JP3541894B2 - 温度応答型ハイドロゲル - Google Patents

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F220/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F220/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
    • C08F220/52Amides or imides
    • C08F220/54Amides, e.g. N,N-dimethylacrylamide or N-isopropylacrylamide

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、温度変化により例えば薬剤等の必要な量を、必要な場所に、必要な時だけ送達させることの可能な温度応答型ハイドロゲルに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、人間を含む動物への薬物の投与、植物や害虫への農薬の散布、化学反応などにおける触媒の供給、悪臭環境への芳香剤の放出等において、分解速度の速い薬剤、安定性の悪い薬剤、効果が発現する期間の短い薬剤等においてはその供給量や放出量の制御が難しいという問題があった。
【0003】
これに対して近年、必要な量を、必要な場所に、必要な時だけ作用する薬剤の放出制御方法、いわゆるドラッグデリバリーシステム(以下DDSという)の基礎的、実用的研究が盛んに行われる様になった。そのうち、実用化されているものとしては、乗り物酔い止め用のスコポラミン、狭心症治療用のニトログリセリンをはじめとする亜硝酸エステル系薬物、禁煙補助用ニコチン等の経皮吸収型製剤、ダイアジノンをはじめとする農薬のマイクロカプセル型製剤等があげられる。
【0004】
しかし、これらの放出制御方法は単に薬剤の徐放化を図ったものがほとんどであり、DDSの概念すべてを全うしていない。
【0005】
最近、刺激応答性ハイドロゲルを利用して、刺激が加えられた時のみ必要な場所へ必要な量の薬剤を放出する理想的な放出制御方法の実現を目指した研究が行われている。とりわけ、ポリN置換(メタ)アクリルアミドに代表される温度応答型ハイドロゲルを利用した温度応答型DDSが注目されている。
【0006】
温度応答型ハイドロゲルは、水の存在下においてある温度(以後、相転移温度という)以下では水和し、相転移温度以上では脱水和することによりコンホメーション変化を引き起こすタイプ(下限溶解温度を有するタイプ)と、相転移温度以下では脱水和し、相転移温度以上では水和することによりコンホメーション変化を引き起こすタイプ(上限溶解温度を有するタイプ)に分類することができる。このミクロの変化が、体積変化、親水−疎水性変化、光学的変化、膨潤−脱膨潤変化等の種々のマクロの変化として現れ、これらが温度変化によって誘起される(以後、温度応答性という)。この温度応答性を利用した応用研究が盛んに行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
放出制御の目的のために温度応答型ハイドロゲルを使用する場合、膨潤−脱膨潤変化あるいは親水−疎水性変化の温度応答性を利用できる。2つのタイプ(下限溶解温度を有するタイプと上限溶解温度を有するタイプ)のどちらを選択するかは使用する環境や使用する目的によって異なってくるが、放出制御性の観点からは、通常、下限臨界温度を有するタイプのほうが設計の容易さや応答性などの面で優れているため好まれて利用されている。すなわち、下限溶解温度タイプ(例えば、ポリN置換(メタ)アクリルアミド)は、相転移温度以下では物質の透過性が大きく、相転移温度以上ではハイドロゲルの表面に緻密な層がすばやく形成されるため物質の透過性が小さくなる事により放出制御が可能となる(上限溶解温度タイプでは、通常、緻密な層が形成しにくいため、通常、放出制御能が劣る)。しかし、制限される用件としては、適用したい環境によって放出させるための温度が自ずから規定されるため、その温度で放出制御できるようにハイドロゲルの相転移温度を設定しなければならない。
【0008】
そのため一般的には、温度応答性高分子から必要な相転移温度を持つものを選定したり、温度応答性を付与することのできるN置換アクリルアミド誘導体等の重合成分と他の単量体とを共重合したりすることによって必要な相転移温度を制御する方法が採られている。しかし、前者の場合は、選択肢が有限であるため相転移温度を任意に特定できないことあるいは必要な相転移温度を持つ単量体を創製しなければいけないことが問題であり、後者の場合は、共重合する単量体の種類、組成比によって任意に相転移温度は制御できるが、共重合する単量体の性質が加算されN置換(メタ)アクリルアミド系ハイドロゲル本来の温度応答性が損なわれてしまう等の問題がある。
【0009】
これらの問題点を解決するために、例えば、公知文献A.S.Hoffman ら,Journal of Controlled Release,13,21-31(1990) では、N−イソプロピリアクリルアミドと分子量28000の末端ビニル基を有するポリジメチルシロキサンとをガンマ線照射により反応させゲル化させ、相分離構造を有した温度応答速度の速い温度応答型ハイドロゲルを調製している。しかし、温度応答性はポリN−イソプロピルアクリルアミドと同等以下であり、かつガンマ線を使用するため工業的に不利である。また、公知文献T.Okano ら Polymer Journal,22,206-217(1990) では、ポリN−イソプロピルアクリルアミドのハイドロゲルとポリジメチルシロキサン残基を有するゲルとで調製された交互浸潤網目高分子構造体の温度応答型ハイドロゲルが相分離構造を形成することを報告している。しかし、温度応答性はポリN−イソプロピルアクリルアミドより劣るという問題がある。従って、本発明は、優れた温度応答性を有し、かつ相転移温度の任意な制御を可能とする、工業的に有利な温度応答型ハイドロゲルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、温度応答性高分子を水に不溶化し、これと相溶しない構造体を共有結合により一体化させた温度応答型ハイドロゲルが、相分離構造となり、優れた温度応答性を有すること、相転移温度を任意に制御可能であること、さらに、実用上、強度の高く工業的に有利な方法で温度応答型ハイドロゲルが得られることを見いだし本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、(1)温度応答性高分子を水に架橋してなる構造体部と無機高分子からなる構造体部に相溶しない微小構造体部とが共有結合により一体化してなり、相分離構造を形成することを特徴とした温度応答型ハイドロゲル、
