JP3546331B2 - プラズマプロセス装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波放電により生成したプラズマを利用して大面積の試料に薄膜形成若しくはエッチング加工を均一に行うプラズマプロセス装置に係り、特に、外部磁場コイルが設けられ、マイクロ波の周波数とプラズマ中の電子サイクロトロン周波数が一致するようにして、プラズマ生成効率を高めたECR(Electron Cyclotron Resonance)装置に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来のECR装置の典型的な構成として、J. Asmussen, Electron Cyclotron resonance microwave discharges for etching and thin film deposition, J. Vac. Sci. Technol 883, A7, 1989 に示されたものが知られている。これは、図4に示すように、上部より導波管1にてマイクロ波2(通常2.45GHz)をプラズマ室3内に導き、外部に設置した磁場コイル4により、プラズマ室3中に所要の磁場(通常875guass)を生成し、ECR層(ECRを起こすような等磁場面)を作ってプラズマを形成するようになっている。そして、プラズマ中で生成された気相反応物が下方の基板5上に到達し、該基板5に対して薄膜成長やエッチングを行う。
【0003】
上記構成のECR装置は、プラズマを効率良く形成できるために急速に実用範囲を広げているが、薄膜トランジスタ(TFT thin film transistor)の作成工程のうち、a−Si膜(amorphous silicon膜)を大面積ガラス基板に生成するときなどに問題が生じる。すなわち、キャリア移動度の大きい良質のa−Si膜を生成するには、マイクロ波の入力パワーを下げてラジカル含有量に比してイオン含有量の少ないプラズマを形成して、微結晶度の少ない薄膜を形成する必要があるが、その場合、上記ECR装置ではプラズマは容器中央部分に集中・局在化し、その結果、薄膜分布が基板中央で厚く、周辺部で薄くなってしまう欠点がある。
【0004】
このようにプラズマ不均一性の問題を解決するために多くの提案がなされている。それらは二つのグループに分けることができ、その第1のグループに属するものは、特開昭63−219128号公報,特開昭63−43324号公報,特開平1−100263号公報,特開平2−50429号公報などであって、プラズマ領域から基板に至るまでの磁力線を発散型にすることによって、仮に生成プラズマが局所集中していても基板に入射するときには充分に拡大させ、不均一性を緩和しようというものである。
【0005】
また、第2のグループに属するものは、特開昭62−248226号公報,特開昭63−131500号公報,特開昭63−316427号公報,特開平2−170978号公報などであって、プラズマ室内でプラズマ集中の原因となるマイクロ波の分布を導波管やアンテナ形状の工夫によって拡げ、プラズマを均一化しようというものである。具体的には、上記各公報では、スリット付き板状アンテナをプラズマ室の壁際に配し、そこでのマイクロ波を強くしてプラズマ分布を周辺部に集めるようにしている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術のうち、第1のグループに属するものでは、小さなプラズマを拡大・希釈するものであるから、薄膜速度が拡大率に反比例して低下し、また極端な拡大はできないところから、A4サイズ以上の液晶パネルの作成には向かないという問題がある。
【0007】
また、第2のグループに属するものでは、プラズマが直接金属物に接触するため、成膜時に金属汚染を引き起こすという問題がある。この金属汚染に対しては、図5に示すように、金属三角錐6をテーパ導波管7内に配し、マイクロ波を周辺部に局在させるようにしたものが同一出願人により出願されている。これは、石英仕切板8でプラズマが分離されるので、金属汚染の心配はないが、テーパ導波管7内に入ってくるマイクロ波モードがTE11の直線偏波モードであるために、金属三角錐6の底部に相当量の高周波電流が流れ、それが二次放射アンテナとなってプラズマ室9中心部にも再び強いマイクロ波強度分布を作ってしまうため、プラズマの均一化が期待したほど達成できない。
【0008】
