JP3551067B2 - ミネラル溶出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般家庭や業務用として使用される、原水にミネラル成分を添加するミネラル溶出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のミネラル溶出装置は図14に示す構成となっている。すなわち、ミネラル材料を充填した添加筒1と、供給された原水の一部をその添加筒側に分流する分流器2と、前記分流と添加塔を通さない本流との流量比および流量を調節する流量制御弁3と、分流した水と本流の水とを再度混合する混合器4と、混合器4によって混合された水の硬度を測定する硬度センサ5と、流量制御弁3を駆動する駆動部7と、駆動部7に流量制御弁を駆動させ、硬度センサ5の示す硬度が所定の硬度範囲におさまるようにフィードバック制御を行い、硬度センサ5の測定結果と予め設定された硬度との比較結果によって、制御弁を使って分流する流量を変えて設定硬度が得られるように制御する制御手段8とを備えた構成となっている。
【0003】
以上の構成で原水が流されると、分流器2によって原水の一部が添加筒1に分流される。添加筒1を流れた水には、添加筒1内のミネラル材料が溶解する。この水は、混合器4によって添加筒1を通らない水と合流する。合流した水は、硬度センサ5を通って外部に排出される。硬度センサ5の示す硬度が所定の硬度より高い場合は、制御手段8が駆動部7を一定時間だけ駆動し本流の流量を増やし、分流の流量を減らし全体の硬度を下げる様にする。硬度センサ5の示す硬度が所定の硬度より低い場合は、制御手段8が駆動部7を一定時間だけ駆動し本流の流量を減らし、分流の流量を増やし全体の硬度を上げる様にする。このとき、本流の流量が0になっても所定の硬度が得られない場合は、今度は、本流の流量を0にしたまま、さらに分流の流量を減らし硬度を上昇させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成のものは、一定時間だけ駆動部を駆動し、流量調整をしながら硬度調整を実行するようにしているため、設定硬度に達するまでに時間がかかったり、また設定硬度付近で駆動した場合には、設定硬度範囲を超えたりするという課題を有している。
【0005】
また、前記以外にも、測定した硬度が所定の範囲を超えているような場合には、駆動時間が同一であっても、硬度を下げる場合と上げる場合によって硬度変化が異なるという課題も有している。すなわち、硬度を下げる調整をした場合には硬度変化が少なく、上げる調整をした場合には、硬度変化が多くなるという課題を有している。
【0006】
あるいは、ミネラル溶出装置を長時間使用した場合には、添加筒内のミネラル材料が消費されて少なくなって、この溶出量も減少するものである。このため所定の硬度を得るためには、総流量を少なくし、分流側の流量を多くする必要がある。更に硬度を上げるためには、本流の流量を0にし、分流の流量を減らしていかなければならない。その結果、総流量が減少することになる。
【0007】
また、流量制御弁から硬度センサに至る流路はある程度の容積を有しているものである。このため、流量が少ない場合には、制御手段が駆動部を駆動し流量制御弁を制御して硬度が変化し初めてから、硬度センサがその変化を検出するまでに時間がかかることになる。また、硬度センサ到達するまでの間に以前の硬度の水との攪拌が生じるため、硬度の変化が安定するまでに時間がかかるものである。
【0008】
この結果、駆動時間が非常に長くなって、生成した水の硬度が上限設定硬度以上と下限設定硬度以下とを繰り返す、いわゆる制御の発振状態が発生するという課題も有している。
【0009】
こうした硬度変化の遅れが大きくなった場合は、図15に示すように硬度が安定しない現象が起きやすくなる。これは、流量制御弁が本来であれば所定の硬度を得られる状態になっても、硬度センサには過渡状態の硬度しか得られないため、制御手段8はさらに流量制御弁を駆動しようとするために、過剰な制御を行ってしまうからである。
【0010】
