JP3545467B2 - 再充填防止機能付注出口 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は,空になった容器に類似の流体状内容物を再充填された海賊版的製品の製造、販売を防止するのに好適な注出口に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、注出口付の容器としては、容器の注出口から流体を自重によるか、加圧あるいは吸引して強制的に排出させるボトル、押し出しチューブ、袋体、バッグインボックスあるいはバッグインカートンが多用されている。注出口には様々な種類がありいずれも内容物の注出をスムースにあるいは便利に行う考案、発明がこれまで多くなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、現在使用されている注出口付容器は内容物を排出し空になった状態で、注出口を通して逆に内容物を充填しようとすれば、その難易は別として可能なものが殆どである。
従って、製品によっては、特に最終使用が海外で行われる場合、使い終わった容器に注出口から類似の内容物を密かに再充填して、あたかも本物であるようにして違法に販売されたり、あるいはエンドユーザーが自ら類似品を再充填して、容器のみ繰り返し使用するケースが発生している。当然その製品のメーカー、ディーラーとしては製品あるいはシステムの売上低下、品質保証、商圏の損失、権威の失墜等の問題を引き起こすこととなる。
こうしたケースの発生は、従来の注出口には極特殊なケースを除いて流体の逆流を防止する再充填防止機能が付いていない所にその原因がある。
上記の極特殊な例として、ポンプのメカニズムによって、ペースト状練り歯磨きを外部方向にのみ押し出すことができる歯磨き容器、サイフォンの一部を構成する注出口を通し、高い内圧によって一方弁が開いた時にのみ注出できるようにした炭酸ガス入りのミネラルウオーター用のペットボトル、さらに同じく内圧によって押し出すエアゾール容器による場合が知られている。
しかし、以上の例はいずれも注出の便利性付与のために付けられており、注出口と付随して付けられるディスペンサーのメカニズムが複雑である。一般にこのような機能を製品一個づつに取り付けると容器のコストアップの原因になるという問題がある。
本発明は、前述の問題点に鑑みてなされたもので、再充填防止機能を備えたシンプルなメカニズムであり、取り付けが容易で、耐久性がある稼動弁付注出口を経済コストで提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた本発明の要旨はつぎの点にある。
(1)容器の内外に貫通する筒状部、該筒状部周辺に設けられたフランジ部及び稼動弁付プラスチック部材から構成され、該稼動弁付プラスチック部材が稼動弁と稼動弁支持部から一体成形されて、前記筒状部の内壁に嵌合されること。
(2)前記稼動弁付プラスチック部材において、前記稼動弁支持部の側部に沿って設けられたヒンジを介して前記稼動弁が連接され、該稼動弁が前記筒状部の内壁に設けられた稼動弁ストッパーにより容器外側方向にのみ折り曲げ可能であること。
(3)前記稼動弁付プラスチック部材において、係止用リングの内径部に設けられた前記稼動弁支持部の側部に沿ってヒンジを設け、該ヒンジを介して前記稼動弁が連接され、該稼動弁が前記係止用リングの内壁に設けられた稼動弁ストッパーにより容器外側方向にのみ折り曲げ可能であること。
(4)前記稼動弁支持部の前記筒状部内壁と接する面に設けられた凹部が前記筒状部内壁に設けられた凸状リングと嵌合すること。
(5)前記係止用リングの外壁に設けられた凹部が前記筒状部内壁に設けられた凸状リングと嵌合すること。
(6)前記稼動弁が最大に折り曲げられた位置でも注出口に挿入される吸引ノズルに接触しないように、前記筒状部が所定の長さを有していること。
【0005】
【作用】
