JP3548393B2 - 自動焦点調節装置を備えたカメラおよびそのピント計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、自動焦点調節装置を備えたカメラおよびそのピント計測装置に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
被写体に対するデフォーカス量を検出して、デフォーカス量が小さくなるように、つまり合焦するように焦点調節レンズ群を移動させる自動焦点調節装置を備えた一眼レフカメラ(以下「AF一眼レフカメラ」という)が知られている。この種の従来のAF一眼レフカメラは、カメラボディに、被写体のデフォーカス量を検出する焦点検出装置(測距装置、デフォーカス量検出装置)、撮影レンズの焦点調節レンズ群を駆動するレンズ駆動モータなどを備えていて、装着された撮影レンズを介して焦点検出装置で検出したデフォーカス量に基づいて、焦点調節レンズ群をレンズ駆動モータによって移動させる。
【0003】
従来のAF一眼レフカメラによる自動焦点調節処理では、被写体が移動している場合、つまりカメラから被写体までの距離(撮影距離)が変動するいわゆる動体の場合には、焦点検出時のデフォーカス量に基づいて焦点調節レンズ群を駆動しても、非合焦の場合がある。たとえば、焦点検出から焦点調節レンズ群移動完了までの時間に被写体がカメラに接近し、あるいは遠ざかるからである。さらに、レリーズボタンを押してから実際にシャッタが作動を開始するまでに所定の時間(レリーズタイムラグ)を要する。そのため、動体撮影では、レリーズボタンを押した時にたとえ合焦していても、レリーズタイムラグの間に被写体が、カメラに接近しまたはカメラから遠ざかってしまい、実際にシャッタが開放動作する時(露光開始時)には非合焦状態になっている場合がある。
【0004】
このような動体撮影において、動体を観察しているときや、シャッタ作動時に合焦状態とする焦点調節が可能な動体予測モード、動体追従モードなどと呼ばれる動体モードに関するアルゴリズムを備えたAF一眼レフカメラが開発されている。この種のAF一眼レフカメラでは、撮影レンズからカメラボディに焦点距離情報、撮影レンズによって結像された像面を光軸に沿って所定距離移動させるために必要な焦点調節レンズ群の移動距離またはレンズ駆動モータの駆動量に関する情報などが伝達される。
【0005】
通常、AF一眼レフカメラは、合焦と判断されるデフォーカス量が得られるように、デフォーカス量検出および焦点調節レンズ群移動処理を実行する。この被写体のデフォーカス量検出および焦点調節レンズ群移動を、合焦するまで繰り返す。そして、所定回数デフォーカス量検出および焦点調節レンズ群移動を行っても合焦しないときには動体と判断して動体モードに入る。動体モードに入ると、前回のデフォーカス量と、そのデフォーカス量分焦点調節レンズ群を移動させた後の今回のデフォーカス量からこの被写体の像面移動速度を求め、その像面移動速度と、デフォーカス量検出から焦点調節レンズ群移動に要する時間とを考慮したデフォーカス量分、レンズ駆動モータを高速駆動する。
【0006】
動体モードに入ってからレリーズボタンが押された時には、ミラーアップ動作からシャッタ幕が開き始めるまでのレリーズタイムラグの間に被写体像が移動しているであろうデフォーカス量を予測してそのデフォーカス量分焦点調節レンズ群を移動させることで、シャッタ幕開放時にほぼ合焦状態にしている。
【0007】
このカメラにおける動体モードによる動作を検査するためには、被写体を実際に移動しなければならない。そのために、被写体としての基準プレート等を、レール上を走行させる装置などによってカメラに対して接離移動させる方法などが採られていた。
しかし、この方法では、被写体を現実に移動させなければならないので、被写体を移動させる装置が必要であった。しかも動体追従時の合焦精度は、作業者がファインダーを覗いて観察し、レリーズ時の合焦精度は、カメラの撮影レンズによって形成された基準プレート像をフィルムに露光するか、あるいはフィルムに代えて撮像素子で撮像しなければ判断できない。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、動体モードを備えた自動焦点カメラの問題に鑑みてなされたもので、実際に移動する被写体を撮影しなくても動体モードでの動作、あるいは合焦精度検査が可能な自動焦点調節装置を備えたカメラおよびそのピントを計測する装置を提供することを目的とする。
【0009】
【発明の概要】
この目的を達成する本発明は、被写体に対する焦点状態を繰り返し検出する焦点検出手段を備え、この焦点検出手段が検出した焦点状態に基づいて被写体が移動しているかどうかを判断し、被写体が移動していないときにはその被写体に対して合焦するように焦点調節レンズ群を移動させ、被写体が移動しているときにはその移動方向および移動速度を考慮して焦点調節レンズ群を移動させる動体追従モードを備えた自動焦点調節装置を備えたカメラであって、移動していない被写体に対して上記焦点検出手段が検出した焦点状態を補正して、この補正した焦点状態により前記移動していない被写体が所定の移動方向および移動速度で移動している仮想状況を作り、その移動方向および移動速度に基づいて焦点調節レンズ群を移動させる仮想の動体追従モードを備えたこと、に特徴を有する。
【0010】
