JP3551837B2 - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高圧燃料ポンプにより加圧された燃料を内燃機関のインジェクタに供給する高圧燃料配管を備え、その高圧燃料配管の燃料授受部にはシール性を確保するためのシール部材が配されてなる内燃機関の燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
筒内噴射式内燃機関にあっては、燃料タンクの燃料をサプライポンプにより高圧に加圧し、この加圧した燃料をデリバリパイプ等によって構成される高圧燃料配管に供給するとともに、同デリバリパイプに接続されたインジェクタから気筒内に燃料を直接、噴射供給するようにしている。
【0003】
また、高圧燃料配管内の燃料圧、換言すればインジェクタから噴射される燃料の噴射圧は、例えばサプライポンプの吐出量を制御することにより、内燃機関の運転状態に適した圧力値に制御されている。ここで、高圧燃料配管の燃料圧は通常、吸気ポート噴射式内燃機関と比較して高圧に設定されている。筒内噴射式内燃機関においては、高圧となった気筒の内圧に抗して燃料を噴射しなければならず、また、良好な燃焼状態を確保すべく燃料噴霧を適度に微粒化する必要があるからである。
【0004】
ところで、筒内噴射式内燃機関の燃料供給装置では、高圧燃料配管のシール性を確保するために、デリバリパイプとインジェクタとの接続部分や、サプライポンプとデリバリパイプとの接続部分といった燃料洩れが懸念される部位に、Oリング等のシール部材を配設することが従来より広く行われている(例えば、特開平9−126087号や特開平10−73060号公報参照)。こうしたシール部材によるシール性の確保は、同シール部材が配される接続部分の接続作業を煩雑化させてしまうことが無く、またサプライポンプから高圧燃料配管に伝播する振動を減衰させる点でも有効な方法であるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうしたシール部材は低温時において柔軟性が失われ、そのシール能力が低下する傾向がある。このため、こうしたシール部材を用いてシール性を確保するようにした燃料供給装置にあっては、例えば内燃機関の冷間始動時等に、シール部材が配される高圧燃料配管の接続部分から極微量ではあるが燃料が洩れるおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温時における高圧燃料配管からの燃料洩れを防止することのできる内燃機関の燃料供給装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明では、高圧燃料ポンプにより加圧された燃料を内燃機関のインジェクタに供給する高圧燃料配管を備え、該高圧燃料配管の燃料授受部にはシール性を確保するためのシール部材が配されてなる内燃機関の燃料供給装置において、シール部材のシール能力を推定しつつ、燃料授受部における所定のシール性が維持されるように高圧燃料配管内の燃料圧を推定されるシール能力に基づいて制御する燃料圧制御手段を備え、前記燃料圧制御手段は前記シール部材の温度の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するようにしている。
【0008】
上記構成によれば、低温時においてシール部材のシール能力が低下している場合に、そのシール能力の低下に応じて高圧燃料配管内の燃料圧が燃料洩れの発生しない程度の大きさにまで抑えられるようになる。
【0009】
また、通常、高分子材料によって形成されるシール部材は、その温度が低くなるほど柔軟性が失われてシール能力が低下する傾向を有している。
従って
・燃料圧制御手段はシール部材の温度の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するものである、
といった構成を採用すれば、シール部材のシール能力を容易に推定することができるようになる。
【0010】
更に請求項に記載した発明のように、
・燃料圧制御手段は推定されるシール部材の温度が該シール部材のシール能力確保可能温度に達していないことを条件に高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を行うものである、
といった構成を採用すれば、シール部材におけるシール能力を同シール部材の温度に基づいて容易に推定することができるとともに、同シール部材の温度が低くそのシール能力が確保されないときには高圧燃料配管内の燃料圧を燃料洩れの発生しない程度の大きさにまで抑えることができるようになる。
【0011】
また上記のように高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる際には、請求項に記載した発明のように、
・燃料圧制御手段は高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる際の低下割合を推定されるシール部材の温度に基づいて変更するものである、
といった構成を採用することができる。こうした構成によれば、シール能力の低下に応じて高圧燃料配管内の燃料圧を設定することができるようになる。
【0012】
更に、シール部材の温度を直接的に検出することは、一般には困難であるため、請求項に記載した発明のように、
・燃料圧制御手段は、シール部材の温度と相関を有する内燃機関の状態量を検出する検出手段と、該検出される状態量とシール部材のシール能力確保可能温度に対応した所定の判定値との比較のもとに前記条件の成立の有無を判定する判定手段とを備え、該判定手段による前記条件の成立有りの判定に基づいて高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を行うものである、
といった構成を採用すれば、シール部材の温度が該シール部材のシール能力確保可能温度に達していないことを簡便に判定したうえで、そのシール部材の温度に基づく燃料圧制御を容易に実現することができるようになる。
【0013】
また、こうした内燃機関の状態量を検出するうえでの具体的な構成としては、請求項に記載した発明のように、
・検出手段は高圧燃料配管内の燃料温度を状態量として検出するものであり、 ・判定手段は検出される燃料温度が判定値としての所定温度よりも低いときに前記条件の成立有りと判定するものである、
といった構成や、請求項に記載した発明のように、
・検出手段は内燃機関の冷却水及び潤滑油の少なくとも一方の温度を状態量として検出するものであり、
・判定手段は検出される温度が判定値としての所定温度よりも低いときに前記条件の成立有りと判定するものである、
といった構成を採用することができる。
【0014】
特に、請求項に記載した発明によれば、高圧燃料配管内の燃料はシール部材に対し直接接触しており、その温度がシール部材の温度と高い相関性を有していることから、シール部材の温度が低温であることを判定する際に信頼性の高い判定結果が得られるようになる。
【0015】
また、シール部材の温度と相関を有する状態量としては、こうした各種温度の他、請求項に記載した発明のように、
・検出手段は機関始動時からの経過時間を状態量として検出するものであり、 ・判定手段は検出される経過時間が判定値としての所定時間未満であるときに前記条件の成立有りと判定するものである、
といった構成や、請求項に記載した発明のように、
・検出手段はインジェクタから噴射される燃料の機関始動時からの積算量或いは内燃機関に供給される吸入空気の機関始動時からの積算量を状態量として検出するものであり、
・判定手段は検出される積算量が判定値としての所定量未満であるときに前記条件の成立有りと判定するものである、
といった構成を採用することもできる。
【0016】
内燃機関の運転が開始されると、気筒内に発生する燃焼熱が高圧燃料配管やその内部を流れる燃料を介してシール部材に伝播し、同シール部材が徐々に温度上昇するようになる。従って、機関始動時からの経過時間が長くなるほど、シール部材の総受熱量が増大するため、同シール部材の温度上昇量は大きくなる。
【0017】
請求項に記載した発明は、こうした機関始動時からの経過時間とシール部材の温度上昇量との関係に着目しており、この経過時間が所定時間未満である場合には、シール部材の温度上昇量が小さく、同シール部材が低温であると判定することができる。
【0018】
また、機関始動時から気筒内に発生する総燃焼熱量が増加するほど、シール部材の総受熱量が増大するため、やはりシール部材の温度は大きく上昇するようになる。
【0019】
請求項に記載した発明は、こうした総燃焼熱量とシール部材の温度上昇量との関係に着目している。即ち、機関始動時から気筒内に発生する総燃焼熱量は、インジェクタから噴射される燃料やこの噴射燃料の燃焼に供される吸入空気の機関始動時からの積算量と相関を有しているため、この積算量が所定量未満である場合には、上記総燃焼熱量が小さく、従ってシール部材の温度上昇量も小さいものとして同シール部材が低温であると判定することができる。
【0020】
また、内燃機関を所定時間運転した後に一旦、その運転を停止して直に再開するような場合には、シール部材の温度が機関始動時において既にシール能力の低下を考慮すべき温度領域よりも高温になっていることがある。従って、シール部材が低温であることをより正確に判定するうえでは、シール部材の温度上昇量の他、機関始動時におけるシール部材の初期温度を更に検出し、この初期温度と温度上昇量とに基づいてシール部材の温度状態を判断する構成とするのが望ましい。
【0021】
このような構成としては、請求項に記載した発明のように、請求項に記載した構成において、
・検出手段は機関始動時における高圧燃料配管内の燃料の温度或いは機関始動時における内燃機関の冷却水及び潤滑油の少なくとも一方の温度を状態量として更に検出するものであり、
・判定手段は検出される温度が判定値としての所定温度よりも低く且つ検出される経過時間が所定時間未満であるときに前記条件の成立有りと判定するものである、
といった構成や、請求項10に記載した発明のように、請求項に記載した発明の構成において、
・検出手段は機関始動時における高圧燃料配管内の燃料の温度或いは機関始動時における内燃機関の冷却水及び潤滑油の少なくとも一方の温度を状態量として更に検出するものであり、
・判定手段は検出される温度が判定値としての所定温度よりも低く且つ検出される積算量が所定量未満であるときに前記条件の成立有りと判定するものである、
といった構成を採用することができる。
【0022】
これら請求項又は10に記載した構成によれば、機関始動時において既にシール部材の十分なシール能力が確保されるときには、高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御が行われないようになる。
【0023】
また、請求項11に記載した発明では、請求項に記載した構成において、
・検出手段は高圧燃料配管における燃料授受部の表面温度を状態量として検出するものであり、
・判定手段は前記検出される表面温度が判定値としての所定温度より低いときに前記条件の成立有りと判定するものである、
といった構成を採用している。
【0024】
高圧燃料配管はその燃料授受部においてシール部材と接触しており、その表面温度はシール部材の温度と高い相関性を有している。従って、上記構成によれば、シール部材の温度が低温であることを判定するに際し信頼性の高い判定結果を得ることができるようになる。更に、上記構成によれば、高圧燃料配管内の燃料温度を検出するようにした構成とは異なり、温度検出用のセンサ等を高圧下に設ける必要がなく、また、同センサ等を設けるに際してそのシール性を確保する配慮が必要になることもない。
【0025】
ところで、シール部材は燃料と接触すると内部に燃料が浸透して膨潤するため、低温時における柔軟性が増大してシール能力が増大する傾向がある。
そこで、請求項12に記載した発明のように
・燃料圧制御手段はシール部材の温度及び膨潤度合の推定をもってシール部材のシール能力を推定するものである、
といった構成を採用することにより、高圧燃料配管内の燃料圧を燃料洩れの発生しない圧力に制御するうえで、膨潤によるシール能力の増大を反映させることができるようになる。
【0026】
また、こうした膨潤によるシール能力の増大を考慮した燃料圧制御についてのより具体的な制御態様としては、請求項13に記載した発明のように、請求項12に記載した構成において、
・燃料圧制御手段は推定されるシール部材の温度が該シール部材のシール能力確保可能温度に達しておらず且つ推定されるシール部材の膨潤度合が該シール部材のシール能力確保可能度合に達していないときに高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を行うものである、
といった構成や、請求項14に記載した発明のように、請求項12に記載した構成において、
・燃料圧制御手段は推定されるシール部材の温度が該シール部材のシール能力確保可能温度に達していないとき及び推定されるシール部材の膨潤度合が該シール部材のシール能力確保可能度合に達していないときのいずれかのときに高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を行うものである、
といった構成を採用することができる。
【0027】
また、上記請求項乃至11のいずれかに記載した構成において、こうした膨潤によるシール能力の増大を考慮した燃料圧制御を実現するため、請求項15に記載した発明のように、
・燃料圧制御手段はシール部材の温度の推定に加えシール部材の膨潤度合の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するものであり、推定されるシール部材の膨潤度合が該シール部材のシール能力確保可能度合に達しているときに高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を禁止する禁止手段を更に備えるものである、
といった構成や、請求項16に記載した発明のように、
・燃料圧制御手段はシール部材の温度の推定に加えシール部材の膨潤度合の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するものであり、推定されるシール部材の膨潤度合に基づいて高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる際の低下割合を変更する変更手段を更に備えるものである、
といった構成、更には請求項17に記載した発明のように、
・燃料圧制御手段はシール部材の温度の推定に加えシール部材の膨潤度合の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するものであり、推定されるシール部材の膨潤度合に基づいて判定値を設定する設定手段を更に備えるものである、といった構成を採用することができる。
【0028】
また、請求項12乃至17のいずれかに記載した構成において、シール部材の膨潤度合を推定するうえでのより具体的な構成としては、請求項18に記載した発明のように、
・燃料圧制御手段は内燃機関の累積稼動時間を計時する計時手段を備え、該計時される累積稼動時間に基づいてシール部材の膨潤度合を推定するものである、といった構成や、請求項19に記載した発明のように、
