。かかる場合、ベルト体15端部の重ね合わせ部分には、当該部分の離着を可能とするための面ファスナ16が取り付けられている。具体的には、図3に示すように、一対のファスナ部材16a,16bがベルト体15に取り付けられており、そのファスナ部材16a,16bが互いに接合されるようになっている。面ファスナ16としては、例えばマジックテープ(登録商標)を用いればよく、マジックテープを用いる場合、一例としてフック面(硬い方の面)を構成するファスナ部材を外側に向けて設け、逆にループ面(柔らかい方の面)を構成するファスナ部材を内側に向けて設けると良い。これにより、フック面側のファスナ部材が頭皮に当たることが避けられ、帽子10の装着感が損なわれると要った不都合も抑制される。
【0027】
図示は省略しているが、本実施の形態の帽子10では、頭周り部11のサイズ調整部を、左右の側頭部に1カ所ずつ(計2カ所)設ける構成としている。つまり、ベルト体15は左右1カ所ずつで切り離され、その2カ所それぞれに面ファスナ16が設けられている。勿論、頭周り部11のサイズ調整部を1カ所にのみ設ける構成であっても良く、頭周りサイズが同様に調整できることには変わりない。
【0028】
また、同じく図2に示すように、冠部13は、帽子10の前後方向に延びる冠形成体17により形成されており、該冠形成体17の基端部(帽子前方部)は頭周り部11に対して縫着等により固定され、同先端部(帽子後方部)は頭周り部11に対して離着可能な構成となっている。つまり、冠形成体17の後方先端部は自由端となっており、この自由端側において頭周り部11に対する接続位置を変更することで、冠部13の長さ、すなわち帽子深さが調整可能となっている。
【0029】
かかる場合、冠形成体17とその結合相手である頭周り部11の後方部とには、互いの離着を可能とするための接合手段としての面ファスナ18が取り付けられている。具体的には、図2及び図4に示すように、頭周り部11の後方部にはその内外両側にファスナ部材18aが取り付けられ、冠形成体17の先端部にはファスナ部材18bが取り付けられている。冠形成体17側のファスナ部材18bは、冠形成体17の長手方向に沿って長めに設けられている。更に言えば、冠形成体17は、冠部13として必要な部分よりも長めに設けられており、その余剰部分にファスナ部材18bが設けられている。そして、適当な位置で頭周り部11の外側から内側に折り返すようにして冠形成体17が接続されるようになっている。これにより、冠部13を所望の長さとすることができる。頭周り部11の後方部において、冠形成体17折り返し用の切欠や長穴(スリット)等を設けておいても良い。但し、冠形成体17を折り返すようにして頭周り部11に接続する構成は必須ではなく、単に頭周り部11の外側又は内側に冠形成体17を接続する構成であっても良い。
【0030】
面ファスナ18としては、前記ベルト体15と同様、例えばマジックテープ(登録商標)を用いればよく、マジックテープを用いる場合、一例としてフック面(硬い方の面)を構成するファスナ部材を冠形成体17側に設け、逆にループ面(柔らかい方の面)を構成するファスナ部材を頭周り部11側に設けると良い。これにより、フック面側のファスナ部材が頭皮に当たることが避けられ、帽子10の装着感が損なわれると要った不都合も抑制される。
【0031】
上記構成の帽子10を着用するには、帽子10の側頭部において面ファスナ16の接合位置を変更して頭周りサイズを調整すると共に、帽子10の後方部において面ファスナ18の接合位置を変更して深さサイズを調整する。これにより、着用者の頭の大きさや好み等に合わせて所望とするサイズに調整した上で、帽子10を着用することができるようになる。この場合、頭周り部11及び冠部13が着用者の頭に適正にフィットし、装着感も快いものとなる。
【0032】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0033】
冠部13の長さ、すなわち深さサイズを調整可能としたため、必ずしも頭周りサイズを過剰にきつくしなくても帽子10がずり落ちることはなく、安定した状態で帽子10を着用することができる。頭が上下に長い人、又は額が大きい人にとっても、ほどよい深さとすることができる。また、サイズ調整のために伸縮性素材の使用が強いられる等の制約が生じず、更に伸縮性素材であるが故に生じる伸びや着用感の経時変化といった問題も生じない。以上により、従来の諸問題が解決でき、しかも使い勝手の良い帽子10を提供することができるようになる。本実施の形態では更に、頭周りサイズも調整可能としたため、帽子10を着用した時の安定感がより一層向上する。
【0034】
上記の通りサイズ調整可能となることにより、小刻みに帽子サイズを設定する必要がなくなり、製造工場での帽子製造や販売店での在庫管理の上でもメリットが生まれる。一般的に、非収縮素材で頭囲54cm〜64cmの帽子を製作するとなると、2〜3cm毎にサイズ変更してそれぞれ頭囲の異なる3,4個の帽子を製作する必要があるが、本実施の形態によれば1個の帽子10で上記頭囲サイズをカバーすることが可能となる。従って、製造面、在庫管理面での効果も得られる。かかる場合、深さサイズと頭周りサイズとが共に調整可能であることから、実質上適用可能となる頭囲サイズが拡張できるようになる。
