JP3544050B2 - 水道水着色評価用標準液の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は水道水の着色測定の標準液に係り、特に複種類の着色を測定する際の評価基準となる標準液の製造方法に関する。本発明の方法によって作製される標準液は上水,下水,水源地水,下水処理水等の水道分野の他に清涼飲料や酒類等の食品類や医薬品等の着色測定の評価基準としても利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来から水道分野における水の着色測定では色度と濁度という指標および測定装置が普及しており、それらの評価基準として色度標準液、濁度標準液という二種類の標準液が用いられてきた。
一方、水道法施行規則第14条と上水試験方法によれば「水道により供給される水について毎日1回、色と濁りを肉眼で観察すること」と義務づけられているが、色度,濁度はどちらも単波長光(390nm 、660nm )の吸光度から求められる指標で、目視検査とは原理が異なり、液体の着色の一面しか捉えられない。このために目視と同等な複数色の色合いと濁度を測定可能な装置の登場が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願出願人は先に特願平6−206227号公報において、色相および着色度という概念を用いて目視と同等な着色の測定が可能なことを開示した。
ところがこの概念による水道水の着色測定値を何らかの基準で評価しようとした場合に色度標準液は黄色,濁度標準液は白色であるために他系統の着色に対して評価の基準とすることができない。このため黄色や白色以外に特に水道水着色の主たる要因である酸化鉄の赤色と酸化マンガンの黒色の着色測定に対する標準液が必要となっていた。
【0004】
しかしながら従来は非溶解性粒子である酸化鉄,酸化マンガンを水中に懸濁させたときは非溶解性粒子の凝集,沈降が起こるために懸濁液は不安定であり、そのために赤色または黒色の安定な着色標準液が得られないという問題があった。
この発明は上述の点に鑑みてなされその目的は非溶解性粒子である酸化鉄または酸化マンガンの水中における凝集,沈降を防止して複数の着色測定を可能にする赤色または黒色の着色標準液を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的はこの発明によれば金属酸化物粒子を分散剤を介して純水へ分散させる行程、重力による沈降速度に対しブラウン運動による拡散速度が同等以上になる粒径の金属酸化物粒子を分離・抽出する行程を含むとすることにより達成される。
【0006】
上述の発明において金属酸化物粒子は三酸化二鉄粒子または二酸化マンガン粒子であること、または金属酸化物粒子を分離・抽出する行程は濾過または遠心分離であるとすることが有効である。
着色測定の標準液は少なくとも測定を行う間は光学的特性が一定でなくてはならない。水に対して非溶解性である酸化鉄,酸化マンガンの場合に光学的特性に対する影響が大きいのは金属酸化物粒子である呈色粒子の凝集および沈降である。
【0007】
本発明の分散剤は界面活性剤として金属酸化物粒子に会合し、粒子間の電気的反発力を高めて呈色粒子の再凝集を防止する。
非溶解性粒子が懸濁状態で存在する溶液では、無限に長い時間静置すると必ず粒子は沈降する。しかし重力による沈降速度に対してブラウン運動による拡散速度が同等以上になる粒径の呈色粒子を分離・抽出し、これを用いて標準液を作製すれば、一度撹拌された標準液中の粒子の沈降には長時間を要する。本発明の方法ではそのような条件を満たす粒子を用いるので沈降による光学的特性変化が小さく、長時間安定な標準液が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
溶液中に分散した粒子に働く力としては重力,不規則な熱運動(ブラウン運動)による力,粒子間の相互作用(例えば静電気的吸引、反発)の力,粒子溶液間の相互作用(例えばゼータ電位や濡れ)の力等が挙げられる。しかし純水に酸化鉄粒子、酸化マンガン粒子が分散した溶液では重力とブラウン運動の力が支配的であり、他は相対的に無視できる程小さい。したがってブラウン運動による拡散速度が重力による沈降速度を上回る条件を求めて近似しこれを安定な標準液作製の条件とすることができる。
【0009】
発明者等の研究によればブラウン運動による拡散速度が重力沈降速度を上回る条件は(1)式により表される。
【0010】
【数1】
( 2kT/6πμr) 1/2 ≧( ρS −ρf )(2r)2g/18μ……(1)
ここで(1)式中の文字は次の意味を表す。
k :ボルツマン定数
T :絶対温度
π :円周率
