JP3540076B2 - キャリッジ駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イメージスキャナ、複写機、シリアルプリンタ等に用いるキャリッジ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリアルプリンタやイメージスキャナ等の画像形成装置において用いる直線上を往復移動するキャリッジ駆動装置としては、従来からワイヤロープや無端ベルトあるいはタイミングベルトが利用されている。
【0003】
図7は従来のキャリッジ駆動装置の概略平面図である。駆動プーリ1と従動プーリ2の間に無端ベルトであるタイミングベルト3が掛け渡されている。タイミングベルト3の外面にキャリッジ4が取り付けられており、駆動プーリ1を正逆回転してタイミングベルト3を走行させることにより、キャリッジ4をタイミングベルト3の直線部分において往復させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のキャリッジ駆動装置においては、キャリッジ4の加速、減速を含む移動範囲がタイミングベルト3の直線部分に限定され、両端に有るプーリ1、2はキャリッジ4の移動範囲外となっており、このためキャリッジ駆動装置としてはその分全体が大きくなるという問題がある。
【0005】
また、キャリッジ4の原点(あるいはホームポジション)への復帰のためだけにプーリ1、2を正逆回転させる必要があり、正逆回転可能なモータや駆動機構を必要とするので、当然その分コスト上不利であるという問題もある。この第2の問題点については、特開昭54−156716号公報に開示されている技術のように、ベルトとキャリッジの間に設けた2つの係合部を機械的に切り換えることによってモータの正逆転制御を不要とすることができるが、これだけでは第1の問題が解決されない。しかもプーリを一方向回転させるために、キャリッジの移動方向を検出する必要が生じ、そのためのセンサを設ける必要があり、結局コストが高くなるという問題がある。
【0006】
さらに従来の画像形成装置では、輸送や移動時におけるキャリッジの損傷を防ぐために、キャリッジロック機構が一般に搭載されているが、キャリッジロック機構を機能させるためには人手を介する必要があるため、誤操作を招きやすいという問題がある。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、小型化、低価格化を図れるキャリッジ駆動装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
駆動プーリと従動プーリの間に掛け渡されキャリッジを直線方向に駆動する無端ベルトと、該無端ベルトの1カ所に連結され、且つ上記キャリッジの駆動方向に対して直角方向に移動自在な連結ピン部材とを有し、上記プーリの外周部まで上記キャリッジを移動可能とするとともに、上記駆動プーリを一方向に回転させる手段と上記キャリッジの位置を検出する手段とを有し、上記駆動プーリと上記従動プーリとの間を往復する上記キャリッジの位置検出のためのフィラーが、上記キャリッジと上記無端ベルトとの連結ピン部材の移動に連動して、上記キャリッジが復動しているときにのみ上記位置検出手段の検出域内に位置することを特徴とする。
【0010】
同請求項2に係るものは、上記プーリ、または上記プーリと同軸上を独立に回転可能で上記連結ピン部材との嵌合部を有する回転部材に、逆動作方向の回転を規制する手段を有し、上記キャリッジの原点位置を上記無端ベルトと該プーリの巻き付け部分の回転方向前半部としてなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置のキャリッジ駆動装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお以下では従来と同一ないし類似の部分に同一の符号を付して説明する。
【0012】
図1は本発明に係る画像形成装置のキャリッジ駆動装置の一実施形態の構成を概略的に示す斜視図である。
【0013】