また、硬度センサの測定結果、ミネラル生成水が設定硬度範囲に入って硬度調整が完了しても、吐出口からでてきたミネラル生成水はまだ設定硬度には達していない場合も発生する。この理由は、硬度センサから吐出口に至るまでの流路がある程度の容積を有しているため、吐出口から排出されるまでにある通過時間を必要とするものである。この通過時間は流量によって変化するものであるため、装置が硬度調整の完了を報知をしても、実際には使用者が設定した硬度のミネラル生成水を得ることができないという課題も有している。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、混合された水の流量を流量センサで測定し、フィードバックによる制御量を流量センサの示す流量に応じて変化させることにより、流量が少ない場合には制御量を減らすことにより、硬度変化の遅れが大きくなった場合でも、過剰な制御を行うことなく安定した硬度のミネラル水を生成することができる構成としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載した発明は、混合された水の流量を流量センサで測定し、フィードバックによる制御量を流量センサの示す流量と、設定硬度と測定硬度との硬度差に応じて変化させることにより、流量が少ない場合でも安定した硬度のミネラル水を生成することができる。
【0013】
請求項2に記載した発明は、混合された水の流量を流量センサで測定し、フィードバック制御を行う場合に、流量を減少させる場合の制御と流量を増加させる場合の制御とで制御量を変化させることにより、安定した硬度のミネラル水を生成することができる。
【0014】
請求項3に記載した発明は、硬度センサの示す硬度が制御範囲におさまらず発振したことを検知する発振検知部を備え、発振検知部が発振を検知した場合は制御手段のフィードバックによる制御量を少なくすることにより、流量センサを用いずに安定した硬度のミネラル水を生成することができる。
【0015】
請求項4に記載した発明は、混合された水の流量を測定する流量センサと、駆動部に流量制御弁を駆動させ硬度センサの示す硬度が所定の硬度範囲におさまるように制御を行う制御手段と、硬度調整が終了したことを通知する報知部と、硬度センサの示す硬度が調整範囲に収まった時点から、流量に応じた時間だけ待機した後に、報知部に表示を行わせる制御手段を備えることにより、硬度センサから排出口までの間の配管が長く硬度変化の遅れが大きくなった場合でも、排出口での硬度が調整範囲内に収まった時点で表示を行うことができる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の第1の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本実施例の構成を示すブロック図である。1は、炭酸カルシウムまたは硫酸カルシウム等のカルシウム成分等のミネラル材料を充填した添加筒である。添加筒1の形状については、特に筒状に限定する必要はないものである。、2は供給された原水の一部を前記添加筒1側に、また残りは流量制御弁3から混合器4に分流する分流器である。(以下添加筒1に流れる水を分流、直接混合器4に流れる水を薄め水と称する。)また流量制御弁3は、前記分流と薄め水との流量比および総流量を調節するものである。4はミネラル成分を含んだ前記分流水と、ミネラル成分を含んでいない薄め水とを再度混合して、均一の硬度に攪拌する混合器である。混合器5から排出される混合水は、硬度センサ5によって硬度を測定される。また、流量センサ6によって総流量を測定される。
【0017】
硬度センサ5は、混合されたミネラル生成水の硬度に対応する抵抗値を出力するものである。また流量センサ6は、内部に羽根車を有しており、この羽根車の回転数を測定することによって総流量を測定するものである。本実施例では、羽根車の回転数に応じて出力信号の周波数が変化するような構成としているものである。
【0018】
7は前記流量制御弁3を駆動する駆動部で、8は制御手段で内部にミネラル生成水の流量と、設定硬度と硬度センサ5で測定した硬度との硬度差を基に、モータ等で構成した駆動部7の駆動時間を決定する駆動時間表を有している。
【0019】
図2は、前記駆動時間表の例を示している。すなわち、本実施例の制御手段8は、流量と、設定硬度と測定硬度との差に応じて駆動部7を駆動しているものである。
【0020】
本実施例の流量制御弁3と混合器4とは、図3に示した構成となっている。すなわち、流量制御弁3として機能する部分には、薄め水入口11と、分流水であるミネラル水入口12とを有しており、これを混合器4として作用する内部で混合して、ミネラル生成水出口13から排出する構成となっている。すなわち、薄め水入口11とミネラル水入口12とミネラル生成水出口13を有するケースと、入ってきた薄め水とミネラル水の流量を調整する溝を有するドラム14によって構成しているものである。このドラム14は前記駆動部7で駆動されて回転するものである。
【0021】
