JP3553184B2 - 表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高層ビルの壁の清掃、窓ガラスの清掃や高層建造物の壁面のメインテナンスは従来、足場を組んだり、高所作業車を使用したり、ロープで吊り下げたゴンドラを使用し、これら足場、高所作業車、ゴンドラに載った作業員によって実施される。
高所作業の機械化、自動化の要求から表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置が研究され、一部実用に供されている。吸着式壁面歩行装置は複数個の脚機構の先端に真空吸盤を取付けたもので、脚機構を動かしつつ真空吸盤の吸着、非吸着を繰返すことによりあたかも「蜘蛛」の如く壁面を移動させ得る装置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記吸着式壁面歩行装置に搭載される表面処理機構は、例えばブラスト機構であれば高速度でブラストを壁面へ投射するから、大きな反力を吸着式壁面歩行装置に与える。表面処理機構をスチールブラシにしても同様であり、処理能力が大きいほど反力も大きくなる傾向にある。更に、従来の表面処理機構は直接的に吸着式壁面歩行装置に搭載されており、表面処理機構は重量物であるから、吸着式壁面歩行装置はその重量と自重との両方を負担しなければならない。
とすれば、吸着式壁面歩行装置は十分な剛性を有する構造物である必要があること、及び大きな吸着力を保有する必要がある。
従って、従来の表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置は、大型で、複雑で、高価なものとなっており、装置の普及を妨げる要因となっている。
そこで、本発明の目的は軽量で安価な表面処理機構付き吸着式壁面歩行装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、壁面の表面処理を実施する表面処理機構と、付属する複数本の脚機構及びこれら脚機構の先端に取付けた真空吸盤により壁面を自在に歩行する吸着式壁面歩行装置と、前記表面処理機構を上下に案内するために前記吸着式壁面歩行装置に付設したガイドレールと、からなる表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置であって、
前記吸着式壁面歩行装置は、環状で且つ可撓性材料からなる本体枠と、この本体枠から下ろした複数本の前記脚機構と、これらの脚機構の先端に取付けた前記真空吸盤とで構成し、
前記脚機構に前記壁面に平行な方向へピストンロッドを前後進させるシリンダを含み、このシリンダで前記真空吸盤を壁面に平行な方向へ移動させるようにし、
前記ガイドレールは、前記壁面に垂直な方向に移動可能に前記本体枠に取付けたことを特徴とする。
【0005】
前記吸着式壁面歩行装置を基準とした場合に、表面処理機構の位置が不適当となった際にはそのことを検出する位置検知手段を表面処理機構と吸着式壁面歩行装置との少くとも一方に備える。
【0006】
【作用】
吸着式壁面歩行装置の本体枠を、環状で且つ可撓性材料で構成したので、壁面に凹面及び凸面があってもこれらに倣って本体枠が変形する。この様に吸着式壁面歩行装置は曲面を自在に自走させることができる。
【0007】
位置検知手段が作動したときには、表面処理機構を増速/減速又は吸着式壁面歩行装置を減速/増速して表面処理機構の位置を補正する。
【0008】
【実施例】
本発明の実施例を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
説明の都合で、吸着式壁面歩行装置単体を図1〜図6で述べ、それ以降に表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置について述べる。
また、Xは壁面に平行な水平軸、Yは壁面に平行な垂直軸、Zは壁面に直交する垂直軸である。
図1は本発明の第1実施例に係る吸着式壁面歩行装置の平面図、図2は同分解斜視図、図3は同要部の分解斜視図であり、理解を容易にするために図2、図3、図1の順に説明する。
図2において、吸着式壁面歩行装置1は平面視略口形の環状の本体枠2と、この本体枠2から下ろされた複数本の脚機構10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10Hと、これらの脚機構10A〜10Hの先端に取付けられた真空吸盤30・・・(・・・は複数個を示す。以下同様。)とからなる。
前記本体枠2はゴムや軟質樹脂などの可撓材料を中空のゴム又は樹脂製浮き輪形状体に成形したものである。