【0012】
(2)温度応答性高分子が式(1)及び/または式(2)で示されるN置換(メタ)アクリルアミド誘導体
【0013】
【化1】
Figure 0003541894
【0014】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 及びR3 は水素原子または低級アルキル基を示し、R2 及びR3 は同一であっても異なっていても良いが少なくとも何れか一方は低級アルキル基を示す。)
【0015】
【化2】
Figure 0003541894
【0016】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、Aは(CH2 )n でnは4〜6または(CH22 O(CH22 を示す。)の一種以上からなる(共)重合体及び/またはこれらと共重合しうる他の重合性単量体からなる共重合体である上記(1)記載の温度応答型ハイドロゲル、
【0017】
(3)無機高分子からなる構造体部が分子量20000以下の有機珪素系誘導体及び/またはホスファゼン系誘導体である上記(1)または(2)記載の温度応答型ハイドロゲル。
(4)上記(1)、(2)または(3)記載の温度応答型ハイドロゲルからなる薬剤放出制御用ハイドロゲル、に関する。
【0018】
本発明の温度応答性高分子とは、相転移温度を有し、前記のような温度応答性を可逆的に発現できる高分子を指す。
【0019】
本発明の温度応答性高分子の代表的な例としては、具体的には、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリン等のN置換(メタ)アクリルアミド誘導体の重合体を挙げることができる。
【0020】
また、上記N置換(メタ)アクリルアミド誘導体以外の温度応答性高分子として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、けん化度70〜90モル%のポリビニルアルコール部分酢化物、ポリビニルメチルエーテル、(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンラウリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル誘導体、
【0021】
(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)(メタ)アクリレート類、(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)(メタ)アクリレート類等のポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体及びその重合体等を挙げることができる。
【0022】
また、上記ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体及び上記N置換(メタ)アクリルアミド誘導体は、それらの二種以上を共重合して使用することもできる。さらに、一種以上の上記ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体及び上記N置換(メタ)アクリルアミド誘導体とこれと共重合可能なその他のビニル系単量体との共重合体も使用することができる。共重合可能なビニル系単量体としては、親水性単量体及び疎水性単量体等が挙げられ、それら一種以上の単量体を使用することができる。このように共重合することにより広範囲な相転移温度を温度応答性高分子に付与することができる。
【0023】
共重合可能なビニル系単量体の具体例としては、親水性単量体では、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、各種メトキシポリエチレングリコールアクリレート、各種メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、
【0024】
アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸等の酸及びそれらの塩、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミン及びそれらの塩等を挙げることができる。
【0025】
また、疎水性単量体では、例えば、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−n−ドデシルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−n−オクチルメタクリルアミド、N−t−オクチルメタクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体、
【0026】
N,N−ジグリシジルアクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)メタクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)メタクリルアミド等のN−(ω−グリシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体、
【0027】
エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。
【0028】
なお、疎水性単量体を用いる場合、ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体及びN置換(メタ)アクリルアミド誘導体と共重合した後、必要により、共重合体中の疎水性単量体由来構造部分を加水分解して、共重合体に親水性を付与することもできる。