図4はこのドラム14を平面に展開した状態を説明する説明図である。ドラム14の回転角度が0°〜40°の範囲は、薄め水のみが流入するモードを示しており、回転角度40°〜200°の範囲はミネラル水と薄め水との流量比を調整できるモードを、回転角度200°〜330°はミネラル水のみの流量を調整するモードを示している。すなわち、ドラム14が回転した結果、ケースの孔が相対的に上下に動くことによって前記流量比の調整ができるようになっているものである。
【0022】
図1に示している制御手段8は、硬度センサ5が検知した硬度と、本体の表面に設けている、使用者がミネラル生成水の硬度を設定する硬度設定手段10に設定されている硬度との硬度差と、流量センサ6から得られた流量測定結果から、前記駆動時間表から取り出した駆動時間で、駆動部7を駆動するものである。この結果、駆動部7に連結されている流量制御弁3の流量が制御される。こうして、吐出口9から吐出されるミネラル生成水の硬度は所定の値に制御されるものである。
【0023】
以下、本実施例の水道水にミネラル成分添加する原理、すなわち、水道水の硬度を上昇させる原理について図1と図5を使って説明する。
【0024】
図5は添加筒1を通過する水道水の流量と硬度、総硬度の関係の一例を示している。図5に示しているように、硬度aは右下がりの曲線、総硬度bは右上がりの曲線の特性となっている。また、硬度aも総硬度bも、流量によって変化しているものである。
【0025】
添加筒1を通過した水は、流量が少ないほど硬度の高い水となるが、総硬度では逆に流量が多いほど高くなる傾向であることを示している。硫酸カルシウム等のミネラル成分が入った添加筒1に原水が流れると、添加筒1の中の硫酸カルシウム等の溶解材料が水に溶解して、カルシウムを含んだミネラル水が生成される。この水道水の中に含まれるカルシウムやマグネシウム等のミネラル成分量は、(数1)に示している換算式によって炭酸カルシウムの量に換算される。
【0026】
硬度(mg/L)=4×カルシウム量(mg/L)+2.5×マグネシウム量(mg/L) (数1)
(数1)に示しているように、硬度は1Lあたりの炭酸カルシウム量(mg)に換算されて表す。
【0027】
また水道水中に含まれる炭酸カルシウム量(mg)は、総硬度として表現され、(数2)で表現される。
【0028】
総硬度=流量×硬度 (数2)
【0029】
この総硬度によって、水に含まれる炭酸カルシウムの量が計算できる。
【0030】
混合部4で混合された流量を総流量とすると、本実施例のミネラル溶出装置で生成されたミネラル生成水の硬度は、硬度=総硬度/総流量となる。この生成硬度を上げるためには、総流量を減らすか、総硬度を上げることが重要となる。
【0031】
以下、流量制御弁3の動作を説明する。本実施例の流量制御弁3を使用することによって、添加筒1と薄め水の混合液を得るだけではなく、薄め水のモードを実行することによって水道水と同じ硬度の水を得ることができる。また、ミネラル水のみの流量調整モードを使用することによって、添加筒1に流れる流量だけを制御することによって、更に高硬度のミネラル水を生成することが可能になっている。
【0032】
つまり、水道水と同じ硬度の水を得るときには、図3に示しているドラム14の回転角度を0度にして、添加筒1側の流量を0にし、薄め水側の流量を全開にするものである。水道水より少しだけ硬度の高い水を生成したいときには、流量比調整モードを使用して、ミネラル水と薄め水との流量比を制御し、更に高い高度の水を作るときには薄め水の流量を0にし、添加筒1側に流れる流量を全開から少しずつ絞って流量を少なくするようにすれば、高硬度のミネラル水を生成することができるようになる。このように流量制御弁3を駆動部7で制御することにより硬度調整が可能になる。
【0033】
以下、図1を使って本実施例の動作を説明する。使用者が水道の蛇口を開くと、蛇口から供給された原水は分流器2に入って、添加筒1から流量制御弁3に入るミネラル水と、直接、流量制御弁3を通る薄め水とに分流される。前記ミネラル水と薄め水とは、流量制御弁3から混合部4に送られて混合される。混合部4で生成されたミネラル生成水は、硬度センサ5によって硬度を測定される。硬度センサ5の測定情報は、制御手段8に伝達される。硬度センサ5はミネラル分すなわち硬度に応じた抵抗値を制御手段8に出力する。また硬度センサ5を通ったミネラル生成水は、流量センサ6によって流量を測定される。流量センサ6の測定流量も、制御手段8に伝達されている。
【0034】
