JP3541938B2 - 能動的酸素掃去性共重縮合物 - Google Patents

能動的酸素掃去性共重縮合物 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、一般に能動的酸素掃去能を有する組成物及び酸素感受性物質の改良包装におけるこれらの組成物の使用に関する。包装用品に作成したり、容器ライナー/コーティングとして使用できる配合物を開示する。
発明の背景
プラスチック材料のデザイン適応性並びに、包装業界で一般的に使用される種々のサイズ及び形に製造することができる能力により、プラスチック材料は包装業界で多用されてきた。例えば、フィルム、トレー、ボトル、カップ、ボウル、コーティング及びライナーなどの包装用品にプラスチック材料をうまく使用することは、包装業界では既に当たり前のことである。プラスチック材料は包装業界に無限のデザイン適応性と共に多くの利益を提供してきたが、好適な製品の保存寿命を保証するために、大気(主に酸素)に対するバリヤ特性が必要な状況でのプラスチック材料の有用性は抑制されたままである。ガラス、スチールまたはアルミニウムなどの従来の包装用材料と比較してプラスチック材料はバリヤ特性が低く、そのため大気、特に大気への暴露が長期に及ぶ際に、感受性の包装商品(アイテム)で使用する場合の受容性を制限してしまう。包装業界では、プラスチックのデザイン適応性と同時に、ガラス、スチールまたはアルミニウムのバリヤ特性を有する包装用材料を探し続けている。
【0002】
酸素感受性物質を酸素(通常、空気由来の酸素)と遮断して包装することに関しては大きく2種類のバリヤがあることが把握されている。ひとつは受動的酸素バリヤ(passive oxygen barrier)として知られ、そのような構造体を通る酸素透過に対する優れた耐性により有用性が知見されている。ガラス及び金属は、本質的に完全に受動的酸素バリヤである。ポリマー、特にポリエステル類(例えば、ポリエチレン・テレフタレート:PET)は包装業界で広く許容されており、適度に優れた受動的酸素バリヤである。ポリアミド類(例えば、ポリヘキサメチレンアジプアミド及びポリフタルアミド類)は、同様の構造体で使用する際にポリエステル類よりも一般的に優れた受動的酸素バリヤである。
【0003】
別の種類の酸素バリヤは、能動的酸素バリヤ(active oxygen barrier)として知られている。能動的酸素バリヤは、例えば、酸素が包装を通って透過する際に(酸素との化学反応を経て)酸素を遮断し、掃去することができる物質である。能動的酸素掃去剤の主な特徴は、パッケージキャビティに到達しようとする際に空気由来の酸素を遮断するだけでなく、包装または充填時にうっかり入ってしまったパッケージキャビティ内の(充填空積酸素とも呼ばれる)不都合な酸素を排除するための手段を提供するという能力である。能動的酸素掃去剤だけがパッケージキャビティ由来の不都合な酸素を除去することができる。従って能動的酸素掃去には、パッケージ内に組み込まれた材料の消費を伴う。材料は次第に消費され、能動的酸素掃去能が最終的には枯渇するか少なくとも減少する。しかしながら、通常1年未満の包装製品の必須無酸素保存寿命(oxygen free shelf life)の十分後でのみ能動的酸素掃去部分の枯渇が起きるように、結果として起きる該能動的酸素掃去部分の枯渇を調節することができる。
【0004】
能動的酸素掃去剤は公知であり、種々の製品で使用されてきた。最適には、能動的酸素掃去剤は、以下に列記する特徴をできる限り多く、または少なくとも幾つかを有していなければならない。
(1)水または水蒸気の存在下または非存在下のいずれにおいても酸素掃去能を有していなければならない。
(2)ボトルまたはフィルムを製造しなければならない時にPETまたは他の包装用熱可塑性樹脂と同等の透明性を有していなければならない。
(3)多層パッケージ構造体中で(単数または複数種類の)層として使用する際に(単数または複数種類の)隣接層に対して粘着性でなければならない。
(4)酸素を掃去するのに最適及び均一の状況とするためにパッケージ内にくまなく平均して分散しなければならない。
(5)これらの目的のために固体または固体フィルムとして存在するように、充填及び貯蔵温度を超える(少なくとも約30℃を超える)ガラス転移温度を有していなければならない。
(6)容器ライナーとして使用する際に、(有機溶媒の蒸発が必要なラッカーとは対照的に)水系から容器の内面に噴霧できなければならない。
(7)酸素との反応の後に活性酸素掃去剤が分解した分解生成物は包装製品に対して無害でなければならないか、包装製品と遮断されていなければならない。
(8)酸素とのその反応のメカニズムは、包装用品の強度、透明性または他の顕著な特徴に対して悪影響を与えてはならない。
【0005】
適当なコストで製造することができ、酸素感受性製品が6ヶ月〜2年の範囲の目標とする保存寿命の可能性を提供するのに十分な酸素掃去能及びバリヤ能を有する、上記特徴をできるだけ多く有する能動的酸素バリヤ材料が求められている。
発明の概要及び従来の技術
通常譲渡された、関連する1996年9月23日出願の同時係属の米国特許出願第08/717,370号には、ブロックコポリエステルポリマー中にポリオレフィンオリゴマーブロックとして少量を配合すると、特定の炭化水素類、例えば、ポリオレフィン類(特にポリインデン類)は、包装用ポリエステル類に実質的に能動的酸素掃去能を与えるが、ポリオレフィンオリゴマーブロックの非存在下では全く能動的酸素掃去能を示さなかったことが開示された。上記参照の出願の酸素掃去性コポリエステル類は、主に包装用ポリエステルセグメントと目的とする包装用途に必要な酸素掃去能を供給するために配合する酸素掃去量だけのポリオレフィンオリゴマーセグメントとから構成されていた。出願番号第08/717,370号のコポリエステル類は、通常、ポリオレフィンコポリマーセグメントは約0.5〜12重量%の範囲で、残余はポリエステルセグメントである。特に好ましい態様は、ポリオレフィンオリゴマーセグメント約4重量%で残余がポリエステルセグメントのコポリエステルであった。低い重量%レベルのポリオレフィンオリゴマーセグメントを含むそのようなブロックコポリエステル類は、ポリエステルセグメントが誘導された未変性ポリエステルと非常に似た特性(例えば、融点、粘度、及び透明性)を有する。特に、未変性ポリエステルの1または幾つかの層と上述の酸素掃去性ブロックコポリエステルの1または幾つかの層とを有する積層パッケージ及びボトルの層は粘着性で、包装用品は(積層よりむしろ)モノリシック型の構造体のようであった。
【0006】
1998年2月17日に出願された関連するPCT出願番号第US98/02991号では、高性能酸素掃去性ポリオレフィンオリゴマーセグメントを組み込むという概念がポリアミド類に拡張された。上記参照のPCT出願は、主にポリアミドセグメントと酸素掃去量のポリオレフィンオリゴマーセグメントとを含むブロックコポリアミド類を開示した。先に開示されたコポリエステル類の場合と同様に、対応するコポリアミド類は未変性のポリアミド類、特にそのポリアミドセグメントが誘導されたポリアミドと非常に似た特性を有していた。ポリアミド類は一般的に、ポリエステル類と比較して本質的に優れた能動的バリヤであるとみなされている。コポリアミド類は主にポリアミドセグメントから構成されているため、該コポリアミド類は実質的な能動的酸素掃去能を持つだけでなく、優れた受動的バリヤ能も持つ。本出願では、コポリエステル類またはコポリアミド類に組み入れた際に、関連する従来の出願で示されたような優れた能動的酸素掃去能を示す、さらなる酸素掃去性部分を開示する。コポリアミド類及びコポリエステル類に加えて、他の重縮合物に能動的酸素掃去性部分を取り込むことも開示する。さらに、能動的酸素掃去性部分を(縮合型とは対照的に)付加型のコポリマー類に取り込むことも開示する。本出願の別の態様では、能動的酸素掃去によって缶入り商品から充填空積酸素を除去するために容器ライナー/コーティングとして使用するために、既に開示された酸素掃去性部分(例えば、ポリブタジエンオリゴマー)を水性ベースのスプレー配合物に含ませることを含む。
【0007】