本実施形態装置の駆動部は駆動プーリに対して二つの伝達経路をもつ。即ち、モータ5の駆動軸であるモータプーリ6から第2のタイミングベルト7を介して駆動プーリ1に至る第1の伝達経路と、モータ5の駆動軸に取り付けられた歯数の少ないギヤ9と減速段プーリ10に同軸取り付けされた歯数の多いギヤ11が噛合してギヤ伝達され、減速段プーリ10から第3のタイミングベルト12を介して駆動プーリ1に至る第2の伝達経路である。モータプーリ6及びギヤ9は、それぞれ、不図示の一方向クラッチを内蔵しており、第1の伝達経路のモータプーリと第2の伝達経路の一方向クラッチとは逆動作、即ち、ロックする回転方向が逆となっている。
【0014】
第1の伝達経路と第2の伝達経路とは減速比が異なり、結果としてモータ5が同一速度で回転しても、伝達経路によって駆動プーリ1は異なった速度で回転することになる。このため、イメージスキャナのように変倍のためにキャリッジの送り速度範囲が広い場合であっても、モータの回転速度範囲を狭く抑えることができるので、モータ、特にステッピングモータの低速回転時の振動を回避することができる。
【0015】
なお以上の構成は、ギヤの噛み合い振動を抑えるために一部分をタイミングベルトによる伝達としている点を除き、特開平4−116040号公報に記載された技術と基本的に同一であるが、本実施形態の構成は、一般に使われている5相ステッピングモータをより低相のステッピングモータに設計変更する際にプーリの一方向回転化と組み合わせて振動対策とすることが可能である。
【0016】
駆動プーリ1と従動プーリ2の間には無端のタイミングベルト3が掛け渡されている。タイミングベルト3の内面には駆動プーリ1のギヤと噛合する歯が設けてあり歯面となっている。一方、タイミングベルト3の外面あるいは背面は平坦になっている。
【0017】
図3は本実施形態の画像形成装置のキャリッジ駆動装置の連結部分の斜視図である。タイミングベルト3の歯面とは逆の面、即ち、背面の1カ所に一体成形にて突起13が設けてある。この突起13にΩ形状の部材である連結部材14がかしめてある。応力集中を避けるためにタイミングベルト3の背面にΩ形状の連結部材14の端部が広い面積で接触するようになっている。
【0018】
キャリッジ4はほぼ板状であり、下面には円形の貫通孔を備えた軸受部19を突出して有し、板状部にはガイド部材16を取り付けるためのガイド部材取り付け用貫通孔20を有している。そして、キャリッジ4の軸受部19の円形の貫通孔には丸棒状のサポートシャフト21が嵌挿され、キャリッジ4の送り方向に対し直角方向に伸びるガイド穴15を備えたガイド部材16がキャリッジ4のガイド部材取り付け用貫通孔20に取り付けられる。
【0019】
丸棒状のスライドシャフト18の一端にはホームポジションセンサの遮光部、即ち、センサフィラー17が取り付けられ、円形の貫通孔を備えた軸受22の側方に連結ピン23が突出してなる連結ピン部品24の貫通孔にスライドシャフト18が嵌挿されている。ガイド部材16のガイド穴15を通して、連結ピン23が連結部材14のU字部とタイミングベルト3の突起13との間に差し込まれる。
【0020】
図6は遮光手段の他の例を示す斜視図である。ガイド部材16は、図3と同様に、キャリッジ4の送り方向に対し直角方向に伸びるガイド穴15を備えている。
【0021】
図3と異なり、ガイド穴15の両端の外側側方には軸25が突出してガイド部材16に設けてある。軸25には円形貫通孔を備えた円板状のプーリ26、27がそれぞれ回転自在に嵌合しているが、一方のプーリ26には遮光手段となるセンサフィラー17が半径方向に突出して取り付けられている。プーリ26、27の間にはタイミングベルト28が掛け渡されている。タイミングベルト28の一部分には連結ピン部品31の結合部29が結合されている。連結ピン部品31の結合部29の下面には、下方へ伸びる連結ピン30が突出している。そして、ガイド部材16のガイド穴15を通して、連結ピン30が不図示の連結部材のU字部と不図示のタイミングベルトの突起との間に差し込まれる。
【0022】
なお、図1に示すように、キャリッジ4のホームポジションの近傍に透過型センサ32が配置されている。
【0023】
次に、本実施形態の画像形成装置のキャリッジ駆動装置の動作について説明する。図2は本実施形態の画像形成装置のキャリッジ駆動装置の動作説明図であり、図4は本実施形態の画像形成装置のキャリッジ駆動装置の速度線図である。
【0024】
駆動プーリが一方向定速回転している際に、キャリッジ4は、連結部がプーリ1、2の間にあるときは定速の往復運動を行い、プーリ1、2のいずれか外側にあるときは正弦的な加速減速動を行う。即ち、駆動プーリ1の最外部点Oで静止状態にあるキャリッジ4は図2における右から左へと正弦的に加速し、時間(πD)/(4×v1)経過後に速度v1に達するとともにキャリッジ4は駆動プーリ1とタイミングベルト3との後方の接点に至る。但し、Dは駆動プーリ及び従動プーリの直径である。