本発明による再充填防止機能付注出口は注出口から内容物を充填後にシンプルなワンピースの構成からなる稼動弁を注出口の容器内方端部にワンタッチで容易に取り付けることができ、取り付け以降は外部からの内容物の注入を極めて困難なものとしている。また稼動弁を取り付けたことによって注出時の流量を大きく妨げることがない。さらに、従来使用している充填ノズルあるいは注出ノズルを改造なしにそのまま使用することができる。
【0006】
【実施例】
以下,本発明を図面を用いてさらに詳しく説明する。
本発明はバッグインカートンに特に好適に適用できるため、バッグインカートンを例にして以下説明する。
図1は本発明による再充填防止機能付注出口を取り付けた一実施例で、流動性のある印刷インキ用のバッグインカートンの説明図であり、図1(a)は完成容器の斜視図であり、図1(b)は容器構造説明図である。
一般にバッグインカートンは、予めスリーブ状内袋2をカートン1と貼り合わせたものに、注出口20をその周辺のフランジ6で超音波シールした図1(b)で示す状態のものを、内袋の上下をヒートシールし、カートンの折線3でカートンを折り込んで成形し、注出口から内容物を充填後にキャップ4を被せて図1(a)の状態に仕上げたものである。
従ってこの種のバッグインカートンの注出口20は内袋、カートンを通して常時貫通しており、内容物排出後に注出口から内容物を充填しようとすると容易に行うことが可能である。しかし本発明による注出口20を取り付けることにより、再充填防は後述するようにきわめて難しくなる。
【0007】
図2は本発明による再充填防止機能付注出口20が付けられたバッグインカートンの内袋の使用状態説明図である。
図2(a)は注出前の状態図で、内容物は容器一杯に充填されており、内袋2はカートン1内壁に略密着しているが、キャップ4を外し注出口20に吸引ノズルを差し込んで吸引を始めると、図2(b)で示すように2a,2b,2c−−−と次第に内袋は萎んで最後には2dに示すように注出口20の内側開口部12に接近する。内袋の一部が内側開口部12を塞ぐと、まだ残っている注出口20周辺のインキは吸引できなくなる。そこで、内側開口部12の周辺には6本の柱状の突起部5を設け内袋が内側開口部12を塞がないようにしている。従ってインキは突起部5の間を通って殆ど吸引排出される。
【0008】
以下、本発明の主要な部分である注出口について順次説明する。
本発明による再充填防止機能付注出口の主要なポイントである稼動弁付プラスチック部材には前述のようなA,B二種のタイプがある。
図3は本発明によるAタイプの稼動弁付プラスチック部材が取り付けられた再充填防止機能付注出口20の断面図であり、スクリューキャップ4が付いた状態で示されている。
注出口20の円筒部3の内壁端部には凸状リング7が設けられ、円筒部3の中間部外側には容器本体への取り付けのためのフランジ6及び突起部5がそれぞれ設けられている。突起部5は円周上に6本が等間隔に配列されている。
円筒部3の内壁端部には稼動弁支持部8が前記凸状リング7と嵌合して取り付けられている。
この嵌合は稼動弁支持部8の上部を摘んで注出口円筒部3の上部から水平状態を保って押し込んで行くと、稼動弁支持部8の足部13が前記凸状リング7と当たった瞬間から内側に変形し、凸状リング7が足部13に設けられた凹部の位置にきて嵌合が完結し、足部13の形状は元の状態に戻る。この動作はプラスチックが有する弾力性を利用したものであって、一体成形された次に説明する稼動弁付プラスチック部材の取り付けを容易なものとしている。このようにして稼動弁付プラスチック部材10は一旦嵌合されると外すことができなくなる。
【0009】