請求項7に記載の発明は、撮影レンズを介して被写体の焦点状態を検出する焦点検出手段と、焦点検出手段が検出した焦点状態に基づいて撮影レンズの焦点調節レンズ群を駆動するレンズ駆動手段と、上記焦点検出手段が検出した焦点状態に基づいて被写体が移動しているかどうかを判断し、移動していないと判断したときには上記焦点検出状態に基づいて上記レンズ駆動手段を駆動し、移動していると判断したときにはその変動方向および変動速度に応じて上記レンズ駆動手段を駆動する制御手段と、外部処理手段と通信する通信手段とを備え、上記制御手段は、上記外部処理手段から特定の信号を受けたときには、被写体が移動していないときでも、上記焦点検出手段が検出した焦点状態を補正して上記被写体が仮想の所定速度で移動しているものとみなして上記レンズ駆動手段を駆動し、上記外部処理手段は、上記制御手段に特定の信号を送り、上記制御手段が仮想のレンズ駆動処理を実行したときに、上記焦点検出手段が現実に検出した焦点状態に関する情報を読み込み、この情報に基づいて合焦精度を判断すること、に特徴を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明を説明する。図1は、本発明を適用した自動焦点(AF)一眼レフカメラの主要構成を示したブロック図である。このAF一眼レフカメラは、カメラボディ11と、このカメラボディ11に着脱可能なAF対応の撮影レンズ51とを備えている。そしてカメラボディ11は、いわゆる多点オートフォーカス手段(多点焦点検出手段)、自動焦点調節手段を備えている。
【0012】
撮影レンズ51からカメラボディ11内に入射した被写体光束は、大部分がメインミラー13により、ファインダ光学系を構成するペンタプリズム17に向かって反射され、ペンタプリズム17で反射されてアイピースから射出するが、メインミラー13で反射された反射光の一部が測光用IC18の受光素子に入射する。一方、メインミラー13のハーフミラー部14に入射した被写体光束の一部はここを透過し、サブミラー15で下方に反射されて、マルチ焦点検出センサユニット21に入射する。
【0013】
測光用IC18は、受光量に応じて光電変換した電気信号を対数圧縮し、周辺部制御用回路23を介して、メインCPU35に測光信号として入力される。メインCPU35は、測光信号およびフィルム感度情報に基づいて所定の露出演算を実行し、露出用の適正シャッタ速度および絞り値を算出する。そして、これらのシャッタ速度および絞り値に基づいて撮影処理、つまり、露光機構(シャッタ機構)25および絞り機構27を駆動してフィルムに露光する。さらに周辺部制御用回路23は、撮影処理に際し、モータドライブ回路29を介してミラーモータ31を駆動してメインミラー13のアップ/ダウン処理を行ない、露光終了後にはフィルム巻上モータ33を駆動してフィルムを1コマ分巻上げる。
【0014】
マルチ焦点検出センサユニット21は、いわゆる位相差方式の測距センサであって、図示しないが、撮影画面内における複数の測距ゾーン内に含まれる被写体像を形成する被写体光束を二分割する分割光学系と、二分割された被写体光束をそれぞれ受光して積分(光電変換およびその電荷を蓄積)するセンサを備えている。
【0015】
メインCPU35は、マルチ焦点検出センサユニット21から入力した各焦点検出ゾーンに対応する積分データに基づいて所定の演算によりデフォーカス量を算出する。そして、それらのデフォーカス量に基づいて、使用するデフォーカス量および優先順位を設定し、AFモータ39の回転方向および回転数(エンコーダ41が出力するパルス数)を算出する。そしてメインCPU35は、その回転方向およびパルス数に基づき、AFモータドライブ回路37を介してAFモータ39を駆動する。この駆動に際してメインCPU35は、AFモータ39の回転に連動してエンコーダ41が出力するパルスを検知してカウントし、カウント値が上記パルス数に達したらAFモータ39を停止させる。
【0016】
メインCPU35はAFモータ39を、DC駆動および、停止前にはエンコーダ41の出力パルスの間隔に基づいてPWM制御による一定速度制御をすることができる。AFモータ39は、その回転を、カメラボディ11のマウント部に設けられたジョイント47と撮影レンズ51のマウント部に設けられたジョイント57との接続を介して撮影レンズ51側に伝達する。そして、レンズ駆動機構55を介して焦点調節レンズ群53を進退移動させる。
【0017】
またメインCPU35は、プログラム等をメモリしたROM35a、演算用、制御用の所定のデータを一時的にメモリするRAM35b、計時用の基準タイマー35c、ハードカウンタ35dおよびA/D変換器35eを内蔵し、外部メモリ手段としてのEEPROM43が接続されている。このEEPROM43には、カメラボディ11特有の各種定数のほかに、本発明に必要な係数などがメモリされている。
【0018】
さらにメインCPU35には、レリーズボタン(図示せず)の半押しでオンする測光スイッチSWSおよび全押しでオンするレリーズスイッチSWR、自動焦点制御とマニュアル焦点制御とを切換える自動焦点スイッチSWAF、メインCPU35や周辺機器等への電源をON/OFFするメインスイッチSWMが接続されている。メインCPU35は、設定されたAF、露出、撮影などのモード、シャッタ速度、絞り値などを表示器45に表示する。表示器45は、通常、カメラボディ11の外面およびファインダ視野内の2か所に設けられた表示器を含む。
【0019】
このメインCPU35は、カメラボディおよび撮影レンズを総括的に制御する制御手段として機能するほかに、マルチ焦点検出センサユニット21および周辺部制御用回路23等とで積分制御手段を構成し、AFモータ39等とでレンズ駆動手段を構成している。
【0020】
一方撮影レンズ51には、焦点調節レンズ群53を光軸方向に駆動する焦点調節機構55、撮影レンズ51のマウント部に設けられていて、カメラボディ11のジョイント47と連結してAFモータ39の回転を焦点調節機構55に伝達するレンズ側ジョイント57、及びレンズCPU61を備えている。
【0021】
レンズCPU61は、電気接点群59、49の接続を介してカメラボディ11の周辺部制御用回路23と接続されていて、この周辺部制御用回路23を介してメインCPU35との間で所定のデータ通信を実行する。レンズCPU61から周辺部制御用回路23に伝達されるデータとしては、制御可能な開放絞り値Av (開放F値のアペックス換算値)、最大絞り値Av (最小絞りF値のアペックス換算値)、レンズ位置、Kバリュー(駆動量比)データなどがある。ここで、Kバリュー(駆動量比)データとは、撮影レンズ51により結像された像面を、AFモータ39を駆動して焦点調節レンズ群を移動させることで光軸方向に単位距離(例えば1mm)移動させる間にエンコーダ41が出力するパルス数(AFモータ39の回転数)データである。
