JP3540764B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーテレビジョン受像機のディスプレイ等に使用するプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやテレビ等に用いられているディスプレイ装置において、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel,以下PDPと記載する)は、大型で薄型軽量を実現することのできるものとして注目されており、高精細なPDPに対する要望も高まっている。
図29は、一般的な交流型(AC型)PDPの一例を示す概略断面図である。
【0003】
本図において、前面ガラス基板101上に表示電極102が形成され、この表示電極102は誘電体ガラス層103及び酸化マグネシウム(MgO)からなる誘電体保護層104で覆われている(例えば特開平5−342991号公報参照)。
また、背面ガラス基板105上には、アドレス電極106および隔壁107が設けられ、隔壁107どうしの間隙に各色(赤、緑、青)の蛍光体層110〜112が設けられている。
【0004】
前面ガラス基板101は背面ガラス基板105の隔壁107上に配設され、両基板101・105間に放電ガスが封入されて放電空間109が形成されている。
このPDPにおいて、放電空間109では、放電に伴って真空紫外線(主に波長147nm)が発生し、各色蛍光体層110〜112が励起発光されることによってカラー表示がなされる。
【0005】
上記PDPは、次のように製造することができる。
前面ガラス基板101に、銀ペーストを塗布・焼成して表示電極102を形成し、誘電体ガラスペーストを塗布し焼成して誘電体ガラス層103を形成し、その上に保護層104を形成する。
背面ガラス基板105上に、銀ペーストを塗布・焼成してアドレス電極106を形成し、ガラスペーストを所定のピッチで塗布し焼成して隔壁107を形成する。そして隔壁107の間に、各色蛍光体ペーストを塗布し、500℃程度で焼成してペースト内の樹脂成分等を除去することにより蛍光体層110〜112を形成する。
蛍光体焼成後、背面ガラス基板105の周囲に封着用ガラスフリットを塗布し、形成された封着ガラス層内の樹脂成分等を除去するために350℃程度で仮焼する(フリット仮焼工程)。
【0006】
その後、上記の前面ガラス基板101と背面ガラス基板105とを、表示電極102とアドレス電極106とが直交して対向するよう積み重ねる。そして、これを封着用ガラスの軟化温度よりも高い温度(450℃程度)に加熱することによって封着する(封着工程)。
その後、封着したパネルを350℃程度まで加熱しながら、両基板間に形成される内部空間(前面板と背面板との間に形成され蛍光体が臨んでいる空間)から排気し(排気工程)、排気終了後に放電ガスを所定圧力(通常300〜500Torr)となるように導入する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようにして製造されるPDPにおいて、輝度向上をはじめとして如何に発光特性の優れたものとするかが課題となっている。
そのために例えば蛍光体自体の発光特性の改良もなされてきているが、更に、発光特性の優れたPDPとすることが望まれる。
また、上記のような製造方法を用いて、PDPが量産化されつつあるが、現状ではCRTと比べるとPDPはかなり製造コストが高いため、これを下げることが望まれている。
【0008】
PDPを製造する上で、コストを低減するには、いろいろな面から可能性が考えられるが、例えば、上記のように加熱を必要とするいくつかの工程において要する消費エネルギーや労力(作業時間)が大きいことを考慮すると、これらを低減することが一つの解決方法として望まれる。
本発明は、高い発光効率で動作し色再現性の良好なPDPを提供することを第1の目的とし、PDPを製造する上で、仮焼工程、封着工程、排気工程を、短い作業時間及び低い消費エネルギーで行うことが可能な方法を提供することによって製造コストを低減することを第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的は、PDPにおいて、すべてのセルを同一電力条件で点灯させたときの発光色の色温度が7000K以上、好ましくは、8000K以上,9000K以上,10000K以上となるようにすることによって達成できる。
このように白バランスにおける色温度を高くするためには、青色蛍光体層の発光色度を向上させることが重要であって、青色セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標y(CIE表色系)または青色蛍光体層を真空紫外線で励起したときに放出される光の色度座標yが、0.08以下、好ましくは0.07以下,0.06以下となるようにすればよい。或は、青色セルのみを点灯させたときの発光スペクトルにおけるピーク波長が455nm以下、好ましくは453nm以下,451nm以下となるようにすればよい。
また、上記のように青色蛍光体層の発光色度を向上させれば、色再現性も向上される。
【0010】
上記のように青色蛍光体層の発光色度が優れたPDPは、PDPを製造する工程の中で、配設された蛍光体が加熱される工程(蛍光体焼成工程、封着材仮焼工程、封着工程、排気工程など)を、乾燥ガス雰囲気中、もしくは減圧で乾燥ガスが流れる雰囲気中で行うことによって製造することができる。
即ち、本発明者等は、従来のPDPの製造方法において、蛍光体層が加熱される工程において、青色蛍光体が熱劣化してその発光強度や発光色度が低下することを見出し、上記製造方法を用いることによって、この熱劣化を防止することを可能としたのである。
【0011】
ここで「乾燥ガス」というのは、通常より水蒸気分圧の小さいガスのことであって、乾燥処理された空気(乾燥空気)を用いることが好ましい。
乾燥ガスの雰囲気中での水蒸気分圧は、15Torr以下とすることが好ましく、更に、10Torr以下,5Torr以下,1Torr以下,0.5Torr以下とすることが好ましい。乾燥ガスの露点温度は、20℃以下が好ましく、更に、10℃以下,0℃以下,−20℃以下,−40℃以下とすることが好ましいということも言える。
また、上記のように青色蛍光体層の発光色度が優れたPDPは、前面基板及び背面基板を対向面が開放された状態で仮焼する方法、前面基板及び背面基板を内部空間に乾燥ガスを流しながら封着する方法、あるいは、前面基板及び背面基板を、対向面が開放された状態で予備加熱した後、両基板を重ね合わせて封着する方法を用いることによっても製造することができる。
また、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせた状態で封着材を封着温度に保って封着する封着工程を行った後、室温まで降下させることなく、封着された両基板間の内部空間の気体を排気する排気工程を開始すること、或は、封着材が配設された基板を仮焼温度に保って仮焼する封着材仮焼工程の後、当該基板を室温まで降下させることなく封着工程を開始することによって、上記第1の目的と共に第2の目的を達成できる。
即ち、実際の製造工程において、このような各工程は加熱炉を用いて行うが、従来は一般的に、封着材仮焼工程、封着工程、排気工程が別々に行われ、工程と工程との間では基板が室温まで冷却されていたため、後の工程で再び加熱昇温するのに、それだけ長い時間と多くのエネルギーが消費されるが、これに対して、上記のように工程と工程との間で基板を室温まで降温することなく行えば、加熱に要する時間及び消費エネルギーを低減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態に係る交流面放電型PDPを示す要部斜視図であって、本図ではPDPの中央部にある表示領域を部分的に示している。
このPDPは、前面ガラス基板11上に表示電極12(走査電極12a,維持電極12b)、誘電体層13、保護層14が配されてなる前面パネル基板10と、背面ガラス基板21上にアドレス電極22、誘電体層23が配された背面パネル基板20とが、表示電極12a,12bとアドレス電極22とを対向させた状態で互いに平行に間隔をおいて配されて構成されている。そして、前面パネル基板10と背面パネル基板20との間隙は、ストライプ状の隔壁24で仕切られることによって放電空間30が形成され、当該放電空間30内には放電ガスが封入されている。
また、この放電空間30内において、背面パネル基板20側には、蛍光体層25が配設されている。なお、蛍光体層25は、赤,緑,青の順で繰返し並べられている。
【0013】
表示電極12及びアドレス電極22は、共にストライプ状であって、表示電極12は隔壁24と直交する方向に、アドレス電極22は隔壁24と平行に配されている。そして、表示電極12とアドレス電極22が交差するところに、赤,緑,青の各色を発光するセルが形成されたパネル構成となっている。
そして、このPDPを駆動する時には、駆動回路(不図示)によって、走査電極12aとアドレス電極22とにアドレス放電パルスを印加することによって、発光させようとするセルに壁電荷を蓄積し、その後、表示電極対12a,12bに維持放電パルスを印加することによって壁電荷が蓄積されたセルで維持放電を行うという動作を繰り返すことによって発光表示を行う。
アドレス電極22は、金属電極(例えば、銀電極あるいはCr−Cu−Cr電極)である。表示電極12は、ITO,SnO2,ZnO等の導電性金属酸化物からなる幅広の透明電極の上に、細い幅のバス電極(銀電極,Cr−Cu−Cr電極)を積層させた電極構成とするのが、表示電極の抵抗を低く且つセル内の放電面積を広く確保する上で好ましいが、アドレス電極22と同様に銀電極とすることもできる。
誘電体層13は、前面ガラス基板11の表示電極12が配された表面全体を覆って配設された誘電物質からなる層であって、一般的に、鉛系低融点ガラスが用いられているが、ビスマス系低融点ガラス、或は鉛系低融点ガラスとビスマス系低融点ガラスの積層物で形成しても良い。
【0014】
保護層14は、酸化マグネシウム(MgO)からなる薄層であって、誘電体層13の表面全体を覆っている。
誘電体層23は、誘電体層13と同様のものであるが、可視光反射層としての働きも兼ねるようにTiO2粒子が混合されている。
【0015】
隔壁24は、ガラス材料からなり、背面パネル基板20の誘電体層23の表面上に突設されている。
蛍光体層25を構成する蛍光体材料として、ここでは、
青色蛍光体: BaMgAl10O17:Eu
緑色蛍光体: Zn2SiO4:Mn
赤色蛍光体: Y2O3:Eu
を用いることとする。
これらの蛍光体材料の組成は、従来からPDPに用いられているものと基本的には同じであるが、従来のPDPにおける蛍光体層と比べて、製造工程で蛍光体が受けた熱劣化の度合が少ないため、発光色がより良好である。ここで、発光色が良好であるというのは、青色セルが発光する光の色度座標y値が小さく(青色発光のピーク波長が短い)、青色付近における色再現域が広くなっている。
従来の一般的なPDPでは、青色セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標y(CIE表色系)が0.085以上(発光スペクトルのピーク波長が456nm以上)であって、色補正なしの白バランスで色温度が6000K程度である。
【0016】
この白バランスでの色温度を向上させる技術として、例えば、青色セルの幅(隔壁ピッチ)だけを大きく設定し、青色セルの面積を緑色セルや赤色セルの面積よりも大きくする技術も知られているが、この方法で色温度7000K以上とするには、青色セルの面積を緑色セルや赤色セルの面積と比べて1.3倍程度以上に設定しなければならない。
これに対し、本実施の形態のPDPでは、青色セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標yが0.08以下、発光スペクトルのピーク波長が455nm以下であって、これにより、特に青色セルの面積を大きく設定しなくても、色補正なしの白バランスで色温度を7000K以上にすることが可能となっている。また、製造時の条件によっては、色度座標yをもっと低くするができ、色補正なしの白バランスで色温度も10000K程度とすることが可能でなる。
なお、青色セルの色度座標yの値が小さいことと、青色発光のピーク波長が短いこととが同等の意味を持つことは、実施の形態3並びに実施の形態5で説明する。
【0017】
また、青色セルの色度座標yの値が小さいほど色再現域が広くなることや、
青色セルが発光する光の色度座標y値と、色補正なしの白バランスでの色温度との関係については、後の実施例のところで詳述する。
なお、本実施の形態では、40インチクラスのハイビジョンテレビに合わせて、誘電体層13の膜厚は20μm程度、保護層14の膜厚は0.5μm程度とする。また、隔壁24の高さは0.1〜0.15mm、隔壁ピッチは0.15〜0.3mm、蛍光体層25の膜厚は5〜50μmとする。また、封入する放電ガスは、Ne−Xe系で、Xeの含有量は5体積%とし、封入圧力は500〜800Torrの範囲に設定する。
PDPの駆動時には、図2に示すように、PDPに各ドライバ及びパネル駆動回路100を接続して、点灯させようとするセルの走査電極12aとアドレス電極22間に印加してアドレス放電を行った後に、表示電極12a,12b間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。そして、当該セルで放電に伴って紫外線を発光し、蛍光体層25で可視光に変換する。このようにしてセルが点灯することによって、画像が表示される。
〔PDPの作製方法について〕
以下、上記構成のPDPを製造する方法について説明する。
(前面パネル基板の作製)
前面パネル基板10は、前面ガラス基板11上に、銀電極用のペーストをスクリーン印刷で塗布した後に焼成することにより表示電極12を形成し、その上を覆うように、鉛系のガラス材料(その組成は、例えば、酸化鉛[PbO]70重量%,酸化硼素[B2O3]15重量%,酸化硅素[SiO2]15重量%。)を含むペーストをスクリーン印刷法で塗布し焼成することによって、誘電体層13を形成し、更に誘電体層13の表面に真空蒸着法などで酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層14を形成することによって作製する。
(背面パネル基板の作製)