上記初期及び関連特許出願では、包装用品での能動的酸素掃去剤として用いるために特定の炭化水素材料を改作することが開示された。包装用品の壁に設置すると、これらの能動的酸素掃去剤はパッケージの壁を通過しようとした(空気由来の)酸素を遮断し、これと反応し、パッケージの内容物を酸素から遮断して、包装した酸素感受性物質の実質包装寿命を延長する。能動的酸素掃去剤と接触してこれと反応するためにパッケージキャビティ内に酸素用の手段が存在するならば、包装に使用する場合、能動的酸素掃去剤はパッケージキャビティ由来の充填空積酸素と反応してこれを除去することもできる。酸素と反応する炭化水素の能力は公知であり、自動車用タイヤや植物油などのような材料を不都合に劣化させてしまうので、既に20世紀初頭には研究対象となっていた。結局、能動的酸素掃去剤として使用すれば、炭化水素が酸化し易い傾向を包装に都合良く利用できることが判明した。しかしながら、この現象を実践するには二つの大きな障害を克服しなければならなかった。第1に、経済的観点から使用するのに手頃であるが、所望の保存寿命を提供するのに十分な酸素掃去能をも備えるような炭化水素類を発見する必要があった。第2に、現行の最新技術の包装用装置を使用して組み立てられる現代的な包装用品にこれらの材料を無毒的に取り込む方法を発見する必要があった。パッケージの透明性やパッケージのリサイクル適性も考慮しなければならなかった。これらの問題点は、上記引用の関連する特許出願でも取り組まれており、おおかたは解決している。
【0008】
これらの初期及び関連出願では、ポリオレフィンオリゴマーなどの炭化水素類は酸素感受性製品の保存寿命を延長するのに十分な商業ベースの酸素掃去能を有していたと開示されていた。特にポリブタジエンオリゴマーが効果的であるという。炭素対炭素二重結合(オレフィン性不飽和)がポリブタジエンオリゴマーに存在するため、この有効性の真偽については十分に理解されていない。このオリゴマーは重縮合反応に関与可能な化学基で末端停止できたことも開示されていた。そして、官能基で末端停止したポリオレフィンオリゴマー類を重縮合物中にブロックとして組み込んでいた。コポリエステル類及びコポリアミド類などの重縮合物は、一般的に使用される包装用重縮合物と非常に混和性(相溶性)であり、そのままで包装用品中での使用が容易であった。本出願では、この概念を酸素掃去性部分としてポリエーテルオリゴマー(特にポリプロピレンオキシド)の使用に拡張した。ポリプロピレンオキシドオリゴマーにはオレフィン性不飽和が全くない。特に理論的根拠はないが、本出願人は酸素掃去がポリプロピレンオキシドの−CH−部位だけでなく−O−エーテル部位で起きると考えている。
【0009】
ポリプロピレンオキシドオリゴマーを包装用共重縮合物中に取り込むためには、最初にポリプロピレンオキシドオリゴマーに重縮合に関与し得る末端官能基を付加する必要があった。続いて、ポリプピレンオキシドオリゴマーセグメントを有するコポリエステル類及びコポリアミド類などの共重縮合物を形成することが可能であった。ポリオレフィンオリゴマーセグメントを有する共重縮合物の場合と同様に、最適混和性、透明性及び掃去能を得るためには、ポリプロピレンオキシドオリゴマーセグメントの重量パーセント、ポリプロピレンオキシドオリゴマーの分子量、及びポリプロピレンオキシドオリゴマーの平均直径サイズを決定しなければならなかった。これらのポリプロピレンオキシドオリゴマーを含有する共重縮合物は、通常、多層包装用品の壁内に少なくとも1層として使用される。
【0010】
米国特許第5,605,996号(Chuuら)は、酸素掃去剤としてプロピレンオキシドゴムの使用について開示するが、酸素掃去剤として機能するためにオレフィン性不飽和と水分のいずれもの存在が必要であるという。ポリプロピレンオキシドオリゴマーブロックを有する本出願人の共重縮合物は、オレフィン性不飽和を含まず、好適な触媒で促進させると水(水分)の存在下または非存在下のいずれにおいても酸素を掃去する。米国特許第5,529,833号(Speerら)は、少なくとも1層がエチレン性不飽和炭化水素から本質的になる多層酸素掃去性構造体を開示する。上述の如く、ポリプロピレンオリゴマーブロックを有する本出願人の共重縮合物は、オレフィン性不飽和を全く含まない。
【0011】
上記引用の従来技術に関連する出願は全て、縮合ポリマーのコポリマー類、特にポリエステル類及びポリアミド類を含む組成物に関するものである。酸素掃去性部分を含むセグメントのブロックを共重縮合物中に埋め込んだので、このコポリマー類は能動的酸素掃去剤である。従来の関連出願で、本出願人は、重縮合物中に配合すると効果的な酸素掃去性部分としてポリプロピレン、ポリ(4−メチル)1−ペンテン及びポリブタジエンの使用について開示した。本出願においては、酸素掃去性部分としてポリプロピレンオキシドオリゴマーの使用を開示する。従来開示の酸素掃去性共重縮合物の使用を含む多くの態様が開示されてきたが、酸素掃去性共重縮合物を重縮合物ベースのパッケージに使用するとパッケージ構造体との混和性が最適である。例えば、包装用ポリエステルの隣接層と共に使用すると、酸素掃去性コポリエステル類は最適混和性である。同様に、包装用ポリアミド類の隣接層と共に使用すると、酸素掃去性コポリアミド類は最適混和性である。重縮合物ベースの包装用品が非常に一般的であるが、付加型ポリマーをベースとする包装用品用に対しても非常に多くの用途がある。
【0012】
本発明の幾つかの態様では、本出願人は、付加型酸素掃去性コポリマー類を製造するために、高性能酸素掃去剤部分を付加型ポリマー類に組み入れるという概念を展開した。これらの酸素掃去性付加型コポリマー類は全ての好適な態様で使用することができるが、主に付加ポリマーベースの包装用品(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、及びその混合物を含む)で使用することを意図する。重縮合物で実施したように、本出願人は、重付加ポリマー中に含める際に効果的な掃去剤である好ましい酸素掃去剤として、ポリオレフィンオリゴマー類、好ましくはポリプロピレン、ポリ(4−メチル)1−ペンテン、ポリブタジエンの使用、及びポリプロピレンオキシドの使用も開示する。さらに、出願人は予め製造した重付加ポリマーのエステル交換による好ましい製造法も開示する。数種の付加ポリマーは、アクリル酸またはアクリル酸誘導体から構成されるようなポリマー主鎖にエステル反応部位を既に有していても良い。勿論、多くの重付加ポリマー類(例えば、ポリオレフィン類)はエステル化部位を持たない。そのような場合、付加ポリマー類に必要なエステル化部位を付けることができる物質で付加ポリマーを処理することが通常必要である。そのような目的に関して好ましい種類の反応体としては、不飽和酸、その無水物、またその誘導体がある。無水マレイン酸(またはその誘導体)は特に好ましく、そのような方法はマレエート化として当業界で通常公知である。
【0013】
より詳細に理解するためには、以下の式I及びII:
【0014】
【化1】
Figure 0003541938
【0015】
について考察すると都合がよい。式I及びIIにおいて、OSMは二価の酸素掃去性部分、例えば、ポリプロピレンオキシドまたは上記引用の他の掃去性部分を表す。式IにはOSMのジヒドロキシ官能基で末端化した形態が示されており、式IIにはOSMのジアミノ官能基で末端基化した形態が示されている。OSMは一方だけ官能基化されていてもよく、2個以上官能基化されていても良いが、多くの可能性のある官能基化度の一つとして2個の官能基が式I及びIIに示されている。また、OSMに結合した他の官能基も可能であり、本発明の目的に関して好適であるが、説明及び例示のためヒドロキシ及びアミノだけが例示されている。式I及びIIに表されている実体は重縮合及び/またはエステル交換反応に関与し得るものであることは当業者には明らかである。本発明では、出願人は式IまたはIIの種と、酸部位(または他の好適な反応部位)をもつ付加ポリマー類とを反応させ、次いでOSMを縮合またはエステル化により付加ポリマー類に取り込ませる。最終的に、付加ポリマーに上記引用の種々のOSMの形態で正確な量の酸素掃去能を付加する直接且つ簡便な方法を提供する。
【0016】
