JP3551810B2 - 燃料電池用ガスセパレータおよび燃料電池並びに燃料電池におけるガスの流通方法 - Google Patents

燃料電池用ガスセパレータおよび燃料電池並びに燃料電池におけるガスの流通方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用ガスセパレータおよび燃料電池並びに燃料電池におけるガスの流通方法に関し、詳しくは、単セルを複数積層して構成する燃料電池において、隣接する単セル間に設けられ、隣接する部材との間で燃料ガス流路および酸化ガス流路を形成すると共に、燃料ガスと酸化ガスとを隔てる燃料電池用セパレータ、および該セパレータを用いた燃料電池、並びに該燃料電池におけるガスの流通方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池用ガスセパレータは、複数の単セルが積層された燃料電池スタックを構成する部材であって、充分なガス不透過性を備えることによって、隣り合う単セルのそれぞれに供給される燃料ガスおよび酸化ガスが混じり合うのを防いでいる。このような燃料電池用セパレータは、通常は表面にリブ状などの凹凸構造を有しており、燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する働きも有している(このような構成のガスセパレータは、リブ付きインターコネクタとも呼ばれる)。すなわち、燃料電池用セパレータは、燃料電池スタックに組み込まれたときには、隣接する部材(ガス拡散層)と上記凹凸構造との間で、燃料ガスまたは酸化ガスの流路(単セル内ガス流路)を形成する。
【0003】
また、燃料電池用ガスセパレータは、通常は、上記したガス流路を形成する凹凸構造の他に、所定の孔構造を有している。このようなガスセパレータを備える単セルを積層して燃料電池スタックを構成したときには、隣り合うガスセパレータに備えられた対応する孔構造同士が重なって、これらの孔構造によって、燃料電池スタック内をその積層方向に貫くガスマニホールドが形成される。このようなガスマニホールドは、燃料電池の外部から供給される燃料ガスまたは酸化ガスをその内部に通過させつつ各単セルに分配したり、各単セルで電気化学反応に供された後の燃料排ガスあるいは酸化排ガスを集合させてこれらを燃料電池外部に流出させたりする。したがって、上記孔構造によって形成されるガスマニホールドは、積層された各単セル内に形成される上記単セル内ガス流路(単セル内酸化ガス流路または単セル内燃料ガス流路)と連通しており、ガスマニホールドと単セル内流路との間でガスが流出入可能となっている。
【0004】
図18は、従来知られる燃料電池用ガスセパレータの一例として、セパレータ930の構成を平面的に表わす説明図である。セパレータ930は、その周辺近くに、4つの孔構造として、孔部940,942,950,952を備えている。これらの孔部は、セパレータ930を含む部材からなる単セルを複数個積層して燃料電池を構成する際には、隣り合うセパレータ930が備える対応する孔部同士が重なって、燃料電池の内部で、それぞれ、酸化ガス供給マニホールド(外部から供給される酸化ガスを各単セル内酸化ガス流路に分配する)、酸化ガス排出マニホールド(各単セル内酸化ガス流路から排出される酸化排ガスを集合させて燃料電池外に導く)、燃料ガス供給マニホールド(外部から供給される燃料ガスを各単セル内燃料ガス流路に分配する)、燃料ガス排出マニホールド(各単セル内燃料ガス流路から排出される燃料排ガスを集合させて燃料電池外に導く)を形成する。
【0005】
また、セパレータ930の一方の面には、孔部940と孔部942とを連通させる凹部990が設けられており、セパレータ930の他方の面には、孔部950と孔部952とを連通させる凹部(図示せず)が設けられている。これらの凹部は共に、途中2カ所の屈曲部を有する溝状構造となっている。セパレータ930を含む部材を積層して燃料電池を構成する際には、これらの凹部は、セパレータ930に隣接する部材との間で、単セル内ガス流路を形成する。すなわち、孔部940と孔部942とを連通させる凹部990は、単セル内酸化ガス流路を形成し、孔部950と孔部952とを連通させる凹部は、単セル内燃料ガス流路を形成する。燃料電池に供給された酸化ガスは、孔部940によって形成される酸化ガス供給マニホールド内を通過し、各単セル内に形成された単セル内酸化ガス流路に分配され、電気化学反応に供された後に、孔部942によって形成される酸化ガス排出マニホールドで合流して、燃料電池外部に排出される。同様に、燃料電池に供給された燃料ガスは、孔部950によって形成される燃料ガス供給マニホールド内を通過し、各単セル内に形成された単セル内燃料ガス流路に分配され、電気化学反応に供された後に、孔部952によって形成される燃料ガス排出マニホールドで合流して、燃料電池外部に排出される。
【0006】
特に、このような図18に示したセパレータ930では、セパレータ930のそれぞれの面上に設けられた凹部が、一往復半だけ屈曲する形状となっているため、このように屈曲する形状にしない場合に比べて、単セル内ガス流路の流路断面が小さくなり、流路の任意の場所を通過するガスの流速をより速くすることができる。したがって、単セル内ガス流路内を通過するガスが、流路内でよりよく攪拌され、拡散する状態となる。このような状態となることによって、ガス(燃料ガスあるいは酸化ガス)中の電極活物質(水素あるいは酸素)が、電極上に設けられた触媒層と接触し易くなると共に、電極活物質が電気化学反応で利用され易くなり、ガスの利用率が向上する。
【0007】
図18に示した構成の他に、燃料電池用ガスセパレータの表面に設けられた凹部の形状として、上記したように一往復半だけ屈曲した形状の凹部を、同一平面上において各々平行に複数個設け、これら同一面上の複数の凹部に対して、ガス供給マニホールドおよびガス排出マニホールドを形成する一対のガス導入孔およびガス排出孔を介して、ガスの給排を行なう構成が提案されている(例えば、特開平7−263003号公報等)。このような構成とすれば、屈曲した形状の凹部を同一平面上に複数個設けることにより、単セル内ガス流路の流路断面がさらに小さくなり、流路内の任意の場所を通過するガスの流速がより速くなるため、燃料電池におけるガスの利用率をさらに向上させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した図18および公報に開示された燃料電池用ガスセパレータでは、各々の単セルが備える単セル内ガス流路において、この単セル内ガス流路に供給されるガスが通過する孔(図18では孔部940および孔部950)、および、単セル内ガス流路から排出されるガスが通過する孔(図18では孔部942および孔部952)が、それぞれ一つずつしかないため、燃料電池を構成する各々の単セルに対するガスの配流が不均一になってしまうおそれがあるという問題があった。例えば、電気化学反応に伴って生じる生成水などがガスの流路内で凝縮した場合に、この凝縮水が、ガスマニホールドと単セル内ガス流路との接続部付近や、単セル内ガス流路内に滞留してしまうと、この凝縮水が滞留した部位に対応する単セル内ガス流路においてガスの流れに対する抵抗が生じ、ガスの流れが妨げられてしまう。このようにガスの供給状態が悪化した単セルでは、電気化学反応が充分に進行しなくなるため、燃料電池全体では各単セル間で出力電圧にばらつきが生じてしまい、燃料電池の性能が低下するおそれがある。
【0009】
ここで、ガス流路内に生じる凝縮水について説明する。酸化ガスの流路中に生じる凝縮水は、電気化学反応に伴ってカソード側に生じる生成水に起因している。以下に、固体高分子型燃料電池を構成する各単セルで進行する電気化学反応を表わす。
【0010】
→ 2H+2e …(1)
(1/2)O+2H+2e → HO …(2)
+(1/2)O → HO …(3)
【0011】
(1)式はアノード側における反応を、(2)式はカソード側における反応を示し、電池全体としては(3)式に示す反応が進行する。このように固体高分子型燃料電池では、電池反応の進行に伴ってカソード側で生成水が生じる。生じた生成水は、カソード側に供給されている酸化ガス中に気化し、酸化ガスとともに燃料電池外に排出されるが、生成水量が多いときや、酸化ガスが流れる流路中に部分的に温度が低い領域があると、酸化ガスの流路内で生成水が凝縮し、凝縮水が流路内に滞留してしまうことがある。
【0012】
アノード側では、電気化学反応に伴って生成水が生じることはないが、アノード側に供給される燃料ガスは、通常は、燃料電池に供給するのに先立って予め加湿を行なう。すなわち、アノード側で上記(1)式に示した反応が進行する際、生じたプロトンは、水分子と水和した状態で、固体電解質膜中をカソード側に向かって移動するため、固体電解質のアノード側では水が不足する状態となるが、固体電解質の乾きは固体電解質の導電性を低下させてしまうため、通常は、上記したように予め加湿した燃料ガスを供給することによって、固体電解質膜の乾燥を防いでいる。したがって、この燃料ガスに付加された水蒸気が、燃料ガスの流路内で凝縮してしまうことがある。このように、酸化ガスの流路、あるいは、燃料ガスの流路において生じた凝縮水が滞留し、一部の単セルにおいてガスの供給状態が悪化すると、燃料電池全体の性能が悪化してしまうおそれがある。
【0013】
また、燃料電池を構成する各単セル間で出力電圧がばらついてしまうという問題は、上記した凝縮水が原因となる他に、燃料電池用ガスセパレータを成形する際の精度に起因して生じることがある。ガス流路を形成するためにガスセパレータ表面に形成された凹凸構造において、成形の精度が不十分であった場合、すなわち、形成された凹凸の深さにばらつきがあった場合には、各単セルごとに、単セル内ガス流路をガスが通過する際の流路抵抗がばらつき、各単セルごとに供給されるガス量がばらついてしまう。従って、従来知られるガスセパレータを用いた燃料電池では、ガスセパレータを成形する際の精度に起因して、各単セル間で出力電圧がばらついて、燃料電池全体の性能が悪化してしまうおそれがあった。
【0014】
本発明の燃料電池用ガスセパレータおよび燃料電池並びに燃料電池におけるガスの流通方法は、こうした問題を解決し、各単セル内を通過するガスの流量が不均一となって電池性能が低下してしまうのを防止することを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0015】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の燃料電池は、単セルを複数積層してなり、各単セルにおいてガスを利用した電気化学反応によって起電力を得る燃料電池であって、
