JP3553531B2 - ツインワイヤの脱水装置及び方法並びに脱水ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙機のツインワイヤフォーマにおける紙原料液の脱水方法及び装置並びに上記脱水方法及び装置に用いて好適な脱水ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、抄紙機の紙層形成装置としてツインワイヤフォーマが知られている。このツインワイヤフォーマは、各々ループ状に形成された二枚のワイヤ(金網)をそなえ、これら二枚のワイヤ間に形成される抄紙用隙間に紙原料液(繊維質サスペンション)を挟み込んでワイヤを走行する間に、種々の脱水機器により紙原料液から水分(白水)が除去されて徐々に繊維マット(繊維質帯状体)が形成され、この繊維マットが成長して紙匹が形成されていくようになっている。
【0003】
従来のツインワイヤフォーマとしては、図8に示すように、脱水装置としてのサクションロール14を初期脱水部(抄紙用隙間の入り口部)に設置した、一般にロールフォーマ或いはロールブレードフォーマと呼ばれるものが知られている。この従来のツインワイヤフォーマでは、ヘッドボックス1から噴射された紙原料液2を二枚のワイヤ3,4により形成される楔状のギャップに挟み込み、サクションロール14によってワイヤ3,4をラップするとともに、ワイヤ3,4がラップされる範囲に吸引力qを作用させることによって、紙原料液2からの脱水を進行させるようになっている。
【0004】
サクションロール14はワイヤ3をガイドするととともに真空吸引によりワイヤ3,4間に挟みこまれた紙原料液2から白水を吸引脱水するものであり、図9に示すように、ロールセル16,サクションボックス20等により構成されている。
ロールセル16は金属製の筒状体であり、ワイヤ3,4間に挟まれて走行する紙原料液2の速度に応じて回転可能に構成されている。
【0005】
サクションボックス20はロールセル16の内部に設けられ、図示しない真空ポンプに接続されている。また、サクションボックス20には図示しない吸引開口部が設けられており、回転するロールセル16を介してワイヤ3,4がラップされる範囲に限定して負圧による吸引力を作用させるようになっている。
このため、ロールセル16には、全周に亘って一定の間隔で配列するように、多数の脱水孔18が設けられている。各脱水孔18はその中心線をロール円周の法線方向に向けて、即ち、周面に垂直に開けられ、ロールセル16の内部空間に連通している。そして、この脱水孔18は通常金属加工により一つ一つ形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術ではロールセル16として金属製のロールを用いているため、脱水孔18をロール全周に亘って形成するために多大の労力と時間を要し、製作コストの増大を招いていた。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、簡単な構造で安価に製作できるツインワイヤフォーマの脱水装置を提供することを目的とする。さらに、簡単な構造で高い脱水量を確保できるようにしたツインワイヤフォーマの脱水方法及び装置並びに脱水ベルトを提供することを目的としている。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のツインワイヤフォーマの脱水装置は、同期して走行する二枚のワイヤ間に挟まれた繊維質サスペンションを脱水するツインワイヤフォーマの脱水装置であって、該二枚のワイヤの一方をガイドするガイド部材と、該ガイド部材により該ワイヤへ押圧されながら該ワイヤと同期して走行する弾性体のベルトとをそなえて構成され、該ベルトに複数の貫通孔が設けられて、該ベルトの圧縮変形,変形回復に伴って該貫通孔内の体積が収縮状態から回復し該貫通孔内が負圧となるのを利用して、該繊維質サスペンションの水分を該貫通孔内に取り込み脱水することを特徴としている(請求項1)。
【0008】
したがって、ベルトをワイヤへ押付けることにより加圧脱水された繊維質サスペンション中の水分は、ベルトの外周面上に設けられた貫通孔に取り込まれるとともにベルトの走行により貫通孔がワイヤと分離し外部へ排出される。
また、該ベルトが弾性体であるため、ガイド部付近を走行する弾性体のベルトはワイヤへ押付けられて加圧されることで圧縮変形を受け、更にガイド部付近を通過することで圧縮変形から回復する。このベルトの圧縮変形,変形回復に伴って、貫通孔内の体積が収縮状態から回復し孔内が負圧となる。この負圧の作用によりワイヤを介して繊維質サスペンションの水分が孔内に取り込まれる(以上、請求項1)。