制御手段8は、硬度センサ5が検知した抵抗値から硬度を算出し、この硬度を硬度設定手段10に設定されている硬度と比較する。この測定硬度と設定硬度との差によって、前記図2で説明している駆動時間表に基づいて駆動部7の駆動時間を決定する。この駆動時間表に指定している駆動時間は、流量と硬度差とによって決定するようにしているものである。流量が多くまた硬度差が大きい時には駆動時間を長く、流量が少なくまた硬度差が小さい時には駆動時間を短くしてある。また、駆動部7の駆動方向は、硬度センサ5の測定硬度と、硬度設定手段10に設定されている硬度との差によって決定しているものである。つまり、(硬度センサの硬度)>(設定硬度)の時は、ミネラル水側の流量を減らす方向に、(硬度センサの硬度)<(設定硬度)の時は、ミネラル水側の流量を増やす方向に駆動方向を決めている。
【0035】
続いて、図6に基づいて制御手段8の動作について説明する。図6は、制御手段8が有している制御プログラムを示すフローチャートである。なお、この説明では、硬度設定手段10に設定されている設定硬度を300としているものである。また制御手段7の駆動部7の駆動間隔は、今回1秒毎に行うようにしているものである。
【0036】
まず、ステップ101で前回の制御開始時点から1秒が経過したことを確認すると、ステップ102に移って設定硬度300との比較を行う。このチェックの結果、硬度センサ5の測定硬度が設定硬度300に等しいことを確認した場合は、ステップ101に戻って待機する。また、ステップ102でのチェックの結果が等しくなければ、ステップ103に進んで、さらに設定硬度との比較を行う。
【0037】
硬度センサ5の測定硬度が、硬度設定手段10に設定されている設定硬度−10である290より低いときはステップ104に移って、硬度が290以下である状態をI=1としてメモリに記憶する。こうして、ステップ111に進んで流量測定を実行する。ステップ103でのチェックの結果がNOである場合は、ステップ105に移る。ステップ105では、硬度センサ5の測定硬度が硬度設定手段10に設呈されている硬度より低いかどうかをチェックしている。すなわち、測定硬度が290から300の間であればステップ106に移って、この状態をI=2として記憶する。また、続いてステップ111での流量測定を実行する。ステップ105でのチェックの結果がNOである場合は、ステップ107でのチェックを実行する。ステップ107では、硬度センサ5の測定硬度が、硬度設定手段10に設定されている設定硬度+10である300から310の間であるかどうかをチェックしているものである。このチェックの結果がYESである場合は、ステップ108に移って、この状態をI=3としてメモリに記憶する。こうして、続くステップ111での流量測定を実行する。ステップ107でのチェックの結果がNOである場合は、ステップ109を実行する。つまり、測定硬度が310以上の状態であるとして、I=4とメモリに記憶する。こうして、前記ステップ111での流量測定を実行する。
【0038】
ステップ111では、流量センサ6で測定した流量が0.5L/分未満であるかどうかをチェックしている。このチェックの結果がYESである場合は、ステップ112を実行する。つまり、測定流量が0.5L/分未満である状態をJ=1とメモリに記憶する。こうして、次のステップ116を実行する。またステップ111でのチェックの結果がNOである場合は、ステップ113のチェックを実行する。ステップ113では、流量センサ6が測定した流量が1.0L/分未満であるかどうかをチェックしているものである。このチェックの結果がYESである場合は、ステップ114を実行する。つまり流量が0.5L/分から1.0L/分の間である状態を、J=2としてメモリに記憶する。こうして次のステップ116を実行する。ステップ113でのチェックの結果がNOである場合は、ステップ115を実行する。つまり流量が1.0L/分以上の状態であることをJ=3としてメモリに記憶する。こうして、次のステップ116を実行する。
【0039】
ステップ116では、図2に示している駆動時間表のI列J行の値を読み取って駆動時間Tを決定するものである。
【0040】
次にステップ117でのチェックを実行する。つまり、硬度センサ5の測定硬度が硬度設定手段10に設定されている設定硬度より低いかどうかをチェックしているものである。このチェックの結果がYESの場合は、ステップ118を実行する。つまり駆動部7を硬度が増加する方向にT秒間駆動させ、流量制御弁3を動作させてステップ101に戻るものである。ステップ117でのチェックの結果がNOである場合は、ステップ119を実行する。つまり、駆動部7を硬度が減少する方向にT秒間駆動させ、流量制御弁を動作させてステップ101に戻るものである。
【0041】
