JP4680345B2 - 箱詰め手順決定方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元物体を容器、倉庫などの収容体に収容する際に、できるだけ効率よく収容し得る収容位置を決定する方法、箱詰め手順決定方法およびそれらの装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでに、シート状の部材から様々な2次元形状部品を取る(ネスティング作業)ための2次元部品の配置システムは開発されており、実際に板金などのレーザー加工や、アパレルの裁断などで用いられている。ここでの目的は、部材のロスが最も少ない配置を考えることであり、様々な形状に対する最適化が可能となる手法が学会等で提案されてており、システム化も行われている。
【0003】
また、扱う部品が箱状の3次元形状部品である(箱詰め)場合も、その配置を考えるシステムは開発されている。実際に航空機や船などの貨物搭載用のシステムとして用いられている。ここでの目的は、全体のバランス(重心位置やたわみなど)を考えた配置を行うことだけであるため、これまでに開発されているシステムでは、2次元形状部品を配置する場合のように配置効率を重視した配置が可能になるわけではない。
【0004】
従来の手法では、配置のために必要な規則をデータベース化し、その規則を用いて配置を決定していた。そのため、データベース化されていないパターンが現れた場合に配置効率が非常に悪くなるという問題があったが、2次元部品の配置の場合にはソフトコンピューティング手法を用いた配置アルゴリズムが提案されている。また、このような手法を用いることで、様々な形状を同時に配置した場合に余材率が25%〜35%であったものが、15%〜18%まで改善されていることが分かっている。しかし、これらの手法を箱詰めに生かすためのアルゴリズムは提案されていない。
【0005】
従来、コンテナや倉庫に荷物や物品を詰める場合には、作業者の経験によって配置手順や配置位置を決定することにより、行われていた。また、コンピュータを用いて配置位置を決定する方法も提案されている。この手法は、配置する領域を小さな直方体領域に分割し、その領域に物品があるかないかの判断をし、特徴量というものを満足させる位置を探索していく方法である(特開平11−208604)。
【0006】
この作業は、一度詰めてしまうと積み直しが非常に困難であり、事前に荷物や物品の配置手順や配置位置が分かっていることが望まれるが、作業者が配置手順や配置位置を決定して詰めていく場合には、詰める荷物や商品の数が増えると組み合わせの数が爆発的に増えるため、効率の良い配置を考えるのにも限界がある。
【0007】
また、これまでに提案されているコンピュータを用いた手法も、荷物や物品をどの位置に納めればよいかについては分かるかもしれないが、どのような手順で配置すればよいのかについては分からない。そのため、結局作業者が考えなければならないという状況に陥る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明では、荷物や物品の効率の良い配置手順及び配置位置をコンピュータを用いて自動生成し、提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では配置する荷物や物品の配置順序を決定すれば、すべての荷物や物品の配置位置が決定され、全体の組み合わせを与えるグリーディなアルゴリズム(A)を用いる。この配置順序がすなわち配置手順となる。そして、効率の良い配置を求めるために、遺伝アルゴリズムやシミュレーテッド・アニーリングといったソフトコンピューティング手法を用いて配置順序の最適化を行う。本発明では、配置順序が決まれば全体の組み合わせを与えるアルゴリズムであるAが重要である。
【0010】
本発明は、コンテナや倉庫内に配置する荷物又は物品の適切な配置位置を、荷物又は物品の大きさなどの特徴量にもとづき、木リスト構造を持つデータ構造を利用することで決定することを特徴とするコンテナや倉庫内に配置する荷物又は物品の配置位置決定方法を要旨としている。
【0011】
また、本発明は、コンテナや倉庫内に配置する荷物又は物品の詰め込み順序及び配置位置を、荷物や物品の大きさなどの特徴情報にもとづきソフトコンピューティング手法により決定することを特徴とするコンテナや倉庫内に配置する荷物又は物品の箱詰め手順決定方法を要旨としている。
【0012】
さらにまた、本発明は、コンテナや倉庫内に配置する荷物又は物品の詰め込み順序及び配置位置を、荷物や物品の大きさなどの特徴情報にもとづきソフトコンピューティング手法により決定する荷物又は物品の詰め込み手順を決定する処理手段と、処理手段の指令にもとづき駆動される箱詰め手段とからなることを特徴とするコンテナや倉庫内に配置する荷物又は物品の箱詰め装置を要旨としている。
【0013】
上記のソフトコンピューティング手法は遺伝アルゴリズム、シミュレーテッド・アニーリングで代表される。
【0014】
【作用】