本発明の目的は、マイクロ波の分布を周辺部局在となるようにして、プラズマ分布を平坦にし成膜を均一化できるプロセスプラズマ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、放電ガスが導入されプラズマが生成されるプラズマ生成室と、該プラズマ生成室に磁場を発生する磁場発生手段と、前記プラズマ生成室にマイクロ波を導入する導波管とを備え、前記マイクロ波と磁場との共鳴作用により前記プラズマ生成室内に生成するプラズマを用いて該プラズマ生成室内に設置された試料の表面処理を行うプラズマプロセス装置において、前記導波管内に筒状の金属製導体を該導波管と同軸状に設置するとともに、前記マイクロ波のモードを直線偏波モードから同軸TEMモードに変換する同軸導波管変換器を前記金属製導体の入口側端部に設け、当該端部と前記同軸導波管変換器の同軸出力の内導体とを連結したものである。
【0010】
また、本発明は、放電ガスが導入されプラズマが生成されるプラズマ生成室と、該プラズマ生成室に磁場を発生する磁場発生手段と、前記プラズマ生成室にマイクロ波を導入する導波管とを備え、前記マイクロ波と磁場との共鳴作用により前記プラズマ生成室内に生成するプラズマを用いて、該プラズマ生成室内に設置された試料の表面処理を行うプラズマプロセス装置において、前記導波管内に筒状の金属製導体を該導波管と同軸状に設置するとともに、前記マイクロ波のモードを直線偏波モードから同軸TEMモードに変換する同軸導波管変換器を前記金属製導体の入口側端部に設け、当該端部と前記同軸導波管変換器の同軸出力の内導体とを連結し、さらに前記金属製導体の内側に磁場コイルを設置し、該磁場コイルの電流を前記磁場発生手段の電流に対して逆向きとしたものである。
【0011】
上記構成によれば、同軸導波管変換器を設けたことにより、マイクロ波モードを導波管の直前でTE11直線偏波モードからTEM同軸モードに変換することができ、さらに、導波管内に金属製導体を同軸状に設置したので、変換したTEM同軸モードのマイクロ波をそのままプラズマ生成室まで導くことができ、周辺部に強いマイクロ波分布を形成することができる。その結果、試料に形成される成膜を均一にすることが可能となる。
【0012】
また、金属製導体をテーパ状に形成すると、マイクロ波の進行性、すなわちホーン(出口周りの境界条件によって反射波が誘起され、それが全体のマイクロ波分布を乱してしまうが、その反射波誘起が少ないこと)がよくなって、より確実にプラズマを均一化できる。
【0013】
さらに、金属製導体の内側に磁場コイルを設置し、該磁場コイルの電流を磁場発生手段の電流に対して逆向きにすると、プラズマ生成部で磁場が強め合い、試料に向かうに従って開いた磁力線パターンとなる。これにより、試料上にはドーナツ状のプラズマが降り注ぐことになり、試料に形成される成膜をより一層均一にすることが可能となる。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、本発明を実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1は本発明のプロセスプラズマ装置の概略構成を示している。図において、矩形導波管10の一端側にはマグネトロン11が、他端側には同軸導波管変換器12がそれぞれ接続されている。また同軸導波管変換器12にはテーパ導波管13が接続され、そのテーパ導波管3の外側に磁場コイル14が配設されている。テーパ導波管13の内部にはテーパ状をした同軸ホーンアンテナ15がテーパ導波管13と同軸状に設けられ、その同軸ホーンアンテナ15の一端は同軸導波管変換器12の同軸出力の内導体とつながっている。なお、図中の符号16は石英仕切板を、17はプラズマを、18は基板をそれぞれ示している。
【0016】
次に本実施の形態の作用について説明する。
【0017】
マグネトロン11より発生したマイクロ波(通常2 . 45GHz)はTE11モードで矩形導波管10を伝わり、同軸導波管変換器12に至り同軸TEMモードに変わる。同軸TEMモードのマイクロ波は同軸ホーンアンテナ15伝わり、石英仕切板16の外で共鳴層にぶつかりプラズマ17を電離する。そして、磁場コイル14は共鳴層で電子サイクロトロン周波数となるような磁場(通常875gauss)を発生する。プラズマ17は概念的にドーナツ状のものとなり、そこで生成された中性ラジカル種が基板18上に拡散・堆積することにより、結果として平坦な成膜が行われる。
【0018】
同軸導波管変換器12は一般によく用いられるもので、通常の設計法に従って製作すればよく、特に目新しいものではない。同軸ホーンアンテナ15は、材質は例えばアルミニウムなどの良導体を用いて製作する。同軸ホーンアンテナ15はマイクロ波の進行に従ってその開口面積が大きくなるものであるから、反射波の発生が抑えられる傾向を有しており、反射波によってマイクロ波分布を乱してしまうことが少ないという利点を有している。