背面パネル基板は、背面ガラス基板21上に、銀電極用のペーストをスクリーン印刷しその後焼成する方法によってアドレス電極22を形成し、その上に、TiO2粒子と誘電体ガラス粒子とを含むペーストをスクリーン印刷法で塗布して焼成することによって誘電体層23を形成し、同じくガラス粒子を含むペーストをスクリーン印刷法を用いて所定のピッチで繰返し塗布した後、焼成することによって隔壁24を形成する。
そして、赤色,緑色,青色の各色蛍光体ペーストを作製し、これを隔壁24どうしの間隙にスクリーン印刷法で塗布し、後で詳述するように空気中で焼成することによって各色蛍光体層25を形成する。
【0018】
ここで用いる各色蛍光体ペーストは、以下のようにして作製することができる。
青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)は、原料として、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化アルミニウム(α−Al2O3)をBa,Mg,Alの原子比で1対1対10になるように配合する。次に、この混合物に対して所定量の酸化ユーロピウム(Eu203)を添加する。そして、適量のフラックス(AlF2,BaCl2)と共にボールミルで混合し、還元雰囲気(H2,N2中)下、所定時間(例えば、0.5時間)、温度1400℃〜1650℃で焼成することによって得られる。
赤色蛍光体(Y2O3:Eu)は、原料としての水酸化イットリウムY2(OH)3に、所定量の酸化ユーロピウム(Eu2O3)を添加する。そして、適量のフラックスと共にボールミルで混合し、空気中で、所定時間(例えば1時間)、温度1200℃〜1450℃で焼成することによって得られる。
【0019】
緑色蛍光体(Zn2SiO4:Mn)は、原料として、酸化亜鉛(ZnO)、酸化珪素(Si02)をZn,Siの原子比2対1になるように配合する。次に、この混合物に所定量の酸化マンガン(Mn2O3)を添加する。そして、ボールミルで混合後、空気中で、所定時間(例えば0.5時間)、温度1200℃〜1350℃で焼成することによって得られる。
このように作製された各色蛍光体を、粉砕後ふるい分けすることによって、所定の粒径分布を有する各色蛍光体粒子が得られる。この各色蛍光体粒子をバインダ及び溶剤と混合することによって、各色蛍光体ペーストが得られる。
【0020】
なお、蛍光体層25を形成する際には、上記のスクリーン印刷法による方法以外に、蛍光体インキをノズルから吐出させながら走査する方法、あるいは、各色の蛍光体材料を含有する感光性樹脂のシートを作製し、これを背面ガラス基板21の隔壁24を配した側の面に貼り付け、フォトリソグラフィでパターニングし現像することにより不要な部分を除去する方法によっても形成することができる。
(前面パネル基板と背面パネル基板の封着、真空排気、放電ガス封入)
このように作製した前面パネル基板10及び背面パネル基板20のどちらか一方または両方に封着用ガラスフリットを塗布して封着ガラス層を形成し、後で詳述するように、ガラスフリット内の樹脂成分等を除去するために仮焼し、前面パネル基板10の表示電極12と背面パネル基板20のアドレス電極22とが直交して対向するように重ね合わせ、重ね合わせた両基板10,20を、後で詳述するように加熱して封着ガラス層を軟化させることによって封着する。
そして、封着したパネル基板の内部空間を真空排気しながらパネルを焼成する(350℃で3時間)。その後、上記組成の放電ガスを所定の圧力で封入することによってPDPが作製される。
【0021】
(蛍光体焼成工程、フリット仮焼工程、封着工程についての詳細)
蛍光体の焼成工程、フリット仮焼工程、封着工程について以下に詳細に説明する。
図3は、本実施の形態で、蛍光体の焼成時及び仮焼時に使用するベルト式加熱装置の構成を模式的に示す図である。
【0022】
この加熱装置40は、基板を加熱する加熱炉41、加熱炉41内を通過するようパネル基板を搬送する搬送ベルト42、加熱炉41内に雰囲気ガスを導入するガス導入パイプ43などから構成されており、加熱炉41内には、搬送方向に沿って複数のヒータ(不図示)が設置されている。
そして、各ヒータで加熱炉41の入口44から出口45に至るまでの各箇所の温度を設定することによって、任意の温度プロファイルで基板を焼成することができ、また、ガス導入パイプ43から雰囲気ガスを導入することによって、加熱炉41内を雰囲気ガスで満たすことができるようになっている。
【0023】
雰囲気ガスとして乾燥空気を送り込む場合、空気を低温(マイナス数十度)に冷却して水分を凝結させるガス乾燥器(不図示)を経由させ、空気中の水蒸気量(水蒸気分圧)を低減することによって、乾燥空気を生成することができる。
蛍光体焼成時には、この加熱装置40を用いて、蛍光体層25を形成した背面ガラス基板21を、乾燥空気中で焼成する(ピーク温度520℃、10分間)。このように、蛍光体焼成時に乾燥ガスを流しながら焼成することによって、蛍光体焼成時における雰囲気中の水蒸気による熱劣化を抑えることができる。
【0024】
このとき用いる乾燥空気中の水蒸気分圧は、低く設定するほど蛍光体の熱劣化を抑える効果は大きい。即ち、水蒸気分圧は、15Torr以下とすることが望ましく、更に、10Torr以下、5Torr以下、1Torr、0.1Torr以下と低くするにしたがって効果が顕著になる。
なお、水蒸気分圧と露点温度とは一定の関係があるので、乾燥空気中の水分について「露点温度」を用いて言い換えると、露点温度を低く設定するほど、蛍光体焼成時の熱劣化を抑えるのに好ましく、乾燥ガスの露点温度としては20℃以下が好ましく、0℃以下、−20℃以下、−40℃以下とするのがより好ましいと言える。
フリット仮焼時には、この加熱装置40を用いて、封着ガラス層を形成した前面ガラス基板11あるいは背面ガラス基板21を、乾燥空気中で焼成する(ピーク温度350℃、30分間)。
【0025】
この仮焼工程においても、上記蛍光体焼成工程と同様に、加熱炉41内に導入する乾燥空気は、水蒸気分圧を15Torr以下とすることが望ましく、さらに水蒸気分圧を、10Torr以下、5Torr以下、1Torr、0.1Torr以下と低く設定するほど蛍光体の熱劣化を抑えることができる。即ち、乾燥空気の露点温度を20℃以下とするのが好ましく、0℃以下、−20℃以下、−40℃以下とするのがより好ましい。
図4は、封着用加熱装置の構成を模式的に示す図である。
【0026】
この封着用加熱装置50は、内部に収納される基板(ここでは重ね合わせられた前面パネル基板10及び背面パネル基板20)を加熱する加熱炉51と、加熱炉51の外部から両パネル基板10,20間の内部空間に雰囲気ガスを送り込む配管52a、この内部空間から加熱炉51の外部に雰囲気ガスを排出する配管52bとから構成されている。配管52aには、雰囲気ガスとしての乾燥空気を送り込むガス供給源53が接続され、配管52bには真空ポンプ54が接続されている。また、配管52a及び配管52bには、これを通過するガスの流量を調整する調整バルブ55a及び調整バルブ55bが設けられている。
この封着用加熱装置50を用いて、以下のように封着工程を行う。
【0027】
背面パネル基板20には、表示領域より外側の外周部に、通気口21a及び通気口21bが設けられており、これらの通気口21a・21bにはガラス管26a・26bが取り付けられている。なお、図4では、背面パネル基板20における隔壁や蛍光体は省略してある。
前面パネル基板10と背面パネル基板20とを、位置合わせしながら、封着ガラス層15が両基板の間に介挿されるように重ね合わせ、加熱炉51の中に入れる。ここで位置合わせされた前面パネル基板10と背面パネル基板20とが位置ずれしないようにクランプ等によって締め付けておくのが好ましい。
【0028】
そして、ガラス管26a・26bに、加熱炉51の外部から挿設された配管52a・52bを連結し、配管52bから真空ポンプ54で排気することによって内部空間を一旦真空にした後、真空ポンプ54は使わずに配管52aから一定の流量で乾燥空気を送り込む。これによって、両パネル基板10・20間の内部空間に乾燥空気が流通し、配管52bから排出される。
このように乾燥空気を流しながら、両パネル基板10・20を加熱する(ピーク温度450℃で30分間加熱)ことによって、封着ガラス層15を軟化させて両パネル基板10・20を封着する。
【0029】
封着が完了すれば、ガラス管26a・26bのどちらか一つを密栓し、次の真空排気工程では、残りのガラス管に真空ポンプを連結して行う。次に、放電ガスの封入工程では、残りのガラス管に、放電ガスが入っているボンベを連結して、排気装置を作動させながら内部空間に放電ガスを封入する。
(本実施の形態の製造方法による効果)
本実施形態の封着方法によれば、従来の封着方法と比べて、次のような効果を奏する。
【0030】
通常、前面パネル基板や背面パネル基板には、水蒸気などのガスが吸着されているが、これらの基板を加熱昇温すると、吸着されているガスが放出される。
従来の一般的な製造方法では、仮焼工程の後、封着工程では、前面パネル基板と背面パネル基板とを室温で重ね合わせてから加熱昇温して封着するので、この封着工程時に、前面パネル基板と背面パネル基板に吸着されているガスが放出される。仮焼工程において、基板に吸着されているガスがある程度抜けても、その後、封着工程開始時まで大気中で室温にすることによって再びガスが吸着されるので、封着工程においてガスの放出は生じる。そして、放出されたガスが狭い内部空間内に閉じ込められる。このとき、内部空間における水蒸気分圧は、通常20Torr以上になることが測定の結果わかっている。
そのため、内部空間に臨んでいる蛍光体層25がガスの影響(特に保護層14から放出される水蒸気の影響)で熱劣化しやすい。そして、蛍光体層(特に青色蛍光体層)が熱劣化すると発光強度が低下する。
【0031】
これに対して、本実施の形態のように、加熱時に内部空間に乾燥空気を流通させて、内部空間内に発生する水蒸気を外部に排出し続けることによって、水蒸気による蛍光体層の熱劣化が抑えられる。
この封着工程においても、上記蛍光体焼成工程と同様に、内部空間を流す乾燥空気は、水蒸気分圧を15Torr以下とすることが望ましく、さらに水蒸気分圧を、10Torr以下、5Torr以下、1Torr、0.1Torr以下と低く設定するほど蛍光体の熱劣化を抑えることができる。即ち、乾燥空気の露点温度を20℃以下とするのが好ましく、0℃以下、−20℃以下、−40℃以下とするのがより好ましい。
(雰囲気ガス中の水蒸気分圧についての考察)
雰囲気ガス中の水蒸気分圧を減少させることによって、青色蛍光体の加熱による熱劣化を防止することが可能であることについて、以下のように実験に基づいて考察した:
図5,6は、水蒸気分圧をいろいろと変えた空気中で、青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)を焼成したときの相対発光強度及び色度座標yの測定結果である。焼成条件として、ピーク温度は450℃とし、ピーク温度で維持する時間は20分とした。
図5に示す相対発光強度は、発光強度測定値を、焼成前の青色蛍光体の発光強度測定値を基準値100としたときの相対値で表わしたものである。
【0032】
発光強度は、分光光度計を用いて蛍光体層からの発光スペクトルを測定し、この測定値から色度座標y値を算出し、この色度座標y値と、輝度計で予め測定した輝度値とから、式(発光強度=輝度/色度座標y値)で算出した値である。
なお、焼成前の青色蛍光体の色度座標yは、0.052であった。
【0033】
図5,6の結果より、水蒸気分圧が0Torr付近では、加熱に伴う発光強度の低下並びに色度変化は全く見られないが、水蒸気分圧が増加するに従って、青色の相対発光強度は低下し、青色の色度座標yは大きくなっていることがわかる。
ところで、青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)を加熱するときに発光強度が劣化したり色度座標y値が大きくなったりするのは、付活剤Eu2+イオンが加熱により酸化されEu3+イオンになることが原因であると従来から考えられているが(J.Electrochem. Soc.Vol.145,No.11,November 1998 参照)、上記の青色蛍光体の色度座標y値が雰囲気中の水蒸気分圧に依存するという結果とを組み合わせて考察すると、Eu2+イオンがガス雰囲気(例えば空気)中の酸素と直接反応するのではなく、ガス雰囲気中の水蒸気によって劣化に係る反応が促進されるものと考えられる。
ちなみに、加熱温度をいろいろと変化させて、上記と同様にして青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)の熱による発光強度の低下度合や色度座標yの変化を調べてみたところ、加熱温度が300℃から600℃の範囲では、加熱温度が高いほど熱による発光強度の低下は大きくなり、いずれの加熱温度でも水蒸気分圧が高いほど発光強度の低下が大きくなるという傾向が見られた。一方、水蒸気分圧が高いほど熱による色度座標yの変化が大きくなるという傾向は見られたが、色度座標yの変化度合が加熱温度に依存するという傾向は見られなかった。
また、前面ガラス基板11、表示電極12、誘電体層13、保護層14、背面ガラス基板21、アドレス電極22、誘電体層23、隔壁24、蛍光体層25を形成する各部材を加熱したとき水蒸気放出量を測定したところ、保護層14の材料であるMgOからの水蒸気放出量が最も多かった。これより、封着時に蛍光体層25の熱劣化を引き起こす主要な原因は、保護層14(MgO)から水蒸気が放出されることにあると推測される。
(本実施形態の変形例)
なお、本実施の形態では、封着工程において、内部空間に乾燥空気を一定量流すようにしたが、内部空間を真空排気した後に乾燥空気を導入する操作を交互に繰り返すことによっても、内部空間に発生する水蒸気を効率的に排出することができ、蛍光体層の熱劣化を抑えることができる。
また、必ずしも、蛍光体焼成工程、仮焼工程、封着工程の全てを乾燥ガス乾燥ガス雰囲気中で行わなくても、この中の1工程あるいは2工程だけを乾燥ガス雰囲気中で行うことによっても、ある程度の効果を得ることができる。
【0034】
また本実施形態では、封着工程において、内部空間に雰囲気ガスとして乾燥空気を流したが、蛍光体層と反応を起こさない窒素等の不活性ガスであって水蒸気分圧の低いものを流しても、同様の効果が得られる。
また本実施形態では、封着工程において両パネル基板10・20間の内部空間にガラス管26aから乾燥空気を強制的に送り込みながら封着するようにしたが、このように強制的に乾燥空気を送り込まなくても、例えば、図3に示した加熱装置40を用いて、乾燥空気雰囲気中で両パネル基板10・20を封着しても、乾燥ガスが通気口21a・21bから多少内部空間に流入するので、ある程度の効果が得られる。
