JP3550792B2 - コンテナの配替え順序計画作成方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明はコンテナヤードのコンテナの配替え順序の最適計画作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンテナヤードのコンテナの配替え順序計画においては、計画作成者がコンテナのそのときの蔵置場所と個数、及び各コンテナの移動先を考慮しながら各搬送機械のコンテナ処理順序を決定している。この計画作成者の考え方を分析して公表した文献は特にないが、一般に扱うコンテナ数が多くなると複雑な配替え順序計画は極めて困難になるので、段積みして蔵置されているコンテナを上から順に、段積み数が平均的に減少していくように処理していく方法が代表的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
複数台の搬送機械が同一レーンを走行するため、計画作成者の簡単な順序計画では、複数台の搬送機械の間に衝突や追い越しなどの干渉が頻繁に発生し得る。実際には衝突や追い越しはできないので、そういう場合には干渉を起こしている搬送機械のうちどちらか一方の搬送機械が他方の搬送機械の作業のために一旦戻って待機するということが必要になる。そういう時には1台の搬送機械が稼働していないばかりか待避という余分の時間も消費することになり、干渉が頻繁に発生する順序計画では、コンテナの配置替え作業の効率が悪く、その総作業時間が長くなるという問題点がある。
【0004】
本発明は、複数台の搬送機械間の干渉を除去し配置替えの総作業時間を短縮することを可能とするコンテナヤードのコンテナの配替え順序計画作成方法を提供することを目的とする。
【0005】
【問題を解決するための手段】
本発明の一つの態様に係るコンテナの配替え順序計画作成方法は、同一レーン上に複数台(N台)の搬送機械を有するコンテナヤードのコンテナの配替え順序計画作成方法において、予め設定された現在の蔵置場所と行き先位置とから、各サイクルにおいてN台の搬送機械が同方向に且つほぼ同距離移動する各搬送機械の処理コンテナの組み合わせを、搬送機械の移動時間差を最小とする組み合わせとして求め、この組み合わせを全てのサイクルについて繰り返して求める。
本発明の他の態様に係るコンテナの配替え順序計画作成方法は、上記の方法における蔵置場所と行き先位置として、ブロック番号を用いる。
【0006】
【作用】
本発明の一つの態様においては、各コンテナの予め設定された現在の蔵置位置と行き先位置とから、N台の搬送機械がそれぞれ1個ずつのコンテナを配置替え処理する場合に、N台の搬送機械は同方向に走行し且つそれらの処理時間のばらつきが最小になるようなN個のコンテナの組み合わせを選ぶ。そうすることにより、N台の搬送機械は周期がほぼ揃った、即ち同期のとれた往復走行を繰り返すことになり搬送機械間の干渉が起こりにくくなる。その結果として、干渉時の待ちや待避のためのむだな時間が少なくなり配置替えの総作業時間を短縮することができる。
また、本発明の他の態様においては、行と列の番号をブロック番号に対応させたことにより、コンテナは段積みされている上の段から順番に処理されなければならないという制約条件が自動的に満たされ、アルゴリズムの複雑化が避けられ、計算のための時間も短縮化できている。
【0007】
【実施例】
図1は本発明の一実施例に係るコンテナの配替え順序計画作成方法が適用されたシステムの構成を示したブロック図であり、図2はそのアルゴリズムの手順を示したフローチャートである。本実施例においては、搬送機械が2台の場合、即ちN=2の場合について説明する。
図1の実施例のシステムは、最適計画を作成するワークステーションWS1とコンテナターミナル全体の運用を管理するワークステーションWS2とがネットワーク10によって接続されている。更に、ワークステーションWS2には、各コンテナの大きさ・重量などの情報や蔵置場所と行き先位置等に関する情報が格納されたデータベース3(以下、コンテナDBと称する)と、計画にあたっての条件設定や結果の計画を表示するための入出力装置4とが接続されている。
【0008】
図3は本実施例が適用されるコンテナの初期配置を示した図であり、表1はコンテナ搬送情報を示した表である。
【0009】
【表1】
【0010】