【0019】
図2は、開口部における、つまりA−A線に沿ったマイクロ波電場E及び磁場Hのパターンを示している。従来技術におけるマイクロ波電場E及び磁場Hのパターンは、図6および図7のようになる。図6は図5のB−B線に沿ったパターン(円形TE11モード)であり、図7は図5のC−C線に沿ったパターン(同軸TE11モード)である。これらのパターンはTE11モードのものであり、内導体に電流が流れる結果、電波がここで放射され、結果としてのマイクロ波が乱れてしまう。これに対して本発明のマイクロ波パターンでは、図2に示すように、内導体を横切って電流は流れないため、ここでの放射は問題を生じない。
【0020】
図3は本発明の他の実施の形態を示している。本実施の形態は同軸ホーンアンテナ15の中に第2の磁場コイル20が設けられたもので、この磁場コイル20には、テーパ導波管13の外側に設けられた磁場コイル14を流れる電流とは逆向きの電流を流すようになっている。これにより、プラズマ生成部のあたりで磁場が強め合い、基板18に向かうに従って開いた磁力線パターンとなる。そして、基板18にはドーナツ状のプラズマが拡大されて降り注ぐことになり(プラズマは磁力線に沿って移動するため)、基板18上での均一性を一層増すことになる。また、磁場コイル20に流す電流を可変とし調節可能とすれば、基板18上での成膜の均一性をより一層向上させることができる。なお、図中の符号21は磁場コイル20につながった引出線を、22は引出線22の端部に設けられた端子をそれぞれ示している。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、マイクロ波を軸対称性のよい同軸TEMモードとしてプラズマ生成室まで導くことができるので、非中心集中型のマイクロ波分布ひいてはプラズマ分布を形成することが可能となる。その結果、大面積の基板にても均一性の高い膜を高いスループットで生成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマプロセス装置の概略構成図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態によるプラズマプロセス装置の概略構成図である。
【図4】従来のプラズマプロセス装置の一例を示した図である。
【図5】従来のプラズマプロセス装置の他の例を示した図である。
【図6】図5のB−B線に沿った断面図である。
【図7】図5のC−C線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 矩形導波管
11 マグネトロン
12 同軸導波管変換器
13 テーパ導波管
14,20 磁場コイル
15 同軸ホーンアンテナ
16 石英仕切板
17 プラズマ
18 基板
21 引出線
22 端子
【0001】
本発明は、マイクロ波放電により生成したプラズマを利用して大面積の試料に薄膜形成若しくはエッチング加工を均一に行うプラズマプロセス装置に係り、特に、外部磁場コイルが設けられ、マイクロ波の周波数とプラズマ中の電子サイクロトロン周波数が一致するようにして、プラズマ生成効率を高めたECR(Electron Cyclotron Resonance)装置に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来のECR装置の典型的な構成として、J. Asmussen, Electron Cyclotron resonance microwave discharges for etching and thin film deposition, J. Vac. Sci. Technol 883, A7, 1989 に示されたものが知られている。これは、図4に示すように、上部より導波管1にてマイクロ波2(通常2.45GHz)をプラズマ室3内に導き、外部に設置した磁場コイル4により、プラズマ室3中に所要の磁場(通常875guass)を生成し、ECR層(ECRを起こすような等磁場面)を作ってプラズマを形成するようになっている。そして、プラズマ中で生成された気相反応物が下方の基板5上に到達し、該基板5に対して薄膜成長やエッチングを行う。
【0003】
