JP3543655B2 - 試料の確認方法及びキット - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は、免疫測定法において、試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原を添加する試料投入の確認方法、及びその方法を実施するための免疫測定キットに関する。
【０００２】
【従来の技術】
臨床検査では、生体由来の血清、血漿、全血液、尿、唾液、便抽出液等を試料として、試料中に含まれる測定対象物質を免疫測定し、その結果から疾患の診断や、ウイルス、細菌等への感染の診断等が行われている。免疫測定では投入された試料中に測定対象物質が含まれない場合には陰性との判定が行われるが、試料の投入がなされない場合においても陰性との判定結果が得られるために、万一試料の投入が行われずに陰性との判定がなされたか否かを確認することが行われている。この方法としては、測定溶液に色素を添加する方法（特開平２−１５７６５８号参照）、試料中に含まれるグルコース、コレステロール、乳酸等に反応するグルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ等の酸化酵素を加えて、発生する過酸化水素を検出する方法（特開平７−１９１０２８号参照）等が知られていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、色素を測定する方法では、添加する色素の種類によって目的とする免疫反応に影響を及ぼす場合があるため、使用される色素が制限されること、微妙な色の変化を測定するために、判定が難しい等の問題点があった。さらに、過酸化水素を検出する方法では、複数の測定試薬を用い、酵素反応を伴うために煩雑な操作を行う必要があった。以上の如く、従来の方法は、試料の投入を確認する方法として満足できるものではなかった。
そこで本発明は、試料の投入を簡便な操作で確認する方法を提供することを課題とする。
【０００４】
本発明者は鋭意研究した結果、免疫測定にあたり、血液、尿、唾液又は便抽出液由来の試料中の測定対象物質を測定する免疫測定法における試料投入の確認方法であって、前記試料を２以上の容器に分注し、該２以上の容器から選択される１つの容器に前記試料中に必ず含まれる試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原結合試薬を添加して前記試料中に必ず含まれる抗原又は抗体の検出を行い、他の容器では試料中の測定対象物質の免疫測定を行う試料投入の確認方法を見出し本発明を完成した。
【０００５】
また、本発明では、血液、尿、唾液又は便抽出液由来の試料中の測定対象物質を測定する免疫測定法に用いる試薬と、前記試料中に必ず含まれる試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原からなる試料投入の確認試薬とを含む免疫測定キットを提供する。
【０００６】
本発明は、試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原で構成された試薬を用い、この試薬を試料と反応させることにより行うことができる。本発明には試料として、例えば血清、血漿、全血等の血液に由来する試料、尿、唾液、便抽出液等に由来する試料を用いることができる。試料が血液に由来する場合には、試料に必ず含まれる抗原又は抗体はヒトアルブミン、ヒトグロブリン、全血清、血液凝固因子等を挙げることができる。また、試料が尿に由来する場合には、アルブミン、糖ペプチド、オリゴ糖等の蛋白質、糖類等、唾液に由来する場合には、グロブリンの他、アミラーゼ等の酵素、唾液腺から分泌させる各種ホルモン類等を挙げることができる。本発明を行うための試薬には、前記した試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原が用いられる。血液に由来する試料を確認する場合には、抗体には抗ヒトアルブミン抗体、抗ヒトグロブリン抗体（抗抗体）、抗ヒト全血清抗体、血液凝固因子に対する抗体等を用いることができる。また尿、唾液等に由来する試料を確認する場合には、抗体には前記蛋白質、酵素、ホルモン等に対する抗体を用いることができる。確認の測定対象物として抗体を選択した場合には、前記抗原成分が確認用の抗原として採用することができる。
【０００７】
本発明は、周知の免疫測定法と同様な測定操作手順に従い確認を行うことができる。試料を２以上の容器に分注し、この容器の１つでは本発明を行うために前記試薬を所定量添加して確認方法を行い、他の容器では測定対象物質の免疫測定を行うことができる。本発明を間接凝集法により確認を行う場合には、試料と本発明の試薬とを混合し、容器内に形成される凝集像、濁度の変化、粒子の流れ出る長さ等を測定することによって行われる。またＥＩＡ、ＲＩＡ等により確認を行う場合には、試料と本発明の試薬に、試料成分である抗原又は抗体と反応する標識抗体又は標識抗原を添加して行われる。この場合本発明は、所望により標識物質に対応する基質を添加し、容器中の標識物質から得られる発色、蛍光、発光、放射線等のシグナルを測定することにより行われる。反応容器中で凝集、濁度、シグナル等が生じ、反応が起こったことが認められた場合には試料がその容器に添加されていたことが確認できる。
【０００８】
更に、本発明のキットは、ＥＩＡ試薬、ＲＩＡ試薬、間接凝集免疫測定試薬等に試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原からなる試薬を添付し構成される。本発明がＥＩＡ、ＲＩＡ等によって行われる場合には、試料成分と反応する抗体又は抗原を標識体として用いることができる。
【０００９】
本発明では、試料中に必ず含まれる試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原とを反応させて、試料投入の確認を行うことができる。誤って試料投入されなかった時、目的試料以外の物質が投入された時には、反応が起こらずに容易に試料の投入の確認ができる。
更に、本発明によれば、測定対象物質の免疫測定法と同様の免疫測定法を用いて試料投入の有無を確認することができる。

Claims (6)

1. 血液、尿、唾液又は便抽出液由来の試料中の測定対象物質を測定する免疫測定法における試料投入の確認方法であって、
   前記試料を２以上の容器に分注し、該２以上の容器から選択される１つの容器に前記試料中に必ず含まれる試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原からなる試薬を添加して前記試料中に必ず含まれる抗原又は抗体の検出を行い、他の容器では試料中の測定対象物質の免疫測定を行うことを特徴とする、試料投入の確認方法。
2. 試料中に必ず含まれる試料成分である抗原がヒトアルブミン、ヒトグロブリン又は全血清であり、該抗原と反応する抗体が抗ヒトアルブミン抗体、抗ヒトグロブリン抗体又は抗ヒト全血清抗体である請求項１に記載の確認方法。
3. 試料中に必ず含まれる試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原が免疫測定用の固相に結合された試薬である請求項１又は２に記載の確認方法。
4. 血液、尿、唾液又は便抽出液由来の試料中における測定対象物質を測定する免疫測定法に用いる試薬と、
   前記試料中に必ず含まれる試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原からなる試料投入の確認に用いる試薬とを含む免疫測定キット。
5. 試料中に必ず含まれる試料成分である抗原がヒトアルブミン、ヒトグロブリン又は全血清であり、該抗原と反応する抗体が抗ヒトアルブミン抗体、抗ヒトグロブリン抗体又は抗ヒト全血清抗体である請求項４に記載のキット。
6. 試料中に必ず含まれる試料成分である抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原が免疫測定用の固相に結合された試薬である請求項４又は５に記載のキット。