【0029】
前記ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体及びN置換(メタ)アクリルアミド誘導体の使用量は、重合させる全単量体中30モル%以上用いるのが好ましく、特に好ましくは50モル%以上用いるのがよい。
【0030】
重合を開始させる方法としては、放射線の照射、加熱等公知の方法を採用できるが、通常、重合開始剤を使用した方が良好な結果が得られる。重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば制限はなく、例えば、無機過酸化物、有機過酸化物もしくはそれらの過酸化物と還元剤との組合せ及びアゾ化合物などが挙げられる。
【0031】
具体的には、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過安息香酸ブチル等の過酸化物があり、それらと組み合わせる還元剤としては亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、鉄、コバルト、銅等の塩、アスコルビン酸等の有機酸、アニリンなどの有機アミン等を挙げることができる。
【0032】
アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等を挙げることができる。
【0033】
これらの重合開始剤の添加量は通常のラジカル重合で採用される範囲で充分であり、例えば、単量体に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%の範囲である。重合温度及び重合時間は、使用する開始剤の種類によって異なるが、それぞれ通常4〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、通常1〜72時間、好ましくは6〜48時間である。
【0034】
また、単量体が常温または重合温度で液体であればそのままで重合してもよいし、公知の溶媒に溶解して重合してもよい。例えば、N−アクリロイルモルホリン等の常温で液体状の単量体は、そのまま重合することができるし、常温で固体状の単量体は、水、メタノール、1,4−ジオキサン、トルエン等の溶媒に溶解させて重合することもできる。なお、全単量体に対する溶媒の使用量は、単量体の溶解度、必要とする重合体の分子量、必要とする重合体の強度等によって異なるが、通常1〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは25〜75重量%の範囲である。
【0035】
本発明において、温度応答性高分子を架橋する方法としては、以下に挙げる公知の方法が採用でき、ポリN置換(メタ)アクリルアミド誘導体のように重合して温度応答性高分子が得られるものは、重合時に架橋する方法と重合後の処理で架橋する方法があるが、最終的に得られる温度応答性高分子が架橋される方法であればいずれの方法でもよい。
【0036】
具体的には、分子中に少なくとも二個の二重結合を有する架橋性単量体と共重合する方法(第1の方法)、イオン性官能基を導入した共重合体に多価金属イオンを添加しイオン結合性複合体にする方法(第2の方法)、水酸基あるいはアミノ基を導入した共重合体にエピクロルヒドリンまたはグルタールアルデヒド等の多官能性化合物を反応させて架橋させる方法(第3の方法)、単量体濃度を大きくして急激な重合を行い自己架橋させる方法(第4の方法)、光や放射線を照射することにより架橋させる方法(第5の方法)、トリメトキシシリル基等を導入した共重合体を共重縮合反応させることにより架橋させる方法(第6の方法)等を挙げることができる。
【0037】
第1の方法で用いる架橋性単量体として、例えばN,N'−メチレンビスアクリルアミド、N,N'−ジアリルアクリルアミド、N,N'−ジアクリロイルイミド、N,N'−ジメタクリロイルイミド、トリアリルホルマール、ジアリルナフタレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、各種ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、各種ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
【0038】
1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、各種ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン等のジビニル誘導体、等の架橋性単量体等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。好ましい架橋性単量体は、アクリロイル基、メタクリロイル基及び/又はビニル基を合計で2個以上有する化合物である。
【0039】
第2の方法では、(メタ)アクリル酸やビニルスルホン酸等の陰イオン性単量体あるいは4級アンモニウム塩基等をもつ陽イオン性単量体と式(1)で示される化合物及び/または式(2)で示される化合物とを共重合させた重合体に多価陽イオン性あるいは多価陰イオン性化合物とからイオン結合複合体を形成させ架橋することができる。
【0040】
第3の方法では、アミノ基は共重合により導入でき、水酸基はヒドロキシメタクリレート等との共重合により、または酢酸ビニル等との共重合の後加水分解して導入することができる。これらアミノ基または水酸基とエピクロルヒドリンまたはグルタールアルデヒド等の多官能性化合物とを塩基性または酸性触媒存在下に反応させて架橋することができる。
【0041】
第4の方法では、式(1)で示される化合物及び/または式(2)で示される化合物またはこれらとアクリル酸塩等を高濃度で急激に重合または共重合することにより自己架橋させて架橋することができる。
【0042】
第5の方法では、式(1)で示される化合物及び/または式(2)で示される化合物またはこれら化合物と他の共重合しうる単量体を重合または共重合させた後光重合開始剤等を添加して、紫外線またはガンマ線等を照射して架橋することができ、又、重合を行う前に単量体に光重合開始剤等を添加して、紫外線又はガンマ線等を照射して架橋することができる。
【0043】