【0009】
脚機構10Aと脚機構10Bとは、いわゆる勝手反対の関係にあり、1部の部品の向きが異なるだけなので、詳細な構成は脚機構10Aのみを次に説明する。
図3は脚機構10Aの拡大図であり、脚機構10Aは取付け金具11と、バンド12,12と、前記取付け金具11にアタッチメント13,14を介して取付けられるX方向シリンダ15(以下、単に「Xシリンダ15」と記す。)と、このXシリンダ15のピストンロッド16にて押し引きされるZ方向シリンダ18(以下、単に「Zシリンダ18」と記す。)とからなる。19,19はガイドロッド、21・・・は固定ブロックでありガイドロッド19を取付け金具11に固定するための部材である。ガイドロッド19,19はZシリンダ18の姿勢を維持するための部材である。
【0010】
前記Zシリンダ18のピストンロッド22の先端に真空吸盤30が取付けられるが、この真空吸盤30はゴム若しくは軟質樹脂をカップ形状に成形したものであり、ホース31で三方口電磁弁32及び真空ポンプ等の真空引き手段33に接続され、真空引き手段33で真空吸盤30内の真空度を高めることにより真空吸盤30を壁面に吸着させるものである。三方口電磁弁32を切り換えて、ホース31を真空引き手段33と遮断して大気に連通すればホース31及び真空吸盤30が大気圧に戻り、真空吸盤30は吸着力を失う。この状態を非吸着と称する。
【0011】
図2に戻って、脚機構10BはXシリンダをY方向シリンダ24(以下単に「Yシリンダ24」と記す。)に変更しただけでその他は変更ないので説明は省略する。その他の脚部材10D,10E,10HはXシリンダ15を有し、脚部材10C,10F,10GはYシリンダ24を有している。
従って、脚機構10A,10D,10E,10HはXシリンダ15の作用で真空吸盤30を図でX方向に移動し、又脚機構10B,10C,10F,10GはYシリンダ24の作用で真空吸盤30を図でY方向に移動するので、これらの何れかを使用することにより、真空式自走装置1をX又はY方向へ自走させることができる。
【0012】
図1において計8個の真空吸盤を、便宜上30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,30Hと呼称し、図中央に表示したX,−X,Y,−Y方向によれば、次の要領でいづれの方向へも移動させることができる。ここではY方向の移動のみ説明する。なお、次の説明中、シリンダ前進動はピストンロッドをシリンダから外方へ伸ばしたこと、シリンダ後退動はその逆を意味する。
真空吸盤30C,30Fを非吸着、Zシリンダ(符号省略、以下同)後退動、Yシリンダ前進動、Zシリンダ前進動の要領で1ピッチ前進させ、その位置で吸着させる。
真空吸盤30A,30D,30E,30Hを非吸着とし、好しくはZシリンダを後退動して待機位置まで移動する。
これと同時又は直後に、真空吸盤30B,30Gに係るYシリンダを前進動させ、且つ真空吸盤30C,30Fに係るYシリンダを後退動させる。これで本体枠2は1ピッチだけY方向へ移動する。
真空吸盤30A,30D,30E,30Hを吸着させる。
真空吸盤30B,30Gを非吸着、Zシリンダ後退動、Yシリンダ後退動、Zシリンダ前進動の要領で1ピッチ前進させて、図1に状態に戻す。
以上の説明はやや分かりにくいが、吸着式壁面歩行装置の一般的作用例である。また、この作用は上記説明に限定されるものではない。
他の−Y,X,−Xも同様であるので、説明は省略する。
【0013】
以上に述べた吸着式壁面歩行装置の作用を次に説明する。
図4は本発明の吸着式壁面歩行装置の作用図であり、大型船の船側外板40には凹面41や凸面42が少なくない。そこで、本発明に係る吸着式壁面歩行装置1は凹面41及び凸面42に倣って本体枠2が変形する。正確には、本体枠2の中央が折れ曲がる。他の部分は取付け金具11及びバンド12,12で拘束されているからである。従って、真空吸盤30・・・は常に船側外板40に好ましい角度で当接し、吸着能を損ねる心配がない。この様にして吸着式壁面歩行装置1は曲面を自在に自走する。
【0014】
図5は本発明の第2実施例に係る吸着式壁面歩行装置の分解斜視図であり、本体枠50を、例えばゴム又軟質樹脂の四角筒の両開口を塞いだ形状の中空エレメント51・・・と、連結用の金具52・・・とで構成し、中空エレメント51,51同士を金具52で結合して全体として環状としたものである。脚部材10A〜10Hは変更ないので符号を準用し、説明は省略する。
第2実施例ではコーナ部分を削除した形態とした。中空エレメント51・・・は形状及び構造が簡単である。従って、本体枠50を低コストで製造可能である。
【0015】