・燃料圧制御手段は内燃機関が搭載される車両の累積走行距離を計測する計測手段を備え、該計測される累積走行距離に基づいてシール部材の膨潤度合を推定するものである、
といった構成を採用することができる。
【0029】
上記シール部材と燃料との総接触時間が長くなるほど、同シール部材の内部に燃料が浸透してその膨潤度合が大きくなる傾向があり、また、内燃機関の稼動状態にあれば、或いは同内燃機関が搭載される車両が走行状態にあれば、燃料がシール部材に接触しているものとみなすことができる。上記請求項1819に記載した発明ではこの点に着目しており、これら累積稼動時間や累積走行距離に基づいてシール部材の膨潤度合を簡便に推定することができる。
【0030】
また、シール部材と燃料とが接触する際の燃料圧が大きくなるほどシール部材の内部に燃料が浸透する際の浸透速度が増加する傾向がある。従って、シール部材の膨潤度合は、燃料とシール部材との総接触時間のみならず、その接触時の燃料圧の大きさによっても異なるようになる。
【0031】
この点、請求項20に記載した発明のように、請求項18に記載した構成において、
・計時手段は高圧燃料配管内の燃料圧に基づいて累積稼動時間の計時態様を変更するものである、
といった構成や、請求項21に記載した発明のように、請求項19に記載した構成において、
・計測手段は高圧燃料配管内の燃料圧に基づいて累積走行距離の計測態様を変更するものである、
といった構成を採用すれば、累積稼動時間や累積走行距離を求める際に、上記のような燃料の浸透速度をも考慮することができるようになる。
【0032】
更に、こうした燃料の浸透速度を考慮して累積稼動時間や累積走行距離を求めるための具体的な構成としては、請求項22に記載した発明のように、請求項20に記載した構成において、
・計時手段は高圧燃料配管内の燃料圧が所定圧以上であるときの累積稼動時間を計時するものである、
といった構成や、請求項23に記載した発明のように、請求項21に記載した構成において、
・計測手段は高圧燃料配管内の燃料圧が所定圧以上であるときの累積走行距離を計測するものである、
といった構成を採用することができる。
【0033】
これら請求項2223に記載した発明によれば、上記浸透速度の影響を累積稼動時間や累積走行距離に簡便に反映させることができるようになる。
【0034】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明に係る燃料供給装置を具体化した第1の実施形態について説明する。
【0035】
図1は、車両2に搭載された筒内燃料噴射式の4気筒ガソリンエンジン1及び同エンジン1の燃料供給装置を示す概略構成図である。
この燃料供給装置は、燃料を貯留する燃料タンク4、燃料を高圧に加圧するサプライポンプ12、燃料タンク4の燃料をサプライポンプ12に圧送するフィードポンプ8、サプライポンプ12にて加圧された燃料をエンジン1の各インジェクタ18に分配供給するデリバリパイプ16、サプライポンプ12の圧送量等を制御する電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)26等によって構成されている。
【0036】
インジェクタ18は、燃料が噴射される先端部が各気筒(図示略)内に位置するようにエンジン1のシリンダヘッド1aに設けられるとともに、その基端部に形成された燃料導入部15においてデリバリパイプ16に接続されている。このデリバリパイプ16内の燃料圧に基づいてインジェクタ18の燃料噴射圧が設定されている。
【0037】
図2は、この燃料導入部15とデリバリパイプ16との接続部分を拡大して示す断面図である。
デリバリパイプ16の側部には4つの燃料分配ポート16a(図2ではその一つのみを図示する)が形成されている。この燃料分配ポート16aの周囲には円筒状の接続部16bがそれぞれ形成されており、同接続部16bに燃料導入部15の一端部が挿入されている。
【0038】
接続部16bにより覆われる燃料導入部15の端部には周溝15aが形成されており、この周溝15a内にはフッ素ゴム等の高分子材料からなるOリング20が配設されている。このOリング20によって燃料導入部15の外壁と接続部16bの内壁との間がシールされることにより、インジェクタ18とデリバリパイプ16との接続部分におけるシール性(油密性)が確保されている。
【0039】
図1に示すように、フィードポンプ8は燃料タンク4の内部に固定される電動式のポンプであり、その吐出口は途中に燃料フィルタ10が設けられた低圧燃料供給路7を介してサプライポンプ12に接続されている。このフィードポンプ8によって汲み上げられた燃料タンク4内の燃料は、低圧燃料供給路7を通過した後、サプライポンプ12に供給される。
【0040】
このサプライポンプ12はシリンダヘッド1aに設けられており、低圧燃料供給路7を通じて燃料が導入される加圧室35、カムシャフト30に設けられたポンプカム32によって往復駆動されることにより加圧室35内の燃料を高圧に加圧するプランジャ34、加圧室35から吐出される燃料の量を調節する制御弁38等を備えている。
【0041】
加圧室35はリリーフ通路36によって燃料タンク4に接続されるとともに、高圧燃料通路14によってデリバリパイプ16に接続されている。この高圧燃料通路14には、デリバリパイプ16から加圧室35内に燃料が流れることを規制するチェックバルブ22が設けられている。
【0042】
図3は、高圧燃料通路14の一部を構成する燃料供給管17とデリバリパイプ16との接続部分を拡大して示す断面図である。
デリバリパイプ16の端部には燃料導入ポート16cが形成されている。燃料供給管17は、その一端部が燃料導入ポート16cに挿入された状態で複数のボルト19によりデリバリパイプ16に固定されている。燃料導入ポート16cの内壁により覆われる燃料供給管17の端部には周溝17aが形成されており、この周溝17a内にはフッ素ゴム等の高分子材料からなるOリング21が配設されている。このOリング21によって燃料供給管17の外壁と燃料導入ポート16cの内壁との間がシールされることにより、燃料供給管17とデリバリパイプ16との接続部分におけるシール性が確保されている。
【0043】
図1に示すように、リリーフ通路36にはフィードポンプ8から加圧室35内に導入される燃料の圧力を一定値に保持するプレッシャレギュレータ23が設けられている。リリーフ通路36はデリバリパイプ16にも接続されており、この接続部分36aにはリリーフバルブ28が設けられている。このリリーフバルブ28はデリバリパイプ16内の燃料圧が過大な圧力になったときに開弁し、デリバリパイプ16内の燃料をリリーフ通路36を通じて燃料タンク4に戻すことにより同燃料圧を低下させる。
【0044】
制御弁38はカムシャフト30の回転に同期して開閉駆動される電磁弁である。この制御弁38が開弁すると、加圧室35と低圧燃料供給路7及びリリーフ通路36とが連通された状態になり、同弁38が閉弁すると、加圧室35と上記両通路7,36とが遮断された状態になる。
【0045】
次に、サプライポンプ12の燃料圧送動作について説明する。
カムシャフト30の回転に伴ってプランジャ34が下動する吸入行程においては、制御弁38が常に開弁状態に保持されている。従って、フィードポンプ8から圧送された燃料は低圧燃料供給路7を通じて加圧室35内に導入される。
【0046】
次に、プランジャ34が上動する加圧行程においては、その上動に伴って加圧室35の容積が減少する。ここで、制御弁38が開弁状態に保持されている場合、加圧室35の燃料はリリーフ通路36を通じて燃料タンク4に戻される。これに対して、この加圧行程中の所定時期に制御弁38が開弁状態から閉弁状態に切り換えられると、加圧室35と低圧燃料供給路7及びリリーフ通路36との間が遮断されるため、プランジャ34によって加圧された加圧室35の燃料は高圧燃料通路14を通じてデリバリパイプ16に圧送されるようになる。
【0047】
このサプライポンプ12からの燃料圧送量は、加圧行程中に制御弁38が開弁状態から閉弁状態に切り換えられる時期(以下、「圧送開始時期」という)に基づいて調節される。例えば、圧送開始時期が相対的に早い時期(進角側の時期)に設定されると、燃料の圧送時間が長くなるため、燃料圧送量は増大するようになる。これに対して、圧送開始時期が相対的に遅い時期(遅角側の時期)に設定されると、燃料の圧送時間が短くなるため、燃料圧送量は逆に減少するようになる。
【0048】
こうした燃料圧送量の調節はECU26によって実行されている。即ち、ECU26はデリバリパイプ16内の燃料圧に係る目標値(目標燃圧値PFTRG)をエンジン1の運転状態に基づいて算出するとともに、この目標燃圧値PFTRGと実際に検出されるデリバリパイプ16内の燃料圧(燃料圧PF)とを比較する。そして、ECU26は、燃料圧PFが目標燃圧値PFTRGより低圧(PF<PFTRG)であると判断すると、圧送開始時期を進角側の時期に変更し、逆に燃料圧PFが目標燃圧値PFTRGより高圧(PF>PFTRG)であると判断すると、圧送開始時期を遅角側の時期に変更する。このように燃料圧送量が調節されることにより、デリバリパイプ16内の燃料圧、換言すればインジェクタ18の燃料噴射圧がエンジン1の運転状態に応じた圧力に制御されるようになる。
【0049】
ECU26は、上記のようにデリバリパイプ16内の燃料圧を制御する他、燃料噴射の時期及び量(燃料噴射量Q)に係る制御や、点火時期等のエンジン1における各種制御を実行する。ECU26は、中央処理制御ユニット(CPU)40、所定のプログラムや関数データ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)42、CPU40の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)44、機関停止後も記憶されているデータ等を保存するバックアップメモリ46等を備えるとともに、インジェクタ18や制御弁38等に駆動信号を出力する外部出力回路48、各種センサからの検出信号が入力される外部入力回路50等を備えている。これら各部40〜46と外部出力回路48及び外部入力回路50とはバス47によって接続されている。
【0050】
エンジン1及びデリバリパイプ16には、上記ECU26による制御に用いられる各種センサが設けられている。
エンジン1のクランクシャフト31の近傍には、同クランクシャフト31の時間当たりの回転数、即ち機関回転速度NEを検出する回転速度センサ51が設けられている。エンジン1のシリンダブロック1bには、エンジン1の冷却水の温度(冷却水温THW)を検出する水温センサ52と、クランクシャフト31等の摺動部分に供給される潤滑油の温度(潤滑油温THO)を検出する油温センサ53とが設けられている。デリバリパイプ16には、燃料圧PFを検出する燃圧センサ54と、同デリバリパイプ16内の燃料の温度(燃料温THF)を検出する燃温センサ55が設けられている。これら各種センサ51〜55の検出信号はいずれも、ECU26の外部入力回路50に入力される。
【0051】
また、エンジン1には、その運転を開始及び停止させるために運転者によって操作されるイグニッションスイッチ56が設けられており、同イグニッションスイッチ56は上記外部入力回路50にイグニッション信号IGを出力する。
【0052】
例えば、イグニッションスイッチ56は、その切換位置がオン位置にあってエンジン1が運転されているときには、イグニッション信号IGを「ON」として出力し、切換位置がオフ位置にあってエンジン1が停止状態にあるときには、外部入力回路50に対してイグニッション信号IGを「OFF」として出力する。因みに、このようにイグニッションスイッチ56の切換位置がオフ位置に切り換えられると、所定時間後にバッテリ(図示略)からECU26への電力供給が遮断され、ECU26による全ての処理が停止される。
【0053】
更に、エンジン1には、同エンジン1を始動させるためのスタータ(図示略)が設けられている。スタータにはその動作状態を検知するスタータスイッチ57が設けられており、同スタータスイッチ57は外部入力回路50にスタータ信号STAを出力する。
【0054】
例えば、スタータスイッチ57は、イグニッションスイッチ56の切換位置がオフ位置からスタート位置にまで切り換えられ、スタータが作動しているとき(クランキング中)に、スタータ信号STAを「ON」として出力し、始動が完了してイグニッションスイッチ56の切換位置がスタート位置からオン位置まで戻されると、スタータ信号STAを「OFF」として出力する。
【0055】
また、車両2の車輪(図示略)の近傍にはその回転速度、即ち車輪速度NTを検出するための車輪速度センサ58が設けられており、同車輪速度センサ58の出力信号は外部入力回路50に入力されている。
【0056】
次に、デリバリパイプ16内の燃料圧を制御する際の制御手順について図4のフローチャートを参照して説明する。同図に示す「燃料圧制御ルーチン」の各処理は、ECU26により所定クランク角度毎の割込処理として実行される。
【0057】
本実施形態に係る燃料圧制御は、各Oリング20,21の温度が低温である場合に、そのシール能力の低下に起因した燃料洩れの発生を防止すべくデリバリパイプ16の燃料圧をエンジン1の運転状態に基づいて設定される圧力値よりも低圧に変更する処理(以下、「燃圧抑制処理」という)を実行するようにしている点に特徴がある。
【0058】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU26は、ステップ110において機関回転速度NE、燃料噴射量Q、燃料温THF、及び燃料圧PFを読み込む。燃料噴射量Qは、本ルーチンとは別の燃料噴射制御ルーチンにおいて算出され、RAM44に記憶されている。次に、ECU26は、ステップ112において燃圧抑制処理実行フラグXPLOWが「0」であるか否かを判断する。この燃圧抑制処理実行フラグXPLOWは、前述した「燃圧抑制処理」が実行中であるか否かを判断するためのものであり、同制御が実行されているときに「1」に設定されるフラグである。
【0059】
ステップ112において「燃圧抑制処理」が実行されていないと判断した場合(XPLOW=「0」)、ECU26は、ステップ114において燃料温THFと下限判定温度THFLOWとを比較する。
【0060】
この下限判定温度THFLOWは、「燃圧抑制処理」を実行すべきか否かを判断するためのものであり、実験により予め決定され、ROM42に記憶されている値である。燃料温THFがこの下限判定温度THFLOW未満である場合には、各Oリング20,21の温度が低く、そのシール能力が低下しているため、同Oリング20,21が配設されている部分に燃料洩れが発生するおそれがあるものと判断される。
【0061】
このステップ114において、燃料温THFが下限判定温度THFLOW以上である旨判断した場合、ECU26は上記のような燃料洩れの発生するおそれがないとして処理をステップ116に移行する。
【0062】
ステップ116において、ECU26は、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。このように機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて算出される目標燃圧値PFTRGは、エンジン1の運転状態に最も適した圧力値となっている。
