JP3547458B2 - 高圧ドレンポンプ軸封設備 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、発電プラントの高圧給水加熱器ドレンポンプアップシステムに係わり、特に急激なプラント負荷変化時のフラッシュ防止に好適な高圧ドレンポンプ軸封設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
蒸気タービンプラントは、通常、図4に例示するよう構成されている。
【0003】
同図において、原子炉やボイラー等から成る蒸気発生器1で発生した蒸気は高圧タービン2および低圧タービン3内に順次導入され、これらのタービンおよびそれらに直結された発電機4を回転駆動させた後、復水器5に導かれ、復水化される。
【0004】
復水器4内に貯溜された復水は低圧復水ポンプ6によって加圧され、復水浄化装置7を経て浄化された後に高圧復水ポンプ8に送水される。高圧復水ポンプ8で更に加圧されて低圧給水加熱器10で加熱された後、給水ポンプ13によって再び加圧され、高圧給水加熱器14を経て蒸気発生器1に戻る。
【0005】
上記低圧タービン3と低圧給水加熱器10の間は低圧抽気管11で連結されており、低圧タービン3から抽気された蒸気は低圧給水加熱器10の熱源として利用され、低圧給水加熱器10からのドレンはドレン管12を介して復水器5に回収される。
【0006】
また、高圧タービン2と高圧給水加熱器14の間は高圧抽気管15で連結されており、高圧タービンから抽気された蒸気は高圧給水加熱器14の熱源として利用され、高圧給水加熱器14からのドレンはドレン管16を介してドレンタンク17に導入される。
ドレンタンク17に一時貯溜されたドレンはドレンポンプ20で加圧され、給水ポンプ13の上流側に注水される。
ドレンタンク17と高圧給水加熱器14の間はバランス管18で連通されている。
【0007】
ところで、ドレンポンプ20の軸シール部にはメカニカルシールやグランドパッキン方式等が採用されるが、これらの方式では通常、軸部の封水と潤滑をかねた軸封水が行われる。この軸封水は従来の蒸気タービンプラントにおいては、図4に示すように、ドレンポンプ20の吐出側とドレンポンプ20のシールボックスの間を自圧水ライン40で連結し、自圧水ライン40から吐出される高圧の軸封水をボックス内に圧入することによって行われている
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなシステムにおいて、プラント負荷しゃ断等によってプラント負荷が急激に減少した場合は、給水加熱器器内圧力の急激な低下が発生するためドレンタンク内及びドレンポンプまでのドレン管に充満しているドレンもフラッシュする。高圧ドレンポンプアップシステムのドレン温度は通常約180 ℃程度の飽和ドレンであり、ドレンポンプの吸収ラインは圧力降下によってフラッシュしやすい。このため、ドレンポンプの軸封部にも封水が十分に供給することができなくなり、軸封部の温度が上昇してポンプの軸が変化する、または振動が大きくなるなど、最悪の場合はポンプが振動を発生して損傷に至る可能性もある。このためドレンポンプを保護するためにトリップさせる必要もある。
【0009】
一方、ドレンポンプが運転不可能になると蒸気発生器への給水供給量は急激に減少してしまうが、原子炉は負荷急減時にも原子炉熱出力急変を防止して原子炉を保護するために、タービンバイパス弁により余剰蒸気を復水器に放出するので、蒸気発生器への給水供給量も急減しない様確保する必要がある。
【0010】
この為、蒸気発生器への給水供給量はドレンポンプが停止した分、上流の復水ポンプによって給水する必要が生じる。しかしドレンポンプによって給水系統に注入されるドレン量は、原子炉への定格給水流量の約30%に相当する大きな量であり、逆に給水ポンプ上流側の低圧給水ポンプ、高圧給水ポンプは定格給水流量の約70%を移送する能力しか有していない。また低圧給水加熱器や復水浄化装置も同様に約70%の処理能力しか有していない。
【0011】
一方、負荷しゃ断等の負荷急減時にも、原子炉は急激な熱出力変化から保護する為に、必要な給水流量は急激には減少せず、100 %給水流量を必要とする。よって、低圧復水ポンプや、高圧復水ポンプは仕様点以上の流量で運転されるので、吐出圧力は低下や、ポンプ駆動用電動機の過出力を生じてしまい、復水ポンプ、原子炉給水ポンプは入口圧力低下によるトリップや、低圧復水ポンプ、高圧復水ポンプは電動機の過出力によるトリップを生じる可能性があり、原子炉は冷却水を喪失することになりスクラムしてしまう。
【0012】
この様にBWRプラントの場合に負荷しゃ断時等の負荷しゃ断変化率の大きい場合にはドレンポンプに損傷を与える可能性があり、この場合には最悪、復水・給水系ポンプのトリップによる原子炉冷却水喪失及び原子炉スクラムの発生する問題があった。