また、本実施形態では説明しなかったが、この他に、保護層14が形成された前面パネル基板10を乾燥ガス雰囲気中で焼成することによっても、保護層14に吸着されている水分量が少なくなるので、これだけでも、封着工程における青色蛍光体層の熱劣化はある程度抑制される。また、このような乾燥ガス雰囲気中における前面パネル基板10の焼成を、本実施形態の製造方法と組み合わせれば、更なる効果が期待できる。
また、本実施形態の製法で作成されたPDPは、蛍光体層に含有されている水分も少ないため、PDP駆動時における異常放電が少ないという効果も得られる。
【0035】
(実施例1)
【0036】
【表1】
【0037】
パネルNo.1〜4は、本実施の形態に基づいて作製した実施例に係るPDPであって、蛍光体焼成工程、フリット仮焼工程、封着工程で流す乾燥空気の水蒸気分圧を、0〜12Torrの範囲内でいろいろな値に変化させたものである。
また、パネルNo.5は、比較例に係るPDPであって、蛍光体焼成工程、フリット仮焼工程、封着工程を、未乾燥の空気(水蒸気分圧20Torr)中で行ったものである。
これらの各PDPにおいて、蛍光体層の膜厚は30μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe(5%)を500Torrで封入した。
【0038】
〈発光特性試験〉
試験方法及び結果:
これらの各PDPについて、発光特性として、色補正なしで白バランスでのパネル輝度及び色温度(青色セル,赤色セル,緑色セルを同じ電力で発光させたときのパネル輝度及び色温度)、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
これらの測定結果は、表1に示す通りである。
【0039】
なお、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線(中心波長146nm)を照射し、青色,緑色,赤色の全色を発光させたときの色温度、並びに、青色及び緑色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定したところ、作製した前面パネル基板に色フィルタなどを設けていないため、上記点灯による結果と同等の結果が得られた。
更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、TDS分析法(昇温脱離ガス質量分析法)で、青色蛍光体1g当りから脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折によって青色蛍光体結晶のa軸長及びc軸長も測定した。
【0040】
TDS分析では、日本真空技術(株)製の赤外線加熱型昇温脱離ガス質量分析装置を用いて次のように測定した。
Ta製皿に詰めた蛍光体資料を予備排気室で10-4Paオーダまで排気した後、測定室へ挿入し、10-7Paオーダまで排気した。その後、赤外線ヒータを用いて、室温から1100℃まで、昇温速度10℃/minで昇温しながら、蛍光体から脱離するH2O分子(質量数18)の分子数を、測定間隔15秒のスキャンモードで測定した。図7(a),(b),(c)は、パネルNo.2,4,5から取り出した青色蛍光体について測定した結果を示すチャートである。
図7のチャートにおいて、青色蛍光体から脱離するH2O分子数のピークは、100〜200℃付近と400〜600℃付近で見られる。
100〜200℃付近のピークは物理吸着ガスが脱離したもの、400〜600℃付近のピークは化学吸着ガスが脱離したものによると考えられる。
【0041】
表1には、200℃以上の領域で現れる脱離H2Oの分子数のピーク値、即ち、400〜600℃付近の脱離H2Oの分子数のピーク値、及び青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比の測定結果も示されている。
考察:
表1の測定結果において、実施例(パネルNo.1〜4)と、比較例(パネルNo.5)とについて、発光特性を比較すると、実施例は比較例より発光特性が優れている(パネル輝度が高く、色温度が高い。)。
【0042】
パネルNo.1〜4について発光特性を比較すると、パネルNo.1,2,3,4の順で発光特性が向上している。
この結果から、蛍光体焼成工程、フリット仮焼工程、封着工程における水蒸気分圧が低いほど、発光特性(パネル輝度、色温度)が優れていることがわかる。
【0043】
このように水蒸気分圧を低減すると発光特性が向上するのは、青色蛍光体層(BaMgAl10O17:Eu)の熱劣化が防止され、色度座標yの値が小さくなるためと考えられる。
また、本実施例の青色蛍光体では、昇温脱離ガス質量分析における200℃以上の領域で現れる脱離H2Oの分子数のピーク値が1×1016個/g以下であり、a軸長に対するc軸長の比が4.0218以下であるのに対して、比較例の青色蛍光体では、上記各値より大きい値を示している。
【0044】
[実施の形態2]
本実施形態のPDPは、図1に示す実施の形態1のPDPと同様の構成である。
また、PDPの製造方法についても上記実施の形態1と同様であるが、背面ガラス基板21の外周部における通気口の開設位置や、封着ガラスフリットを塗布する形態などに違いがある。即ち、PDPの製造工程の中でも、封着工程においては、蛍光体焼成工程やフリット仮焼工程と比べて、加熱時に前面板上の保護層、蛍光体層、封着用ガラスなどから発生する水蒸気を含むガスが、隔壁で仕切られた狭い内部空間に閉じ込められることによって、蛍光体層が熱劣化をより大きく受けやすいことを考慮し、本実施形態では、封着工程において、内部空間に導入された乾燥空気が、隔壁間の空間を安定して流れるように工夫を施し、隔壁間の空間に発生するガスを効率よく排出して、蛍光体層の熱劣化を防止する効果を高めるようにしている。
図8〜図16は、背面ガラス基板21の外周部における通気口の開設位置や、封着ガラスフリットを塗布する形態の具体例を示す図である。なお、背面パネル基板20には、画像表示領域全体にわたってストライプ状の隔壁24が設けられているが、図8〜図16においては、両サイドの数本の隔壁24だけを表示しており、中央部の隔壁24は図示を省略している。
これらの図に示すように、背面ガラス基板21の外周部において、枠状の封着ガラス領域60(封着ガラス層15が配される領域)が設定されている。この封着ガラス領域60は、最も外側に配列された隔壁24に沿って延びる一対の縦封着領域61と、隔壁24の幅方向に延びる一対の横封着領域62とからなる。
【0045】
そして、封着時において、隔壁24間の各間隙65を乾燥空気が流れる。
以下、各図に示した例の特徴について説明する。
図8〜図12に示す例では、封着ガラス領域60の内側における対角位置に通気口21a及び通気口21bが開設されており、封着時において、上記図4のように通気口21aから導入される乾燥空気は、隔壁端部24aと横封着領域62との間の間隙63aを通過し、隔壁24間の各間隙65に分配されこれを流れた後に、隔壁端部24bと横封着領域62との間の間隙63bを通過して、通気口21bから排出される。
図8に示す例では、横封着領域62と隔壁端部24aとの間隙63a及び横封着領域62と隔壁端部24bとの間隙63bが、縦封着領域61とそれに隣接する隔壁24との間隙64a及び間隙64bよりも広く設定されている(間隙63aの最小幅をD1及び間隙63bの最小幅をD2、間隙64a最小幅をd1、間隙64bの最小幅をd2とするとD1,D2>d1,d2に設定されている)。
この構成によって、通気口21aから導入される乾燥空気が隔壁24間の間隙65を流通するときのガス流通抵抗が、間隙64a及び間隙64bを流通するときのガス流通抵抗と比べて小さくなるので、乾燥空気が間隙63a及び63bに広がりやすく、乾燥空気は、安定して各間隙65に分配されこれを流通する。
【0046】
従って、各間隙65内に発生するガスは、効率良く排出されるため、封着工程における蛍光体層の熱劣化を防止する効果が高められる。
そして、間隙63aの最小幅D1及び間隙63bの最小幅D2を、間隙64aの最小幅d1及び間隙64bの最小幅d2と比べて、2倍あるいは3倍と大きくすればするほど、隔壁24間の間隙65を流通するときのガス流通抵抗が小さくなり、乾燥空気がより安定に各間隙65を流れるので、効果も大きくなる。
、図9に示す例では縦封着領域61は、それに隣接する隔壁24と、中央部において接触しており、間隙64aの最小幅d1及び間隙64bの最小幅d2は0である。この場合、間隙64a及び間隙64bには乾燥空気が流れないので、乾燥空気が更に安定して各間隙65に分配される。
図10〜図16に示す例では、封着ガラス領域60の内周に沿って、流止隔壁70が設けられている。この流止隔壁70は、縦封着領域61に沿った縦隔壁71と横封着領域62に沿った横隔壁72とからなる枠状であって、通気口21a,21bはこの流止隔壁70の内側に隣接している(但し、図12に示す例では、縦隔壁71はなく、横隔壁72だけ設けられている。)。
このような流止隔壁70は、隔壁24と同様の形状及び材料で形成されたものであって、隔壁24を形成するときに流止隔壁70も一緒に形成することができる。
【0047】
この流止隔壁70は、封着ガラス領域60に配設される封着ガラスが、加熱されて軟化したときに、パネル中央の表示領域に流れ込むのを防止する。
図10に示す例では、上記図8の場合と同様、横隔壁72と隔壁端部24aとの間隙63a及び横隔壁72と隔壁端部24bとの間隙63bが、縦隔壁71とそれに隣接する隔壁24との間隙64a及び間隙64bよりも広く設定されており(D1,D2>d1,d2)、図8の場合と同様の効果を奏する。
【0048】
図11に示す例では、更に、縦隔壁71とそれに隣接する隔壁24との間隙64a及び間隙64bを仕切る仕切隔壁73a及び仕切隔壁73bが設けられている。この仕切隔壁73a及び73bによって、縦隔壁71とそれに隣接する隔壁24とが、中央部において仕切られているため、図9の場合と同様に、間隙64aの最小幅d1及び間隙64bの最小幅d2は0である。よって、図9の場合と同様の効果を奏する。
図12に示す例では、図9の場合と同様に、縦封着領域61は、それに隣接する隔壁24と、中央部において接触しており、間隙64aの最小幅d1及び間隙64bの最小幅d2は0であるので、図9の場合と同様の効果を奏する。
【0049】
図13に示す例では、流止隔壁70内側における通気口21a、21bの位置が、対角位置ではなく、縦隔壁71の中央付近に隣接して設けられていると共に、間隙64a及び間隙64bの端部において当該間隙を仕切る仕切隔壁73a及び仕切隔壁73bが設けられている。この場合、乾燥空気は、図11の場合と同様に流通し、図11の場合と同様の効果を奏する。
図14に示す例は、図11の例と略同様であるが、ガス入口となる通気口21a及びガス出口になる通気口21bが、2ヶ所づつに形成されていると共に、ストライプ状に並設されている複数の隔壁24の中で、真ん中に位置する中央隔壁27は横隔壁72につながるよう延設されている。この場合、中央隔壁27で分割された2つの領域ごとに、乾燥空気が別々に流通することになるが、間隙63a及び間隙63bが、間隙64a及び間隙64bよりも広く設定されているので、図11の場合と同様の効果を奏する。また、この図14の例では、2つの領域ごとに乾燥空気の流通量を調整することも可能である。
(本実施形態の変形例)
なお、本実施の形態において、封着工程で内部空間に流す乾燥空気は、水蒸気分圧を15Torr以下(または露点温度が20℃以下)とするのが好ましい点や、封着工程で流すガスは、乾燥空気に限られず、蛍光体層と反応を起こさない窒素等の不活性ガスであって水蒸気分圧の低いものを流しても、同様の効果が得られる点などについては、実施の形態1で説明した通りである。
また、本実施形態においては、背面パネル基板側に隔壁が設けられる場合について説明したが、前面パネル基板側に隔壁が設けられる場合においても、同様に実施することができ、同様の効果を奏する。
【0050】
(実施例2)
【0051】
【表2】
【0052】
パネルNo.6のPDPは、本実施の形態における図10の例に基づいて作製したPDPであって、封着工程で流す乾燥空気の水蒸気分圧は2Torr(露点温度−10℃)とした。
パネルNo.7のPDPは、背面パネル基板20が、図15に示すように、横隔壁72と隔壁端部24aとの間隙63a及び横隔壁72と隔壁端部24bとの間隙63bが、縦隔壁71とそれに隣接する隔壁24との間隙64a及び間隙64bよりも狭く設定されている(D1,D2<d1,d2)が、それ以外は図10に示す例と同様である。このパネルNo.7は、パネルNo.6と同様の条件で封着を行うことによって作製したPDPである。
パネルNo.8のPDPは、図16に示すように、背面パネル基板20に通気口21aが1カ所だけ設けられている。このパネルNo.8は、比較例に係るものであって、封着工程において、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを重ね合わせた後に内部空間に乾燥空気を流すことなく加熱昇温して封着したものである。
これらのパネルNo.6〜8のPDPにおいて、封着工程以外の製造過程は同じ条件とした。また、パネル構成も、通気口と流れ止め用隔壁以外は同じ構成とし、蛍光体膜厚は30μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe(5%)を500Torrで封入した。
【0053】
〈発光特性試験〉
試験方法及び結果:
これらの各PDPについて、発光特性として、色補正なしで白バランスでのパネル輝度及び色温度、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
これらの測定結果は、表2に示す通りである。
【0054】
また、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線を照射し、全色を発光させたときの色温度、並びに、青色及び緑色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定したところ、上記点灯による結果と同等の結果が得られた。
更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も測定した。表2には、これらの結果も示されている。
