JP3552738B2 - 騒音制御装置のアクチュエータ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は騒音をキャンセルする騒音制御装置に関し、特に本発明ではキャンセル音を出力するスピーカから構成されるアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来このような分野の技術として以下に説明する騒音制御装置がある。この騒音制御装置は例えば車両に搭載され車両のエンジンが発生する騒音を制御しようとするものである。騒音制御装置は、概略、騒音と逆位相・等音圧のキャンセル音を出力するスピーカと、キャンセル信号を形成するコントローラと、騒音をキャンセルした残留音を検出してコントローラへのキャンセル音の形成にフィードバックするマイクロフォンからなる。前記スピーカから構成されるアクチュエータは車両の排気管を経て大気に排気ガスが放出されるテールパイプ付近に取り付けられている。さらに、再生周波数特性のピーク、ディップを緩和して能率よくキャンセル音を放射するためにスピーカの前に空間を形成する緩和部を設けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の騒音制御装置のアクチュエータの構造では、耐環境性、加工性などが重要な課題となっている。特にアクチュエータと排気管周辺の構造において前記緩和部ではスピーカからの音波の複雑な反射が生じてこれらの反射音の干渉により出力音圧の周波数特性にピーク、ディップが発生するというアクチュエータの構造上の問題がある。さらに、テールパイプはエンジンの排気ガスが通過するので高温となり、これがスピーカに伝達するとスピーカを熱損傷させキャンセル音形成に支障が生じるというアクチュエータの構造上の問題が生じる。
【0004】
したがって、本発明は上記問題点に鑑み、熱損傷を防止できる騒音制御装置のアクチュエータを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様においては、エンジンの排気ガスを放出するテールパイプの近傍にスピーカユニットが配置され、前記テールパイプから放出される騒音を、前記スピーカユニットから出力されるキャンセル音でキャンセルする騒音制御装置のアクチュエータにおいて、前記テールパイプの外側を覆う二重のパイプ部分で構成され、前記テールパイプの出口の反対側において、前記スピーカユニットからのキャンセル音を、前記テールパイプの軸に沿って流れるように反射する傾斜部を有し、前記二重のパイプ部分の中間層を通って、前記テールパイプの軸に沿って前記スピーカユニットからのキャンセル音を前記テールパイプの出口に案内する案内部と、前記テールパイプの外周と前記案内部の最内周との間に形成される空気の流通路であって、前記テールパイプと前記スピーカユニットとの間の熱の伝達を緩和する熱伝達緩和部とから騒音制御装置のアクチュエータを構成する。
【0006】
本発明の第2の態様においては、エンジンの排気ガスを放出するテールパイプの近傍にスピーカユニットが配置され、前記テールパイプから放出される騒音を、前記スピーカユニットから出力されるキャンセル音でキャンセルする騒音制御装置のアクチュエータにおいて、前記テールパイプ側に設けられた大径の部分と、前記スピーカユニット側に設けられた小径の部分とからなり、前記スピーカユニットから出力されるキャンセル音を、前記テールパイプの途中の側面に形成された孔からテールパイプの内部に案内する案内部と、前記大径の部分と前記小径の部分との間に間隙を形成し、前記案内部の途中から外部の空気を取り入れて前記テールパイプ内に導入することにより前記テールパイプと前記スピーカユニットとの間の熱の伝達を緩和する熱伝達緩和部とから騒音制御装置のアクチュエータを構成する。
【0008】
【作用】
本発明の第1の態様によれば、傾斜部を設けることで、キャンセル音が反射により出口方向に向かう。これにより、無用な干渉が減りキャンセル音の周波数特性を平坦化することができる。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、キャンセル音はテールパイプの側面に形成された孔から、テールパイプの内部に案内される。大径の部分と小径の部分との間に形成された間隙から吸い込まれる空気が、テールパイプ内に流入し、結合部を冷却する。また、この間隙により、テールパイプとスピーカユニットとが直接接触しないことにより熱の伝達を遮断できるという効果を奏する。