前記各単セル内にそれぞれ連続して設けられ、前記ガスを通過させて該ガスを前記各単セル内に行き渡らせるための単セル内ガス流路と、
前記燃料電池の外部から流入される前記ガスを分配して、それぞれの前記単セル内ガス流路に供給するガス供給マニホールドと、
それぞれの前記単セル内ガス流路から排出される前記ガスを集めて、前記燃料電池の外部に流出させるガス排出マニホールドと、
前記単セルの積層方向に、前記各単セル内ガス流路をそれぞれ貫通して、前記各単セル内ガス流路間の前記ガスの行き来を可能にする配流マニホールドと
を備えることを要旨とする。
【0016】
以上のように構成された本発明の燃料電池は、単セルを複数積層してなり、燃料電池の外部から流入されるガスを、ガス供給マニホールドが分配して、それぞれの単セル内ガス流路に供給する。各単セル内に設けられた単セル内ガス流路は、供給された前記ガスを通過させて、該ガスを各単セル内に行き渡らせる。各単セルでは、このガスを利用した電気化学反応によって起電力を得る。また、燃料電池には、前記単セルの積層方向に、前記各単セル内ガス流路をそれぞれ貫通して、前記各単セル内ガス流路間の前記ガスの行き来を可能にする配流マニホールドが設けられており、前記ガスは、各単セル内ガス流路を通過する際に、この配流マニホールドを経由する。それぞれの前記単セル内ガス流路から排出された前記ガスは、ガス排出マニホールドに集められて、燃料電池の外部に流出される。
【0017】
また、本発明の燃料電池におけるガスの流通方法は、単セルを複数積層してなり、ガスの供給を受けて、該ガスを利用した電気化学反応によって起電力を得る燃料電池におけるガスの流通方法であって、
(a)前記燃料電池外部から供給された前記ガスを、前記燃料電池に設けられたガス供給マニホールドを介して、各々の前記単セル内部に形成された単セル内ガス流路に分配する工程と、
(b)各々の前記単セルにおいて、前記ガス供給マニホールドから分配された前記ガスを、前記単セル内ガス流路に通過させつつ、各々の前記単セルで進行する電気化学反応に供する工程と、
(c)前記電気化学反応に供された後に各々の前記単セル内ガス流路から排出された前記ガスを、前記燃料電池に設けられたガス排出マニホールドに集合させ、該集合したガスを前記燃料電池外に排出する工程とを備え、
(b−1)前記(b)工程は、各々の前記単セルにおいて、前記単セル内ガス流路を通過する前記ガスの少なくとも一部を、前記燃料電池内部において前記単セルの積層方向に貫通して設けられた配流マニホールドを経由させる工程をさらに備えることを要旨とする。
【0018】
このような本発明の燃料電池、および、本発明の燃料電池におけるガスの流通方法によれば、単セル内ガス流路を通過するガスが、配流マニホールドを経由するため、燃料電池を構成する単セルのいずれかにおいて、ガスの供給状態が悪化することにより出力電圧が低下し、燃料電池全体の性能が低下してしまうのを防止することができる。すなわち、単セルのいずれかにおいて、凝縮水の滞留などによって、単セル内ガス流路にガスが流入する際の流路抵抗が増大し、ガスの供給状態が悪化した場合にも、単セル内ガス流路を通過するガスが配流マニホールドを経由することによって、この配流マニホールドとの接続部よりも下流側の単セル内ガス流路では、ガスの供給量を充分に確保することが可能となる。したがって、凝縮水の滞留などが起こっても、この凝縮水が滞留した単セル全体においてガスの供給状態が悪化してしまうことがない。
【0019】
さらに、本発明の燃料電池、および、本発明の燃料電池におけるガスの流通方法によれば、それぞれの単セル内ガス流路を通過するガスが、配流マニホールドを経由するため、燃料電池全体で、それぞれの単セル内ガス流路を通過するガスの流量(あるいは流速)を均一化することができるという効果を奏する。配流マニホールドでは、各単セル内ガス流路間のガスの行き来が可能となっているため、各単セル内ガス流路を通過するガスの流量にばらつきがある場合には、それらは均一化される。また、燃料電池の内部では、外部から給排されるガスの流れの方向(ガス排出マニホールド内を通過するガスの流れの方向)に応じて、それぞれの単セル内を通過するガス流量に、所定の勾配が生じる。本発明の燃料電池、および、本発明の燃料電池におけるガスの流通方法のように、配流マニホールドを設けてそれぞれの単セル内ガス流路を通過するガス流量を均一化すると、上記した勾配を小さくすることができるため、燃料電池全体を構成するそれぞれの単セルで、ガスの流量を充分に確保することができ、それぞれの単セルで進行する電気化学反応量を高いレベルに維持することができる。
本発明の燃料電池において、前記配流マニホールドは、前記ガス供給マニホールドから単セル内ガス流路に供給されて前記単セル内ガス流路を通過するガスが一旦経由することで、前記各単セル内ガス流路間で前記ガスを行き来可能にすることとしても良い。このような構成とすることで、単セル内ガス流路を通過するガス流量を均一化することができる。
【0020】
本発明の燃料電池は、前記配流マニホールドを複数備えることとしても良い。このような構成とすれば、凝縮水などに起因して、所定の単セルにおいてガスの供給が妨げられることによる影響を削減すると共に、各単セル内ガス流路を通過するガスの流量を均一化する効果をさらに高めることができる。
【0021】
本発明の燃料電池において、前記ガスは、水素を含有する燃料ガスであることとしても良い。このような構成とすれば、燃料電池内に形成された燃料ガスの流路において、上記した効果を得ることができ、燃料電池の電池性能(安定した出力電圧)を充分に高く維持することができる。
【0022】
また、本発明の燃料電池において、前記ガスは、酸素を含有する酸化ガスであることとしても良い。このような構成とすれば、燃料電池内に形成された酸化ガスの流路において、上記した効果を得ることができ、燃料電池の電池性能(安定した出力電圧)を充分に高く維持することができる。
【0023】
本発明の燃料電池用ガスセパレータは、複数の単セルを積層してなる燃料電池に用いられ、電解質層および電極を形成する部材と共に前記単セルを構成する燃料電池用ガスセパレータであって、
該燃料電池用ガスセパレータをその厚み方向にそれぞれ貫通して設けられ、前記燃料電池のガスマニホールドの一部をそれぞれ形成するための3つ以上の孔と、
前記燃料電池用ガスセパレータの一方の面上において、前記3つ以上の孔のうち、所定の第1の孔から所定の第2の孔まで、該第1および第2の孔以外の孔を順次介しながら、前記面上を連通させるように設けられ、前記単セル内のガス流路を形成するための凹部と
を備えることを要旨とする。
【0024】
このような燃料電池用ガスセパレータは、その厚み方向に貫通して設けられた3つ以上の孔を有しており、電解質層および電極を形成する部材と共に単セルを構成し、複数の単セルを積層して構成する燃料電池に用いる。本発明の燃料電池用ガスセパレータを用いて燃料電池を構成したときには、前記3つ以上の孔は、前記燃料電池のガスマニホールドをそれぞれ形成する。また、本発明の燃料電池用ガスセパレータは、その一方の面上に、前記3つ以上の孔のうち、所定の第1の孔から所定の第2の孔まで、該第1および第2の孔以外の孔を順次介しながら、前記面上を連通させる凹部を有している。本発明の燃料電池用ガスセパレータを用いて燃料電池を構成したときには、この凹部は、隣接する部材との間で単セル内のガス流路を形成する。また、この凹部によって形成される単セル内のガス流路は、前記3つ以上の孔のそれぞれによって形成されるガスマニホールドと連通する。このような燃料電池において、所定の第1の孔によって形成されるガスマニホールドに対して、燃料電池の外部からガスを供給すると、供給されたガスは、このガスマニホールドからそれぞれの単セル内のガス流路に分配される。このとき、単セル内のガス流路を通過して排出されるガスは、所定の第2の孔によって形成されるガスマニホールドに集められ、燃料電池外部に流出させることができる。このように単セル内のガス流路をガスが通過する際には、このガスは、前記第1および第2の孔以外の孔によって形成されるガスマニホールドを経由する。
【0025】
このような燃料電池用ガスセパレータによれば、本発明の燃料電池と同様の燃料電池を構成することができ、このような燃料電池において、本発明の燃料電池と同様の効果を得ることができる。従って、本発明の燃料電池用ガスセパレータを用いることにより、燃料電池を構成する単セルのいずれかにおいて、ガスの供給状態が悪化することにより出力電圧が低下し、燃料電池全体の性能が低下してしまうおそれのない燃料電池を構成することができる。また、本発明の燃料電池用ガスセパレータを用いることにより、各単セル内ガス流路を通過するガスの流量を均一化すると共に、燃料電池全体を構成するそれぞれの単セルでガスの流量を充分に確保し、それぞれの単セルで進行する電気化学反応量を高いレベルに維持可能な燃料電池を構成することができる。
【0026】
なお、本発明の燃料電池用ガスセパレータの表面に形成された前記凹部は、平坦な凹面を形成している必要はなく、凹面から突出する凸部を備えていても良く、所定の第1の孔から所定の第2の孔まで、該第1および第2の孔以外の孔を順次介しながら、燃料電池用ガスセパレータの面上を連通させる構造であればよい。
【0027】
本発明の燃料電池において、
前記単セル内ガス流路は、内部を通過する前記ガスの流れの方向を変更するように流路が屈曲する折れ曲がり部を有し、
前記折れ曲がり部は、
前記配流マニホールドが貫通する第1の領域と、
前記折れ曲がり部の内部を通過する前記ガスの一部を、前記配流マニホールドを介することなく通過可能にする第2の領域とを備えることとしてもよい。
【0028】
このような燃料電池では、単セル内ガス流路を通過するガスは、この単セル内ガス流路が屈曲する折れ曲がり部を通過する際に、その一部は、配流マニホールドを経由し、残りは、配流マニホールドを経由しない。このように、配流マニホールドを経由しない第2の領域を設けることで、配流マニホールドが貫通する折れ曲がり部において、充分な流路幅を確保することができ、上記折れ曲がり部をガスが通過する際の圧損を抑え、ガスの流れをよりスムーズにすることができる。
【0029】
また、本発明の燃料電池用ガスセパレータにおいて、
前記凹部は、前記所定の第1の孔から第2の孔までを、前記燃料電池用ガスセパレータの一方の面上において連通させる途中に、該一方の面上で屈曲する折れ曲がり部を備え、
前記折れ曲がり部は、
前記第1および第2の孔以外の孔の一つが貫通する第1の領域と、
該第1の領域を貫通する前記孔に分断されることなく、前記凹部の底面が連続して形成される第2の領域とを備えることとしてもよい。