【0055】
考察:
表2の測定結果において、パネルNo.6が最も良好な発光特性を示している。
パネルNo.6の発光特性がパネルNo.7の発光特性よりも良かったのは、パネルNo.6では封着工程で、隔壁間の空間を乾燥空気が安定に流れ、内部で発生したガスを効率良く排出できたのに対し、パネルNo.7は、通気口21aから導入された乾燥空気のほとんどが、間隙63a及び間隙63bを通って通気口21bから排出され、隔壁間の間隙65にはあまり流れなかったため、間隙65に発生したガスを効率良く排出できなかったことが理由と考えられる。
また、パネルNo.8の発光特性が悪いのは、乾燥ガスが間隙65に流れないため、間隙65に発生したガスが排出されないためと考えられる。
【0056】
なお、本実施例では、図10に基づくPDPについて述べたが、図10〜図16のいずれに基づくPDPにおいても、ほぼ同等に良好な発光特性が得られた。
[実施の形態3]
本実施形態のPDPは、図1に示す実施の形態1のPDPと同様の構成である。
また、PDPの製造方法においても上記実施の形態1と同様であるが、封着工程において、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを封着する際に、内部空間が大気圧より低い圧力になるよう調整しつつ乾燥空気を流しながら、加熱を行う。
【0057】
即ち、前面パネル基板10及び背面パネル基板20の少なくとも一方に封着用ガラスフリットを塗布して封着ガラス層を形成して、仮焼する。仮焼した後、両基板10,20を重ね合わせ、重ね合わせた両基板10,20を、上記図4に示す封着用加熱装置50の加熱炉51内に入れ、ガラス管26a・26bに配管52a・52bを連結し、配管52bから真空ポンプ54で排気することにより内部空間を減圧状態にしながら、ガス供給源53からの乾燥空気を配管52aを通して一定の流量で送り込む。このとき、内部空間が大気圧より低い所定圧力に維持されるように、調整バルブ55a,55bを調整する。
このように内部空間に減圧状態で乾燥空気を流しながら、両パネル基板10・20を加熱昇温し、封着温度(ピーク温度450℃)で30分間加熱することによって、封着ガラス層15を軟化させて両パネル基板10・20を封着する。
【0058】
そして、付着したパネル基板の内部空間を真空排気しながらパネルを焼成する(350℃で3時間)。その後、上記組成の放電ガスを所定の圧力で封入することによってPDPが作製される。
(本実施の形態における効果)
本実施形態の封着工程においては、実施の形態1と同様、内部空間に乾燥ガスを流しながら封着を行うので、上記したように蛍光体が水蒸気と接触することによる熱劣化が抑えられる。
【0059】
内部空間に流通している乾燥空気の水蒸気分圧については、実施の形態1と同様、15Torr以下とすることが望ましく、さらに水蒸気分圧を、10Torr以下、5Torr以下、1Torr、0.1Torr以下と低く設定するほど蛍光体の熱劣化を抑えることができ、乾燥空気の露点温度としては、これを20℃以下とするのが好ましく、0℃以下、−20℃以下、−40℃以下とするのがより好ましい。
更に、本実施の形態では、内部空間を大気圧より低い圧力に保ちつつ封着を行うので、内部空間で発生した水蒸気が、実施の形態1と比べて、より効率よく外部へ排出される。また、内部空間を大気圧以下に維持しながら乾燥空気を導入しているので、封着時に内部空間が膨らむことなく、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを密着性よく封着できる。
封着時における内部空間の圧力を低く設定するほど、水蒸気分圧を低くしやすく、密着性よく封着できる点で好ましい。この点で、内部空間の圧力は、500Torr以下に設定することが好ましく、300Torr以下に設定することがより好ましい。
【0060】
一方、乾燥空気を流す場合、あまり圧力を低くし過ぎると、雰囲気ガスの酸素分圧が低くなる。そのため、PDPで多用されているBaMgAl10O17:Eu、Zn2SiO4:MnやY2O3:Eu等の酸化物系の蛍光体は、無酸素の雰囲気中で加熱すると、酸素欠陥等の欠陥が形成され、発光効率が低下起こりやすくなる。従って、この点から見ると、圧力を300Torr以上に設定することが好ましいということが言える。
(本実施形態の変形例)
なお、本実施の形態では、封着工程において、内部空間に雰囲気ガスとして乾燥空気を流したが、蛍光体層と反応を起こさない酸素、窒素等の不活性ガスであって水蒸気分圧の低いものを流しても、同様の効果が得られる。ただし、酸素を含む雰囲気ガスを流す方が、輝度劣化が抑えられる点で好ましい。
また、本実施の形態では、封着用ガラスが軟化していない低温時から、内部空間を減圧状態にしたが、この場合、前面パネル基板10と背面パネル基板20との隙間から、加熱炉51内のガスが内部空間に流入することもあり得るので、加熱炉51内にも乾燥空気を充填したり流すようにすることが好ましい。
【0061】
また、封着工程において、加熱炉51内のガスが内部空間に流入しないようにするため、封着用ガラスが軟化していない低温時には、内部空間から乾燥ガスを強制的に排出せずに、大気圧近くに保っておき、ある程度に温度が上昇してから強制的に排出して内部空間を大気圧より低くするようにしてもよい。この場合、排気を開始する温度は、封着用ガラスが軟化し始める温度以上とすることが望ましい。この点から、排気を開始する温度は、300℃以上とすることが好ましく、より好ましくは350℃以上、更に400℃以上とすることが好ましい。
また、本実施形態では、封着工程を、内部空間を減圧状態にしつつ乾燥空気を流しながら行うことについて説明したが、蛍光体焼成工程、仮焼工程についても、減圧状態で乾燥空気を流した雰囲気中で行うことも可能であって、同様の効果を奏する。
【0062】
また、本実施形態においても、上記実施の形態2で説明したようなパネル構造を適用すればより効果的である。
(実施例3)
【0063】
【表3】
【0064】
表3に、本実施の形態及び実施形態1に基づいて作製した実施例に係るPDP、及び比較例に係るPDPについて、作製条件を示す。
パネルNo.11〜21のPDPは、本実施形態に基づくPDPであって、封着工程でパネル内部に流す乾燥ガスの水蒸気分圧、パネル内部空間のガス圧、パネル内部空間を大気圧以下にし始める温度、および乾燥ガスの種類を変化させたものである。
パネルNo.22のPDPは、実施の形態1に基づくPDPであって、封着工程において、内部空間に乾燥空気を導入したが、強制的に排気を行わなかったものである。
【0065】
パネルNo.23のPDPは、比較例に係るPDPであって、封着工程において内部空間に乾燥ガスを導入することなく従来通りの方法で行ったものである。
これらの各PDPにおいて、蛍光体層の膜厚は30μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe(5%)を500Torrで封入した。
【0066】
〈発光特性試験〉
試験方法及び結果
これらの各PDPについて、発光特性として、青色発光の相対発光強度、青色発光の色度座標yの値、青色発光のピーク波長、白色表示(色補正なし)の色温度、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
青色発光強度、青色発光の色度座標yの値、白色表示(色補正なし)の色温度については、実施の形態1で説明した方法で測定した。青色発光のピーク波長については、青色セルのみを点灯させ、その発光スペクトルを測定することによって求めた。 これらの測定結果は、表3に示す通りである。
【0067】
なお、表3に示す青色発光の相対発光強度は、発光強度測定値を、比較例に係るパネルNo.23についての発光強度測定値を基準値100としたときの相対値で表わしたものである。
また、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線を照射し、青色発光時の色度座標y、全色を発光させたときの色温度、並びに、青色及び緑色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定したところ、上記点灯による結果と同等の結果が得られた。
【0068】
更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も測定した。表3には、これらの結果も示されている。
考察:
実施例(パネルNo.11〜21)と、比較例(パネルNo.23)とで、発光特性を比較すると、実施例は比較例より発光特性が優れている(青色発光の発光強度が高く、白色表示の色温度が高い。)。
【0069】
パネルNo.14及びパネルNo.22の発光特性を比べると、同等の値を示している。これは、内部空間に流れる乾燥空気の水蒸気分圧が同等であるなら、内部空間が大気圧状態であっても、減圧状態であっても同等の効果(発光特性)が得られることを示している。
但し、パネルNo.22の中で、隔壁と前面パネル基板との間に隙間が見られたものもあった。これは、パネルNo.22においては、封着中に導入する乾燥ガスで内部空間が多少膨らんだためと考えられる。
【0070】
パネルNo.11〜14の発光特性を比較すると、No.11〜14の順で青色発光強度が高く、また青色発光の色度座標yも小さくなっていることがわかる。これより、乾燥空気の水蒸気分圧が低いほど、青色発光強度が高くなり、青色発光の色度座標yも小さくなることがわかる。これは、青色蛍光体の熱劣化が、水蒸気分圧を低減することによって防止されたためと考えられる。
パネルNo.14〜16の発光特性を比較すると、青色発光の色度座標yについては同等であって、青色発光の色度座標yが内部空間の圧力に影響されないことを示している。一方、青色発光の相対発光強度については、パネルNo.14〜16の順で低下している。これは、雰囲気ガスの酸素分圧が低くなると、蛍光体に酸素欠陥等の欠陥が発生し、青色発光の発光強度が低下することを示している。
パネルNo.14及びパネルNo.20,21の発光特性を比べると、青色発光の色度座標yについては同等であって、青色発光の色度座標yが内部空間に流す乾燥ガスの種類に影響されないことを示している。一方、青色発光の相対発光強度については、パネルNo.20,21では、パネルNo.14と比べて低くなっている。これは、乾燥ガスとして窒素やNe(95%)−Xe(5%)のような酸素が含まれないガスを用いた場合、蛍光体に酸素欠陥等の欠陥が発生し、発光強度が低下することを示している。
パネルNo.14及びパネルNo.17〜19の発光特性を比べると、パネルNo.17、18、14、19の順で、青色発光強度が向上し、色度座標yも小さくなっている。これは、内部空間を真空排気して大気圧より低くし始める温度が高いほど、青色発光強度が高く、色度座標yも小さくなることを示しており、内部空間の排気開始温度を高くすることで、パネル周囲の雰囲気ガスがパネル内部空間に流入することを防げたためと考えられる。
また、表3に示した各パネルNo.における青色発光の色度座標yと青色発光のピーク波長との関係を見ると、青色発光の色度座標yの値が小さいほど、青色発光のピーク波長は短いことがわかる。これは、青色発光の色度座標y値が小さいことと、青色発光のピーク波長が短いこととが同等であることを示している。
【0071】
[実施の形態4]
本実施形態のPDPは、図1に示す実施の形態1のPDPと同様の構成である。
本実施形態のPDPの製造方法においては、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを封着する封着工程までは、従来と同様の方法で行うが(即ち、封着工程では、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを重ね合わせた後に内部空間に乾燥空気を流すことなく加熱昇温する。)、排気工程において、真空排気を開始する前に、乾燥ガスを内部空間に流しながら加熱する処理を行う点が異なっており、これによって、封着工程までに熱劣化した青色蛍光体層の発光特性を回復させることができる。
以下、本実施の形態における排気工程について、詳述説明する。
【0072】
本実施の形態の排気工程では、図4に示す封着用加熱装置と同じものを用いるので、図4を参照しながら説明する。
背面パネル基板20の通気口21a、21bには、予めガラス管26a・26bが取り付けられている。ガラス管26a・26bに配管52a・52bを連結し、配管52bから真空ポンプ54で排気することによって内部空間を一旦真空にした後、真空ポンプ54は使わずに配管52aから一定の流量で乾燥空気を送り込む。これによって、両パネル基板10・20間の内部空間に乾燥空気が流通し、配管52bから排出される。
このように内部空間に乾燥空気を流しながら、両パネル基板10・20を所定の温度になるまで加熱昇温する。
【0073】
その後、乾燥空気の供給を停止し、今度は、真空ポンプ54を用いて排気を行いながら、所定の排気温度に保つことによって、パネル基板10・20の内部に吸着されているガスを排出する。
このように排気工程が終了した後、放電ガスを封入することによってPDPが作製される。
【0074】
(本実施形態の効果について)
本実施形態の排気工程によれば、排気工程における蛍光体層の熱劣化を防止する効果がある。
また、PDPの製造工程の中で、蛍光体を塗布し蛍光体層を形成した後でこれを焼成する蛍光体焼成工程、封着用ガラスフリットを塗布した後でこれを仮焼する仮焼工程、並びに前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせて封着する封着工程において、蛍光体層(特に青色蛍光体)に熱劣化が生じやすいが、仮に排気工程を行う前の封着工程などで蛍光体層が熱劣化して発光特性が低下していたとしても、蛍光体層の発光特性を回復させることが可能である。
この理由は、次のように考えられる。
【0075】
封着工程によって封着されたパネル基板を加熱昇温すると、内部空間にはガス(特に水蒸気)が放出される。例えば、封着されたパネル基板を大気中に放置しておくと内部にも水分等が吸着されるので、これを加熱すると水蒸気などが放出されることになる。ここで、本実施形態の排気工程によれば、真空排気を開始する前に、内部空間に乾燥空気を流通させながらパネル基板を加熱昇温させるという乾燥ガス処理で水蒸気等が放出され効率よくパネル外部に排出される。従って、乾燥ガス処理を行わず単純に真空排気を行う従来の排気工程と比べて、熱劣化は少なくなる。