【0063】
ROM42には、この目標燃圧値PFTRGと機関回転速度NE及び燃料噴射量Qとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU26は目標燃圧値PFTRGを算出する際に、この関数データを参照する。
【0064】
一方、ステップ114において、燃料温THFが下限判定温度THFLOW未満である旨判断した場合、ECU26は「燃圧抑制処理」を実行すべく処理をステップ120に移行する。そして、ECU26は、ステップ120において、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「1」に設定した後、ステップ122において、燃料温THFに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。ROM42には、目標燃圧値PFTRGと燃料温THFとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU26は目標燃圧値PFTRGを算出する際に、この関数データを参照する。また、この燃料温THFに基づく目標燃圧値PFTRGは、前述したステップ116において機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づき算出される目標燃圧値PFTRG、換言すればエンジン1の運転状態に対応した圧力値と比較して常に低い圧力値として算出される。
【0065】
図5は、こうした目標燃圧値PFTRGと燃料温THFとの関係を示すグラフである。
同図に実線で示すように、目標燃圧値PFTRGは燃料温THFが低くなるほど低く設定される。燃料温THFが低いほど、Oリング20,21の温度が低くなり、そのシール能力が低下するため、目標燃圧値PFTRGをより低く設定することによって燃料洩れの発生を確実に防止する必要があるからである。
【0066】
ステップ122又はステップ116において、目標燃圧値PFTRGを算出した後、ECU26は、ステップ118において、燃料圧PF及び目標燃圧値PFTRGに基づいてサプライポンプ12を制御する。即ち、このステップ118において、ECU26は前記圧送開始時期を調節することにより、燃料圧PFと目標燃圧値PFTRGとの偏差が減少するように、サプライポンプ12の燃料圧送量を制御する。その後、ECU26は、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0067】
一方、前述したステップ112において「燃圧抑制処理」が実行中であると判断した場合(XPLOW=「1」)、ECU26は、ステップ130において、燃料温THFと上限判定温度THFHIとを比較する。
【0068】
この上限判定温度THFHIは、「燃圧抑制処理」を終了すべきか否かを判断するためのものであり、上限判定温度THFHIは上記下限判定温度THFLOWよりも所定温度だけ高い温度に設定され、ROM42に記憶されている値である。
【0069】
ステップ130において、燃料温THFが上限判定温度THFHI以下である旨判断した場合、ECU26は「燃圧抑制処理」を継続して実行すべく上記ステップ122以降の処理を実行する。一方、ステップ130において、燃料温THFが上限判定温度THFHIより大きい旨判断した場合、ECU26は「燃圧抑制処理」を終了すべく処理をステップ132に移行する。そして、ECU26は、ステップ132において燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「0」に設定した後、上記ステップ116以降の処理を実行する。このように、本実施形態の燃料圧制御では、燃料温THFが下限判定温度THFLOWを下回り、一旦、「燃圧抑制処理」が開始されると、同燃料温THFが上限判定温度THFHIを上回るようになるまでは「燃圧抑制処理」が継続して実行される。
【0070】
以上説明したように、本実施形態では、Oリング20,21の温度と相関を有する燃料温THFを検出し、その燃料温THFが下限判定温度THFLOW未満である場合には、Oリング20,21の温度が低くなっており、そのシール能力も低下していると判断して、デリバリパイプ16の燃料圧をエンジン1の運転状態に基づく圧力値よりも低い圧力値に制御するようにしている。
【0071】
一方、燃料温THFが下限判定温度THFLOW以上である場合には、Oリング20,21のシール能力が十分に大きく、デリバリパイプ16や高圧燃料通路14等の高圧燃料配管内におけるシール性が確保されると判断して、デリバリパイプ16の燃料圧をエンジン1の運転状態に基づく圧力値にまで上昇させるようにしている。
【0072】
(1)従って、噴射燃料の微粒化を図りつつ、低温時におけるOリング20,21のシール能力低下に起因した燃料洩れを防止することができる。
特に、本実施形態では、Oリング20,21の温度をデリバリパイプ16内の燃料の温度(燃料温THF)に基づいて推定するようにしているが、同燃料はOリング20,21と直接接触しているため、その温度はOリング20,21の温度と高い相関性を有している。
【0073】
(2)従って、Oリング20,21におけるシール能力を正確に推定することができ、燃料洩れの発生するおそれがあることをその推定されるシール能力に基づいて判定する際に正確な判定を行うことができるようになる。その結果、燃料洩れの発生を更に確実に防止することができるとともに、不必要な「燃圧抑制処理」の実行により噴射燃料の微粒化度合いが低下してしまうことを回避することができるようになる。
【0074】
更に、本実施形態では、燃料温THFが下限判定温度THFLOW未満である場合に、デリバリパイプ16の燃料圧を運転状態に基づく圧力値よりも低い一定の圧力値に制御するのではなく、燃料温THFに応じて同燃料圧を変更するようにしている。
【0075】
例えば、図5に一点鎖線で示すように、燃料温THFが下限判定温度THFLOW未満である場合に、目標燃圧値PFTRGを十分に低い一定の圧力値に制御するようにしても、Oリング20,21のシール能力低下に起因した燃料洩れを防止することはできる。しかしながら、こうした構成では、燃料温THFが下限判定温度THFLOW近傍にまで上昇した場合でも、デリバリパイプ16の燃料圧が低圧のまま保持されるため、噴射燃料の微粒化が過度に抑えられてしまう傾向がある。
【0076】
(3)この点、本実施形態によれば、デリバリパイプ16内の燃料圧を燃料温THF、換言すればOリング20,21のシール能力の低下度合に適した圧力値に調節するようにしているため、燃料洩れの発生を確実に防止しつつ、極力、噴射燃料の微粒化を図ることができるようになる。
【0077】
また、本実施形態では、燃料温THFが下限判定温度THFLOWを下回り、一旦、「燃圧抑制処理」が開始されると、同燃料温THFが上限判定温度THFHIを上回るまでは「燃圧抑制処理」が継続して実行される。
【0078】
例えば、燃料温THFが下限判定温度THFLOWを下回ったときに「燃圧抑制処理」を開始し、燃料温THFが下限判定温度THFLOW以上になったときに同制御を終了するようにすると、燃料温THFが下限判定温度THFLOW近傍で変動した場合に、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づく圧力値と燃料温THFに基づく圧力値との間で目標燃圧値PFTRGが頻繁に切り換えられ、サプライポンプ12の制御が不安定になるおそれがある。
【0079】
(4)この点、本実施形態では、「燃圧抑制処理」の開始時期及び終了時期を判定する際の判定温度(THFLOW,THFHI)にヒステリシスを設けるようにしているため、このような制御の不安定化を回避することができ、燃料圧をより安定して制御することができるようになる。
【0080】
[第2の実施形態]
次に第2の実施形態について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
本実施形態は燃料供給装置の構成において、燃温センサ55を省略している点が上記第1の実施形態と相違している。また、本実施形態に係る燃料圧制御では、エンジン1の冷却水温THWをOリング20,21の温度と相関を有した状態量として検出し、同冷却水温THWに基づいて前述した「燃圧抑制処理」を実行するようにしている。以下、こうした燃料圧の制御手順について説明する。
【0082】
図7は、本実施形態における「燃料圧制御ルーチン」の各処理を示すフローチャートである。このルーチンは、ECU26により所定クランク角度毎の割込処理として実行される。
【0083】
本実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における処理と、図4に示す第1の実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における処理との相違は、燃料温THFに代えて冷却水温THWに基づいて「燃圧抑制処理」を実行するように変更したことに伴うものである。従って、以下ではこの相違点に関してのみ説明する。
【0084】
ステップ210において、ECU26は燃料温THFに代えて冷却水温THWを読み込む。そして、ステップ212において「燃圧抑制処理」が実行されていないと判断した場合(XPLOW=「0」)、ECU26は、ステップ214において、冷却水温THWと下限判定温度THWLOWとを比較する。この下限判定温度THWLOWは、燃料温THFに関する下限判定温度THFLOWと同様、「燃圧抑制処理」を実行すべきか否かを判断するためのものであり、実験により予め決定され、ROM42に記憶されている値である。
【0085】
そして、ステップ214において、冷却水温THWが下限判定温度THWLOW以上である旨判断した場合、ECU26は、ステップ216において、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。
【0086】
一方、ステップ214において、冷却水温THWが下限判定温度THWLOW未満である旨判断した場合、ECU26は、ステップ220において燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「1」に設定した後、ステップ222において冷却水温THWに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。
【0087】
ROM42には、目標燃圧値PFTRGと冷却水温THWとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU26は目標燃圧値PFTRGを算出する際に、この関数データを参照する。また、この冷却水温THWに基づく目標燃圧値PFTRGは、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づき算出される目標燃圧値PFTRG(ステップ216)、換言すればエンジン1の運転状態に対応した圧力値と比較して常に低い圧力値として算出される。
【0088】
図6は、上記冷却水温THWと目標燃圧値PFTRGとの関係を示すグラフである。第1の実施形態における目標燃圧値PFTRGと燃料温THFとの関係と同様、目標燃圧値PFTRGは冷却水温THWが低くなるほど低く設定される。冷却水温THWが低いほど、Oリング20,21の温度が低くなり、そのシール能力も低下するため、目標燃圧値PFTRGをより低く設定することによって燃料洩れの発生を確実に防止する必要があるからである。
【0089】
一方、ステップ212において、「燃圧抑制処理」が実行中であると判断した場合、ECU26は、ステップ230において、冷却水温THWと上限判定温度THWHIとを比較する。この上限判定温度THWHIは、燃料温THFに関する上限判定温度THFHIと同様、「燃圧抑制処理」を終了すべきか否かを判断するためのものであり、上記下限判定温度THWLOWよりも所定温度だけ高く設定され、ROM42に記憶されている値である。
【0090】
そして、ステップ230において、冷却水温THWが上限判定温度THWHI以下である旨判断した場合、ECU26は「燃圧抑制処理」を継続して実行すべくステップ222以降の処理を実行する。一方、ステップ230において、冷却水温THWが上限判定温度THWHIより大きい旨判断した場合、ECU26は、「燃圧抑制処理」を終了すべく処理をステップ232に移行する。そして、ステップ232において、ECU26は燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「0」に設定した後、ステップ216以降の処理を実行する。
【0091】
以上説明したように、本実施形態では、Oリング20,21の温度と相関を有する冷却水温THWを検出し、その冷却水温THWが下限判定温度THWLOW未満である場合には、Oリング20,21の温度が低く、そのシール能力が低下しているものと判断して、デリバリパイプ16の燃料圧をエンジン1の運転状態に基づく圧力値よりも相対的に低い圧力値に制御するようにしている(燃圧抑制処理)。
【0092】
また、このようにデリバリパイプ16の燃料圧を低圧に制御する際には、冷却水温THWが低くなるほど、Oリング20,21におけるシール能力が低下しているとしてデリバリパイプ16の燃料圧を相対的に低圧に制御するようにしている。
【0093】
一方、冷却水温THWが機関始動時において既に下限判定温度THWLOW以上となっている場合、或いは、下限判定温度THWLOW未満の温度から上昇して上限判定温度THWHIを上回った場合にはいずれも、Oリング20,21の温度が高く、そのシール能力が十分に大きいため、デリバリパイプ16や高圧燃料通路14等の高圧燃料配管内におけるシール性が確保されると判断して、デリバリパイプ16の燃料圧をエンジン1の運転状態に基づく圧力値にまで上昇させるようにしている。
【0094】
従って、本実施形態においても、上記第1の実施形態の(1),(3),(4)に記載した効果と同等の効果を奏することができる。
更に、本実施形態では、水温センサ52により検出される冷却水温THWに基づいてOリング20,21の温度を推定するようにしている。この水温センサ52は、例えば燃温センサ55等と異なりエンジン1の各種制御で汎用的に用いられる既設のセンサである。
【0095】
(5)従って、本実施形態によれば、Oリング20,21の温度を推定するためのセンサを別途設ける必要がなく、構成の簡素化を図ることも可能になる。
[第3の実施形態]
次に第3の実施形態について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0096】
本実施形態は、燃料供給装置の構成において燃温センサ55を省略している点が上記第1の実施形態と相違している。また、本実施形態に係る燃料圧制御では、機関始動時の冷却水温THW及び潤滑油温THO(以下、それぞれ「始動時水温THWST」、「始動時油温THOST」という)に加え、機関始動時からの経過時間(以下、「始動後経過時間TSTART」という)をOリング20,21の温度と相関を有する状態量として検出し、これら各状態量THWST,THOST,TSTARTに基づいて前述した「燃圧抑制処理」を実行するようにしている。