【0035】
また、子供用の帽子として具体化する場合、子供の成長に合わせて頭周りサイズと帽子深さとを共に変更しながら使用することで、長期にわたって同じ帽子を使用することができるようになる。
【0036】
冠形成体17の帽子前方部を固定端とすると共に、帽子後方部にて長さ調整を可能としたため、冠形成体17の離着部分が前方より見えにくくなり、帽子10としての見栄えが向上する。またこの場合、前方から見ただけでは、前記の如く深さ調整可能な構成を持つものとは見分けのつかない帽子10を実現することも可能となる。
【0037】
前記図1に示す帽子10を、その構成の一部を変更して具体化することも可能であり、前記図1の構成との相違点を中心に帽子10の変形例を以下に説明する。図5(a)では、三股に形成した冠形成体21を用い、当該冠形成体21の三方の先端部を、それぞれに頭周り部11に接続することで冠部13を形成している。図示の構成では、冠形成体21と頭周り部11との接続を前方1カ所、後方2カ所としており、前方の接続部分は固定とし、他2つの接続部分は接合手段としての面ファスナ22,23により離着可能な構成としている。冠形成体を四方以上に分岐した形状としたり、頭頂部より放射状に広がるような形状としたりすることも可能である。なお本構成では、頭周り部11の後方1カ所に、頭周りサイズ調整用の面ファスナ24が取り付けられている。
【0038】
また、図5(b)では、頭周り部11の前方部及び後方部に2つの冠形成体26,27を取り付け、それら冠形成体26,27の先端部を接続することで冠部13を形成している。冠形成体26,27の基端部はそれぞれ縫着等により固定されている。冠形成体26,27の接続部分は接合手段としての面ファスナ28により離着可能な構成としており、両冠形成体26,27の重ね合わせ長を変更することで、深さ方向のサイズが調整可能となっている。面ファスナ28は、冠形成体26,27の長手方向の所定範囲にわたって延設されていると良い。
【0039】
上記図5(a),(b)の各構成においても、頭周り方向及び深さ方向にサイズ調節可能となることから、既述の通り優れた効果を奏し得る。
【0040】
また、上記構成の帽子10の場合、安定状態での着用が可能となり、帽子10に重量がかかってもずり落ちが防止できることから、帽子自体に何らかの携帯装備品や小物類を装着することが可能になると考えられる。具体的な構成例を図6に基づいて説明する。なお、図6の構成では、帽子前頭部の形状が前記図1等と幾分異なり、頭周り部11の前方部を高くして前頭部10aを形成しているが、頭周り方向及び深さ方向にサイズ調節可能であること等の基本構造には何ら変更はない。
【0041】
図6(a)に示すように、帽子10の前頭部10aにはその内側に可装部としての収納ポケット31が設けられており、この収納ポケット31には例えば薄型の携帯ラジオ等を収納できるようになっている。勿論、収納ポケット31には携帯ラジオ以外の装備品を収納しても良く、小型の手帳や筆記具、その他保冷剤や汗取り剤等を収納することも可能となる。
【0042】
また図6(b)では、頭周り部11に可装部としての携帯バンド32が設けられており、その携帯バンド32に小型ライト33等を装備可能な構成としている。以上のように帽子10に携帯装備品等を装着しても、安定した状態での帽子10の着用が可能となる。
【0043】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態ではキャップ型タイプの帽子に本発明を具体化したが、本実施の形態では、ヘルメット等の装着時に使用される中敷き帽子に本発明を具体化しており、以下その詳細を説明する。
【0044】
図7に示すように、中敷き帽子(以下、単に帽子40という)は大別して頭周り部41及び冠部42を有している。頭周り部41は円環状をなし、その頭周り部41に帯状をなす冠部42が取り付けられている。帽子40は例えば木綿素材で構成されるが、この他フェルトや、ナイロン等の合成繊維、天然繊維と合成繊維との混紡繊維、紙素材等でも良い。本帽子40の場合、着用方向は特に限定されないが、通常は冠部42が前後方向に延びるようにして着用されるものと想定される。
【0045】
帽子40は、前記第1の実施の形態と同様に、頭周り方向及び深さ方向にサイズ調節可能となっている。その構成は前記第1の実施の形態と同様であるため、ここでは簡単に説明する。頭周り部41を構成するベルト体43は少なくとも一部で切り離され、該ベルト体43の切り離し端部における重ね合わせ長を変更することで頭周りサイズが調整可能となっている。ベルト体43端部の重ね合わせ部分には、例えばマジックテープ(登録商標)よりなる面ファスナ44が取り付けられている。また、冠部42を構成する冠形成体45は、一端(図7の右奥側)が頭周り部41に対して縫着等により固定され、他端(図7の左手前側)が頭周り部41に対して離着可能な構成となっている。冠形成体45の離着可能部分には、例えばマジックテープ(登録商標)よりなる接合手段としての面ファスナ46が取り付けられている。適当な位置で頭周り部41の外側から内側に折り返すようにして冠形成体45が接続されるようになっている構成も同様である。
