JP3553120B2 - 亜鉛処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、亜鉛メッキ鋼板のスクラップ(鉄屑)など亜鉛を含む材料から、亜鉛を除去し、その亜鉛を回収する亜鉛処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の亜鉛メッキ鋼板などとして広く用いられる亜鉛は、かかる鋼板のスクラップ等を再利用する観点からは都合の悪い金属である。溶融状態(液状)にあるとき亜鉛は腐食性が強く、どのような金属・非金属をも冒してしまうからである。たとえば、製鋼炉において上記のスクラップをそのまま溶解すると、沸点が低いことから亜鉛は蒸発して排ガスダクトへ入り、一部がその内面やガス処理設備等の内部に付着するが、固まる前に通常は溶融状態を経ることから、その腐食性によって当該ダクトや他の設備を損傷する。また、製鉄所などで大量に発生するダスト(鉄粉等)は、集塵機にて捕集されるものの、上記のように出る亜鉛を含有する(したがってこれを溶解するとき上記の不都合が生じる)ことから、亜鉛除去の処理をしない限り再利用が難しく、未処理のまま製鉄所内に長期間堆積されることになる場合が多い。そのため、スクラップやダストから亜鉛を取り除くことは、資源の再利用を促進し、ひいては環境保護にもつながる技術であるとして注目されている。
【0003】
亜鉛を含むスクラップから亜鉛を除去する装置は、すでに特開平5−70855号公報に開示されている。同公報の装置は、スクラップを搬入する搬送装置やスクラップを加熱するヒーターを内蔵した真空炉(加熱炉)と、その真空炉につながるガス吸引機構と、亜鉛蒸気を凝縮させて回収する亜鉛回収室などとから構成される。搬送装置にて真空炉内にスクラップを搬入したのち、炉内を真空状態にしてヒーターでスクラップを加熱することにより亜鉛を溶融・蒸発させ、ガスの吸引経路内に設けた亜鉛回収室においてその亜鉛を冷却し、凝縮させて回収する。
【0004】
また、鉱石類から亜鉛を取り出す装置としては、図3に示すものが知られている。すなわち、「金属工学講座3・非鉄製錬」(橋口隆吉編、朝倉書店・昭和38年4月20日発行)のp.117に記載の装置である。図中の符号74は、鉱石加熱用の電極74xを複数備えたいわゆるバッチ処理方式の真空加熱炉で、亜鉛を凝縮させて回収するコンデンサ75やウォッシャ76、エダクタタンク77などを介して真空ポンプ(図示せず)に接続されている。鉱石類は上方のホッパ71から、フィーダ72やプレヒータ73を経由して加熱炉74内に装入され、真空吸引されるその加熱炉74の内部において電極74xの作用で加熱される。鉱石類に含まれる亜鉛はこのとき、上記公報の例と同様に蒸発し、コンデンサ75の部分で凝縮して液体状態で回収される。一方、鉱石類は、加熱炉74がバッチ処理方式であるために、亜鉛が十分に除去された段階で加熱炉74から全量が一括して排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の公報に記載された装置には、つぎのような課題が存在する。すなわち、イ) ベルトコンベヤ等の搬送装置やヒーターを内部に設けなければならないので、真空炉(加熱炉)の構成が複雑でコストも高い。
【0006】
ロ) 真空炉が、搬送装置やヒーター等を内蔵するため、スクラップなど材料自体のボリューム分のほかにかなり広い容積を有している必要があり、加熱ならびに真空吸引の効率上、相当に不利である。
【0007】
ハ) 溶融状態で亜鉛を回収するので、上記の回収室をはじめ、その溶融亜鉛と接触するすべての容器・部品等が消耗品となり、保全が煩雑でランニングコストが低くない。
【0008】
図3に示す装置も、鉱石のほかスクラップその他の材料から亜鉛を除去するのに容易に利用できるが、この装置の場合にはつぎのような課題がある。
【0009】
ニ) 加熱炉74がバッチ処理方式であるため、材料の投入などを能率化するには大きなホッパ71や大型・高速度のフィーダ72が必要で、コストアップを招く。また、加熱炉74から一括して排出される材料に関しても、大容量の貯留場所等が必要で、その搬出を能率化するにも上記と同様の設備・コストを要する。
【0010】
ホ) やはり溶融状態で亜鉛を回収するので、上記ハ)と同様の課題がある。
【0011】
本発明は以上の点を考慮してなしたもので、構成が容易で熱効率等にすぐれる連続的な処理方式の加熱炉を有し、かつ、腐食性を発揮させないで亜鉛を回収できる亜鉛処理装置を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の亜鉛処理装置は、材料を上方から装入するとともに下方より徐々に取り出す方式−つまり全量を一括して装入しまたは取り出すのでなく、連続的または半連続的に取り出しつつそれに相当する量を同様に装入する方式で、いわゆるシャフト炉のように上下に長い炉体を有する−の密閉型の誘導加熱炉と、その加熱炉の内部を減圧する真空吸引手段(真空ポンプ等)と、加熱炉から真空吸引手段までの経路内に真空気流が衝突するように設ける冷却板と、同じ経路内に設置するダスト捕集手段とを組み合わせ、上記のダスト捕集手段および冷却板として、水冷式のサイクロンとその内側に交換可能に張り付けた亜鉛板(水冷式のサイクロンで冷却されるように密着させて張り付ける。亜鉛メッキ板を同様に張り付ける場合を含む)とを設置したものである。