【0022】
この一眼レフカメラは、測光スイッチSWSがオンされるとAF処理を開始する。AF処理では、先ずマルチ焦点検出センサユニット21が積分を始める。積分終了後、メインCPU35は、その積分データを入力し、そのデータに基づいてデフォーカス量、駆動パルス数を算出し、この駆動パルス数に基づいてAFモータ39を駆動する。
【0023】
マルチ焦点検出センサユニット21には、詳細は図示しないが周知の通り、撮影レンズ51から入射し、メインミラー13の中央部ハーフミラー部14を透過し、さらにサブミラー15で反射された被写体光が入射する。マルチ焦点検出センサユニット21に入射した被写体光は、フィルム面と共役な二次結像面上またはその前後位置に結像し、この二次結像面上に配置されたマスクの複数位置に形成された3個の窓を透過して、それぞれ異なる受光手段上に結像される。なお、各3個の窓は焦点検出ゾーンを規制し、各焦点検出ゾーンに含まれる光束はそれぞれ、図示しない分割光学系によって二分割されて、再結像面上に配置された各受光手段に結像される。
【0024】
動体予測モードの一例について、図2および図3を参照して説明する。これらの図は、被写体までの距離が変わる場合における、被写体像位置とピント位置(フィルム面)との関係、つまりデフォーカス状態を説明する図であって、横軸は時間を、縦軸はピント位置と被写体像位置との関係を示している。ピント位置は、撮影レンズ51の後側主点あるいは焦点調節レンズ群53の基準点からフィルム面までの距離を、被写体像位置は、撮影レンズ51の後側主点あるいは焦点調節レンズ群53の基準点から撮影レンズ51によって形成された被写体像面までの距離をそれぞれ近似的に示している。この図では、ピント位置と被写体像面位置との差がデフォーカス量である。そして、ピント位置が被写体像位置よりも上にある状態が前ピン状態を示し、逆にピント位置が被写体像位置よりも下にある状態が後ピン状態を示しており、ピント位置と被写体像位置とが一致した状態が合焦状態を示している。
【0025】
なお、図において、各符号は下記の通り定義する。
I(n) :積分
D(n) :積分データ入力(ビデオデータ入力)
C(n) :演算(デフォーカス量、パルス数を求める演算)
M(n) :AFモータ駆動
T(n) :積分の中間点と積分の中間点の時間間隔
DP(n) :積分I(n) 時のデフォーカスパルス
TP(n) :タイムラグ補正パルス数
S(n) :動体追従速度(パルスの出力周期)
TS(n) :タイムラグ補正を含む動体追従速度(パルスの出力周期)
ただし、nは自然数である。
【0026】
本実施の形態にかかる一眼レフカメラは、自動焦点調節モードの一つとして、いわゆる動体予測モードを有している。まず、動体予測モードに入るまでのAF動作の概要を、図2を参照して説明する。測光スイッチSWSがオンされてAF処理に入ると、1回目の積分Iおよび演算Cにより求められたAFパルス数に基づいてレンズ駆動(AFモータ39の駆動)を行なう。本実施例では、測光スイッチSWSがオンされて1回目の積分および演算の結果、デフォーカス量(または駆動パルス数)が一定量よりも大きいときには、AFモータ39を最高速で駆動(DC駆動)するとともに、上記レンズ駆動中も積分および演算を繰り返す継続処理を行なう。そして、その積分および演算処理繰り返し中にデフォーカス量が一定値よりも小さくなったときには、直前(最新)の積分および演算により求めた駆動パルス数に基づいてレンズ駆動をし、その後の積分および演算を中止する。
【0027】
この1回目のレンズ駆動が終了すると、再び積分および演算を実行して得られたデフォーカス量に基づいて合焦したかどうかをチェックする。合焦していなければ2回目のレンズ駆動処理を実行し、レンズ駆動処理後に積分および演算を実行して得られたデフォーカス量に基づいて合焦したかどうかをチェックする。合焦していなければ3回目のレンズ駆動処理を実行し、レンズ駆動処理後に積分および演算を実行して得られたデフォーカス量に基づいて合焦したかどうかをチェックする。3回目の合焦チェックで合焦していなければ、被写体が移動していると考えられるので、動体予測モードに入る。
【0028】
なお、上記合焦チェック処理で合焦していると判断したときは被写体は移動していないと考えられるが、動体の可能性もあるので、所定時間待って再度測距処理を実行し、必要に応じて(非合焦状態であれば)レンズ駆動処理を行なう。また、この所定時間待っている間にレリーズスイッチSWRのオンによる割込みが入ればレリーズ処理を行ない、割込みが入らなければ、測光スイッチSWSがオンされている間は上記測距処理およびレンズ駆動処理を繰り返す。
【0029】
動体予測モードに入った後の処理について、図3を参照して説明する。被写体が動体であると判断したときの積分I1 の結果に基づいた演算C1 によりデフォーカスパルス数DP1 を算出し、さらに前回の積分Iの中間点から今回の積分I1 の中間点までの時間T1 とから被写体像面の移動速度(被写体追従速度)S1 を演算C1 において算出する。そして、被写体像面をフィルム面に短時間で一致(合焦)させるために、被写体追従速度S1 の所定倍(本実施例では3倍)の速度で時間T1 ′/2の間、一定速度制御(3倍速レンズ駆動)M1 を行なう。この3倍速レンズ駆動M1 が終了した後、積分I2 および演算C2 が行なわれている間は、被写体追従速度S1 で一定速度制御(レンズ駆動)M2 を行なう。なお、被写体像面の移動速度とは、撮影レンズ51により結像された被写体像面が光軸に沿って移動する速さをいうものとする。
【0030】