【0010】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図であり、図2は図1のアクチュエータの側断面図である。本図1に示すように、エンジンの排気ガスを大気に放出する端部であり外部への熱放出を抑制するために内部にグラスウール1bを有するテールパイプ1に設けられた騒音制御装置のアクチュエータは、テールパイプの出口1aから排気ガスとともに放出される騒音(排気音)に対してキャンセル音を出力するために正面がテールパイプ1の軸に向けて配置されるスピーカユニット2と、該スピーカユニット2の後方を囲むスピーカボックス3と、スピーカユニット2の振動板と大気のかたさのちがいを緩和して能率よくキャンセル音を放射するためにスピーカ3の前に空間を形成する緩和部4とを具備する。該緩和部4は、テールパイプ1からの輻射熱がスピーカユニット3に影響しないようにクリアランスを取ってテールパイプ1の外側に設けた遮熱パイプ4aと、該遮熱パイプ4aの外側に設けたアウタパイプ4bと、アウタパイプ4bを伸張しテールパイプ1の軸の出口方向に緩和部4の出口を絞る絞り部4cと、緩和部4の後部でありスピーカユニット2からのキャンセル音を反射しこの反射音が緩和部4の出口方向に向ける斜めカット部4dと、該斜めカット部4dにテールパイプ1と遮熱パイプ4aとの間のクリアランスに対応してこのクリアランスに空気の流れを形成するために設けられた孔部4eと、緩和部4とスピーカボックス3とを結合する結合部4fとを具備する。緩和部4の斜線部の容量はスピーカユニット2の振動板と大気のかたさのちがいを緩和して能率よくキャンセル音を放射するに必要なものである。図示する絞り込み長さL1、クリアランスL2、接合部出口長さL3を種々の条件に調整可能である。
【0011】
従来は緩和部4の後部は点線で示すような空間であるので、この中でスピーカユニット2からのキャンセル音が反射をしこれらが干渉して出力音圧の周波数特性にピーク、ディップが発生したが、本実施例による斜めカット部4dによりキャンセル音が反射により緩和部4の出口方向に向かうので無用な干渉が減りキャンセル音の周波数特性が平坦化する。さらに、容積縮小が緩和機能との調整により行われこのため従来より容積が小さくなるので複雑な反射、干渉も減少できる。
【0012】
また、テールパイプ1と遮熱パイプ4aとのクリアランスにより輻射熱の伝達を妨げるだけでなく、斜めカット部4dに設けられた孔部4eにより車両の進行方向より空気が流入し遮熱パイプ4aの内側が冷却されスピーカユニット2に対してテールパイプ1からの輻射熱の伝達を防止する。
本図2に示すように、スピーカボックス3は上下がカットされた円形状をなす。これは上は車両の他の構造を考慮し下は地面との接触を防止するためである。これに対応してスピーカユニット2は楕円形状にしてある。テールパイプ1の出口の開口部は地面に対して図示のようにθの傾きを有し雨水が直接侵入するのを防止しているが、絞り部4cの出口開口部もこの角度に合わせてアクチュエータへの雨水の直接の侵入を防止している。
【0013】
図3は本発明の第2の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。本図に示すように、図2と異なるのは緩和部4であり、テールパイプ1の出口部1aから一定範囲をパンチングパイプ1cにし、このパンチングパイプ1cに緩和部4の出口を結合してキャンセル音はテールパイプ1内に送り込んで騒音をキャンセルする。この結合部に進行方向からの空気が流れ込む孔部4gを設けてある。この際パンチングパイプ1c内では排気ガスが高速で大気に放出されるので緩和部4が負圧になりこの負圧により遮熱パイプ4aとテールパイプ1との間を経て大気の空気が吸い込まれてその空気が孔部4gを介してパンチングパイプ1cを通ってテールパイプ1内に入るようにする。このようにすることにより、パンチングパイプ1cからの熱がスピーカユニット2に伝達することなくなる。なお、空気が吸入されると緩和部(4)の圧力は大気圧になりスピーカユニットの振動板が安定して振動するようになる。
【0014】
図4は本発明の第3の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。スピーカユニット2の正面はテールパイプ1に軸に平行に後方に向き、スピーカボックス3はスピーカユニット2の後方を囲み、緩和部4はスピーカユニット2の前面の空間を大きくして形成する。テールパイプ1のパンチングパイプ1cの外側にキャンセル音を通過するが熱を遮断するグラスウール1dが巻かれる。このグラスウール1dをキャンセル音案内部5の端部5aに収容してパンチングパイプ1cに結合する。キャンセル音案内部5の他方の端部5bはキャンセル音を受ける入れるために緩和部4の出口を細くした出口首部と一定のクリアランスを取ってその外側に重ね嵌めしてある。このようにして、パンチングパイプ1cを通過する排気ガスにより形成される負圧により端部5bの隙間から吸い込まれる空気はグラスウール1d、パンチングパイプ1cを経てテールパイプ1内に流入し、結合部を冷却する。このためグラスウールと相まって結合部からスピーカユニット2への熱伝達が防止できる。またキャンセル音案内部5と緩和部4とは直接接触していないので熱の伝達を遮断する効果がある。
【0015】