【0013】
この様にドレンポンプの軸封方法については従来負荷しゃ断等の負荷変化率の大きい場合には考慮されていないとともに、かつ負荷変化率の大きい場合にもドレンポンプアップシステムのドレンポンプの軸封部をフラッシュさせずに安定して運転させる方法について最適な系統及び設備は無かったのが現実である。
本発明の目的は、急激なプラント負荷変化時のフラッシュ防止に好適な高圧ドレンポンプ軸封設備を得ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る高圧ドレンポンプ軸封設備は、ドレンポンプの軸封部には通常運転温度が30〜40℃の高圧復水ポンプ吐出部の復水配管から分岐させた復水注入配管の復水で封水し、この封水の戻り水を回収する戻り水回収タンクを有し、戻り水回収タンクにはこの戻り水を復水器に戻すための回収ポンプを有し、回収ポンプ及び回収タンクと復水器間には回収ラインを有し、回収ラインには戻り水回収タンク内の水位を制御する水位調節弁を有し、復水注入配管の途中には封水の戻り水温度を制御する温度調節装置を設けたものである。
【0015】
【作用】
上述の様に本発明によればドレンポンプの軸封水として、温度が低い、復水浄化装置の下流のクリーンでかつ圧力の高い高圧復水ポンプ出口の復水を用いて封水するための、高圧ドレンポンプの軸封部を常にドレンポンプ吸込ドレン温度より十分低く設定することができる。また、これを封水の戻り水を制御することにより設定している。このため圧力変化に対しポンプの軸封部がフラッシュせずポンプを安定して運転することができるとともに異常振動の発生も抑制することができる。
【0016】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は本発明の一実施例を示す系統図である。
【0017】
高圧ドレンポンプ20の軸封部には高圧復水ポンプ8吐出部の復水配管9の途中から分岐した封水配管22が設置され封水配管22の途中には高圧ドレンポンプ20の軸封部からの封水戻り水配管25の途中に設置された温度検出制御器24からの制御信号を受けて戻り水の温度を制御する温度調節弁23が設置されている。戻り水は大気圧と同じ圧力であり重力流れで封水戻り管25によって戻り水回収タンク26に回収される。戻り水回収タンク26内の戻り水は戻り水回収タンクに設けられた水位検出制御器30の信号を受けてタンク内のレベルを制御する水位調節弁29によって戻り水回収ポンプ27の流量を制限することによって調節されながら戻り水回収ライン28によって復水器5に回収される。戻り水回収ポンプ27は通常戻り水回収タンク26に設置される。また戻り水回収ライン28には戻り水回収ポンプ27をバイパスするライン28aを有し、戻り水回収ポンプ吐出部とバイパスラインにはそれぞれ逆止弁31,32を有している。バイパスラインは復水器の真空度と大気圧との差によってポンプによらず戻り水を復水器に回収することにも使える。高圧給水加熱器14とドレンタンク17の圧力は同じであるため、高圧給水加熱器14のドレンをドレンタンク17に回収する高圧給水加熱器ドレン管16内のドレンは位置差によってドレンタンクに回収しなければならない。それゆえドレンタンク17は高圧給水加熱器14の下の階に設置するレイアウトにしなければならない。同様に高圧ドレンポンプ20は吸込側のドレンがフラッシュしない様にドレンタンク17とのレベル差を十分確保(必要NPSHを満足するレベル差)して設置する必要がある。このため高圧ドレンポンプは一般にタービン建屋の最下部に設置される。又は最下部より堀り込んだレベルに設置されるのが普通である。また高圧ドレンポンプ27の戻り水は一般に大気圧のためこの戻り水を回収するには高圧ドレンポンプ27より低いレベルに戻り水回収タンク26を設置しなければならない。
【0018】
この様な関係から戻り水回収タンク26はタービン建屋の一番低いレベルに設ける、又は位置は番低いレベルより更に堀り込んだレベルに設けることが必要となる。
戻り水回収タンク26は高圧ドレンポンプ27の室に設置されることが一番望ましいが隣りの室でも隣接していると見なす。
【0019】
図2はポンプ軸封部の詳細断面図である。ポンプ軸33の直角方向から封水の流れ34a,34bがポンプ軸33に流れ込み、ポンプ軸33の方向からポンプ吸込水の流れ35a,35bがポンプ軸33に流れ込む。図中、Aは大気側、Bはポンプ吸込側である。
また、図3は本発明が適用される高圧ドレンポンプアップシステムとタービン建屋内のレベルとの関係を示す断面図である。
【0020】
【発明の効果】
この様な構成とすることにより、高圧ドレンポンプ27の軸封部は常にポンプ吸込温度約180 ℃以上よりも十分低い温度約50〜60℃程度に制御される。このためプラントの負荷しゃ断等の圧力降下が発生してもポンプ軸封部はフラッシュすることがないため軸封の機能が失われることがない。