上記構成のECR装置は、プラズマを効率良く形成できるために急速に実用範囲を広げているが、薄膜トランジスタ(TFT thin film transistor)の作成工程のうち、a−Si膜(amorphous silicon膜)を大面積ガラス基板に生成するときなどに問題が生じる。すなわち、キャリア移動度の大きい良質のa−Si膜を生成するには、マイクロ波の入力パワーを下げてラジカル含有量に比してイオン含有量の少ないプラズマを形成して、微結晶度の少ない薄膜を形成する必要があるが、その場合、上記ECR装置ではプラズマは容器中央部分に集中・局在化し、その結果、薄膜分布が基板中央で厚く、周辺部で薄くなってしまう欠点がある。
【0004】
このようにプラズマ不均一性の問題を解決するために多くの提案がなされている。それらは二つのグループに分けることができ、その第1のグループに属するものは、特開昭63−219128号公報,特開昭63−43324号公報,特開平1−100263号公報,特開平2−50429号公報などであって、プラズマ領域から基板に至るまでの磁力線を発散型にすることによって、仮に生成プラズマが局所集中していても基板に入射するときには充分に拡大させ、不均一性を緩和しようというものである。
【0005】
また、第2のグループに属するものは、特開昭62−248226号公報,特開昭63−131500号公報,特開昭63−316427号公報,特開平2−170978号公報などであって、プラズマ室内でプラズマ集中の原因となるマイクロ波の分布を導波管やアンテナ形状の工夫によって拡げ、プラズマを均一化しようというものである。具体的には、上記各公報では、スリット付き板状アンテナをプラズマ室の壁際に配し、そこでのマイクロ波を強くしてプラズマ分布を周辺部に集めるようにしている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術のうち、第1のグループに属するものでは、小さなプラズマを拡大・希釈するものであるから、薄膜速度が拡大率に反比例して低下し、また極端な拡大はできないところから、A4サイズ以上の液晶パネルの作成には向かないという問題がある。
【0007】
また、第2のグループに属するものでは、プラズマが直接金属物に接触するため、成膜時に金属汚染を引き起こすという問題がある。この金属汚染に対しては、図5に示すように、金属三角錐6をテーパ導波管7内に配し、マイクロ波を周辺部に局在させるようにしたものが同一出願人により出願されている。これは、石英仕切板8でプラズマが分離されるので、金属汚染の心配はないが、テーパ導波管7内に入ってくるマイクロ波モードがTE11の直線偏波モードであるために、金属三角錐6の底部に相当量の高周波電流が流れ、それが二次放射アンテナとなってプラズマ室9中心部にも再び強いマイクロ波強度分布を作ってしまうため、プラズマの均一化が期待したほど達成できない。
【0008】
本発明の目的は、マイクロ波の分布を周辺部局在となるようにして、プラズマ分布を平坦にし成膜を均一化できるプロセスプラズマ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、放電ガスが導入されプラズマが生成されるプラズマ生成室と、該プラズマ生成室に磁場を発生する磁場発生手段と、前記プラズマ生成室にマイクロ波を導入する導波管とを備え、前記マイクロ波と磁場との共鳴作用により前記プラズマ生成室内に生成するプラズマを用いて該プラズマ生成室内に設置された試料の表面処理を行うプラズマプロセス装置において、前記導波管内に筒状の金属製導体を該導波管と同軸状に設置するとともに、前記マイクロ波のモードを直線偏波モードから同軸TEMモードに変換する同軸導波管変換器を前記金属製導体の入口側端部に設け、当該端部と前記同軸導波管変換器の同軸出力の内導体とを連結したものである。
【0010】
また、本発明は、放電ガスが導入されプラズマが生成されるプラズマ生成室と、該プラズマ生成室に磁場を発生する磁場発生手段と、前記プラズマ生成室にマイクロ波を導入する導波管とを備え、前記マイクロ波と磁場との共鳴作用により前記プラズマ生成室内に生成するプラズマを用いて、該プラズマ生成室内に設置された試料の表面処理を行うプラズマプロセス装置において、前記導波管内に筒状の金属製導体を該導波管と同軸状に設置するとともに、前記マイクロ波のモードを直線偏波モードから同軸TEMモードに変換する同軸導波管変換器を前記金属製導体の入口側端部に設け、当該端部と前記同軸導波管変換器の同軸出力の内導体とを連結し、さらに前記金属製導体の内側に磁場コイルを設置し、該磁場コイルの電流を前記磁場発生手段の電流に対して逆向きとしたものである。
【0011】
