JP3545015B2 - 光ピックアップ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は光ディスクドライブに用いる光ピックアップに関し、特に光学部品点数を低減した光ピックアップの構成に関する。
【0002】
【従来技術】
図6は従来より用いられている光磁気ディスク用ピックアップの基本的構成を示す図であって、レーザダイオード61より出射したビームをカップリングレンズ62を透過させることにより平行光に変換し、次段のビーム整形プリズム63によりビームの断面形状を真円化してビームスプリッタ64に出射する。
該ビームスプリッタ64を出射した光線は偏向プリズム65及び対物レンズ66を介してメディア67上に微小スポットを形成し、該メディア67上に記録された情報、即ち、ピットの有無に応じた反射光は前記対物レンズ66及び偏向プリズム65を介して前記ビームスプリッタ64に入射する。
【0003】
該ビームスプリッタ64に入射した光線は偏光膜面にて反射し、λ/2板68、検出レンズ69を経て検出系70に導かれ、光磁気信号及びサーボ信号を得る。尚、前記検出系70は様々な形態のものが考えられるが、本願発明には直接関係しないため、単に「検出系」と表示する。
また、前記ビームスプリッタ64及びλ/2板68は光磁気検出感度を高めるために用いられ、一般的に前記ビームスプリッタ64はP偏光透過率が約70%、S偏光反射率が100%のものを用い、λ/2板68は検出系全体を傾斜させることにより削除することも可能である。
【0004】
図7はメディア情報を反射光の光量変動として捉える相変化(PC)等に対応した光ピックアップの一般的な構成であって、同図において前記図6と同一部には同一の符号を付す。
反射光の光量変動を捉える光ピックアップでは光磁気信号を検出する必要がないため、ビームスプリッタの代わりに偏光ビームスプリッタ71を用い、また該偏光ビームスプリッタ71を出射した光線はλ/4板72を透過するようにアイソレータ光学系を形成し、光利用効率を高めている。
前述した光磁気ピックアップはビームスプリッタ64により反射され、検出系70に至る光量はメディアよりの反射光の30%程度に過ぎないが、相変化等の光ピックアップはアイソレータ光学系を構成しているため100%反射光を検出系に導くことが出来る。
【0005】
前述した光磁気ピックアップ及び相変化等の光ピックアップは、いずれの場合においてもビームスプリッタ64或いは偏光ビームスプリッタ71を用いているため、高価とならざるを得ず、低価格化が困難であるという問題点があり、この問題点を解決するために、特開昭58ー166543号公報により開示されたように、ビーム整形プリズムのビーム整形面に偏光膜を施し、ビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタを用いずに光ピックアップを構成する方法があるが、この方法を用いて光ピックアップを構成するためにはビーム整形プリズムに偏光膜を設けなくてはならず、依然として、高価な光学部品が必要であるという問題点があった。
【0006】
【発明の目的】
本発明は上述したような従来の問題点に鑑みなされたものであって、光学部品の部品点数を低減し且つ安価な部品で光ピックアップを構成することを目的とする。
【0007】
【発明の構成】
この目的を達成するために、本発明に係る光ピックアップは、メディアの記録ピットの有無を反射光の光量変動として検知するドライブに搭載する光ピックアップであって、少なくともP偏光を出射するレーザダイオードと、該レーザダイオードより出射した光線を入射するカップリングレンズと、前記カップリングレンズより出射した光線のビーム断面形状を真円化するビーム整形プリズムと、該ビーム整形プリズムより出射した光線を入射するλ/4板と、光線をメディア上に照射する対物レンズと、該メディアよりの反射光を入射し、記録ピットの有無を検出する光検出系とを備えたものにおいて、前記ビーム整形プリズムのビーム整形面は非蒸着面であり、且つ該ビーム整形面に於て前記メディアよりの反射光を反射させる光路分離面の機能を兼ね備え、該ビーム整形面は非蒸着面であって、且つビーム整形プリズムのビーム整形面へのビームの入射角をブリュスター角近傍に設定したことを特徴とする。
【0008】