図6は本発明の本体枠の別実施例図であり、本体枠60を小径の中空管61・・・、例えばゴムチューブの両端を閉じた程度のもので構成し、バンド62,63で結束したものである。上記第2実施例よりも更に低コスト化を図ることができる。
【0016】
図7は本発明のブラスト機構を備えた吸着式壁面歩行装置の分解斜視図であり、表面処理機構の代表例であるブラスト機構70は、ブラストボックス73と、前記ブラスト供給ホース71,71の先端を接続するためのブラストノズル74,74と、これらブラストノズル74,74を揺動するためのノズル揺動機構80と、ワイヤ結合板75(モータ81の置き台を兼ねる。)と、ガイド溝76,76とからなる。
一方、吸着式壁面走行装置1側のバンド12,12に平行リンク77,77及びシングルリンク78,78を介してガイドレール79を取付け、2本のガイドレール79,79に前記ブラスト機構70を摺動可能に取付ける。
【0017】
図8は本発明のブラスト機構を備えた吸着式壁面歩行装置の平面図であり、本体枠2にバンド12・・・を介して平行リンク77・・・及びシングルリンク78・・・を取付け、これらリンク77,78・・・にガイドレール79,79を取付け、これらガイドレール79,79間にブラスト機構70を取付けた状態を示す。
図においてブラスト機構70は上下に移動可能である。しかし、図面表裏方向への移動は抑制される。Ltは上限位置検知手段,Lbは下限位置検知手段であり、それらの一方にブラスト機構70が到達したことを検知するものである。
前記位置検知手段Lt,Lbは、例えばレバー型リミットスイッチ、プッシュ型リミットスイッチ、磁気式近接スイッチ、光学式近接スイッチのようにある相対位置検知手段であれば、種類は問わない。
【0018】
図9は図8の9−9線断面図であり、ブラスト機構70の断面を詳しく表示したものであり、ブラストボックス73の下縁にはゴム、樹脂等のパッド73aが付設され、壁面に直接的にはブラストボックス73が当らぬようにしている。壁面に疵を付けぬように配慮したからである。ただし、パッド73aには適度にスリット73b・・・が切られ、ある程度の外気の導入を可能にして、真空度が高過ぎてブラストボックス73が壁面から外れなくなる如き心配の無いようにしている。奥に見える開口73c,73cはブラスト回収ホース72に続くブラスト排出用開口である。
また、ブラストノズル74,74はノズル揺動機構80を構成するところのモータ81(図8参照)、偏心カム82、レバー83,83、球面ブッシュ84,84、ピン85,85によって、ピン85,85を中心に、左右に揺動し、壁面に満遍なくブラストが当るように構造となっている。87,87は防塵カバーであり、球面ブッシュ84,84などへのブラストや錆の侵入を防止する。
【0019】
ここで重要なことは、本体枠2とブラストボックス73とが平行リンク77,77で連結されていることである。
ブラストボックス73は内部が真空となった時にはパッド73aが壁面に当接する。一方、枠本体2は壁面の形状に応じて変形する。そのために両者を平行リンク77,77で連結することで、Z方向の互いの移動を妨げない構造とした。
【0020】
図10(a),(b)は本発明に係る表面処理機構と枠本体との連結機構図であり、(a)は図8〜図10の連結機構を再掲したものであり、本体枠2側のバンド12に平行リンク77の一辺が付き、平行リンク77の他辺にガイドレール79が付いている形態を示し、平行リンク77であるから何れのZ方向高さにあってガイドレール79が捩れることはない。ただし、平行リンク77はX方向には十分な支持作用をなすが、Y方向はその作用がない。そこで、シングルリンク78を別のバンド12に取付け、このシングルリンク78でY方向の移動を拘束するようにした。
【0021】
(b)は他の連結機構例を示し、平面視L字形のゴムダンパ89を準備し、このゴムダンパ89でバンド12,12とガイドレール79とを連結したものである。ゴムダンパ89は表面に凹凸ヒダを有し、自身も弾性体であるから十分に変位吸収能力を有するので要求される変位を十分に吸収する。
【0022】
図11は本発明の表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置の作用図であり、吸着式壁面歩行装置1にブラスト機構70を付設し、ブラスト機構70を図の上下左右に移動しつつ大型船の船側外板40の塗装前下地処理を実施する。なお、ブラスト機構70はサンド又はショット(鋼球、鋼線の切断片)を高速で吹き付けて、鋼板面の錆を剥離する機構であり、前記サンド又はショットをブラストという。
【0023】