【0013】
この処理装置においては、請求項2に記載したように、サイクロンとして直列に二段の(つまり一次および二次の)サイクロンを接続すると好ましいが、請求項3のように上記の経路を並列に二本形成し、それぞれの経路にサイクロンと冷却板とを設けるのもよい。
【0014】
そのほか、請求項4に記載したように、加熱炉の上方に材料の予熱手段を設けるのも好ましい。
【0015】
【作用】
本発明の亜鉛処理装置ではまず、真空吸引手段によって減圧された上記の加熱炉内で誘導加熱により材料が加熱され、亜鉛は蒸気となってその材料(鉄鋼等の部分)から分離する。蒸気となったその亜鉛は、いわゆる真空気流として真空吸引手段に向かうが、途中の経路内で冷却板に衝突し、それにて急冷されることにより固化し、液体状態を経ずに固体となってその冷却板上に固着する。したがって、その固着物を冷却板から掻き落とすなどすれば亜鉛は回収される。また、亜鉛蒸気とともに加熱炉から発生するダストは、同じ経路内にあるダスト捕集手段によって捕集される。このように本発明の装置によれば、亜鉛の除去された材料と、亜鉛、ダストとがそれぞれ別々に回収され、しかも亜鉛は液体状態で装置に接することなく(したがって装置を腐食せずに)、固体状態で回収される。
【0016】
この亜鉛処理装置が有する加熱炉はバッチ処理方式でなく、上述のように連続的または半連続的な処理をなすものである。すなわち、加熱炉に規定量の材料が詰め込まれて操業が開始されたのちは、処理ずみの材料が下方から徐々に取り出される一方で、取り出された分に相当する量の材料が上方から装入され、上方から下方への材料の移動は重力の作用による。こうして連続的・半連続的な処理ができると、一定の生産能率を得るために必要な装入・取出し手段の設備能力がバッチ処理方式の場合(前述)に比べてかなり縮小される。なおこの加熱炉は、上記のように真空吸引されるために密閉型としてあるが、密閉状態を保ちながら連続的・半連続的に材料を装入・取り出すためには、たとえば、装入口および取出し口にそれぞれ二段の開閉弁を設けたり、相当の機能のある特殊な搬送機類(後述するように公知のものがある)を設けたりすればよい。
【0017】
そしてこの加熱炉は誘導加熱炉−すなわち、コイル等で交流磁界をかけるこ
とによって導電性の材料に誘導電流をもたらし、その電流の作用で材料を加熱するもの−である。したがって、加熱手段であるコイル等が図3の場合の電極と
は異なり材料と非接触の状態に配置されることから、装入された材料がつねに移動するにもかかわらず、その材料によって加熱手段の摩耗その他の損傷が生じる恐れがない。材料を全体的に均一に加熱できる点でも好ましい。
【0018】
また加熱炉は、いわゆるシャフト炉のように上下に延びた単純な筒形形状を有すれば足り、特別な搬送手段を内蔵する必要もないことから、前記公報(特開平5−70855号)に記載の加熱炉(真空炉)と比べて構成が極めてシンプルでコンパクトである。機械的動作をする部分が内部にないだけに、メンテナンスが容易であるほか、炉内空間における材料の充填率が高くて加熱および真空吸引に関する効率にすぐれるという利点もある。
【0019】
さらに、本発明の亜鉛処理装置によれば、サイクロンが上記のダスト捕集手段として機能し、その内側に張り付けた亜鉛板が上記の冷却板として気流中の亜鉛を固着させる。サイクロンは、コンパクトに構成されるダスト捕集手段であり、この装置ではそのサイクロンの内側に冷却板としての亜鉛板を設けるので、装置の構成はさらにコンパクトになる。なお亜鉛板は、水冷されたサイクロンの内側に張り付けられることにより冷却され、衝突した亜鉛蒸気をその冷却性によって急冷し固化させるが、亜鉛同士の親和性に基づいて、固化する亜鉛をよく付着させる。この亜鉛板は交換可能であるため、付着量が多くなったときなどにサイクロンから取り出し、新しい別の亜鉛板に換える。
【0020】
請求項2の装置ではサイクロンを直列に二段つなぐので、一段のみのサイクロンでは捕集しきれないダストや僅かながら発生する亜鉛粉も、より確実に捕集・回収される。したがって、かかる粉体によって真空吸引手段(真空ポンプ等)に不都合の起こる可能性が極めて低い。
【0021】
請求項3の装置の場合、加熱炉から真空吸引手段に至る経路が二本に分けられていて各経路にサイクロンと亜鉛板とが設けてあるので、亜鉛板を交換したり(あるいは亜鉛板上の固着亜鉛を掻き落としたり)する間にも装置の操業を継続することができる。すなわち、亜鉛板の交換作業等は当該亜鉛板を含む側の経路を閉じて行い、加熱炉からの吸引は他方の経路を用いて継続するのである。
【0022】
請求項4の装置によると、加熱炉に入れる前の材料を予熱手段によって予熱することができる。したがって、低コストで利用できる熱源(排ガス等)が同じ工場内に存在するような場合には、処理に必要なエネルギー原単位を低減することが可能になる。
【0023】
【実施例】