第6の方法では、式(1)で示される化合物及び/又は式(2)で示される化合物と共重合可能な3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の二重結合を有するアルコキシシリル化合物を共重合させた重合体に塩酸−アルコール混合溶液を含浸させ、共重縮合反応(ゾルゲル法)によりシロキサン結合させた架橋体を形成させ架橋することができる。
【0044】
また、架橋剤を使用する場合その使用量は、全モノマーのうち好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは0.5〜3モル%の範囲である。
【0045】
上記した方法に従って架橋された重合体を成形する方法としては、公知の方法が採用でき、特に限定されない。具体的には、単量体を溶媒で希釈せずそのまま型板に流し込んで重合させる方法、単量体を溶かし込んだ溶剤を型板に流し込んで重合させる方法、単量体あるいは単量体の溶け込んでいる溶剤をこれに不溶な成形済み物質に含浸させ重合させる方法あるいはグラフト重合させる方法等が挙げられる。
【0046】
このようにして得られるゲルを、未反応物を溶解しかつ該ゲルが膨潤可能な溶剤に一日以上含浸洗浄した後、溶剤から取り出し乾燥させて精製ゲルを得ることができる。
【0047】
なお、上記の方法は代表的な例を示したものであり、架橋された重合体を得る際、単量体を重合する方法及び前記第1の方法〜第6の方法等における重合時又は重合後に架橋する方法は、いずれも公知の方法に従って行なうことができる。
【0048】
本発明における温度応答型ハイドロゲルは、上記のような温度応答性高分子を架橋してなる構造体部(A)と、無機高分子からなる構造体部(B)が共有結合により一体化してなり相分離構造を有している。B構造体部はAと相溶しなければ良く特に制限はないが、安定性や取り扱い等の工業的有利性の点から分子量20000以下の珪素系誘導体及び/またはホスファゼン系誘導体を用いることが好ましい。
【0049】
分子量20000以下の珪素系誘導体の具体的な例としては、トリメトキシシラン、ジメチルフェニルシラン等のアルキルシラン類、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、1,5−ジメトキシヘキサメチルトリシロキサン、1,7−ジメトキシオクタメチルテトラシロキサン等のアルコキシシロキサン類、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等のクロロシラン類、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン等のクロロシロキサン類、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメチルシラン、メチルトリス(2−アミノエチル)シラン等のアミノシラン類、1,5−ジアミノヘキサメチルトリシロキサン、1,7−ジアミノオクタメチルテトラシロキサン等のアミノシロキサン類、
【0050】
ジメチルヒドロキシメチルフェニルシラン、1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン等のヒドロキシシラン類、1,3−ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン等のヒドロキシシロキサン類、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類、1,3−ビス(メルカプトプロピル)テトラメチルジシロキサン等のメルカプトシロキサン類、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類、1,3−ビス(カルボキシピロピル)テトラメチルジシロキサン等のカルボキシシロキサン類、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシシラン類、1,3−ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン等のグリシドキシシロキサン類、
【0051】
ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメトキシ)シラン、1−(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、N,N−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)メタクリルアミド、1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン、ジエトキシジビニルシラン、アリルオキシジメチルビニルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(ジメチルビニルシロキシ)ベンゼン、エイコサメチル−1,19−ジビニルデカシロキサン等のα,ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン、ジアリルジメチルシラン、テトラアリルオキシシラン等の二重結合を有する珪素系誘導体類、等の官能基を有する珪素系誘導体を挙げることが出来る。
【0052】
分子量20000以下のホスファゼン系誘導体の具体的な例としては、ヘキサブロモシクロトリホスファゼン、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、ヘキサアミノシクロトリホスファゼン、ヘキサキス(2−メタクリロキシエチル)シクロトリホスファゼン、ヘキサキス(アリルアミノ)シクロトリホスファゼン、ヘキサキス(グリシドキシプロピル)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリフェニル−1,3,5−トリフェノキシシクロトリホスファゼン、1,3,5−トリフェニル−1,3−トリフェノキシ−5−クロロシクロトリホスファゼン、ヘキサキス(γ−トリエトキシシリルプロピルアミノ)シクロトリホスファゼン等の6置換シクロトリホスファゼン類、オクタクロロシクロテトラホスファゼン等の8置換シクロテトラホスファゼン類、7置換シクロテトラホスファゼン類、6置換シクロテトラホスファゼン類、5置換シクロトリ(テトラ)ホスファゼン類、4置換シクロトリ(テトラ)ホスファゼン類、3置換シクロトリ(テトラ)ホスファゼン類、2置換シクロトリ(テトラ)ホスファゼン類、1置換シクロトリ(テトラ)ホスファゼン類等の環状ホスファゼン誘導体、ポリ(トリフロロエトキシ−クロロ)ホスファゼン、ポリビス(2−メタクリロキシエチル)ホスファゼン、ポリビス(p−ヒドロキシフェノキシ)ホスファゼン、ポリビス(アクリルアミド)ホスファゼン等の各種鎖状のポリホスファゼンを挙げることが出来る。