通常、共重付加ポリマー類(copolyaddition polymers)は、主に重付加セグメントから構成され、目的の用途に必要な酸素掃去能を提供するのに十分なOSMセグメントしか有していない。この意味では、「主に」とは、付加型酸素掃去性コポリマー類中、重付加セグメントが50重量%を超えることとして定義される。実際、共重付加酸素掃去剤は、掃去性コポリマー類の約0.5〜約12重量%の範囲のOSMセグメントから構成される。好ましくはOSMセグメントはコポリマーの約2〜約8重量%を構成し、最も好ましくはコポリマーの約2〜約6重量%を構成する。酸素掃去性共重縮合物の場合と同様に、酸素掃去性付加コポリマーが未変性の付加ポリマー、特にそのセグメントが誘導される付加ポリマーと酷似した特性を有するように、必要最小量のOSMセグメントだけを使用するのが望ましい。1996年12月19日発行のPCT特許出願(Chingら)で国際公開第WO96/40799号は、主鎖上に配置されたエステル化/エステル交換部位を備えた主鎖を持つポリエーテル性ポリマーと、前記部位のエステル化法を開示する。Chingらの特許はさらに、結合水素原子を有する炭素原子を持ち、前記炭素原子はChingらの開示でさらに列挙されているようなリスト成分に隣接する、懸垂基のポリマー上の(活性部位の)結合部分を開示する。実際には、Chingらの文献は最終的に、28日後に組成物1グラム当たり酸素約40〜63ccの範囲で掃去し得る変性ポリエチレン性ポリマーと遷移金属とを含む組成物を開示している。本出願人のコポリマー類は遷移金属の非存在下においても、同様の条件下、28日間でコポリマー1グラム当たり酸素約83ccを掃去し得るという点で、本出願人により開示された酸素掃去性共重付加ポリマー類はChingらの開示内容とは容易に区別することができる。
【0017】
本発明の別の態様では、本出願人は、組成物を含む広範に使用される容器に能動的酸素掃去能を与える方法を開示する。酸性食品または飲料を腐蝕性付着及びイオン性金属による汚染から保護するために、金属(鉄またはアルミニウム)缶の内部に非常に薄いプラスチックのコーティングを施すことは包装業界では通常実施されていることである。ビールまたはソーダポップなどの缶入り炭酸飲料では事態は重大で、溶解した二酸化炭素により非常に酸性で腐蝕状態となる。腐蝕を防ぐことに加えて、缶コーティングの別の望ましい特性とは、容器充填時に不注意にも酸素が導入されたパッケージキャビティから不都合な酸素を除去する能力である。缶金属は本質的に外部酸素の透過に対して完全に受動的酸素バリヤであるため、缶コーティングでは、外部からパッケージキャビティに入ってしまう酸素については殆ど考えない。缶ビール包装に関しては、現行の技術では約200PPBもの低い酸素レベルでシールした缶にビールを入れることができる。ビールを滅菌することにより、缶に残ったままで反応して、金属缶中で貯蔵されたビールの品質を低下させる酸素レベルをさらに100PPB程度に減少させることができる。ビールの味は痕跡量の酸素との反応に大きく依存する。ビール缶の中の充填空積酸素量をさらに減少させれば、缶に包装されたビールのより長期の保存寿命及びまたはより良い味のビールのための手段を提供することができるので、缶コーティング用プラスチックに能動的酸素掃去剤は必要である。
【0018】
最も一般的に使用される缶コーティングの幾つかは、約200℃で約2分間の短時間の硬化(キュアリング)前に水系組成物(water borne composition)として未充填金属カップ(即ち、その上に設置される上端部部分を今だ有していない缶)に噴霧するエポキシ−アミン−アクリレート(EAA)コーティングである。その後、同様にコーティングし硬化させた缶上端部を適用してパッケージを完成させる。全ての場合において、水系スプレーの硬化は、ラッカー由来の有機溶媒の蒸発よりもずっと環境に優しい。食品、飲料及び食料品に使用するための缶のコーティングに関しては、有機溶媒スプレー(ラッカー)に対して水系コーティングで操作する方が都合が良いということが言える。本出願人は、上記式I及びIIの種を水ベースの缶コーティングエマルションに含ませ、それから形成した缶ライニングに酸素掃去能を加える方法を開示する。1997年9月12日に公開されたPCT特許出願(Banslebenら)で国際公開WO第97/32925号は、能動的酸素掃去性缶コーティングを開示する。しかしながらBanslebenらは、缶及び他の硬質容器上のコーティングとして使用し得る酸素掃去性「ラッカー」の使用についてのみ開示する。他にも大きな違いがあるが、本出願人の缶コーティングは、ラッカーと対照的に水ベースのエマルションから形成し、水系スプレーとして缶に適用するという点で、Banslebenらの発明とは容易に区別することができる。
発明の詳細な説明
酸素掃去性容器コーティングの態様
本態様は、酸素掃去剤を包含させても水ベースのエマルションの粘度/レオロジー特性を損なわないように缶コーティングに固体酸素掃去性ポリマー物質を如何に組み入れるかという問題を解決するものである。スプレーが缶コーティングを形成するために最終的には蒸発させなければならない有機溶媒ベースのラッカーの形態である非水性代替物よりも、水系スプレーまたはエマルションによってプラスチック缶コーティングを適用する方が一般的により環境に優しい。食料品を含む缶コーティングに関してはこのことはもっと重要である。
【0019】
缶コーティング用の水ベースのスプレーとして適用するエポキシ−アミン−アクリレート(EAA)配合物は既に広く商業利用されている。毎年、莫大な数の容器がかかる配合物によってコーティングされている。かかるコーティング配合物の典型例としては、エマルション中に約18%固体を通常含有するICI/Glidden(EAA)水性エマルションがある。本出願人は、酸素掃去特性は、式I及びIIで既に示した種類を少量、直接含めることによってかかるコーティングに酸素掃去特性を付加できることを知見した。OSMがポリブタジエンオリゴマーまたはポリプロピレンオキシドオリゴマーであるとき、式I及びIIの種類が缶コーティングに好ましい。高い酸素掃去能及び商業的利用性により、ジヒドロキシ末端化ポリブタジエンオリゴマーが特に好ましい。
【0020】
全ての場合において、本発明の目的は、変性組成物が未変性組成物と同様の特性を保持したままであるように、必要最小量だけのOSMを使用することである。本態様では少量のOSMを使用するだけで、OSM未添加のEAAと可能な限り同等の変性EAAを製造することができる。缶コーティング製造工程で使用するのと同様の装置を用いてスプレー実験を実施することにより、本出願人は、官能基で末端化したOSMを(分散液中の固体重量に関し)約1〜約5重量%の範囲で含む反応性EAA分散液は未変性EAAと物理的特性が今だ本質的に同一であることを明らかにした。OSMと酸素との反応用触媒として機能する(エマルション中の固体重量に対して金属として計算して)約10〜500PPMの範囲の遷移金属をEAA混合物に添加しても、水系エマルションのスプレー及び/または硬化特性に悪影響を与えなかった。好ましい遷移金属触媒はコバルトであり、特にコバルトカルボキシレートの形態でコバルトを添加するのが好ましく、コバルトオクトエート由来のコバルトが最も好ましい。OSMによる酸素捕捉速度をさらに促進するために、組成物がさらに(エマルション中の固体重量に関し)約50〜500PPMのベンゾフェノン(BNZ)を含む別のスプレー試験を実施した。さらに、(1)官能基化OSMと遷移金属、または(2)官能基化OSM、遷移金属、及びBNZを含むEAA組成物は、上記引用範囲で使用したときに未変性EAAとほぼ同様の方法で缶ライニングでスプレー及び硬化することが知見された。
【0021】