図5は第4の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。本図に示すように、スピーカユニット2の正面はテールパイプ(又は排気管)1の軸に並行に配置される。スピーカボックス3は前述と同様にスピーカユニット2の後面を囲む。スピーカユニット2の前面にある緩和部4はキャンセル音をテールパイプ1の出口の手前で分岐した管であってテールパイプ1にキャンセル音を案内するキャンセル音案内部5が設けられる。スピーカユニット2及び緩和部4はテールパイプ1から一定距離離されておりテールパイプ1から直接の熱伝達はない。そしてキャンセル音案内部5に空気を取り込みテールパイプ1の出口に流す大気導入開口部5cを設ける。この大気導入開口部5cはパンチングパイプで形成され、テールパイプ1を流れる排気ガスによる負圧により、パンチング部から外部から空気が流入する。スピーカユニット2からのキャンセル音はテールパイプ1とキャンセル音案内部5の結合部で騒音に重畳されてキャンセルする。大気導入開口部5cから空気の流れ込みによりキャンセル音案内部5の結合部が冷却されスピーカユニット2への熱伝達が遮断される。
【0016】
図6は本発明の第5の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。本図において図5と異なるのはキャンセル音案内部5であり、この一方の端部5aはテールパイプ1に結合され排気ガスに含まれる騒音をキャンセルするキャンセル音を放出する。キャンセル音案内部5の他方の端部5bはその径がキャンセル音を受け入れるために緩和部4の出口首部の径よりも大きく該出口首部の外側に重ね嵌めしてその間に一定の隙間が確保される。このようにして、パンチングパイプ1cを通過する排気ガスにより形成される負圧により端部5bの隙間から吸い込まれる空気は、キャンセル音案内部5を経てテールパイプ1内に流入し、結合部を冷却する。このためグラスウールと相まって結合部からスピーカユニット2への熱伝達が防止できる。またキャンセル音案内部5と緩和部4とは直接接触していないので熱の伝達を遮断する効果がある。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、騒音制御装置のアクチュエータにおける スピーカユニットの熱損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。
【図2】図1のアクチュエータの側断面図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。
【図6】本発明の第5の実施例に係る騒音制御装置のアクチュエータ構造を示す図である。
【符号の説明】
1…テールパイプ
2…スピーカユニット
3…スピーカボックス
4…緩和部
5…キャンセル音案内部
Claims (5)
- エンジンの排気ガスを放出するテールパイプの近傍にスピーカユニットが配置され、前記テールパイプから放出される騒音を、前記スピーカユニットから出力されるキャンセル音でキャンセルする騒音制御装置のアクチュエータにおいて、
前記テールパイプの外側を覆う二重のパイプ部分で構成され、前記テールパイプの出口の反対側において、前記スピーカユニットからのキャンセル音を、前記テールパイプの軸に沿って流れるように反射する傾斜部を有し、前記二重のパイプ部分の中間層を通って、前記テールパイプの軸に沿って前記スピーカユニットからのキャンセル音を前記テールパイプの出口に案内する案内部と、
前記テールパイプの外周と前記案内部の最内周との間に形成される空気の流通路であって、前記テールパイプと前記スピーカユニットとの間の熱の伝達を緩和する熱伝達緩和部と、
を具備することを特徴とする騒音制御装置のアクチュエータ。 - 前記案内部は、その出口部分において、外側のパイプ部分が内側のパイプ部分よりも延伸している請求項1に記載の騒音制御装置のアクチュエータ。
- 前記延伸部分は、先端が絞られた構造を有する請求項2に記載の騒音制御装置のアクチュエータ。
- エンジンの排気ガスを放出するテールパイプの近傍にスピーカユニットが配置され、前記テールパイプから放出される騒音を、前記スピーカユニットから出力されるキャンセル音でキャンセルする騒音制御装置のアクチュエータにおいて、
前記テールパイプ側に設けられた大径の部分と、前記スピーカユニット側に設けられた小径の部分とからなり、前記スピーカユニットから出力されるキャンセル音を、前記テールパイプの途中の側面に形成された孔からテールパイプの内部に案内する案内部と、
前記大径の部分と前記小径の部分との間に間隙を形成し、前記案内部の途中から外部の空気を取り入れて前記テールパイプ内に導入することにより前記テールパイプと前記スピーカユニットとの間の熱の伝達を緩和する熱伝達緩和部と、
を具備することを特徴とする騒音制御装置のアクチュエータ。 - 前記テールパイプの側面に形成された孔の外側を覆うグラスウール層を有する請求項4に記載の騒音制御装置のアクチュエータ。
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1993
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