【0097】
ここで、上記始動時水温THWST及び始動時油温THOSTはいずれも、機関始動時におけるOリング20,21の温度を推定するためのものである。また、始動後経過時間TSTARTは、機関始動後におけるOリング20,21の温度上昇量を推定するためのものである。この始動後経過時間TSTARTは、ECU26によって実行される「始動後経過時間算出ルーチン」によって算出され、RAM44に記憶されている。
【0098】
以下、この始動後経過時間TSTARTの算出手順について、「始動後経過時間算出ルーチン」の各処理を示す図8のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは、ECU26により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0099】
処理がこのルーチンに移行すると、ステップ310において、ECU26は、イグニッション信号IGが「ON」であるか否か、換言すれば、エンジン1が運転状態にあるか或いは停止状態にあるかを判断する。ここでイグニッション信号IGが「ON」であってエンジン1が運転状態にあると判断した場合、ECU26は処理をステップ312に移行する。
【0100】
ステップ312において、ECU26は、現在の始動後経過時間TSTARTに所定時間△T1を加算し、その加算後の値を新たな始動後経過時間TSTARTとして設定する。因みに、この所定時間△T1は本ルーチンの割込周期に相当する時間である。
【0101】
一方、ステップ310において、イグニッション信号IGが「OFF」であると判断した場合、即ち、エンジン1が停止状態にあると判断した場合、ECU26は、ステップ314において、始動後経過時間TSTARTを「0」にリセットする。そして、ECU26は、上記ステップ312,314の処理を実行した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0102】
次に、このようにして算出された始動後経過時間TSTART等に基づいて実行される燃料圧制御について説明する。
図10及び図11は、本実施形態における「燃料圧制御ルーチン」の各処理を示すフローチャートである。このルーチンは、ECU26により所定クランク角度毎の割込処理として実行される。
【0103】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU26は、ステップ320において機関回転速度NE、燃料噴射量Q、燃料圧PF、スタータ信号STA、及び始動後経過時間TSTARTを読み込む。
【0104】
次に、ステップ322において、ECU26はスタータ信号STAが「ON」であるか否か、換言すれば、エンジン1が始動中(クランキング中)であるか否かを判断する。ここでスタータ信号STAが「ON」であってエンジン1が始動中であると判断した場合、ECU26は、処理を図11に示すステップ340に移行する。
【0105】
ステップ340において、ECU26は、冷却水温THW及び潤滑油温THOを読み込む。次に、ECU26は、ステップ342において冷却水温THWを始動時水温THWSTとして設定するとともに、ステップ344において潤滑油温THOを始動時油温THOSTとして設定する。
【0106】
そして、ECU26は、ステップ346において、始動時水温THWSTと上記下限判定温度THFLOWとを比較する。ここで始動時水温THWSTが下限判定温度THWLOW以上である旨判断した場合、ECU26は処理をステップ348に移行する。
【0107】
ステップ348において、ECU26は、始動時油温THOSTと下限判定温度THOLOWとを比較する。この下限判定温度THOLOWは、前述した燃料温THFに関する下限判定温度THFLOWと同様、「燃圧抑制処理」を実行すべきか否かを判断するためのものであり、実験により予め決定され、ROM42に記憶されている値である。
【0108】
ステップ348において、始動時油温THOSTが下限判定温度THOLOW以上である旨判断した場合、ECU26は機関始動時におけるOリング20,21の温度が高く、シール能力の低下に起因した燃料洩れの発生するおそれがないとして処理をステップ350に移行する。そして、ステップ350において、ECU26は、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「0」に設定した後、処理を図10に示すステップ329に移行する。
【0109】
ステップ329において、ECU26は、図4に示すステップ116の処理と同様、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。
【0110】
一方、図11に示すステップ346において、始動時水温THWSTが下限判定温度THWLOW未満である旨判断した場合、或いは、ステップ348において、始動時油温THOSTが下限判定温度THOLOW未満である旨判断した場合、ECU26は、機関始動時におけるOリング20,21の温度が低く、シール能力の低下に起因した燃料洩れの発生するおそれがあると判断して処理をステップ349に移行する。そして、ステップ349において、ECU26は、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「1」に設定した後、処理を図10に示すステップ328に移行する。
【0111】
このステップ328において、ECU26は、始動後経過時間TSTARTに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。ROM42には、この目標燃圧値PFTRGと始動後経過時間TSTARTとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU26は目標燃圧値PFTRGを算出する際に、この関数データを参照する。また、この始動後経過時間TSTARTに基づく目標燃圧値PFTRGは、前述したステップ329において機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づき算出される目標燃圧値PFTRGと比較して常に低い圧力値として算出される。
【0112】
図9は、こうした目標燃圧値PFTRGと始動後経過時間TSTARTとの関係を示すグラフである。同図に示すように、目標燃圧値PFTRGは始動後経過時間TSTARTが短いほど低く設定される。始動後経過時間TSTARTが短いほど、Oリング20,21の温度が低く、十分なシール能力が確保されないため、目標燃圧値PFTRGをより低く設定することによって燃料洩れの発生を確実に防止する必要があるからである。
【0113】
一方、図10に示すステップ322において、スタータ信号STAが「OFF」であると判断した場合、ECU26は、エンジン1が始動中(クランキング中)ではないため、処理をステップ324に移行する。ステップ324において、ECU26は、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWが「1」に設定されているか否か、即ち「燃圧抑制処理」が実行中であるか否かを判定する。ここで「燃圧抑制処理」が実行されていないと判断した場合、ECU26は、ステップ329以降の処理を実行する。
【0114】
一方、ステップ324において、「燃圧抑制処理」が実行中であると判断した場合、ECU26は、処理をステップ326に移行して、始動後経過時間TSTARTと判定時間TJ1とを比較する。
【0115】
この判定時間TJ1は、「燃圧抑制処理」を終了すべきか否か、換言すれば、機関始動後に発生する各気筒内の燃焼熱によってOリング20,21が温度上昇することにより、同Oリング20,21のシール能力が十分に確保されるようになったか否かを判断するためのものであり、実験により予め決定され、ROM42に記憶されている値である。
【0116】
ステップ326において、始動後経過時間TSTARTが判定時間TJ1未満である旨判断した場合、ECU26は、「燃圧抑制処理」を継続して実行すべくステップ328以降の処理を実行する。一方、ステップ326において、始動後経過時間TSTARTが判定時間TJ1以上である旨判断した場合、ECU26は、「燃圧抑制処理」を終了すべく処理をステップ327に移行する。そして、ステップ327において、ECU26は、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「0」に設定した後、ステップ329以降の処理を実行する。
【0117】
このように本実施形態の燃料圧制御では、始動時水温THWST及び始動時油温THOSTの少なくとも一方がそれぞれに対応する下限判定温度THWLOW,THOLOWを下回り、一旦、「燃圧抑制処理」が開始されると、始動後経過時間TSTARTがこの判定時間TJ1を上回るようになるまでは「燃圧抑制処理」が継続して実行される。
【0118】
ステップ328或いはステップ329において目標燃圧値PFTRGを算出した後、ECU26は、処理をステップ330に移行する。そして、ステップ330において、ECU26は、燃料圧PF及び目標燃圧値PFTRGに基づいてサプライポンプ12を制御した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0119】
以上説明したように、本実施形態では、Oリング20,21の温度と相関を有する、機関始動時の冷却水温THW(始動時水温THWST)及び潤滑油温THO(始動時油温THOST)と、始動後経過時間TSTARTとを検出し、始動時水温THWST及び始動時油温THOSTの少なくとも一方が下限判定温度THWLOW,THOLOW未満であり、且つ、始動後経過時間TSTARTが判定時間TJ1未満である場合には、Oリング20,21の温度が低く、そのシール能力が低下しているものと判断して、デリバリパイプ16の燃料圧をエンジン1の運転状態に基づく圧力値よりも相対的に低い圧力値に制御するようにしている。
【0120】
また、このようにデリバリパイプ16の燃料圧を低圧に制御する際には、始動後経過時間TSTARTが短いほど、Oリング20,21の温度上昇が小さく、そのシール能力が低下していると判断してデリバリパイプ16の燃料圧を相対的に低圧に制御するようにしている。
【0121】
一方、始動時水温THWST及び始動時油温THOSTの双方が下限判定温度THWLOW,THOLOW以上である場合、或いは、始動時水温THWST及び始動時油温THOSTの一方が下限判定温度THWLOW,THOLOW未満であっても始動後経過時間TSTARTが判定時間TJ1以上になった場合には、機関始動時において既にOリング20,21のシール能力が十分に高くなっており、或いは、機関始動後のOリング20,21の温度上昇に伴ってそのシール能力が十分に大きくなっているため、デリバリパイプ16や高圧燃料通路14等の高圧燃料配管内におけるシール性が確保されると判断して、デリバリパイプ16の燃料圧をエンジン1の運転状態に基づく圧力値に設定するようにしている。
【0122】
従って、本実施形態においても、上記第1の実施形態の(1),(3)に記載した効果と同等の効果を奏することができる。
ところで、Oリング20,21において十分なシール能力が確保できることを判断するうえでは、始動時水温THWST及び始動時油温THOSTに基づいて機関始動時におけるOリング20,21の温度を推定することなく、単に始動後経過時間TSTARTが判定時間TJ1以上になったことのみを判定するだけでもよい。しかしながら、こうした構成にあっては、エンジン1を停止してから直ぐに再始動するような場合に、Oリング20,21の温度が高く、十分なシール能力が確保できるのにも関わらず、判定時間TJ1が経過するまで「燃圧抑制処理」が実行されてしまうことがある。
【0123】
この点、本実施形態によれば、始動時水温THWST及び始動時油温THOSTの双方が下限判定温度THWLOW,THOLOW以上である場合、即ち始動時において既にOリング20,21のシール能力が確保される場合には、始動後経過時間TSTARTが判定時間TJ1未満であっても「燃圧抑制処理」が実行されることはない。
【0124】
(6)従って、不必要な「燃圧抑制処理」の実行により噴射燃料の微粒化度合いが低下してしまうことを回避することができるようになる。
[第4の実施形態]
次に第4の実施形態について上記第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0125】
第3の実施形態では、機関始動後からの経過時間(始動後経過時間TSTART)に基づいて、機関始動後におけるOリング20,21の温度上昇量を推定するようにしたが、本実施形態では、機関始動後からの燃料噴射量の積算値(以下、「燃料噴射量積算値QSIGMA」という)から上記温度上昇量を推定するようにしている。そして、この燃料噴射量積算値QSIGMAに基づいて「燃圧抑制処理」の終了時期を決定するようにしている。
【0126】
以下、こうした燃料噴射量積算値QSIGMAの算出手順について、「燃料噴射量積算値算出ルーチン」の各処理を示す図12のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは、ECU26により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0127】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU26は、ステップ408において、燃料噴射量Qを読み込む。次に、ステップ410において、ECU26は、イグニッション信号IGが「ON」であるか否かを判断する。ここでイグニッション信号IGが「ON」である旨判断した場合、ECU26は、エンジン1が運転されているとしてステップ412に移行する。
【0128】
ステップ412において、ECU26は、現在の燃料噴射量積算値QSIGMAにステップ408で読み込まれた燃料噴射量Qを加算し、その加算後の値を新たな燃料噴射量積算値QSIGMAとして設定する。
【0129】
一方、ステップ410においてイグニッション信号IGが「OFF」である旨判断した場合、即ち、エンジン1が停止状態にある場合、ECU26は、ステップ414において、燃料噴射量積算値QSIGMAを「0」にリセットする。上記ステップ412,414の処理を実行した後、ECU26は本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0130】
次に、このようにして算出された燃料噴射量積算値QSIGMA等に基づいて実行される燃料圧制御について説明する。
図14は、本実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における各処理を示すフローチャートである。このルーチンは、ECU26により所定クランク角度毎の割込処理として実行される。
【0131】