この演算C2 では、前回と今回のデフォーカスパルス数DP1 、DP2 、実際のレンズ駆動パルス数MP1 および積分I1 、I2 間の時間T2 に基づいて被写体追従速度S2 が算出される。そして、演算C2 が終了すると積分I3 を開始するが、この積分I3 および演算C3 の間は被写体追従速度S2 で追従レンズ駆動M3 を行なう。この実施例では、デフォーカスパルス数DP3 分デフォーカスした状態で追従している。そして、動体追従処理を繰り返す。
【0031】
以上の追従処理によって、被写体像位置とピント位置とが一致ないし接近した状態で焦点調節処理が継続される。
【0032】
『動体追従速度(被写体像移動速度)の計算』
動体追従速度Sの具体的な算出方法について、図3を参照して説明する。最初の動体追従速度S1 は、動体予測モードに入った時の積分I1 により得られたデフォーカスパルス数DP1 と、前回の積分Iの中間点から今回の積分I1 の中間点までの時間T1 とにより、下記式により求められる。なお、S1 はエンコーダ41が出力するパルスの出力周期(ms)である。
S1 =T1 /DP1 (ms) …▲1▼
この動体追従速度S1 は、被写体像面移動速度にほぼ等しいか、近似する。
【0033】
この式により求められた動体追従速度S1 の3倍速(S2/3)で、先ず前回の積分Iの中間時点から今回の演算C1 までの時間の1/2の時間(T1 ′/2)だけ演算終了時から倍速レンズ駆動M1 をすることにより、焦点調節レンズ群53を合焦付近まで迅速に移動させる。その後、積分I2 および演算C2 をしている間は、動体追従速度S1 で追従レンズ駆動M2 を行なって、被写体の移動に追従させる。
【0034】
『動体追従動作中の動体追従速度(被写体像面移動速度)S(n) の計算』
動体追従動作中は、下記の式により動体追従速度S(n) を求める。前回の積分I1 の中間点から今回の積分I2 の中間点までの時間T2 と、時間T2 内の実際のレンズ駆動パルス数MP1 と、前回と今回のデフォーカスパルス数DP1 、DP2 とから、時間T2 内の被写体の移動量に相当するパルス数RP1 を求め、このパルス数RP1 から動体追従速度S2 を求める。
RP1 =MP1 −DP1 +DP2 (パルス)…”
S2 =T2 /RP1 (ms)…#
【0035】
以上の式で求められた動体追従速度S2 で、積分I3 および演算C3 を実行している間、追従レンズ駆動M3 を行なって被写体の移動に追従合焦する。
【0036】
なお、この計算においてデフォーカスパルス数DPはスカラー量としてあるので、前ピン、後ピンによって符号が変わる。したがって、行過ぎた場合はT2 時間内に実際にレンズ駆動するパルス数MP1 から今回のデフォーカスパルス数DP2 を減算することになる。
【0037】
追従の計算を一般式で表わすと、下記のようになる。
RP(n−1) =MP(n−1) ±(−)DP(n−1) )±DP(n) …$
S(n) =T(n) /RP(n−1) (ms) …%
(但し、nは自然数)
以上の$ 、% 式による演算、その演算結果に基づくレンズ駆動および積分を繰り返すことにより、図に示した動体追従が可能になる。なお、本実施例の計算において、レンズの駆動パルス数MP(n−1) 、デフォーカスパルス数DP(n) は絶対値としているので、$ 式の右辺のデフォーカスパルス数±DP(n) の符号は、後ピンのときにはプラス(+)、前ピンのときにはマイナス(−)とする。
【0038】
『レリーズスイッチオンおよび連続レリーズ時の処理』
動体予測AF処理中にレリーズスイッチSWRがオンされたときの動作について、図4を参照して説明する。
【0039】
一般に一眼レフカメラは、レリーズスイッチがオンされてからミラーがアップするので、レリーズスイッチオンから実際にフィルムに露光されるまでに所定の時間がかかる。これをレリーズタイムラグRTLという。したがって、被写体が動体のときには、レリーズスイッチSWRがオンされてから露光開始時までの間も被写体が移動するので(レリーズタイムラグRTLの間)、追従レンズ駆動を継続することが望ましい。
【0040】
そこで本実施例では、図では演算C3 終了時にレリーズスイッチSWRがオンされたかどうかをチェックし、オンされていたときには、露光からフィルム巻き上げ終了後の最初の演算C3 終了までの時間の1/2の時間(T3 ′/2)の間、タイムラグ補正を含む動体追従速度TS3 の3倍速でレンズ駆動M3 を行ない、レリーズタムラグRTL分、焦点調節レンズ群53を先回り移動させる。
【0041】
3倍速追従レンズ駆動M3 が終了すると、積分I4 および演算C4 にてデフォーカス確認後、測光演算およびミラーアップ処理を行ない、絞りをAE演算で求めた絞り値まで絞込み、AE演算で得られたシャッタ速度でシャッター機構25を駆動する。
【0042】
タイムラグ補正パルス数をTP3 、前回のミラーアップ時間をUT2 、動体追従速度をS3、3倍速駆動するパルス数をMP3 とすると、
となる。
レリーズタイムラグRTL補正を含む動体追従速度TS3 は、
TS3 =(T3 ′/2)/MP3 /3
となり、
レリーズタイムラグRTL補正を含まないデフォーカスパルスDP4 ′は、
DP4 ′=TP3 −DP4
レリーズタイムラグRTL補正を含まない動体追従速度S3 は、
S3 =T3 /DP3
式により求めることができる。
【0043】
以上は、被写体が実際にカメラに接近してきた場合の処理である。次に、本発明の特徴である、動体予測モードにおける合焦精度検査処理について説明する。本実施の形態では、図5に示すように、撮影レンズ51が装着されたカメラボディ11に対して、撮影レンズ51の光軸上の所定距離に基準被写体(テストチャート板)91を配置し、カメラボディ11の接続端子36と、インターフェース(入出力手段)37を介してパソコンなどのコンピュータ(外部処理手段)81の通信端子と接続し、メインCPU35とコンピュータ81との間で動体予測モードに関する所定のデータ通信を実行する。メインCPU35からコンピュータ81へは、検出したデフォーカス量、積分時間間隔、被写体距離などが転送される。コンピュータ81からメインCPU35へは、被写体移動速度、移動開始距離、テストフラグ、補正係数など、動体予測モードにおける合焦精度検査処理に必要なコマンド、データが転送される。