【0053】
この様なB構造体部をA構造体部と一体化させる方法としては、A構造体部の官能基とB構造体部の官能基を化学反応により共有結合を形成させる等の公知の方法を採用することができる。その際、A構造体部(またはB構造体部)を予め形成させてから高分子間反応によりB構造体部(またはA構造体部)を一体化する方法と、A構造体部(またはB構造体部)を形成させると同時にB構造体部(またはA構造体部)を一体化させる方法のどちらでも採用することができる。
【0054】
例えば、前者では、N置換(メタ)アクリルアミド誘導体とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基を有する単量体との共重合体等を架橋した水酸基を有するA構造体を形成させた後、グリシドキシ基等の水酸基と共有結合を形成し得る官能基を有するB構造体を化学反応により一体化させる方法。さらに、ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体及び/またはN置換(メタ)アクリルアミド誘導体と官能基を有する単量体との共重合体を架橋したA構造体を形成させた後、それと化学反応し得る官能基を有するB構造体を反応させることにより一体化させる方法を挙げることができる。
【0055】
また、後者では、例えば、N置換(メタ)アクリルアミド誘導体とα,ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン等の分子量20000以下の珪素系誘導体及び/またはヘキサキス(2−ヒドロキシエチルメタクリル)トリホスファゼン等の分子量20000以下のホスファゼン系誘導体のような二重結合を2個以上有する単量体とを共重合する等の架橋と一体化を同時に起こさせA、B構造体を形成させる方法。さらに、N置換(メタ)アクリルアミド誘導体と、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の分子量20000以下の珪素系誘導体のような二重結合を一個有する単量体と架橋性単量体とを共重合して一体化させた前記した方法により架橋する方法等を挙げることができる。
【0056】
このようにして得られた温度応答型ハイドロゲルが、温度応答性を示すためにはA構造体部が50%以上で構成されている必要があり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上である。
【0057】
また、本発明の温度応答型ハイドロゲルが温度応答性を発揮するには、水の存在が必須要件である。但し、水だけである必要はなく、必要により10%以下の各種界面活性剤または50%以下の有機溶媒と水との混合溶液を用いても、前記の温度応答性を有し物質の放出制御を行うことができる。
【0058】
本発明の温度応答型ハイドロゲルは、相分離構造を有していない温度応答型ハイドロゲルに比べて温度応答性が良好である。その機構は明かでないが次の様に推察することが出来る。本温度応答型ハイドロゲルは、相分離構造を有しているため膨潤状態では、親水性の相に存在する水を通じて薬剤等の物質の拡散が容易になり系外へ放出され、脱膨潤状態では、疎水性の相をコアにしてハイドロゲル全体が疎水性に変化し易くなり、ハイドロゲル中の水が欠乏し物質の拡散が抑制され系外への放出が停止し、その結果、温度応答性が良好になる。
【0059】
すなわち、相分離構造を有していない温度応答型ハイドロゲルの場合は、全体が一義的な親水性または疎水性を有しているため、組成を変化させることにより膨潤状態と脱膨潤状態とでの物質の拡散性を大きく変動させることはできない。これに対して本発明の温度応答型ハイドロゲルは、相分離構造を有しているため、脱膨潤状態では膜の組成変化によって物質の拡散性があまり変動しないが、膨潤状態では膜の組成変化によって大きく変動させることができる。そのため、優れた温度応答性(膨潤状態と脱膨潤状態での機能変化が大きい)を有するハイドロゲルの設計を容易に達成することができる。
【0060】
本発明の温度応答型ハイドロゲルは、種々の用途に用いる事ができるが、特に、薬剤放出制御用に適している。一般に、薬剤の放出制御法は、薬剤と放出制御膜を分離させたリザーバー型と、薬剤を放出制御膜中に液体または固体状態で分散させたモノリシック型に分類することができるが、本発明の温度応答型ハイドルゲル膜(放出制御用)は、2つの方法のいずれにも適用することができる。
【0061】
すなわち、リザーバー型に適用した場合、外部の温度が相転移温度以下の時、該ハイドロゲルは膨潤状態となり、薬剤は透過して外部に放出され、外部の温度が相転移温度以上の時、該ハイドロゲルは脱膨潤状態となり薬剤は透過することができなくなり外部への放出が停止する。
【0062】
また、薬剤を該ハイドロゲル中に分散させることによりモノリシック型のものを容易に作成することができる。その際、親水性の薬剤はA構造体部に蓄えられ、疎水性の薬剤はB構造体部に蓄えられる。(ミクロリザーバー型)この様に、ミクロリザーバー型の放出制御担体を容易に提供することができる。前述のように該ハイドロゲルは温度変化に対して表面律速であるため環境に接触させた時、相転移温度以下では該ハイドロゲル中の薬剤は拡散して環境に放出され、相転移温度以上では表面が脱膨潤するため薬剤の拡散が抑制され環境への放出は停止する。
【0063】
本発明の温度応答型ハイドロゲルにより放出制御されうる薬剤としては、水に対して溶解すれば特に制限はなく、例えば医薬では、インドメタシン、ケトプロフェン、サリチル酸等の消炎鎮痛剤、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ペニシリン等の抗生物質、塩化ベンザコルコニウム、クロトリマゾール、ピロールニトリン等の抗菌剤、リドカイン、ペントバルビタール等の麻酔薬、アミノアセトフェノン、エテンザミド、アスピリン等の感冒薬、