次に実動作について説明する。例えば硬度センサ5の測定硬度が現在85で、硬度設定手段10に設定されている設定硬度が100で、流量センサ6の測定流量が0.4L/分の場合と1.2L/分の場合とについて説明する。ステップ101で前回の制御から1秒経過していることを確認すると、ステップ102のチェックを実行する。この場合、硬度センサ5の測定硬度は設定硬度とは異なっているため、次のステップ103のチェックを実行する。この説明では硬度センサ5の測定硬度は85であり、設定硬度−10である90より小さいため、ステップ104を実行するものである。つまり、メモリに、硬度センサ5の測定硬度はI=1の状態であると記憶するものである。
【0042】
ここで流量が0.4L/分の場合は、ステップ111からステップ112を実行する。つまり、流量センサ6が測定している状態はJ=1であるとメモリに記憶する。従ってステップ116での駆動時間表の読み込みは、I列J行すなわち1列1行であり、0.4秒を読み出すものである。
【0043】
また、ステップ117での硬度のチェックの結果は、硬度85が設定硬度100より小さいため、YESであり、ステップ118を実行する。すなわち、駆動部7を硬度が増加する方向に0.4秒間駆動するものである。またこの駆動が終了すると、ステップ101に移って待機する。
【0044】
流量が1.2L/分の場合は、ステップ111からステップ113、さらにステップ115を実行して、流量センサ6が測定している状態はJ=3であるとメモリに記憶する。従ってステップ116での駆動時間表の読み込みは、I列J行すなわち1列3行であり、0.8秒を読み出すものである。従ってステップ118では、駆動部7を硬度が増加する方向に0.8秒駆動させて、ステップ101に移って待機するものである。
【0045】
このように本実施例によれば、硬度センサ5の測定硬度と硬度設定手段10に設定されている硬度との差が同一であっても、流量が少ない場合には流量制御弁3は駆動する駆動部7の駆動時間を短くするように制御するものである。従って流量が少ない場合には、過剰な制御をすることがなく不安定になりにくいものである。また、流量が多い時には、駆動部7の駆動時間を長くして、素早く硬度設定手段10に設定されている設定硬度になるようにするものである。 なお本実施例では、流量制御弁3と混合部4とを図3に示しているドラム14によって一体となる構成として説明しているが、もちろん別々の構成にしても支障はないものである。
【0046】
(実施例2)
続いて、本発明の第2の実施例について説明する。図7は本実施例の制御手段8が有している駆動時間表を示している。前記実施例1の図5で説明しているように、ミネラル生成水の流量を減少させると硬度は増加し、流量を増やすと硬度は減少する。単位流量当たりの硬度の上昇は流量が少なくなるほど大きく、流量が多いほど変化は少ない。本実施例の制御手段8は、硬度を増加させる場合には、流量を減少させる方向に、すなわち、駆動部7の駆動時間を少なくするように、また硬度を減少させる場合には、流量を増やす方向に、すなわち駆動部7の駆動時間を多くするような駆動時間表を有しているものである。このようにすることで、硬度を増加させる時も硬度を減少させる時も単位駆動時間当たりの硬度の変化量を同一に設定できるものである。
【0047】
以下、本実施例の動作について説明する。原水が流された場合の流路については実施例1と同様であるので省略する。制御手段8は硬度センサ5が検知する硬度を用いてミネラル生成水が設定硬度となるように、図7に示している駆動時間表に従って駆動部7を制御する。この駆動時間表は、設定硬度と測定硬度との硬度差が同一であっても、測定硬度が設定硬度より低い時には、高い時より駆動時間が短くなるように、また測定硬度が設定硬度より高い時には、低い時より駆動時間を長くなるように設定してある。この駆動時間表から駆動時間等を取り出す動作は実施例1と同様である
【0048】
このように、硬度センサ5の測定硬度と硬度設定手段10に設定されている設定硬度との硬度差の絶対値が同一であっても、測定硬度が設定硬度より低い時には、高い時より駆動時間が短くなるように、また測定硬度が設定硬度より高い時には、低い時より駆動時間を長くなるように駆動部7を駆動するものである。
【0049】
従って本実施例によれば、流量が減少することによって制御が不安定になることを防ぐことができる。なお本実施例では、図7に示している駆動時間表を使用して駆動部7の駆動時間を調整するようにしているが、実施例1の図2に示している駆動時間表の駆動時間に、測定硬度が低い時には1未満の係数をかけて駆動時間を短くするようにしても良いものである。
【0050】
また、特に流量が少なくなってくると、同じ駆動時間でも、生成硬度の増加や減少の幅が大きく変化するため、特に流量が少ない場合には、減少方向と増加方向とで駆動時間を大幅に変えてもよいものである。
【0051】