【0044】
本発明の実施の形態では、被写体の移動速度が一定の場合には、デフォーカス量の変化(被写体像移動速度)が、被写体距離の逆数に比例すると仮定し、静止基準被写体(テストチャート板91)について焦点検出したデフォーカス量をシフト(補正)することによって、被写体が移動している仮想状態を作り、合焦精度の検査を行う。ピント位置と実被写体位置と仮想被写体位置との関係を示す図6および図7を参照してより詳細に説明する。ピント位置と被写体位置との関係は、図2から図4に示した関係と同一である。
ただし、図中における符号を、下記の通り定義する。
T :前回の積分中間点から今回の積分中間点までの時間[mS]
Def :実際に積分し、デフォーカス演算により得られた実デフォーカス量(後ピン:+、前ピン:−)[ μm]
Def′:仮想のデフォーカス量(後ピン:+、前ピン:−)[ μm]
Dis :被写体距離[m]
V :被写体速度[m/s]
【0045】
まず、デフォルト値として、被写体の移動速度(V)と移動開始時の被写体距離Disを設定する。なお、各符号の後の符号(n) はどの段階、あるいは時刻におけるものかを識別するためのもので、自然数である。
【0046】
追従中のデフォーカス量を演算する。
a) 積分の中間点間の積分間隔時間T(n) により、今回の積分中間点における被写体距離Dis(n) を下記式により計算する。
Dis(n) =Dis(n−1) ±V×T(n) [m] ……(1)
b) 積分間隔時間T(n) に被写体が移動した距離は、(移動速度)×(積分時間間隔)であるから、式
±V×T(n) [m] ……(2)
により計算する。
c) 動体追従中の被写体距離Dis(n) は、(前回の被写体距離)±(移動距離)であるから、式
Dis(n−1) ±V×T(n) [m] ……(3)
により計算する。
d)(1)式で求めた被写体距離Dis(n) におけるシフト量Sft(n) を、式、
Sft(n) =a/Dis(n) −b [ μm] ……(4)
により計算する。
但し、a、bは係数であって、縦軸にデフォーカス量を、横軸に被写体距離の逆数をとり、任意の2点の被写体距離におけるデフォーカス量を結ぶ直線の傾きをa、その直線のY接片を係数bとする。
e)実際のデフォーカス量Def(n) から仮想デフォーカス量Def(n) ′を演算する。
Def(n) ′=Def(n) +Sft(n) [ μm] ……(5)
(ただし、±符号付き)
【0047】
以上の式を使用した、動体予測モードで動作中における合焦精度検査の様子を、図6および図7に示した。コンピュータ81は、メインCPU35に、動体予測モードにおける合焦精度検査を実行させるために必要なデータを転送し、測光スイッチSWS、レリーズスイッチSWRが作業者によってオン操作されたときに、動体追従モードによる積分、CCDビデオデータ入力、デフォーカス演算、AFパルス演算、AFモータ39駆動処理を実行させる。そしてメインCPU35は、デフォーカス量演算処理において、下記演算を実行する。メインCPU35が演算した各デフォーカス量は、RAM35bにメモリされ、コンピュータ81に読み込まれる。
【0048】
図6は、測光スイッチSWSがオンされ、動体予測モードに入ってからの動体予測モードでの動作(動体追従動作)を示している。このモードでは、まず、被写体距離Dis(n) を上記式(1)によって算出する。
Dis(n) =Dis(n−1) −V×T(n)
例えば、Dis1 =Dis−V×T1
シフト量Sft(n) を上記式(4)により演算する。
Sft(n) =a/Dis(n) −b
【0049】
メインCPU35は、仮想デフォーカス量Def(n) ′を、シフト量Sft(n) および実デフォーカス量Def(n) に基づいて、上記式(5)により求める。
Def(n) ′=Def(n) +Sft(n)
図においては下記のようになる。
Sft1 =a/Dis1 −b (−の値)
Def1 ′=(+)Def1 +Sft1
Sft2 =a/Dis2 −b (+の値)
Def2 ′=(−)Def2 +Sft2
そして、メインCPU35は、この仮想デフォーカス量Def(n) ′に基づいてAFパルス演算、AFモータ39駆動処理等を実行する。
【0050】
以上の検査動作によって動作した場合は、動体予測モード時の合焦精度を、仮想デフォーカス量Def2 ′、Def3 ′の値によって測定できる。つまり、仮想デフォーカス量Def2 ′、Def3 ′の絶対値が小さいほど、動体追従時の合焦精度が高いことが分かる。
【0051】
図7は、動体予測モード時における露光時の動作を示している。
シフト量Sft1 、仮想デフォーカス量Def1 ′、レリーズ時のシフト量Sft3 、およびレリーズ時の仮想デフォーカス量Def3 ′を、実デフォーカス量Def1 、巻き上げ後の実デフォーカス量Def4 などに基づき、上記式(4)、(5)によって求める。
Sft1 =a/Dis1 −b (<0)
Def1 ′=Def1 +Sft1
Sft3 =a/Dis3 −b (<0)
Def3 ′=Def4 +Sft3
【0052】
以上の動作の結果、RAM35bから読み込んだ、レリーズ時の仮想デフォーカス量Def3 ′によって動体予測モードにおける露光時の合焦精度が分かる。つまり、仮想デフォーカス量Def3 ′の絶対値が小さいほど合焦精度が高いことが分かる。
【0053】
この多点オートフォーカス装置を備えたAF一眼レフカメラの焦点調節動作を、さらに図8〜図11を参照して説明する。
【0054】
「メイン処理」