また、該貫通孔を、該ワイヤと接する面が小径となり該ガイド部材と接する面が大径となるように形成してもよい(請求項2)。
【0009】
また、本発明のツインワイヤフォーマの脱水装置は、同期して走行する二枚のワイヤ間に挟まれた繊維質サスペンションを脱水するツインワイヤフォーマの脱水装置であって、該二枚のワイヤの一方をガイドするガイド部材と、該ガイド部材により該ワイヤへ押圧されながら該ワイヤと同期して走行する弾性体のベルトとをそなえて構成され、該ベルトに複数の貫通孔が設けられて、該貫通孔が、該ワイヤと接する面が小径となり該ガイド部材と接する面が大径となるように形成されていることを特徴としている(請求項3)。
【0010】
さらに、該ベルトは無端ベルトであることが好ましい。このとき、貫通孔に取り込まれた水分はベルトを回転させることによりガイド部材から離れるとともに、ベルト回転による遠心力によって孔外へ排出される(請求項4)。
該ガイド部材に該ベルトの該貫通孔内の水を吸引する吸引手段を設けてもよい。このとき、繊維質サスペンションはベルトによって脱水されるとともに、吸引手段により強制脱水される(請求項5)。
【0011】
該ガイド部材の表面に排水用の溝を設けてもよい。このとき、貫通孔に取り込まれた水分は排水溝を介して外部へ排出される(請求項6)。
該ワイヤに対して該ガイド部材と対向する位置に配され該ガイド部材との間で該ワイヤを加圧する加圧ロールをそなえてもよい。このとき、加圧ロールで繊維質サスペンションを加圧することにより更に加圧脱水が行なわれる(請求項7)。
【0012】
また、本発明の脱水方法は、二枚のワイヤ間に挟まれた繊維質サスペンションを脱水する脱水方法であって、複数の貫通孔を有する弾性体のベルトを該ワイヤに押圧して圧縮変形させる工程と、押圧力を解除して変形を回復させ、該貫通孔内の体積が収縮状態から回復し該貫通孔内が負圧となるのを利用して該繊維質サスペンションの水分を該貫通孔内に取り込み脱水する工程とをそなえたことを特徴としている。
したがって、ベルトの圧縮変形,変形回復に伴って、貫通孔内の体積が収縮状態から回復し孔内が負圧となる。この負圧の作用によりワイヤを介して繊維質サスペンションの水分が孔内に取り込まれ脱水される(請求項8)。
【0013】
さらに、本発明の脱水ベルトは、請求項1記載のツインワイヤフォーマの脱水装置で用いられ、該貫通孔が、該ワイヤと接する面が小径となり該ガイド部材と接する面が大径となるように形成されていることを特徴としている(請求項9)。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。なお、図8,図9を用いて説明した従来の技術と同様の部位については同じ符号を付し、その説明を一部省略する。
まず、第1実施形態について説明すると、図1,図2は本発明の第1実施形態としての脱水装置を示すもので、図1はその構成を示す図、図2は脱水ベルの形状を示す図であり、図2(a),図2(b)はそれぞれ脱水ベルトの正面図及び断面図である。また、図2(c)は第1実施形態の変形例における脱水ベルトの断面図である。
【0015】
本実施形態に係る脱水装置は、図1に示すように、脱水ベルト(ベルト)30,ロール(ガイド部材)10及びロール15により構成されている。
ロール10,15は、ワイヤ4のワイヤループ内に配され後述の脱水ベルト30を介してワイヤ4をガイドするとともに、ワイヤ4と同期して脱水ベルト30を回転させるものである。このロール10,15にはガイドロール5などに用いる通常のソリッドな回転ロールを用いることができる。
【0016】
脱水ベルト30は、平面状の弾性体のベルトの両端部を繋げてループ状にしたものである。そして、ベルト面には、図2(a)に示すように、全周に亘って多数の脱水孔(貫通孔)31が設けられ、この脱水孔31は、図2(b)に示すように、脱水ベルト30の厚み方向にストレートに貫通するように形成されている。このような、脱水ベルト30は、平面状のベルトから脱水孔31を打ち抜きなどの一般的な加工方法によって形成した後、両端を繋ぐことにより簡単に製作することができる。また、この脱水ベルト30の材料は、弾性体であり脱水孔31を加工形成可能な材料であればよく、ゴムなどの樹脂の他に種々の材料が考えられる。
【0017】
なお、脱水ベルト30にはロール10がワイヤ3,4のラップ範囲でワイヤ4をガイドする際に働くワイヤ張力が作用するため、ラップ範囲で圧縮変形を受けるようになっている。