図1に本発明の一実施例を示す。図示したのは電炉製鋼工場に設置された亜鉛処理装置1で、コブシ大に裁断された亜鉛メッキ鋼板のスクラップ(スクラップのサイズは150mm程度以下がよいが、50mm程度がとくに好ましい)を材料とし、これより亜鉛を除去し、かつその亜鉛を回収するものである。
【0024】
装置1は誘導加熱炉4を中心に構成している。加熱炉4は全体として縦型・円筒形状を有するシャフト炉状のもので、材料投入口に続く上部に加熱部4aを形成し、その外周に誘導加熱コイル4bを配置している。加熱部4aの下にやや大径の脱亜鉛室4cを設け、さらに、取り出すスクラップの温度調整(および炉体鉄皮の保護)のための水冷ジャケット4dを付けた下方のコーン部を介して、切出し用のロータリバルブ4eを有する材料排出口を形成した。
【0025】
加熱炉4の上部には、スクラップを搬入するためのコンベヤ2と、そのコンベヤ2から投入されるスクラップを一時的に保持して予熱する予熱ホッパ3とを接続し、下部には、亜鉛が除去されたスクラップを一旦蓄える貯留ビン5を接続している。予熱ホッパ3は、電炉(図示せず)において発生した排ガスのうち未燃焼分を燃焼させた高温ガスを導入管3aから入れて排出管3bから排出し、その間に当該燃焼ガスをスクラップと接触させる方式の予熱手段である。加熱炉4に入れる前のスクラップを、このホッパ3において高温度に、好ましくは500℃(773K)近くにまで予熱しておく。なおこの予熱温度は、加熱炉4での加熱負荷および省エネの観点では高いほどよいが、亜鉛が溶融せず、しかも加熱炉4との接続の際にホッパ3内が低圧になったときにも昇華しないような範囲内で定める必要がある。
【0026】
また、加熱炉4に設けたガスダクト7aには、半円筒状の亜鉛板9を内蔵した一次サイクロン8と、同様の亜鉛板11を内蔵した二次サイクロン10ならびガスダクト7b・7cなどとを介して真空ポンプ(図示せず)を接続している。各サイクロン8・10は周囲に通水ジャケット(図示せず)を有する水冷型のもので、いずれも真下に粉体貯留ビン12・13を設けている。このサイクロン8・10の各内面に密着させて亜鉛板9・11を取り付けているので、水冷の効果は亜鉛板9・11に及んでいる。なお、亜鉛板9・11での急冷効果を上げるためには、ダクト7a・7bを保温しておくのがよい。
【0027】
予熱ホッパ3と加熱炉4との間をはじめとして、スクラップが移動する二つの容器の間にはそれぞれ、開閉弁21・22を組にして配置している。同様に、粉体貯留ビン12・13の各間にも開閉弁26・27を組にして接続した。開閉弁21・22などをこうして二重に設けたのは、真空ポンプによって加熱炉4の内部を真空(に近い減圧状態)にすることにともなう各容器間の圧力差に対処するためである。つまり、上に位置する容器から下方の機器へ材料を移すときは、開閉弁21・22(もしくは同26・27)を上の弁21(26)から順に開くものとし、一方を開いても他方を閉じることによって大気等の吹き抜けを防止するのである。開閉弁21・22等をこのように使用することによって、コンベヤ2からホッパ3へ、ホッパ3から加熱炉4へ、加熱炉4からビン5へ、あるいはビン12からビン13へと、真空度の低下を最小限に抑えながら、断続的にではあるがほぼ連続的(半連続的)に材料または粉体を移動することができる。
【0028】
さてこの亜鉛処理装置1では、加熱炉4の内部に規定量のスクラップが装入されたのち、つぎのようにして亜鉛の除去およびその回収を行う。
【0029】
▲1▼ 真空ポンプを起動して加熱炉4内を減圧する。真空度は5Torr(665Pa)程度、好ましくは1Torr(133Pa)程度になればよい。
【0030】
▲2▼ 誘導加熱コイル4bに通電し、加熱炉4内のスクラップを700℃(973K)〜900℃(1173K)程度に加熱する。誘導加熱方式であるため、加熱炉4の内部はほぼ均一に昇温される。なお、▲1▼・▲2▼に例示した真空度と温度とは亜鉛を昇華させるための条件であるため、たとえば、5Torrなら900℃以上、1Torrなら500℃以上、0.1Torrなら400℃以上が最低条件である。
【0031】
▲3▼ 上記の減圧下で上記のように昇温されることにより、スクラップ表面の亜鉛は昇華してただちに気体(蒸気)となり、いわゆる真空気流を形成してダクト7a・7b・7cへと流れる。この亜鉛蒸気は、サイクロン8・10に流入したとき亜鉛板9・11に衝突し、そこで急冷されることによって固化し、再びただちに固体となって亜鉛板9・11の表面に付着する。付着量が多くなって冷却効果が得られなくなったとき、もしくは加熱炉4の休止の際に、亜鉛板9・11を新しいものに交換することによって、付着した亜鉛の回収がなされる。
【0032】
▲4▼ 加熱炉4で発生して真空気流中に含まれるダスト類(亜鉛板9・11に付着しなかった亜鉛粉も含む)は、サイクロン8・10によって捕集され、下方の各ビン12に溜まる。ビン12内のダスト類は、開閉弁26・27を前記のように操作してビン13へ移しておくことにより、開閉弁28を開いていつでも一括して回収できるようになる。
【0033】