【0030】
以上のように構成された燃料電池用ガスセパレータによれば、上記した燃料電池と同様の燃料電池を構成することができ、このような燃料電池において、上記した燃料電池と同様の効果を得ることができる。
【0031】
また、上記した燃料電池において、さらに、
前記折れ曲がり部は、U字形を成していることとしてもよい。折れ曲がり部をU字形に形成することで、各単セル内において効果的に単セル内ガス流路を配設して、流路内を通過するガス流量を増やすことができるが、U字形を成す折れ曲がり部では、ガスの流れの方向が逆向きに変更されることにより特に圧損が大きくなり、上記構成とすることで、圧損を軽減してガスの流れをスムーズにする効果を特に顕著に得ることができる。
【0032】
また、本発明の燃料電池において、
前記単セル内ガス流路は、その内部を通過する前記ガスの流れの方向を変更するように流路が屈曲する折れ曲がり部を有し、
前記折れ曲がり部の外周は、滑らかに湾曲するよう形成され、
前記配流マニホールドは、前記折れ曲がり部の外周部において、前記単セル内ガス流路を貫通することとしてもよい。
【0033】
このような構成とすれば、単セル内ガス流路を通過するガスが、折れ曲がり部において、滑らかに湾曲する外周に導かれて流れるため、単セル内ガス流路を通過するガスの流れがよりスムーズになるという効果が得られる。
【0034】
さらに、本発明の燃料電池において、
前記単セル内ガス流路は、その内部を通過する前記ガスの流れの方向を変更するように流路が屈曲する折れ曲がり部を、前記燃料電池の外縁近くに有し、
前記配流マニホールドは、前記燃料電池の外縁近くに設けられると共に、前記折れ曲がり部の外周部において、前記単セル内ガス流路を貫通し、
前記配流マニホールドの断面形状は、前記燃料電池の外縁に沿った縦長形状を成し、
前記配流マニホールドにおける前記燃料電池外縁側の内壁面のうち、縦長形状を成す前記断面形状の端部に対応する内壁面は、前記断面形状の中央部に対応する内壁面に比べて、前記燃料電池の外縁からの厚さが厚いこととしてもよい。
【0035】
このような燃料電池によれば、燃料電池の強度および耐久性を充分に確保することができる。配流マニホールドを燃料電池の外縁近くに設け、配流マニホールドの断面形状が、燃料電池の外縁に沿った縦長形状とすることによって、配流マニホールドを設けることで各単セル内で電気化学反応に関与できる領域が小さくなってしまうのを抑えることができると共に、配流マニホールドにおけるガスシール性を確保するのが容易になる。しかしながら、配流マニホールドが貫通する上記折れ曲がり部において、ガスの流れの方向が変わるため、配流マニホールドの内壁面と燃料電池の外縁との間には、強い応力が働くことになる。この応力は、特に、縦長形状に形成された配流マニホールドの断面の端部に対応する領域において集中することになり、この領域の強度が、燃料電池全体の強度に影響を与えるおそれがある。燃料電池を上記のような構成とすることにより、折れ曲がり部を通過するガスによって強い応力が働く領域の強度を充分に確保することができ、これによって、燃料電池全体の強度を充分に確保することが可能となる。
【0036】
また、本発明の燃料電池用ガスセパレータは、
前記凹部は、前記所定の第1の孔から第2の孔までを、前記燃料電池用ガスセパレータの一方の面上において連通させる途中に、該一方の面上で屈曲する折れ曲がり部を、前記燃料電池用ガスセパレータの外縁近くに有し、
前記第1および第2の孔以外の孔の一つは、
前記燃料電池用ガスセパレータの外縁近くに配設されて、前記燃料電池用ガスセパレータの外縁に沿った縦長形状を成すと共に、前記折れ曲がり部の外周部において、前記凹部を貫通し、
該孔を形成する壁面のうち、前記燃料電池用ガスセパレータの外縁側に位置する壁面は、縦長形状を成す前記孔の端部に対応する部分が、中央部に対応する部分に比べて、前記燃料電池用ガスセパレータの外縁からの距離が大きくなるよう形成されていることを特徴とすることとしてもよい。
【0037】
以上のように構成された燃料電池用ガスセパレータによれば、上記した燃料電池と同様の燃料電池を構成することができ、このような燃料電池において、上記した燃料電池と同様の効果を得ることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。本発明の第1実施例である燃料電池は、固体高分子型燃料電池であり、単セルを複数積層したスタック構造によって形成されている。図1は、第1実施例の燃料電池を構成するスタック構造15の基本単位である単セル20の構成を表わす分解斜視図、図2は、本実施例の燃料電池が備えるセパレータ30の構成を表わす平面図、図3は、スタック構造15の外観を表わす斜視図である。最初に、図1ないし図3に基づいて、燃料電池の構成を説明し、次に、この燃料電池におけるガスの流れの様子について説明する。
【0039】
上述したように、本実施例の燃料電池は、固体高分子型燃料電池であって、基本単位である単セル20を積層したスタック構造15によって構成されている。図1に示すように、単セル20は、電解質膜31,アノード32,カソード33,セパレータ30によって構成されている。
【0040】
ここで、電解質膜31は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本実施例では、ナフィオン膜(デュポン社製)を使用した。電解質膜31の表面には、触媒としての白金または白金と他の金属からなる合金が塗布されている。触媒を塗布する方法としては、白金または白金と他の金属からなる合金を担持したカーボン粉を作製し、この触媒を担持したカーボン粉を適当な有機溶剤に分散させ、電解質溶液(例えば、Aldrich Chemical社、Nafion Solution)を適量添加してペースト化し、電解質膜31上にスクリーン印刷するという方法をとった。あるいは、上記触媒を担持したカーボン粉を含有するペーストを膜成形してシートを作製し、このシートを電解質膜31上にプレスする構成も好適である。
【0041】
アノード32およびカソード33は、共に炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されたガス拡散電極である。なお、カーボンクロスの他、炭素繊維からなるカーボンペーパまたはカーボンフエルトによって形成しても良く、充分なガス拡散性および導電性を有していればよい。
【0042】
セパレータ30は、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした成形カーボンにより形成されている。図2は、セパレータ30をその一方の面から見た様子を表わす平面図である。セパレータ30は、その周辺近くに6個の孔を備えている。すなわち、セパレータ30の1辺の近傍には、この辺に沿って隣接する3つの孔である孔部40,41,42が設けられており、この辺に対向する辺の近傍には、同じく隣接する孔部50,51,52が設けられている。さらに、セパレータ30は、その両面に、所定の形状の凹部を備えている。図2に示すように、セパレータ30の一方の面には、屈曲した形状によって孔部40および孔部41を連通させる凹部90と、同じく屈曲した形状によって孔部41および孔部42を連通させる凹部91とが設けられている。セパレータ30の他方の面にも、上記一方の面と同様に、屈曲した形状によって孔部50および孔部51を連通する凹部92と、同じく屈曲した形状によって孔部51および孔部52を連通する凹部93とが設けられている(図示せず)。
【0043】
図1に示すように、セパレータ30が電解質膜31,アノード32およびカソード33と共に積層されて単セル20を形成し、さらにスタック構造15を構成するときには、各凹部は、隣接するガス拡散電極との間でガス流路を形成する。すなわち、孔部40と41、および孔部41と42を連通させる凹部90および91は、隣接するカソード33の表面との間に単セル内酸化ガス流路を形成し、孔部50と51、および孔部51と52を連通させる凹部92および93は、隣接するアノード32の表面との間に単セル内燃料ガス流路を形成する。
【0044】
単セル20を積層してスタック構造15を組み立てたときには、各セパレータ30が備える孔部40は、スタック構造15内部をその積層方向に貫通する酸化ガス供給マニホールド60を形成する。また、孔部41は、同じくスタック構造15内部をその積層方向に貫通する酸化ガス配流マニホールド61を形成する。また、孔部42は、同じくスタック構造15内部をその積層方向に貫通する酸化ガス排出マニホールド62を形成する。さらに、孔部50は、同じくスタック構造15をその積層方向に貫通する燃料ガス供給マニホールド63を形成し、孔部51は燃料ガス配流マニホールド64を形成し、孔部52は燃料ガス排出マニホールド65を形成する(図2参照)。スタック構造15内に形成されたこれらガス流路内でのガスの流れについては、後に詳しく説明する(後述する図5を参照)。
【0045】
以上説明した各部材を備えるスタック構造15を組み立てるときには、セパレータ30、アノード32、電解質膜31、カソード33、セパレータ30の順序で順次重ね合わせる。さらに、その両端に集電板36,37、絶縁板38,39、エンドプレート80,85を順次配置して図3に示すスタック構造15を完成する。
【0046】
集電板36,37は緻密質カーボンや銅板などガス不透過な導電性部材によって形成され、絶縁板38,39はゴムや樹脂等の絶縁性部材によって形成され、エンドプレート80,85は剛性を備えた鋼等の金属によって形成されている。また、集電板36,37にはそれぞれ出力端子36A,37Aが設けられており、スタック構造15によって構成される燃料電池で生じた起電力を出力可能となっている。なお、集電板36,絶縁板38およびエンドプレート80には、対応する同じ位置に、4つの孔部が設けられている。例えば、エンドプレート80には、孔部70,72,73,75が設けられている(図3参照)。孔部70、および、集電板36と絶縁板38においてこれに対応する同じ位置に設けられた孔部は、スタック構造15を構成したときには、既述した酸化ガス供給マニホールド60に連通するガス流路を形成する。また、孔部72、および、集電板36と絶縁板38においてこれに対応する同じ位置に設けられた孔部は、スタック構造15を構成したときには、既述した酸化ガス排出マニホールド62に連通するガス流路を形成する。同じく、孔部73、および、集電板36と絶縁板38においてこれに対応して設けられた孔部は、燃料ガス供給マニホールド63に連通するガス流路を形成し、孔部75、および、集電板36と絶縁板38においてこれに対応して設けられた孔部は、燃料ガス排出マニホールド65に連通するガス流路を形成する。