【0064】
塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸プロメタジン、フマル酸クレマスチン等の抗ヒスタミン剤、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニトロマンニトール等の抗狭心症剤、クロニジン、ヒドララジン、メチルドパ等の抗高血圧剤、テストステロン、エストラジオール等のホルモン剤、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、アスコルビン酸等のビタミン剤、ブレオマイシン、シスプラチン、ベスタチン、エトポシド、5−フルオロウラシル等の抗癌剤、ニコチン等の禁煙補助剤等を挙げることができる。
【0065】
農薬では、ペンタクロルフェノールナトリウム、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、O,O−ジイソプロピル−S−ベンジルチオホスフェート、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ(3,4−b)ベンゾチアゾール等の殺菌剤、硫酸ニコチン、ジメチル(3−メチル−4−ニトロフェニル)チオフォスフェート、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート等の殺虫剤、
【0066】
2,4−ジクロルフェノキシ酢酸ナトリウム塩、2,4−ジニトロオルソ−sec−ブチルフェノールイソプロパノールアミン、3−(5−tert−ブチル−3−イソオキザゾリル)−1,1−ジメチル尿素等の除草剤、インドール酪酸、ニコチン酸アミド、マレイン酸ヒドラジドカリウム塩等の植物生育調整剤、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール等の防腐剤等を挙げることができる。
【0067】
化学反応などにおける触媒の例としては、ナトリウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、アスコルビン酸、メチルアミン等の還元剤、過酸化水素、N−ブロモスクシイミド、メタ過ヨウ素酸ナトリウム等の酸化剤、2−メチルイミダゾール、2,4,6−トリス(ジエチルアミノメチル)フェノール等のエポキシ硬化促進剤、アンモニウムパーオキサイド、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハドロクロライド、2,2'−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジハイドロクロライド等の重合開始剤、
【0068】
α−アミラーゼ、パパイン、キモパパイン、リパーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、グルコースオキシターゼ、カタラーゼ、ラクターゼ、リゾチーム、ペプシン、L−アスパラギナーゼ、プロテアーゼ等の酵素等を挙げることができる。
【0069】
悪臭環境への芳香剤の例としては、ムスコン、シベトン、ケイ皮酸、安息香酸、カストルアミン、リトロール、リナロール、カンフェン、サンタロール、d−リモネン、シトラール、l−メントール、シンナミックアルデヒド、バニリン、ヘリオトロピン、リリアール等を挙げることができる。
【0070】
本発明の温度応答型ハイドロゲルの相転移温度は、具体的には、4℃〜80℃の範囲であり、好ましくは20℃〜60℃の範囲である。放出制御する時の温度は、用いる薬剤または適用する環境によって決定されるが、本発明では、必要に応じた相転移温度を持つ温度応答型ハイドロゲルを設計することが可能であるため、広範囲の応用が可能である。
【0071】
すなわち、本発明の温度応答型ハイドロゲルの相転移温度は、N置換(メタ)アクリルアミド誘導体の種類、共重合させる単量体の種類または組成比、架橋剤の種類または組成比によって自由に変えることができる。
【0072】
具体的には、温度応答型ハイドロゲルが親水性のものほど相転移温度は高くなり、疎水性のものほど相転移温度は低くなる。例えば、N置換(メタ)アクリルアミド誘導体と親水性の単量体とを共重合し架橋して得られる温度応答型ハイドロゲルは、N置換(メタ)アクリルアミド誘導体を重合し架橋して得られる温度応答型ハイドロゲルの相転移温度より高い相転移温度に設定することができ、疎水性の単量体と共重合すると逆に低い相転移温度に設定することができる。例えば、以下に示す実施例1の温度応答型ハイドロゲルの相転移温度は36.4℃であり、比較例1の温度応答型ハイドロゲルの相転移温度は33.4℃である。
【0073】
さらに、本発明の温度応答型ハイドロゲルの相転移温度以下の所定温度での膨潤度は、N置換(メタ)アクリルアミド誘導体の種類、共重合させる単量体の種類または組成比、架橋剤の種類または組成比によって自由に変えることができる。
【0074】
具体的には、疎水性の単量体または架橋剤を共重合するあるいは架橋剤の組成比を上げることにより、もとの化合物単独から得られる温度応答型ハイドロゲルの膨潤度より小さい膨潤度に設定することができる。また、親水性の単量体または架橋剤を共重合するかあるいは架橋剤の組成比を下げることにより、もとの化合物単独から得られる温度応答型ハイドロゲルの膨潤度より大きい膨潤度に設定することができる。
【0075】
例えば、以下に示した参考例4の温度応答型ハイドロゲルの32℃での膨潤度は25.0であり、39℃での膨潤度は2.1であった。また、参考例6の温度応答型ハイドロゲルの32℃での膨潤度は6.7であり、39℃での膨潤度は0.7であった。
【0076】
さらに、本発明の温度応答型ハイドロゲルと相分離構造を有していない温度応答型ハイドロゲルとで膨潤度の比を比較すると、本発明の温度応答型ハイドロゲルを用いた方が、相転移温度以下での膨潤度(Ql )と相転移温度以上での膨潤度(Qh )の比(Ql /Qh )を大きく設定できる。
【0077】
例えば、以下に示した実施例7の温度応答型ハイドロゲルの32℃と39℃での膨潤度の比は40.0であり、比較例1の温度応答型ハイドロゲルの32℃と39℃での膨潤度の比は10.0であった。シリコン系誘導体と共重合し相分離構造を有する温度応答型ハイドロゲルとすることにより、温度応答性が4.0倍向上した。