ブラスト機構70は重量物であり、ブラスト供給ホース71やブラスト回収ホース72が下方へ長く垂れ下がりこれらの重量も加わる。そこで、本使用例ではウインチなどの巻上げ手段65及びワイヤ66を準備し、ブラスト機構70をデッキに備えた巻上げ手段65にてワイヤ66で上下させるようにした。即ち、吸着式壁面歩行装置1の役割は、ブラスト機構70の緩やかな保持と、同機構70の左右方向(X方向)の振れ止めを図ることにあり、ブラスト機構70全体をサポートするものではない。
従って、本実施例の吸着式壁面歩行装置1は、負荷が小さいので、軽量で且つ小型に構成できる。
【0024】
なお、例えば甲板上にレールを敷き、レール上に台車を載せ、この台車に巻上げ手段65を載せることにより、巻上げ手段65を図左右方向に適宜移動することができる。67は岸壁に横付けされた作業車、68はブラスト投射設備である。このブラスト投射設備68は回収したブラストから錆、異物などを除去する機能、クリーンになったブラストを所定の速度で発射する機構その他必要な機構を有する。
【0025】
以上に述べた表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置の作用を次に述べる。
図11において、巻上げ手段65を始動してブラスト機構70及び吸着式壁面歩行装置1を所定の高さまで下ろす。所定の高さにて、吸着式壁面歩行装置1を吸着状態とし、ブラスト投射設備68からブラストを供給する。
図8において、ブラストボックス73の下方の壁面はショットが打たれ、浮き錆等が剥離される。ショットと錆等との混合物はブラスト回収ホース72にて回収される。そして、ワイヤ66を巻上げることによりブラストボックス73は上昇し、壁面を下から上へブラスト処理する。そこで、ワイヤ66の巻上げ速度にほぼ合せて、吸着式壁面歩行装置1を上方へ歩行させる。
【0026】
図12は本発明の表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置の作動フロー図であり、ST××はステップ番号を示す。また、本実施例では、巻上げ手段65は基準速度(中速)と低速と高速の3速を切り換え可能である。
ST01で吸着式壁面歩行装置1は上昇歩行を開始し、同時にST02でブラスト機構70はブラストの投射を開始する。
ST03で巻上げ手段65はブラスト機構70を「基準速度」で巻上げる。この基準速度は壁面歩行装置1の平均歩行速度とほぼ同一である。
ST04で上限位置検知手段Ltが検知(ON)状態にあるか否かを調べ、同じくST05で下限位置検知手段Lbが検知(ON)状態にあるか否かを調べる。図8に示した通り、両検知手段Lt,Lbが非検知(OFF)であれば、ブラスト機構70は本体枠2の枠内中間にあることとなる。従って、フロー上はいずれもNoのルートを進んで壁面歩行、ブラスト、巻上げを継続する。
【0027】
ST04で上限位置検知手段LtがONになったときには、相対的に巻上げ速度が早過ぎることになる。そこで、ST06で巻上げ速度を「低速」に切換える。このままでしばらく運転するが、巻上げ速度が遅過ぎることが考えられる。
そこで、ST07で下限位置検知手段LbがONになったら、Yesのルートを進ませてST03に戻し、巻上げ速度を標準に戻せばよい。
【0028】
ST05で下限位置検知手段LbがONになったときには、相対的に巻上げ速度が遅過ぎることになる。そこで、ST08で巻上げ速度を「高速」に切換える。このままでしばらく運転するが、巻上げ速度が早過ぎることが考えられる。
そこで、ST09で上限位置検知手段LtがONになったら、Yesのルートを進ませてST03に戻し、巻上げ速度を標準に戻せばよい。
以上の制御で、吸着式壁面歩行装置1の上昇とブラスト機構70の巻上げとの好ましい同調を図ることができる。
以上は上昇作業を述べたが下降作業も同様である。又、制御フローは一例を示したに過ぎず、この例に限るものではない。
【0029】
図13は本発明に係る表面処理機構の別実施例断面図であり、表面処理機構は図示する回転ブラシ機構90であってもよい。
即ち、回転ブラシ機構90は、下面開放の細長いボックス91にブラシ92,92,92を収納し、これらブラシ92・・・を各々中空の縦軸93・・・及び軸受94・・・を介して前記ボックス91に軸支させ、前記縦軸93・・・をギア95・・・で機械的に連結し、うち一個のギア95にモータ96の出力ギア97を噛合させたものである。前記縦軸93の内部は水通路であり、ブラッシングの際に注水できるようにしている。ボックス92の両側にガイド溝76,76を備え、また、ボックス92の下部にパッド73aを備えたことは、前記ブラストボックス73と同じである。従って、図8のブラストボックス73をボックス91に交換して、回転ブラシ機構90を備えた吸着式壁面歩行装置1を構成することができる。