次に一体成形された稼動弁付プラスチック部材10について図4によって説明する。図4はA,B両タイプのプラスチック部材10の斜視図を示すもので、先ず図4(a)で示すAタイプは直方体状の稼動弁支持部8の長手方向の両側壁に沿って平行に2本のヒンジ9を設け、このヒンジ9を介して2枚の半月状の稼動弁11が蝶の羽のように設けられている。稼動弁11の周辺は注出口の円筒部3の内壁に略隣接し、また図5で示す、凸状リング7が稼動弁ストッパー14の役割も果して稼動弁11を受け止めている。従って、2枚の稼動弁11は上方にのみ折り曲げられて、下方には折り曲げることができず、内容物を流出させるが、流入はさせない作用を示し、再充填防止の効果を示す。
前記ヒンジ9は極めて薄く成形されたプラスチックからなり反復使用に耐える耐折強度のあるポリプロピレン樹脂が好適に使用されている。
次に図4(b)で示されるBタイプでは、係止用リング12の内径部に偏平な稼動弁支持部8’が設けられており、その両側に2本のヒンジ9’を介して2枚の半月状の稼動弁11’が蝶の羽のように連接されている。
稼動弁11’の周辺は係止用リング12の内壁に略隣接し、内壁に設けられた稼動弁ストッパー14’によって受け止められている。従って稼動弁11’は上方にのみ折り曲げられ、内容物を流出させるが、流入を防止している。
【0010】
さらに、稼動弁11、11’の機能を図5、図6によって説明する。
図5(a)は稼動弁付プラスチック部材Aタイプの平面図であり、中央帯は稼動弁支持部8を示し、その両側にヒンジ9を介して半月状の稼動弁11が設けられている。
図5(b)、図5(c)はそれぞれ図5(a)におけるA−A’断面、B−B’断面を示す。
稼動弁11の周辺部は円筒部3の最下部に設けられた凸状リング7によって受け止められているので、稼動弁11は矢印の範囲でスウィングする。
【0011】
図6は稼動弁付プラスチック部材Bタイプの機能説明図である。
図6(a)は平面図であり、支持用リング12の中央帯は稼動弁支持部8’である。この両側に2本のヒンジ9’を介して2枚の半月状の稼動弁11’が設けられている。
図6(b)、図6(c)はそれぞれ図6(a)におけるA−A’断面、B−B’断面を示す。
半月状弁11’の周辺は係止用リング12の内壁に略隣接し、内壁に段差のように設けられた稼動弁ストッパー14’で受け止められている。従って稼動弁11’は矢印の範囲でスウィングする。
【0012】
(実施例)
謄写版自動印刷機にインキを自動供給するシステムに採用されているバッグインカートンに本発明による再充填防止機能付注出口20を取り付けた。この場合に採用した稼動弁付プラスチック部材10はAタイプとした。
稼動弁付プラスチック部材10の成形法については、ポリプロピレン、インジェクショングレード(昭和電工(株)製)を用いたインジェクション成形で図7に示す寸法に一体成形した。
あらかじめ内袋に取り付ける注出口本体は線状低密度ポリエチレン、インジェクショングレード(三井東圧化学(社)製)を使用した。
成形された稼動弁付プラスチック部材10をインキの充填が行われたバッグインカートンの注出口に押し込み、注出口最深部の凸状リング7と嵌合させて固定し、次いでキャッピングを行った。
次に謄写版自動印刷機に付属している従来のインキ吸引ノズルにバッグインカートンをセットしたが、吸引ノズルに稼動弁が接触することもなく、またインキの流量を大きく落とすことなく順調にインキは吸引されバッグインカートンは略空になった。
空になったバッグインカートンにインキの再充填を試みたが前記プラスチック部材が有効に作用し再充填は全く不能におわった。
【0013】
本発明による再充填防止機能付注出口は実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
たとえば、注出口円筒部3は必ずしも断面が円である必要はなく、角状のものであってもよい。円筒部3に取り付けられる稼動弁付プラスチック部材の稼動弁支持部8は必ずしも直方体である必要はなく、カマボコ状でもよく、また稼動弁支持部8’の方も偏平だけでなく上方に突き出した形状であってもよい。それに連接される稼動弁11、11’も必ずしも2枚の必要はなく、注出口円筒部断面によっては1枚であってもよい。またその形状も半月状に限る必要はない。