【0047】
スタック構造15からなる燃料電池を動作させるときには、エンドプレート80が備える孔部73と図示しない燃料ガス供給装置とが接続され、水素リッチな燃料ガスが燃料電池内部に供給される。同様に、燃料電池を動作させるときには、孔部70と図示しない酸化ガス供給装置とが接続され、酸素を含有する酸化ガス(空気)が燃料電池内部に供給される。ここで、燃料ガス供給装置と酸化ガス供給装置は、それぞれのガスに対して所定量の加湿および加圧を行なって燃料電池に供給する装置である。また、燃料電池を動作させるときには、孔部75と図示しない燃料ガス排出装置とが接続され、孔部72と図示しない酸化ガス排出装置とが接続される。なお、燃料ガスとしては、炭化水素を改質して得た水素リッチガスの他、純度の高い水素ガスを用いることとしても良い。
【0048】
スタック構造15を構成するときの各部材の積層順序は既述した通りであるが、電解質膜31の周辺部には、セパレータ30と接する領域において所定のシール部材が設けられる。このシール部材は、各単セル内部から燃料ガスおよび酸化ガスが漏れ出すのを防ぐと共に、スタック構造15内において燃料ガスと酸化ガスとが混合してしまうのを防止する役割を果たす。
【0049】
以上説明した各部材からなるスタック構造15は、その積層方向に所定の押圧力がかかった状態で保持され、燃料電池が完成する。スタック構造15を押圧する構成については、本発明の要部とは関わらないため図示は省略した。スタック構造15を押圧しながら保持するには、スタック構造15をボルトとナットを用いて締め付ける構成としても良いし、あるいは所定の形状のスタック収納部材を用意して、このスタック収納部材の内部にスタック構造15を収納した上でスタック収納部材の両端部を折り曲げて、スタック構造15に押圧力を作用させる構成としても良い。
【0050】
なお、上記した説明では、セパレータ30は、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンによって形成することとしたが、異なる材質によって形成することとしてもよい。例えば、焼成体カーボンによって形成したり、金属部材によって形成することとしてもよい。金属部材によって形成する場合には、充分な耐腐食性を有する金属を選択することが望ましい。あるいは、充分な耐腐食性を有する材料によって、金属部材の表面を被覆することとしてもよい。
【0051】
また、図2では記載しなかったが、本実施例のセパレータ30は、酸化ガスが通過するガスマニホールドを形成するための孔部40〜42、および、燃料ガスが通過するガスマニホールドを形成するための孔部50〜52の他に、冷却水が通過する冷却水路を形成するための孔部も備えている。燃料電池で進行する電気化学反応は発熱反応であり、上記孔部によって形成される冷却水路内に冷却水を循環させることによって、燃料電池内部の温度を所定の温度範囲に保っている。このような冷却水路を形成するための孔部は、セパレータ30において、例えば、孔部40〜42および50〜52が形成されていない残りの2辺の近傍に設けることができる。冷却水の循環に関する構成は、本発明の要部とは直接関わらないため、冷却水路についてのこれ以上の説明は省略する。
【0052】
なお、図1および図2に示したセパレータ30では、単セル内におけるガスの流れをわかりやすくするために、凹部90,91は、底面が平坦な凹構造のように表わしたが、これらの凹部90,91および凹部92,93には、実際には、その底面から突出する所定の形状の複数の凸構造が設けられている。凹部90,91,92,93に設けられたこのような凸構造の一例を図4に示す。図4(A)は、孔部40および凹部90の一部を拡大した様子を表わす平面図であり、図4(B)は、図4(A)におけるA−A断面の様子を表わす断面図である。図4に示すように、凹部90には、その底面から突出する複数の凸部94が設けられている。これらそれぞれの凸部94は、断面が略四角形であり、それぞれの高さが略同一となるように形成されている。それぞれの凸部94の端部は、スタック構造15を組み立てたときには、隣接するカソード33と接し、このカソード33と接する領域によって、燃料電池内部で充分な導電性を確保している。また、単セル内酸化ガス流路を通過する酸化ガスは、それぞれの凸部94の側面に衝突し、単セル内酸化ガス流路で拡散されることによって、電解質膜31表面の触媒層に効率よく供給される。
【0053】
このように、凹部90に設けられた凸部94は、その端部でガス拡散電極と接することによって充分な導電性を確保すると共に、凹部90が形成する単セル内ガス流路を通過するガスを拡散して、酸化ガスを効率よく電気化学反応に供し、ガスの利用率を向上させるという働きを有する。また、凹部91,92,93にも、凹部90における凸部94と同様の凸構造が設けられており、同様の働きをしている。なお、図4では、凸部94は、断面略四角形としたが、異なる形状の凸構造を異なる位置に配置することとしても良い。凸部94のようにそれぞれの凹部内に分散して配置するのではなく、それぞれの凹部内に形成する凸構造として、例えば、流路内のガスの流れの方向に沿って連続して設けられたリブ状の凸構造を形成し、それぞれの凹部を、互いに平行に走る細かい溝に分割する構成とすることもできる。セパレータ表面に形成されるそれぞれの凹部は、燃料電池内で単セル内ガス流路を形成したときに、それぞれの凹部が連通させる孔部によって形成されるガスマニホールド間で、ガスが流通可能となっていればよい。
【0054】
次に、以上のような構成を備えた燃料電池における燃料ガスおよび酸化ガスの流れについて説明する。最初に、酸化ガスについて説明する。図5は、スタック構造15内での酸化ガスの流れを立体的に表わす説明図である。既述したように、燃料電池外部に設けられた酸化ガス供給装置は、エンドプレート80に設けられた孔部70に接続され、酸化ガス供給装置から供給される酸化ガス(加圧空気)は、絶縁板38および集電板36の対応する位置に設けられた孔部を介して、酸化ガス供給マニホールド60内に導入される。酸化ガス供給マニホールド60内を通過する酸化ガスは、各単セル20において、各セパレータ30が備える凹部90と隣接するカソード33との間で形成されるガス流路(単セル内酸化ガス流路)内に導かれる。これら単セル内酸化ガス流路に導かれた酸化ガスは、単セル内酸化ガス流路から電解質膜31上の触媒層に拡散し、各単セルにおいて電気化学反応に供される。ここで、電気化学反応に関与しなかった残りの酸化ガスは、セパレータ30に設けられた孔部41によって形成される酸化ガス配流マニホールド61を一旦経由する。
【0055】
酸化ガス配流マニホールド61では、それぞれの各単セル内ガス流路を通過する酸化ガスが集合して、互いに流通可能となる。また、この酸化ガス配流マニホールド61では、これら集合した酸化ガスが下向き(図5参照)に流れる。この酸化ガスは、それぞれのセパレータ30が備える孔部41を介して、各単セル20において、各セパレータ30が備える凹部91と隣接するカソード33との間で形成される単セル内酸化ガス流路に導かれる。これら単セル内酸化ガス流路に導かれた酸化ガスは、単セル内酸化ガス流路から電解質膜31上の触媒層に拡散し、各単セルにおいて電気化学反応に供される。ここで、電気化学反応に関与しなかった残りの酸化ガスは、セパレータ30に設けられた孔部42によって形成される酸化ガス排出マニホールド62に排出される。
【0056】
酸化ガス排出マニホールド62では、酸化ガス供給マニホールド60とは逆向きに酸化ガスが通過しながら、各単セル20内に形成された単セル内酸化ガス流路から排出される酸化ガス同士が合流する。酸化ガス排出マニホールド62を通過した酸化ガスは、スタック構造15の端部に達すると、エンドプレート80に設けられた孔部72と、集電板36および絶縁板38の対応する位置に設けられた孔部とを介して、孔部72に接続する酸化ガス排出装置に排出される。
【0057】
以上、スタック構造15内における酸化ガスの流れについて説明したが、スタック構造15内における燃料ガスの流れについても同様である。燃料電池外部に設けられた燃料ガス供給装置は、エンドプレート80に設けられた孔部73に接続され、燃料ガス供給装置から供給される燃料ガスは、絶縁板38および集電板36の対応する位置に設けられた孔部を介して、セパレータ30が備える孔部50によって形成される燃料ガス供給マニホールド63内に導入される。燃料ガス供給マニホールド63内を通過する燃料ガスは、各単セル20において単セル内燃料ガス流路(凹部92と隣接するアノード32との間で形成される)に導かれ、電気化学反応に供される。各単セル20内の単セル内燃料ガス流路を通過する燃料ガスのうち、電気化学反応に関与しなかった残りのガスは、セパレータ30に設けられた孔部51によって形成される燃料ガス配流マニホールド64を一旦経由する。これら燃料ガス配流マニホールドを経由した燃料ガスは、再び各単セル20内の単セル内燃料ガス流路(凹部93と隣接するアノード32との間で形成される)を通過して、電気化学反応に供される。電気化学反応に関与しなかった残りの燃料ガスは、セパレータ30に設けられた孔部52によって形成される燃料ガス排出マニホールド65に排出されて互いに合流し、燃料ガス排出マニホールド内を、燃料ガス供給マニホールド63とは逆向きに通過する。このような燃料ガスは、スタック構造15の端部に達すると、エンドプレート80に設けられた孔部75と、集電板36および絶縁板38の対応する位置に設けられた孔部とを介して、孔部75に接続する燃料ガス排出装置に排出される。
【0058】
なお、上記した説明では、酸化ガス供給マニホールド60と酸化ガス排出マニホールド62、および、燃料ガス供給マニホールド63と燃料ガス排出マニホールド65では、それぞれ、内部を通過するガスの流れる方向が逆向きとなっているが、供給側のマニホールドと排出側のマニホールドとで、同じ方向にガスが通過する構成としても良い。すなわち、エンドプレート80側ではなくエンドプレート85側に、酸化ガス排出装置および燃料ガス排出装置を接続し、スタック構造15において、ガスが供給される端部とは反対側の端部よりガスを排出することとしても良い。
【0059】