本実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における処理と、図10及び図11に示す第3の実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における処理との相違は、始動後経過時間TSTARTに代え、燃料噴射量積算値QSIGMAに基づいて「燃圧抑制処理」の終了時期を決定するようにしたことに伴うものである。従って、以下ではこの相違点に関してのみ説明する。
【0132】
ステップ422において、スタータ信号STAが「ON」であり、エンジン1が始動中であると判断した場合、ECU26は、処理を前述した図11に示すステップ340に移行し、同ステップ340以降の処理を実行する。
【0133】
一方、ステップ422においてスタータ信号STAが「OFF」であると判断した場合、ECU26は処理をステップ424に移行する。そして、ステップ424において「燃圧抑制処理」が実行中であると判断されると、ECU26は、ステップ426において、ステップ420で読み込んだ燃料噴射量積算値QSIGMAと判定量QJとを比較する。
【0134】
この判定量QJは、「燃圧抑制処理」を終了すべきか否か、換言すれば、機関始動後に発生する各気筒内の燃焼熱によってOリング20,21が温度上昇することにより、同Oリング20,21のシール能力が十分に確保されるようになったか否かを判断するためのものであり、実験により予め決定され、ROM42に記憶されている値である。
【0135】
ステップ426において、燃料噴射量積算値QSIGMAが判定量QJ未満である旨判断した場合、ECU26は、「燃圧抑制処理」を継続して実行すべく処理をステップ428に移行する。
【0136】
ステップ428において、ECU26は、燃料噴射量積算値QSIGMAに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。ROM42には、この目標燃圧値PFTRGと燃料噴射量積算値QSIGMAとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU26は目標燃圧値PFTRGを算出する際に、この関数データを参照する。また、この燃料噴射量積算値QSIGMAに基づく目標燃圧値PFTRGは、ステップ429において機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づき算出される目標燃圧値PFTRG、換言すればエンジン1の運転状態に対応した圧力値と比較して常に低い圧力値として算出される。
【0137】
図13は、こうした目標燃圧値PFTRGと燃料噴射量積算値QSIGMAとの関係を示すグラフである。同図に示すように、目標燃圧値PFTRGは、始動後経過時間TSTARTとの関係と同様、燃料噴射量積算値QSIGMAが少なくなるほど低く設定される。
【0138】
燃料噴射量積算値QSIGMAが少ないほど、機関始動後に各気筒に発生する総燃焼熱量が少なくなり、Oリング20,21の受熱量も少なくなるため、同Oリング20,21の温度上昇量は小さくなる。従って、Oリング20,21の温度が低くなり、そのシール能力が低下するようになる。このため、燃料噴射量積算値QSIGMAが少ないときには目標燃圧値PFTRGをより低く設定することによって燃料洩れの発生を確実に防止するようにしている。
【0139】
ステップ428、或いはステップ429において目標燃圧値PFTRGを算出した後、ECU26は、ステップ430において、燃料圧PF及び目標燃圧値PFTRGに基づきサプライポンプ12を制御する。その後、ECU26は本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0140】
以上説明した本実施形態によっても、第3の実施形態と同様、燃料噴射量積算値QSIGMAに基づき機関始動後におけるOリング20,21の温度上昇量を正確に把握して同Oリング20,21の温度を推定したうえで「燃圧抑制処理」の終了時期を決定することができるため、第3の実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
【0141】
特に、本実施形態においてOリング20,21の温度上昇量を推定するのに用いている燃料噴射量積算値QSIGMAは、機関始動後からの経過時間(始動後経過時間TSTART)よりも同温度上昇量をより正確に反映したものとなっている。上記経過時間が同じであっても、Oリング20,21の温度上昇量は、機関始動後において各気筒に発生する総燃焼熱量によって異なるようになるからである。従って、本実施形態によれば、Oリング20,21の温度上昇量を更に正確に把握したうえで「燃圧抑制処理」の終了時期を決定することができる。
【0142】
[第5の実施形態]
次に第5の実施形態について上記第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0143】
本実施形態に係る燃料圧制御では、エンジン1が運転された総時間(以下、「累積稼動時間TTOTAL」という)を算出し、この累積稼動時間TTOTALが所定時間に達した後は、「燃圧抑制処理」の実行を禁止するようにしている。
【0144】
本実施形態において、この累積稼動時間TTOTALは、低温時におけるOリング20,21のシール能力を推定するためのものである。Oリング20,21が燃料と接触すると、その内部に燃料が浸透して膨潤するようになる。このようにOリング20,21が燃料によって膨潤すると、Oリング20,21の柔軟性が増大するため、低温時におけるシール能力も増大するようになる。
【0145】
また、エンジン1が運転されていると、デリバリパイプ16の内部は常に燃料によって満たされるようになる。従って、上記累積稼動時間TTOTALからOリング20,21と燃料との接触時間を推定することができ、更にこの接触時間からOリング20,21の膨潤度合、ひいてはそのシール能力を推定することができる。
【0146】
以下、この累積稼動時間TTOTALの算出手順について、「累積稼動時間算出ルーチン」の各処理を示す図16のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは、ECU26により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0147】
処理がこのルーチンに移行すると、ステップ510において、ECU26は、イグニッション信号IGが「ON」であるか否か、換言すれば、エンジン1が運転状態にあるか或いは停止状態にあるかを判断する。ここでイグニッション信号IGが「ON」であると判断した場合、エンジン1が運転状態にあるものとして、ECU26は、処理をステップ512に移行する。
【0148】
ステップ512において、ECU26は、現在の累積稼動時間TTOTALに所定時間△T2を加算し、その加算後の値を新たな累積稼動時間TTOTALとして設定し、これをバックアップメモリ46に記憶する。因みに、この所定時間△T2は本ルーチンの割込周期に相当する時間である。また、この累積稼動時間TTOTALの値は、機関停止後においてもバックアップメモリ46に保持される。
【0149】
このステップ512の処理を実行した後、或いはステップ510において、イグニッション信号IGが「OFF」であると判断した場合、ECU26は本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0150】
次に、このようにして算出される累積稼動時間TTOTAL等に基づいて実行される燃料圧制御について説明する。
図15は、本実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における各処理を示すフローチャートである。このルーチンは、ECU26により所定クランク角度毎の割込処理として実行される。
【0151】
本実施形態における「燃料圧制御ルーチン」は、図7に示す第2の実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における処理手順の一部を変更したものである。即ち、図15に示すステップ210において機関回転速度NE、燃料噴射量Q、冷却水温THW、燃料圧PFに加え、累積稼動時間TTOTALを読み込んだ後、ECU26は処理をステップ211に移行する。
【0152】
このステップ211において、ECU26は、累積稼動時間TTOTALと判定時間TJ2とを比較する。
この判定時間TJ2は、「燃圧抑制処理」の実行を禁止すべきか否かを判断するためのものであり、実験により予め決定され、ROM42に記憶されている値である。累積稼動時間TTOTALが、この判定時間TJ2以上である場合には、各Oリング20,21の膨潤度合が大きく、低温時においても十分なシール能力を確保することができるものと判断することができる。
【0153】
ステップ211において、累積稼動時間TTOTALが判定時間TJ2未満であると判断した場合、即ちOリング20,21の膨潤度合が低温時においても十分なシール能力を確保可能な度合にまで達していないと判断した場合、ECU26は、ステップ212以降の処理を順次実行する。
【0154】
一方、このステップ211において、累積稼動時間TTOTALが判定時間TJ2以上である旨判断した場合、ECU26は、「燃圧抑制処理」を禁止すべく処理をステップ216に移行する。従って、冷却水温THWの大きさに拘わらず、目標燃圧値PFTRGは機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づきエンジン1の運転状態に対応した値として算出されるようになる。
【0155】
以上説明した本実施形態によれば、第2の実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
更に、本実施形態では、累積稼動時間TTOTALが判定時間TJ2以上となった場合、即ち、Oリング20,21の膨潤度合が大きくなり、低温時においても十分なシール能力が確保されるようになった場合には、冷却水温THWが下限判定温度THWLOW以下となっている場合でも「燃圧抑制処理」の実行が禁止されるようになる。
【0156】
(7)従って、本実施形態によれば、デリバリパイプ16の燃料圧PFが不必要に低下してしまうことが回避される。その結果、エンジン1の運転状態に応じた燃料圧で燃料噴射を実行することができ、エンジン1の良好な燃焼状態を確保することができるようになる。
【0157】
[第6の実施形態]
次に第6の実施形態について上記第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0158】
本実施形態に係る燃料圧制御は、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて運転状態に対応した目標燃圧値(本実施形態においては、特に「基本目標燃圧値PFTRGB」という)を算出し、この基本目標燃圧値PFTRGBを冷却水温THWに応じて補正するようにしている。
【0159】
図18は、本実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における各処理を示すフローチャートである。このルーチンは、ECU26により所定クランク角度毎の割込処理として実行される。
【0160】
処理がこのルーチンに移行すると、ステップ610において、ECU26は、機関回転速度NE、燃料噴射量Q、冷却水温THW、及び燃料圧PFをそれぞれ読み込む。そして、ECU26は、ステップ612において、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて基本目標燃圧値PFTRGBを算出する。
【0161】
次に、ステップ614において、ECU26は冷却水温THWに基づき燃圧補正係数KTHWを算出する。この燃圧補正係数KTHWは、燃料洩れの発生を防止すべく上記基本目標燃圧値PFTRGBを冷却水温THWに応じて補正するための係数である。ROM42には、この燃圧補正係数KTHWと冷却水温THWとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU26は目標燃圧値PFTRGを算出する際に、この関数データを参照する。
【0162】
図17はこの関数データを示すグラフである。同図に示すように、燃圧補正係数KTHWは、冷却水温THWが所定温度THW1以上の範囲にあるときには「1」として算出され、同所定温度THW1よりも低い範囲にあるときには、同冷却水温THWが低くなるほど小さい値として算出される。
【0163】
ここで、上記所定温度THW1は、前述した下限判定温度THWLOWと同様、「燃圧抑制処理」を実行すべきか否かを判断するためのものであり、実験により予め決定され、ROM42に記憶されている値である。即ち、冷却水温THWがこの所定温度THW1よりもい場合には、各Oリング20,21の温度が高く、十分なシール能力が確保されるものと判断することができる
そして、ステップ616において、ECU26は、上記基本目標燃圧値PFTRGBに対して燃圧補正係数KTHWを乗算した値を最終的な目標燃圧値PFTRGとして設定する。このように目標燃圧値PFTRGを算出した後、ステップ618において、ECU26は燃料圧PF及び目標燃圧値PFTRGに基づいてサプライポンプ12を制御し、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0164】
以上説明した本実施形態によれば、冷却水温THWが所定温度THW1よりも低い範囲にあるときには、同冷却水温THWが低くなるほど目標燃圧値PFTRGが低く設定される。一方、冷却水温THWが所定温度THW1以上の範囲にあるときには、燃圧補正係数KTHWが「1」に設定されるため、目標燃圧値PFTRGが機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づく圧力値、換言すればエンジン1の運転状態に応じた圧力値に設定される。
【0165】
従って、本実施形態においても第2の実施形態と同等の作用効果を奏することができる。
[第7の実施形態]
次に第7の実施形態について上記第5の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0166】
本実施形態に係る燃料圧制御では、エンジン1が搭載される車両が走行した総走行距離(以下、「累積走行距離DTOTAL」という)を算出し、この累積走行距離DTOTALが所定距離に達した後は、「燃圧抑制処理」の実行を禁止するようにしている。
【0167】
本実施形態において、累積走行距離DTOTALは前記累積稼動時間TTOTALと同様、低温時におけるOリング20,21のシール能力を推定するためのものである。即ち、この累積走行距離DTOTALからOリング20,21と燃料との接触時間を推定することができ、更にこの接触時間からOリング20,21の膨潤度合、ひいてはそのシール能力を推定することができる。
【0168】
以下、この累積走行距離DTOTALの算出手順について、「累積走行距離算出ルーチン」の各処理を示す図20のフローチャートを参照して説明する。このルーチンは、ECU26により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0169】