また、乾燥ガス処理によるガス排出作用によって、蛍光体層が熱劣化する時とは逆の反応が起こってガスが排出され、発光特性が回復されると考えられる。
【0076】
このように本実施形態では、一旦熱劣化した青色蛍光体の発光特性を、最後の熱プロセスとなる排気工程で回復させることができるため、実用的効果も大きい。
本排気工程における青色蛍光体の発光特性を回復させる効果をより高めるために、以下のように条件を設定することが好ましい。
【0077】
排気工程におけるピーク温度(即ち、乾燥ガスを流しながら加熱するときの温度及び真空排気を行うときの温度の温度の中で高い方の温度)は、高く設定する程、青色蛍光体の発光特性回復効果は大きくなる。
十分な発光特性の回復効果を得るために、ピーク温度(乾燥ガス処理時の温度及び排気温度に中で高い方の温度)は300℃以上に設定することが好ましく、更に、360℃、380℃、400℃とより高く設定するのが好ましい。但し、封着用ガラスが軟化して流れ出すほど温度を高くしないようにする必要がある。
【0078】
また、乾燥ガス処理において加熱昇温する温度は、真空排気を行うときの排気温度よりも高く設定する方が好ましい。これは、真空排気時の排気温度が乾燥ガス処理における加熱温度より高いと、真空排気時において基板から内部空間に放出されるガス(特に水蒸気)によって効果が低減するのに対して、乾燥ガス処理時の加熱温度の方を高くすると、真空排気時において内部空間に放出されるガスが少なくなるためと考えられる。
乾燥ガス処理において流通させる乾燥ガスの水蒸気分圧は、低く設定するほど好ましい。即ち、青色蛍光体の発光特性が回復する効果は、乾燥ガスの水蒸気分圧が低いほど向上するが、従来の真空排気工程と比較して顕著な効果が現れるのは、水蒸気分圧が15Torr以下の範囲である。
【0079】
熱劣化した青色蛍光体の発光特性を回復できることは、以下の実験からもわかる。
図17及び図18は、青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)を一旦熱劣化させた後、空気中で再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存性を示す特性図であって、以下のように測定したものである。
【0080】
先ず、青色蛍光体(色度座標y値は、0.052)を、水蒸気分圧30Torrの空気中で焼成(ピーク温度450℃で20分)することによって熱劣化させた。この熱劣化した青色蛍光体は、色度座標y値は0.092、相対発光強度(全く未焼成の青色蛍光体の発光強度を100としたときの発光強度の指標)は85であった。
そして、この熱劣化した青色蛍光体を、水蒸気分圧の値をいろいろに変えた空気中で所定のピーク温度で再焼成した後、相対発光強度並びに色度座標y値を測定した。なお、再焼成時に、ピーク温度は350℃および450℃に設定し、ピーク温度維持時間は30分とした。
【0081】
図17は、再焼成時における空気中の水蒸気分圧と測定した相対発光強度との関係を示し、図18は、再焼成時における空気中の水蒸気分圧と測定した色度座標y値との関係を示している。
図17,18の特性図から、再焼成の温度が350℃,450℃のいずれの場合でも、再焼成時における空気中の水蒸気分圧が0〜30Torrの範囲において、青色相対発光強度は高く、青色色度座標y値は小さくなっていることがわかる。これは、青色蛍光体が、水蒸気が多く含まれる雰囲気で焼成することによって熱劣化し発光特性が低下しても、より水蒸気分圧の低い雰囲気中で再焼成することによって、発光特性が回復すること、即ち、青色蛍光体の熱劣化が可逆的反応であることを示している。
また、図17,18の特性図から、再焼成時における空気中の水蒸気分圧が低いほど、そして再焼成温度が高いほど、発光特性の回復効果が大きいこともわかる。
【0082】
なお詳しい説明は省略するが、この他に、ピーク温度で維持する時間を変えて同様の測定を行った。その結果、ピーク温度で維持する時間が長いほど、発光特性の回復効果は大きいことがわかった。
(本実施形態の変形例)
本実施形態の排気工程では、乾燥ガス処理を行うのに乾燥空気を用いたが、窒素やアルゴン等の不活性ガスを用いても同様に実施でき、同様の効果が得られる。
【0083】
また、本実施形態の排気工程では、真空排気を開始する前に、乾燥空気を流通させながらパネル基板を加熱昇温させる乾燥ガス処理を行ったが、乾燥ガス処理を行わず単純に真空排気を行う場合でも、排気温度を従来の一般的な排気温度よりも高めの排気温度(360℃以上)に設定することによって、蛍光体層の発光特性をある程度回復することはできる。そして、この場合も、排気温度を高く設定する程、大きい発光特性回復効果が得られる。
但し、乾燥ガス処理を行う方が、蛍光体層の発光特性回復効果は大きい。これは、内部空間が狭いために、乾燥ガス処理を行わないと、真空排気時に放出される水蒸気がパネル外部へ十分に排気されにくいためと考えられる。
【0084】
また、本実施形態においても、上記実施の形態2で説明したようなパネル構造を適用すれば、乾燥ガス処理時においてより大きなガス排出効果が期待できる。
(実施例4)
【0085】
【表4】
【0086】
パネルNo.21〜29は、本実施の形態に基づいて、乾燥ガス処理を行った後、真空排気して作製した実施例のPDPであって、乾燥ガス処理時の加熱温度および排気温度とを、いろいろな温度に変えて作製した。乾燥ガス処理では、乾燥空気を流しながら所定の加熱温度で30分間維持し、真空排気時には、所定の排気温度で2時間維持した。
パネルNo.30〜32は、上記変形例に基づいて、乾燥ガス処理は行わず、360℃以上の排気温度で真空排気して作製した実施例のPDPである。
【0087】
パネルNo.33は、従来と同様に、乾燥ガス処理を行うことなく350℃で加熱しながら2時間真空排気して作製した比較例に係るPDPである。
これらの各PDPにおいて、パネル構成は同じとし、蛍光体層の膜厚は30μmとし、放電ガスはNe(95%)−Xe(5%)を500Torrで封入した。
〈発光特性試験〉
これらの各PDPについて、発光特性として、青色発光の相対発光強度、青色発光の色度座標y値を測定した。
【0088】
試験結果と考察:
これらの測定結果は、表4に示す通りである。なお、発光強度は、比較例のパネルNo.33の発光強度を100とし、相対発光強度で示している。
パネルNo.21〜28は、いずれもパネルNo.33と比べて、発光強度が高く青色発光の色度座標y値が小さい。これは、本実施の形態の排気工程を用いてPDPを製造することによって、従来よりPDPの発光特性が向上することを示している。
【0089】
パネルNo.21〜24の間で発光特性を比べると、パネルNo.21,22,23,24の順で発光特性が向上している(相対発光強度が高くなり、色度座標y値が小さくなっている)。これは、乾燥ガス処理時における加熱温度を高く設定する程、青色蛍光体層の発光特性回復効果が向上することを示している。
また、パネルNo.24,25,26の間で発光特性を比較すると、パネルNo.26,25,24の順で発光特性が向上している。これは、乾燥ガス処理時における加熱温度を、真空排気時の排気温度よりも高く設定する方が、青色蛍光体層の発光特性回復効果が向上することを示している。
【0090】
また、パネルNo.24,27〜29の間で発光特性を比べると、パネルNo.27,28,24,29の順で発光特性が向上している。これは、乾燥ガス処理時の水蒸気分圧を小さく設定するほど、青色蛍光体層の発光特性回復効果が向上することを示している。
また、パネルNo.30〜32は、パネルNo.33と比べて、いずれも発光強度が高く青色発光の色度座標y値が小さい。これは、上記変形例の排気工程を用いてPDPを製造することによっても、従来よりPDPの発光特性が向上することを示している。
【0091】
ただし、パネルNo.30〜32は、パネルNo.21等と比べると発光特性は劣っている。これは、乾燥ガス処理を行う方が、青色蛍光体層の発光特性の回復効果が大きいことを示している。
[実施の形態5]
本実施形態のPDPは、図1に示す実施の形態1のPDPと同様の構成である。
【0092】
PDPの製造方法においても、仮焼工程までは上記実施の形態1と同様であるが、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを封着する際に、前面パネル基板10と背面パネル基板20の対向面を開放した状態で予備加熱し、加熱された状態で重ね合わせて封着する点が異なっている。
本実施形態のPDPは、青色セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標yが0.08以下、発光スペクトルのピーク波長が455nm以下であって、色補正なしの白バランスで色温度を7000K以上とすることができる。更に製造条件によっては青色発光の色度座標yを0.06以下とすることにより、色補正なしの白バランスで色温度を11000K程度とすることも可能となる。
以下、本実施形態における封着工程について詳細に説明する。
【0093】
図19は、封着工程に用いる封着装置の構成を模式的に示す図である。
この封着装置80は、前面パネル基板10及び背面パネル基板20を加熱する加熱炉81に、加熱炉81内ヘ導入する雰囲気ガスの導入量を調整するガス導入弁82、加熱炉81から排出するガスの排出量を調整するガス排出弁83等が取り付けられて構成されている。
加熱炉81内は、ヒータ(不図示)によって高温に加熱できるようになっている。また、加熱炉81内には、前面パネル基板及び背面パネル基板が加熱される雰囲気を形成する雰囲気ガス(例えば乾燥空気)を、ガス導入弁82から導入することができ、ガス排出弁83から真空ポンプ(不図示)で排気して加熱炉81内を高真空にできるようにもなっている。そして、このガス導入弁82及びガス排出弁83で加熱炉81内の真空度を調整することができる。
なお、雰囲気ガス供給源から加熱炉81への間には、雰囲気ガスを低温(マイナス数十度)に冷却して水分を凝結させることによって除去するガス乾燥器(不図示)が設けられており、このガス乾燥器を経由することによって、雰囲気ガス中の水蒸気量(水蒸気分圧)が低減される。
【0094】
加熱炉81の中には、前面パネル基板10と背面パネル基板20を重ね合わせて載置する載置台84が設けられ、この載置台84の上部には、背面パネル基板20を平行移動させる移動ピン85が設置されている。また載置台84の上方には、背面パネル基板20を下方に押圧するための押圧機構86が設置されている。
図20は、加熱炉81の内部の構成を示す斜視図である。
【0095】
図19,20において、背面パネル基板20は、隔壁の長手方向が図面横方向に沿うように配置されている。
図19,20に示すように、隔壁の長手方向(図面横方向)において、背面パネル基板20は、前面パネル基板10よりも若干長く設定されており、背面パネル基板20の両端部が前面パネル基板10の両端部より外方にはみ出している。なお、このはみ出し部分には、アドレス電極22を駆動回路に接続するための引出し線が配設されている。そして、移動ピン85及び押圧機構86は、載置台84上に載置される背面パネル基板20のはみ出し部分を、背面パネル基板20の4角付近において上下から挟みこむように配置されている。
4つの移動ピン85は、ピン上端が載置台84の上面から上方に突き出ており、載置台84の内部に設けられたピン昇降機構(不図示)によって同時に昇降できるようになっている。
【0096】
4つの押圧機構86の各々は、加熱炉81の上部に固着されている円筒状の支持部86aと、支持部86aの内側を上下移動可能な状態で支持されているスライド棒86bと、支持部86aの内部にあってスライド棒86bを下方に付勢するバネ86cとから構成され、バネ86cの付勢力によりスライド棒86bの下端が背面パネル基板20を押圧するようになっている。
図21は、この封着装置を用いて予備加熱工程及び封着工程を行う際の動作を示す図である。
【0097】
本図を参照しながら、仮焼・予備加熱・封着工程について説明する。
仮焼工程:
予め、前面パネル基板10の対向面(背面パネル基板20と対向する面)の外周部、あるいは背面パネル基板20の対向面(前面パネル基板10と対向する面)の外周部、あるいは前面パネル基板10及び背面パネル基板20両方の対向面の外周部に、封着用ガラス(ガラスフリット)からなるペーストを塗布し、350℃程度で10〜30分間、仮焼成することによって封着ガラス層15を形成しておく(なお、図では、封着ガラス層15は前面パネル基板10の対向面に形成されている。)。
予備加熱工程:
そして、前面パネル基板10及び背面パネル基板20を位置合わせして重ね合わせた状態で、載置台84上の定位置に載置し、押圧機構86をセットして背面パネル基板20を押える(図21(a)参照)。
【0098】
次に、加熱炉81内に雰囲気ガス(乾燥空気)を流通させながら(もしくはガス排出弁83からの真空排気を併用しながら)、以下の操作を行う。
移動ピン85を上昇させ、背面パネル基板20を上方に押し上げて平行移動させる(図21(b)参照)。これによって前面パネル基板10及び背面パネル基板20の対向面の間隙が広がり、背面パネル基板20の蛍光体層25が配された面は、加熱炉81内の広い空間に開放されることになる。
【0099】
この状態で加熱炉81内を加熱昇温することによってパネル基板10,20からガスを放出する。そして、所定の温度(例えば400℃)に達したら、予備加熱工程を終える。
封着工程:
続いて、移動ピン85を降下させて、背面パネル基板20を前面パネル基板10に再度重ね合わせる。このとき、背面パネル基板20は、もとのように位置合わせした状態で重ね合わせられる(図21(c)参照)。
【0100】
そして、加熱炉81内が、封着ガラス層15の軟化点より高い所定の封着温度(450℃前後)に達したら、10〜20分間その封着温度に維持する。このとき、軟化した封着用ガラスによって、前面パネル基板10と背面パネル基板20の外周部が封止される。この間、押圧機構86によって背面パネル基板20は前面パネル基板10に押えつけられているので、安定した封着が行える。
そして、封着が完了したら、押圧機構86を解除して、封着された基板を取り出す。
【0101】
このように封着工程を行った後、排気工程を行う。
本実施形態では、図19,20に示すように、背面パネル基板20外周部に通気口21aが1つだけ設けられており、当該通気口21aに取り付けられたガラス管26に真空ポンプ(不図示)を連結して排気を行う。そして、この排気工程の後、ガラス管26から内部空間に放電ガスを封入し、通気口21aを封止してガラス管26を切り取ることによって、PDPが作製される。
