JP3544529B2 - 太陽熱集熱パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は高効率の集熱原理を用いており、特に取得できる熱を利用して、冬季には工場、倉庫、車庫、ビル、住宅及び居住用室内を暖房及び乾燥するために使用できる。農業用としては農産物の乾燥及びハウスの暖房用及び発芽前の地中温度を高め発芽促進に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、太陽熱を利用した太陽熱集熱方法が提案されている。例えば特許第2649906号広報「太陽熱集熱装置」、また特許第2846913号広報「ビルの空気予熱方法および装置」が知られている。前者は太陽高度に影響されずに屋根で集熱する集熱板であるが太陽方位角に対応出来ない。後者は集熱パネルを外界に露出させ、複数の空気取入孔を集熱パネルに設け、集熱パネル後方へ取り入れる方法で、集熱パネルは垂直に走った畝の最も引っ込んだ部分に空気取入孔を配置するものである。また両者とも風の影響、日の陰りに対して集熱温度が急に降下し、安定した集熱、緩やかな温度降下が得られなかった。
【0003】
しかし、地域の制限無く、また太陽熱を一年中高効率に利用するためには太陽高度と太陽方位角に対応しなくてならない。屋根または壁だけでは集熱面積に限りがあるために屋根・壁両方に対応出来なくてはならない。
また、従来は集熱効率が悪いため集熱面積を増やし対応させるために、コストが増大する傾向にあったために安価に提供できなくてはならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、太陽からの日射を太陽高度、太陽方位角に影響されずに、固定した状態で一年中効率良く集熱し、集熱パネルをケースに入れずに建物の外装、及び屋根に使用できる太陽熱集熱パネルで、日の陰り、風の影響に左右されにくい安価な太陽熱集熱パネルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前期従来技術による課題を解消することについて検討を重ね、目的を達成するために、熱伝導率の良好な湾曲した細長い金属板を平織りにして形成した集熱パネル使用して、簡易な構成と平易な施工性を持った安価で高効率の集熱パネルを得ることに成功したものであって、以下の如くである。
【0006】
請求項1の発明は、日射のある時刻、季節に影響されずに太陽熱を集熱するパネルであって、湾曲した熱伝導率の良好な集熱用金属板を使用することと、前期集熱用金属板を平織りにして、建物の外装材又は屋根材として使用できる集熱用パネルにすることと、集熱用金属に集熱された熱が周辺の空気を暖め、集熱用金属の隙間を通り上昇することと、前期上昇する空気に乱気流を起こすことと、前期集熱用パネルの表面形状の特徴を施した、建物の外装材又は屋根材として使用できる集熱パネルとすることと、前期集熱用パネルが集熱−伝導−輻射を効率よく繰り返す作用を持つことを特徴とする。
請求項2の発明では、日射の太陽高度による季節によって変化する入射角度に対して日射を、固定した水平方向の、湾曲した連続面で受けることにより、常に太陽光に対して適切な角度を持つことが出来、垂直平面よりも効率的に集熱を得られることから、地域に左右されずに垂直面に角度を付けずに設置出来る特徴を持つ。また、日射の太陽方位角による時刻によって変化する入射角に対して、日射を固定した垂直方向の、湾曲した金属板で受けるために、集熱パネルを太陽の日射を受ける方向へ向けて設置することにより、入射角に対して適切な角度を持つことが出来、固定された垂直平面による集熱よりも効率的に集熱が得られることから、時刻に左右されずに高効率に集熱することが出来る特徴を持つ。
請求項3の発明では、平織りにした集熱用金属板は各々を固定し、建物の外装材として使用できる特徴を持つ。