以上のように構成された本実施例のセパレータ30を備える燃料電池によれば、酸化ガス配流マニホールドおよび燃料ガス配流マニホールドを備えており、各単セル内ガス流路を通過するガスが、単セル内ガス流路を通過する途中で、これらガス配流マニホールドを一旦経由する。これによって、燃料電池を構成する単セルの一部において、既述した凝縮水や、セパレータ表面に形成された凹凸形状の精度に起因して、単セル内ガス流路を通過するガスの流量にばらつきが生じていた場合にも、配流マニホールドを経由することで、単セル内ガス流路を通過するガス流量が均一化され、配流マニホールドを経由したガス流量のばらつきが軽減される。例えば、燃料電池を構成する単セル20のいずれかにおいて、凝縮水のために、凹部90によって形成される単セル内酸化ガス流路を通過する酸化ガスの流量が少なくなった場合にも、各単セル内を通過する酸化ガスが一旦集合する酸化ガス配流マニホールドを経由することによって、近隣に配置された単セルから酸化ガスが補われ、凹部91によって形成される単セル内酸化ガス流路では酸化ガスの流量が充分となり、特定の単セルにおいて供給される酸化ガス量が極端に低下してしまうことがない。逆に、燃料電池を構成する単セル20のいずれかにおいて、凝縮水のために、凹部91によって形成される単セル内酸化ガス流路を通過する酸化ガスの流量が少なくなった場合にも、凹部90によって形成される上流側の単セル内酸化ガス流路では、酸化ガス配流マニホールドと連通することによって、充分量の酸化ガスが通過することができる。したがって、各単セル内ガス流路を通過するガス流量のばらつきに起因して燃料電池の性能が低下してしまうのを抑えることができる。
【0060】
図6は、本実施例のセパレータ30を用いて構成した燃料電池と、比較例として図8に示したセパレータ130を用いて構成した燃料電池とで、電流−電圧特性を比較した説明図である。セパレータ130は、本実施例のセパレータ30とほぼ同様の形状を有しているが、孔部41および孔部51に対応する構造は有しておらず、例えばセパレータ130の一方の面側では、連続して形成され3カ所の屈曲部を有する単一の凹部190が形成されている(図8参照)。従って、セパレータ130を用いて構成した燃料電池は、酸化ガス配流マニホールドおよび燃料ガス配流マニホールドを有しておらず、各単セル内ガス流路を通過するガスは、上記実施例のように途中で一旦互いに行き来可能となることがない。なお、図8に示したセパレータ130において、セパレータ30と共通する構成には、セパレータ30に付した部材番号に100を加えた部材番号を付し、詳しい説明は省略する。また、セパレータ130の凹部190においても、図4に示したセパレータ30の凹部90に設けられた凸部94と同様の凸部が設けられており、セパレータ130は、セパレータ30の場合と同等の面積において、隣接するガス拡散電極と接して導電性を確保するものとする。
【0061】
図6に示すように、セパレータ30によって構成され、酸化ガス配流マニホールドおよび燃料ガス配流マニホールドを有する燃料電池は、セパレータ130によって構成され、酸化ガス配流マニホールドおよび燃料ガス配流マニホールドを有しない燃料電池に比べて、出力電流が大きくなっても、より高い出力電圧を維持することができた。すなわち、配流マニホールドを設け、それぞれの単セル内ガス流路を通過するガスの流量を均一化することによって、燃料電池の性能の低下を抑えることができた。
【0062】
また、セパレータ30を用いて構成した燃料電池は、この燃料電池を構成する単セル中の一部の単セルにおいて、単セル内ガス流路を通過するガス流速が低下する事態が生じた場合に、この単セル内ガス流路におけるガス流速を均一化するという効果だけでなく、燃料電池全体で、各単セル内ガス流路を通過するガスの流速の勾配を均一化するという効果を奏する。図7は、セパレータ30を用いて構成した燃料電池と、セパレータ130を用いて構成した燃料電池とのそれぞれにおいて、内部の各単セル内ガス流路を通過するガスの流速の分布状態を調べた結果を表わす説明図である。ここで、それぞれの燃料電池は積層された100組の単セルからなり、それぞれの単セル内を通過するガスの流速としては、ガス供給マニホールドから各単セル内ガス流路にガスが流れ込むときの流速を測定した値を用いた。
【0063】
この図7では、燃料電池の上流側(ガス供給装置およびガス排出装置が接続された側)端部に配設された単セル内ガス流路内を通過するガスの流速を100とし、残りの単セル内ガス流路におけるガス流速をこれに対する相対値として順次表わした。既述した実施例のように、ガス供給装置とガス排出装置とを、燃料電池の同じ側の端部に接続する場合には、この接続された端部である上流側が最もガス流速が早くなり、反対側(下流側)の端部に向けて徐々にガス流速は遅くなる。セパレータ30を用いて構成した燃料電池においても、上記上流側から下流側に向かって(図7ではセル番号1側からセル番号100側に向かって)ガス流速は遅くなるが、図7に示すように、比較例であるセパレータ130を用いて構成した燃料電池に比べて、下流側に向かってガス流速が遅くなる程度が小さい。
【0064】
このように、本実施例のセパレータ30を用いた燃料電池によれば、各単セル内流路を通過するガスの流速の勾配が小さくなり、燃料電池全体で、単セル内ガス流路を通過するガスの流速が高いレベルに保たれるため、上記下流側に配設された単セルにおいても、ガスの利用率が充分に高くなる。したがって、既述した図6に示したように、セパレータ30を用いた燃料電池が高い電池性能を示すのは、このように燃料電池全体で充分なガス流速が維持されるという効果にもよっていると考えることができる。
【0065】
さらに、燃料電池全体で各単セル内流路を通過するガスの流速が速くなることにより、燃料電池全体でガスの流量が充分に多く維持されるということができ、ガス流量が最も少なくなる領域でのガス流量を充分に確保するために燃料電池に供給するガスを加圧する程度を、抑えることができる。また、燃料電池全体でガスの利用率が充分に高くなることによって、燃料電池に供給するガスの流量を低減することができるという効果も得られる。燃料電池には、通常は、充分に電気化学反応を進行させるために、発電させる電力量から理論的に求められるガスの所要量を超える量のガスが供給される。上記したようにガスの利用率が高まれば、このように過剰に供給するガス量を抑えることができる。燃料電池に供給するガス量およびガスの加圧の程度を抑えられることによって、発電のために消費される燃料の量を抑えたり、燃料電池に供給するガスを加圧するために消費する電力量を抑えることができ、燃料電池を備えるシステム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
【0066】
また、上記した実施例におけるセパレータ30を用いた燃料電池において、各単セル内に設けられたそれぞれの単セル内ガス流路をガスが通過する際には、セパレータ表面に設けられた凹部の形状に従ってガスは略水平方向に流れるが、各単セル内ガス流路全体では、ガスは上方から下方へ流れる。例えば、酸化ガスは、孔部40が設けられた上方から、孔部42が設けられた下方に向かって流れる。従って、ガス流路内に生じた凝縮水も、重力に逆らうことなく、ガスの流れと共に下方に導かれるため、単セル内ガス流路からの凝縮水の排水が容易になる。ここで、流路内で生じる凝縮水とは、既述したように、電気化学反応に伴ってカソード側で生じる既述した生成水や、燃料電池にガスを供給するのに先立って、電解質膜の乾燥を防ぐためにあらかじめ供給ガスに加えられる水蒸気などが、ガス流路内で凝縮したものである。
【0067】
さらに、本実施例のセパレータ30を用いた燃料電池では、ガスマニホールドが燃料電池の側面に設けられており、各単セルに供給されるガスは、各単セル内ガス流路に対して横向きに流れ込む。従って、ガスマニホールド内に生じた凝縮水が、各単セル内ガス流路におけるガスマニホールドとの接続部付近を塞ぎ、ガスの流れを妨げてしまうのを抑えることができる。これに対し、ガスマニホールドが燃料電池の上下に設けられており、各単セル内ガス流路に対して、ガスが上方のガスマニホールドから供給される場合には、このガスマニホールド内の凝縮水が、容易に単セル内ガス流路に流れ込み、ガス流路を閉塞してしまうおそれがある。
【0068】
既述した実施例のセパレータ30では、その表面を水平方向に4分割し、分割された領域を二つずつ連続させて、例えば図2に示した面側では凹部90および凹部91とし、これら凹部90,91を連通させる孔部41によって、単一の酸化ガス配流マニホールド61を形成することとした。ここで、酸化ガス(あるいは燃料ガス)配流マニホールドは複数設けることとしても良く、このような構成のセパレータの一例をセパレータ230として図9に示す。図9に示したセパレータ230は、その一方の表面が、セパレータ30と同様に水平方向に4分割されているが、この分割された領域は、それぞれ別個の4つの凹部(凹部290,291,292,293)を形成しており、セパレータ230を用いて燃料電池を構成したときには、これらの凹部は、隣接するガス拡散電極との間で単セル内酸化ガス流路を形成する。また、セパレータ230は、5つの孔部(孔部240,241,242,243,244)を備えている。セパレータ230を用いて燃料電池を構成したときには、これらの孔部は、酸化ガスが通過するガスマニホールドを形成する。
【0069】
ここで、孔部240は、酸化ガス供給マニホールドを形成し、この酸化ガス供給マニホールドは、外部から供給された酸化ガスをそれぞれの単セル内ガス流路に分配する。また、孔部242は、酸化ガス排出マニホールドを形成し、この酸化ガス排出マニホールドは、それぞれの単セル内流路から排出された酸化ガスを合流させて、燃料電池の外部に導く。孔部241,243,344は、それぞれ、酸化ガス配流マニホールドを形成し、燃料電池を構成する単セル内に形成されたそれぞれの単セル内酸化ガス流路を通過する酸化ガスは、これらの酸化ガス配流マニホールドのそれぞれを一旦経由する。
【0070】
上記凹部290は、孔部240と孔部243とを連通させ、凹部291は、孔部243と孔部241とを連通させ、凹部292は、孔部241と孔部244とを連通させ、凹部293は、孔部244と孔部242とを連通させる。したがって、外部から供給された酸化ガスは、まず、孔部240によって形成される酸化ガス供給マニホールドを経由して、凹部290によって形成される単セル内酸化ガス流路に導入される。この単セル内酸化ガス流路を通過した酸化ガスは、孔部243によって形成される酸化ガス配流マニホールドを経由した後、凹部291によって形成される単セル内酸化ガス流路を通過する。その後、同様の動作を繰り返し、孔部241によって形成される酸化ガス配流マニホールドを経由し、凹部292によって形成される単セル内酸化ガス流路を通過し、孔部244によって形成される酸化ガス配流マニホールドを経由した後、凹部293によって形成される単セル内酸化ガス流路を通過し、孔部242によって形成される酸化ガス排出マニホールドを介して、燃料電池の外部に排出される。