【0025】
その後、キャリッジ4がプーリ1、2の間にあるときは図2における右から左へと速度v1の定速で運動を行い、キャリッジ4は従動プーリ2とタイミングベルト3との後方の接点に至る。次に、キャリッジ4は図2における右から左へと正弦的に減速し、時間(πD)/(4×v1)経過後に従動プーリ2の最外部点Aにおいて速度が0となる。続いて、図2における左から右へと正弦的に加速し時間(πD)/(4×v1)経過後に速度v1に達するとともにキャリッジ4は従動プーリ2とタイミングベルト3との前方の接点に至る。その後、キャリッジ4がプーリ1、2の間にあるときは図2における左から右へと速度v1の定速で運動を行い、キャリッジ4は駆動プーリ1とタイミングベルト3との前方の接点に至る。次に、キャリッジ4は図2における左から右へと正弦的に減速し、時間(πD)/(4×v1)経過後に駆動プーリ1の最外部点Oにおいて速度が0となる。
【0026】
なお、図4において、縦軸は速度を表し図2における左から右への運動を正とする。一方、横軸は時間を表す。
【0027】
本実施形態とは異なり、必要ならば、駆動パルスの間隔を調整することにより、プーリ1、2のいずれか外側にあるときにキャリッジ4を直線的に加減速することも可能である。
【0028】
ステッピングモータを使用する場合、図2において左方向にキャリッジ4が移動するとき、即ちキャリッジ4が往動するとき、センサフィラー17はホームポジションセンサ32の検知範囲外を移動する。一方、図2において右方向にキャリッジが移動するとき、即ちキャリッジ4が復動するとき、センサフィラー17はホームポジションセンサ32の検知範囲内に位置する。そのため、ホームポジションセンサ32の下流側にホームポジションを設定すれば、1個のセンサによってキャリッジの原点復帰が可能となる。
【0029】
図5は本実施形態のキャリッジ駆動装置のキャリッジロックの構成と動作を示す説明図である。図5(A)はキャリッジロックの垂直断面図であり、図5(B)はキャリッジロックの平面図である。
【0030】
図5(A)において、駆動プーリ1はほぼ円筒状であり、外側面にはタイミングベルト3、第3のタイミングベルト12及び第2のタイミングベルト6の側辺を案内する円周方向に連なる突起33が形成されている。駆動プーリ1の内側面は断面が一定半径の円であり貫通孔をなしている。同軸的に丸棒軸34が駆動プーリ1の貫通孔に挿通され、画像形成装置本体に丸棒軸34が固定されている。駆動プーリ1の貫通孔と丸棒軸34の間には円環状のベアリング35が圧装されている。
【0031】
キャリッジロック36は円板状フランジを一端に有する円筒形状である。キャリッジロック36の円形貫通孔と丸棒軸34の上部との間には一方向クラッチ8が介在している。本実施形態と異なり、一方向クラッチをラチェット機構に変更してもよい。したがって、キャリッジロック36は一方向あるいは動作方向には回転するが、逆方向には回転せずロックする。また、キャリッジロック36は駆動プーリ1と同軸上に配置されているが、キャリッジロック36は駆動プーリ1と独立に動作する。
【0032】
図5(B)において、キャリッジロック36が不図示の一方向クラッチ8を介して不図示の丸棒軸に取り付けられており、キャリッジロック36は図5(B)における反時計まわり方向に自由に回転でき、動作方向は反時計まわり方向である。一方、図5(B)における時計まわり方向には回転せずロックし、逆方向は時計まわり方向である。
【0033】
キャリッジのホームポジション位置は駆動プーリの巻き付け範囲の前半部に設定する。これにより、何らの操作をすることなくキャリッジ送り方向の外力に対してキャリッジがロックすることになる。