(本実施形態の製造方法の効果について)
本実施形態の製造方法は、従来の製造方法と比べて、以下のような効果を奏する。
【0102】
実施の形態1で説明したように、従来の一般的な製造方法では、封着工程において、放出ガスが狭い内部空間内に閉じ込められるため、内部空間に臨んでいる蛍光体層25がガスの影響(特に保護層14から放出される水蒸気の影響)で熱劣化しやすい。そして、蛍光体層(特に青色蛍光体層)が熱劣化すると発光強度が低下する。
これに対して、本実施形態の製造方法によれば、予備加熱によって前面パネル基板10及び背面パネル基板20に吸着されている水蒸気などのガスが放出されるが、このとき両パネル基板10・20間に広い間隙が形成されているため、発生するガスが内部空間に閉じ込められることはない。そして、予備加熱後、両パネル基板10・20が加熱された状態で封着されるため、予備加熱の後で両パネル基板10・20に水分などが吸着することもない。よって、封着時に両パネル基板10・20から発生するガスは少なくなり、蛍光体層25の熱劣化が防止されることになる。
更に、本実施の形態では、予備加熱工程から封着工程までを、乾燥空気が流通する雰囲気で行っているので、雰囲気ガス中の水蒸気によって蛍光体層25の熱劣化が生じることもない。
【0103】
また、上記のように封着装置80を用いることにより、予備加熱工程と封着工程を、同じ加熱炉81内で連続して行うことができるので、これらの工程を迅速に且つ少ない消費エネルギーで行うことができる。
また、上記のように封着装置80を用いて、最初に前面パネル基板10と背面パネル基板20を位置合わせして載置すれば、位置合せされた状態で封着がなされる。
【0104】
(予備加熱で昇温させる温度、並びに前面パネル基板と背面パネル基板とを重ね合わせるタイミングについての考察)
封着時に基板から発生するガス(保護層14から放出される水蒸気)によって蛍光体層25が熱劣化するのを防止する観点から、できるだけ高い温度まで加熱した後に重ね合わせる方がよいと言える。
この点について更に詳細に調べるために、以下の実験を行った。
【0105】
前面パネル基板10と同様にMgO層が形成されたガラス基板を、一定の昇温速度で徐々に加熱昇温しながら、昇温脱離ガス質量分析計を用いて、MgO層から放出される水蒸気量を経時的に測定した。
図22は、その測定結果であって、700℃までの各加熱温度における放出水蒸気量が示されている。
図22のグラフでは、200℃〜300℃付近に第1のピークが見られ、450℃〜500℃付近で第2のピークが見られる。
【0106】
図22の結果から、保護層14を加熱昇温していくと、第1のピークに相当する200℃〜300℃付近で水蒸気がかなり放出され、更に保護層14を加熱昇温していくと、第2のピークに相当する450℃〜500℃付近でも水蒸気がかなり放出されることが推測される。
従って、封着工程における加熱昇温時に、保護層14から放出される水蒸気が内部空間に閉じ込められるのを避けるためには、少なくとも200℃程度の温度まで、好ましくは300℃〜400℃程度まで、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを離した状態で加熱昇温するべきであると考えられる。
【0107】
また、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを離した状態で、450℃程度以上の高い温度まで昇温させてから重ね合わせれば、重ね合わせた後においてパネルからガスが放出されるのはほぼ完全に抑えられると考えられる。そして、この場合、封着時に蛍光体が熱劣化をほとんど受けない状態で封着でき、PDP完成後においても、パネル内に吸着されている水蒸気が放電中に徐々に放出される可能性も極めて少なくなるので、パネル完成後の経時変化等を抑えることもできる。
ただし、蛍光体層やMgO保護層を形成するときの焼成温度は一般的に520℃程度であるので、この温度を越えることは好ましくない。従って、450℃〜520℃程度の高温度に昇温させてから重ね合わせるのが更に好ましいということが言える。
【0108】
一方、前面パネル基板と背面パネル基板が離された状態で、封着用ガラスの軟化点以上に加熱すると封着用ガラスが本来の位置から流れ出し、安定に封止できなくなる可能性がある。
よって、発生するガスによる蛍光体層の劣化を防止することと、安定に封止することとを両立する観点に立つと、次の(1),(2),(3)のように考察することができる。
【0109】
(1)前面パネル基板と背面パネル基板を離した状態で、用いる封着用ガラスの軟化点以下のできるだけ高い温度まで加熱昇温した後、重ね合わせて、封着するのがよいと考察できる。
従って、例えば従来から一般的に使用されている軟化点が400℃程度の封着用ガラスを用いる場合、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍光体への影響をできるだけ少なくするために、前面パネル基板と背面パネル基板を離した状態で400℃近くまで加熱昇温して、その後、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせて、更に軟化点以上に加熱して封着するのがよいと考えられる。
(2)ここで、もっと軟化点の高い封着用ガラスを用いるようにすれば、それだけ高い温度まで前面パネル基板と背面パネル基板を離した状態で加熱昇温しても安定した封着ができることになる。従って、このように高軟化点の封着用ガラスを用いて、その軟化点近くまで加熱昇温し、その後、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせて、更に軟化点以上に加熱して封着すれば、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍光体への影響を更に少なくすることができる。
(3)一方、前面パネル基板あるいは背面パネル基板において、外周部に形成した封着ガラス層が軟化しても流れないような工夫をすれば、前面パネル基板と背面パネル基板を離した状態で封着用ガラスの軟化点以上の高温度まで加熱しても、安定した封止をすることができる。例えば、前面パネル基板あるいは背面パネル基板の外周部において、封着用ガラスを塗布する領域と表示領域との間に流れ止め用の隔壁を形成しておけば、封着用ガラスが軟化したときに表示領域に流れ出るのを防止することができる。
従って、このような封着用ガラス流出防止の工夫をした上で、前面パネル基板と背面パネル基板を離した状態で封着用ガラスの軟化点以上の高温度まで加熱昇温し、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせて封着すれば、封止の安定を保ちつつ、ガスによる蛍光体への影響を更に少なくすることができる。
【0110】
即ち、この場合、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせた後に加熱昇温しなくても封着できるので、重ね合わせ後におけるパネルからのガス放出をほぼ完全に抑えられる。よって、蛍光体が熱劣化をほとんど受けない状態で封着が可能となる。
(雰囲気ガス及び圧力についての考察)
封着時に加熱炉81内を流通させる雰囲気ガスとしては、酸素を含有しないガスよりも、空気のように酸素を含有するガスを用いることが望ましい。これは、実施の形態1で説明したように、PDPで多用されている酸化物系の蛍光体は、無酸素の雰囲気中で加熱すると発光効率が低下する傾向があるためである。
また、雰囲気ガスとして外気を常圧で送り込んでもある程度の効果を奏するが、蛍光体層の劣化を防止する効果を高めるために、加熱炉81内に乾燥空気をはじめとする乾燥ガスを流通させたり、加熱炉81内を真空排気しながら行うことが望ましい。
【0111】
乾燥ガスを流通させるのが好ましいのは、雰囲気ガスに含まれている水蒸気によって蛍光体層の熱劣化が引起こされることがないためである。また、加熱炉81内を真空排気するのが望ましいのは、加熱に伴ってパネル基板10・20から放出されるガス(水蒸気等)が効率よく排出されるためである。
雰囲気ガスとして乾燥ガスを流通させる場合、その水蒸気分圧が低いほど青色蛍光体層の熱劣化が抑えられる(実施形態1で説明した図5,6の実験結果参照)。十分な効果を得るために、水蒸気分圧は、15Torr以下に設定するのが望ましく、更に、10Torr、5Torr、1Torr、0.1Torrと低く設定するほどより効果が期待できる。
(封着用ガラスの塗布について)
PDPの封着時において、一方の基板にのみ(一般的には背面基板側のみ)に封着用ガラスを塗布して、両基板を重ね合わせて封着するのが一般的である。
【0112】
ところで、本実施の形態では、封着装置80内で、押圧機構86によって背面パネル基板20を前面パネル基板10に押圧するようにしているので、クランプで締め付けるように強い圧力で押さえつけることは難しい。
そのため、背面ガラス基板側だけに封着ガラス層を形成して封着すると、封着用ガラスと前面ガラス板との塗れ性が悪い場合、封着用ガラスによる封着が完全になされないこともあり得るが、前面ガラス基板と背面ガラス基板の両方に封着ガラス層を形成しておけば、封着後に前面ガラス基板と背面ガラス基板が完全に接着されるので、歩留まり良くPDPを製造することができる。
なお、このように前面ガラス基板と背面ガラス基板の両方に封着ガラス層を形成して封着する方法は、本実施の形態の場合に限らず、一般的なPDP製造の封着工程において、歩留まりよく封着を行うのに有効である。
【0113】
(本実施形態の変形例)
なお、上記封着装置80においては、加熱前に前面パネル基板10と背面パネル基板20とを重ね合わせて位置合わせした後、移動ピン85で背面パネル基板20を押し上げることによって背面パネル基板20を前面パネル基板10から引き離すようにしたが、背面パネル基板20を前面パネル基板10から引き離す方法はこれに限らない。
例えば、図23に示す例では、前面パネル基板10の外周の外側に填まるような枠体87を、上下にスライド駆動する吊下げ棒88で加熱炉の上方から吊下げており、背面パネル基板20のはみ出し部分を枠体87上に載せて背面パネル基板20を上下に平行移動することができるようになっている。即ち、枠体87を上方に引き上げることによって背面パネル基板20を前面パネル基板10から引き離し、枠体87を下方に下げることによって、背面パネル基板20を前面パネル基板10に重ね合わせることができる。
また、上記封着装置80では、押圧機構86で背面パネル基板20を前面パネル基板10に押圧するようにしたが、図23に示す例では、押圧機構86を設ける代わりに背面パネル基板20上に重り89を載せてある。この場合、枠体87を下に降ろしたときに、重り89にかかる重力で背面パネル基板20が前面パネル基板10に押えつけられる。
図24は、別の変形例における封着工程の動作を示す図である。
【0114】
この図24の例では、封着工程において、背面パネル基板20を部分的に接近させた状態で回転させることによって、前面パネル基板10から引き離したり、重ね合わせたりするようになっている。
即ち、載置台84の上部には、図20の場合と同様に、背面パネル基板20の4角付近に合計4つのピン85a・85bが設けられているが、一方側(図24で左側)にある1対のピン85aは、その先端で、背面パネル基板20の一定位置を支持しており(例えば、ピン85aの先端部を球面状に形成すると共に、背面パネル基板20にも球面状の凹みを形成して填め込むようにする。)、他方側(図24で右側)にある1対のピン85bは、上下に駆動できるようになっている。
この場合、図24(a)に示すように、前面パネル基板10と背面パネル基板20を重ね合わせた状態で載置台84に載置し、図24(b)に示すように、一対のピン85bを上方に動かすことによって、一対のピン85aの先端を中心にして背面パネル基板20を回転させ、前面パネル基板10から引き離すことができる。また、図24(c)に示すように、一対のピン85bを下方に動かすことによって、背面パネル基板20を同じ経路で逆方向に回転させ、前面パネル基板10に位置合わせされた状態で重ね合わせることもできる。
なお、図24(b)の状態では、一対のピン85a側で、前面パネル基板10と背面パネル基板20とが接触状態にあるが、背面パネル基板20の蛍光体層が配設された対向面は開放されているので、ガスが発生しても内部空間に閉じこめられることはない。
(実施例5)
【0115】
【表5】
【0116】
パネルNo.41〜50のPDPは、本実施の形態に基づいて、前面パネル基板と背面パネル基板を加熱するときの雰囲気ガス、圧力、重ね合わせるときの温度やタイミングをいろいろ変えて封着工程を行い、作製した実施例である。
仮焼成は、いずれも350℃で行った。
雰囲気ガスとして、パネルNo.41〜46,48,49,50では、水蒸気分圧を0〜12Torrの範囲内でいろいろな値に設定した乾燥空気を用いた。また、パネルNo.47では、真空排気しながら加熱を行った。
パネルNo.43〜47においては、封着工程で、パネル基板を室温から加熱昇温して400℃(封着用ガラスの軟化点より低い温度)に達したときに、両パネル基板を重ね合わせた。そして、更に加熱昇温して封着温度450℃(封着用ガラスの軟化点以上の温度)に達したら、10分間以上保持し、その後、排気温度350℃に降温し、この排気温度に維持しながら排気工程を行った。
これに対して、パネルNo.41,42では、封着工程において、少し低めの温度250℃,350℃で、両パネル基板を重ね合わせた。
【0117】
また、パネルNo.48では、封着工程において、封着温度450℃まで昇温した後に、両パネル基板を重ね合わせ、パネルNo.49では、封着工程において、封着温度(ピーク温度)500℃まで昇温した後に、両パネル基板を重ね合わせた。
また、パネルNo.50では、封着工程において、ピーク温度480℃まで昇温した後、封着温度450℃まで降温してから両パネル基板を重ね合わせて封着した。
【0118】
パネルNo.51のPDPは、本実施の形態5の図24に示す変形例に基づいて、封着温度(ピーク温度)450℃まで昇温した後に、両パネル基板を重ね合わせて封着したものである。
パネルNo.52のPDPは、先ず、室温で前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせておき、大気圧の乾燥空気中で450℃まで加熱昇温して封着することによって作製した比較例である。