▲5▼ 一方、亜鉛を除去されたスクラップはロータリバルブ4eにて切り出し、開閉弁21・22を前述のとおり操作してビン5内へ蓄える。こうして加熱炉4からスクラップを半連続的に排出するのに合わせて、未処理のスクラップを、上方の予熱ホッパ3から加熱炉4内へ、開閉弁21・22を同様に操作することにより半連続的に装入する。
【0034】
▲6▼ ビン5に溜まった処理済みのスクラップは、真下へ来させたスクラップボックス30内へ、開閉弁21・22を操作することにより払い出して回収する。自走式のスクラップボックス30は、受けたスクラップを電炉等の再利用箇所にまで搬送する。
【0035】
以上、一実施例を紹介したが、本発明はこの例に限るものではなく、たとえば下記のように実施することもできる。
【0036】
a) 加熱炉4に関しては、誘導加熱コイル4bの取付けの範囲を変更または拡大したり、脱亜鉛室4cにも誘導加熱コイルを配置したり、あるいは部分的に他の加熱手段を併用したりするのもよい。脱亜鉛室4cなどで材料の棚吊り(ブリッジング)が起きがちな場合には、図2のように複数の回転体4fを配置して回転もしくは往復揺動させると効果的である。加熱炉4では上述のように半連続的な処理が可能だが、材料を一括して装入・排出するいわゆるバッチ処理が不可能なわけではない。ただしその場合には、一括装入・一括排出を迅速に行い得るように、ホッパ3やビン5の容量を増し、開閉弁21・22などを大型化等しないと能率的ではない。
【0037】
b) 予熱ホッパ3は必ずしも不可欠ではなく、たとえば加熱炉4の加熱能力を増強してこれに代えてもよい。予熱ホッパ3を誘導加熱方式にするのも差し支えない。
【0038】
c) サイクロンについても、図示のような二段配置に限る理由はない。真空吸引手段の特性等に基づく必要性やサイクロンの集塵性能によってはサイクロンが一段であっても十分な場合があり、また、亜鉛板の交換の便宜を考慮して並列に二基設けるのも有意義だからである。一方、亜鉛板自体にも通水できるように構成すれば、真空気流に対する冷却性能、ひいては亜鉛の回収性能が向上する。
【0039】
d) ホッパ3と加熱炉4との間など各容器間について圧力差を保ちながら材料を移動する手段として、開閉弁21・22ならびに同26・27の組合せに代えて他のものを配置してもよい。かかる手段としては、ロータリバルブの精密なものや、材料の各片が比較的小さい場合に材料自体によって通気を遮断できる搬送機(たとえば一旦上り勾配に材料を送ってオーバーフローさせる形式のスクリューコンベヤ)などが使用できる。
【0040】
e) 処理対象となる材料はスクラップのみには限らず、亜鉛を含有するダストや鉱石などを材料とする(もしくは材料の一部に含める)ことも可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の亜鉛処理装置にはつぎの効果がある。すなわち、
1) 材料から取り除かれた亜鉛が、腐食性がなくて扱いやすい固体状態で回収されるうえ、液体状態で装置に接することがないので装置を腐食しない。したがって装置としては、軽微な保全負担で長期間の使用に耐えるという利点がある。亜鉛が除去されたことにより、使いやすくて付加価値の増した再利用資源が得られることは、言うまでもない。
【0042】
2) 加熱炉が連続的または半連続的な処理をなすので、それへの材料の装入および取出しが容易で、生産能率を確保しやすい。
【0043】
3) 加熱炉が誘導加熱方式であるため、加熱手段(コイル等)に摩耗等の損傷が生じにくいほか、材料を全体的に均一に加熱できる。
【0044】
4) また加熱炉は、形状を含めて構成がシンプルでコンパクトであるため、設備コストが低くメンテナンスが容易で、加熱・真空吸引に関する効率も高い。
【0045】
5) さらに、装置の構成がコンパクトになるうえ、亜鉛の回収性にすぐれる。
【0046】
6) 請求項2の装置では、ダスト等の捕集・回収性能が一層高く、真空吸引手段等の性能維持上このましい。
【0047】
7) 請求項3の装置の場合は、亜鉛板の交換等を行いやすく、またその間にも装置の運転を継続して稼働率を向上させることができる。
【0048】
8) 請求項4の装置では、使用する工場等によっては、必要なエネルギー原単位を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての亜鉛処理装置1を示す系統図である。
【図2】亜鉛処理装置1について一部を改変した例を示す部分詳細図である。
【図3】従来の亜鉛処理装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 亜鉛処理装置
3 予熱ホッパ(予熱手段)
4 誘導加熱炉
4b 誘導加熱コイル
8・10 サイクロン(ダスト捕集手段)
9・11 亜鉛板
【産業上の利用分野】