(実施例3)
続いて、本発明の第3の実施例について説明する。図8は本実施例の構成を示すブロック図である。本実施例では、制御手段8が、発振検知部15を有している。発振検知部15は、硬度センサ5が測定した硬度が、予め設定されている上限値を超える値と、予め設定されている下限値を下回る値とを所定の時間内に交互に2回以上繰り返したことを検知するものである。
【0052】
また図8は本実施例の制御手段8が有している駆動時間表である。制御手段8は、実施例1で説明したように、硬度センサ5で測定した硬度と硬度設定手段10に設定されている硬度とを比較して、流量制御弁3を駆動する駆動部7を駆動するフィードバック制御を行っている。またこのとき、発振検知部15が前記発振状態を検知した場合には、制御手段8は駆動部7の駆動時間を駆動時間表から取り出した所定の駆動時間より短く駆動するようにしている。
【0053】
以下、本実施例の動作を説明する。原水が流された場合の流路については実施例1と同様であるので省略する。制御手段8は硬度センサ5が測定した硬度を用いて、生成されるミネラル生成水が設定硬度となるように図9の駆動時間表に従って駆動部7を制御する。また、図10は本実施例の制御手段8が有している制御プログラムを示すフローチャートである。
【0054】
ステップ101からステップ211までは実施例1と同様である。次に、ステップ301での発振検知であるかどうかを確認する工程を説明する。発振検知部15は、最新の10秒間の硬度測定結果を時系列的に記憶する機能を有している。つまり、硬度センサ5が検知する硬度情報から、前記した上限設定値を超える、あるいは下限設定値を下回る値があるか否かを判定すると共に、発振状態であるかどうかを判定している。この判定は、硬度センサ5が検知した硬度が順番に、上限設定値を超える、設定硬度の範囲内、下限設定値を下回る、設定硬度の範囲内、上限設定値を超えるのサイクルを繰り返している場合には発振状態であると判定するものである。
【0055】
ステップ301でのチェックの結果がYESである場合は、ステップ302を実行する。つまり、駆動部7の駆動時間Tを半減する。このように制御することで、流量制御弁3の変化量を小さくし、1駆動あたりの硬度変化を抑えて発振状態を停止することができる。
【0056】
ステップ301でのチェックの結果がNOである場合は、ステップ212でのチェックを実行する。すなわち硬度センサ5の測定硬度が硬度設定手段10に設定されている設定硬度より低いかどうかをチェックしている。このチェックの結果がYESの場合は、ステップ213を実行する。つまり、駆動部7を硬度が増加する方向にT秒間駆動して、ステップ101に戻る。このチェックの結果がNOである場合は、ステップ214を実行する。つまり、駆動部7を硬度が減少する方向にT秒間駆動して、ステップ101に戻る。
【0057】
例えば硬度センサ5の測定硬度が95で、硬度設定手段10に設定されている設定硬度が100の場合について以下に説明する。ステップ101で前回の制御から1秒間が経過していることを確認すると、ステップ102に移って硬度センサ5の測定硬度が設定硬度と等しいかどうかをチェックする。今回の場合は、等しくないため、ステップ103での硬度が設定硬度−10より小さいかどうかのチェックを受けるものである。このチェックの結果はYESであるため、ステップ104に移ってI=1とメモリに記憶する。こうして、次にステップ211を実行する。すなわち、制御手段8は駆動時間表からI列すなわち1列めの値0.6を読み出す。このとき本実施例では、ステップ301でのチェックを実行している。すなわち、発振検知部15によって発振状態を検知しているかどうかをチェックしているものである。このチェックの結果がNOである場合は、ステップ212でのチェックを実行する。すなわち、硬度センサ5が検知する硬度が硬度設定手段10に設定されている硬度より低いかどうかをチェックする。今回の説明では、このチェックの結果はYESであるため、ステップ213を実行する。すなわち、駆動部7を硬度が増加する方向に0.6秒間駆動させて、ステップ101に戻って待機する。
【0058】
ステップ301でのチェックの結果がYESである場合は、ステップ302を実行して、駆動部7の駆動時間0.6秒を半減して0.3秒として、駆動部7を硬度が増加する方向に0.3秒間駆動させて、ステップ101に戻って待機する。
【0059】