図8は、この一眼レフカメラのメイン処理に関するフローチャートである。このメイン処理では、測光スイッチSWSがオンされるのを待ち、測光スイッチSWSがオンされたら測光および露出演算処理(AE処理)を実行して最適絞り値およびシャッタ速度を求め、焦点検出処理およびレンズ駆動処理(AF処理)を実行して合焦し、レリーズスイッチSWRがオンされたらAE処理で求めた絞り値およびシャッタ速度で露光処理を実行する。
【0055】
このメイン処理には、バッテリが装填されたときに入る。この処理に入ると先ず、RAM35bをイニシャライズする(S101)。そして、メインCPU35以外の回路、部品への電源供給を遮断し、測光スイッチSWSがオンするのを待つ(S103、S105)。測光スイッチSWSがオンされると、周辺機器への電力供給を開始してVDDループ処理を実行する(S107)。
【0056】
VDDループ処理に入ると、VDDループ時間タイマをスタートさせて(S111)、各スイッチの状態をチェックし(S113)、レンズCPU61との間で所定のレンズ通信を実行して、Kバリュー、開放絞り値、最小絞り値、焦点距離データなどのレンズデータを入力する(S115)。
【0057】
さらに、外部装置(コンピュータ81)が接続されている場合はこれと通信を実行して、テストフラグ、テストデータとしてデフォルトの被写体距離、近づいて来る被写体かどうか、被写体移動速度情報を入力する(S116)。もちろん、コンピュータ81と接続されていないときにはこれらの情報が入力されることはない。
【0058】
そして、AE演算処理を実行し(S117)、演算によって求めたシャッタ速度など、撮影に関する表示を行う(S119)。AE演算処理とは、測光IC18によって被写体輝度を測定し、被写体輝度データおよびフィルム感度データなどに基づき、所定の露出モード、例えばプログラム露出モードによって適正シャッタ速度および絞り値を演算により求める処理である。
【0059】
シャッタ速度および絞り値が求まると、積分処理、焦点検出処理によってデフォーカス量、AFパルス数を求め、焦点調節レンズ群53を移動して焦点検出した被写体に合焦させるAF処理を実行する(S121)。このAF処理を、ループ時間が経過するまで繰り返し実行する(S123)。
【0060】
ループ時間が経過したら、測光スイッチSWSの状態をチェックし、オンしていたらVDDループ処理に戻る(S125、S111)。測光スイッチSWSがオフしていたら、パワーホールド中フラグがセットされているかどうかをチェックし、セットされていなければパワーホールド中タイマをスタートさせ、パワーホールド中フラグをセットしてからパワーホールドタイマがタイムアップするまで、VDDループ処理を繰り返す(S125、S127、S129、S131、S133、S111)。そして、パワーホールド時間が経過したら、パワーホールド中フラグをクリアしてパワーダウン処理に戻る(S133、S135、S103)。
【0061】
「AFスタート処理」
次に、AFスタート処理について、図9および図10に示したフローチャートを参照して説明する。本実施例では、被写体が移動しているかどうかを、AF処理(積分、CCDデータ入力、デフォーカス計算、AFパルス計算、およびレンズ駆動処理)を連続3回繰り返しても合焦しなかったことで判定する。そして被写体が移動している、つまり動体と判定したときは、前回と今回の積分の時間間隔およびデフォーカス量から被写体像面の移動速度を求め、レンズ駆動時には被写体像面の移動速度よりも速い速度(3倍速)で今回のデフォーカス量よりも所定量余分にAFモータ39を駆動して被写体像面をフィルム面により近づける。さらに、レリーズ時にはタイムラグに相当する時間分余分にAFモータ39を駆動して、シャッタ起動時(露光開始時)に被写体像面がフィルム面にほぼ一致した合焦状態になるように処理している。
【0062】
AF処理に入ると、先ず、測光スイッチSWSがオン状態にあるかどうかをチェックする(S201)。測光スイッチSWSがオフしていれば、AFロックフラグおよび動体予測モードフラグに“0”を入れ、動体判断用カウンタを初期設定(初期値3をセット)してリターンする(S201:N、S203、S204)。AFロックフラグは、一度合焦したときにセットされるフラグであって、一旦ある被写体に合焦したときには、その被写体に対する合焦状態を維持する、いわゆるフォーカスロックを可能にするフラグである。動体予測モードフラグは、動体予測モードに入ったことを識別するフラグであって、動体予測モードに入ると“1”がセットされる。
【0063】
測光スイッチSWSがオン状態にあれば、AFロックフラグがセットされているかどうかをチェックし、AFロックフラグに“1”がセットされていればリターンする(S205:Y)。AFロックフラグに“1”がセットされていなければ、積分をスタートさせる(S205:N、S207)。積分が終了したらCCDビデオデータを入力し、選択された焦点検出ゾーンについてデフォーカス計算を実行してデフォーカス量を求める(S209、S211)。そして、計算したデフォーカス量から合焦しているかどうかをチェックし、合焦していたら、動体予測モードフラグに“1”がセットされているかどうか、つまり動体予測モードに入っているかどうかをチェックし、入っていなければAFロックフラグに“1”をセットしてリターンする(S215:Y、S217:N、S219)。合焦していてもすでに動体予測モードフラグに“1”がセットされていたら、動体予測モード処理に飛ぶ(S215:Y、S217:Y)。
【0064】
S215のチェックにおいて合焦していなかったとときには、動体かどうかをチェックする処理に入る(S215:N、S221〜S233)。S221では、動体予測モードフラグに“1”がセットされているかどうかをチェックし、“1”がセットされていたらすでに動体予測モードに入っているので動体予測モード処理に飛ぶ(S221:Y)。動体予測モードフラグに“1”がセットされていなければ、レンズの前回の駆動方向と今回の駆動方向を比較し、同方向でないとき、つまり駆動方向が変わっていれば、被写体が急激に減速したか、停止したか、移動方向が変わっているかなので動体判定処理(S229〜S233)をスキップし、AFパルス計算処理によってデフォーカス量およびKバリューデータからAFパルス数を演算し、演算したAFパルス数に基づいてAFモータ39の駆動処理を実行してリターンする(S221:N、S223、S225:N、S235、S237)。