請求項4の発明では、湾曲した集熱用金属板を平織りにすることにより集熱用金属板間に隙間が生じ、熱は高いほうから低いほうへ流れるので、集熱パネル表面から裏面へ、熱せられた空気が移動し、なおかつ集熱パネル表面を上昇させる特徴を持つ。
請求項5の発明では、平織りにすることによって集熱パネル表面に凹凸を生じさせることによりパネル周辺の上昇しようとする空気に乱気流を起こさせ、集熱パネル周辺空気の滞留時間を長くさせることによって、周辺空気への熱の伝導が効率よく行える特徴を持つ。
【0007】
請求項6の発明では上記集熱パネルで、平織りにした特徴的な表面形状を模り、集熱パネルと建物の外装材及び屋根材としての機能を併せ持った特徴を持つ。
【0008】
請求項7の発明では、集熱パネルで集熱金属板が凹面と凹面が重なる個所では空気が蓄えられ、凸面と凸面が重なる個所では集熱用金属同士が接触し熱が伝導し、凹面と凸面が重なる個所では集熱板から放熱され熱せられた空気が左右上方へと上昇移動させる特徴を持つ。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施形態を説明する。
本発明は湾曲した水平・垂直の集熱用金属板を使用して、平織りにして集熱効率を上げ、なおかつ集熱パネルを固定した状態で季節・時刻の変化に対応し、安定して高効率に集熱することが出来、集熱パネルと外装材・屋根材として二重の効果がある太陽熱集熱パネルである。
図3は本発明の透視図である。図において水平方向の集熱用金属板は凹凸交互に配置され、垂直方向の集熱用金属板凹凸交互に配置して平織りにしたものである。1・2は水平方向太陽熱集熱金属板であり、3・4は垂直方向太陽熱集熱板である。9は金属を平織りにする性質上最低限生じる集熱金属板間の隙間である。A・B・C・Dは集熱用金属板を平織りにした場合に生ずる集熱用金属板の重なりパターンである。透視図図5は図3において形成された形状で、垂直方向の集熱用金属板を織り易くするために緩やかな曲線を描いて通るように、水平方向の集熱用金属板の間隔を開けたもので、隙間8は図3の隙間7よりも大きくなっている。
図8は集熱用金属の重なり状態を表している。垂直方向集熱用金属板はパネル表面へ出た状態で日射を受け集熱し、裏面に入った状態では表側で集熱した熱を伝導し、伝導した熱を放熱する。水平方向の集熱用金属板も水平方向と同様に、表に出た状態で集熱し、裏面に入った状態で集熱した熱を伝導して、伝導した熱を放熱する。また集熱用金属板が接触する個所では、表面で集熱した熱を裏面へと伝導し、裏面で放熱することを繰り返す。この結果集熱−伝導−放熱が効率よく行えるようになる。また平織りで二重になっている集熱用金属板は一枚の集熱板よりもより多くの熱を蓄える蓄熱の効果もある。
図6・図8では夏至南中時と冬至南中時の日射状態及び時刻による日射の変化をあらわしていて、日射によって生ずる熱及び空気が集熱パネルの周辺を移動する様子を描いている。図7において図3、図5において生ずる集熱用金属重なりパターンAに、日射の変化による急激な温度の変化、及び風による温度変化に対応するために蓄熱材を嵌め込んだもので、太陽熱集熱パネルに蓄熱の機能を併せ持たせたもので、緩やかな温度変化になるように工夫されている。集熱パネルでは効率よく集熱・伝導・輻射が起こらなければ効率よく熱の取得が出来ない。アルミニウムは集熱用金属板として最も良い集熱結果を出している。
【0010】