図3に示されるように、コンテナターミナル30はバッファ31と呼ばれる領域とヤ−ド32と呼ばれる領域に分けられており、輸入コンテナと称されるコンテナはバッファ31に置かれ、輸出コンテナと称されるコンテナはヤード32に置かれている。この配替えにより、輸入コンテナはバッファ31からヤード32へ、輸出コンテナはヤード32からバッファ31へ移される。図3の例ではコンテナ番号13から24までの12個の輸入コンテナがバッファ31内で2段積みにされており、これはブロック番号1〜6に対応している。即ち、コンテナ番号13,14はブロック番号1に、コンテナ番号15,16はブロック番号2に、コンテナ番号17,18はブロック番号3に、コンテナ番号19,20はブロック番号4に、コンテナ番号21,22はブロック番号5に、そして、コンテナ番号23,24はブロック番号6にそれぞれ対応している。また、コンテナ番号1から12までの12個の輸出コンテナはヤード32内で1段積みにされており、これらはブロック番号7〜18に対応している。
【0011】
本発明の計画方法を以下に示す。
(1)評価関数行列
各コンテナはバッファ31及びヤード32内で段積みされているので、段積みによってできるコンテナの山一つ一つをブロックと呼び、ブロック番号を上述のようにつける。各搬送機械はブロックの最上段コンテナを配置替え処理する。各サイクルにおいてブロックiの場所にいる搬送機械Aがブロックiのコンテナを処理し、ブロックjの場所にいる搬送機械Bがブロックjのコンテナを処理するとき、搬送機械AとBの間に干渉がないときはその処理時間の差をdijとし、dijをi行j列成分とする行列D=(dij)を評価関数行列とする。評価関数行列Dは輸出コンテナ用及び輸入コンテナ用にそれぞれ作られる。第1サイクルでは全てのブロックiとjについて評価関数行列Dを計算し、それを初期評価関数行列とする。
【0012】
搬送機械AとBの間に干渉があるときは、両者の処理時間の差に待避等の干渉回避に要する時間を加えたものをdijとする。たとえば搬送機械Aがコンテナの積み/降ろし処理をしているところへ搬送機械Bがやってくる場合には、搬送機械Bは或る一定距離離れた所で搬送機械Aのコンテナの積み/降ろし処理が終了するまで待機しなければならないし、また、その後は搬送機械Bの積み/降ろし処理のため搬送機械Aは待避をしなければならない。この場合では、搬送機械Bの待機時間と搬送機械Aの待避時間を加える。また、搬送機械AとBが共に同じブロックiのコンテナを処理してもよいのでdiiも有り得るが、この場合にも干渉が発生するので同様に待避等に要する時間を加える。例えば搬送機械Aがブロックiの最上段コンテナを掴み上げているときには搬送機械Bは一定距離離れた所で待機し、搬送機械Aがブロックiから移動後搬送機械Bがブロックiの次のコンテナを掴み上げることができる。従って、この場合には搬送機械Bの待機時間と待機場所からブロックiまでの移動時間を干渉回避に要する時間として加える。
【0013】
ところで、本実施例においては、上述のように行と列の番号をコンテナ番号ではなくブロック番号に対応させているが、これにより、コンテナは段積みされている上の段から順番に処理されなければならないという制約条件が自動的に満たされ、アルゴリズムの複雑化が避けられ、計算のための時間も短縮化できている。
【0014】
(2)最適ブロック対の探索
評価関数行列Dの要素dijの中で最小の要素dpqを与える対(p,q)を、各処理サイクルにおいて搬送機械AとBが動く時間差が最も小さくかつ干渉がない(小さい)という意味で最適ブロック対とする。ただし、最小の要素は1つとは限らないので複数あるときはそのような対(p,q)の集合{(p,q)}を作る。この場合には、コンテナの段積み高さをできるだけ減らす方がよいので、対の集合{(p,q)}の中からブロックpとqの段積み高さの和が最大の対(p,q)を求めて、それを最適ブロック対とする。
【0015】
(3)評価関数行列の更新
