JP3552886B2 - 気液分離器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍サイクル装置に用いられる気液分離器に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍サイクル装置のうち、例えば実開平1−134857号公報に見られるように、サイクルの途中で冷媒中のガス成分を圧縮機に戻して圧縮機の能力を増大させる、いわゆるガスインジェクションを行う装置にあっては、ガスインジェクションのためのガス成分を分離するために気液分離器が用いられる。この種の気液分離器は、導入された気液混合流体つまり二相状態の冷媒をガス成分と液体成分とに分離するための本体と、この本体の中に気液混合流体を導入するための二相入口管と、分離したガス成分を導出するためのガス出口管と、分離した液体成分を導出するための液体出口管とを備え、ガス出口管は、本体の上端部分に取り付けられ、液体出口管は、本体の下端部分に取り付けられている。
【0003】
具体的な従来例を図8、図9に示す。この従来の気液分離器は、円筒状の本体100の下端部分101に挿入した液体出口管102を嵌合保持するようにこの本体100の下端部分101を絞り込み、また、筒状の本体100の上端部分103にガス出口管104と二相入口管105とを一定間隔を隔てた状態に設置して、この本体100の上端部分103をガス出口管104及び二相入口管105とを夫々取り囲んで嵌合保持するようにこの本体100の上端を絞り込む構造を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の気液分離器においては、本体100の上端部分101が、ガス出口管104と二相入口管105とを一定の間隔を隔てて並設した状態で絞り込んだ構造を有することから、この上端部分103の実質的な径は相当に大きくなり、このため、構造的に耐圧性が低いものであった。
ところで、近時の環境問題から従来の冷媒(例えばR22)に代わる代替冷媒(R410A)の使用に伴って、比較的高い圧力で気液分離しようとする場合には構造上の耐圧性を考慮することが必要になる。
そこで、本発明の目的は、従来と基本的な構造を共通にしつつ耐圧性を向上することのできる気液分離器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明の気液分離器は、上下方向に延びる筒状の本体の上端開口部分に、前記本体の中に気液混合状態の冷媒を導入するための二相入口管と、前記本体の中で分離した後のガス成分を導出するためのガス出口管とを連結した気液分離器において、前記上端開口部分の断面形状が円形であり、前記二相入口管及び前記ガス出口管が、これら二相入口管とガス出口管とを隣合わせたときに前記上端開口部分の内壁面で包囲される一つの円形輪郭を形成するような断面形状を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の本発明の気液分離器は、請求項1に記載の気液分離器において、前記二相入口管及び前記ガス出口管が共に断面半円形状を有することを特徴とする。
請求項3に記載の本発明の気液分離器は、請求項1に記載の気液分離器において、前記二相入口管又は前記ガス出口管のいずれか一方が断面三日月の形状を有し、他方が、前記断面三日月形状に包囲されて前記一つの円形輪郭を形成するように、前記上端開口部分の内径よりも相当に小さな直径の円形断面を有することを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の本発明の気液分離器は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の気液分離器において、前記二相入口管が、前記ガス出口管よりも前記本体の中に侵入させて配置していることを特徴とする。