図9・図10・図11・図12は図2、図4で表された太陽熱集熱パネルの表面形状と特徴を備えた太陽高度と太陽方位角に対応できる太陽熱集熱パネルである。太陽熱集熱用パネルは、安価で、高性能でなおかつ大量生産に向いていなければならない。図3及び図5で表した高効率の集熱効果を生む特徴を、安価で大量生産に向く形態としたものとして、平織りにした形態から、季節・時刻に対応する特徴を持たせた単体の集熱パネル形状へ変化させた形態として表している。図10で湾曲した水平方向の集熱用金属板12は一方向に並んだ状態となっている。また湾曲した垂直方向の集熱用金属板は一方向に通る形となり、図2・図4で示した集熱用金属板間で出来る隙間の形状を、水平方向の集熱用金属板形状の上部へ開けている。このことは、熱は高いほうから低いほうへ流れる性質があるために、湾曲した水平方向の集熱用金属板で集熱された熱が放熱し、金属板表面を上昇し、温度の高い表面から温度の低い裏面へと開口部を通り移動するように工夫されている。
図9・図10で示した太陽熱集熱パネルは一年を通して高効率に集熱出来る太陽熱集熱パネルで、図11・図12で示した太陽熱集熱パネルは冬場に最も効率的に集熱出来、放熱・輻射によって集熱パネル表面上の熱せられた空気が、より高い温度にするために、に滞留時間が長くなるように工夫され、夏季には熱吸収効率が著しく落ちるように、湾曲した面の上部に庇上に作られた太陽熱集熱パネル形状である。
図13・図14は建物の外壁に取り付けた例で、建物の外壁にCチャンネル21を取り付け、取り付けたCチャンネルに太陽熱集熱パネルをタッピングビス又はボルトを使用して取り付ける形態例で、横引きダクト及びファンは図示してはいないが、太陽熱集熱パネルの上部に横引きのダクトを配置し、吸引ファンをダクト部に取り付けることにより、太陽熱集熱パネル取り付けにより生ずるエアスペース22内の熱せられた空気を建物内部へ送り出すことが出来る。太陽熱集熱パネル周辺の熱せられた空気が上昇するためと、建物外部に取り付けられた太陽熱集熱パネルによって、エアスペース内部の空気は外部へ輩出され、エアスペース内部の空気が外部の空気に入れ替わることから、建物の壁体は熱せられることも無くなる。夏季においては太陽熱集熱パネルが断熱の役割を果たすことになる。図14の断面図で表された太陽熱集熱パネルの形状は、熱が冬に必要で、夏には集熱させないときの場合の形状で、夏場、南中時の日射の大半が影23になるように水平方向の集熱形状の上部19をせり出させ庇状とし、また冬場には集熱量が最大となるように、南中時の太陽高度に対して直交するように工夫された形状である。また図14の19箇所では上昇する空気が対流を起こし滞留することによってさらに熱せられるように工夫された形状になっている。
【0011】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の太陽熱集熱パネルは、従来と比べ南向きの垂直面あるいは屋根面へ設置した場合、季節、時刻に左右されずに集熱効果を高めることが出来、太陽熱集熱パネルを入れる特別なケースを必要としないために建物及び取り付ける構造物に対して容易に施工することが出来、また建物の改修工事に使用すれば既存の外壁・屋根をそのままに、壊さずに施工できるために大幅に建設コストを抑えることが出来、なおかつ暖房用の熱エネルギーを取得できるという二重の効果が得られるものである。
また夏季においては既存の壁に取り付けた場合、断熱の役目を果たす省エネルギー効果をもたらす。
化石燃料を使用せずに太陽熱を最大限に利用するために、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出が無く、無公害でクリーンな環境に最も優しい太陽エネルギーを高効率に利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集熱用金属重なりパターン図である。
【図2】本発明の太陽熱集熱パネルで水平方向集熱板の隙間を詰めた形状の一実施形態の断面図、正面図、平断面図である。
【図3】図2の透視図である。
【図4】本発明の太陽熱集熱パネルで水平方向集熱板の隙間を開けた形状の一実施形態の断面図、正面図、平断面図である。
【図5】図4の透視図である。
【図6】図2の断面拡大図である。
【図7】二重に織られた集熱用金属板の間に蓄熱材を挟んだ図である。