【0046】
以上第2の実施の形態における帽子40においても、上記第1の実施の形態における帽子10と同様に、深さサイズ及び頭周りサイズが調整可能となることから、従来の諸問題が解決でき、しかも使い勝手の良い帽子40を提供することができるようになる。製造面、在庫管理面での効果も同様に得られる。
【0047】
前記図7に示す帽子40を、その構成の一部を変更して具体化することも可能であり、前記図7の構成との相違点を中心に帽子40の変形例を以下に説明する。図8(a)では、頭周り部41に交差させて冠形成体45を接続することにより該冠形成体45の先端部が頭周り部41よりも下方に垂れ下がる構成とすると共に、冠形成体45の垂れ下がり部分に一体的に袋部(袋体)51を設けている。冠形成体45は、袋部51の背面において面ファスナ46により頭周り部41に接続されている。袋部51が後ろになるように帽子40を着用した場合、袋部51は着用者の後頭部から頸部にかけて対面するようになっている。例えば、野外で工事用ヘルメットを着用する場合において、袋部51に保冷剤を入れた状態で帽子40を被り、更にその上からヘルメットを着用すれば、着用者の後頭部から頸部にかけての範囲で冷却効果が得られる。つまり、頭部のみならず、頸部を含めて広い範囲で冷却効果が得られる。またこの場合、頸部を直射日光から保護することもできる。従って、真夏の炎天下でも快適に作業できるようになる。袋部51内には、保冷剤の他に、脱臭剤や汗取り剤(吸湿剤)等を入れることも可能である。
【0048】
図8(b)は、冠形成体45を頭周り部41の内側に配置した構成を示す。それ以外は前記(a)と同様である。
【0049】
また、図9の構成では、帽子40とは別部材として袋体55が設けられ、この袋体55を帽子40に対して着脱可能としている。袋体55と冠部42の少なくとも1カ所(図では2カ所)には、面ファスナを構成するファスナ部材56,57がそれぞれ設けられている。ファスナ部材57を頭周り部41に設ける構成であっても良い。本構成によれば、帽子深さの調整とは別に、袋部材55の位置調整が可能となるため、保冷剤による冷却場所を調整することができるようになる。つまり、袋体55の取り付け位置を変更することにより、袋体55の垂れ下がり長さを容易に変更できるようになる。故に、着用者が所望とする場所を確実に冷却したりすることができるようになる。また、必要に応じて袋体55を装着又は離脱させたり、大きさや長さ等が異なる袋体55を選択的に装着したりすることも可能となる。
【0050】
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
【0051】
例えば図10に示す帽子40において、頭周り部41のサイズ調整部分に伸縮ベルト部61を介在させる構成とする。この場合、ベルト体43と伸縮ベルト部61との間に面ファスナ62が設けられる。帽子深さの調整部分にも同様に伸縮ベルト部を介在させる構成とすることも可能である。すなわち、冠形成体の一部に伸縮ベルト部を設ける。
【0052】
上記各実施の形態では、冠部を構成する冠形成体は、その一端が頭周り部に固定される固定端となり、他端が離着可能な自由端となっていたが、何れの端部も離着可能な自由端とすることも可能である。例えば、図7の帽子40で説明すれば、冠形成体45の2つの端部に共に面ファスナを設けて、何れの部位においても離着可能な構成とする。
【0053】
上記各実施の形態では、冠部を帽子の前後方向に延びるよう構成したが、この構成に限られず、左右方向に延びる構成であっても良い。また、その形状も何ら限定されない。
【0054】
前記図8の帽子40では、1カ所に袋部51(垂れ下がり部分)を設けたが、これを2カ所以上に設けることも可能である。例えば、左右2カ所に袋部(垂れ下がり部分)を設ける構成とする。かかる場合、袋部が着用者の両耳にさしかかるため、冬場において袋部に保温剤を入れて耳元辺りを暖めたりするようにしても良い。
【0055】
例えば図1において頭周り部11と冠形成体17とを離着可能に接合する接合手段、或いは図5(b)において冠形成体26,27同士を離着可能に接合する接合手段として、面ファスナによるもの以外に、フックやボタン等によるものなどが適用できる。言い換えると、連続的なサイズ調整が可能なもの以外にも、段階的にサイズ調整可能なものも適用できる。
【0056】