請求項5に記載の発明の気液分離器は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の気液分離器において、前記二相入口管の開口端部が、前記ガス出口管の配置位置とは直径方向反対側に折り曲げられて、前記二相入口管の出口が前記本体の側壁に向けて開放されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態における気液分離器は、筒状本体の上端開口部分の断面形状が円形であり、前記二相入口管及び前記ガス出口管が、これら二相入口管とガス出口管とを隣合わせたときに前記上端開口部分の内壁面で包囲される一つの円形輪郭を形成するような断面形状を有することから、本体の上端開口部分の径は比較的小さなもので構成でき、これにより耐圧性を向上させることができる。また、上端開口部分の断面形状が円形であると共に、二相入口管とガス出口管とを隣合わせると円形輪郭になるため、管体の連結に従来から一般的に用いられている工具などの手段をそのまま利用して、本体と管体との連結を行うことができる。
【0009】
本発明の第2の実施形態における気液分離器は、前記二相入口管及び前記ガス出口管が共に断面半円形状を有することから、両者を単に隣合わせるだけで、簡単に、上述した円形輪郭を作ることができ、本体の上端開口部分の内壁面との間の接触を均一且つ確実なものとすることができる。また、二相入口管とガス出口管との相対回転がその断面形状によって抑えられることから、この観点からも、本体に対する二相入口管及びガス出口管の連結を強固なものにすることができる。
【0010】
本発明の第3の実施形態における気液分離器は、前記二相入口管又は前記ガス出口管のいずれか一方が断面三日月の形状を有し、他方が、前記断面三日月形状に包囲されて前記一つの円形輪郭を形成するように、前記上端開口部分の内径よりも相当に小さな直径の円形断面を有することから、円形断面の二相入口管又はガス出口管は最初から小さな直径の管体を採用することで、この管体の端部の断面形状を特定な形状にするための加工を省くことができる。
【0011】
本発明の第4の実施形態における気液分離器は、前記二相入口管が、前記ガス出口管よりも前記本体の中に侵入させて配置していることから、ガス出口管から導出されるガス成分の中に、二相入口管から導入された気液混合流体が混入する可能性を低下させることができる。具体的には、例えば、二相入口管をガス出口管によりも20mm以上深く侵入することが望ましい。
本発明の第5の実施形態における気液分離器は、前記二相入口管の開口端部が、前記ガス出口管の配置位置とは直径方向反対側に折り曲げられて、前記二相入口管の出口が前記本体の側壁に向けて開放されていることから、本体の中に導入された気液混合流体が本体側壁に直接的に衝突して液体粒子の凝集を促進させることができると共に、導入した気液混合流体の流れが、分離後のガス成分の上昇移動及び分離後の液体成分の下降移動の流れを乱す可能性を低減させることができる。
【0012】
【実施例】
以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による冷凍サイクル装置の一例としての空気調和装置の全体構成図であり、図2はこの空気調和装置に組み込まれた気液分離器の拡大縦断面図である。この空気調和装置1は、概略的には、室内機2と、室外機3と、これらの間を接続する第1、第2の接続用配管4、5とで構成されている。室内機2は、蒸発器又は凝縮器となる室内側熱交換器6と、室内側熱交換器6の出入口に夫々接続された内部配管7、8とで構成され、この内部配管7、8に対して上述した第1、第2の接続用配管4、5の一端が着脱自在に連結されている。同図において9は室内送風機であり、この室内送風機9は、室内機2の吹き出し口(図示せず)に取付られる。
【0013】
室外機3は、凝縮器又は蒸発器となる室外側熱交換器10と、その出入口に夫々接続された第1、第2の内部配管11、12とを有し、第1の内部配管11は、前述した第1の接続用配管4の他端に着脱自在に連結され、第2の内部配管12は、前述した第2の接続用配管5の他端に着脱自在に連結されている。同図中、13は、室外側熱交換機10に隣接して配置された電動ファンを示す。第1の内部配管11には、ブリッジ回路14が介装され、このブリッジ回路14は第1ないし第4の4つの逆止弁15〜18を有し、また、その連絡配管19には第1の減圧機構としてのメイン膨張弁20と気液分離器21とが取付けられている。また、第1の内部配管11には、ブリッジ回路14と室外側熱交換器10との間に、第2の減圧機構としてのキャピラリーチューブ22が介装されている。
【0014】