【0071】
このようなセパレータ230を用いて構成した燃料電池によれば、セパレータ30を用いた上記実施例と同様に、それぞれの単セル内ガス流路に供給される酸化ガスの流量を均一化すると共に、燃料電池全体でガスの流速を充分に高く保ち、燃料電池の性能が低下してしまうのを防ぐことができる。特に、セパレータ30を用いる場合に比べて、酸化ガス配流マニホールドの数が多いため、各単セル内を通過する酸化ガスの流量を均一化する効果をさらに高めることができる。
【0072】
なお、既述した実施例のセパレータ30を用いた燃料電池では、酸化ガスの流路と燃料ガスの流路との両方で、ガス配流マニホールドを設けることとしたが、どちらか一方の流路だけに設けることとしても良く、どちらか一方の流路にこのようなガス配流マニホールドを設けた場合にも、相応の効果が得られる。図9に示したセパレータ230では、燃料ガスが通過するマニホールドは一対だけ設け、酸化ガス流路側にだけガス配流マニホールドを設けることとしたが、このような場合にも、酸化ガスの流量を均一化することによる上記した効果を充分に得ることができる。もとより、燃料ガス流路側にだけ配流マニホールドを設けることとしても、燃料ガスの流量が均一化することによる上記した効果を得ることができる。どちらか一方の流路にだけガス配流マニホールドを設ける場合には、他方のガス流路においてガス配流マニホールドを形成するために孔部を設ける必要がなく、セパレータの成形がより容易になる。
【0073】
既述した実施例では、セパレータの表面を水平方向に4分割したが、セパレータ表面を異なる数に分割して、ガス配流マニホールドを設けることとしても良い。このような例を以下に示す。図10は、セパレータ表面を水平方向に2分割したセパレータ330の構成を表わす平面図である。セパレータ330を用いて構成する燃料電池では、セパレータ330の表面を2分割して設けられた凹部390,391によって単セル内酸化ガス流路が形成される。また、このような燃料電池では、孔部340によって酸化ガス供給マニホールドが、孔部342によって酸化ガス排出マニホールドが、孔部343によって酸化ガス配流マニホールドが形成される。酸化ガス供給マニホールドから各単セルに分配された酸化ガスは、凹部390が形成する単セル内酸化ガス流路を通過して、酸化ガス配流マニホールドを一旦経由し、その後凹部391が形成する単セル内ガス流路を通過し、酸化ガス排出マニホールドを介して外部に排出される。
【0074】
また、図11に、セパレータ表面を3分割したセパレータ430の構成を表わす平面図を示す。セパレータ430を用いて構成する燃料電池では、セパレータ430の表面を水平方向に3分割して設けられた凹部490,491,492によって単セル内酸化ガス流路が形成される。また、このような燃料電池では、孔部440によって酸化ガス供給マニホールドが、孔部442によって酸化ガス排出マニホールドが、孔部443,444によって酸化ガス配流マニホールドが形成される。酸化ガス供給マニホールドから各単セルに分配された酸化ガスは、凹部490,491,492のそれぞれが形成する単セル内酸化ガス流路を順次通過する。その際、連続する2つの単セル内酸化ガス流路同士を連通させる酸化ガス配流マニホールドを順次経由する。凹部492が形成する単セル内ガス流路を通過した酸化ガスは、酸化ガス排出マニホールドを介して外部に排出される。
【0075】
図12は、セパレータ表面を6分割したセパレータ530の構成を表わす平面図である。セパレータ530の一方の表面には、セパレータ530の表面を水平方向に6分割したうちの3つずつの領域をそれぞれ連通させて設け、それぞれ2カ所の屈曲部を有する凹部590,591が設けられている。セパレータ530を用いて構成された燃料電池では、これら凹部590,591によって単セル内酸化ガス流路が形成される。また、このような燃料電池では、孔部540によって酸化ガス供給マニホールドが、孔部542によって酸化ガス排出マニホールドが、孔部543によって酸化ガス配流マニホールドが形成される。酸化ガス供給マニホールドから各単セルに分配された酸化ガスは、凹部590が形成する単セル内酸化ガス流路を通過して、酸化ガス配流マニホールドを一旦経由し、その後凹部591が形成する単セル内ガス流路を通過し、酸化ガス排出マニホールドを介して外部に排出される。なお、セパレータ530では、酸化ガス配流マニホールドを形成するための孔部は1カ所だけ設けることとしたが、複数の酸化ガス配流マニホールドを設けるためにより多くの孔部を設けることとしても良い。例えば、凹部590および凹部591が有する屈曲部に孔部を設け、このような孔部によってさらに酸化ガス配流マニホールドを形成することとしても良い。
【0076】
このように、セパレータ表面を複数の領域に分割して、単セル内ガス流路を形成するための凹部を形成し、これらの凹部と連通する孔部によってガス配流マニホールドを形成することによって、燃料電池内のガス流路を通過するガスの流量を均一化して、既述した効果を得ることができる。なお、以上の説明では、図10〜図12に示した一方の面側、すなわち酸化ガス流路についてだけ説明したが、もう一方の面側に設けられた燃料ガス流路についても、同様の構成とすることで、ガス流路を通過するガスの流量を均一化し、燃料電池の性能を向上させることができる。ここで、セパレータ表面に形成する凹部の形状を細かくし、このような凹部によって形成されるガス流路の断面積を小さくするほど、単セル内ガス流路の所定の位置を通過するガス流量が増え、ガスの拡散性が向上してガス利用率が高まる。また、単セル内ガス流路を通過するガス流量が増えてガス流速が速くなるほど、凝縮水が吹き飛ばされ易くなり、単セル内ガス流路に凝縮水が滞留しにくくなるため、単セル内ガス流路における排水性が向上する。しかしながら、このように流路断面積を小さくすると、単セル内ガス流路をガスが通過する際の圧損も上昇してしまう。ガスが通過する際の圧損の上昇は、燃料電池に供給するガスを加圧するために要するエネルギを増加させ、燃料電池を備えるシステム全体のエネルギ効率の低下につながるおそれがある。したがって、凹部の形状の細かさは、細かくすることによってガス利用率が向上する効果や、これによって増加する圧損の影響、および、セパレータを形成する際に要求される加工精度などを考慮して適宜決定すればよい。
【0077】
なお、単セル内ガス流路を形成するためにセパレータ表面に形成した凹部には、セパレータ30の説明で図4に示したように、流路を通過するガスを拡散させると共に、セパレータとガス拡散電極との間で導電性を確保する複数の凸部が設けられている。ここで、セパレータ表面に設けられた凹部の形状が充分に細かく、ガスの拡散性および、ガス拡散電極との間の導電性が充分に確保されるならば、凹部内に凸部94に対応するこのような凸構造を設ける必要はない。
【0078】
既述した実施例では、セパレータ表面に設けられた所定の凹部によって形成される単セル内ガス流路を通過するガスは、そのすべてが一旦、ガス配流マニホールドを経由し、その後再び各単セルに流入する構成としたが、単セル内ガス流路を通過するガスの一部は、ガス配流マニホールドを経由しない構成としても良い。このような構成の一例として、セパレータ630の構成(酸化ガス流路を形成する面側の構成)を図13に示す。セパレータ630は、その表面を水平方向に4分割してこれらを順次連通させた凹部690と、孔部640,641,642を備えている。セパレータ630を用いて構成した燃料電池では、孔部640によって形成される酸化ガス供給マニホールドから各単セルに供給される酸化ガスは、凹部690によって形成される単セル内酸化ガス流路を通過した後、孔部642によって形成される酸化ガス排出マニホールドに排出されて燃料電池外に導かれる。
【0079】
ここで、単セル内酸化ガス流路を形成する凹部690は、セパレータ630上でその形状が屈曲する領域で、酸化ガス配流マニホールドを形成する孔部641と連通している。既述した実施例のセパレータ30では、凹部90と91とは孔部41を介して連通しているものの、凹部の構造としては孔部41によって分断されている。セパレータ630が備える凹部690は、このように孔部641によって分断されているわけではなく、孔部640から孔部642までを連続して形成された凹部構造によって連通している。すなわち、孔部641は、凹部690が屈曲する端部(屈曲の外側)において、この凹部690と連通してセパレータ630の一辺に沿って形成されているが、孔部641に隣接する領域(屈曲の内側)は、孔部690に分断されることなく凹部が連続して形成されている。したがって、単セル内酸化ガス流路を通過する酸化ガスの一部は、途中で一旦、孔部641によって形成される酸化ガス配流マニホールドを経由するが、残りの酸化ガスは、酸化ガス配流マニホールドを経由することなく、凹部690が形成する単セル内酸化ガス流路を通過し、酸化ガス排出マニホールドに排出される。なお、図13では、セパレータ630の一方の面側(単セル内酸化ガス流路を形成する側)の様子のみを示したが、他方の面側(単セル内燃料ガス流路を形成する側)も同様に形成されている。すなわち、燃料ガス供給マニホールドから各単セルに供給された燃料ガスは、凹部690と同様の凹部が形成する単セル内燃料ガス流路を導かれ、その一部は孔部641と同様の孔部が形成する燃料ガス配流マニホールドを経由すると共に、残りの燃料ガスは、燃料ガス配流マニホールドを経由することなく、上記凹部が形成する単セル内燃料ガス流路によって、燃料ガス排出マニホールドまで導かれる。
【0080】
このような構成のセパレータ630によれば、凹部(単セル内ガス流路)が屈曲する領域で、単セル内ガス流路を通過するガスの一部を、配流マニホールドを経由させることなく通過させることによって、このような屈曲部におけるガスの圧損を抑え、ガスの流れの偏りを抑えることができる。既述したように、セパレータ上に形成される単セル内ガス流路の流路断面積を小さくする構成は、流路内を通過するガス流量および流速を増やす上で有用である。しかしながら、流路断面積を小さくするために、既述した実施例のように単セル内ガス流路に屈曲部(ガスの流れの方向が変わる部位)を設ける場合には、このような屈曲部では、ガスの圧損が大きくなると共に、ガスの流れが乱れて流れに偏りを生じてしまう。屈曲部における圧損を軽減するには、屈曲部において流路幅を広げればよいが、既述した実施例のように、孔部によって凹部を分断する構成では、屈曲部における流路幅を広げるためには、孔部を大きくする必要がある。このような構成は、セパレータ全体に対して孔部の面積を大きくすることとなり、電気化学反応に利用可能な面積の割合が低下してしまい、採用しがたい。上記したセパレータ630のように、屈曲部の内側で凹部が連続する構成とすれば、孔部の面積を大きくすることなく屈曲部における流路幅を充分に確保することができ、屈曲部で流路が絞り込まれて圧損が増大するのを抑えることができる。