本出願人はさらに、OSM、遷移金属、及びBNZを直接且つ独立してEAAエマルションに添加することができること、またはOSM、遷移金属、及びBNZを一緒に混合し、次いでEAAエマルションに添加できることも明らかにした。配合物を製造する本出願人の好ましい方法は、EAAエマルションとの混合前に、少なくともOSMと遷移金属触媒とを混合することを含んでいた。組成物の成分の混合または添加順序に関係なく、スプレー前に最終組成物の劣化(ゲル化/増粘化)を防ぐために、窒素ブランケット下などの不活性環境下で配合組成物を貯蔵しなければならない。窒素下で貯蔵した場合でも、最高の結果を得るためには変性エマルションは配合72時間以内に適用しなければならない。関連出願で検討したように、約1000〜3000の範囲内のOSM分子量が良い結果をもたらすので好ましい。本発明の組成物で使用したOSMの(酸素との反応後の)分解生成物は詳細には知られていないが、毒性であると考えられるような理由は全くない。しかしながら本出願人は、缶コーティングを形成するためにEAAエマルションの2種類の薄いコーティングを使用することによって本発明を実施するが良いと考える。酸素掃去性添加剤(OSM、遷移金属、及びBNZ)を含有するEAAエマルションの第1のコーティングは、通常、缶の金属(通常鉄またはアルミニウム)の上に直接噴霧し、少なくとも部分的に硬化させる。次いで未変性EAAエマルションの第2のコーティングを適用し、硬化させる。関連する場合と同様に、かかるコーティング構築物により未変性EAAだけが缶キャビティ及び/または缶内容物と接触することになる。このような構造体では、充填空積酸素はEAAの第2の(より内部の)コーティングを透過してからOSMに到達し、反応しなければならない。しかし全ての反応生成物はEAAの内部コーティングにより缶キャビティ及びその内容物から隔離される。逆に、缶キャビティの内容物は変性EAAコーティングから隔離されていることになる。
【0022】
12オンス(355ml)ビールの使用条件を再考することによって、さらに必要な検討が幾つか理解し易くなるだろう。カップ(即ち、ビール缶蓋のないビール缶)の形態でEAAエマルションで商業的にスプレーすると、そのようなビール缶は最終的には、通常約0.1gの重量を有する硬化コーティングがつく。缶蓋は追加の層で酸素掃去性変性EAAまたは未変性EAAでライニングされていてもよい。本出願の実施例セクションでは、約2.7重量%のOSM、200PPMの遷移金属、及び200PPMのBNZをさらに含む硬化した酸素掃去性EAAライニング配合物は、室温及び圧力で約70日間で、1グラム当たり酸素5.0ccよりも多く消滅させることが示される。理論的には、缶カップライニングに存在する材料0.1gは70日間で酸素約0.5ccを消滅させることができよう。主な米国ビール製造業者は、95%を超えるビールがボトル詰め/缶詰め60日以内に消費者の手に渡ると予測しており、70日間の包装寿命があれば殆どの缶ビールが輸送できるだろう。既に記載したように、現行のビール包装技術では、滅菌後に缶ビール内に残存する100PPB程度の少量の酸素と共にビール缶に充填してしまう。これにより、充填時、酸素100PPBを有する12オンスビール缶は室温及び圧力で酸素約0.025ccを含有すると計算できる。かくしてこの仮説では、理論的に20倍過剰の利用可能な酸素掃去能が存在する。約5重量%のOSMを含むEAAを使用すると、この値から40倍過剰まで上昇するだろうが、缶が2層でライニングされ、その各層が単層によりライニングされた缶の厚さのほんの半分であれば、20倍過剰まで減少するだろう。OSMを有するEAA層に酸素が到達する前に缶キャビティを画定する内部EAA層を充填空積酸素が通過しなければならないことを考慮すれば、理論的に20倍過剰の酸素掃去能は妥当である。
【0023】
缶コーティングに関して多くを開示してきたが、当業者は多くの容器構造が開示された酸素掃去性組成物及びその使用法に有益であることを理解するだろう。本発明の特徴を缶以外の容器に適用することは、本出願人の意図するところであり、本発明の範囲内であるとみなされる。例えば、PPG Industriesはポリエステル(PET)用の内部ライニングを形成するために水系スプレーとして適用した一連の水ベースのEAAエマルション及び、商品名BAIROCCADE(登録商標)の元で販売されている他のプラスチック容器を製造する。缶ライニングに関して上記開示されているのと殆ど同一割合でOSM、遷移金属、及びBNZを包含させるためにPPG配合物を変性させると、プラスチック容器用の酸素掃去性ライニングが得られる。プラスチックボトルは、ボトルのプラスチック壁の中に溶存またはその上に吸着した有害量の酸素を含むことが多い。かかるボトルに能動的酸素掃去性ライニングを適用すると、そのように溶存した酸素または吸着した酸素を取り除く目的にかなう。缶ライニングと同様に、変性層、それからパッケージキャビティ表面を形成する内部未変性層を適用するのが好ましい態様である。
酸素掃去性部分としてのポリプロピレンオキシドオリゴマー
初期及び関連出願では、ポリオレフィンオリゴマー類からなる酸素掃去性部分(oxygen scavenging moiety:OSM)セグメントを有する共重縮合物(例えば、コポリエステル類及びコポリアミド類)が開示された。使用するポリオレフィンオリゴマー類は特にポリプロピレン、ポリ(4−メチル)1−ペンテン及びポリブタジエンからなるリストから選択された。これらのポリオレフィンオリゴマー類は、重縮合またはエステル交換反応に関与し得る官能性末端基(通常、二官能性)がつけられ、続いて共重縮合物中の(重量ベースの)少ないパーセンテージのセグメントとして配合される。典型的な使用重量範囲としては、約0.5〜約12重量%のポリオレフィンオリゴマーセグメントを含む共重縮合物がある。この種のコポリエステル種は、特に(1)未変性ポリエステルの層に隣接する層として使用し、(2)酸素捕捉用の触媒として添加した遷移金属の存在下で使用し(即ち、たとえあったとしてもポリマー形成由来の残存触媒の他に遷移金属触媒を加える)、(3)約2.5×4.0延伸の二軸配向にかけ、(4)反応性押出機中でエステル交換により製造し、次いで(5)コポリエステルに関して最適分子量を得るために連鎖延長剤として形成時にピロメリット酸二無水物を添加すると、高い酸素掃去能を持ち、約0℃〜約60℃の範囲の周囲温度で固体として存在し、優れた透明性を持つことが知見された。
【0024】
本出願人は、先に概説したようにポリオレフィンオリゴマーに関して既に開示したのと同様の方法でOSMとしてポリプロピレンオキシドオリゴマーを使用することについて開示する。勿論、ポリプロピレンオキシドオリゴマーは、重縮合及び/またはエステル交換に慣用し得る基で最初に末端官能基化しなければならない。上記式I及びIIは、かかる末端官能基化した種類の幾つかの追加例を示し、如何にしてかかる種類のものを重縮合及び/またはエステル交換に関与させるかを明らかにする。式I及びIIにおいて、OSMは、通常約100〜約10,000、好ましくは1,000〜3,000の範囲の低い分子量(MW)を有する二価のポリプロピレンオキシドオリゴマーを表す。より低いMWのポリプロピレンオキシドオリゴマーを使用すると、酸素掃去性共重縮合物の中にくまなく均一にポリプロピレンオキシドオリゴマーセグメントを確実に分散させ易くなる。低分子量ポリオレフィンオリゴマーにより透明性が重要な用途での透明性を改善できることも知見された。
【0025】
式I及びIIはポリプロピレンオキシドオリゴマーで二官能性を示しているが、該ポリプロピレンオキシドオリゴマーは一官能性であっても、2を超える程度の官能性であってもよい。ヒドロキシ及びアミノ官能基が反応する例として式I及びIIに示されているが、当業者はカルボキシ、エポキシ、アルコキシなどを含む多くの他の選択が可能であることを理解できよう。ポリプロピレンオキシドオリゴマーの官能基化は本質的に本発明を構成しないが、かかる末端官能基化種は当業者に公知であり市販されている。本発明の共重縮合物は、式IまたはIIの種のモル等量を、未変性重縮合物を製造するのに通常使用する同様の末端官能基を有するモノマーの同一モル量と置き換えることにより必要な掃去能の程度に直接(連続及び/またはバッチ)法により製造することができる。
【0026】
本出願人は、メチルペンダント芳香族化合物として広く設計され得る別種の酸素掃去性部分の使用についても開示する。本出願人の観察から、芳香族核に結合した−CH−基は商業的に許容可能な酸素掃去能を有することが指摘される。本発明に関しては、メチルペンダント芳香族物質とは芳香族であり、該芳香族核についた少なくとも1つのメチル基を有する化学化合物と定義される。メチルペンダント芳香族物質の例としては、トルエン、キシレン類、トリ−メチルベンゼン類、モノ、ジ、トリ−等のメチルナフタレンなどが挙げられる。かかる化合物の必要条件とは、分子の芳香族部分を介したとしても、その結合部分に関係なく1個または数個のメチル炭素原子への結合によって共重縮合物に結合していることである。二重官能基化し、上記式Iの種と密着した後のかかるメチルペンダント芳香族物質の例としては、ジヒドロキシメチルベンゼン類及びジヒドロキシメチルナフタレン類が挙げられる。これらの化合物は、たった1個で官能基化されているか、2個以上のペンダントメチル基が利用可能であれば2個以上に官能基化されていてもよい。同様に上記ジアミノ部分は式IIの条件を満足する。未変性重縮合物中に全く存在しなければ、OSMとしてポリプロピレンオキシドオリゴマー又はメチルペンダント芳香族化合物を使用すると、オレフィン性不飽和を持たない共重縮合物が形成することが重要である。