【0065】
レンズの駆動方向が同一であれば、つまり、前回のデフォーカス量と今回のデフォーカス量の符号が同一であれば、動体判断用カウンタから1デクリメントし、動体判断用カウンタの値が0になったかどうかをチェックする(S225:Y、S229、S231)。動体判断用カウンタの値が0でなければ、AFパルス計算およびレンズ駆動処理を実行してリターンする(S231:N、S235、S237)。動体判断用カウンタの値が0になれば、動体予測モードフラグに“1”をセットして動体予測モードに入る(S231:Y、S233)。
【0066】
「動体予測モード」
動体予測モードは、移動する被写体、つまり動体に対して、実際に積分し、算出したデフォーカス量に、次の積分およびデフォーカス量算出時までに動体が移動しているであろうデフォーカス量をプラスした量に基づいてレンズ駆動する処理である。
【0067】
動体予測モードにはいると、AFパルス計算を実行し、動体追従速度を計算し、動体予測処理を実行してリターンする(S241、S243、S245)。
【0068】
次に、仮想デフォーカス計算処理について、図11を参照して説明する。本実施の形態では、カメラ(撮影レンズ51を装着したカメラボディ11)を固定し、カメラの光軸延長上の所定距離にテストチャート板(基準被写体)91を配置し、このテストチャート板91に対して焦点検出して、デフォーカス量を求める。コンピュータ81により入力された被写体初期情報により、実測のデフォーカス量に基づいて、テストチャート板91が移動していると仮定したデフォーカス量を求め、その仮想デフォーカス量を用いてAF処理を実行させる。つまり、被写体を移動させずに仮想的に被写体が移動している状況を創り出すのである。被写体の移動は、全て被写体像(像面)の移動として処理する。
【0069】
まず、メインCPU35は、RAM35bにメモリした各センサの画素データを入力し、それぞれのセンサについてデフォーカス量を算出する(S501)。そして、テストフラグに“1”がセットされているかどうかをチェックし、“1”がセットされていなければリターンし(S503:N)、“1”がセットされていることを条件にS505以降のテスト処理を実行する(S503:Y)。テストフラグは動体予測モードによる処理をテストするかどうかを決めるフラグであって、コンピュータ81からデータ通信によって入力される。
【0070】
被写体像の移動距離を、(被写体移動速度)×(積分時間間隔)、によって求め、近づいて来る被写体か遠ざかる被写体かをチェックする(S505、S507)。近づいて来る被写体か、遠ざかる被写体かどうかは、予めコンピュータ81により設定されいている。
【0071】
近づいて来る被写体のときは、被写体像移動距離を、(前回の被写体距離)−(今回の被写体移動距離)、によって求め(S507:Y、S509)、遠ざかる被写体のときは、被写体移動距離を、(前回の被写体距離)+(今回の被写体移動距離)、によって求める(S507:N、S511)。
【0072】
仮想のシフト量を、a/(被写体距離)−bによって求め(S513)、仮想デフォーカス量を、(実デフォーカス量)+(シフト量)によって求める(S515)。そして、仮想デフォーカス量、積分間隔時間、距離等のデータをRAM35bに保存してリターンする(S517)。
【0073】
ここで、実デフォーカス量が後ピンに相当するときの符号は(+)、実デフォーカス量が前ピンに相当するときの符号は(−)であり、シフト量は仮想被写体が後ピン側にあれば(−)、前ピン側にあれば(+)となる。
【0074】
以上の通り本実施例の自動焦点カメラは、固定した基準チャート板91を仮想の動体として動体追従モード動作を実行できるから、動体追従時の動作チェック、合焦精度検査が簡単にできる。
【0075】
以上、図示実施の形態では、仮想動体追従モードに入るかどうかをコンピュータ81で指示していたが、カメラボディ11にその指示を出すスイッチ手段などを設ける構成でもよい。
本実施の形態では、基準チャート板91の距離、移動速度、係数a、bは予め設定してEEPROM43に書き込んでいるが、本発明はこれらの値をコンピュータ81からカメラに送信する構成にもできる。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り請求項1に記載の発明は、動体追従モードを備えたカメラにおいて、移動していない被写体に対して上記焦点検出手段が検出した焦点状態を補正して、この補正した焦点状態により前記移動していない被写体が所定の移動方向および移動速度で移動している仮想状況を作り、その移動方向および移動速度に基づいて焦点調節レンズ群を移動させる仮想の動体追従モードを備えたので、移動しない被写体で、移動する被写体に対する焦点調節動作を実行させることが可能になった。したがって、動体に対する焦点調節動作、合焦精度の検査を簡単に実現できる。
【0077】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のカメラが仮想のレンズ駆動処理を実行したときに、焦点検出手段が現実に検出した焦点状態に関する情報を読み込み、この情報に基づいて合焦精度を判断することができるので、リアルタイムに動体に対する焦点調節動作および合焦精度を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焦点検出装置を一眼レフカメラに適用した一実施の形態の主要構成をブロックで示す図である。
【図2】同一眼レフカメラのAF処理において、動体予測モードに入るまでの被写体とピントとの関係を説明する図である。
【図3】同一眼レフカメラのAF処理において、動体予測モードに入ってからの被写体とピントとの関係を説明する図である。