このように本実施例によれば、硬度センサ5の測定硬度と硬度設定手段10に設定されている硬度の差の絶対値が同一であっても、発振検知部15が発振を検知した場合には駆動部7を駆動する時間の設定を短くするものである。以上のように、硬度センサ5の示す硬度が制御範囲におさまらず発振したことを検知する発振検知部15を備え、発振検知部15が発振を検知した場合は制御手段8のフィードバックによる制御量を少なくすることによって、流量センサを用いずに安定した硬度のミネラル水を生成することができるものである。
【0060】
なお本実施例では、発振検知部15はハードウエアで構成したものとして説明したが、プログラム上で発振を検知する構成としても支障はないものである。また本実施例では、駆動時間表は流量を無視して説明したが、流量の要素を組み込んだ駆動時間表としても支障はないものである。
【0061】
(実施例4)
続いて本発明の第4の実施例について説明する。図11は本実施例の構成を示すブロック図である。本実施例では、表示部16と表示制御部17を備えている。表示部16はLEDによって構成しており、硬度調整が終了したことを通知するものである。また、表示制御部17は、硬度センサ5が測定した硬度が調整範囲に収まった時点から、流量に応じた時間だけ待機した後に、表示部15に硬度調整終了の表示を行わせるものである。
【0062】
以下、本実施例の動作を説明する。原水の流れと硬度制御に関しては実施例1と同様である。表示制御部17は、硬度センサ5の示す硬度と設定硬度の差が一定値より大きければ表示部16を点滅させる。同時に、一定値以内であれば(数3)に従って流量センサ6の示す流量に応じた待機時間Twを定める。ただし、Rは流量センサの示す流量である。
【0063】
Tw=4÷R+1 (数3)
待機時間Twが経過するまでの間は、表示制御部17は表示部16を点滅させており、待機時間Twが経過した時点で表示部16を点灯させる。この制御内容を図12を用いて説明する。図12は、表示制御部17が有している制御プログラムを示すフローチャートである。ステップ401で硬度センサ5が測定した硬度と、硬度設定手段10に設定されている硬度との硬度差が一定値以内であることを確認すると、ステップ403に移って前記(数3)を演算して、待機時間Twを決定して、ステップ404でタイマを初期化する。ステップ401でのチェックの結果がNOである場合は、ステップ402の表示部16の点滅表示を実行する。続いてステップ405で、タイマの値が待機時間Twより小さいかどうかをチェックする。このチェックの結果がYESである間は、ステップ406で表示部16のLEDの点滅を継続させて、ステップ405に戻る。ステップ405でのチェックの結果がNOとなると、ステップ407に進んで、表示部12のLEDを点灯させる。
【0064】
例えば、図13に示すように硬度調整が行われた場合、時間0からT1までの間は硬度センサ5の測定硬度と硬度設定手段10に設定されている設定硬度との差が一定値以内ではないため、ステップ401とステップ402とを繰り返して、表示部16のLEDを点滅させている。時間T1になると、ステップ401からステップ403に移る。この時、流量センサ6の示す流量Rが1の場合は、ステップ403での演算の結果、待機時間Twは5となる。次にステップ404でタイマが初期化される。時間T1からT1+TwすなわちT1+5の間は、ステップ405とステップ406とを繰り返し、表示部16のLEDを点滅させている。時間がT1+5になると、ステップ405からステップ407に移って、表示部16のLEDは点灯するものである。
【0065】
時間T1での流量Rが2の場合は、ステップ403で演算した待機時間Twは3となる。この場合は、時間T1からT1+3の間は、表示部16のLEDが点滅し、時間がT1+3になると表示部16のLEDが点灯するものである。
【0066】
以上のように本実施例によれば、制御手段10が、硬度センサ5の測定硬度が設定硬度範囲となった時点から流量に比例した時間だけ遅延させた後、硬度調整完了の報知を行う構成として、硬度センサ5から本体の吐出口に至るまでの時間差による影響を回避することができる。
【0067】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明は、ミネラル材料を充填した添加筒と、供給された原水の一部を前記添加筒に分流する分流器と、前記分流した流量と前記添加塔を通さない本流との流量比および流量を調節する流量制御弁と、前記分流した水と本流の水とを再度混合する混合器と、前記混合器によって混合された水の硬度を測定する硬度センサと、混合された水の流量を測定する流量センサと、前記流量制御弁を駆動する駆動部と、流量と、設定硬度と測定硬度の硬度差とにより決まる駆動部の駆動時間を設定した駆動時間表を有し、前記流量センサで測定した流量と前記硬度センサで測定した測定硬度と設定硬度との差を演算し、その結果から前記駆動時間表で駆動時間を取りだし、その駆動時間に基づいて前記駆動部を駆動すると共に、流量制御弁で流量を変化させ、原水が設定硬度になるように制御する制御手段とを備えた構成として、流量が少ない場合でも安定した硬度のミネラル水を生成することができるミネラル溶出装置を実現できるものである。