【0081】
図14は、単セル内ガス流路の屈曲部において、ガス配流マニホールドを経由することなくガスが通過可能となる連通構造を設けたセパレータ630と、上記屈曲部で孔部によって凹部を分断したセパレータ30とのそれぞれを用いた燃料電池で、ガスの流れる様子をシミュレーションした結果を表わす説明図である。図14(A)はセパレータ630を用いた結果を表わし、図14(B)はセパレータ30を用いた結果を表わしており、いずれも、ガス配流マニホールド内における圧力分布を、所定のセパレータの面上で表わしたものである。図14(B)に示すように、孔部によって分断された凹部を備えるセパレータを用いる場合には、孔部が形成するガス配流マニホールド内では、非常に高い圧力が生じ、これによって単セル内ガス流路をガスが通過する際の圧損が大きくなる。これに対し、図14(A)に示すように、配流マニホールドを経由することなくガスが通過可能な連通構造を有する凹部を備えるセパレータを用いる場合には、ガス配流マニホールド内で生じる圧力が軽減され、単セル内ガス流路をガスが通過する際の圧損が抑えられる。
【0082】
なお、図14では、ガス配流マニホールド内における圧力分布のみを示したが、ガス配流マニホールドに隣接して上記連通構造を設けることによって、ガス配流マニホールドに接続する単セル内ガス流路では、圧損が抑えられる他に、ガスの流れの偏りが生じ難いという効果が得られる。図14(B)に示すように、ガス配流マニホールド内の所定の部位で特に高い圧力を生じつつ、配流マニホールド内を通過する際のガスの圧損が大きいと、ガス配流マニホールドの下流側では、ガスの流速が著しく低下する領域が生じるなど、ガスの流れに偏りが生じてしまう。このように単セル内ガス流路でガスの流れが不均一になると、電気化学反応が進行する効率が場所によってばらつくことになってしまう。セパレータ630を用いる場合のように、ガス配流マニホールドに隣接して上記連通構造を設けると、ガスの流れに偏りが生じるのを抑え、セパレータ全体の面上で、電気化学反応の効率を充分に確保することができる。
【0083】
また、セパレータ630のようにガス配流マニホールドに隣接して上記連通構造を設ける構成は、燃料電池をより小型化する際にも有効である。すなわち、電池性能を低下させることなく燃料電池を小型化する構成として、ガスマニホールドを形成するための孔部をより小さくする構成が考えられるが、ガス配流マニホールドに隣接して上記連通構造を設けるならば、このように孔部を小さくしても、ガスが通過する際の圧損が大きくなりすぎたりガスの流れが悪くなるという不都合が生じるのを抑えることができる。このような場合には、燃料電池を小型化しつつ、単セル内ガス流路を通過するガスの一部はガス配流マニホールドを経由するため、ガス流量を均一化する効果を得ることができると共に、残りのガスはガス配流マニホールドを経由しないことによって、充分なガスの流れを確保することができる。
【0084】
既述した実施例のセパレータでは、セパレータ上に設けた凹部が形成する単セル内ガス流路は、この流路内を通過するガスの流れの方向が変更される屈曲部において、ガス配流マニホールドと連通している。ここでは、セパレータに設けられ、燃料電池内でガス配流マニホールドを形成する孔部は、セパレータの周辺部において、所定の辺に沿って形成されている。このようなセパレータにおいて、セパレータの外縁と上記孔部との距離が、孔部の端部において大きくなる構成とすることも望ましい。このような構成を図15を用いて説明する。
【0085】
図15(A)は、セパレータの外縁と上記孔部との距離が、孔部の端部において大きくなる構成を表わし、図15(B)は、セパレータの外縁と上記孔部との距離が一定である構成を表わしている。なお、図15は、セパレータの構造のうち、ガス配流マニホールドを形成する孔部の一端の近傍のみを表わしているが、図15(B)に示したセパレータは、既述した実施例のセパレータ30と同一であり、図15(A)に示したセパレータ30Aもまた、図示しない他の部位は、セパレータ30と同様の構成を有しており、共通する部材にはセパレータ30と同じ番号を付して説明を省略した。セパレータ30Aは、セパレータ30における孔部41と同様に、酸化ガス配流マニホールドを形成する孔部41Aを備えている。孔部41Aの外周は、孔部41Aの端部において、セパレータ30Aの外縁に近い側のみがセパレータ30Aの内側に緩やかに傾斜しており、これによって孔部41Aの端部は次第に細くなるように形成されている。
【0086】
このように構成されたセパレータ30Aによれば、より耐久性に優れた燃料電池を構成することができる。既述したようにセパレータに設けた孔部によってガス配流マニホールドを形成する場合には、単セル内ガス流路を通過するガスは、ガス配流マニホールドが設けられた単セル内ガス流路の屈曲部において流れの方向を変えるため(図15(B)中の実線矢印参照)、燃料電池を構成する各セパレータでは、ガス配流マニホールドを形成する孔部において、セパレータの外側方向に向かう力が働く(図15(B)中の破線矢印参照)。このような外向きの応力は、各セパレータでは、ガス配流マニホールドを形成する孔部の端部近傍のセパレータ辺縁部において特に集中して働く。このように力が集中して働く位置を、図15(B)のセパレータ30中に図示する。孔部41は、セパレータ30の外縁にできる限り近づけて設けることによって、燃料電池の大型化を抑えるものであるが、このように孔部41とセパレータ外縁との距離を小さくすると、図15(B)に示したように細い部材に応力が集中することになり、燃料電池の強度と耐久性を充分に確保する上で問題となる。図15(A)に示したセパレータ30Aのように、孔部41Aを、その端部においてセパレータの外縁との距離が大きくなるように形成すれば、上記した応力に対する充分な強度を実現することができ、燃料電池の耐久性を充分に確保することができる。また、上記したように孔部41Aの形状を、その端部においてセパレータの外縁との距離が大きくなるようにする構成によれば、孔部41A全体をセパレータ外縁からより遠くに形成することなく所望の強度を達成するため、セパレータの強度を確保するために、セパレータ全体、ひいては燃料電池全体が大型化してしまうことがない。
【0087】
さらに、孔部41Aの形状を、その端部においてセパレータの外縁との距離が大きくなるように形成する際に、図15(A)に示したように、孔部41の外周のうち、セパレータ30Aの外縁に近い側のみが、孔部41の端部に向かうにつれてセパレータ30Aの内側に緩やかに傾斜する形状とすれば、単セル内ガス流路を通過するガスは、この緩やかに傾斜する形状に導かれてよりスムーズに流れることができる。図15(B)のように、孔部41の端部に角部が形成されていると、単セル内ガス流路の屈曲部を通過するガスは、この角部において乱流を生じ、これによってガスの圧損がさらに大きくなってしまう。図15(A)のように、ガスの流れる方向に沿って流路を形成することで、このような圧損を抑えてガスの流れをスムーズにすることができる。なお、図15では、酸化ガスの流路側を表わしたが、燃料ガスの流路側においても、同様の形状の孔部によってガス配流マニホールドを形成することで、上記した効果を得ることができる。また、図15では、ガス配流マニホールドを形成する孔部の端部のうち、一方のみを表わしたが、両方の端部を上記した形状とすることによって、セパレータの強度を確保すると共にガスの流れをスムーズにするという上記した効果を、さらに大きくすることができる。
【0088】
また、既述した実施例では、ガス配流マニホールドを形成する孔部は、単セル内ガス流路を形成する凹部の屈曲部、すなわち、セパレータの外周部付近に設けることとしたが、セパレータの異なる領域に設けた孔部によってガス配流マニホールドを形成しても、ガス流路を通過するガスの流速を均一化する効果を得ることができる。このような構成の一例を、セパレータ730およびセパレータ830として、それぞれ図16および図17に示す。
【0089】
図16は、セパレータ730の構成(酸化ガス流路を形成する面側の構成)を表わす平面図である。セパレータ730の表面は、水平方向に4分割されており、それぞれの分割された領域に、凹部790,791,792,793が設けられている。セパレータ730を用いて構成した燃料電池では、セパレータ730の表面に設けられた凹部790,791,792,793が、この順に連通されて単セル内酸化ガス流路を形成し、孔部740によって酸化ガス供給マニホールドが、孔部742によって酸化ガス排出マニホールドが、孔部743,744,745によって酸化ガス配流マニホールドが形成される。
【0090】
ここで、孔部743は、凹部790および791を連通させ、孔部744は、凹部791および792を連通させ、孔部745は、凹部792および793を連通させているが、これらの孔部は、既述した実施例においてガス配流マニホールドを形成する孔部とは異なり、セパレータのより中心部よりに設けられている。すなわち、セパレータ表面に設けられた凹部から、セパレータ外周部に向かって張り出した屈曲部に設けるのではなく、隣接し合う凹部の端部側面同士を連通するように設けられている(図16参照)。
【0091】
図17は、セパレータ830の構成(酸化ガス流路を形成する面側の構成)を表わす平面図である。セパレータ830の表面は、水平方向に3分割されており、その一段目と2段目の真ん中付近までが連続して凹部890を形成しており、2段目の真ん中付近から3段目までが連続して凹部891を形成している。凹部890と凹部891の接続部分、すなわちセパレータ830の中心部付近には、これらの凹部を連通させる孔部843が設けられている(図17参照)。セパレータ830を用いて構成した燃料電池では、セパレータ830の表面に設けられた凹部890,891が、この順に連通されて単セル内酸化ガス流路を形成し、孔部840によって酸化ガス供給マニホールドが、孔部842によって酸化ガス排出マニホールドが、孔部843によって酸化ガス配流マニホールドが形成される。
【0092】
なお、図16および図17に示したセパレータ730および830では、酸化ガスの流路側にのみこのようなガス配流マニホールドを設けることとしたが、燃料ガスの流路側にも同様のガス配流マニホールドを設けることとしても良い。
【0093】