【0030】
図14は図13の14−14線断面図であり、前記ボックス91が細長い箱であることを示す。
このボックス91の後壁91aにはダスト回収口91b,91bが開口し、これらダスト回収口91b,91bからダスト回収ホース98が延出し、図示せぬ吸引手段に至る。従って、発生したダスト、錆などは強制回収される。ところで、吸引手段は圧力差で流体及び物質を移動するものであるから、ボックス91内は負圧になり、パッド73aは壁面に密着する恐れがある。そこで、ボックス91の前壁91cに真空破壊孔91d・・・を開けて、真空吸着力を弱めるようにした。
【0031】
なお、回転ブラシ機構90ではブラシ92の数は2個又は4個以上であっても差支えない。
また、本実施例では、図8に示す通りに、位置検知手段Lt,Lbを本体枠2側に取付けたが、これらはブラスト機構70側に取付けてもよく、双方に取付けてもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置は、装置の本体枠を、環状で且つ可撓性材料で構成したので、壁面に凹面及び凸面があってもこれらに倣って本体枠が変形する。この様に吸着式壁面歩行装置は曲面を自在に自走させることができる。
【0033】
請求項2の表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置は、表面処理機構の相対位置を検知する位置検知手段を表面処理機構と吸着式壁面歩行装置との少くとも一方に備えたので、表面処理機構を吸着式壁面歩行装置の移動速度に容易に同調させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る吸着式壁面歩行装置の平面図
【図2】本発明の第1実施例に係る吸着式壁面歩行装置の分解斜視図
【図3】本発明の第1実施例に係る吸着式壁面歩行装置の要部の分解斜視図
【図4】本発明の吸着式壁面歩行装置の作用図
【図5】本発明の第2実施例に係る吸着式壁面歩行装置の分解斜視図
【図6】本発明の本体枠の別実施例図
【図7】本発明のブラスト機構を備えた吸着式壁面歩行装置の分解斜視図
【図8】本発明のブラスト機構を備えた吸着式壁面歩行装置の平面図
【図9】図8の9−9線断面図
【図10】本発明に係る表面処理機構と枠本体との連結機構図
【図11】本発明の表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置の作用図
【図12】本発明の表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置の作動フロー図
【図13】本発明に係る表面処理機構の別実施例断面図
【図14】図13の14−14線断面図
【符号の説明】
1…吸着式壁面歩行装置、2…本体枠、10A〜10H…脚機構、15…X方向シリンダ(Xシリンダ)、18…Z方向シリンダ(Zシリンダ)、24…Y方向シリンダ(Yシリンダ)、30,30A〜30H…真空吸盤、33…真空引き手段、65…巻上げ手段、70…表面処理機構としてのブラスト機構、90…表面処理機構としての回転ブラシ機構、Lt,Lb…位置検知手段。
Claims (2)
- 壁面の表面処理を実施する表面処理機構と、付属する複数本の脚機構及びこれら脚機構の先端に取付けた真空吸盤により壁面を自在に歩行する吸着式壁面歩行装置と、前記表面処理機構を上下に案内するために前記吸着式壁面歩行装置に付設したガイドレールと、からなる表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置であって、
前記吸着式壁面歩行装置は、環状で且つ可撓性材料からなる本体枠と、この本体枠から下ろした複数本の前記脚機構と、これらの脚機構の先端に取付けた前記真空吸盤とで構成し、
前記脚機構に前記壁面に平行な方向へピストンロッドを前後進させるシリンダを含み、このシリンダで前記真空吸盤を壁面に平行な方向へ移動させるようにし、
前記ガイドレールは、前記壁面に垂直な方向に移動可能に前記本体枠に取付けたことを特徴とする表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置。 - 前記吸着式壁面歩行装置を基準とした場合に、表面処理機構の位置が不適当となった際にはそのことを検出する位置検知手段を表面処理機構と吸着式壁面歩行装置との少くとも一方に備えたことを特徴とする請求項1記載の表面処理機構を備えた吸着式壁面歩行装置。
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