まず、ECU26は、ステップ710において、車輪速度センサ58からの出力信号に基づいて車輪速度NTを読み込む。次に、ECU26は、ステップ712においてイグニッション信号IGが「ON」であってエンジン1が運転状態となっているか否かを判断する。
【0170】
ここでイグニッション信号IGが「ON」であると判断すると、ECU26は、ステップ714において、車輪速度NTに所定の定数Kを乗算することにより、単位時間あたりの車両2の走行距離(K×NT)を算出し、これを累積走行距離DTOTALに加算した値を新たな累積走行距離DTOTALとして更新した後、バックアップメモリ46に記憶する。
【0171】
このようにして累積走行距離DTOTALを更新した後、或いはステップ712においてイグニッション信号IGが「OFF」であると判断した場合、ECU26は本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0172】
次に、このようにして算出される累積走行距離DTOTAL等に基づいて実行される燃料圧制御について説明する。
図21は、本実施形態の「燃料圧制御ルーチン」における各処理を示すフローチャートである。このルーチンは、ECU26により所定クランク角度毎の割込処理として実行される。
【0173】
まず、ECU26は、機関回転速度NE、燃料噴射量Q、冷却水温THW、及び燃料圧PFをそれぞれ読み込んだ後、冷却水温THWと下限判定温度THWLOWとを比較する。この下限判定温度THWLOWは、第2の実施形態におけるものと同様、「燃圧抑制処理」を実行すべきか否かを判断するためのものである。
【0174】
ここで、冷却水温THWが下限判定温度THWLOW以下であると判断した場合、ECU26は、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「1」に設定する。一方、冷却水温THWが下限判定温度THWLOWを上回っていると判断した場合は、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「1」に設定する処理を行うことなく以下の処理を行う
【0175】
CU26は冷却水温THWと上限判定温度THWHIとを比較する。この上限判定温度THWHIは、第2の実施形態におけるものと同様、「燃圧抑制処理」を終了すべきか否かを判断するためのものであり、上記下限判定温度THWLOWよりも所定温度だけ高く設定され、ROM42に記憶されている値である。
【0176】
ここで、冷却水温THWが上限判定温度THWHIを上回っていると判断した場合、ECU26は、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「0」に設定し、処理を図21に示すステップ820に移行する。一方、冷却水温THWが上限判定温度THWHI以下であると判断した場合には、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「0」に設定する処理を行うことなく処理をステップ820に移行する。
【0177】
ステップ820において、ECU26は機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。そして、ステップ822において、累積走行距離DTOTALと判定値DJとを比較する。この判定値DJは、前記判定時間TJ2と同様、「燃圧抑制処理」の実行を禁止すべきか否かを判断するためのものであり、実験により予め決定され、ROM42に記憶されている値である。累積走行距離DTOTALが、この判定値DJを上回っている場合には、各Oリング20,21の膨潤度合が大きく、低温時においても十分なシール能力を確保することができるものと判断することができる。
【0178】
このステップ822において累積走行距離DTOTALが判定値DJ未満であると判断した場合、即ちOリング20,21の膨潤度合が低温時においても十分なシール能力を確保可能な度合にまで達していないと判断した場合、ECU26は、ステップ824において、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWが「1」であり、且つ、燃料圧PFが所定圧PF1以上であるか否かを判断する。この所定圧PF1は、仮にOリング20,21のシール能力が低下している場合であっても、燃料洩れを確実に防止することのできる燃料圧であり、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて算出される目標燃圧値PFTRGよりも低圧に設定されている。
【0179】
ここで肯定判断した場合、ECU26は、ステップ826において、目標燃圧値PFTRGを所定圧PF1と等しくなるように再設定する。一方、ステップ822において累積走行距離DTOTALが判定値DJ以上であると判断した場合、或いはステップ824において否定判断した場合はいずれも、ECU26は本ルーチンの処理を一旦終了する。従って、この場合は目標燃圧値PFTRGの再設定は行われず、同目標燃圧値PFTRGはステップ820にて算出されるエンジン1の運転状態に対応した値になる。
【0180】
以上説明した本実施形態によれば、累積走行距離DTOTALが判定値DJを上回った場合、即ち、Oリング20,21の膨潤度合が大きくなり、低温時においても十分なシール能力が確保されるようになった場合には、冷却水温THWが下限判定温度THWLOW以下となっている場合でも「燃圧抑制処理」の実行が禁止されるようになる。
【0181】
従って、本実施形態においても、第5の実施形態と同等の効果を奏することができる。
[第8の実施形態]
次に第8の実施形態について上記第7の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0182】
本実施形態では、累積走行距離DTOTALを算出する際に、燃料が同Oリング20,21に浸透する際の浸透速度をも考慮するようにしている。
以下、こうした累積走行距離DTOTALの算出手順について図22のフローチャートを参照して説明する
【0183】
まず、ステップ710において、ECU26は、車輪速度NT及び燃料圧PFを読み込む。そして、ECU26は、ステップ712でイグニッション信号IGが「ON」であると判断すると、ステップ713において燃料圧PFと判定圧PFJとを比較する。この判定圧PFJはOリング20,21に燃料が浸透する際の浸透速度が所定速度以上になっていることを判定するためのものである。燃料圧PFがこの判定圧PFJ以上である場合には、同Oリング20,21に燃料が確実に浸透する状態となっていると判断することができる。本実施形態では、このステップ713において燃料圧PFが判定圧PFJ以上であると判断される場合にのみ、上記累積走行距離DTOTALが更新される。
【0184】
以上説明したように、本実施形態では累積走行距離DTOTALを算出する際に、上記のような燃料の浸透速度を考慮するようにしているため、同累積走行距離DTOTALをOリング20,21の膨潤度合により即して求めることができるようになる。
【0185】
(8)従って、Oリング20,21の膨潤度合をより正確に推定することができ、不必要な燃料圧PFの低下を更に確実に回避することができるようになる。
[第9の実施形態]
次に第9の実施形態について上記第5の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0186】
本実施形態では、前述したような燃料の浸透速度を累積稼動時間TTOTALに反映させるために、燃料圧PFに基づく重み付けをして累積稼動時間TTOTALを更新するようにしている。
【0187】
以下、この累積稼動時間TTOTALの算出手順について図23のフローチャートを参照して説明する。同図に示す「累積稼動時間算出ルーチン」は、ECU26により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0188】
まず、ECU26は、ステップ508にて燃料圧PFを読み込んだ後、ステップ510においてイグニッション信号IGが「ON」であるか否かを判定する。イグニッション信号IGが「ON」であると判断すると、ECU26は、ステップ511で燃料圧PFに基づいて重み付け係数KTを算出する。この重み付け係数KTはOリング20,21に燃料が浸透する際の浸透速度に応じて累積稼動時間TTOTALを重み付けしたうえで更新するためのものである。
【0189】
ROM42には、図24に示すような、燃料圧PFと重み付け係数KTとの関係を定義する関数データが記憶されており、ECU26は重み付け係数KTを算出する際にこの関数データを参照する。同図に示すように、燃料圧PFが大きくなるほど、重み付け係数KTは大きい値として算出される。
【0190】
次に、ECU26は、ステップ513において、本ルーチンの割込周期に相当する所定時間△T2に、この重み付け係数KTを乗算するとともに、その乗算値(KT×△T2)と現在の累積稼動時間TTOTALとを加算する。そして、その加算値(TTOTAL+KT×△T2)を新たな累積稼動時間TTOTALとして設定し、これをバックアップメモリ46に記憶した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0191】
こうした累積稼動時間TTOTALの算出手順によれば、燃料圧PFが大きく、Oリング20,21への燃料の浸透速度が大きい場合には、累積稼動時間TTOTALがより大きく増大するようになる一方、燃料圧PFが小さく、燃料の浸透速度が小さい場合には、累積稼動時間TTOTALも緩やかに増大するようになる。その結果、累積稼動時間TTOTALは燃料の浸透速度に応じた膨潤度合の変化をより正確に反映して更新されるようになる。
【0192】
(9)従って、本実施形態によれば、燃料の浸透速度による影響を極めて正確に反映させることができ、累積稼動時間TTOTALをOリング20,21の膨潤度合により正確に即して算出することができるようになる。
【0193】
[第10の実施形態]
次に第10の実施形態について上記第5の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0194】
上記第5の実施形態では、累積稼動時間TTOTALに基づいてOリング20,21の膨潤度合を推定するようにしているが、こうしたOリング20,21の膨潤度合は同Oリング20,21が交換された後は、当然、その膨潤度合も初期状態に戻るようになる。そこで、本実施形態ではOリング20,21が交換された場合には、累積稼動時間TTOTALを「0」に初期化するようにしている。
【0195】
以下、この累積稼動時間TTOTALの算出手順について図25のフローチャートを参照して説明する。尚、この図25のフローチャートにおいて図16のフローチャートと同一の符号を付したステップについては同一の処理が行われるため説明を省略する。
【0196】
まず、ECU26は、ステップ506において、リセットフラグXRESETが「1」であるか否かを判断する。このリセットフラグXRESETは、バッテリとECU26とを電気的に接続するハーネスが取り外され、ECU26に対する電力供給が全て遮断されたときに「0」に初期化されるフラグである。
【0197】
また、インジェクタ18を交換するとき等、Oリング20,21が交換される場合には、上記バッテリとECU26とを接続するハーネスが取り外される。従って、Oリング20,21が交換された場合には、上記リセットフラグXRESETが必ず「0」に初期化されることとなる。
【0198】
ECU26は、ステップ506において、リセットフラグXRESETが「1」であると判断すると、前述したステップ510,512の処理を実行する。一方、ステップ506においてリセットフラグXRESETが「0」であると判断すると、ECU26は処理をステップ507に移行し、累積稼動時間TTOTALを「0」に初期化した後、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0199】
以上説明したように、本実施形態によれば、Oリング20,21が交換されるときには累積稼動時間TTOTALが「0」に初期化されるため、Oリング20,21の膨潤度合が初期状態に戻ったことを、その膨潤度合の推定に反映させることができる。
【0200】
(10)従って、こうしたOリング20,21の交換作業が行われる場合であっても、同Oリング20,21の膨潤度合をその交換作業に対応して正確に推定することができるようになる。
【0201】
[第11の実施形態]
次に第11の実施形態について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0202】
本実施形態では、燃料温THFに代えてデリバリパイプ16の表面温度を検出し、同表面温度と所定の判定温度との比較結果に基づいて「燃圧抑制処理」を実行するか否かを判断するようにしている。
【0203】
以下、本実施形態に係る燃料供給装置の構成並びに「燃圧抑制処理」について図26〜図28を併せ参照して説明する。
図26に示すように、本実施形態の燃料供給装置においては、前述した燃温センサ55に代えてデリバリパイプ16の表面温度を検出する温度センサ59が各接続部16bのうちの一つの近傍に取り付けられている。この温度センサ59からはデリバリパイプ16の表面温度、より詳しくはその接続部16bや燃料導入ポート16cの表面温度THDに応じた信号がECU26の外部入力回路50に対して出力される。ECU26は、この表面温度THDに基づいて各Oリング20,21のシール能力(シール限界圧)を推定するとともに、その推定結果に基づいてデリバリパイプ16内の燃料圧を制御する。
【0204】
次に、こうした本実施形態における燃料圧制御の手順について図28に示すフローチャートを参照して説明する。このフローチャートに示す処理ルーチンは、ECU26により所定クランク角度毎の割込処理として実行される。
【0205】
まず、ECU26は、ステップ910において、機関回転速度NE、燃料噴射量Q、デリバリパイプ16の表面温度THD、及び燃料圧PFをそれぞれ読み込む。
【0206】
次に、ステップ912において、デリバリパイプ16の表面温度THDと所定の判定温度TTHDとを比較する。そして、デリバリパイプ16の表面温度THDがこの判定温度TTHDを下回っている場合には、ステップ914にて燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「1」に設定し、同表面温度THDが判定温度TTHD以上である場合には、ステップ915にて燃圧抑制処理実行フラグXPLOWを「0」に設定する。
【0207】
ステップ916では、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qに基づいて目標燃圧値PFTRGを算出する。そして、ステップ918,920では、燃圧抑制処理実行フラグXPLOWが「1」に設定されている場合にのみ、上記目標燃圧値PFTRGを所定圧PFTRGLOW以下に制限する(PFTRG>PFTRGLOWが満たされるとき、目標燃圧値PFTRGを所定圧PFTRGLOWと等しく再設定する)。
【0208】