頭周り部及び冠部の全体又はほぼ全体を覆う帽体部を更に設けるようにしても良い。例えば図1の帽子10で言えば、少なくとも冠部13の左右両側の開口部を塞ぐように帽体部を被せるようにする。これにより、冠部と帽体部とにより頭部の保護や直射日光の遮断等が可能となる。本構成にあっても、既述の通り深さ調整が可能となること等の優れた効果が得られることに変わりはない。例えば、図7に示す帽子40に背高の帽体部を被せることで調理用帽子を構成する場合などもこの技術的思想に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における帽子の外観を示す斜視図である。
【図2】頭周りサイズ及び深さを調整可能とする構成を説明するための斜視図である。
【図3】頭周りサイズを調整可能とする構成を説明するための断面図である。
【図4】帽子深さを調整可能とする構成を説明するための断面図である。
【図5】帽子の変形例を示す斜視図である。
【図6】帽子の変形例を示す斜視図である。
【図7】第2の実施の形態における帽子の外観を示す斜視図である。
【図8】帽子の変形例を示す斜視図である。
【図9】帽子の変形例を示す斜視図である。
【図10】帽子の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…帽子、11…頭周り部、12…庇部、13…冠部、17…冠形成体、18…面ファスナ、21…冠形成体、22,23…面ファスナ、26,27…冠形成体、28…面ファスナ、31…収納ポケット、32…携帯バンド、40…帽子、41…頭周り部、42…冠部、45…冠形成体、46…面ファスナ、51…袋部、55…袋体。

Claims (13)

  1. 頭周りに合わせて設けられる頭周り部と、帯状の冠形成体によって構成される冠部とを有し、
    前記頭周り部に交差させて前記冠形成体を接続することにより、該冠形成体の先端部が頭周り部と対応する位置よりも下方に垂れ下がる構成とし、
    前記冠形成体を、前記冠部を形成するために必要な部分とそれ以外の前記頭周り部に対応する位置及びそれよりも先端部側からなる余剰部分とから構成し、
    前記冠形成体の前記余剰部分及び前記頭周り部には、両者を離着可能に接続する面ファスナをそれぞれ設け、
    前記頭周り部の面ファスナに対する前記余剰部分の面ファスナの接続位置を調整することにより、前記冠部の長さを調整可能としたことを特徴とする頭部装着具。
  2. 前記頭回り部の後方部にはその内外両側に前記面ファスナを取り付け、頭回り部の外側から内側に折り返すようにして冠形成体が接続されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の頭部装着具。
  3. 前記頭回り部の面ファスナをフック面が外側に向いたファスナ部材とし、前記余剰部分の面ファスナをループ面が内側に向いたファスナ部材としたことを特徴とする請求項1又は2記載の頭部装着具。
  4. 前記冠形成体の少なくとも一端を前記頭周り部に離着不能に接続すると共に、他端を前記頭周り部に対して離着可能に接続する構成としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の頭部装着具。
  5. 前記頭周り部において頭部装着具前方部に前記冠形成体を離着不能に接続すると共に、頭部装着具後方部に前記冠形成体を離着可能に接続したことを特徴とする請求項4記載の頭部装着具。
  6. 前記頭周り部を、頭周り方向の長さが調整可能な構成としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の頭部装着具。
  7. 前記頭周り部又は前記冠部に、携帯装備品等を装備可能とするための可装部を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の頭部装着具。
  8. 前記頭周り部又は前記冠部に、頭周り部よりも下方に垂れ下がった袋体を設けたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の頭部装着具。
  9. 前記袋体を前記頭周り部又は前記冠部とは別部材として、当該頭周り部又は冠部に対して着脱可能としたことを特徴とする請求項8記載の頭部装着具。
  10. 前記冠形成体の垂れ下がり部分に袋体を設けたことを特徴とする請求項1記載の頭部装着具。
  11. 前記袋体を着用者の頸部まで垂れ下げる構成とし、該袋体に保冷剤を収容したことを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の頭部装着具。
  12. ヘルメットの中敷き帽子として使用することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の頭部装着具。
  13. 前記頭周り部及び前記冠部の全体又はほぼ全体を覆う帽体部を更に設けたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の頭部装着具。
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