【0119】
なお、上記パネルNo.41〜52のPDPにおいて、蛍光体膜厚は30μm、放電ガスはNe(95%)−Xe(5%)、その封入圧力は500Torrとし、パネル構成が同一となるようにした。
〈発光特性試験〉
試験方法及び結果:
上記パネルNo.41〜52の各PDPについて、発光特性として、青色セルのみを点灯させたときの発光強度と色度座標yと発光スペクトルのピーク波長、及び色補正なしで白バランスでのパネル輝度及び色温度、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
更に、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板の青色蛍光体層にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線(中心波長146nm)を照射し、発光光の色度座標yを測定した。
【0120】
これらの測定結果は、表5に示す通りである。なお、表5に示す青色セルの発光強度は、パネルNo.52(比較例)の発光強度を100とした相対発光強度である。
また、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線を照射し、全色発光時の色温度、並びに、青色及び緑色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定したところ、上記点灯による結果と同等の結果が得られた。
【0121】
また図25は、パネルNo.45,50,52のPDPについて、青色セルのみを点灯させたときの発光スペクトルである。
なお、表5には示していないが、赤色セル及び緑色セルの発光色の色度座標x、yについては、パネルNo.41〜53のいずれも略同じ値であり、赤色が(0.636,0.350)、緑色が(0.251,0.692)であった。比較例のPDPでは、青色セル発光色の色度座標が(0.170,0.090)、発光スペクトルのピーク波長が458nmであった。
更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も測定した。表5には、これらの結果も示されている。
【0122】
考察:
パネルNo.41〜51と、パネルNo.52とについて発光特性を比較すると、パネルNo.41〜51のいずれにおいても、パネルNo.52より発光特性が優れている(相対発光強度が高く、色度座標yが小さい)。これは、上記実施例の封着方法によれば、比較例の封着方法と比べて、両パネル基板を重ね合わせた後に内部空間に放出されるガスが少なくなるからと考えられる。
パネルNo.52のPDPでは、青色発光の色度座標yが0.088であって、この場合、色補正なしで白バランスでの色温度は5800Kであるのに対して、パネルNo.41〜51では、青色発光の色度座標yが0.08以下で、色補正なしで白バランスでの色温度は6500K以上である。特に、パネルNo.48,49,50,51のように青色の色度座標yが低いPDPでは、色補正なしで白バランスで11000K程度の高い色温度が実現されている。
図26は、実施例と比較例のPDPについて、青色付近の色再現域をCIE色度図上に示したものである。
【0123】
図中の領域(a)は青色発光の色度座標yが0.09(発光スペクトルのピーク波長が458nm)程度の場合(パネルNo.52相当)について、領域(b)は青色発光の色度座標yが0.08(発光スペクトルのピーク波長が455nm)程度の場合(パネルNo.41相当)について、領域(c)は青色発光の色度座標yが0.052(発光スペクトルのピーク波長が448nm)程度の場合(パネルNo.50相当)について、青色付近における色再現域を示している。本図から、青色付近における色再現域が、(a)と比べて、(b)では広くなり、(c)では更に広くなっていることがわかる。これは、青色セル発光の色度座標yが小さくなる(発光スペクトルのピーク波長が短くなる)に従って、青色付近における色再現域の広いPDPを実現できることを示している。
【0124】
次に、パネルNo.41,42,45,48(いずれも乾燥空気の水蒸気分圧は2Torr)の間で発光特性を比較すると、パネルNo.41,42,45,48の順で発光特性が向上している(相対発光強度が高く、色度座標yが小さくなっている)。この結果から、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを重ね合わせるときの温度を高く設定するほど、PDPの発光特性が向上することがわかる。
これは、前面パネル基板10と背面パネル基板20を離した状態で高い温度まで予備加熱する程、各パネル基板から放出されるガスを十分に排気できるため、両パネル基板を重ね合わせた後に内部空間に放出されるガスが少なくなるからと考えられる。
【0125】
また、パネルNo.43,44,45,46(封着工程での温度プロファイルが同じ)の間で発光特性を比較すると、パネルNo.43,44,45,46の順で発光特性が向上している(色度座標yが小さい)。この結果から、雰囲気ガス中の水蒸気分圧が低いほど発光特性が向上することがわかる。
また、パネルNo.46及びパネルNo.47(封着工程での温度プロファイルが同じ)について発光特性を比較すると、パネルNo.46の方がPDPの発光特性が若干優れている。
【0126】
これは、パネルNo.46では酸素が含まれる雰囲気ガス中で予備加熱されているのに対して、パネルNo.47では無酸素雰囲気中で予備加熱されているので、酸化物である蛍光体の酸素が一部が抜けて酸素欠陥が形成されたためと考えられる。
また、パネルNo.48及びパネルNo.51について発光特性を比較すると、発光特性はほとんど同じであることがわかる。これは予備加熱する際に、前面パネル基板10と背面パネル基板20の対向面を完全に引き離して開放した場合と、一部を接触させた状態で開放した場合とで、PDPの発光特性にほとんど差がないことを示している。
また、表5に示した各パネルNo.において、青色蛍光体層を真空紫外線で励起したときに放出される光の色度座標yと、青色セルのみを点灯させたときの色度座標yとは、ほぼ同じ値を示している。
【0127】
また、表5に示した各パネルNo.における青色発光の色度座標yと青色発光のピーク波長との関係を見ると、青色発光の色度座標yの値が小さいほど、青色発光のピーク波長は短いことがわかる。これは、青色発光の色度座標y値が小さいことと青色発光のピーク波長が短いこととが同等の意味を持つことを示している。
[実施の形態6]
本実施形態のPDPは、図1に示す実施の形態1のPDPと同様の構成である。
またPDPの製造方法については、上記実施の形態5とほぼ同様であるが、前面パネル基板10および背面パネル基板20の少なくとも一方に封着用ガラスを塗布した後、封着装置80の加熱炉81内で、仮焼工程・封着工程・排気工程を、連続して行う点が異なっている。
【0128】
以下、本実施形態における仮焼・封着・排気工程について以下に詳細に説明する。
本実施形態の仮焼工程・封着工程・排気工程は、上記実施形態5の図18,19に示す封着装置を用いて行う。但し本実施形態では、図27に示すように、背面パネル基板20の通気口21aに取り付けられているガラス管26には、加熱炉81の外部から挿設された配管90が接続されている。
【0129】
図27は、この封着装置を用いて仮焼工程から排気工程までを行う際の動作を示す図である。
本図を参照しながら、仮焼・予備加熱・封着・排気工程について説明する。
仮焼工程:
予め、前面パネル基板10の対向面(背面パネル基板20と対向する面)の外周部、あるいは背面パネル基板20の対向面(前面パネル基板10と対向する面)の外周部、あるいは前面パネル基板10及び背面パネル基板20両方の対向面の外周部に、封着用ガラスペーストを塗布することによって封着ガラス層15を形成しておく(なお、図では、封着ガラス層15は前面パネル基板10の対向面に形成されている。)。
そして、前面パネル基板10及び背面パネル基板20を位置合わせして重ね合わせた状態で、載置台84上の定位置に載置し、押圧機構86をセットして背面パネル基板20を押える(図27(a)参照)。
【0130】
次に、加熱炉81内に雰囲気ガス(乾燥空気)を流通させながら(もしくはガス排出弁83からの真空排気を併用しながら)、以下の操作を行う。
移動ピン85を上昇させ、背面パネル基板20を上方に押し上げて平行移動させる(図27(b)参照)。これによって前面パネル基板10及び背面パネル基板20の対向面の間隙が広がり、背面パネル基板20の蛍光体層25が配された面は、加熱炉81内の広い空間に開放されることになる。
【0131】
この状態で加熱炉81内を仮焼温度(350℃程度)まで加熱昇温し、この仮焼温度で10〜30分間程度保持することによって仮焼する。
予備加熱工程:
パネル基板10,20を更に加熱昇温して、パネル基板10,20に吸着されているガスを放出させる。そして、所定の温度(例えば400℃)に達したら、予備加熱工程を終える。
【0132】
封着工程:
続いて、移動ピン85を降下させて、背面パネル基板20を前面パネル基板10に再度重ね合わせる。このとき、背面パネル基板20は、もとのように位置合わせした状態で重ね合わせられる(図27(c)参照)。
そして、加熱炉81内の温度が、封着ガラス層15の軟化点より高い封着温度(450℃前後)に達したら、10〜20分間その封着温度に維持する。このとき、軟化した封着用ガラスによって、前面パネル基板10と背面パネル基板20の外周部が封止される。この間、押圧機構86によって背面パネル基板20は前面パネル基板10に押えつけられているので、安定した封着が行える。
排気工程:
加熱炉81内を封着用ガラスの軟化点より低い排気温度に下げ、その排気温度に維持して焼成しながら(例えば、350℃程度で1時間)、封着した両パネル基板の内部空間を高真空(8×10-7Torr)に排気することによって、内部空間のガス抜きを行う。この排気工程は、配管90に真空ポンプ(不図示)を連結して行う。
そして、この排気工程の後、内部空間を真空に保ったままパネル基板を室温まで冷却し、ガラス管26から内部空間に放電ガスを封入し、通気口21aを封止してガラス管26切り取ることによって、PDPが作製される。
【0133】
(本実施形態の封着方法の効果について)
従来は、仮焼工程、封着工程、排気工程は、加熱炉を用いて別々に行われ、工程と工程では基板が室温まで冷却されていたため、後の工程で加熱昇温するのに、長い時間が必要で消費エネルギーも多くなるが、本実施の形態では、仮焼工程、予備加熱工程、封着工程、排気工程を、室温まで降温することなく、同じ封着装置の中で連続して行っているので、これら一連の工程を速く行い且つ加熱のためのエネルギー消費も低くすることができる。
更に、本実施形態では、加熱炉81内を封着工程を行う封着温度まで昇温させる途中で、仮焼工程、予備加熱工程を行っているので、仮焼工程から封着工程までをより迅速に且つ低い消費エネルギーで行うことができ、更に、封着工程の後、封着された基板を室温まで降温させる途中で排気工程を行っているので、封着工程から排気工程までをより迅速に且つ低い消費エネルギーで行うことができる。
更に、本実施形態の封着方法によれば、従来の封着方法と比べて、以下に説明するように、上記実施の形態5と同様の効果を奏する。
【0134】
通常、前面パネル基板や背面パネル基板には、水蒸気などのガスが吸着されているが、これらの基板を加熱昇温すると、吸着されているガスが放出される。
従来の一般的な製造方法では、仮焼工程の後、封着工程では、前面パネル基板と背面パネル基板とを室温で重ね合わせてから加熱昇温して封着するので、この封着工程時に、前面パネル基板と背面パネル基板に吸着されているガスが放出される。仮焼工程において、基板に吸着されているガスがある程度抜けても、その後、封着工程開始時まで大気中で室温にすることによって再びガスが吸着されるので、封着工程においてガスの放出は生じる。ここで、放出されたガスが狭い内部空間内に閉じ込められるため、特に保護層14から放出される水蒸気の影響で蛍光体層が熱劣化し、その発光強度が低下しやすい。
これに対して、本実施形態の製造方法によれば、封着工程や予備加熱工程によって前面パネル基板10及び背面パネル基板20に吸着されている水蒸気などのガスが放出されるが、このとき両パネル基板10・20間に広い間隙が形成されているため、発生するガスが内部空間に閉じ込められることはない。そして、予備加熱後、両パネル基板10・20が加熱された状態で封着されるため、予備加熱の後で両パネル基板10・20に水分などが吸着することもない。よって、封着時に両パネル基板10・20から発生するガスは少なくなり、蛍光体層25の熱劣化が防止されることになる。
また、上記のように封着装置80を用いることにより、最初に前面パネル基板10と背面パネル基板20を位置合わせしておけば、位置合せされた状態で封着がなされる。
【0135】
更に、本実施の形態では、予備加熱工程から封着工程までを、乾燥空気が流通する雰囲気で行っているので、雰囲気ガス中の水蒸気によって蛍光体層25の熱劣化が生じることもない。
なお、予備加熱で昇温させる温度、前面パネル基板と背面パネル基板とを重ね合わせるタイミングの好ましい条件、並びに、雰囲気ガスの種類、圧力、水蒸気分圧の好ましい条件については、上記実施の形態5で説明した通りである。
【0136】
(本実施形態の変形例)
なお、本実施の形態では、上述したように仮焼工程−予備加熱工程−封着工程−排気工程を、同じ装置の中で連続的に行ったが、予備加熱工程を省略することもでき、その場合でも同様の効果がある程度得られる。また、仮焼工程−封着工程だけを同じ装置の中で連続的に行ったり、封着工程−排気工程だけを同じ装置の中で連続的に行うことによっても、ある程度の効果を得ることはできる。
また、本実施形態において、封着工程の後に、加熱炉81内を封着用ガラスの軟化点より低い排気温度(350℃)に下げてから排気工程を行ったが、封着工程における封着温度と同程度の高い温度のまま排気工程を行うようにすれば、短時間で十分に排気することが可能である。但し、この場合、封着用ガラス流出防止に対する工夫(例えば、図10〜16に示した流止隔壁)を施すことが必要と考えられる。
また、本実施の形態では、封着に際して、前面パネル基板10と背面パネル基板20の対向面を開放した状態で、仮焼工程・予備加熱工程を行ったが、上記実施の形態3のように、前面パネル基板10と背面パネル基板20を位置合わせして重ね合わせて、そのまま内部空間を減圧にしつつ乾燥空気を流しながら加熱昇温して封着を行う場合でも、以下のようにして、仮焼工程−封着工程−排気工程を同じ装置の中で連続的に行うことは可能である。