本発明は、亜鉛メッキ鋼板のスクラップ(鉄屑)など亜鉛を含む材料から、亜鉛を除去し、その亜鉛を回収する亜鉛処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の亜鉛メッキ鋼板などとして広く用いられる亜鉛は、かかる鋼板のスクラップ等を再利用する観点からは都合の悪い金属である。溶融状態(液状)にあるとき亜鉛は腐食性が強く、どのような金属・非金属をも冒してしまうからである。たとえば、製鋼炉において上記のスクラップをそのまま溶解すると、沸点が低いことから亜鉛は蒸発して排ガスダクトへ入り、一部がその内面やガス処理設備等の内部に付着するが、固まる前に通常は溶融状態を経ることから、その腐食性によって当該ダクトや他の設備を損傷する。また、製鉄所などで大量に発生するダスト(鉄粉等)は、集塵機にて捕集されるものの、上記のように出る亜鉛を含有する(したがってこれを溶解するとき上記の不都合が生じる)ことから、亜鉛除去の処理をしない限り再利用が難しく、未処理のまま製鉄所内に長期間堆積されることになる場合が多い。そのため、スクラップやダストから亜鉛を取り除くことは、資源の再利用を促進し、ひいては環境保護にもつながる技術であるとして注目されている。
【0003】
亜鉛を含むスクラップから亜鉛を除去する装置は、すでに特開平5−70855号公報に開示されている。同公報の装置は、スクラップを搬入する搬送装置やスクラップを加熱するヒーターを内蔵した真空炉(加熱炉)と、その真空炉につながるガス吸引機構と、亜鉛蒸気を凝縮させて回収する亜鉛回収室などとから構成される。搬送装置にて真空炉内にスクラップを搬入したのち、炉内を真空状態にしてヒーターでスクラップを加熱することにより亜鉛を溶融・蒸発させ、ガスの吸引経路内に設けた亜鉛回収室においてその亜鉛を冷却し、凝縮させて回収する。
【0004】
また、鉱石類から亜鉛を取り出す装置としては、図3に示すものが知られている。すなわち、「金属工学講座3・非鉄製錬」(橋口隆吉編、朝倉書店・昭和38年4月20日発行)のp.117に記載の装置である。図中の符号74は、鉱石加熱用の電極74xを複数備えたいわゆるバッチ処理方式の真空加熱炉で、亜鉛を凝縮させて回収するコンデンサ75やウォッシャ76、エダクタタンク77などを介して真空ポンプ(図示せず)に接続されている。鉱石類は上方のホッパ71から、フィーダ72やプレヒータ73を経由して加熱炉74内に装入され、真空吸引されるその加熱炉74の内部において電極74xの作用で加熱される。鉱石類に含まれる亜鉛はこのとき、上記公報の例と同様に蒸発し、コンデンサ75の部分で凝縮して液体状態で回収される。一方、鉱石類は、加熱炉74がバッチ処理方式であるために、亜鉛が十分に除去された段階で加熱炉74から全量が一括して排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の公報に記載された装置には、つぎのような課題が存在する。すなわち、イ) ベルトコンベヤ等の搬送装置やヒーターを内部に設けなければならないので、真空炉(加熱炉)の構成が複雑でコストも高い。
【0006】
ロ) 真空炉が、搬送装置やヒーター等を内蔵するため、スクラップなど材料自体のボリューム分のほかにかなり広い容積を有している必要があり、加熱ならびに真空吸引の効率上、相当に不利である。
【0007】
ハ) 溶融状態で亜鉛を回収するので、上記の回収室をはじめ、その溶融亜鉛と接触するすべての容器・部品等が消耗品となり、保全が煩雑でランニングコストが低くない。
【0008】
図3に示す装置も、鉱石のほかスクラップその他の材料から亜鉛を除去するのに容易に利用できるが、この装置の場合にはつぎのような課題がある。
【0009】
ニ) 加熱炉74がバッチ処理方式であるため、材料の投入などを能率化するには大きなホッパ71や大型・高速度のフィーダ72が必要で、コストアップを招く。また、加熱炉74から一括して排出される材料に関しても、大容量の貯留場所等が必要で、その搬出を能率化するにも上記と同様の設備・コストを要する。
【0010】
ホ) やはり溶融状態で亜鉛を回収するので、上記ハ)と同様の課題がある。
【0011】
本発明は以上の点を考慮してなしたもので、構成が容易で熱効率等にすぐれる連続的な処理方式の加熱炉を有し、かつ、腐食性を発揮させないで亜鉛を回収できる亜鉛処理装置を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の亜鉛処理装置は、材料を上方から装入するとともに下方より徐々に取り出す方式−つまり全量を一括して装入しまたは取り出すのでなく、連続的または半連続的に取り出しつつそれに相当する量を同様に装入する方式で、いわゆるシャフト炉のように上下に長い炉体を有する−の密閉型の誘導加熱炉と、その加熱炉の内部を減圧する真空吸引手段(真空ポンプ等)と、加熱炉から真空吸引手段までの経路内に真空気流が衝突するように設ける冷却板と、同じ経路内に設置するダスト捕集手段とを組み合わせ、上記のダスト捕集手段および冷却板として、水冷式のサイクロンとその内側に交換可能に張り付けた亜鉛板(水冷式のサイクロンで冷却されるように密着させて張り付ける。亜鉛メッキ板を同様に張り付ける場合を含む)とを設置したものである。
【0013】
この処理装置においては、請求項2に記載したように、サイクロンとして直列に二段の(つまり一次および二次の)サイクロンを接続すると好ましいが、請求項3のように上記の経路を並列に二本形成し、それぞれの経路にサイクロンと冷却板とを設けるのもよい。
【0014】
そのほか、請求項4に記載したように、加熱炉の上方に材料の予熱手段を設けるのも好ましい。