【図8】本発明の集熱用金属の平断面拡大図で、集熱、伝導、放熱図である。
【図9】本発明の太陽熱を集熱するパネルで図2の表面形状を模った集熱パネルの1実施形態の断面図、正面図、平断面図である。
【図10】図9の透視図である。
【図11】本発明の太陽熱集熱パネルで図2の表面形状を模った集熱パネルの1実施形態の断面図、正面図、平断面図である。
【図12】図11の透視図である。
【図13】図9の建物への取り付け例の断面図、平断面図である。
【図14】図11の建物への取り付け例の断面図、平断面図である。
【符号の説明】
1 水平方向集熱用金属板凹面、2 水平方向集熱用金属板凸面、
3 垂直方向集熱用金属板凹面、4 垂直方向集熱用金属板凸面、
5 各集熱用金属板間を詰めて平織りにした太陽熱集熱パネル、
6 水平方向集熱用金属板間の隙間を開けて平織りにした太陽熱集熱パネル、7隙間、8 隙間、9 滞留個所、10 蓄熱材、
11 太陽熱集熱パネル、12 水平方向の集熱板形状、
13 垂直方向の集熱板形状、14 開口部、
15 夏季制限用太陽熱集熱パネル、16 水平方向の集熱形状、
17 垂直方向の集熱板形状、18 空気移動用開口部、
19 夏季日射遮蔽庇、20 建物及び構造物の外壁、
21 Cチャンネル、22 エアスペース、23 夏季における影部
A 凹面と凹面の重なり、B 凸面と凹面の重なり、
C 凹面と凸面の重なり、D 凸面と凸面の重なり、
E 断面方向を表す、F 断面方向を表す、G 断面方向を表す、
H 断面方向を表す、I 断面方向を表す、J 断面方向を表す、
K 断面方向を表す、L 断面方向を表す、M 断面方向を表す、
N 断面方向を表す、O 断面方向を表す、P 断面方向を表す。
Claims (7)
- 日射のある時刻、季節に影響されずに太陽熱を集熱するパネルであって、
湾曲した熱伝導率の良好な集熱用金属板を使用することと、
前期集熱用金属板を平織りにして、建物の外装材又は屋根材として使用できる集熱用パネルにすることと、
集熱用金属に集熱された熱が周辺の空気を暖め、集熱用金属の隙間を通り上昇することと、
前期上昇する空気に乱気流を起こすことと、
前期集熱用パネルの表面形状の特徴を施した、建物の外装材又は屋根材として使用できる集熱パネルとすることと、
前期集熱用パネルが集熱、伝導、輻射を効率よく繰り返す特徴を持つ太陽熱集熱パネル。 - 上記湾曲した水平方向の集熱用金属板で太陽高度の変化に対応し、垂直方向の集熱用金属板で太陽方位角の変化に対応し、集熱効果を高める特徴を持った請求項1記載の太陽熱集熱パネル。
- 前期平織りにした集熱用金属板は各々を固定し、建物の外装材として使用できる特徴を持つ請求項目1及び請求項2に記載した太陽熱集熱パネル。
- 上記集熱パネルで、平織りにした集熱用金属板に沿って外気が集熱パネル金属板の隙間を通って表面から裏面へと移動し、なおかつ上昇させる方法を特徴とした請求項1、2及び請求項3記載の太陽熱集熱パネル。
- 上記集熱用金属板を平織りにした集熱パネルで、金属間の隙間から、表の空気が裏面へ、裏の空気が表面へと移動し、周辺の上昇する空気の流れを乱し、集熱パネル周辺空気の滞留時間を長くさせることを特徴とした請求項1,2,3及び請求項4記載の太陽熱集熱パネル。
- 上記集熱パネルで、平織りにした特徴的な表面形状を模り、集熱パネルと建物の外装及び屋根材としての機能を併せ持った特徴を持つ請求項2記載の太陽熱集熱パネル。
- 上記集熱パネルで集熱金属板が凹面と凹面が重なる個所では空気が蓄えられ、凸面と凸面が重なる個所では集熱用金属同士が接触し熱が伝導し、凹面と凸面が重なる個所では集熱板から放熱され熱せられた空気が左右上方へと上昇移動させる特徴を持った請求項1、2、3、4、5及び請求項6記載の太陽熱集熱パネル。
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