他方、第2の内部配管12には圧縮機23と四方弁24とが設けられており、冷暖房の切り替えは、この四方弁24を切り替えることによって行われる。図中、実線で示す矢印の方向は暖房運転モードでの冷媒の流れ方向を示し、破線で示す矢印の方向は冷房運転モードでの冷媒の流れ方向を示す。圧縮機23は、その本来の吸込ポート23a又は吐出ポート23bとは別途独立したインジェクションポート23cを有し、このインジェクションポート23cは、電磁式の開閉弁26を備えたガスインジェクション管25を介して、気液分離器21に連結されている。ここに、この空気調和装置1は、冷媒としてHFC系冷媒が採用され、また潤滑油としてポリオールエステル油が採用されている。
【0015】
図1に図示する四方弁24は、その冷房運転モードでの態様を破線で図示してあり、暖房運転モードでの態様を実線で示してある。冷房運転モードでは、室外側熱交換器10を出て第1の内部配管11に入った冷媒は、ブリッジ回路14の第1の逆止弁15を通りメイン膨張弁20を経て気液分離器21を通った後に第2の逆止弁16を通って室内機2側に進む経路を通る。他方、暖房運転モードでは、室内機2側から第1の接続用配管4を通って室外機3側に入った冷媒は、ブリッジ回路14の第3の逆止弁17を通りメイン膨張弁20を経て気液分離器21を通った後に第4の逆止弁18を通りキャピラリーチューブ22を経て室外側熱交換器10に入る経路を進む。暖房運転中、特に大きな能力が要求されるときには、開閉弁26が開かれてガスインジェクション管25が開通され、このガスインジェクション管25を通じて、気液分離器21で分離されたガス成分が圧縮機23にインジェクションされる。これにより圧縮機23はその能力が増大される。
【0016】
気液分離器21は、図2に示すように、上下方向に延びる円筒状の本体30を備え、この本体30は、上端部分及び下端部分に、本体30から絞り込んで縮径した開口部分31、32を備え、これら上下の開口部分31、32は、共に断面円形の形状を有している。気液分離器21の上方開口31には、連絡配管19のうち気液分離器21の中に二相状態の冷媒を導入する断面半円形状の二相入口管部分34と、気液分離器21の中のガス成分を圧縮機23に導く断面半円形状のガス出口管35とが、互いに突き合わせて一つの円形を作るような形態で嵌入されている。また、下方の開口部分32には、連絡配管19のうち気液分離器21の中の液体成分を内部配管11を通じてキャピラリーチューブ22及び室外側熱交換器10に送り出す断面円形の液体出口管部分36が嵌入されている。
【0017】
以上の構成からなる気液分離器21においては、円筒状の本体30の縮径した一つの上側円形開口部分31の中に、隣接して配置したガス出口管35と二相入口管部分34とを受け入れることから、本体30に、別途、二相入口管部分34を受け入れるための開口を設ける必要が無いばかりか、上側開口部分31が断面円形という管結合にとって最も一般的な形状でよいことから、ガス出口管35及び二相入口管部分34を受け入れてこれを密封状態で固定するのに、特別の工具などの手段を必要としない。加えて、上側開口部分31が円形形状である共にその径が従来に比べて比較的小さいことから、この形状の特性によって比較的高い耐圧性を得ることができる。したがって、比較的高い圧力で運転したとしても、この圧力に耐えることのできる気液分離器21を得やすい。
【0018】
また、二相入口管部分34及びガス出口管35を突き合わせて全体として円形の外形輪郭を形成するようにしてあるため、円形上側開口部分31の内壁面との間の接触を均一且つ確実にでき、本体30に対して二相入口管部分34及びガス出口管35を強固に接続できることになる。また、二相入口管部分34及びガス出口管35が共に半円断面であることから、これら両者の相対回転を防止できる。よって、二相入口管部分34及びガス出口管35に対する本体30の保持力は、この観点からも強固なものとなる。
【0019】
図4ないし図7は、本発明の他の実施例を図示するものであり、図4及び図5は第2実施例を示し、図6は第3実施例を示し、図7は第4実施例を示すものである。これら各実施例において、上述した第1実施例と同一の要素については同一の参照符号を付すことによりその説明を省略し、以下に、第2ないし第4実施例の特徴部分について説明する。
【0020】