したがって、脱水ベルト30はロール10,15によりガイドされてラップ範囲入り口付近に導入されるとともにワイヤ張力の作用によって徐々に圧縮され、ラップ範囲からラップ範囲出口付近に向かうに従って徐々に変形が解ける。この脱水ベルト30の圧縮変形及び変形回復に伴って、脱水孔31内の体積が収縮状態から回復し、孔内が負圧となる。そして、この負圧の作用によりワイヤ3,4内の紙原料液2から白水が吸引脱水される。さらに、脱水孔31内に取り込まれた白水は脱水ベルト30の回転による遠心力で外部に孔外へ排出される。その後、ロール10,15によりガイドされて再度ラップ範囲に導入されて同様の脱水サイクルが繰り返される。
【0018】
本発明の第1実施形態としての脱水装置は、上述のように構成されているので、脱水ベルト30がラップ範囲を通過する際に受ける圧縮変形及び変形回復の過程によって、脱水孔31内が負圧になる。そして、この脱水孔31内の負圧の作用によって紙原料液2から白水が脱水されるため、一定の脱水力を確保しながらサクションボックスや真空装置などを不要にでき、装置構成を大幅に簡素化できる。
【0019】
また、脱水ベルト30は、可撓性のある平面状のベルトに打ち抜き加工などの簡易な方法で脱水孔31を形成した後、ベルトの両端を繋ぐなどして製作することができるため、従来のロールセルのように金属製の筒状体に一つ一つ穴を打ち抜いていく方法と比べて製作時間や製作コストが大幅に削減できる。
次に、本発明の第1実施形態の変形例について図2(c)を用いて説明する。本変形例は、図2(b)で示した第1実施形態における脱水孔(貫通孔)31の形状を変形したものであり、ワイヤ4と接する面が小径孔31aとなりロール(ガイド部材)10と接する面が大径孔31bとなるように形成されている。そして、これ以外は上記の第1実施形態と同様に構成されている。
【0020】
したがって、本変形例においても、脱水ベルト30の弾性変形作用(圧縮変形及び変形回復の作用)により紙原料液2中の白水が吸引脱水される。そして、大径孔31bによって多くの白水が取り込まれるため、図2(b)で示した上述の第1実施形態の脱水ベルト30を用いた場合に比べてより大きな脱水力が得られる。
【0021】
また、ワイヤ4と接する面の脱水孔31の孔径を小さくすることで脱水終了後に得られる紙匹に脱水ムラや吸引マークがつくことを防止できる。つまり、大きな開口部をワイヤ4と接する面に設けると、開口部中心とその周辺部(ランド部)との距離が長くなるため、例えばワイヤ4の局所的な変形や脱水流速差の増大等により脱水量に差が生じ、紙匹にこの脱水量の差に起因したマークが転写される可能性がある。
【0022】
なお、脱水孔31の断面形状はワイヤ4側の開口部が小径でロール10側の開口部が大径であればよく、図2(c)に示したものの他に台形形状など様々考えられる。
次に、本発明の第2実施形態について図3を用いて説明する。
本実施形態に係る脱水装置は、図3に示すように、サクションボックス20,ガイドロール35,35及び脱水ベルト(ベルト)30により構成されている。
【0023】
脱水ベルト30は円筒状の弾性体のベルトであり、幅方向端部が固定円筒体に支持され軸及び軸受けを介して駆動装置(いずれも図示略)により回転駆動されるようになっている。それ以外は上述の第1実施形態及び変形例で説明したものと同様の構成/作用を有するため説明を省略する。
サクションボックス20は、脱水ベルト30のループ内に設けられた吸引装置であり、ラップ範囲において、脱水ベルト30を介してワイヤ4をガイドするガイド部材として機能するとともに脱水孔(貫通孔)31を介して紙原料液2の白水を吸引し外部へ排出する吸引手段として機能するものである。このため、サクションボックス20は図示しない真空装置に接続され、脱水ベルト30と接する面に図示しない吸引開口部が形成されている。
【0024】
ガイドロール35は脱水ベルト30を円筒形状に保持するものであり、脱水ベルト30のループ内に二つ設けられている。そして、このガイドロール35には通常のソリッドな回転ロールを用いることができる。
したがって、脱水ベルト30がサクションボックス20上を摺接しながら回転駆動されラップ範囲を通過する間に、サクションボックス20の吸引作用により脱水孔31を介して紙原料液2の白水が吸引脱水される。そして、このサクションボックス20の脱水作用と並行して、上述の第1実施形態で説明した脱水ベルト30の弾性変形作用により脱水が行なわれる。
【0025】
本発明の第2実施形態としての脱水装置は、上述のように構成されているので、脱水ベルト30による脱水作用に加えてサクションボックス20による強制負圧作用により脱水が行なわれるため、脱水効率が向上する。
また、サクションボックス20は脱水ベルト30の脱水力を補完するものであるため、大きな吸引力を必要とせず従来のものと比べて構成を簡素化することができる。
【0026】