【0027】
本出願人は反応性押出機中でのエステル交換により共重縮合物を製造するのが好ましいと考える。これにより、反応性押出機中で未変性重縮合物を融解し、同時にポリプロピレンオキシドオリゴマーなどの所望の重量%の官能基化OSMを溶融物中に導入することができる。好適な条件下ではエステル交換が起き、例えば、ポリプロピレンオキシドオリゴマーセグメントと重縮合セグメントとを有するブロック共重縮合物が形成する。通常、真空下、場合により遷移金属エステル交換触媒の存在下でエステル交換を実施する。コバルトが好ましい触媒であり、コバルトカルボキシレートの形態でコバルトを用いるのが特に好ましく、コバルトオクトエートが最も好ましい触媒である。使用する場合には、触媒は、押出機中の混合物の約10〜300PPMの範囲で使用する。
【0028】
所定の酸素掃去能に合う必要な所定量のポリプロピレンオキシドオリゴマー又は他のOSMセグメントだけを共重縮合物中に導入する。全ての場合において、共重縮合物は主に(セグメントの50重量%を超える)重縮合物セグメントから構成される。しかしながら、未変性重縮合物、特にそれが誘導される重縮合物とできるかぎり同様の特性を有する酸素透過性共重縮合物を製造するのが好ましい。それ故、所定量のポリプロピレンオキシドオリゴマーまたは他のOSMセグメントは、通常、共重縮合物の約0.5〜約12重量%の範囲であり、好ましくは共重縮合物の約2〜約8重量%の範囲、最も好ましくは共重縮合物の約2〜約6重量%の範囲である。
【0029】
反応性押出機中のエステル交換により形成した共重縮合物は、固体状態(そのガラス転移温度T(g)より下)で、水または水分の非存在下または存在下で、酸素を掃去することができる。約0℃〜約60℃の周囲温度での充填、貯蔵及び貯蔵温度で固体である共重縮合物を形成するのが好ましい。60℃を超えるT(g)を有する共重縮合物を形成するために反応性押出機に連鎖延長剤を添加しなければならないことが多い。連鎖延長剤は、通常、押出機中の混合物重量に対して約10〜5,000PPMの範囲で使用する。揮発性物質により幾分か少量の重量減があるが、連鎖延長剤が押出機中に配合するのとほぼ同量で得られたコポリマー中に存在するのは特記すべきである。芳香族無水物は好ましい連鎖延長剤であり、ピロメリット酸二無水物は特に好ましい。
【0030】
多くの異なる種類の酸素掃去性共重縮合物を包装用品に形成し、使用することは、本発明者の意図するところである。ポリプロピレンオキシドグリコールオリゴマー及び他のOSMセグメントに添加し得る重縮合物の非−限定的なリストとしては、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリスルホン類、ポリオール類、ポリエーテル類、ポリケトン類などが挙げられる。共重縮合物を形成するための押出機における反応条件は、共重縮合物供給材料の性質に依存して変動する。押出機の温度プロフィールはある程度、重縮合物供給材料の融解温度に関連する。例えば、コポリエステル類の形成には約250℃〜約280℃の温度範囲を使用するが、コポリアミド類には約280℃〜300℃の温度範囲を使用する。押出機の滞留時間は通常、約2〜5分の範囲である。当業者は、重縮合物供給材料の特性に適応させるために押出機反応条件を調節し最適化する必要があることが理解するだろう。通常、押出機反応は、揮発性成分を除去するために真空下で実施する。形成した共重縮合物をペレットとして押出すか、スロットダイを通してフィルムに形成する。いずれの場合でも、包装用品を製造するのに必要になるまで共重縮合物を不活性環境下(例えば、窒素ブランケット下)で気密且つ防湿性容器中にシールしておく。
【0031】
一態様では、本発明の酸素掃去性共重縮合物を、同一重縮合物、特に共重縮合物中の重縮合物セグメントが誘導される重縮合物の未変性層に隣接する層として使用する。そのような包装用構造体では、隣接層は殆ど同一の物理的特性を有するので、未変性重縮合物の代わりに包装用装置で操作するときに操作し易い。また、隣接層は粘着性でモノリシック構造体のように見える。包装業界でポリエステル類及びポリアミド類が広く使用されるので、上記態様で使用するために酸素掃去性コポリエステル類及びコポリアミド類が共重縮合物として選択される。
【0032】
パッケージ壁、ボトル壁またはフィルム構造体の特に好ましいタイプは、図1に示されているような3層構造の態様を含む。ボトルまたはパッケージ壁24の外部は未変性包装用重縮合物の厚い層26により形成され、包装した材料またはパッケージキャビティと接触しないので全体または一部がリサイクル材料から構成されていてもよい。パッケージキャビティを画定するボトルまたはパッケージ壁22の内部は、未変性包装用重縮合物の薄層28から形成される。中間層30は本発明の酸素掃去性共重縮合物、即ち、例えば、ポリプロピレンオキシドオリゴマーセグメントを有するものから構成される。図1の態様は特別の延伸装置が必要だろうが、以下の理由:(1)空気由来の酸素に対して優れた受動的バリヤとして機能する暴露された重縮合物の比較的厚い層を備えた構造体を製造する、(2)包装した材料と接触する内部層も重縮合物、通常、消耗品を包装するための許容性及び長い使用履歴を有する重縮合物である、(3)少なくとも相当の受動的バリヤ特性を有する未変性重縮合物の2層の間に本発明の共重縮合物を設置すると、空気または酸素と酸素掃去性コポリマー類とを直接接触しないようにし、未変性重縮合物の層を通過する酸素だけにその酸素掃去能が適用される、及び(4)接着剤の結合層を使用する必要なく同時押出する際に互いに接着するという類似点を持つように共重縮合物及び未変性重縮合物を選択することができること;に関しても好ましい。
【0033】
上記の好ましい3層の態様は、未変性重縮合物の2層と共重縮合物の1層とを同時押出することにより最も容易に達成することができる。コポリマーは未変性ポリマーと化学的に類似しているので、3層は互いに均一に接着し、冷却時にモノリシック構造を形成する。結合層は必要ない。しかしながら、リサイクルが重要でない本発明の製品の製造では、接着性を改善し、バリヤ特性を改善し、コストを削減するために追加の(できる限り多様の)層を組み入れることができる。溶液コーティングまたは別個の層との熱融合などによる同時押出以外の方法によって好ましい3層構造の態様を得ることも可能である。同時押出以外の任意の方法には、(1)空気または酸素に酸素掃去性コポリマーを不都合及び/またはうっかり暴露することによって掃去能力を減少させてしまうこと;及び(2)追加の加工段階が必要;という欠点がある。ボトル類の製造に関しては、接着剤によって3層を結合すると、該接着剤が共重縮合物/重縮合物をベースとしていない限り、リサイクル性という目的に反してしまう。フィルム及びラップの製造に関しては、リサイクル性はボトルほど重要な要件ではない。実際、フィルムに関しては、本発明の開示のコポリマーの層と、例えば、ポリエチレンビニルアルコール層及びポリオレフィン層などの他の多様な材料の層とを組み合わせて使用するのが好ましい。これらのコポリマーの直接同時押出が最も好ましいが、他の選択も利用可能である。例えば、フィルムまたはボトル製造に関してコポリマー類を他の重縮合物と一緒に濃縮物としてブレンドしたり、例えば、電気要素を包装する際の多層構造体の内部ライナーまたは層として使用することができる。
【0034】