上記構成によれば、同軸導波管変換器を設けたことにより、マイクロ波モードを導波管の直前でTE11直線偏波モードからTEM同軸モードに変換することができ、さらに、導波管内に金属製導体を同軸状に設置したので、変換したTEM同軸モードのマイクロ波をそのままプラズマ生成室まで導くことができ、周辺部に強いマイクロ波分布を形成することができる。その結果、試料に形成される成膜を均一にすることが可能となる。
【0012】
また、金属製導体をテーパ状に形成すると、マイクロ波の進行性、すなわちホーン(出口周りの境界条件によって反射波が誘起され、それが全体のマイクロ波分布を乱してしまうが、その反射波誘起が少ないこと)がよくなって、より確実にプラズマを均一化できる。
【0013】
さらに、金属製導体の内側に磁場コイルを設置し、該磁場コイルの電流を磁場発生手段の電流に対して逆向きにすると、プラズマ生成部で磁場が強め合い、試料に向かうに従って開いた磁力線パターンとなる。これにより、試料上にはドーナツ状のプラズマが降り注ぐことになり、試料に形成される成膜をより一層均一にすることが可能となる。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、本発明を実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1は本発明のプロセスプラズマ装置の概略構成を示している。図において、矩形導波管10の一端側にはマグネトロン11が、他端側には同軸導波管変換器12がそれぞれ接続されている。また同軸導波管変換器12にはテーパ導波管13が接続され、そのテーパ導波管3の外側に磁場コイル14が配設されている。テーパ導波管13の内部にはテーパ状をした同軸ホーンアンテナ15がテーパ導波管13と同軸状に設けられ、その同軸ホーンアンテナ15の一端は同軸導波管変換器12の同軸出力の内導体とつながっている。なお、図中の符号16は石英仕切板を、17はプラズマを、18は基板をそれぞれ示している。
【0016】
次に本実施の形態の作用について説明する。
【0017】
マグネトロン11より発生したマイクロ波(通常2 . 45GHz)はTE11モードで矩形導波管10を伝わり、同軸導波管変換器12に至り同軸TEMモードに変わる。同軸TEMモードのマイクロ波は同軸ホーンアンテナ15伝わり、石英仕切板16の外で共鳴層にぶつかりプラズマ17を電離する。そして、磁場コイル14は共鳴層で電子サイクロトロン周波数となるような磁場(通常875gauss)を発生する。プラズマ17は概念的にドーナツ状のものとなり、そこで生成された中性ラジカル種が基板18上に拡散・堆積することにより、結果として平坦な成膜が行われる。
【0018】
同軸導波管変換器12は一般によく用いられるもので、通常の設計法に従って製作すればよく、特に目新しいものではない。同軸ホーンアンテナ15は、材質は例えばアルミニウムなどの良導体を用いて製作する。同軸ホーンアンテナ15はマイクロ波の進行に従ってその開口面積が大きくなるものであるから、反射波の発生が抑えられる傾向を有しており、反射波によってマイクロ波分布を乱してしまうことが少ないという利点を有している。
【0019】
図2は、開口部における、つまりA−A線に沿ったマイクロ波電場E及び磁場Hのパターンを示している。従来技術におけるマイクロ波電場E及び磁場Hのパターンは、図6および図7のようになる。図6は図5のB−B線に沿ったパターン(円形TE11モード)であり、図7は図5のC−C線に沿ったパターン(同軸TE11モード)である。これらのパターンはTE11モードのものであり、内導体に電流が流れる結果、電波がここで放射され、結果としてのマイクロ波が乱れてしまう。これに対して本発明のマイクロ波パターンでは、図2に示すように、内導体を横切って電流は流れないため、ここでの放射は問題を生じない。
【0020】
図3は本発明の他の実施の形態を示している。本実施の形態は同軸ホーンアンテナ15の中に第2の磁場コイル20が設けられたもので、この磁場コイル20には、テーパ導波管13の外側に設けられた磁場コイル14を流れる電流とは逆向きの電流を流すようになっている。これにより、プラズマ生成部のあたりで磁場が強め合い、基板18に向かうに従って開いた磁力線パターンとなる。そして、基板18にはドーナツ状のプラズマが拡大されて降り注ぐことになり(プラズマは磁力線に沿って移動するため)、基板18上での均一性を一層増すことになる。また、磁場コイル20に流す電流を可変とし調節可能とすれば、基板18上での成膜の均一性をより一層向上させることができる。なお、図中の符号21は磁場コイル20につながった引出線を、22は引出線22の端部に設けられた端子をそれぞれ示している。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、マイクロ波を軸対称性のよい同軸TEMモードとしてプラズマ生成室まで導くことができるので、非中心集中型のマイクロ波分布ひいてはプラズマ分布を形成することが可能となる。その結果、大面積の基板にても均一性の高い膜を高いスループットで生成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマプロセス装置の概略構成図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態によるプラズマプロセス装置の概略構成図である。