【0068】
請求項2に記載した発明は、制御手段は、原水の流量を増加させるように制御する時には駆動時間を長く、原水の流量を減少させるように制御する時には駆動時間を短くするように設定した駆動時間表を有する構成として、流量を減少させる場合の制御と流量を増加させる場合の制御とで制御量を変化させることにより、安定した硬度のミネラル水を生成することができるミネラル溶出装置を実現するものである。
【0069】
請求項3に記載した発明は、硬度センサの測定硬度が、ある一定の時間内に予め決められた上限設定硬度と下限設定硬度を交互に少なくとも2回以上越える発振状態を検知する検知部を有し、発振検知部が発振状態を検知した場合は、制御手段が、所定の駆動時間より短く駆動部を駆動する構成として、流量センサを用いずに安定した硬度のミネラル水を生成できるミネラル溶出装置を実現できるものである。
【0070】
請求項4に記載した発明は、制御手段は、硬度センサの測定硬度が設定硬度範囲となった時点から流量に比例した時間だけ遅延させた後、硬度調整完了の報知を行う構成として、硬度センサから排出口までの間の配管が長く硬度変化の遅れが大きくなった場合でも、排出口での硬度が調整範囲内に収まった時点で表示を行うことができるミネラル溶出装置を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるミネラル溶出装置の構成を示すブロック図
【図2】同、制御手段が有している駆動時間表を示す説明図
【図3】同、流量と硬度と総硬度の関係を示す特性図
【図4】本発明の第1の実施例に使用する流量制御弁の構成図
【図5】上記流量制御弁の平面展開図
【図6】本発明の第1の実施例の制御手段の動作を示すフローチャート
【図7】本発明の第2の実施例に使用する駆動時間表を示す図
【図8】本発明の第3の実施例の構成を示すブロック図
【図9】本発明の第3の実施例に使用する駆動時間表を示す図
【図10】本発明の第3の実施例の制御手段の動作を示すフローチャート
【図11】本発明の第4の実施例の構成を示すブロック図
【図12】同、表示制御手段の動作を示すフローチャート
【図13】同、硬度調整時の硬度変化を示すフローチャート
【図14】従来例であるミネラル溶出装置の構成を示すブロック図
【図15】従来例であるミネラル溶出装置の硬度調整の特性を説明する説明図
【符号の説明】
1 添加筒
2 分流器
3 流量制御弁
4 混合器
5 硬度センサ
6 流量センサ
7 駆動部
8 制御手段
11 発振検知部
16 表示部
17 表示制御部

Claims (4)

  1. ミネラル材料を充填した添加筒と、供給された原水の一部を前記添加筒に分流する分流器と、前記分流した流量と前記添加塔を通さない本流との流量比および流量を調節する流量制御弁と、前記分流した水と本流の水とを再度混合する混合器と、前記混合器によって混合された水の硬度を測定する硬度センサと、混合された水の流量を測定する流量センサと、前記流量制御弁を駆動する駆動部と、流量と、設定硬度と測定硬度の硬度差とにより決まる駆動部の駆動時間を設定した駆動時間表を有し、前記流量センサで測定した流量と前記硬度センサで測定した測定硬度と設定硬度との差を演算し、その結果から前記駆動時間表で駆動時間を取りだし、その駆動時間に基づいて前記駆動部を駆動すると共に、流量制御弁で流量を変化させ、原水が設定硬度になるように制御する制御手段とを備えたミネラル溶出装置。
  2. 制御手段は、原水の流量を増加させるように制御する時には駆動時間を長く、原水の流量を減少させるように制御する時には駆動時間を短くするように設定した駆動時間表を有する請求項1に記載したミネラル溶出装置。
  3. 硬度センサの測定硬度が、ある一定の時間内に予め決められた上限設定硬度と下限設定硬度を交互に少なくとも2回以上越える発振状態を検知する検知部を有し、発振検知部が発振状態を検知した場合は、制御手段が、所定の駆動時間より短く駆動部を駆動する請求項1または2に記載したミネラル溶出装置。
  4. 制御手段は、硬度センサの測定硬度が設定硬度範囲となった時点から流量に比例した時間だけ遅延させた後、硬度調整完了の報知を行う請求項1から3のいずれか1項に記載したミネラル溶出装置。
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