ブロック対(p,q)に対応するコンテナ対が搬送機械AとBによって処理されると、ブロックpとqは最上段のコンテナがなくなり、それぞれ2番目のコンテナが最上段コンテナとなる。qがpと等しい場合はブロックpについては3番目のコンテナが最上段コンテナとなる。以下、コンテナがなくなるまで上記(1)及び(2)の処理を繰り返して各搬送機械が処理するコンテナの順序を決定していく。上記(1)に戻って評価関数行列Dを再計算する際には、すべての要素dijを計算し直すのではなく、上記(2)の処理で選ばれたp行とq行、p列とq列の要素だけを計算し直す。pとq以外のブロックでは最上段のコンテナは変わっていないので、pでもqでもないiとjについてはdijは前の値のままである。コンテナ数が多いときはブロック数も多いので、一部の要素の計算だけで評価関数行列Dを更新できるこの処理方法は、計算時間を短縮することができる。なお、厳密にはクレーン位置が変化するので全要素の値が変化することになり再計算の必要があるが、ここでは適切な解が得られた場合はクレーンの位置が余り変わらないと仮定して、クレーンの位置変化を無視している。
【0016】
本発明におけるアルゴリズムは図2のフローチャートに示す手順に従って実行される。最初に初期の輸入コンテナ用の評価関数行列と輸出コンテナ用の評価関数行列を作成する。次に輸入コンテナ及び輸出コンテナそれぞれに対して、評価関数行列の中の最小要素を見つけ、それが複数個ある場合はそれらの中から最適なブロック対を求める。次に、評価関数行列を更新する。これらの手順が1サイクルであり、このサイクルがコンテナがなくなるまで繰り返され、コンテナがなくなったとき最適ブロック対の列をコンテナ番号対の列に変換たものとして各搬送機械のコンテナ処理順序が得られる。
【0017】
図3に示す実施例では表2に示すように1サイクル目の輸入コンテナ対は(16,14)、輸出コンテナ対は(1,7)であり、以下第6サイクルまで計算が進み、最終の第6サイクルで輸入コンテナ対(22,21)、輸出コンテナ対(11,22)が得られて計算が終了している。
【0018】
【表2】
【0019】
以上の説明はN=2の場合であるが、N≧3の場合においても同様に処理することができる。例えば、N=3の場合は評価関数行列は評価関数配列D=(dijk )とし、ddijk は3台の搬送機械がそれぞれブロックi,j,kの最上段コンテナを処理するときの処理時間差+干渉回避時間とする。
また、本発明は、コンテナヤ−ドと同様の構成の設備で、且つそこに置かれた物を複数台の搬送機械によって往復させながら配置替えを行う設備であれば、同様に適用できるので、同様な構成を有するものは本発明におけるコンテナヤ−ドとして扱われ、本発明の範疇に属する。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明の一つの態様によれば、予め設定された現在の蔵置場所と行き先位置とから、各サイクルにおいてN台の搬送機械が同方向に且つほぼ同距離移動する各搬送機械の処理コンテナの組み合わせを、搬送機械の移動時間差を最小とする組み合わせとして求め、この組み合わせを全てのサイクルについて繰り返して求めるようにしたので、そのコンテナの配替え順序計画によれば、N台の搬送機械は周期がほぼ揃った、即ち同期のとれた往復走行を繰り返すことになり、搬送機械間の干渉が起こりにくくなり、干渉時の待ちや待避のためのむだな時間の少ない総作業時間が短縮された最適計画となっている。
また、本発明の他の態様によれば、上記の処理において行と列の番号をブロック番号に対応させるようにしたので、コンテナは段積みされている上の段から順番に処理されなければならないという制約条件が自動的に満たされ、アルゴリズムの複雑化が避けられ、計算の処理時間の短縮化が可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るコンテナの配替え順序計画作成方法が適用されたシステム構成を示したブロック図である。
【図2】図1のシステムのアルゴリズムの手順を示したフローチャートである。
【図3】図1の実施例が適用されるコンテナ初期配置を示した図である。
Claims (2)
- 同一レーン上に複数台の搬送機械を有するコンテナヤードのコンテナの配替え順序計画作成方法において、
予め設定された現在の蔵置場所と行き先位置とから、各サイクルにおいて複数台の搬送機械が同方向に且つほぼ同距離移動する各搬送機械の処理コンテナの組み合わせを、搬送機械の移動時間差を最小とする組み合わせとして求め、この組み合わせを全てのサイクルについて繰り返して求めることを特徴とするコンテナの配替え順序計画作成方法。 - 蔵置場所と行き先位置として、ブロック番号を用いたことを特徴とする請求項1記載のコンテナの配替え順序計画作成方法。
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