μ :流体の粘性係数
r :呈色粒子の半径( 粒子を球と仮定)
ρS :呈色粒子の密度
ρf :流体の密度
g :重力加速度
呈色粒子の特性としてρS 、溶媒の特性としてμ、ρf を知ることができれば、目的の標準液作製上必要なパラメータとして計算で求めるものは呈色粒子の半径rだけである。そこで、以下で示すような具体的数値をもとに1式を満たすrの範囲を計算した。
【0011】
k:ボルツマン定数……1.38× 10 −23[J/K]
T:絶対温度……293 [K]
π:円周率……3.14
μ:流体の粘性係数……H2O = 1.009 × 10 −3[kg/m ・s] (20℃)
ρS :粒子の密度……Fe2O3 、MnO2約 5000 [kg/m3]
ρf :流体の密度……H2O 約 1000 [kg/m3]
g:重力加速度……9.8 m/s2
その結果、r≦0.7 μm のときに1式が満足することがわかった。
【0012】
図1はこの発明の実施例に係る製造方法を示す行程図である。呈色粒子として三酸化二鉄粒子、粒子の分離・抽出方法として濾過を用いている。
三酸化二鉄粒子(3g)および分散剤であるヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP、10mg)を純水(1L)へ混合する(行程▲1▼)。金属酸化物の分散剤としては上述の他にピロリン酸ナトリウム,トリトン X−100(商品名),Aerozol− OS(商品名)なども有効である。
【0013】
三酸化二鉄粒子を分散させるための溶液に約30分間超音波処理を行う(行程▲2▼)。超音波処理には超音波発振器,超音波ホモジナイザどちらを用いてもよい。
粒子保持能 8.0μm 、2.7 μm 、1.0 μm のガラス繊維濾紙を使用し、濾紙の目詰まりを防止するため3段階に分けた濾過によって小粒径の三酸化二鉄粒子を分離・抽出した(行程▲3▼)。分離・抽出には濾過の他に遠心分離を用いることもできる。
【0014】
ロータリーエバポレーターで残り数mLまで純水を蒸発させ、その後約12時間乾燥機(105 ℃)に入れて純水を蒸発分離した(行程▲4▼)。
乾燥した三酸化二鉄粒子を薬さじ等で回収・秤量し、鉄の重量濃度が所定濃度(例えば 1000 mg/L)となるよう純水を混合した(行程▲5▼)。
三酸化二鉄粒子を分散させるため超音波処理を30分間行う(行程▲6▼)。
【0015】
二酸化マンガン粒子についても同様の操作によって標準液の作製が可能である。
図2は三酸化二鉄(Fe2O3 )粒子を分散した標準液につきスペクトル特性の時間変化を示し、図(a)は従来の標準液のスペクトル特性を示す線図、図(b)はこの発明の実施例に係る標準液のスペクトル特性を示す線図である。
【0016】
標準液は同濃度に希釈し、それぞれについて、撹拌直後と15分後のスペクトルを比較している。図(a) では15分の間に粒子の沈降によってスペクトルが変化しているが、図(b) ではスペクトルの変化はない(スペクトル曲線が重複している)。すなわち本発明の製造方法によれば安定な標準液が作製可能であることがわかる。
【0017】
図3は本発明の実施例に係る三酸化二鉄標準液、二酸化マンガン標準液の各系列につき従来の色度標準液、濁度標準液の各系列とともにx,y,z表色系での着色評価結果を示す色度図である。図中の各系列に添えられた数字は標準液の濃度である。それによると三酸化二鉄標準液,二酸化マンガン標準液の各系列が色度標準液(黄色)、濁度標準液(白色)とは別系統の色(赤色、黒色)として測定できることがわかる。
【0018】
図4は本発明の実施例に係る三酸化二鉄標準液、二酸化マンガン標準液の各系列につき従来の色度標準液、濁度標準液の各系列とともに標準液濃度と着色度(特願平6−206227号公報により定義)の関係を示す線図である。各標準液の濃度のフルスケールは人間の目視限界濃度の10倍にとってある。目視限界の10倍程度の濃度領域まで重量濃度と着色度が直線的な関係を示すことがわかる。
【0019】
【発明の効果】
この発明によれば金属酸化物粒子を分散剤を介して純水へ分散させる行程、重力による沈降速度に対しブラウン運動による拡散速度が同等以上になる粒径の金属酸化物粒子を分離・抽出する行程を含むので、分散剤により金属酸化物粒子の凝集が抑止され、また分離・抽出行程により得られた粒径の小さい金属酸化物粒子のみが標準液に用いられて金属酸化物粒子の沈降が抑止され、安定した水道水着色評価用標準液が得られる。
【0020】
金属酸化物粒子に三酸化二鉄標準液、二酸化マンガンを用いると従来の黄色.白色とは異なって、水道水の典型的着色である赤色と黒色に対応する標準液を作製できる。従来の黄色.白色に加えて赤色と黒色の標準液を用いることにより目視と同様の水道水着色評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係る製造方法を示す行程図