さらに、脱水ベルト30が円筒状に構成されているため遠心力の働く範囲が広く、脱水孔31内に取り込まれた白水の排出がスムーズに行なわれる。
なお、このガイドロール35は脱水ベルト30を円筒形状に保持するだけのものであり、操業条件によってはつけなくてもよい。このようにすることで、装置構成をより簡素にすることができ、製作コストも大幅に低減できる。
【0027】
次に、本発明の第3実施形態について図4を用いて説明する。
本実施形態に係る脱水装置は、図4に示すように、第1実施形態の脱水装置の構成においてロール(ガイド部材)10をサクションロール14に置き換えたものである。ここで、サクションロール14は図8,図9で示した従来のサクションロール14に比べて脱水孔18(図9参照)の数を減らしサクションボックス(吸引手段)20の形状を簡略化したものを用いている。
【0028】
したがって、脱水ベルト30がサクションロール14によりガイドされてラップ範囲を通過する間に、サクションロール14の吸引作用により脱水孔31を介して紙原料液2中の白水が吸引脱水される。そして、このサクションロール14による脱水と並行して、脱水ベルト30の弾性変形作用により吸引脱水が行なわれる。
【0029】
本発明の第3実施形態としての脱水装置は、上述のように構成されているので、脱水ベルト30による脱水作用とサクションロール14による強制負圧作用との相乗効果により、より一層の脱水能力が得られる。
また、脱水ベルト30を介してサクションロール14で吸引するため、例えば脱水孔18の孔径を大きくして個数を減らす等、従来のものよりロールセル16の構造を簡素化できる。さらに、サクションロール14は脱水ベルト30の脱水力を補完するものであるため、大きな吸引作用を必要とせず従来のサクションボックス20に比べて構造を簡素化できる。
【0030】
本発明の第4実施形態について図5を用いて説明する。
本実施形態の脱水装置は、図5に示すように、第3実施形態の構成に加圧ロール40を加えて構成したものである。
加圧ロール40はワイヤ3,4間に挟まれて走行する紙原料液2をラップ範囲においてワイヤ3側から加圧するものであり、ワイヤ3,4を挟んでサクションロール14と対向する位置に配されている。そして、脱水ベルト30との間でニップPを形成し、このニップPにおいて紙原料液2をワイヤ3側から加圧するようになっている。
【0031】
したがって、ワイヤ3,4に挟まれて走行する紙原料液2はニップPで加圧ロール40により加圧脱水を受けるとともに、脱水ベルト30はワイヤ張力のほかに加圧ロール40による押圧が加わるため、より大きな弾性変形を受け脱水孔31内に大きな吸引力が生じる。そして、ワイヤ張力及び加圧ロールによる押圧力によって脱水された白水はこの負圧の作用によって脱水孔31内に十分吸引され脱水ベルト30の回転によって外部へ排出される。
【0032】
本発明の第4実施形態としての脱水装置は、上述のように構成されているので、第3実施形態で説明したサクションロール14及び脱水ベルト30の脱水作用に加圧ロール40の加圧脱水作用が付加されるため、脱水能力が更に向上する。さらに、脱水ベルト30は加圧ロール40により大きな弾性変形を受けるため、より大きな脱水力が得られる。このため、脱水処理速度(ワイヤ搬送速度)が高速化した場合に、より効果的である。
【0033】
本発明の第5実施形態について図6,図7を用いて説明する。図6は本実施形態の脱水装置の構成の要部を示す図であり、図7は本実施形態で適用される排水溝の配置等を示す図である。
本実施形態の脱水装置は、図6に示すように、第1実施形態の構成においてロール10の代わりに保持ロール(ガイド部材)50を用いたものである。
【0034】
保持ロール50はロール外周面に排水溝51を有する中空ロールであり、この排水溝51は連絡溝52を介して内部の中空空間53と連通している。また、この中空空間53は図示しない排出管と連通している。
排水溝51は、脱水ベルト30の脱水孔31に取り込まれた紙原料液2中の白水を外部へ排出するものであり、図7(a)〜図7(c)でそれぞれ示すように、ロール周方向(回転方向)に設けたもの、胴長方向(ベルトの幅方向)に設けたもの、或いは、周方向に螺旋状に設けたもの等が考えられる。なお、排水溝51の形状は脱水孔31から白水がスムーズに排出される構成であればよく、上記のものに限定されない。
【0035】
したがって、ラップ範囲で脱水され脱水孔31内に取り込まれた紙原料液2中の白水は保持ロール50表面の排水溝51に流れ込む。そして、その後連絡溝52を介して中空空間53へ流れ、排出管によって外部へ排出される。