即ち、図4の封着用加熱装置50を用い、前面パネル基板10及び背面パネル基板20の少なくとも一方の対向面に、封着用ガラスを塗布し、封着ガラス層15を形成し、仮焼は行わずに位置合わせしながら重ね合わせ、加熱炉51の中に入れる。
【0137】
そして、背面パネル基板20の通気口21aに付けられたガラス管26aに配管52aを連結し、配管52aから真空ポンプ(不図示)で排気する。それと共に、背面パネル基板20の通気口21bに付けられたガラス管26bに配管52bを連結し、乾燥空気を送り込むことによって、両パネル基板10・20間の内部空間を、減圧にしつつ乾燥空気が流れる状態にする。
そして、両パネル基板10・20間の内部空間をこの状態に保ちながら、加熱炉51の内部を、仮焼温度まで昇温して仮焼する(350℃、10〜30分保持)。
【0138】
このとき、単に前面パネル基板10と背面パネル基板とを重ね合わせた状態でパネルを加熱昇温するだけでは、封着ガラス層に酸素が供給されにくいので仮焼が十分にできないが、上記のようにパネル内部に乾燥空気を流しながら加熱すれば、十分に仮焼を行うことが可能である。
次に、更に、封着ガラスの軟化点以上の封着温度まで加熱昇温して保持する(例えば、ピーク温度が450℃、30分保持)ことによって封着を行う。
【0139】
そして、加熱炉51内を封着用ガラスの軟化点より低い排気温度に下げ、その排気温度に維持しながら、封着した両パネル基板の内部空間から高真空で排気を行うことによって、内部空間からガス抜きを行い、排気工程の後、パネル基板を室温まで冷却し、ガラス管26から内部空間に放電ガスを封入し、通気口21aを封止してガラス管26を切り取ることによって、PDPを作製する。
この変形例の場合も、本実施の形態と同様に、仮焼工程、封着工程、排気工程を、同じ封着装置の中で、室温まで降温することなく連続的に行っているので、これら一連の工程を速く行い且つ加熱のためのエネルギー消費も低くすることができる。
【0140】
なお、この変形例において、加熱炉51内で、仮焼工程−封着工程だけ、或は封着工程−排気工程だけを連続して行うことも可能である。
(実施例6)
【0141】
【表6】
【0142】
パネルNo.61〜69は本実施形態に基づいて作製した実施例にかかるPDPであって、前面パネル基板と背面パネル基板を加熱するときの雰囲気ガス、圧力、重ね合わせるときの温度やタイミングをいろいろ変えて封着工程を行った。
図28は、パネルNo.63〜67のPDPを製造する際に、仮焼工程−封着工程−排気工程で用いた温度プロファイルである。
雰囲気ガスとして、パネルNo.61〜66,68,69では、水蒸気分圧を0〜12Torrの範囲内でいろいろな値に設定した乾燥空気を用い、パネルNo.70では未乾燥の空気を用いた。また、パネルNo.67では、真空排気しながら加熱を行った。
【0143】
パネルNo.63〜67では、パネル基板を室温から加熱昇温して、350℃に達したら350℃で10分間保持して仮焼を行い、更に加熱昇温して400℃(封着用ガラスの軟化点より低い温度)に達したときに、両パネル基板を重ね合わせた。そして、更に加熱昇温して封着温度450℃(封着用ガラスの軟化点以上の温度)に達したら、10分間以上保持し、その後、炉内を350℃まで下降させ、350℃に維持しながら排気工程を行った。
これに対して、パネルNo.61,62の封着工程では、少し低めの温度250℃並びに350℃で、両パネル基板を重ね合わせた。
【0144】
また、パネルNo.68の封着工程では、封着温度450℃まで昇温した後に、両パネル基板を重ね合わせ、パネルNo.69の封着工程では、ピーク温度480℃まで昇温した後、封着温度450℃まで降温してから両パネル基板を重ね合わせて封着した。
パネルNo.70は比較例にかかるPDPであって、従来の封着工程通り、仮焼の後、室温で前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせて、大気圧の空気中で封着温度450℃まで加熱昇温して封着し、一旦室温まで降温させた。そして、再び加熱炉で排気温度350℃まで加熱し、この排気温度350℃に維持しながら排気工程を行った。
なお、上記パネルNo.61〜70において、蛍光体層の膜厚は30μm、放電ガスはNe(95%)−Xe(5%)、その封入圧力は500Torrとし、パネル構成が同一となるようにした。
【0145】
〈発光特性試験〉
試験方法及び結果:
上記パネルNo.61〜70の各PDPについて、発光特性として、青色セルのみを点灯させたときの発光強度と色度座標yと発光スペクトルのピーク波長、及び色補正なしで白バランスでの色温度、青色セル及び緑色セルを同じ電力で発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定した。
これらの測定結果は、表6に示す通りである。なお、表6に示す青色セルの発光強度は、パネルNo.70の発光強度を100とした相対発光強度である。
【0146】
また、作製した各PDPを分解し、背面パネル基板にクリプトンエキシマランプを用いて真空紫外線を照射し、青色発光の色度座標y、全色発光時の色温度、並びに、青色及び緑色を発光させたときの発光スペクトルのピーク強度比を測定したところ、上記点灯による結果と同等の結果が得られた。
更に、パネルから青色蛍光体を取り出し、TDS分析法で青色蛍光体1g当りから200℃以上で脱離するH2Oガス分子数を測定した。また、X線回折により、青色蛍光体結晶のa軸長に対するc軸長の比も測定した。表6には、これらの結果も示されている。
【0147】
考察:
パネルNo.61〜69と、パネルNo.70とについて発光特性を比較すると、パネルNo.61〜69のいずれにおいても、パネルNo.70より発光特性が優れている(相対発光強度が高く、色度座標yが小さい)。これは、パネルNo.61〜69で用いた封着方法によれば、パネルNo.70で用いた封着方法と比べて、両パネル基板を重ね合わせた後に内部空間に放出されるガスが少なくなるからと考えられる。
パネルNo.70のPDPでは、青色発光の色度座標yが0.090であって、色温度補正なしの白バランスでの色温度は5800Kであるのに対して、パネルNo.61〜69では、青色発光の色度座標yが0.08以下で、色温度補正なしの白バランスでの色温度は6500K以上である。特に、パネルNo.68,69のように青色の色度座標yが低いPDPでは、色補正なしの白バランスで11000K程度の高い色温度が実現されている。
次に、パネルNo.61,62,65,68,69(いずれも乾燥空気の水蒸気分圧は2Torr)の間で発光特性を比較すると、パネルNo.61,62,65,68,69の順で発光特性が向上(相対発光強度が高く、色度座標yが小さく)している。この結果から、前面パネル基板10と背面パネル基板20とを重ね合わせるときの温度を高く設定するほど、発光特性が向上することがわかる。
また、パネルNo.63,64,65,66(封着工程での温度プロファイルが同じ)の間で発光特性を比較すると、パネルNo.63,64,65,66の順で発光特性が向上している(色度座標yが小さい)。この結果から、雰囲気ガス中の水蒸気分圧が低いほど発光特性が向上することがわかる。
【0148】
また、パネルNo.66及びパネルNo.67(封着工程での温度プロファイルが同じ)について発光特性を比較すると、パネルNo.66の方が発光特性が若干優れている。
これは、パネルNo.66では酸素が含まれる雰囲気ガス中で加熱されているのに対して、パネルNo.67では無酸素雰囲気中で加熱されており、無酸素雰囲気で蛍光体層を加熱すると、酸化物である蛍光体の酸素が一部が抜けて酸素欠陥が形成されるためと考えられる。
【0149】
(その他の事項)
以上の実施の形態1〜6においては、面放電型のPDPを製造する場合について説明したが、本発明は、対向放電型のPDPを製造する場合にも適用することができる。
また、蛍光体層を形成する蛍光体の組成としては、上で示したもの以外に、一般的にPDPの蛍光体層に使用されているものを用いても、同様に実施することができる。
【0150】
また、上記実施の形態1〜6に示したように、蛍光体層を形成した後に、封着用ガラスを塗布するのが一般的であるが、この順序を入れ換えて行うことも可能と考えられる。
【0151】
【発明の効果】
以上のように、本発明のPDPの製造方法によれば、配設された蛍光体が加熱される工程(蛍光体焼成工程、封着材仮焼工程、封着工程、排気工程など)を、乾燥ガス雰囲気中、もしくは減圧で乾燥ガスが流れる雰囲気中で行うことによって、青色セルのみを点灯させたときの発光色の色度座標y(CIE表色系)または青色蛍光体層を真空紫外線で励起したときに放出される光の色度座標yが、0.08以下となるような発光色度が優れたPDPを製造することができる。
このようなPDPは、白バランスにおける色温度を7000K以上とすることができ、更に8000K以上,9000K以上,10000K以上とすることも可能である。また、青色蛍光体層の発光色度が向上すれば、色再現性も向上される。
【0152】
また、上記のように青色蛍光体層の発光色度が優れたPDPは、前面基板及び背面基板を対向面が開放された状態で仮焼する方法、前面基板及び背面基板を内部空間に乾燥ガスを流しながら封着する方法、あるいは、前面基板及び背面基板を、対向面が開放された状態で予備加熱した後、両基板を重ね合わせて封着する方法を用いることによっても製造することができる。
また、前面パネル基板と背面パネル基板を重ね合わせた状態で封着材を封着温度に保って封着する封着工程を行った後、室温まで降下させることなく、封着された両基板間の内部空間の気体を排気する排気工程を開始すること、或は、封着材が配設された基板を仮焼温度に保って仮焼する封着材仮焼工程の後、当該基板を室温まで降下させることなく封着工程を開始することによっても製造でき、この場合、加熱に要する時間及び消費エネルギーを低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る交流面放電型PDPを示す要部斜視図である。
【図2】上記PDPに駆動回路を接続したPDP表示装置を示す図である。
【図3】実施の形態1で用いるベルト式加熱装置の構成を示す図である。
【図4】実施の形態1で用いる封着用加熱装置の構成を示す図である。
【図5】水蒸気分圧を変えた空気中で青色蛍光体を焼成したときの相対発光強度測定結果である。
【図6】水蒸気分圧を変えた空気中で青色蛍光体を焼成したときの色度座標yの測定結果である。
【図7】青色蛍光体から脱離するH2O分子数を測定した測定結果の一例である。
【図8】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図9】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図10】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図11】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図12】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図13】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図14】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図15】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図16】実施の形態2における背面ガラス基板の具体例を示す図である。
【図17】青色蛍光体を一旦熱劣化させた後、空気中で再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存性を示す特性図である。
【図18】青色蛍光体を一旦熱劣化させた後、空気中で再焼成して発光特性を回復させる効果の水蒸気分圧依存性を示す特性図である。
【図19】実施の形態5で封着工程に用いる封着装置の構成を示す図である。
【図20】上記封着装置における加熱炉の内部の構成を示す斜視図である。
【図21】上記封着装置を用いて予備加熱工程及び封着工程を行う際の動作を示す図である。
【図22】実施の形態5に係る実験で、MgO層から放出される水蒸気量を経時的に測定した結果を示す図である。
【図23】実施の形態5にかかる封着装置の一変形例を示す図である。
【図24】実施の形態5にかかる封着装置の別の変形例の動作を示す図である。
【図25】実施例5PDPについて、青色セルのみを点灯させたときの発光スペクトルである。
【図26】実施例5と比較例のPDPについて、青色付近の色再現域をCIE色度図上に示したものである。
【図27】実施の形態6において、封着装置を用いて仮焼工程から排気工程までを行う際の動作を示す図である。
【図28】実施例6で、PDPを製造する際に、仮焼工程−封着工程−排気工程で用いた温度プロファイルである。
【図29】一般的な交流型(AC型)PDPの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 前面パネル基板
11 前面ガラス基板
12a,12b 表示電極
13 誘電体層
14 保護層
15 封着ガラス層
20 背面パネル基板
21 背面ガラス基板
21a,21b 通気口
22 アドレス電極
23 誘電体層
24 隔壁
25 蛍光体層
26 ガラス管
30 放電空間
40 加熱装置
41 加熱炉
42 搬送ベルト
43 ガス導入パイプ
50 封着用加熱装置
51 加熱炉
53 ガス供給源
54 真空ポンプ
60 封着ガラス領域
70 流止隔壁
80 封着装置
Claims (1)
- 一対の平行に配された基板の間に、青色蛍光体層を含む蛍光体層が配設されたセルが複数配設され、当該セル内にガス媒体が封入されたプラズマディスプレイパネルであって、
前記青色蛍光体層に、BaMgAl10O17:Euからなる青色蛍光体が用いられ、
当該青色蛍光体のa軸長に対するc軸長の比が4.0218以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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