第2実施例の気液分離器40にあっては、図4、図5に示すように、二相入口管部分34は、上側開口部分31の内径よりも相当に小さな径を有する断面円形の形状を有し、また、ガス出口管35は三日月形の形状を有する。そして、二相入口管部分34及びガス出口管35は、上側開口部分31の中で、小径の二相入口管部分34をガス出口管35で包み込むようにして配置されている。この第2実施例の気液分離器40によれば、二相入口管部分34を含む連結配管19を当初から小径な管体から作ることで、この二相入口管部分34に対する加工を省くことができる。
【0021】
第3実施例の気液分離器50にあっては、上述した第1実施例又は第2実施例の変形例に相当するものであり、図6に示すように、二相入口管部分34は、ガス出口管35に比べて本体30の中に深く侵入するように配置されている。より具体的には、二相入口管部分34は、本体30の中に、ガス出口管35に比べてL=20mm深く侵入させている。この第3実施例の気液分離器50によれば、二相入口管部分34とガス出口管35とを隣接して配置したとしても、二相入口管部分34から導入される飽和蒸気が、気液分離後のガス成分に混入してガス出口管35から出ることを防止することができる。
【0022】
第4実施例の気液分離器60にあっては、第3実施例の変形例に相当するものであり、図7に示すように、二相入口管部分34の開口端部34aが、ガス出口管35の配置位置とは直径方向反対側に折り曲げられている。この第4実施例の気液分離器60によれば、第3実施例の作用効果に加えて、二相入口管部分34から出た飽和蒸気を本体30側壁に直接的に衝突させて液体粒子の凝集を促進できると共に、導入される飽和蒸気の流れが、本体30の中で上昇するガス成分の流れを乱すことを最小限に抑えることができ、同じ理由で下降する液体成分の流れを乱すことを最小限に抑えることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明は、従来と基本的な構造を共通にしつつ二相入口管及びガス出口管の耐圧性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスインジェクションを行う空気調和装置に本発明の気液分離器を組み込んだ空気調和装置の全体系統図。
【図2】本発明に従う第1実施例の気液分離器の拡大縦断面図。
【図3】図2のIIIーIII線に沿って切断した断面図。
【図4】第2実施例の気液分離器の拡大断面図。
【図5】図4のVーV線に沿って切断した断面図。
【図6】第3実施例の気液分離器の拡大縦断面図。
【図7】第4実施例の気液分離器の拡大縦断面図。
【図8】従来例の気液分離器の拡大縦断面図。
【図9】図8のIXーIX線に沿って切断した断面図。
【符号の説明】
21 気液分離器
30 気液分離器の本体
31 気液分離器の上端開口部分
32 気液分離器の下端開口部分
34 二相入口管部分
35 ガス出口管
Claims (5)
- 上下方向に延びる筒状の本体の上端開口部分に、前記本体の中に気液混合状態の冷媒を導入するための二相入口管と、前記本体の中で分離した後のガス成分を導出するためのガス出口管とを連結した気液分離器において、前記上端開口部分の断面形状が円形であり、前記二相入口管及び前記ガス出口管が、これら二相入口管とガス出口管とを隣合わせたときに前記上端開口部分の内壁面で包囲される一つの円形輪郭を形成するような断面形状を有することを特徴とする気液分離器。
- 前記二相入口管及び前記ガス出口管が共に断面半円形状を有することを特徴とする請求項1に記載の気液分離器。
- 前記二相入口管又は前記ガス出口管のいずれか一方が断面三日月の形状を有し、他方が、前記断面三日月形状に包囲されて前記一つの円形輪郭を形成するように、前記上端開口部分の内径よりも相当に小さな直径の円形断面を有することを特徴とする請求項1に記載の気液分離器。
- 前記二相入口管が、前記ガス出口管よりも前記本体の中に侵入させて配置していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の気液分離器。
- 前記二相入口管の開口端部が、前記ガス出口管の配置位置とは直径方向反対側に折り曲げられて、前記二相入口管の出口が前記本体の側壁に向けて開放されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の気液分離器。
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