一般的な一態様において、本発明は、包装用材料の少なくとも1層と、主に重縮合物セグメントと能動的酸素掃去量のOSMセグメント(例えば、ポリプロピレンオキシドオリゴマーセグメント)とを含む能動的酸素掃去性共重縮合物の少なくとも1層とを含む積層組成物を開示する。上記で使用したコポリマーは少なくとも50重量%が重縮合物セグメントである。通常、OSMセグメントは、共重縮合物の約0.5〜約12重量%、好ましくは約2.0〜約8.0重量%、最も好ましくはコポリマーの約2.0〜約6.0重量%を構成する。包装用材料の層は、通常、熱可塑性樹脂の包装用材料であり、通常、USA21 CFR セクション177.1010−177.2910(1997年4月改正)に列記されている食品で使用するのに安全であるとみなされている熱可塑性樹脂材料のリストから選択される1種である。しかしながら、本発明の共重縮合物は、缶またはガラスジャー及び/またはボトルの内部コーティングの形態で充填空積酸素を消費するために能動的酸素掃去剤として使用することができる。これらの用途において、包装用材料の層は金属またはガラスを含む。包装用材料の好ましい層は重縮合物を含み、コポリマー中の重縮合セグメントが誘導される重縮合物が特に好ましい。
【0035】
しかしながら、本発明の酸素掃去性共重縮合物の著しく好都合な点は、周囲温度で固体として存在し、その潜在能力(potential)に関係なくフィルムまたは層に製造することができ、包装用材料の多層壁中の(単数または複数種類の)層として有望であるということである。故に、主に重縮合物セグメントと酸素掃去量のOSMセグメント(例えば、ポリプロピレンオキシドオリゴマーセグメント)とを有する本発明の共重縮合物は、壁内の他の層の性質に関係なく包装用品の多層壁中の層として包装用品内で使用することができる。かくして、壁内の(単数または複数種類の)層は、熱可塑性樹脂、ガラス、缶金属(鉄またはアルミニウム)、ボール紙等を含む任意の包装用材料であってもよい。本発明の共重縮合物と一緒に層として使用する熱可塑性包装用材料は、通常、1997年4月改正のUSA21 CFRセクション177.1010−177.2910に列記されているものである。特に好ましい熱可塑性樹脂は、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリオレフィン類、及びポリエチレンビニルアルコールである。
【0036】
共重縮合物の酸素掃去性を最適化するためには、共重縮合物による酸素の捕捉を促進させるために触媒がしばしば添加される。使用する触媒は遷移金属であり、包装用品の製造段階でコポリマーに通常添加する。遷移金属はコポリマーの重量に関して約10〜2,000PPMの範囲で添加し、直接重縮合またはエステル交換から共重縮合物を製造するのに使用する(たとえあったとしても)残りの残存触媒に加えて添加する。本出願人により完全に理解されていないが、特定の範囲で遷移金属触媒を添加すると、特に、二軸配向後に重縮合物の透明性も改善されるようである。好ましい遷移金属触媒はコバルトである。コバルトカルボキシレートの形態でコバルトを添加するのが特に好ましく、コバルトオクトエートの形態でコバルトを添加するのが最も好ましい。
【0037】
本出願人は、光−活性物質(例えば、ベンゾフェノン:BNZ)を使用すると、本発明の共重縮合物による酸素捕捉をさらに促進できることも開示した。遷移金属触媒に関しては、通常、共重縮合物の重量に関して約10〜500PPMの範囲の量で包装用材料の製造段階でBNZをコポリマーに添加する。
【0038】
特定の包装用途では、本発明の共重縮合物の透明性及び本発明の共重縮合物の層を含むパッケージ壁の透明性は重要なポイントである。本発明の共重縮合物の二軸配向により、延伸によって層の厚さが単に減少すると予想された以上に透明性が改善することを本出願人は知見した。共重縮合物の二軸配向は、通常、コポリマーをプラスチックボトル及びパッケージの製造業界で典型的な2.5×4.0延伸にかけることによって通常実施する。酸素掃去性共重縮合物を最初に二軸配向させ、次いで包装用品中に組み入れるか、多層パッケージ壁を含む(単数または複数種類の)他の層と同時に二軸配向を実施することができる。
酸素掃去性付加型コポリマー類
上記及び関連出願で開示された酸素掃去性共重縮合ポリマー類は、変性縮合ポリマー(即ち、OSMを有する酸素掃去性共重縮合物)を、未変性の同様の縮合ポリマー、特に共重縮合物中の重縮合セグメントが誘導される重縮合物の層に隣接する包装用品壁中の層として使用する。1929年、カローザス(W.H. Carothers, J. Am. Chem. Soc. 51, 2548 (1929))は、大まかに2種類のポリマーの間での有用な差別化を提案した。カローザスが分類した種類の一つは、ポリマー中の単数または複数種類の構造(繰り返し)単位の分子式が、それから形成されるか、化学的手段によって分解することができる単数または複数種類のモノマー中に存在する特定の原子を欠く、縮合ポリマー類であった。カローザスが分類したもう一つの種類は、ポリマー中の単数または複数種類の構造(繰り返し)単位の分子式が、ポリマーが誘導されるモノマーの分子式と同一である付加ポリマー類であった。付加型ポリマー類(例えば、ポリオレフィン類)をベースとする包装用品は、包装業界で相変わらず重要である。そのようなパッケージングの例としては、通常、冷蔵用プラスチックミルク及びジュースボトルが挙げられる。既に開示の如く、付加型ポリマー類をベースとするパッケージの壁の中に層として酸素掃去性重縮合物を使用するのは実行可能であるが、パッケージの壁の中の隣接層の特性が非常に似た最適構造体を得る機会はもたらされない。この問題を解決するために、本出願人は、主に(50重量%を超える)重付加セグメントと酸素掃去量のOSMセグメントとを含む酸素掃去性コポリマー類を開示する。典型的な使用範囲は、コポリマーの約0.5〜約12重量%の範囲のOSMセグメントから構成される共重付加ポリマー類を含む。OSMセグメントの好ましい範囲はコポリマーの約2〜8重量%であり、コポリマーの約2〜6重量%が特に好ましい。使用しようとするOSMとしては、ポリオレフィンオリゴマー類、例えば、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル)1−ペンテン及びポリブタジエン;ポリプロピレンオキシドオリゴマー、及びメチルペンダント芳香族化合物がある。好ましいOSMはポリブタジエンオリゴマー及びポリプロピレンオキシドオリゴマーである。
【0039】
酸素掃去性共縮合物の場合と同様に、本発明の酸素掃去性共重付加ポリマー類はエステル交換により製造するのが好ましい。これを実施するためには、(1)OSMは縮合/エステル交換反応に関与し得る末端官能基(式I及びIIにより表されるようなもの)を持たなければならず、及び(2)酸素掃去性コポリマーに転換すべき未変性付加ポリマー上に反応部位(例えば、酸部位、無水物部位、エーテル部位、ヒドロキシ部位、エステル部位など)がなければならない。多くの付加ポリマー類がそのような利用可能な反応部位を有し、その例としてはモノマー類(例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル類、ビニルアルコール類など)から構成される付加ポリマー類が挙げられる。そのセグメントがイオノマーポリオレフィン類(例えば、du Pont製Surlyn(登録商標)樹脂シリーズ)から主に誘導される酸素掃去性コポリマー類も想定される。好適なエステル交換反応部位を持たない付加ポリマー類に関しては、付加ポリマーに好適な反応部位を付加する互換剤(compatibilization agent)でポリマーを最初に処理しなければならない。反応部位を付加するための好ましい種類の反応体としては、不飽和酸、その無水物または上記の置換誘導体がある。無水マレイン酸(またはその誘導体)が特に好ましく、そのようなプロセスはマレエート化として当業者には公知である。付加ポリマー上のかかる部位の利用性は本発明の酸素掃去性共重付加ポリマー類を製造するのに必要であるが、かかる部位を有する未変性付加ポリマー類は当業者に公知であり、本質的に本発明の一部を形成しない。
【0040】
上記の反応部位を有する付加ポリマー類はエステル交換型の反応に関して縮合ポリマー類と似た化学的挙動を示し、例えば、上記式I及びIIにより表されたものなどの縮合/エステル交換反応に関与し得る基で末端官能基化したOSMと反応する。本出願及び関連出願で既に開示された酸素掃去性共重縮合物の製造で実施したように、押出反応器でエステル交換を実施する。既に記載の如く、当業者は、未変性付加ポリマー供給材料の要求に合わせるために押出反応器の温度プロフィールを調整する必要性があることを理解しているだろう。また、反応温度の選択において考慮すべき大きな点は、押出反応器でコポリマーに製造するポリマー供給材料の融点である。意外にも、他の反応変数の多くは、共重縮合物の製造に関して使用するのと同様の範囲内に保持される。これらの同様のコポリマー合成パラメーターとしては、(1)同一種及びMWである官能基で末端停止したOSMとの反応、(2)反応器滞留時間、(3)真空下での反応、(4)共重縮合物に関して予め特定した範囲及び種類の遷移金属エステル交換触媒の使用、(5)コポリマーの好ましい分子量を得るための連鎖延長剤の使用、(4)コポリマーのペレットまたはフィルムへの押出し、及び(6)窒素下でシールした容器でのコポリマーペレットまたはフィルムの貯蔵が挙げられる。