以下、図面に示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係る光ピックアップの基本構成を示した図であって、1は光源であるレーザダイオード、2は前記レーザダイオード1より出射した光線を平行光に変換するカップリングレンズ、3aはカップリングレンズを出射した平行光のビーム断面形状を真円化するビーム整形プリズム、4はλ/4板、5は偏向プリズム、6は対物レンズ、7は相変化ディスク等のメディア、8は対物レンズ、9は信号検出系であり、前記ビーム整形プリズム3aの入射光面3pは非蒸着面であり、そのP偏向透過率は図2に示すような特性を有している。
【0009】
即ち、同図はSF11(屈折率n=1.78、θB=60.67°)を用いた場合及びBK7(屈折率n=1.51、θB=56.485°)を用いた場合のP偏光透過率、S偏光反射率及びビーム整形倍率を示している。
いずれの、ビーム整形プリズムを用いても、実用的なビーム整形倍率、1.5倍〜3.0倍の間において、90%以上のP偏向透過率を確保することができ、一方、メディアからの反射光であるS偏光の反射率は15%以上得ることができる。
【0010】
このように構成した光ピックアップにおいて、光源であるレーザダイオード1より出射した光線はカップリングレンズ2に入射し、平行光に変換され、ビーム整形プリズム3aの非常着面3pに入射する。該ビーム整形プリズムの非常着面3pにおけるP偏向透過率は90%以上のため、前記レーザダイオード1より出射した光線の殆どが透過し、その際、該ビームの断面形状が真円化し、次段に設けたλ/4板4に入射することにより円偏光となって偏向プリズム5及び対物レンズ6を介して光磁気ディスク等のメディア7に照射される。
【0011】
一方、メディア7よりの反射光は対物レンズ6及び偏向プリズム5を介して、λ/4板4に入射し、S偏光に変換され、ビーム整形プリズム3aに入射する。この際、入射S偏光の15%以上がビーム整形プリズム3aの非常着面3pにて反射するため、該反射光は対物レンズ8を介して信号検出系9に入射し、前記メディア7のピットに書き込まれた情報に応じた信号が検出される。
前記光磁気信号検出系においてメディア7に書き込まれた情報を復号するのに必要な光量はRf信号及びサーボ信号が十分得られるものでなくてはならないが、光磁気ディスクの場合、Rf信号に関しては、反射光全光量中における光磁気成分比率は7%程度であり、したがって、仮にビームスプリッタのS偏光反射率を30%とした場合、信号成分は、
0.3(ビームスプリッタ反射率)×0.07=0.021
で或るのに対し、相変化(PC)等のメディアにおける信号成分は30%程度あるため、S偏光反射率が15%程度であっても
0.15×0.3=0.045
の信号成分を得ることができ、光磁気メディアの2倍以上の信号を得ることができることが分かる。
【0012】
一方、サーボ信号に関しては検出系の構成が同一と仮定すれば、光磁気メディアと相変化メディアとの反射率がほぼ同じであるため、S偏光反射率30%の場合に対し、S偏光反射率15%の場合では単純に1/2となる。即ち、ビームスプリッタの反射率がそのまま検出系の光量比になると考えられるが、このサーボ信号の低減はサーボ信号検出精度に影響を及ぼすものでなく、サーボ信号を得るのに十分な光量である。
したがって、S偏光反射率15%のビーム整形プリズムを用いても、光ピックアップの機能にはなんら支障がない。
【0013】
また、ビーム整形倍率はレーザダイオード1のFFP(ファーフィールドパターン)により定めるべき値であるが、一般的には1.5倍乃至3.0倍の間に設定されるものであるため、上述した如きビーム整形プリズムを用いた場合にビーム整形面を光路分離面とし、しかも非蒸着化してビーム整形を行うことが可能である。
尚、前記図2からも明らかなように、ビーム整形倍率が高くなるにつれS偏光反射率は上昇し、また、高屈折率のプリズム材質のものの方がS偏光反射率が高い。SF11(屈折率n=1.78)を用い、ビーム整形倍率を2倍に設定した場合には往路(P偏光)透過率、99%以上、復路(S偏光)反射率30%以上が確保することができる。
【0014】
図3は本発明に係る光ピックアップの他の実施例を示す図であって、基本的な光学部品の構成は前記図1に示した光ピックアップと同一である。
同図に示した実施例と前記実施例とが異なる点は、レーザダイオード1を出射しカップリングレンズ2を透過した光線のビーム整形プリズム3bに入射する入射角をブリュスター角に設定した点であって、そのため、ビーム整形面3pに入射する光線の光軸と、ビーム整形面3pにて反射する光線の光軸とのなす角が直角となっており、また往路の光利用効率は100%となる。
【0015】