本実施形態においては、図27に示すように、上記各Oリング20,21におけるシール限界圧とデリバリパイプ16の表面温度THDとの関係が予め実験等によって求められており、上記所定圧PFTRGLOWは、このシール限界圧よりも常に低い値となるように設定されている。尚、この所定圧PFTRGLOWは、同図に示すように、シール限界圧よりも常に低い一定値としてもよく、或いはシール限界圧の変化に対応すべくデリバリパイプ16の表面温度THDに基づいて可変設定するようにしてもよい。
【0209】
このようにして目標燃圧値PFTRGを設定した後、図28に示すステップ924では、燃料圧PF及び目標燃圧値PFTRGに基づいてサプライポンプ12を制御し、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0210】
以上説明したように、本実施形態では、デリバリパイプ16の表面温度THDを検出し、その表面温度THDが判定温度TTHD未満である場合には、目標燃圧値PFTRGをこれらOリング20,21のシール限界圧よりも低い所定圧PFTRGLOW以下に制限するようにしている。また、デリバリパイプ16は各Oリング20,21と直接接触しているため、上記表面温度THDはこれらOリング20,21の温度と高い相関をもって変化するようになる。
【0211】
従って、本実施形態によっても、第1の実施形態において記載した(1)及び(2)と同様の作用効果を奏することができる。
特に、本実施形態によれば、デリバリパイプ16内の燃料温THFを検出するようにした第1の実施形態に係る構成とは異なり、燃温センサ55といったOリング20,21のシール能力を推定するためのセンサを高圧下に設ける必要がなく、また、同センサ等を設けるに際してそのシール性を確保する配慮が必要になることもない。
【0212】
(11)従って、Oリング20,21のシール能力を推定するためのセンサの取り付けに際し、その取付構造の簡略化を図ることができるようになる。
以上、説明した各実施形態は以下のように構成を変更して実施することもできる。
【0213】
・上記第1、2の実施形態では、Oリング20,21のシール能力を推定するために、同Oリング20,21の温度と相関を有する燃料温THFや冷却水温THWを検出し、これら燃料温THF、冷却水温THWに基づいて「燃圧抑制処理」を実行するようにしたが、こうしたOリング20,21の温度と相関を有するエンジン1の状態量として潤滑油温THOを検出し、同潤滑油温THOに基づいて「燃圧抑制処理」を実行するようにしてもよい。またこの場合、目標燃圧値PFTRGと冷却水温THWとの関係と同様、同目標燃圧値PFTRGを潤滑油温THOに基づいて変更するようにしてもよく、或いは一定値とするようにしてもよい。
【0214】
・第3、4の実施形態では、始動時水温THWST及び始動時油温THOSTの少なくとも一方が各判定温度THWLOW,THOLOW未満であり、且つ、始動後経過時間TSTART或いは燃料噴射量積算値QSIGMAが判定値TJ1,QJ未満であるときに「燃圧抑制処理」を実行するようにしたが、例えば始動時水温THWST及び始動時油温THOSTの双方が各判定温度THWLOW,THOLOW未満であるときに「燃圧抑制処理」を実行するようにしてもよい。
【0215】
また、始動時水温THWST、或いは始動時油温THOSTの一方のみを検出し、これら検出される温度(THWST,THOST)が判定温度(THWLOW,THOLOW)未満であるときに「燃圧抑制処理」を実行する構成としてもよい。
【0216】
更に、機関始動時における燃料温THF(以下、「始動時燃料温THFST」という)を検出し、この機関始動時の燃料温THFが判定温度未満であり、且つ、始動後経過時間TSTART或いは燃料噴射量積算値QSIGMAが判定値TJ1,QJ未満であるときに「燃圧抑制処理」を実行する構成とすることもできる。
【0217】
・第3の実施形態において、
(a−1)始動時水温THWST及び始動時油温THOSTに関わらず、始動後経過時間TSTARTが判定時間TJ1未満であるときは「燃圧抑制処理」を常に実行し、始動後経過時間TSTARTが判定時間TJ1以上となったときに同「燃圧抑制処理」を終了する。
【0218】
(a−2)上記(a−1)に記載した構成において、始動時水温THWST、始動時油温THOST、或いは上記始動時燃料温THFSTが高くなるほど、判定時間TJ1を短く設定する。
といった構成や、
第4の実施形態において、
(b−1)始動時水温THWST及び始動時油温THOSTに関わらず、燃料噴射量積算値QSIGMAが判定量QJ未満であるときは「燃圧抑制処理」を常に実行し、燃料噴射量積算値QSIGMAが判定量QJ以上となったときに同「燃圧抑制処理」を終了する。
【0219】
(b−2)上記(b−1)に記載した構成において、始動時水温THWST、始動時油温THOST、或いは上記始動時燃料温THFSTが高くなるほど、判定量QJを少なく設定する。
といった構成を採用することもできる。
【0220】
・第4の実施形態では、燃料噴射量積算値QSIGMAに基づいてOリング20,21の温度上昇量を推定するようにしたが、例えば、機関始動後の吸入空気量を積算し、燃料噴射量積算値QSIGMAに代えてその吸入空気量の積算値(吸入空気量積算値)に基づいてOリング20,21の温度を推定する構成としても、機関始動後におけるOリング20,21の温度上昇量を推定することができる。また、こうした構成を採用した場合に、始動時水温THWST及び始動時油温THOSTに関わらず、吸入空気量積算値が判定量未満であるときは「燃圧抑制処理」を常に実行し、吸入空気量積算値が判定量以上となったときに同「燃圧抑制処理」を終了することもできる。更に、この場合、上記判定量を、始動時水温THWST、始動時油温THOST、或いは上記始動時燃料温THFSTが高くなるほど少なく設定する構成とすることもできる。
【0221】
・上記第5の実施形態では、累積稼動時間TTOTALが判定時間TJ2以上となったときに「燃圧抑制処理」の実行を禁止するようにしたが、例えば累積稼動時間TTOTALに基づいて下限判定温度THWLOW及び上限判定温度THWHIを変更する構成としてもよい。
【0222】
即ち、図15に示すステップ211における処理を「累積稼動時間TTOTALに基づいて上記各判定温度THWLOW,THWHIを算出する」処理に変更する。これら各判定温度THWLOW,THWHIを算出する際には、ROM42に予め記憶されている累積稼動時間TTOTALと各判定温度THWLOW,THWHIとの関係を定義する関数データを参照する。ここで、累積稼動時間TTOTALと各判定温度THWLOW,THWHIとの関係は、例えば図29のグラフに示すように、同累積稼動時間TTOTALが長くなるほど各判定温度THWLOW,THWHIが低くなるように設定する。また、この場合、累積稼動時間TTOTALに代えて上記累積走行距離DTOTALを用いることもできる。
【0223】
このような構成によっても第5の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また同様に、
(c−1)第1の実施形態において、累積稼動時間TTOTALを算出するとともに、この累積稼動時間TTOTALに基づいて燃料温THFに関する各判定温度THFLOW,THFHIを変更する。
【0224】
(c−2)第3の実施形態において、累積稼動時間TTOTALを算出するとともに、この累積稼動時間TTOTALに基づいて冷却水温THW(始動時水温THWST)に関する各判定温度THWLOW,THOHI及び潤滑油温THO(始動時油温THOST)に関する各判定温度THOLOW,THOHIと、始動後経過時間TSTARTに関する判定時間TJ1とを変更する。
【0225】
(c−3)第4の実施形態において、累積稼動時間TTOTALを算出するとともに、この累積稼動時間TTOTALに基づいて冷却水温THW(始動時水温THWST)に関する各判定温度THWLOW,THOHI及び潤滑油温THO(始動時油温THOST)に関する各判定温度THOLOW,THOHIと、燃料噴射量積算値QSIGMAに関する判定量QJとを変更する。
【0226】
(c−4)第6の実施形態において、累積稼動時間TTOTALを算出するとともに、図30に示すように、この累積稼動時間TTOTALが長くなるほど燃圧補正係数KTHWを大きく設定する。
といった構成を採用することもできる。更に、上記(c−1)〜(c−4)に記載した構成において、累積稼動時間TTOTALに代えて上記累積走行距離DTOTALを用いることもできる。
【0227】
・上記第5、第7、第8、第9の実施形態では、Oリング20,21のシール温度と相関を有する状態量として冷却水温THWを検出し、この冷却水温THWが下限判定温度THWLOW未満であり、且つ、累積稼動時間TTOTAL或いは累積走行距離DTOTALが判定値TJ2,DJ未満であるときに「燃圧抑制処理」を実行するようにしたが、冷却水温THWが下限判定温度THWLOW未満であるとき、或いは上記累積値TTOTAL,DTOTALが判定値TJ2,DJ未満であるときのいずれかのときに常に、「燃圧抑制処理」を実行するようにしてもよい。
【0228】
更にこの構成において、冷却水温THWに代え、燃料温THF、潤滑油温THO、始動後経過時間TSTART、燃料噴射量積算値QSIGMA、表面温度THD、上記吸入空気量積算値の少なくとも一つをシール能力と相関を有する状態量として検出するようにしてもよい。
【0229】
また、始動時水温THWST、始動時油温THOST、上記始動時燃料温THFSTの少なくとも一つが対応する判定温度よりも低く、且つ、始動後経過時間TSTART、燃料噴射量積算値QSIGMA、上記吸入空気量積算値の少なくとも一つが判定値未満であることに基づいて、Oリング20,21の温度状態を推定することもできる。
【0230】
更にこれら各構成において、上記判定温度や判定値を累積稼動時間TTOTALや累積走行距離DTOTALに基づいて設定するようにしたり、或いは「燃圧抑制処理」を実行する際において目標燃圧値PFTRGをこれら累積稼動時間TTOTALや累積走行距離DTOTAL、或いは燃料温THF、潤滑油温THO、始動後経過時間TSTART、燃料噴射量積算値QSIGMA、吸入空気量積算値に基づいて設定することもできる。
【0231】
・上記第6の実施形態では、冷却水温THWに基づいて基本目標燃圧値PFTRGBを設定するようにしたが、この冷却水温THWに代えて、燃料温THF、潤滑油温THO、始動後経過時間TSTART、燃料噴射量積算値QSIGMA、表面温度THD、上記吸入空気量積算値の少なくとも一つに基づいて基本目標燃圧値PFTRGBを設定するようにしてもよい。
【0232】
・第8の実施形態において、累積走行距離DTOTALに代えて累積稼動時間TTOTALを計測する構成とし、燃料圧PFが判定圧PFJ以上であるときにこの累積稼動時間TTOTALを更新するとともに、同累積稼動時間TTOTALが判定時間TJ2を越えたときに「燃料圧抑制処理」を禁止するようにしてもよい。
【0233】
・第9の実施形態では、燃料の浸透速度を累積稼動時間TTOTALに反映させるために、燃料圧PFに基づく重み付けをして累積稼動時間TTOTALを算出するようにしたが、上記累積走行距離DTOTALに対して同様の重み付けをして算出するようにしてもよい。
【0234】
・第10の実施形態では、リセットフラグXRESETに基づいて累積稼動時間TTOTALを初期化することにより、Oリング20,21の交換に対応するようにしたが、第8の実施形態における累積走行距離DTOTALに対して同様の初期化を行うようにしてもよい。
【0235】
・上記各実施形態では、サプライポンプ12よってデリバリパイプ16内の燃料圧PFを制御するようにしたが、例えば、インジェクタ18による噴射量を変更することにより燃料圧PFを制御したり、或いは前記リリーフバルブ28をECU26によって開閉可能な制御弁に変更し、このリリーフバルブ28を開閉することにより燃料圧PFを制御することもできる。
【0236】
・上記各実施形態では、Oリング20,21のシール能力を推定するために、同Oリング20,21の温度と相関を有するエンジン1の状態量として燃料温THF、冷却水温THW、潤滑油温THO、始動後経過時間TSTART、燃料噴射量積算値QSIGMA、表面温度THD、吸入空気量積算値を求めるようにしたが、更にこれら各状態量と相関を有して変化する量、例えば、冷却水温THWと相関を有する燃料噴射量Qの増量値に基づいてOリング20,21のシール能力を推定することもできる。
【0237】
・上記各実施形態では、デリバリパイプ16とインジェクタ18との接続部分、及びデリバリパイプ16と高圧燃料通路14を構成する燃料供給管17との接続部分にOリング20,21を配設するようにしたが、その他に例えば、デリバリパイプ16に対する燃圧センサ54や燃温センサ55の取付部分にOリングを配設した構成としても、その取付部分からの燃料洩れを防止することができる。
【0238】
【発明の効果】
請求項1乃至23に記載した発明によれば、シール部材のシール能力に基づいて所定のシール性が維持されるように高圧燃料配管内の燃料圧を制御するようにしている。従って、低温時においてシール部材のシール能力が低下している場合には、高圧燃料配管内の燃料圧が燃料洩れの発生しない程度の大きさにまで抑えられるようになる。その結果、低温時における高圧燃料配管からの燃料洩れを防止することができるようになる。
【0239】
特に、請求項又は10に記載した発明によれば、機関始動時において既にシール部材の十分なシール能力が確保されるときには、高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御が行われなくなるため、同燃料圧が不必要に低下するのを回避することができるようになる。
【0240】
更に、請求項12乃至23に記載した発明によれば、高圧燃料配管内の燃料圧を燃料洩れの発生しない程度の圧力に制御するうえで、シール部材の膨潤によるシール能力の増大を反映させることができるようになるため、燃料洩れの発生を抑えつつ、同燃料圧が不必要に低下するのを回避することができるようになる。
【0241】
また、請求項20乃至23に記載した発明によれば更に、累積稼動時間や累積走行距離を求める際、燃料圧に応じて変化するシール部材への燃料浸透速度を考慮することができ、こうした累積稼動時間や累積走行距離をシール部材の膨潤度合により即したものとして求めることができるようになる。その結果、シール部材の膨潤度合をより正確に推定することができ、不必要な燃料圧の低下をより確実に回避することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料供給装置を示す概略構成図。
【図2】デリバリパイプとインジェクタとの接続部分の拡大断面図。
【図3】デリバリパイプと燃料供給管との接続部分の拡大断面図。
【図4】第1の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図5】燃料温と目標燃圧値との関係を示すグラフ。
【図6】冷却水温と目標燃圧値との関係を示すグラフ。
【図7】第2の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図8】機関始動後経過時間の算出手順を示すフローチャート。
【図9】始動後経過時間と目標燃圧値との関係を示すグラフ。