【0041】
酸素掃去性付加型コポリマー類の使用法は、酸素掃去性共重縮合物に関して開示されたものと同様である。酸素掃去性付加コポリマー類は、通常、多層パッケージ壁の壁内に少なくとも1層を含むように使用される。一連の態様では、酸素掃去性コポリマー類は、多層パッケージの(単数または複数種類の)層が他の包装用材料(例えば、ガラス、缶金属、例えば、アルミニウム若しくは鉄、ボール紙、熱可塑性樹脂、特に1997年4月改正のUSA21 CFRセクション177.1010−177.2910に列記されたもの)または他の好適な包装用材料から構成される構造体中で使用される。そのような構造体に関しては、多層パッケージ壁中の他の(単数または複数種類の)層中に存在する好ましい包装用材料は付加ポリマー類であり、酸素掃去剤コポリマー中の付加ポリマーセグメントが誘導される付加ポリマーが特に好ましい。遷移金属触媒及び光−活性物質(BNZ)は、場合により、酸素掃去性共重縮合物に関して開示したのと同様の方法及び量で添加することができる。酸素掃去性付加コポリマー類は場合により、酸素掃去性共重縮合物に関して既に開示されたのと同様の方法及び量で二軸配向にかけることができる。
実施例
実施例1〜2
実施例1及び2は、酸素掃去性付加型コポリマー類の製造法及びそれらの酸素掃去能を示す。
ブロック付加コポリマー形成
本発明の酸素掃去性付加コポリマー類はWerner and Pfleiderer ZSK−30押出機中、パイロットスケールで製造することができる。実施例2及び実施例1(対照)は、45:1の長さ対スクリュー径の互いに噛み合うスクリューを備えたWerner and Pfleiderer ZSK−30同時回転二軸押出機で加工した。KTRON減量ペレットフィーダーを使用して第1の押出機セクションにペレット供給材料を計量した。これらの実施例で使用する未変性供給材料ペレットはdu Pont製商品名Nucrel(登録商標)のもとに市販されているエチレンメタクリル酸(EMA)ポリマーであった。MW1230のポリブタジエン(PBD)オリゴマージオール(Elf Atochem製R20LM)は粘稠性液体であり、Ruskaピストンスタイルポンプを使用して別に運んだ。ポリマーペレットが完全に融解して流動した点でEMAペレット供給材料の15倍(diameters)下流でスクリュー上に直接ジオールを注入した。コポリマー製造用のギアポンプを介して溶解流を加工する前に、押出機の側部に少なくとも30インチの真空を適用した。コポリマー生成物をEDI 6インチダイを通して2ロール冷却スタック上に押出し、次いで一定の張力の巻き取り機上にフィルムとして取り出した。取り出し後、フィルムをヒートシール可能なホイルバッグに入れ、窒素パージし、次いでシールした。押出反応器条件は、以下の表1に示す通りであった。
【0042】
【表1】
Figure 0003541938
【0043】
ブロック付加コポリマー類の酸素捕捉
10gのフィルムサンプルを使用して酸素捕捉を試験した。室温の通常の空気を含む500ccサンプルジャー内にサンプルを入れ、シールし、次いで試験期間を通じて60℃を保持した。遷移金属触媒も光−活性化合物もサンプルには添加しなかった。充填空積ガス(空気)中に存在する百分率として、各サンプルジャーでセプタムを通して28日間にわたり定期的に酸素量をサンプリングした。試験期間の28日にわたって定期的間隔でガスアリコート3ccを取り出すことにより、存在する酸素をMocon HS750酸素アナライザーでモニターした。これらのサンプルからのデータを図2にグラフで表す。遷移金属触媒が存在しないこともあって、意外にも実施例1のEMAポリマー対照による酸素捕捉は殆どなかった。約5日間の誘導期間後、PBDオリゴマーセグメント4重量%を有するコポリマーサンプルは急激な酸素捕捉を示し、約14日間まででジャー内の酸素を殆ど全て消費した。コポリマーサンプルジャーは酸素約102cc(490ccの20.9%)から始めたので、4重量%のPBDコポリマーの能力はたった14日後で10cc/コポリマー1gであることが解る。14日後にサンプルジャーの中には掃去すべき酸素は本質的に残存していなかったため、28日後の実際の掃去能は実施例2からは計算することができなかった。
実施例3〜6
実施例3〜6は酸素掃去性EAA容器コーティングの製造法及びその酸素掃去能を示す。ガラスジャー内に、その組成が表2に示されているICI/Glidden’s Water Reducible Spray Liner、製品表示640 C 696(固体18%)100gを入れた。この水性エマルションに、Elf Atochem R45 HTポリブタジエンジオール(PBD MW2800)0.48gを添加した。缶コーティングとして乾燥すると、乾燥コーティングは2.7重量%PBDを含んでいた。この混合物を1時間磁気撹拌し、次いでキャップし、缶ライニングを模倣(emulate)するためにゲート化ブレード(gated blade)でアルミニウムホイル上にコーティングするまでシールした。コーティングしたホイルをアルミニウムプレート上に設置し、これを227℃(440゜F)にセットしたラボラトリーホットプレート上で2分間加熱してコーティング上で2分間加熱してコーティング上にベークトオンコーティングを得た。そのようなホイル(21cm×5.5cm表面積)16枚を扇形に折り畳み、ゴムサンプリングセプタムを含む金属キャップを備えた250ccMasonジャーに入れた。加速試験を実施するために貯蔵温度60℃を選択した。この組成物及び実験を実施例3と表す。
【0044】
【表2】
Figure 0003541938
【0045】
実施例4と表した、別の同様の組成物を製造し、実験を実施した。実施例4に関しては、PBDジオール0.48gを実施例3と同様にEAAエマルション100gに添加し、同一2.7重量%PBD(缶ライナーの硬化重量またはエマルション中の固体重量100%をベースとする)を得た。また、200PPM(金属)コバルトオクトエート及び200PPMベンゾフェノン(BNZ)を別個にEAAに添加して、それから撹拌した。コバルト及びBNZ200PPMは、EAAエマルション中の固体重量に関して計算した。実施例3に関しては、全部で4.5gのコーティング(これは2.7重量%PBDであった)をこのように使用して、相対湿度0%(0RH)下60℃で貯蔵時に定期的にサンプリングすることによって酸素捕捉を測定した。
【0046】
実施例5と表した、別に同様の組成物を製造し実験を実施した。EAAエマルションに導入する前に、PBDジオール0.48g、コバルトオクトエート由来の200PPMコバルト(金属として)、200PPM BNZを良く混合した以外には、実施例5の組成物は実施例4のものと同様であった。コバルト及びBNZ200PPMは、EAAエマルション中の固体の重量に関して計算した。実施例3及び4に関しては、全部で4.5gのコーティング(これは2.7重量%PBDであった)を同様に使用して、相対湿度100%下22℃で貯蔵時に定期的にサンプリングすることによって酸素捕捉を測定した。温度22℃及び100%相対湿度は、実施例3及び4で使用した60℃及び0%相対湿度と対照的に、貯蔵時の食品缶内部の条件をよりよく真似ている。未変性EAAコーティング4.5gを製造し、実施例3〜5で使用したのと同様の方法で試験した実施例6は対照であった。
【0047】
全ての3種類の試験実験(実施例3〜5)において、窒素ブランケット下などの酸素を含まない条件下に変性EAAエマルションを維持しなければならないことが判明した。空気(酸素)が存在すると変性EAAエマルションがゲル化し、工業的設置条件で噴霧不可能になってしまうためである。窒素下では、製造3日以内で使用すれば、変性EAAエマルションは粘度上昇を示さなかった。
【0048】