ある初期配置順序を与え、その配置順序に対してアルゴリズムAによって決定される全体の組み合わせから評価値が与えられる。このアルゴリズムAはグリーディなアルゴリズムであり、配置順序に従って荷物や物品を配置していく際に、常に最良と思われる位置に荷物や物品を配置していく。この最良と思われる評価の中に、重量バランスや高さの制限などの特徴量が入ってくる。そして、全体としてこのような特徴量を満足させるような詰め方が実現できる。
【0015】
そして、この配置順序をソフトコンピューティング手法を用いて様々に変形させることで、アルゴリズムAによって与えられる評価が最良となる配置順序を求めようとするものである。これによって得られたものが、効率の良い配置手順及び配置位置となる。
【0016】
【実施形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、箱詰め手順決定装置の機能ブロック図を示す。箱詰め手順決定装置は、複数の荷物や物品をコンテナや倉庫に効率良く詰める手順を決定する装置である。この装置は、詰める荷物や物品のデータと詰められるコンテナや倉庫のデータを用いて、ここで述べる方法によって配置手順の自動生成が行われ、その結果を出力するものである。
【0017】
この箱詰め手順決定装置の概略図を、図2に示す。これは、一般のコンピュータ装置を用いた場合の一例である。ここでは、CPUとメモリーと周辺機器を管理するI/Oが相互に信号のやりとりが可能なようにバスで接続されており、そのI/OにプリンターやCRTなどの周辺機器が接続されている。この装置では、メモリー内に荷物や物品のデータ、コンテナや倉庫のデータ及び箱詰め手順自動生成のためのプログラムが記憶されており、CPUによってこれらのデータやプログラムを用いて処理が行われる。その結果を、プリンターやCRTを通じて示すことになる。
【0018】
次に、箱詰め手順自動生成ルーチンについて説明する。図3に、箱詰め手順決定の全体のフローチャートを示す。ある配置手順を与え、その手順に対してアルゴリズムAによって評価を与える。その評価が満足するものであれば、処理を終了する。また、満足するものでなければ、新たな別の手順を生成し、その手順に対しての評価を行う。この処理を満足する結果が得られるまで繰り返す。
【0019】
ここで、手順の生成の手法としてソフトコンピューティング手法を用いる。n個の荷物や物品を詰めるとすると、配置手順である解σは、
【数1】
σ={B1、 B2、 。。。。、 Bi、 。。。。、 Bn
の順列として表現される。このBiが実際に詰める荷物や物品を表すことになる。
この解σを、ソフトコンピューティング手法である遺伝アルゴリズム、シミュレーテッド・アニーリング及びタブー探索といった手法を用い、最適化する。つまり、アルゴリズムAによる評価が高い解を見つけようとするものである。これらのソフトコンピューティング手法は数多く知られているため、どの手法を用いてもよい。
【0020】
次に、解σの評価を行うアルゴリズムAについて説明する。図4は、アルゴリズムA全体のフローチャートである。ここでは、詰める荷物や物品は直方体の箱であるとし、それらを詰めるコンテナや倉庫の領域も直方体の箱であるとする。
まず、詰める配置領域であるコンテナや倉庫の初期化を行う。ここでは、コンテナや倉庫のデータを取得(ステップS1)し、初期の木リストとして(P1、P2、P3、P4)を生成する(ステップS2)。図5は、そのイメージ図である。あるコーナーOを配置基点となるようにリストを生成する。このアルゴリズムでは、このリストで表される辺(P1、P2、P2、P3、P2、P4)上を配置候補位置として探索を行う。
【0021】
次に、既に決定している手順である配置順序に従って、これから配置する荷物や物品のデータを取得する(ステップS3)。このデータには、荷物や物品の大きさ(幅、奥行き、高さ)や重心位置などの特徴量が含まれる。
その荷物や物品のデータを元にして、現在生成されている木リスト上を配置位置を決定するために探索する(ステップS4)。その中で、最も評価の高い位置を配置位置として選択する(ステップS5)。
【0022】
そして、その位置に荷物や物品を配置することによって配置領域の情報が変わるため、その状態を表す木リストの更新を行う(ステップS6)。この場合、配置位置がリストの節に来る場合と枝に来る場合がある。節に来る場合の更新のイメージ図を図6に示す。ここでは、配置された木リストの情報(P4、P8、P9、P10)を更新し、新たに2つの木リスト(P9、P11、P12、P13)、(P10、P14、P15、P16)が加わるようになる。また、枝に来る場合には、2つの木リストが更新され、2つの木リストが追加されるようになる。このように、木リストの更新などは4つの節から構成される部分木単位で考える。このアルゴリズムで用いる木リストの構造を図7に示す。このように全体としては二分木の構造を持つ。
【0023】
そして、まだ配置する荷物や物品が残っていれば、さらに次に配置する荷物や物品のデータを取得し、配置位置の探索を行う。つまり、配置する荷物や物品が残っていればステップS3に戻り同様の処理を行い、残っていなければ、そこでアルゴリズムは終了する。
