JP3552916B2 - 高速運転用信号装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高速運転用信号装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LRT(Light Rail Transit:軽快電車又は新型路面電車という)は、▲1▼超低床式車両で人に優しい乗り物であること(床面高さが30cm程度)、▲2▼建設費が極めて安い鉄道システムであること(地下鉄に比べ数十分の1程度)、▲3▼排気ガスがなく、低騒音で、環境面で優れた乗り物であること、▲4▼従来の路面電車に比べて、高速で、乗り心地に優れていること、等に特徴がある路面電車の近代版であり、熊本市では既に導入され、今後、多くの都市で導入が検討されている。
【0003】
しかしながら、我国においてこれまでに導入されたLRTは地下鉄電車や在来線電車などに設備されているATC(自動列車制御装置)やATS(自動列車停止装置)などの信号保安装置が設備されておらず、走行の安全確保は全て電車の運転手の目視確認により行われている。そのため、現行軌道法の運転規則の基では最高速度が40Km/hに制限されており、地下鉄や新交通システムなど他の交通手段に比べ速達性の点で劣る。また、併走する自動車などに比べて遅いため魅力に欠ける乗り物となっている。さらに、LRTは優れた高速走行性能を有しているが、これが十分発揮されていないという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこの発明は、前記のような従来の問題点を解決し、GPS衛星などを利用してLRTの走行位置を常時、確実に把握することができるとともに、速達性を高めることができ、高速走行性を発揮できて魅力ある乗り物にでき、しかも従来の信号保安装置と同等程度の安全性も保証できる高速運転用信号装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1の発明は、GPS衛星を利用した位置検知システムにより常時、走行中の位置を検知し、その情報を無線で出力する車載装置を搭載したLRTと、地上の所定の位置に設置されてLRTからの情報を中継する無線中継器と、線区のLRTを管理する運転管理センターなどに設置されて無線中継器からの情報を処理して全LRTの正確な位置を把握するとともに、処理した情報を無線中継器を介してLRTへ出力する高速信号処理装置とを具えている。高速信号処理装置は、専用軌道区間への進入や市外地区域の走行など高速走行可能な区間に来たLRTから高速走行への移行要求を受信したとき、要求発信LRTの位置に基づき、前方LRTとの間隔や停留所までの距離、走行区間の勾配や曲線などの地理的速度規制条件など高速走行可能条件を照査して、高速走行可能か否かを判断し、高速走行が可能と判断すると、該LRTに高速進行信号を出力するようになっている。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、高速進行信号を受信したLRTは、高速走行区間からの進出など高速走行許可条件が喪失すると高速信号処理装置から出力される高速進行取消信号により高速進行信号を取り消されるか、或いは許可情報とともに高速進行信号を構成する高速走行終端位置情報と走行距離を車載装置で比較し、高速走行終端位置へ到着すると、自ら高速進行信号を取り消すようになっている。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図において1はLRTであり、線区近くの地上の所定の位置に複数個設けた停留所2に停止しながらレール上を走行する。LRT1には車載装置が搭載されている。この車載装置はGPS(Global Positioning System)衛星3を利用してLRT1の位置を検知するGPS受信機とそのアンテナ4、車上〜地上間の情報の送受信を行う無線送受信機とそのアンテナ5、高速走行信号の表示などを行う表示入力器6、車上の処理を行う処理回路7、等から構成されている。10は無線中継器であり、停留所2と同様に線区近くの地上の所定の位置に複数個設けられている。無線中継器10は車上〜地上間の情報の送受信を行う無線送受信機11、後記する運転管理センター15の高速信号処理装置16と情報の伝送を行う情報伝送装置12、等から構成されている。
【0008】
15は線区のLRT1を管理する運転管理センターであり、ここには高速信号処理装置16が設けられている。高速信号処理装置16は無線中継器12との間で情報伝送を行い高速走行判断処理などLRT運転制御に関わる処理を行う処理回路17、線区のLRT1の位置や運行状況表示などを行うモニタ装置18、等から構成されている。前記したLRT1の処理回路7や高速信号処理装置16の処理回路17は基本的にはコンピュータなどの汎用電子機器で構成され、各種情報の安全性をチェックし、万一故障が検出された場合、高速進行信号を取り消すようなフェールセーフ構成となっている。
【0009】
次に動作を説明する。走行中のLRT1はGPS衛星3を利用した位置検知システムにより常時、その位置が検知され、その情報は該LRT1の近くにある無線中継器10の情報伝送装置12を介して運転管理センター15の高速信号処理装置16に出力されている。高速信号処理装置16ではこのGPS衛星3で検知された位置情報が正しい位置を示しているかを、位置情報を受信した無線中継器12の設置位置と線区の地理的情報から検証する。これにより線区の全LRT1の正確な走行位置が把握される。