ジャー内の充填空積に存在する酸素を、試験期間85日にわたり定期的間隔でガスアリコート3ccを取り出すことにより、Mocon HS750酸素アナライザーでモニターした。充填空積中に残存する酸素の百分率を計算によって、実施例3〜6のそれぞれの缶ライナー1グラム当たり掃去した酸素量に転化した。結果を図3にグラフで示した。図3から、PBD、コバルトオクトエート、及びBNZを予め混合すると、より高い酸素掃去能の缶ライナーを製造することが明らかである。本出願人は、予備混合濃縮物(実施例5)は、希釈混合物(実施例4)よりもPBDと触媒とが密接になる機会がより多く提供されるためと推測した。触媒を含まない実施例3の結果は、そうでなければ本質的に同一である配合物に対し掃去能が低いことをはっきりと示している。
酸素掃去性ブロック共重縮合物
以下の実施例は、本発明の酸素掃去性共重縮合物の合成法及び能動的酸素掃去剤として挙動する能力を示す。これらの共重縮合物は、Werner and Pfleider ZSK−30押出機中、パイロットスケールで製造することができる。材料は、45:1の長さ対スクリュー径の互いに噛み合うスクリューを備えたWerner and Pfleiderer ZSK−30同時回転二軸押出機で加工した。KTRON減量ペレットフィーダーを使用して第1の押出機セクションにペレット供給材料を計量した。1種類以上のペレット化成分をこのようにして供給する場合、少量成分は主樹脂フィーダーに連結し、全ての供給割当量を調節装置により保持した。ポリプロピレンオキシドオリゴマーを含む液体成分を加熱し撹拌した供給材料容器から供給したLewa ダイヤフラムポンプまたは、Ruskaピストンスタイルポンプのいずれかを使用して供給した。ポリマーペレットが完全に融解して流動した点でEMAペレット供給材料の15倍下流でスクリュー上にOSM及び、配合する場合には添加剤を直接注入した。コポリマー製造用のギアポンプを介して溶解流を加工する前に、押出機の側部に少なくとも30インチの真空を適用した。コポリマー生成物を(1)三穴ストランドダイを通して押出し、Sandvic冷却ベルト上で冷却し、次いでペレット化するか、または(2)EDI 6インチダイを通して2ロール冷却スタック上に押出し、次いでフィルムとして取り出す、のいずれかによって取り出した。取り出し後、コポリマー生成物をヒートシール可能なホイルバッグに入れ、窒素パージし、次いでシールした。試験のために製造した材料は、以下の表3に示す通りであった。
【0049】
HYTREL 5556、7.5MFRは、du Pont製のポリエステルエラストマーである。PET 7207はShell製のポリエチレンテレフタレートである。R20LM PBDは、Elf Atochem製の約1280のMWのポリブタジエンオリゴマージオールである。A−3000は約96重量%PETセグメント及び約4重量%PBDオリゴマーセグメントを含む酸素掃去性コポリエステルである。CAPRON 8270はAllied製ポリヘキサメチレンアジプアミドである。JEFFAMINE D2000はHuntsman製のMW約2000のジアミノ末端化ポリプロピレンオキシドオリゴマーである。P1200は、Dow製のMW約1200のジヒドロキシ末端化ポリプロピレンオキシドオリゴマーである。BENZOはベンゾフェノンである。PEBAX5533はElf Atochem製のポリアミドエラストマーである。
【0050】
【表3】
Figure 0003541938
【0051】
表3のサンプルを実施例1〜2で使用したのと同一方法によって酸素掃去能に関して試験した。表3のサンプルのそれぞれ10グラムを500mlガラスジャー内に入れ、次いで28日間にわたりジャー内の空気の酸素含量をモニターした。ジャーは、60℃及び相対湿度0%に保持した。表3の全ての共重縮合物は、特にコバルト及び/またはベンゾフェノンを添加することによって増強された、実質的な酸素掃去能を示した。図4は、表3のPETブロックコポリマーの幾つかに関して得られた酸素捕捉結果を示すグラフである。
【0052】
上記実施例は、本発明において開示した酸素掃去性組成物の多くの態様を例示するためのものである。種々の添加剤及び追加のパッケージの使用を含むこれらの組成物における変形は本発明の開示内に含まれ、且つ本発明の範囲内であることは当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、好ましい酸素掃去性ボトル壁及びフィルム構造物の断面図である。
【図2】図2は、60℃で28日後の酸素掃去性付加コポリマーの酸素捕捉(吸収:uptake)取り込みを示すグラフである。
【図3】図3は、種々の缶ライニング組成物に関する缶ライニング材料1グラム当たりで掃去した酸素量を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の数種のブロック縮合コポリマーの酸素掃去能を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 主要量のポリアミド及びポリエステルから選択される重縮合物セグメントと、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル)−1−ペンテン、ポリプロピレンオキシドオリゴマー、メチルペンダント芳香族化合物及びこれらの混合物からなる群より選択される酸素掃去性部分セグメント0.5〜12重量%と、を含み、60℃を越えるガラス転移温度を有し、0〜60℃の範囲の周囲温度で固体状態で酸素を掃去することができ、エチレン性不飽和を含まないことを特徴とする能動的酸素掃去性共重縮合物。
  2. 前記酸素掃去性部分セグメントが、ポリプロピレンオキシドオリゴマーを含む請求項1に記載の能動的酸素掃去性共重縮合物。
  3. 能動的酸素掃去性共重縮合物に対して10〜5000ppmのピロメリット酸二無水物をさらに含む請求項1又は2に記載の能動的酸素掃去性共重縮合物。
  4. 2.5×4.0延伸を含む二軸配向に供して透明性が改良されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の能動的酸素掃去性共重縮合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の能動的酸素掃去性共重縮合物と、該能動的酸素掃去性共重縮合物の重量を基準として10〜2000ppmの量で添加されており、能動的酸素掃去性共重縮合物の形成により存在し得る任意の残存遷移金属に加えてさらに添加される遷移金属触媒を含む能動的酸素掃去性組成物。
  6. 能動的酸素掃去性共重縮合物の重量を基準として10〜500ppmの範囲のベンゾフェノンをさらに含む請求項5に記載の能動的酸素掃去性組成物。
  7. 前記遷移金属触媒が、コバルトである請求項5又は6に記載の能動的酸素掃去性組成物。
  8. 前記コバルトが、コバルトオクトエート由来のものである請求項7に記載の能動的酸素掃去性組成物。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の能動的酸素掃去性共重縮合物又は請求項5〜8のいずれか1項に記載の能動的酸素掃去性組成物の層と、包装用材料の層と、を含む酸素バリヤ積層体。
  10. 前記包装用材料が熱可塑性樹脂である請求項9に記載の酸素バリヤ積層体。
  11. 前記包装用材料が重縮合物である請求項9に記載の酸素バリヤ積層体。
  12. 前記包装用材料重縮合物がポリアミド及びポリエステルからなる群より選択される請求項11に記載の酸素バリヤ積層体。
  13. パッケージ壁内に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の能動的酸素掃去性共重縮合物又は請求項5〜8のいずれか1項に記載の能動的酸素掃去性組成物の層と、包装用材料の層と、を配置した多層壁包装用品。
  14. パッケージ壁内に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の能動的酸素掃去性共重縮合物又は請求項5〜8のいずれか1項に記載の能動的酸素掃去性組成物の層と、包装用材料の層と、を配置した多層壁包装用品に酸素感受性物質を包装することを含む酸素感受性物質の有用な保存寿命を延長する方法。
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