また戻り水回収タンク22が高圧ドレンポンプ27よりも低いレベルでかつ隣接して設置してあるために戻り水の回収が問題なく生える。
【0021】
この様に本発明によればプラント負荷しゃ断等のプラント負荷が急激に減少した場合においてもポンプ軸封部はフラッシュをおこさないため、高圧ドレンポンプの安定運転に寄与し、これが復水、給水系の安定運転に寄与する。このためプラントの安定運転が可能となる。
【0022】
また本システムは重力流れで回収するラインが多いため関係する機器をなるべく隣接してレベルを変えて設置することにより、むやみにタービン建屋の堀り込みを深くすることなく経済性にすぐれた高圧ドレンポンプ軸封設備が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す系統図
【図2】本発明のポンプ軸封部の詳細断面図
【図3】本発明のタービン建屋内を示す断面図
【図4】従来例を示す系統図
【符号の説明】
1…蒸気発生器、2…高圧タービン、3…低圧タービン、4…発電機、5…復水器、6…低圧復水ポンプ、7…復水浄化装置、8…高圧復水ポンプ、9…復水配管、10…低圧給水加熱器、11…低圧抽気管、12…低圧給水加熱器ドレン管、13…給水ポンプ、14…高圧給水加熱器、15…高圧抽気管、16…高圧給水加熱器ドレン管、17…ドレンタンク、18…バランス管、19…ドレン降水管、20…高圧ドレンポンプ、21…ドレン注入管、22…封水配管、23…温度調節弁、24…温度検出制御器、25…封水戻り管、26…戻り水回収タンク、27…戻り水回収ポンプ、28…戻り水回収ライン、29…水位調節弁、30…水位検出制御器、31…逆止弁、32…逆止弁、33…ポンプ軸、34…封水の流れ、35…ポンプ吸込み水の流れ、36…戻り水の流れ、37…3階床、38…2階床、39…1階床。
Claims (2)
- 蒸気発生器と、この蒸気発生器からの蒸気によって駆動される蒸気タービンと、この蒸気タービンで仕事を終えた蒸気を復水化する復水器と、この復水器内の復水を送り出す低圧復水ポンプと、この復水を浄化する復水浄化装置と、更にこの復水を昇圧する高圧復水ポンプと、この復水を加熱する低圧給水加熱器と、復水を蒸気発生器に送水するために更に昇圧する給水ポンプと、この給水を加熱する高圧給水加熱器と、この高圧給水加熱器から流出するドレンを貯溜するドレンタンクと、このドレンタンク内のドレンを給水ポンプの吸込側の復水配管に送り込むドレンポンプとを備えた蒸気タービンの高圧ドレンポンプアップ設備において、前記ドレンポンプの軸封部には前記高圧復水ポンプ吐出部の復水配管から分岐させた復水を注入するための封水配管からの復水で封水し、この封水の戻り水を回収する戻り水回収タンクを有し、戻り水回収タンクにはこの戻り水を復水器に戻すための回収ポンプを有し、回収ポンプ及び回収タンクと復水器間に回収ラインを有し、回収ラインには戻り水回収タンク内の水位を制御する水位調節弁を有し、前記復水注入配管の途中には封水の戻り水温度を制御する調節装置を有する高圧ドレンポンプ軸封設備。
- 前記戻り水回収タンクを前記高圧ドレンポンプの設置レベルよりも低いレベルに設置するとともに前記高圧ドレンポンプの設置位置に隣接して設置したことを特徴とする請求項1に記載の高圧ドレンポンプ軸封設備。
Priority Applications (1)
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JP04286093A JP3547458B2 (ja) | 1993-03-03 | 1993-03-03 | 高圧ドレンポンプ軸封設備 |
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JPH06257564A JPH06257564A (ja) | 1994-09-13 |
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Family
ID=12647791
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JP04286093A Expired - Lifetime JP3547458B2 (ja) | 1993-03-03 | 1993-03-03 | 高圧ドレンポンプ軸封設備 |
Country Status (1)
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1993
- 1993-03-03 JP JP04286093A patent/JP3547458B2/ja not_active Expired - Lifetime
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