【図4】同一眼レフカメラの動体予測モードにおいて、レリーズ時の被写体とピントとの関係を説明する図である。
【図5】同一眼レフカメラの動体予測モードにおける合焦精度を検査するときの構成を説明する図である。
【図6】同一眼レフカメラの動体予測モードにおける合焦精度検査時の被写体とピントとの関係を説明する図である。
【図7】同一眼レフカメラの動体予測モードにおけるレリーズ時の合焦精度検査時の被写体とピントとの関係を説明する図である。
【図8】同一眼レフカメラの主要動作に関するフローチャートを示す図である。
【図9】同一眼レフカメラのAF処理に関するフローチャートを示す図である。
【図10】同一眼レフカメラのAF¥処理に関するフローチャートを示す図である。
【図11】同一眼レフカメラのデフォーカス計算処理に関するフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
11 カメラボディ
13 メインミラー
14 ハーフミラー部
15 サブミラー
21 マルチ焦点検出センサユニット
35 メインCPU(制御手段)
35b RAM
36 インターフェース(入出力手段)
37 AFモータドライブ回路
39 AFモータ
51 撮影レンズ
53 焦点調節レンズ群
55 焦点調節機構
81 コンピュータ(外部処理手段)
91 テストチャート板(基準被写体)
Claims (7)
- 被写体に対する焦点状態を繰り返し検出する焦点検出手段を備え、この焦点検出手段が検出した焦点状態に基づいて被写体が移動しているかどうかを判断し、被写体が移動していないときにはその被写体に対して合焦するように焦点調節レンズ群を移動させ、被写体が移動しているときにはその移動方向および移動速度を考慮して焦点調節レンズ群を移動させる動体追従モードを備えた自動焦点調節装置を備えたカメラであって、
移動していない被写体に対して上記焦点検出手段が検出した焦点状態を補正して、この補正した焦点状態により前記移動していない被写体が所定の移動方向および移動速度で移動している仮想状況を作り、その移動方向および移動速度に基づいて焦点調節レンズ群を移動させる仮想の動体追従モードを備えたこと、を特徴とする自動焦点調節装置を備えたカメラ。 - 撮影レンズを介して被写体の焦点状態を検出する焦点検出手段と、焦点検出手段が検出した焦点状態に基づいて撮影レンズの焦点調節レンズ群を駆動するレンズ駆動手段と、上記焦点検出手段が検出した焦点状態に基づいて被写体が移動しているかどうかを判断し、移動していないと判断したときには上記焦点検出状態に基づいて上記レンズ駆動手段を駆動し、移動していると判断したときにはその移動方向および移動速度に応じて上記レンズ駆動手段を駆動する制御手段を備えたカメラであって、
上記カメラは、外部処理手段と通信する通信手段を備え、
上記制御手段は、上記外部処理手段から特定の信号を受けたときには、被写体が移動していないときでも、上記焦点検出手段が検出した焦点状態を補正して上記被写体が仮想の所定速度で移動しているものとみなして上記レンズ駆動手段を駆動すること、を特徴とする自動焦点調節装置を備えたカメラ。 - 上記カメラの前方所定距離に基準被写体を設置し、この基準被写体に対して上記焦点検出手段が検出した検出値に基づいて上記制御手段が上記レンズ駆動手段を駆動するための駆動量を演算する前に、上記制御手段は上記検出値を補正して上記基準被写体の仮想移動状態を作ること、を特徴とする請求項2に記載の自動焦点調節装置を備えたカメラ。
- 上記外部処理手段は、上記制御手段に特定の信号を送り、上記制御手段が仮想のレンズ駆動処理を実行したときに、上記焦点検出手段が現実に検出した焦点状態に関する情報を読み込むこと、を特徴とする請求項2または3に記載の自動焦点調節装置を備えたカメラ。
- 前記焦点状態はデフォーカス量であり、前記補正値は、シフト量であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の自動焦点調節装置を備えたカメラ。
- 前記シフト量は、被写体距離の初期値と、予め設定された被写体移動速度と、焦点検出時間間隔とによって、
被写体移動距離を(被写体移動速度)×(焦点検出時間間隔)により求め、
被写体距離を、(前回の被写体距離)±(今回の被写体移動距離)により求め(但し、±の符号はカメラに接近する場合と離反する場合とで区別)、
シフト量を、a/((被写体距離)−b)
(但し、a、bは係数であって、縦軸にデフォーカス量を、横軸に被写体距離の逆数をとり、任意の2点の被写体距離におけるデフォーカス量を結ぶ直線の傾きをa、その直線のY接片を係数b)
によって求めることを特徴とする請求項5記載の自動焦点調節装置を備えたカメラ。 - 撮影レンズを介して被写体の焦点状態を検出する焦点検出手段と、焦点検出手段が検出した焦点状態に基づいて撮影レンズの焦点調節レンズ群を駆動するレンズ駆動手段と、上記焦点検出手段が検出した焦点状態に基づいて被写体が移動しているかどうかを判断し、移動していないと判断したときには上記焦点検出状態に基づいて上記レンズ駆動手段を駆動し、移動していると判断したときにはその移動方向および移動速度に応じて上記レンズ駆動手段を駆動する制御手段と、外部処理手段と通信する通信手段とを備え、
上記制御手段は、上記外部処理手段から特定の信号を受けたときには、被写体が移動していないときでも、上記焦点検出手段が検出した焦点状態を補正して上記被写体が仮想の所定速度で移動しているものとみなして上記レンズ駆動手段を駆動し、
上記外部処理手段は、上記制御手段に特定の信号を送り、上記制御手段が仮想のレンズ駆動処理を実行したときに、上記焦点検出手段が現実に検出した焦点状態に関する情報を読み込み、この情報に基づいて合焦精度を判断すること、を特徴とする自動焦点調節装置を備えたカメラのピント計測装置。
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