このように、ガス配流マニホールドを形成する孔部は、セパレータ上のどの領域に設けることとしても良く、孔部によって形成されるガス配流マニホールドが、セパレータ表面に設けられた凹部によって形成されるそれぞれの単セル内ガス流路と連通しており、各単セル内を通過するガスが、このガス配流マニホールドを一旦経由することが可能であれば、燃料電池内のガス流路を通過するガスの流量を均一化させる効果を得ることができる。したがって、凹部を設けるためのセパレータ上の分割数や配流マニホールドの数に加え、配流マニホールドを形成するための孔部の位置なども、燃料電池を備えるシステム全体のエネルギ効率や、燃料電池を設置すべきスペース上の制約などを適宜考慮しつつ、自由に設計することができる。
【0094】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の燃料電池を構成するスタック構造15の基本単位である単セル20の構成を表わす分解斜視図である。
【図2】セパレータ30の構成を表わす平面図である。
【図3】スタック構造15の外観を表わす斜視図である。
【図4】凹部90に設けられた凸部94の様子を表わす説明図である。
【図5】スタック構造15内での酸化ガスの流れを立体的に表わす説明図である。
【図6】セパレータ30とセパレータ130のそれぞれを用いて構成した燃料電池における電流−電圧特性を示す説明図である。
【図7】セパレータ30とセパレータ130のそれぞれを用いて構成した燃料電池において、燃料電池を構成する各単セル内の流速相対値のようすを表わす説明図である。
【図8】比較例として用いたセパレータ130の構成を表わす平面図である。
【図9】セパレータ230の構成を表わす平面図である。
【図10】セパレータ330の構成を表わす平面図である。
【図11】セパレータ430の構成を表わす平面図である。
【図12】セパレータ530の構成を表わす平面図である。
【図13】セパレータ630の構成を表わす平面図である。
【図14】ガス配流マニホールドにおけるガスの流れの様子をシミュレーションした結果を示す説明図である。
【図15】ガス配流マニホールドを形成する孔部の一端の構成を表わす説明図である。
【図16】セパレータ730の構成を表わす平面図である。
【図17】セパレータ830の構成を表わす平面図である。
【図18】従来知られるセパレータの一例であるセパレータ930の構成を表わす平面図である。
【符号の説明】
15…スタック構造
20…単セル
30…セパレータ
31…電解質膜
32…アノード
33…カソード
36,37…集電板
36A,37A…出力端子
38,39…絶縁板
40〜42…孔部
50〜52…孔部
60…酸化ガス供給マニホールド
61…酸化ガス配流マニホールド
62…酸化ガス排出マニホールド
63…燃料ガス供給マニホールド
64…燃料ガス配流マニホールド
65…燃料ガス排出マニホールド
70,72,73,75…孔部
80,85…エンドプレート
90,91,92,93…凹部
94…凸部
130…セパレータ
190…凹部
230…セパレータ
240,241,242,243,244…孔部
290,291,292,293…凹部
330…セパレータ
340,342,343…孔部
390,391…凹部
430…セパレータ
440,442,443,444…孔部
490,491,492…凹部
530…セパレータ
540,542,543…孔部
590,591…凹部
630…セパレータ
640〜642…孔部
690…凹部
730…セパレータ
740,742,743〜745…孔部
790〜793…凹部
830…セパレータ
840,842,843…孔部
890,891…凹部
930…セパレータ
940,942,950,952…孔部
990…凹部

Claims (13)

  1. 単セルを複数積層してなり、各単セルにおいてガスを利用した電気化学反応によって起電力を得る燃料電池であって、
    前記各単セル内にそれぞれ連続して設けられ、前記ガスを通過させて該ガスを前記各単セル内に行き渡らせるための単セル内ガス流路と、
    前記燃料電池の外部から流入される前記ガスを分配して、それぞれの前記単セル内ガス流路に供給するガス供給マニホールドと、
    それぞれの前記単セル内ガス流路から排出される前記ガスを集めて、前記燃料電池の外部に流出させるガス排出マニホールドと、
    前記単セルの積層方向に、前記各単セル内ガス流路をそれぞれ貫通して、前記各単セル内ガス流路間の前記ガスの行き来を可能にする配流マニホールドと
    を備える燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記配流マニホールドは、前記ガス供給マニホールドから単セル内ガス流路に供給されて前記単セル内ガス流路を通過するガスが、該配流マニホールドを途中で一旦経由することで、前記各単セル内ガス流路間で前記ガスを行き来可能にする
    燃料電池。
  3. 前記配流マニホールドを複数備える
    請求項1または2記載の燃料電池。
  4. 前記ガスは、水素を含有する燃料ガスである
    請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池。
  5. 前記ガスは、酸素を含有する酸化ガスである
    請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池。
  6. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記単セル内ガス流路は、内部を通過する前記ガスの流れの方向を変更するように流路が屈曲する折れ曲がり部を有し、
    前記折れ曲がり部は、
    前記配流マニホールドが貫通する第1の領域と、
    前記折れ曲がり部の内部を通過する前記ガスの一部を、前記配流マニホールドを介することなく通過可能にする第2の領域とを備える
    燃料電池。
  7. 前記折れ曲がり部は、U字形を成している
    請求項記載の燃料電池。
  8. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記単セル内ガス流路は、その内部を通過する前記ガスの流れの方向を変更するように流路が屈曲する折れ曲がり部を有し、
    前記折れ曲がり部の外周は、滑らかに湾曲するよう形成され、
    前記配流マニホールドは、前記折れ曲がり部の外周部において、前記単セル内ガス流路を貫通する
    燃料電池。
  9. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記単セル内ガス流路は、その内部を通過する前記ガスの流れの方向を変更するように流路が屈曲する折れ曲がり部を、前記燃料電池の外縁近くに有し、
    前記配流マニホールドは、前記燃料電池の外縁近くに設けられると共に、前記折れ曲がり部の外周部において、前記単セル内ガス流路を貫通し、
    前記配流マニホールドの断面形状は、前記燃料電池の外縁に沿った縦長形状を成し、
    前記配流マニホールドにおける前記燃料電池外縁側の内壁面のうち、縦長形状を成す前記断面形状の端部に対応する内壁面は、前記断面形状の中央部に対応する内壁面に比べて、前記燃料電池の外縁からの厚さが厚いことを特徴とする
    燃料電池。
  10. 複数の単セルを積層してなる燃料電池に用いられ、電解質層および電極を形成する部材と共に前記単セルを構成する燃料電池用ガスセパレータであって、
    該燃料電池用ガスセパレータをその厚み方向にそれぞれ貫通して設けられ、前記燃料電池のガスマニホールドの一部をそれぞれ形成するための3つ以上の孔と、
    前記燃料電池用ガスセパレータの一方の面上において、前記3つ以上の孔のうち、所定の第1の孔から所定の第2の孔まで、該第1および第2の孔以外の孔を順次介しながら、前記面上を連通させるように設けられ、前記単セル内のガス流路を形成するための凹部と
    を備えることを特徴とする燃料電池用ガスセパレータ。
  11. 請求項10記載の燃料電池用ガスセパレータであって、
    前記凹部は、前記所定の第1の孔から第2の孔までを、前記燃料電池用ガスセパレータの一方の面上において連通させる途中に、該一方の面上で屈曲する折れ曲がり部を備え、
    前記折れ曲がり部は、
    前記第1および第2の孔以外の孔の一つが貫通する第1の領域と、
    該第1の領域を貫通する前記孔に分断されることなく、前記凹部の底面が連続して形成される第2の領域とを備える
    燃料電池用ガスセパレータ。
  12. 請求項10記載の燃料電池用ガスセパレータであって、
    前記凹部は、前記所定の第1の孔から第2の孔までを、前記燃料電池用ガスセパレータの一方の面上において連通させる途中に、該一方の面上で屈曲する折れ曲がり部を、前記燃料電池用ガスセパレータの外縁近くに有し、
    前記第1および第2の孔以外の孔の一つは、
    前記燃料電池用ガスセパレータの外縁近くに配設されて、前記燃料電池用ガスセパレータの外縁に沿った縦長形状を成すと共に、前記折れ曲がり部の外周部において、前記凹部を貫通し、
    該孔を形成する壁面のうち、前記燃料電池用ガスセパレータの外縁側に位置する壁面は、縦長形状を成す前記孔の端部に対応する部分が、中央部に対応する部分に比べて、前記燃料電池用ガスセパレータの外縁からの距離が大きくなるよう形成されていることを特徴とする
    燃料電池用ガスセパレータ。
  13. 単セルを複数積層してなり、ガスの供給を受けて、該ガスを利用した電気化学反応によって起電力を得る燃料電池におけるガスの流通方法であって、
    (a)前記燃料電池外部から供給された前記ガスを、前記燃料電池に設けられたガス供給マニホールドを介して、各々の前記単セル内部に形成された単セル内ガス流路に分配する工程と、
    (b)各々の前記単セルにおいて、前記ガス供給マニホールドから分配された前記ガスを、前記単セル内ガス流路に通過させつつ、各々の前記単セルで進行する電気化学反応に供する工程と、
    (c)前記電気化学反応に供された後に各々の前記単セル内ガス流路から排出された前記ガスを、前記燃料電池に設けられたガス排出マニホールドに集合させ、該集合したガスを前記燃料電池外に排出する工程とを備え、
    (b−1)前記(b)工程は、各々の前記単セルにおいて、前記単セル内ガス流路を通過する前記ガスの少なくとも一部を、前記燃料電池内部において前記単セルの積層方向に貫通して設けられた配流マニホールドを経由させる工程をさらに備える
    燃料電池におけるガスの流通方法。
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