【図10】第3の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図11】第3の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図12】累積燃料噴射量の算出手順を示すフローチャート。
【図13】累積燃料噴射量と目標燃圧値との関係を示すグラフ。
【図14】第4の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図15】第5の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図16】累積稼動時間の算出手順を示すフローチャート。
【図17】冷却水温と燃圧補正係数との関係を示すグラフ。
【図18】第6の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図19】第7の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図20】第7の実施形態における累積走行距離の算出手順を示すフローチャート。
【図21】第7の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図22】第8の実施形態における累積走行距離の算出手順を示すフローチャート。
【図23】第9の実施形態における累積稼動時間の算出手順を示すフローチャート。
【図24】燃料圧と重み付け係数との関係を示すグラフ。
【図25】第10の実施形態における累積稼動時間の算出手順を示すフローチャート。
【図26】デリバリパイプの表面温度を検出する温度センサの取付位置を示す燃料供給装置の一部概略構成図。
【図27】デリバリパイプの表面温度と目標燃圧値との関係を示すグラフ。
【図28】第11の実施形態における燃料圧の制御手順を示すフローチャート。
【図29】他の実施形態における累積稼動時間と各判定温度との関係を示すグラフ。
【図30】他の実施形態における冷却水温及び累積稼動時間と燃圧補正係数との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…エンジン、2…車両、1a…シリンダヘッド、1b…シリンダブロック、4…燃料タンク、7…低圧燃料供給路、8…フィードポンプ、10…燃料フィルタ、12…サプライポンプ、14…高圧燃料通路、15…燃料導入部、15a…周溝、16…デリバリパイプ、16a…燃料分配ポート、16b…接続部、16c…燃料導入ポート、17…燃料供給管、17a…周溝、18…インジェクタ、19…ボルト、20…Oリング、21…Oリング、22…チェックバルブ、23…プレッシャレギュレータ、26…ECU、28…リリーフバルブ、30…カムシャフト、32…ポンプカム、31…クランクシャフト、34…プランジャ、35…加圧室、36…リリーフ通路、38…制御弁、40…CPU、42…ROM、44…RAM、46…バックアップメモリ、47…バス、48…外部出力回路、50…外部入力回路、51…回転速度センサ、52…水温センサ、53…油温センサ、54…燃圧センサ、55…燃温センサ、56…イグニッションスイッチ、57…スタータスイッチ、58…車輪速度センサ、59…温度センサ。

Claims (23)

  1. 高圧燃料ポンプにより加圧された燃料を内燃機関のインジェクタに供給する高圧燃料配管を備え、該高圧燃料配管の燃料授受部にはシール性を確保するためのシール部材が配されてなる内燃機関の燃料供給装置において、 前記シール部材のシール能力を推定しつつ、前記燃料授受部における所定のシール性が維持されるように前記高圧燃料配管内の燃料圧を前記推定されるシール能力に基づいて制御する燃料圧制御手段を備え
    前記燃料圧制御手段は前記シール部材の温度の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  2. 請求項1に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記推定されるシール部材の温度が該シール部材のシール能力確保可能温度に達していないことを条件に前記高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を行うものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  3. 請求項2に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる際の低下割合を前記推定されるシール部材の温度に基づいて変更するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  4. 請求項2又は3に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記シール部材の温度と相関を有する前記内燃機関の状態量を検出する検出手段と、該検出される状態量と前記シール部材のシール能力確保可能温度に対応した所定の判定値との比較のもとに前記条件の成立の有無を判定する判定手段とを備え、該判定手段による前記条件の成立有りの判定に基づいて前記高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を行うものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  5. 請求項4に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記検出手段は前記高圧燃料配管内の燃料温度を前記状態量として検出するものであり、
    前記判定手段は前記検出される燃料温度が前記判定値としての所定温度よりも低いときに前記条件の成立有りと判定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  6. 請求項に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記検出手段は前記内燃機関の冷却水及び潤滑油の少なくとも一方の温度を前記状態量として検出するものであり、
    前記判定手段は前記検出される温度が前記判定値としての所定温度よりも低いときに前記条件の成立有りと判定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  7. 請求項に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記検出手段は機関始動時からの経過時間を前記状態量として検出するものであり、
    前記判定手段は前記検出される経過時間が前記判定値としての所定時間未満であるときに前記条件の成立有りと判定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  8. 請求項に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記検出手段は前記インジェクタから噴射される燃料の機関始動時からの積算量或いは前記内燃機関に供給される吸入空気の機関始動時からの積算量を前記状態量として検出するものであり、
    前記判定手段は前記検出される積算量が前記判定値としての所定量未満であるときに前記条件の成立有りと判定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  9. 請求項に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記検出手段は機関始動時における前記高圧燃料配管内の燃料の温度或いは機関始動時における前記内燃機関の冷却水及び潤滑油の少なくとも一方の温度を前記状態量として更に検出するものであり、
    前記判定手段は前記検出される温度が前記判定値としての所定温度よりも低く且つ前記検出される経過時間が所定時間未満であるときに前記条件の成立有りと判定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  10. 請求項8に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記検出手段は機関始動時における前記高圧燃料配管内の燃料の温度或いは機関始動時における前記内燃機関の冷却水及び潤滑油の少なくとも一方の温度を前記状態量として更に検出するものであり、
    前記判定手段は前記検出される温度が前記判定値としての所定温度よりも低く且つ前記検出される積算量が所定量未満であるときに前記条件の成立有りと判定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  11. 請求項に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記検出手段は前記高圧燃料配管における前記燃料授受部の表面温度を前記状態量として検出するものであり、
    前記判定手段は前記検出される表面温度が前記判定値としての所定温度より低いときに前記条件の成立有りと判定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  12. 高圧燃料ポンプにより加圧された燃料を内燃機関のインジェクタに供給する高圧燃料配管を備え、該高圧燃料配管の燃料授受部にはシール性を確保するためのシール部材が配されてなる内燃機関の燃料供給装置において、 前記シール部材のシール能力を推定しつつ、前記燃料授受部における所定のシール性が維持されるように前記高圧燃料配管内の燃料圧を前記推定されるシール能力に基づいて制御する燃料圧制御手段を備え、
    前記燃料圧制御手段は前記シール部材の温度及び膨潤度合の推定をもって前記シール部材のシール能力を推定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  13. 請求項12に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記推定されるシール部材の温度が該シール部材のシール能力確保可能温度に達しておらず且つ前記推定されるシール部材の膨潤度合が該シール部材のシール能力確保可能度合に達していないときに前記高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を行うものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  14. 請求項12に記載した内燃機関の燃料供給装置において、 前記燃料圧制御手段は前記推定されるシール部材の温度が該シール部材のシール能力確保可能温度に達していないとき及び前記推定されるシール部材の膨潤度合が該シール部材のシール能力確保可能度合に達していないときのいずれかのときに前記高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を行うものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  15. 請求項4乃至11のいずれかに記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記シール部材の温度の推定に加え前記シール部材の膨潤度合の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するものであり、前記推定される前記シール部材の膨潤度合が該シール部材のシール能力確保可能度合に達しているときに前記高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる制御を禁止する禁止手段を更に備えるものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  16. 請求項乃至11のいずれかに記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記シール部材の温度の推定に加え前記シール部材の膨潤度合の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するものであり、前記推定されるシール部材の膨潤度合に基づいて前記高圧燃料配管内の燃料圧を低下させる際の低下割合を変更する変更手段を更に備えるものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  17. 請求項乃至11のいずれかに記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記シール部材の温度の推定に加え前記シール部材の膨潤度合の推定をもって該シール部材のシール能力を推定するものであり、前記推定されるシール部材の膨潤度合に基づいて前記判定値を設定する設定手段を更に備えるものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  18. 請求項12乃至17のいずれかに記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記内燃機関の累積稼動時間を計時する計時手段を備え、該計時される累積稼動時間に基づいて前記シール部材の膨潤度合を推定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  19. 請求項12乃至17のいずれかに記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記燃料圧制御手段は前記内燃機関が搭載される車両の累積走行距離を計測する計測手段を備え、該計測される累積走行距離に基づいて前記シール部材の膨潤度合を推定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  20. 請求項18に記載した内燃機関の燃料供給装置において、
    前記計時手段は前記高圧燃料配管内の燃料圧に基づいて前記累積稼動時間の計時態様を変更するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  21. 請求項19に記載した内燃機関の燃料供給装置において、 前記計測手段は前記高圧燃料配管内の燃料圧に基づいて前記累積走行距離の計測態様を変更するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  22. 請求項20に記載した内燃機関の燃料供給装置において、 前記計時手段は前記高圧燃料配管内の燃料圧が所定圧以上であるときの累積稼動時間を計時するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  23. 請求項21に記載した内燃機関の燃料供給装置において、 前記計測手段は前記高圧燃料配管内の燃料圧が所定圧以上であるときの累積走行距離を計測するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
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