【0015】
【作用】
本発明の亜鉛処理装置ではまず、真空吸引手段によって減圧された上記の加熱炉内で誘導加熱により材料が加熱され、亜鉛は蒸気となってその材料(鉄鋼等の部分)から分離する。蒸気となったその亜鉛は、いわゆる真空気流として真空吸引手段に向かうが、途中の経路内で冷却板に衝突し、それにて急冷されることにより固化し、液体状態を経ずに固体となってその冷却板上に固着する。したがって、その固着物を冷却板から掻き落とすなどすれば亜鉛は回収される。また、亜鉛蒸気とともに加熱炉から発生するダストは、同じ経路内にあるダスト捕集手段によって捕集される。このように本発明の装置によれば、亜鉛の除去された材料と、亜鉛、ダストとがそれぞれ別々に回収され、しかも亜鉛は液体状態で装置に接することなく(したがって装置を腐食せずに)、固体状態で回収される。
【0016】
この亜鉛処理装置が有する加熱炉はバッチ処理方式でなく、上述のように連続的または半連続的な処理をなすものである。すなわち、加熱炉に規定量の材料が詰め込まれて操業が開始されたのちは、処理ずみの材料が下方から徐々に取り出される一方で、取り出された分に相当する量の材料が上方から装入され、上方から下方への材料の移動は重力の作用による。こうして連続的・半連続的な処理ができると、一定の生産能率を得るために必要な装入・取出し手段の設備能力がバッチ処理方式の場合(前述)に比べてかなり縮小される。なおこの加熱炉は、上記のように真空吸引されるために密閉型としてあるが、密閉状態を保ちながら連続的・半連続的に材料を装入・取り出すためには、たとえば、装入口および取出し口にそれぞれ二段の開閉弁を設けたり、相当の機能のある特殊な搬送機類(後述するように公知のものがある)を設けたりすればよい。
【0017】
そしてこの加熱炉は誘導加熱炉−すなわち、コイル等で交流磁界をかけるこ
とによって導電性の材料に誘導電流をもたらし、その電流の作用で材料を加熱するもの−である。したがって、加熱手段であるコイル等が図3の場合の電極と
は異なり材料と非接触の状態に配置されることから、装入された材料がつねに移動するにもかかわらず、その材料によって加熱手段の摩耗その他の損傷が生じる恐れがない。材料を全体的に均一に加熱できる点でも好ましい。
【0018】
また加熱炉は、いわゆるシャフト炉のように上下に延びた単純な筒形形状を有すれば足り、特別な搬送手段を内蔵する必要もないことから、前記公報(特開平5−70855号)に記載の加熱炉(真空炉)と比べて構成が極めてシンプルでコンパクトである。機械的動作をする部分が内部にないだけに、メンテナンスが容易であるほか、炉内空間における材料の充填率が高くて加熱および真空吸引に関する効率にすぐれるという利点もある。
【0019】
さらに、本発明の亜鉛処理装置によれば、サイクロンが上記のダスト捕集手段として機能し、その内側に張り付けた亜鉛板が上記の冷却板として気流中の亜鉛を固着させる。サイクロンは、コンパクトに構成されるダスト捕集手段であり、この装置ではそのサイクロンの内側に冷却板としての亜鉛板を設けるので、装置の構成はさらにコンパクトになる。なお亜鉛板は、水冷されたサイクロンの内側に張り付けられることにより冷却され、衝突した亜鉛蒸気をその冷却性によって急冷し固化させるが、亜鉛同士の親和性に基づいて、固化する亜鉛をよく付着させる。この亜鉛板は交換可能であるため、付着量が多くなったときなどにサイクロンから取り出し、新しい別の亜鉛板に換える。
【0020】
請求項2の装置ではサイクロンを直列に二段つなぐので、一段のみのサイクロンでは捕集しきれないダストや僅かながら発生する亜鉛粉も、より確実に捕集・回収される。したがって、かかる粉体によって真空吸引手段(真空ポンプ等)に不都合の起こる可能性が極めて低い。
【0021】
請求項3の装置の場合、加熱炉から真空吸引手段に至る経路が二本に分けられていて各経路にサイクロンと亜鉛板とが設けてあるので、亜鉛板を交換したり(あるいは亜鉛板上の固着亜鉛を掻き落としたり)する間にも装置の操業を継続することができる。すなわち、亜鉛板の交換作業等は当該亜鉛板を含む側の経路を閉じて行い、加熱炉からの吸引は他方の経路を用いて継続するのである。
【0022】
請求項4の装置によると、加熱炉に入れる前の材料を予熱手段によって予熱することができる。したがって、低コストで利用できる熱源(排ガス等)が同じ工場内に存在するような場合には、処理に必要なエネルギー原単位を低減することが可能になる。
【0023】
【実施例】
図1に本発明の一実施例を示す。図示したのは電炉製鋼工場に設置された亜鉛処理装置1で、コブシ大に裁断された亜鉛メッキ鋼板のスクラップ(スクラップのサイズは150mm程度以下がよいが、50mm程度がとくに好ましい)を材料とし、これより亜鉛を除去し、かつその亜鉛を回収するものである。
【0024】
装置1は誘導加熱炉4を中心に構成している。加熱炉4は全体として縦型・円筒形状を有するシャフト炉状のもので、材料投入口に続く上部に加熱部4aを形成し、その外周に誘導加熱コイル4bを配置している。加熱部4aの下にやや大径の脱亜鉛室4cを設け、さらに、取り出すスクラップの温度調整(および炉体鉄皮の保護)のための水冷ジャケット4dを付けた下方のコーン部を介して、切出し用のロータリバルブ4eを有する材料排出口を形成した。