【0024】
よって、このアルゴリズムを用いた全体の配置結果から、ある手順を表す解σの評価が決定される。ここで述べている評価とは、積み上げの高さであるとか重量バランスであるとかの特徴量によって総合的に判断される。この評価は、アルゴリズムの中で荷物や物品の配置位置を決定する時の評価と同じ評価を用いる。
【0025】
【発明の効果】
本発明においては、全体のバランスを考慮するだけでなく、空間の効率的な利用をも考えた箱詰め手順の作成が可能となる。
すなわち、荷物や物品をコンテナや倉庫に詰める場合に、効率の良い配置手順を自動で生成できる。また、図8で示すような形で、分かりやすいイメージでどこに配置すればよいかを示すことも可能である。よって、従来のように積み直しを行わなければならないような事態は発生せず、作業者の負担も軽減される。
【0026】
また、ここでは一般のコンピュータを用いて装置が作成可能であり、自動生成された箱詰め手順が気に入らない場合でも、得られた手順を初期値としてこの装置を動作させることなどして、さらに良い配置手順を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明にかかる装置の概略図である。
【図3】箱詰め手順決定の全体のフローチャートである。
【図4】箱詰めアルゴリズムのフローチャートである。
【図5】箱詰め領域の初期化のイメージ図である。
【図6】箱詰めアルゴリズムのイメージ図である。
【図7】箱詰めアルゴリズムのデータ構造図である。
【図8】箱詰め手順として与えられるイメージ図である。

Claims (3)

  1. CPUと、配置領域情報及び荷物又は物品の大きさを含む特徴情報を記憶した記憶手段と、入力手段と、出力手段とを備える箱詰め装置を用いて、直方体状のコンテナや倉庫において直方体状かつ大きさの異なる複数の荷物又は物品の詰め込み順序及び配置位置を決定する箱詰め手順決定方法であって、
    記憶手段から読み出した特徴情報に基づき荷物又は物品の詰め込み順序をソフトコンピューティング手法を用いて決定する第1ステップ、第1ステップで得られたある詰め込み順序について、記憶手段から読み出した配置領域情報及び特徴情報に基づき各節が座標値を持つ木リストを作成・更新する配置アルゴリズムAを実行して配置位置を決定する第2ステップ、第2ステップで得られた配置位置の空間効率を評価し、当該評価が所定の空間効率基準を満足する場合にはその詰め込み順序及び配置位置を出力手段により出力させる第3ステップ、及び、第3ステップにおける評価が所定の空間効率基準を満足しない場合には再度第1ないし第3ステップを実行する第4ステップ、をCPUが実行すること、並びに、
    前記配置アルゴリズムAが、コンテナや倉庫の搬入出口と対向するコーナーを配置基準点とし、当該コーナー及び当該コーナーと辺を構成するコーナーを節とする木リストを作成するA1ステップ、4つの節と接続される節の中から予め設定された条件に基づきグリーディに選択された節に荷物若しくは物品の頂点又は前記コーナーと対応する3つの節からなる木リストを2つ加えるA2ステップ、A2ステップを荷物又は物品が無くなるまで繰り返し実行するA3ステップ、を有することを特徴とする箱詰め手順決定方法。
  2. 前記特徴情報が、重量含み、第4ステップにおいて空間効率基準および重心バランス基準を満足しない場合には再度第1ないし第3ステップを実行することを特徴とする請求項1の箱詰め手順決定方法。
  3. CPUと、配置領域情報及び荷物又は物品の大きさを含む特徴情報を記憶した記憶手段と、入力手段と、出力手段とを備え、直方体状のコンテナや倉庫において直方体状かつ大きさの異なる複数の荷物又は物品の詰め込み順序及び配置位置を決定する荷物又は物品の箱詰め装置であって、
    記憶手段から読み出した特徴情報に基づき荷物又は物品の詰め込み順序をソフトコンピューティング手法を用いて決定する第1手段と、
    ある詰め込み順序について、記憶手段から読み出した配置領域情報及び特徴情報に基づき各節が座標値を持つ木リストを作成・更新する配置アルゴリズムAを実行して配置位置を決定する第2手段と、
    ある配置位置の空間効率算出し、空間効率情報と関連づけた配置位置情報を記憶手段に記憶する第3手段と、
    記憶手段から読み出した空間効率情報に基づき所定の空間効率基準を満足する配置位置について詰め込み順序及び配置位置を出力手段により出力させる第4手段と、を有し、
    前記配置アルゴリズムAが、コンテナや倉庫の搬入出口と対向するコーナーを配置基準点とし、当該コーナー及び当該コーナーと辺を構成するコーナーを節とする木リストを作成するA1ステップ、4つの節と接続される節の中から予め設定された条件に基づきグリーディに選択された節に荷物若しくは物品の頂点又は前記コーナーと対応する3つの節からなる木リストを2つ加えるA2ステップ、A2ステップを荷物又は物品が無くなるまで繰り返し実行するA3ステップ、を有することを特徴とする箱詰め装置。
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