【0078】
なお、膨潤度は、秤量した乾燥ゲル試料(Wp)を所定温度の蒸留水中に浸漬させ、時間変化に対して重量変化しなくなった膨潤ゲル試料の重量(Ws+Wp)を測定し、膨潤度Qを次式に従って求めた。
Q = Ws/ Wp
【0079】
本発明の温度応答型ハイドロゲルの所定温度における破断強度は、シリコン系誘導体と共重合し相分離構造体にすることにより向上する。例えば、参考例4のハイドロゲルでは19.5kgf/cm2 であり、比較例1の温度応答型ハイドロゲルでは0.6kgf/cm2 である。相分離構造を有する温度応答型ハイドロゲルにすることにより32.5倍破断強度が向上した。又、疎水性の単量体で共重合するかあるいは親水性単量体の共重合組成比を下げるかあるいは架橋剤の組成比を上げることによっても破断強度を向上させることができる。例えば、参考例11の温度応答型ハイドロゲルでは24.0kgf/cm2 であり、参考例13の温度応答型ハイドロゲルでは31.5kgf/cm2 であった。
【0080】
なお、本発明において破断強度は、32℃の水中で平衡膨潤状態にした温度応答型ハイドロゲル(2cm×2cm×0.05cmに調製)を、32℃の恒温水槽中でクリープメーター((株)山電製)(プランジャー直径0.25mm)にて0.1mm/secの速度で加重をかけて破れた点を破断加重とし、プランジャーの断面積で割った値を破断強度とした。
【0081】
さらに、本発明で用いられる温度応答型ハイドロゲルの相転移温度以下の所定温度における物質の透過速度は、温度応答型ハイドロゲルの厚さ、膨潤度を設定するときと同様に自由に変えることができる。
【0082】
具体的には、疎水性の単量体を共重合するかあるいは架橋剤の組成比を上げることにより、所定の温度および所定の厚さのもとでは、もとの化合物単独から得られる温度応答型ハイドロゲルの透過速度より遅い透過速度の温度応答型ハイドロゲルに設計することができる。また、親水性の単量体を共重合するかあるいは架橋剤の組成比を下げることにより、所定の温度および所定の膜厚のもとでは、もとの化合物単独から得られる温度応答型ハイドロゲルの透過速度より速い透過速度の温度応答型ハイドロゲルに設計することができる。
【0083】
例えば、以下に示す参考例11の温度応答型ハイドロゲルにおける32℃でのニトログリセリンの透過係数は11.9×10-6cm/secであり、39℃でのニトログリセリンの透過係数は1.6×10-6cm/secであった。また、参考例13の温度応答型ハイドロゲルにおける32℃でのニトログリセリンの透過係数は1.9×10-6cm/secであり、39℃でのニトログリセリンの透過係数は0.1×10-6cm/secであった。
【0084】
透過係数は、シンク状態(含有させた薬剤の初期濃度と放出させたい環境での薬剤の濃度の差が経時変化しない平衡状態)、一定の厚さの下では透過速度と正の比例関係にある。すなわち、透過係数が大きいと透過速度もある比例定数をもって大きくなる。従って、本発明の温度応答型ハイドロゲルは、前述したように透過係数を大きく設計することができるため、より速い透過速度の温度応答型ハイドロゲルを得ることが可能である。さらに、本発明の温度応答型ハイドロゲルは、前述のように破断強度も高いため薄膜化も可能となり広い範囲で透過速度の制御が可能である。
【0085】
また、本発明の温度応答型ハイドロゲルと相分離構造を有していない温度応答型ハイドロゲルとで透過係数の比を比較すると、本発明の温度応答型ハイドロゲルを用いた方が、相転移温度以下での透過係数(Pl )と相転移温度以上での透過係数(Ph )の比(Pl /Ph )を大きく設計できる。
【0086】
例えば、以下に示す参考例13の温度応答型ハイドロゲルの32℃と39℃におけるニトログリセリンの透過係数の比は19.0であり、比較例2の温度応答型ハイドロゲルの32℃と39℃におけるニトログリセリンの透過係数の比は4.4であった。シリコン系誘導体と共重合し相分離構造を有する温度応答型ハイドロゲルにすることにより、ニトログリセリンの透過速度に対する温度応答性が4.3倍向上した。
【0087】
次に実施例により本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0088】
実施例1
N−イソプロピルアクリルアミド5gとN−ビニル−2−ピロリドン0.263gとエイコサメチル−1,19−ジビニルデカシロキサン1.12gとt−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.01gを1,4−ジオキサン5mlに溶解させ、10分間窒素ガスでバブリングした後、窒素雰囲気下0.5mmのスペーサーを挟んだガラス板の間に流し込みオーブンで75℃、24時間反応させてゲル膜を得た。これをジオキサン、水−ジオキサン(1対1)、水で各2日間洗浄してN−イソプロピルアクリルアミド95重量%、N−ビニル−2−ピロリドン5重量%、エイコサメチル−1,19−ジビニルデカシロキサン3モル%(仕込み架橋密度として)の組成の温度応答型ハイドロゲルを得た。
【0089】
得られた温度応答型ハイドロゲルを、光学顕微鏡で観察したところ相分離構造を有していることを確認した。次に、温度コントローラ付分光光度計(U-3210、(株)日立製作所社製)にて700nmでの温度変化に対する透過率を測定したところ、相転移温度は36.4℃であった。さらに、32℃および39℃の恒温水中に24時間含浸させた温度応答型ハイドロゲル試料片の重量(Ws+Wp)を測定した後、試料片を減圧乾燥して重量を測定(Wp)した。膨潤度Qを前式に基づいて算出したところ、32℃では6.5、39℃では0.3であった。次に、クリープメータ((株)山電社製)で32℃の恒温水中で平衡膨潤させた温度応答型ハイドロゲルの破断強度を測定したところ19.5kgf/cm2 であった。
【0090】
実施例2