【0025】
加熱炉4の上部には、スクラップを搬入するためのコンベヤ2と、そのコンベヤ2から投入されるスクラップを一時的に保持して予熱する予熱ホッパ3とを接続し、下部には、亜鉛が除去されたスクラップを一旦蓄える貯留ビン5を接続している。予熱ホッパ3は、電炉(図示せず)において発生した排ガスのうち未燃焼分を燃焼させた高温ガスを導入管3aから入れて排出管3bから排出し、その間に当該燃焼ガスをスクラップと接触させる方式の予熱手段である。加熱炉4に入れる前のスクラップを、このホッパ3において高温度に、好ましくは500℃(773K)近くにまで予熱しておく。なおこの予熱温度は、加熱炉4での加熱負荷および省エネの観点では高いほどよいが、亜鉛が溶融せず、しかも加熱炉4との接続の際にホッパ3内が低圧になったときにも昇華しないような範囲内で定める必要がある。
【0026】
また、加熱炉4に設けたガスダクト7aには、半円筒状の亜鉛板9を内蔵した一次サイクロン8と、同様の亜鉛板11を内蔵した二次サイクロン10ならびガスダクト7b・7cなどとを介して真空ポンプ(図示せず)を接続している。各サイクロン8・10は周囲に通水ジャケット(図示せず)を有する水冷型のもので、いずれも真下に粉体貯留ビン12・13を設けている。このサイクロン8・10の各内面に密着させて亜鉛板9・11を取り付けているので、水冷の効果は亜鉛板9・11に及んでいる。なお、亜鉛板9・11での急冷効果を上げるためには、ダクト7a・7bを保温しておくのがよい。
【0027】
予熱ホッパ3と加熱炉4との間をはじめとして、スクラップが移動する二つの容器の間にはそれぞれ、開閉弁21・22を組にして配置している。同様に、粉体貯留ビン12・13の各間にも開閉弁26・27を組にして接続した。開閉弁21・22などをこうして二重に設けたのは、真空ポンプによって加熱炉4の内部を真空(に近い減圧状態)にすることにともなう各容器間の圧力差に対処するためである。つまり、上に位置する容器から下方の機器へ材料を移すときは、開閉弁21・22(もしくは同26・27)を上の弁21(26)から順に開くものとし、一方を開いても他方を閉じることによって大気等の吹き抜けを防止するのである。開閉弁21・22等をこのように使用することによって、コンベヤ2からホッパ3へ、ホッパ3から加熱炉4へ、加熱炉4からビン5へ、あるいはビン12からビン13へと、真空度の低下を最小限に抑えながら、断続的にではあるがほぼ連続的(半連続的)に材料または粉体を移動することができる。
【0028】
さてこの亜鉛処理装置1では、加熱炉4の内部に規定量のスクラップが装入されたのち、つぎのようにして亜鉛の除去およびその回収を行う。
【0029】
▲1▼ 真空ポンプを起動して加熱炉4内を減圧する。真空度は5Torr(665Pa)程度、好ましくは1Torr(133Pa)程度になればよい。
【0030】
▲2▼ 誘導加熱コイル4bに通電し、加熱炉4内のスクラップを700℃(973K)〜900℃(1173K)程度に加熱する。誘導加熱方式であるため、加熱炉4の内部はほぼ均一に昇温される。なお、▲1▼・▲2▼に例示した真空度と温度とは亜鉛を昇華させるための条件であるため、たとえば、5Torrなら900℃以上、1Torrなら500℃以上、0.1Torrなら400℃以上が最低条件である。
【0031】
▲3▼ 上記の減圧下で上記のように昇温されることにより、スクラップ表面の亜鉛は昇華してただちに気体(蒸気)となり、いわゆる真空気流を形成してダクト7a・7b・7cへと流れる。この亜鉛蒸気は、サイクロン8・10に流入したとき亜鉛板9・11に衝突し、そこで急冷されることによって固化し、再びただちに固体となって亜鉛板9・11の表面に付着する。付着量が多くなって冷却効果が得られなくなったとき、もしくは加熱炉4の休止の際に、亜鉛板9・11を新しいものに交換することによって、付着した亜鉛の回収がなされる。
【0032】
▲4▼ 加熱炉4で発生して真空気流中に含まれるダスト類(亜鉛板9・11に付着しなかった亜鉛粉も含む)は、サイクロン8・10によって捕集され、下方の各ビン12に溜まる。ビン12内のダスト類は、開閉弁26・27を前記のように操作してビン13へ移しておくことにより、開閉弁28を開いていつでも一括して回収できるようになる。
【0033】
▲5▼ 一方、亜鉛を除去されたスクラップはロータリバルブ4eにて切り出し、開閉弁21・22を前述のとおり操作してビン5内へ蓄える。こうして加熱炉4からスクラップを半連続的に排出するのに合わせて、未処理のスクラップを、上方の予熱ホッパ3から加熱炉4内へ、開閉弁21・22を同様に操作することにより半連続的に装入する。
【0034】
▲6▼ ビン5に溜まった処理済みのスクラップは、真下へ来させたスクラップボックス30内へ、開閉弁21・22を操作することにより払い出して回収する。自走式のスクラップボックス30は、受けたスクラップを電炉等の再利用箇所にまで搬送する。
【0035】
以上、一実施例を紹介したが、本発明はこの例に限るものではなく、たとえば下記のように実施することもできる。