【図2】三酸化二鉄(Fe2O3 )粒子を分散した標準液につきスペクトル特性の時間変化を示し、図(a)は従来の標準液のスペクトル特性を示す線図、図(b)はこの発明の実施例に係る標準液のスペクトル特性を示す線図
【図3】本発明の実施例に係る三酸化二鉄標準液、二酸化マンガン標準液の各系列につき従来の色度標準液、濁度標準液の各系列とともにx,y,z表色系での着色評価結果を示す色度図
【図4】本発明の実施例に係る三酸化二鉄標準液、二酸化マンガン標準液の各系列につき従来の色度標準液、濁度標準液の各系列とともに標準液濃度と着色度(特願平6−206227号公報により定義)の関係を示す線図
【発明の属する技術分野】
この発明は水道水の着色測定の標準液に係り、特に複種類の着色を測定する際の評価基準となる標準液の製造方法に関する。本発明の方法によって作製される標準液は上水,下水,水源地水,下水処理水等の水道分野の他に清涼飲料や酒類等の食品類や医薬品等の着色測定の評価基準としても利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来から水道分野における水の着色測定では色度と濁度という指標および測定装置が普及しており、それらの評価基準として色度標準液、濁度標準液という二種類の標準液が用いられてきた。
一方、水道法施行規則第14条と上水試験方法によれば「水道により供給される水について毎日1回、色と濁りを肉眼で観察すること」と義務づけられているが、色度,濁度はどちらも単波長光(390nm 、660nm )の吸光度から求められる指標で、目視検査とは原理が異なり、液体の着色の一面しか捉えられない。このために目視と同等な複数色の色合いと濁度を測定可能な装置の登場が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願出願人は先に特願平6−206227号公報において、色相および着色度という概念を用いて目視と同等な着色の測定が可能なことを開示した。
ところがこの概念による水道水の着色測定値を何らかの基準で評価しようとした場合に色度標準液は黄色,濁度標準液は白色であるために他系統の着色に対して評価の基準とすることができない。このため黄色や白色以外に特に水道水着色の主たる要因である酸化鉄の赤色と酸化マンガンの黒色の着色測定に対する標準液が必要となっていた。
【0004】
しかしながら従来は非溶解性粒子である酸化鉄,酸化マンガンを水中に懸濁させたときは非溶解性粒子の凝集,沈降が起こるために懸濁液は不安定であり、そのために赤色または黒色の安定な着色標準液が得られないという問題があった。
この発明は上述の点に鑑みてなされその目的は非溶解性粒子である酸化鉄または酸化マンガンの水中における凝集,沈降を防止して複数の着色測定を可能にする赤色または黒色の着色標準液を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的はこの発明によれば金属酸化物粒子を分散剤を介して純水へ分散させる行程、重力による沈降速度に対しブラウン運動による拡散速度が同等以上になる粒径の金属酸化物粒子を分離・抽出する行程を含むとすることにより達成される。
【0006】
上述の発明において金属酸化物粒子は三酸化二鉄粒子または二酸化マンガン粒子であること、または金属酸化物粒子を分離・抽出する行程は濾過または遠心分離であるとすることが有効である。
着色測定の標準液は少なくとも測定を行う間は光学的特性が一定でなくてはならない。水に対して非溶解性である酸化鉄,酸化マンガンの場合に光学的特性に対する影響が大きいのは金属酸化物粒子である呈色粒子の凝集および沈降である。
【0007】
本発明の分散剤は界面活性剤として金属酸化物粒子に会合し、粒子間の電気的反発力を高めて呈色粒子の再凝集を防止する。
非溶解性粒子が懸濁状態で存在する溶液では、無限に長い時間静置すると必ず粒子は沈降する。しかし重力による沈降速度に対してブラウン運動による拡散速度が同等以上になる粒径の呈色粒子を分離・抽出し、これを用いて標準液を作製すれば、一度撹拌された標準液中の粒子の沈降には長時間を要する。本発明の方法ではそのような条件を満たす粒子を用いるので沈降による光学的特性変化が小さく、長時間安定な標準液が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