N−イソプロピルアクリルアミド5gとN−ビニル−2−ピロリドン0.208gと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.051gとエチレングリコールジメタクリレート0.093gとtert.−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.01gを1,4−ジオキサン10mlに溶解させ、実施例1と同様に重合、洗浄してN−イソプロピルアクリルアミド95重量%、N−ビニルピロリドン4重量%、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1重量%、エチレングリコールジメタクリレート1モル%の組成の温度応答型ハイドロゲルを得た。得られたゲルについて実施例1と同様に相転移温度、膨潤度、破断強度を測定した結果を表1に示す。
【0091】
実施例3
N−イソプロピルアクリルアミド5gとN−ビニル−2−ピロリドン0.155gと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.102gとエイコサメチル−1,19−ジビニルデカシロキサン1.11gとtert.−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.02gを1,4−ジオキサン5mlに溶解させ、実施例1と同様に重合、洗浄してN−イソプロピルアクリルアミド95重量%、N−ビニルピロリドン3重量%、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2重量%、エイコサメチル−1,19−ジビニルデカシロキサン3モル%の組成の温度応答型ハイドロゲルを得た。得られたゲルについて実施例1と同様に相転移温度、膨潤度、破断強度を測定した結果を表1に示す。
【0092】
比較例1
N−イソプロピルアクリルアミド5gとエチレングリコールジメタクリレート0.093gとtert.−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.01gを1,4−ジオキサン5mlに溶解させ、実施例1と同様に重合、洗浄してN−イソプロピルアクリルアミド100重量%、エチレングリコールジメタクリレート1モル%の組成の相分離構造を有しない温度応答型ハイドロゲルを得た。得られたゲルについて実施例1と同様に相転移温度、膨潤度、破断強度を測定した結果を表1に示す。
【0093】
実施例7〜10、15、参考例4〜6、11〜14
表2に示す調製条件以外は実施例1と同様の方法で、相分離構造を有する温度応答型ハイドロゲルを得た。膨潤度および破断強度を実施例1と同様の方法で測定した結果をまとめて表3に示す。
【0094】
試験例1
実施例1で得られた温度応答型ハイドロゲル(厚さ0.5mm)を、ジャケット付ガラス製2チャンバーセルに挟み、それぞれのチャンバーにPH7.4のリン酸緩衝液を入れた後、一方のチャンバーにニトログリセリンを入れ懸濁させた。もう一方のチャンバーから経時的にサンプリングしてニトログリセリンの濃度をHPLCによって測定した。温度を39℃と32℃で段階的に変化させたときのニトログリセリンの累積透過量の経時変化を表4に示す。累積透過量から求めた32℃と39℃における透過係数と32℃と39℃の透過係数の比をまとめて表5に示す。
【0095】
比較例2
N−イソプロピルアクリルアミド5gとN−ビニル−2−ピロリドン0.263gとエチレングリコールジメタクリレート0.093gとtert.−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.01gを1,4−ジオキサン5mlに溶解させ、実施例1と同様に重合、洗浄してN−イソプロピルアクリルアミド95重量%、N−ビニル−2−ピロリドン5重量%、エチレングリコールジメタクリレート1モル%の組成の相分離構造を有しないハイドロゲルを得た。これを、実施例1と同様の方法でニトログリセリンの累積透過量の経時変化を測定した結果を表4に示す。累積透過量から求めた32℃と39℃における透過係数と32℃と39℃の透過係数の比をまとめて表5に示す。
【0096】
試験例2
実施例2〜3、7〜10及び参考例6、11〜13で得られたハイドロゲル膜を、試験例1と同様の方法でニトログリセリンの累積透過量の経時変化を測定した。累積透過量から求めた32℃と39℃における透過係数と32℃と39℃の透過係数の比をまとめて表5に示す。
【0097】
【表1】
Figure 0003541894
【0098】
【表2】
Figure 0003541894
【0099】
表2の略号の説明
IPAAm;N−イソプロピルアクリルアミド
VP;N−ビニル−2−ピロリドン
MPTMS;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
EGDMA;エチレングリコールジメタクリレート
EMDVS;エイコサメチル−1,19−ジビニルデカシロキサン
DMDVS;デカメチル−1,9−ジビニルヘキサシロキサン
BMTDS;1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
HEMATP;ヘキサキス(2−メタクリロキシエチル)シクロトリホスファゼン
【0100】
【表3】
Figure 0003541894
【0101】
【表4】
Figure 0003541894
【0102】
【表5】
Figure 0003541894
【0103】
【発明の効果】
本発明の相分離構造を有する温度応答型ハイドロゲルは、環境の温度変化に応答して膨潤−脱膨潤することにより薬剤の可逆的な放出制御が可能となり、任意の温度で優れた温度応答性を有する自己制御型製剤を提供することができる。したがって、医・農薬のDDS基材、触媒担体、センサー、芳香剤の基材、接着剤、光学素子等の広い応用が可能である。

Claims (2)

  1. N−イソプロピルアクリルアミドとN−ビニルピロリドンとの共重合体を架橋してなる構造体部と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、エイコサメチル−1,19−ジビニルデカシロキサン又はヘキサキス(2−メタクリロキシエチル)シクロトリホスファゼンからなる構造体部とが共有結合により相分離構造を形成することを特徴とした温度応答型ハイドロゲル。
  2. 請求項1記載の温度応答型ハイドロゲルからなるニトログリセリン放出制御用ハイドロゲル。
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