【0036】
a) 加熱炉4に関しては、誘導加熱コイル4bの取付けの範囲を変更または拡大したり、脱亜鉛室4cにも誘導加熱コイルを配置したり、あるいは部分的に他の加熱手段を併用したりするのもよい。脱亜鉛室4cなどで材料の棚吊り(ブリッジング)が起きがちな場合には、図2のように複数の回転体4fを配置して回転もしくは往復揺動させると効果的である。加熱炉4では上述のように半連続的な処理が可能だが、材料を一括して装入・排出するいわゆるバッチ処理が不可能なわけではない。ただしその場合には、一括装入・一括排出を迅速に行い得るように、ホッパ3やビン5の容量を増し、開閉弁21・22などを大型化等しないと能率的ではない。
【0037】
b) 予熱ホッパ3は必ずしも不可欠ではなく、たとえば加熱炉4の加熱能力を増強してこれに代えてもよい。予熱ホッパ3を誘導加熱方式にするのも差し支えない。
【0038】
c) サイクロンについても、図示のような二段配置に限る理由はない。真空吸引手段の特性等に基づく必要性やサイクロンの集塵性能によってはサイクロンが一段であっても十分な場合があり、また、亜鉛板の交換の便宜を考慮して並列に二基設けるのも有意義だからである。一方、亜鉛板自体にも通水できるように構成すれば、真空気流に対する冷却性能、ひいては亜鉛の回収性能が向上する。
【0039】
d) ホッパ3と加熱炉4との間など各容器間について圧力差を保ちながら材料を移動する手段として、開閉弁21・22ならびに同26・27の組合せに代えて他のものを配置してもよい。かかる手段としては、ロータリバルブの精密なものや、材料の各片が比較的小さい場合に材料自体によって通気を遮断できる搬送機(たとえば一旦上り勾配に材料を送ってオーバーフローさせる形式のスクリューコンベヤ)などが使用できる。
【0040】
e) 処理対象となる材料はスクラップのみには限らず、亜鉛を含有するダストや鉱石などを材料とする(もしくは材料の一部に含める)ことも可能である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の亜鉛処理装置にはつぎの効果がある。すなわち、
1) 材料から取り除かれた亜鉛が、腐食性がなくて扱いやすい固体状態で回収されるうえ、液体状態で装置に接することがないので装置を腐食しない。したがって装置としては、軽微な保全負担で長期間の使用に耐えるという利点がある。亜鉛が除去されたことにより、使いやすくて付加価値の増した再利用資源が得られることは、言うまでもない。
【0042】
2) 加熱炉が連続的または半連続的な処理をなすので、それへの材料の装入および取出しが容易で、生産能率を確保しやすい。
【0043】
3) 加熱炉が誘導加熱方式であるため、加熱手段(コイル等)に摩耗等の損傷が生じにくいほか、材料を全体的に均一に加熱できる。
【0044】
4) また加熱炉は、形状を含めて構成がシンプルでコンパクトであるため、設備コストが低くメンテナンスが容易で、加熱・真空吸引に関する効率も高い。
【0045】
5) さらに、装置の構成がコンパクトになるうえ、亜鉛の回収性にすぐれる。
【0046】
6) 請求項2の装置では、ダスト等の捕集・回収性能が一層高く、真空吸引手段等の性能維持上このましい。
【0047】
7) 請求項3の装置の場合は、亜鉛板の交換等を行いやすく、またその間にも装置の運転を継続して稼働率を向上させることができる。
【0048】
8) 請求項4の装置では、使用する工場等によっては、必要なエネルギー原単位を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての亜鉛処理装置1を示す系統図である。
【図2】亜鉛処理装置1について一部を改変した例を示す部分詳細図である。
【図3】従来の亜鉛処理装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 亜鉛処理装置
3 予熱ホッパ(予熱手段)
4 誘導加熱炉
4b 誘導加熱コイル
8・10 サイクロン(ダスト捕集手段)
9・11 亜鉛板
Claims (4)
- 亜鉛を含む材料から亜鉛を除去し回収する亜鉛処理装置であって、
材料を上方から装入するとともに下方より徐々に取り出す方式の密閉型の誘導加熱炉と、その加熱炉の内部を減圧する真空吸引手段と、加熱炉から真空吸引手段までの経路内に真空気流が衝突するように設ける冷却板と、同じ経路内に設置するダスト捕集手段とを組み合わせ、
上記のダスト捕集手段および冷却板として、水冷式のサイクロンとその内側に交換可能に張り付けた亜鉛板とを設置したことを特徴とする亜鉛処理装置。 - 上記のサイクロンとして、直列に二段のサイクロンを接続した請求項1に記載の亜鉛処理装置。
- 上記の経路を並列に二本形成し、それぞれの経路にサイクロンと冷却板とを設けた請求項1または2に記載の亜鉛処理装置。
- 上記加熱炉の上方に材料の予熱手段を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛処理装置。
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