溶液中に分散した粒子に働く力としては重力,不規則な熱運動(ブラウン運動)による力,粒子間の相互作用(例えば静電気的吸引、反発)の力,粒子溶液間の相互作用(例えばゼータ電位や濡れ)の力等が挙げられる。しかし純水に酸化鉄粒子、酸化マンガン粒子が分散した溶液では重力とブラウン運動の力が支配的であり、他は相対的に無視できる程小さい。したがってブラウン運動による拡散速度が重力による沈降速度を上回る条件を求めて近似しこれを安定な標準液作製の条件とすることができる。
【0009】
発明者等の研究によればブラウン運動による拡散速度が重力沈降速度を上回る条件は(1)式により表される。
【0010】
【数1】
( 2kT/6πμr) 1/2 ≧( ρS −ρf )(2r)2g/18μ……(1)
ここで(1)式中の文字は次の意味を表す。
k :ボルツマン定数
T :絶対温度
π :円周率
μ :流体の粘性係数
r :呈色粒子の半径( 粒子を球と仮定)
ρS :呈色粒子の密度
ρf :流体の密度
g :重力加速度
呈色粒子の特性としてρS 、溶媒の特性としてμ、ρf を知ることができれば、目的の標準液作製上必要なパラメータとして計算で求めるものは呈色粒子の半径rだけである。そこで、以下で示すような具体的数値をもとに1式を満たすrの範囲を計算した。
【0011】
k:ボルツマン定数……1.38× 10 −23[J/K]
T:絶対温度……293 [K]
π:円周率……3.14
μ:流体の粘性係数……H2O = 1.009 × 10 −3[kg/m ・s] (20℃)
ρS :粒子の密度……Fe2O3 、MnO2約 5000 [kg/m3]
ρf :流体の密度……H2O 約 1000 [kg/m3]
g:重力加速度……9.8 m/s2
その結果、r≦0.7 μm のときに1式が満足することがわかった。
【0012】
図1はこの発明の実施例に係る製造方法を示す行程図である。呈色粒子として三酸化二鉄粒子、粒子の分離・抽出方法として濾過を用いている。
三酸化二鉄粒子(3g)および分散剤であるヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP、10mg)を純水(1L)へ混合する(行程▲1▼)。金属酸化物の分散剤としては上述の他にピロリン酸ナトリウム,トリトン X−100(商品名),Aerozol− OS(商品名)なども有効である。
【0013】
三酸化二鉄粒子を分散させるための溶液に約30分間超音波処理を行う(行程▲2▼)。超音波処理には超音波発振器,超音波ホモジナイザどちらを用いてもよい。
粒子保持能 8.0μm 、2.7 μm 、1.0 μm のガラス繊維濾紙を使用し、濾紙の目詰まりを防止するため3段階に分けた濾過によって小粒径の三酸化二鉄粒子を分離・抽出した(行程▲3▼)。分離・抽出には濾過の他に遠心分離を用いることもできる。
【0014】
ロータリーエバポレーターで残り数mLまで純水を蒸発させ、その後約12時間乾燥機(105 ℃)に入れて純水を蒸発分離した(行程▲4▼)。
乾燥した三酸化二鉄粒子を薬さじ等で回収・秤量し、鉄の重量濃度が所定濃度(例えば 1000 mg/L)となるよう純水を混合した(行程▲5▼)。
三酸化二鉄粒子を分散させるため超音波処理を30分間行う(行程▲6▼)。
【0015】
二酸化マンガン粒子についても同様の操作によって標準液の作製が可能である。
図2は三酸化二鉄(Fe2O3 )粒子を分散した標準液につきスペクトル特性の時間変化を示し、図(a)は従来の標準液のスペクトル特性を示す線図、図(b)はこの発明の実施例に係る標準液のスペクトル特性を示す線図である。
【0016】
標準液は同濃度に希釈し、それぞれについて、撹拌直後と15分後のスペクトルを比較している。図(a) では15分の間に粒子の沈降によってスペクトルが変化しているが、図(b) ではスペクトルの変化はない(スペクトル曲線が重複している)。すなわち本発明の製造方法によれば安定な標準液が作製可能であることがわかる。
【0017】
図3は本発明の実施例に係る三酸化二鉄標準液、二酸化マンガン標準液の各系列につき従来の色度標準液、濁度標準液の各系列とともにx,y,z表色系での着色評価結果を示す色度図である。図中の各系列に添えられた数字は標準液の濃度である。それによると三酸化二鉄標準液,二酸化マンガン標準液の各系列が色度標準液(黄色)、濁度標準液(白色)とは別系統の色(赤色、黒色)として測定できることがわかる。
【0018】
図4は本発明の実施例に係る三酸化二鉄標準液、二酸化マンガン標準液の各系列につき従来の色度標準液、濁度標準液の各系列とともに標準液濃度と着色度(特願平6−206227号公報により定義)の関係を示す線図である。各標準液の濃度のフルスケールは人間の目視限界濃度の10倍にとってある。目視限界の10倍程度の濃度領域まで重量濃度と着色度が直線的な関係を示すことがわかる。
【0019】
【発明の効果】