【0014】
【発明の効果】
本発明による再充填防止機能付注出口は稼動弁付プラスチック部材を充填後容易に取り付けることができ、取り付け後は外部からの類似内容物の再充填を防止することができる。また稼動弁付プラスチック部材を取り付けたことによって内容物の注出時の流量を大きく妨げることがない。さらに、従来使用している充填機あるいは注出時のコネクターを改造なしにそのまま使用することができる。
稼動弁付プラスチック部材はワンピースの一体成形であって生産コストが安く経済コストで再充填防止機能付注出口を供給でき一般商品にも利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】再充填防止機能付注出口付バッグインカートン説明図(a)完成容器の斜視図
(b)容器構造の説明図
【図2】再充填防止機能付注出口付バッグインカートンの内袋の状態説明図(a)注出前の状態
(b)注出中のと最終の状態
【図3】注出口の断面図(Aタイプ稼動弁付プラスチック部材を取り付けた場合)
【図4】稼動弁付プラスチック部材の斜視図(a)Aタイプの斜視図
(b)Bタイプの斜視図
【図5】稼動弁付プラスチック部材Aタイプ機能説明図(a)平面図
(b)A−A’断面図
(c)B−B’断面図
【図6】稼動弁付プラスチック部材Bタイプ機能説明図(a)平面図
(b)A−A’断面図
(c)B−B’断面図
【図7】稼動弁付プラスチック部材Aタイプの実施例寸法図(a)平面図
(b)側面図
(c)A−A’断面図
(d)B−B’断面図
【符号の説明】
1 カートン
2 内袋
2a〜2d 内袋の移動位置
3 円筒部
4 スクリューキャップ
5 突起部
6 フランジ
7 凸状リング
8、8’ 稼動弁支持部
9、9’ ヒンジ
10、10’ 稼動弁付プラスチック部材
11、11’ 稼動弁
12 係止用リング
13 足部
14、14’ 稼動弁ストッパー
15 注出口内側開口部
20 注出口
Claims (2)
- 円筒部3の内壁下端部に凸状リング7を設け、更に、円筒部3の中間部外側に容器本体への取り付けのためのフランジ6を設けた円筒状の注出口20と、直方体の長手方向の両下端側壁に沿って平行に2本のヒンジ9を設け、更に、該ヒンジ9を介して2枚の半月状の稼働弁11を設け、他方、直方体の短手方向の両下端部に凹部を有する足部13を設けた直方体状の稼働弁支持部8とからなり、更に、上記の円筒状の注出口20の円筒内に、上記の直方体状の稼働弁支持部8を上部より押し込んで、上記の円筒状の注出口20を構成する凸状リング7が、上記の直方体状の稼働弁支持部8を構成する足部13に設けた凹部に嵌合し、該円筒状の注出口20と直方体状の稼働弁支持部8とを完結させると共に上記の凸状リング7が上記の稼働弁11の稼働弁ストッパ−14として稼働弁11を受け止める構成からなることを特徴とする再充填防止機能付注出口。
- 円筒部3の内壁下端部に凸状リング7を設け、更に、円筒部3の中間部外側に容器本体への取り付けのためのフランジ6を設けた円筒状の注出口20と、係止用リング12の内径部に偏平な稼働弁支持部8’を設け、更に、該稼働弁支持部8’の両側に2本のヒンジ9’を介して2枚の半月状の稼働弁11’を設け、かつ、係止用リング12の内壁に段差からなる稼働弁ストッパ−14’を設けた外壁面に凹部を有する係止用リング12とかなり、更に、上記の円筒状の注出口20の円筒内に、上記の外壁面に凹部を有する係止用リング12を上部より押し込んで、上記の円筒状の注出口20を構成する凸状リング7が、上記の外壁面に凹部を有する係止用リング12を構成する外壁面に設けた凹部に嵌合し、該円筒状の注出口20と係止用リング12とを完結させせると共に上記の段差からなる稼働弁ストッパ−14’が上記の稼働弁11’を受け止める構成からなることを特徴とする再充填防止機能付注出口。
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