なお、キャリッジの送り速度が小さくタイミングベルトに加わるストレスも小さい場合には、駆動プーリ自体に一方向クラッチを内蔵してもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1に係る画像形成装置のキャリッジ駆動装置によれば、駆動プーリと従動プーリの間に掛け渡されキャリッジを直線方向に駆動する無端ベルトと、該無端ベルトの1カ所に連結され、且つ上記キャリッジの駆動方向に対して直角方向に移動自在な連結ピン部材とを有し、上記プーリの外周部まで上記キャリッジを移動可能とするとともに、上記駆動プーリを一方向に回転させる手段と上記キャリッジの位置を検出する手段とを有し、上記駆動プーリと上記従動プーリとの間を往復する上記キャリッジの位置検出のためのフィラーが、上記キャリッジと上記無端ベルトとの連結ピン部材の移動に連動して、上記キャリッジが復動しているときにのみ上記位置検出手段の検出域内に位置するので、プーリの外周部をキャリッジ駆動の加減速領域に利用することができ、プーリ間隔を小さくでき、画像形成装置の小型化及び低コスト化が可能であるという効果がある。また、キャリッジの移動領域内にプーリを納めることができ、画像形成装置を小型化できるという効果がある。さらに、プーリが一方向回転の場合にはバックラッシが常に片側に偏って生じ、往復回転時に通常行われるような原点割り出し動作が不要となり、動作時間を短縮できるという効果もある。また、新たなセンサや検出機構を追加することなく、キャリッジの位置やキャリッジの往復動の識別ができ、画像形成装置のコストを低下できるという効果がある。また、現在広く使われているステッビングモータの正逆転を可変速度に有効利用することができ、コスト上は有利だが可変速度域の狭い2相モータを5相モータに替わって採用でき、画像形成装置のコストを低下できるという効果もある。
【0036】
請求項2に係る画像形成装置のキャリッジ駆動装置によれば、プーリがまたは該プーリと同軸上を独立に回転可能で連結ピン部材との嵌合部を有する回転部材が逆動作方向の回転を規制する手段を有し、キャリッジの原点位置が無端ベルトと該プーリの巻き付き部の前半部に設けてあるので、人手を介することなく自動的に機能させることができ、誤操作が生じないという効果がある。また、新たなスペースを必要としないので画像形成装置を小型化できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置のキャリッジ駆動装置の一実施形態の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のキャリッジ駆動装置の動作説明図である。
【図3】図1のキャリッジ駆動装置の連結部分の斜視図である。
【図4】図1のキャリッジ駆動装置の速度線図である。
【図5】図1のキャリッジ駆動装置のキャリッジロックの構成と動作を示す説明図である。
【図6】遮光手段の他の例を示す斜視図である。
【図7】従来のキャリッジ駆動装置の概略平面図である。
【符号の説明】
1 駆動プーリ
2 従動プーリ
3 タイミングベルト
4 キャリッジ
5 モータ
6 モータプーリ
7 第2のタイミングベルト
8 一方向クラッチ
9 ギヤ
10 減速段プーリ
11 ギヤ
12 第3のタイミングベルト
13 突起
14 連結部材
15 ガイド穴
16 ガイド部材
17 センサフィラー
18 スライドシャフト
19 軸受部
20 貫通孔
21 サポートシャフト
22 軸受
23 連結ピン
24 連結ピン部品
25 軸
26 プーリ
27 プーリ
28 タイミングベルト
29 結合部
30 連結ピン
31 連結ピン部品
32 センサ
33 突起
34 丸棒軸
35 ベアリング
36 キャリッジロック

Claims (2)

  1. 駆動プーリと従動プーリの間に掛け渡されキャリッジを直線方向に駆動する無端ベルトと、該無端ベルトの1カ所に連結され、且つ上記キャリッジの駆動方向に対して直角方向に移動自在な連結ピン部材とを有し、上記プーリの外周部まで上記キャリッジを移動可能とするとともに、
    上記駆動プーリを一方向に回転させる手段と上記キャリッジの位置を検出する手段とを有し、上記駆動プーリと上記従動プーリとの間を往復する上記キャリッジの位置検出のためのフィラーが、上記キャリッジと上記無端ベルトとの連結ピン部材の移動に連動して、上記キャリッジが復動しているときにのみ上記位置検出手段の検出域内に位置することを特徴とするキャリッジ駆動装置。
  2. 上記プーリ、または上記プーリと同軸上を独立に回転可能で上記連結ピン部材との嵌合部を有する回転部材に、逆動作方向の回転を規制する手段を有し、上記キャリッジの原点位置を上記無端ベルトと該プーリの巻き付け部分の回転方向前半部としてなることを特徴とする請求項1のキャリッジ駆動装置。
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