この発明によれば金属酸化物粒子を分散剤を介して純水へ分散させる行程、重力による沈降速度に対しブラウン運動による拡散速度が同等以上になる粒径の金属酸化物粒子を分離・抽出する行程を含むので、分散剤により金属酸化物粒子の凝集が抑止され、また分離・抽出行程により得られた粒径の小さい金属酸化物粒子のみが標準液に用いられて金属酸化物粒子の沈降が抑止され、安定した水道水着色評価用標準液が得られる。
【0020】
金属酸化物粒子に三酸化二鉄標準液、二酸化マンガンを用いると従来の黄色.白色とは異なって、水道水の典型的着色である赤色と黒色に対応する標準液を作製できる。従来の黄色.白色に加えて赤色と黒色の標準液を用いることにより目視と同様の水道水着色評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係る製造方法を示す行程図
【図2】三酸化二鉄(Fe2O3 )粒子を分散した標準液につきスペクトル特性の時間変化を示し、図(a)は従来の標準液のスペクトル特性を示す線図、図(b)はこの発明の実施例に係る標準液のスペクトル特性を示す線図
【図3】本発明の実施例に係る三酸化二鉄標準液、二酸化マンガン標準液の各系列につき従来の色度標準液、濁度標準液の各系列とともにx,y,z表色系での着色評価結果を示す色度図
【図4】本発明の実施例に係る三酸化二鉄標準液、二酸化マンガン標準液の各系列につき従来の色度標準液、濁度標準液の各系列とともに標準液濃度と着色度(特願平6−206227号公報により定義)の関係を示す線図
Claims (3)
- 金属酸化物粒子を分散剤を介して純水へ分散させる行程、重力による沈降速度に対しブラウン運動による拡散速度が同等以上になる粒径の金属酸化物粒子を分離・抽出する行程を含むことを特徴とする水道水着色評価用標準液の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法において、金属酸化物粒子は三酸化二鉄粒子または二酸化マンガン粒子であることを特徴とする水道水着色評価用標準液の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法において、金属酸化物粒子を分離・抽出する行程は濾過または遠心分離であることを特徴とする水道水着色評価用標準液の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01921696A JP3544050B2 (ja) | 1996-02-06 | 1996-02-06 | 水道水着色評価用標準液の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP01921696A JP3544050B2 (ja) | 1996-02-06 | 1996-02-06 | 水道水着色評価用標準液の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09210786A JPH09210786A (ja) | 1997-08-15 |
JP3544050B2 true JP3544050B2 (ja) | 2004-07-21 |
Family
ID=11993187
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP01921696A Expired - Fee Related JP3544050B2 (ja) | 1996-02-06 | 1996-02-06 | 水道水着色評価用標準液の製造方法 |
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JP2011191189A (ja) * | 2010-03-15 | 2011-09-29 | Konica Minolta Sensing Inc | 色指数測定装置ならびにその制御プログラムおよび制御プログラムの作成方法 |
CN102445274A (zh) * | 2010-10-13 | 2012-05-09 | 罗文宇 | 一种对溶液的色彩分析方法及系统 |
JP6933480B2 (ja) * | 2016-03-29 | 2021-09-08 | 住友重機械エンバイロメント株式会社 | キレート剤の定量方法、及びキレート剤定量システム |
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1996
- 1996-02-06 JP JP01921696A patent/JP3544050B2/ja not_active Expired - Fee Related
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