【図4】従来のプラズマプロセス装置の一例を示した図である。
【図5】従来のプラズマプロセス装置の他の例を示した図である。
【図6】図5のB−B線に沿った断面図である。
【図7】図5のC−C線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 矩形導波管
11 マグネトロン
12 同軸導波管変換器
13 テーパ導波管
14,20 磁場コイル
15 同軸ホーンアンテナ
16 石英仕切板
17 プラズマ
18 基板
21 引出線
22 端子
Claims (5)
- 放電ガスが導入されプラズマが生成されるプラズマ生成室と、該プラズマ生成室に磁場を発生する磁場発生手段と、前記プラズマ生成室にマイクロ波を導入する導波管とを備え、前記マイクロ波と磁場との共鳴作用により前記プラズマ生成室内に生成するプラズマを用いて該プラズマ生成室内に設置された試料を処理するプラズマプロセス装置において、
前記導波管内に筒状の金属製導体を該導波管と同軸状に設置するとともに、前記マイクロ波のモードを直線偏波モードから同軸TEMモードに変換する同軸導波管変換器を前記金属製導体の入口側端部に設け、当該端部と前記同軸導波管変換器の同軸出力の内導体とを連結したことを特徴とするプラズマプロセス装置。 - 放電ガスが導入されプラズマが生成されるプラズマ生成室と、該プラズマ生成室に磁場を発生する磁場発生手段と、前記プラズマ生成室にマイクロ波を導入する導波管とを備え、前記マイクロ波と磁場との共鳴作用により前記プラズマ生成室内に生成するプラズマを用いて該プラズマ生成室内に設置された試料を処理するプラズマプロセス装置において、
前記導波管内に筒状の金属製導体を該導波管と同軸状に設置するとともに、前記マイクロ波のモードを直線偏波モードから同軸TEMモードに変換する同軸導波管変換器を前記金属製導体の入口側端部に設け、当該端部と前記同軸導波管変換器の同軸出力の内導体とを連結し、さらに前記金属製導体の内側に磁場コイルを設置し、該磁場コイルの電流を前記磁場発生手段の電流に対して逆向きとしたことを特徴とするプラズマプロセス装置。 - 請求項2記載のプラズマプロセス装置において、
前記磁場コイルの引出線は、前記金属製導体の入口側端部から外部に引き出されていることを特徴とするプラズマプロセス装置。 - 請求項1又は2記載のプラズマプロセス装置において、
前記導波管の形状がテーパ状である場合は、前記金属製導体はテーパ状に形成されていることを特徴とするプラズマプロセス装置。 - 請求項1,2又は4記載のプラズマプロセス装置において、
前記導波管はアルミニウム等の良導体で形成されていることを特徴とするプラズマプロセス装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001042281A JP3546331B2 (ja) | 2001-02-19 | 2001-02-19 | プラズマプロセス装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001042281A JP3546331B2 (ja) | 2001-02-19 | 2001-02-19 | プラズマプロセス装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25493992A Division JP3328844B2 (ja) | 1992-09-24 | 1992-09-24 | プラズマプロセス装置 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001080091A Division JP3728593B2 (ja) | 2001-03-21 | 2001-03-21 | プラズマプロセス装置 |
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