図4は本発明の他の実施例を示した図であって、本実施例におけるビーム整形プリズム3cはそのビーム整形面3pをブリュスター角に設定すると共に、ビーム整形面3pと光検出系9への光線の出射面が平行なプリズム10を用いている点が前述した実施例と異なる点である。
このように光学系を構成することにより、ビーム整形プリズム3cを出射する光線の光軸と、プリズム10を介して光検出系9へ出射する光線の光軸とが直角となり、光ピックアップの配置が容易となる。
【0016】
尚、上記3実施例においては、ビーム整形プリズム3a〜3cとλ/4板4とを独立に配置したものを用いて説明したが、図5(a)〜(c)に示すようにλ/4板4をビーム整形プリズム3a〜3cのメディア側ビーム出射面に一体化し、光学系を構成してもよく、これらの場合、光学系の構成がより一層簡易化することができ、光ピックアップ装置の小型化及び装置の組付け性が向上することは自明である。
【0017】
【発明の効果】
本発明は上述したように構成し且つ機能するものであるから、ビーム整形プリズムでビームスプリッタの機能を兼用することができ、しかも、非蒸着化が可能であるため、光ピックアップの構成の簡易化及び低コスト化を図ることができ、また、ビーム整形面をブリュスター角近傍となるように設定することによりレーザダイオードより出射した光線をほぼ100%利用することができる。更に、ビーム整形プリズムより出射する光線の光軸と光検出系に入射する光線の光軸とを直交させることができるため、光ピックアップの配置が容易になると共に、ビーム整形プリズムとλ/4板とを一体的に構成することにより、より一層構成が簡易化され、装置の小型化、組付性を向上することができる。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ピックアップの基本構成を示した図。
【図2】本発明に係るプリズムのP偏光透過率、S偏光反射率及びビーム整形倍率を示す図。
【図3】本発明に係る光ピックアップの他の実施例を示す図。
【図4】本発明に係る光ピックアップの他の実施例を示す図。
【図5】(a) (b) 及び(c) は本発明に係るプリズムの他の実施例を示す図。
【図6】従来より用いられている光磁気ディスク用ピックアップの基本的構成を示す図。
【図7】
メディア情報を反射光の光量変動として捉える相変化に対応した光ピックアッ
プの一般的な構成を示す図。
【符号の説明】
1・・・レーザダイオード、 2・・・カップリングレンズ、
3a〜3c・・・ビーム整形プリズム、 4・・・λ/4板、
5・・・偏向プリズム、 6・・・対物レンズ、 8・・・検出レンズ、
7・・・メディア、 9・・・検出系
10・・・プリズム。

Claims (4)

  1. メディアの記録ピットの有無を反射光の光量変動として検知するドライブに搭載する光ピックアップであって、
    その光路中に、光線のビーム断面形状を真円化するビーム整形プリズムと、光線をメディア上に照射する対物レンズとが設けられるとともに、前記ビーム整形プリズムと前記対物レンズとの間にλ/4板が設けられ、
    該ビーム整形プリズムのビーム整形面が光検出系への光路分離面の機能を兼ね備え、該ビーム整形面は非蒸着面であって、且つビーム整形プリズムのビーム整形面へのビームの入射角をブリュスター角近傍に設定したことを特徴とする光ピックアップ。
  2. 該ビーム整形プリズムは平行平板を屈折角と同じ角度でカットした形状のプリズムであることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
  3. 前記ビーム整形プリズムは、そのメディア側ビーム出射面にλ/4板を一体的に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載した光ピックアップ。
  4. メディアの記録ピットの有無を反射光の光量変動として検知するドライブに搭載する光ピックアップであって、レーザダイオードと、該レーザダイオードより出射した光線を入射するカップリングレンズと、前記カップリングレンズより出射した光線のビーム断面形状を真円化するビーム整形プリズムと、該ビーム整形プリズムより出射した光線を入射するλ/4板と、光線をメディア上に照射する対物レンズと、該メディアよりの反射光を入射し、記録ピットの有無を検出する光検出系とを備えたものにおいて、
    前記ビーム整形プリズムのビーム整形面は非蒸着面であり、且つ該ビーム整形面に於て前記メディアよりの反射光を反射させる光路分離面の機能を兼ね備えたことを特徴とする光ピックアップ。
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