本発明の第5実施形態としての脱水装置は、上述のように構成されているので、脱水孔31内に取り込まれた白水の排出がスムーズに行なわれ常に安定した脱水を行なうことができる。また、ロール表面に溝を設けるだけの簡単な構造であるため、製作が容易で製作コストを低減することができる。
【0036】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、ワイヤ走行速度に応じて脱水量を確保するために、ワイヤとガイド部材とが接する長さ(ガイド長さ)や脱水ベルトの厚みを調整することができる。つまり、より大きな脱水力を必要とするときは、ガイド長さを長くしたり脱水ベルトを厚くしたりして脱水孔の容量を十分に確保するようにする。
【0037】
また、上述の各実施形態では脱水ベルト30に弾性体を用いているが、弾性体に限らず種々の材料を用いることができる。このとき、ラップ範囲で加圧脱水された白水は、脱水孔31内に取り込まれるとともに、脱水ベルト30の回転によってラップ範囲から分離され外部へ排出されるため、脱水ベルト30の材質によらず一定の脱水能力が確保される。さらに、脱水ベルト30がループ状の無端ベルトであれば、脱水孔31内に取り込まれた白水はベルト回転による遠心力によって外部へスムーズに排出されるため、脱水孔31内に白水が溜まることがなく、ベルト回転によってエンドレスに脱水が可能となるが、実施の態様によっては無端としない構成もかのうである。この場合でも、脱水孔内に取り込まれた白水はベルト走行によりワイヤと分離し外部へ排出される。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、同期して走行する二枚のワイヤ間に挟まれた繊維質サスペンションを脱水するツインワイヤフォーマの脱水装置であって、該二枚のワイヤの一方をガイドするガイド部材と、該ガイド部材により該ワイヤへ押圧されながら該ワイヤと同期して走行するベルトとをそなえて構成されているため、ベルトをワイヤへ押付けることにより加圧脱水された繊維質サスペンション中の水分は、ベルトの外周面上に設けられた貫通孔に取り込まれるとともにベルトの走行により貫通孔がワイヤと分離し外部へ排出される。したがって、一定の脱水量を確保しながら、脱水装置を加工の容易なベルト等により構成し安価に製作できる(請求項1,8)。
【0039】
また、上記ベルトに弾性体を用いることで、弾性体ベルトがガイド部材付近を走行する際圧縮変形,変形回復作用を受け、これに伴って貫通孔の容積が変化し孔内が負圧となる。そして、この弾性変形によって生じる負圧の作用によってワイヤを介して繊維質サスペンションの水分が孔内に取り込まれるため、吸引装置などを別途設ける必要がない。したがって、脱水装置の簡素化,低コスト化を図ることができる(請求項1,8,9)。
【0040】
また、該貫通孔を該ワイヤと接する面が小径となり該ガイド部材と接する面が大径となるように形成することで、貫通孔の容積を広げて大きな脱水量を確保することができる。そして、ワイヤと接する面の孔径を小さくすることで、脱水終了後に得られる紙匹に脱水ムラや吸引マークが付くことを防止できる(請求項2,3,9)。
また、上記のベルトを無端ベルトとすることで、貫通孔に取り込まれた水分はベルトの回転によりガイド部材から離れるとともに、ベルト回転による遠心力によって孔外へスムーズに排出される。したがって、貫通孔内に水分が溜まることなくエンドレスに脱水を行なうことができる(請求項4)。
【0041】
該ガイド部材に該ベルトの該貫通孔内の水を吸引する吸引手段を設けることで、ベルトの脱水力と吸引手段の脱水力が互いに補完される。そのため、吸引手段の構成を簡素化することができ、製作コストを下げることができる(請求項5)。
該ガイド部材の表面に排水用の溝を設けることにより、貫通孔内に取り込まれた水が排出溝を通ってスムーズに排出され、脱水効率が向上する。また、ガイド部材表面に溝を設けるだけの簡単な構造であるため、製作コストを低減することができる(請求項6)。
【0042】
該ワイヤに対して該ガイド部材と対向する位置に加圧ロールを配し、該ガイド部材と加圧ロールとの間で該ワイヤを加圧するように構成することで、加圧ロールの加圧力が加わり更に脱水能力が向上する。さらに、加圧ロールの押圧力によりベルトに大きな弾性変形が生じ、貫通孔内により大きな吸引力が生じてベルトの脱水力が向上するという相乗効果がえられる。このため、ワイヤの走行速度が上がった場合に特に有効である。