【0010】
通常走行のLRT1は従来同様に運転手の目視確認を主とした運転が行われるが、専用軌道区間への進入や市外地区域の走行など、高速走行可能な区間に来ると、車上より高速走行可能かの問いかけを行う。この情報は該LRT1の近くにある無線中継器10の情報伝送装置12を介して高速信号処理装置16に出力される。高速信号処理装置16では要求発信LRTの位置に基づき、前方LRT1との間隔や停留所2までの距離、走行区間の勾配や曲線などの地理的速度規制条件など高速走行可能条件を照査して、高速走行が可能か否かを判断する。そして高速走行が可能と判断すると、該LRT1に高速進行信号を出力する。該LRT1では伝送上のチェックコードの照査や宛先車両番号と自車両番号の比較照合、要求の有無などの情報の安全性をチェックした上で、高速進行信号を表示入力器6に表示し、高速走行への移行を運転手に指示する。したがって、該LRT1の運転手はこの表示を確認した上で高速走行を行う。高速進行信号を受信した該LRT1は、GSP位置情報を出力するタイミングなどで高速信号処理装置16に問いかけ、高速進行信号をリフレッシュする。
【0011】
高速走行区間からの進出や停留所2への接近、或いは前方LRT1との距離の短縮など高速走行許可条件が喪失すると高速信号処理装置16では高速進行取消信号を該LRTへ出力して高速進行信号を直ちに取り消し、これにより該LRT1では警報音を発して減速により通常走行への移行を運転手に指示する。或いは該LRT1が、許可情報とともに高速進行信号を構成する高速走行終端位置情報と走行距離を車載装置で比較し、高速走行終端位置へ到着すると、自ら高速進行信号を取り消す。この場合も警報音を発して減速により通常走行への移行を運転手に指示する。
【0012】
【発明の効果】
請求項1の発明は前記のようであって、GPS衛星を利用した位置検知システムにより常時、走行中の位置を検知し、その情報を無線で出力する車載装置を搭載したLRTと、地上の所定の位置に設置されてLRTからの情報を中継する無線中継器と、線区のLRTを管理する運転管理センターなどに設置されて無線中継器からの情報を処理して全LRTの正確な位置を把握するとともに、処理した情報を無線中継器を介してLRTへ出力する高速信号処理装置とを具え、高速信号処理装置は、専用軌道区間への進入や市外地区域の走行など高速走行可能な区間に来たLRTから高速走行への移行要求を受信したとき、要求発信LRTの位置に基づき、前方LRTとの間隔や停留所までの距離、走行区間の勾配や曲線などの地理的速度規制条件など高速走行可能条件を照査して高速走行可能か否かを判断し、高速走行が可能と判断すると、該LRTに高速進行信号を出力するようになっているので、GPS衛星などを利用してLRTの走行位置を常時、確実に把握することができ、従来にない速達性を高めることができ、高速走行性を発揮できて魅力ある乗り物にできる。しかも従来の信号保安装置と同等程度の安全性も保証できる。請求項2の発明はさらに高速進行信号を自動的に或いはLRT自ら取り消して、通常走行に移行することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す概要図である。
【符号の説明】
1 LRT
2 停留所
3 GPS衛星
4 GPS受信機とそのアンテナ
5 無線送受信機とそのアンテナ
6 表示入力器
7 処理回路
10 無線中継器
11 無線送受信機
12 情報伝送装置
15 運転管理センター
16 高速信号処理装置
17 処理回路
18 モニタ装置

Claims (2)

  1. GPS衛星を利用した位置検知システムにより常時、走行中の位置を検知し、その情報を無線で出力する車載装置を搭載したLRTと、地上の所定の位置に設置されてLRTからの情報を中継する無線中継器と、線区のLRTを管理する運転管理センターなどに設置されて無線中継器からの情報を処理して全LRTの正確な位置を把握するとともに、処理した情報を無線中継器を介してLRTへ出力する高速信号処理装置とを具え、
    前記高速信号処理装置は、専用軌道区間への進入や市外地区域の走行など高速走行可能な区間に来たLRTから高速走行への移行要求を受信したとき、要求発信LRTの位置に基づき、前方LRTとの間隔や停留所までの距離、走行区間の勾配や曲線などの地理的速度規制条件など高速走行可能条件を照査して高速走行可能か否かを判断し、高速走行が可能と判断すると、該LRTに高速進行信号を出力するようになっていることを特徴とする高速運転用信号装置。
  2. 高速進行信号を受信したLRTは、高速走行区間からの進出など高速走行許可条件が喪失すると高速信号処理装置から出力される高速進行取消信号により高速進行信号を取り消されるか、或いは許可情報とともに高速進行信号を構成する高速走行終端位置情報と走行距離を車載装置で比較し、高速走行終端位置へ到着すると、自ら高速進行信号を取り消す請求項1記載の高速運転用信号装置。
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