(請求項7)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における脱水装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態における脱水ベルトの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は(b)で示した脱水孔の形状を変形した例を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態における脱水装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態における脱水装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4実施形態における脱水装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第5実施形態における脱水装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の第5実施形態における保持ロールの排水溝の形状を示す図である。
【図8】従来の脱水装置の構成を示す図である。
【図9】従来の脱水装置におけるサクションロールの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ヘッドボックス
2 紙原料液
3,4 ワイヤ
10 ロール(ガイド部材)
14 サクションロール
15 ロール
16 ロールセル
18 脱水孔
20 サクションボックス
30 脱水ベルト
31 脱水孔(貫通孔)
31a 小径孔
31b 大径孔
35 ガイドロール
40 加圧ロール
50 保持ロール
51 排水溝
52 連絡溝
53 中空空間
P ニップ
Claims (9)
- 同期して走行する二枚のワイヤ間に挟まれた繊維質サスペンションを脱水するツインワイヤフォーマの脱水装置であって、
該二枚のワイヤの一方をガイドするガイド部材と、
該ガイド部材により該ワイヤへ押圧されながら該ワイヤと同期して走行する弾性体のベルトとをそなえて構成され、
該ベルトに複数の貫通孔が設けられて、
該ベルトの圧縮変形,変形回復に伴って該貫通孔内の体積が収縮状態から回復し該貫通孔内が負圧となるのを利用して、該繊維質サスペンションの水分を該貫通孔内に取り込み脱水する
ことを特徴とする、ツインワイヤフォーマの脱水装置。 - 該貫通孔が、該ワイヤと接する面が小径となり該ガイド部材と接する面が大径となるように形成されていることを特徴とする、請求項1記載のツインワイヤフォーマの脱水装置。
- 同期して走行する二枚のワイヤ間に挟まれた繊維質サスペンションを脱水するツインワイヤフォーマの脱水装置であって、
該二枚のワイヤの一方をガイドするガイド部材と、
該ガイド部材により該ワイヤへ押圧されながら該ワイヤと同期して走行する弾性体のベルトとをそなえて構成され、
該ベルトに複数の貫通孔が設けられて、
該貫通孔が、該ワイヤと接する面が小径となり該ガイド部材と接する面が大径となるように形成されている
ことを特徴とする、ツインワイヤフォーマの脱水装置。 - 該ベルトが無端ベルトであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のツインワイヤフォーマの脱水装置。
- 該ガイド部材に該ベルトの該貫通孔内の水を吸引する吸引手段が設けられたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載のツインワイヤフォーマの脱水装置。
- 該ガイド部材の表面に排水用の溝を設けたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載のツインワイヤフォーマの脱水装置。
- 該ワイヤに対して該ガイド部材と対向する位置に配され該ガイド部材との間で該ワイヤを加圧する加圧ロールをそなえたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載のツインワイヤフォーマの脱水装置。
- 二枚のワイヤ間に挟まれた繊維質サスペンションを脱水する脱水方法であって、
複数の貫通孔を有する弾性体のベルトを該ワイヤに押圧して圧縮変形させる工程と、
押圧力を解除して該ベルトの変形を回復させ、該貫通孔内の体積が収縮状態から回復し該貫通孔内が負圧となるのを利用して該繊維質サスペンションの水分を該貫通孔内に取り込み脱水する工程とをそなえたことを特徴とする、ツインワイヤフォーマの脱水方法。 - 請求項1記載のツインワイヤフォーマの脱水装置におけるベルトであって、
該貫通孔が、該ワイヤと接する面が小径となり該ガイド部材と接する面が大径となるように形成されていることを特徴とする、脱水ベルト。
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