JP3539440B2 - Polytetrafluoroethylene porous body and method for producing the same - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、メンブランフィルター、電池用隔膜、電線被覆用材料等として有用なポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略記)多孔質体に関し、さらに詳しくは、透過性、機械的強度、及び寸法安定性に優れたPTFE多孔質体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PTFE多孔質体は、例えば、燃料電池用隔膜、メンブランフィルター、分析装置、電線、人工血管など広範な分野で使用されている。近年、精密濾過フィルターや高機能膜用支持体、エアフィルター等の分野において、従来品よりも一段と高い透過性、機械的強度、及び寸法安定性に優れたPTFE多孔質体が求められている。
【0003】
従来、PTFE多孔質体を製造する方法としては、例えば、(1)PTFEのペースト押出により得られる未燒結成形体を融点以下の温度で延伸し、しかる後に燒結する方法(特公昭42−13560号公報)、(2)燒結されたPTFE成形体を徐冷し、結晶化を高めた後、延伸倍率1.5〜4倍に一軸延伸する方法(特公昭53−42794号公報)、(3)PTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる未燒結成形体を、そのファインパウダーの粉末の融点以下であって、該ファインパウダーから得られる成形品(燒結体)の融点以上の温度において、示差走査熱量計における結晶融解図上前記ファインパウダーの吸熱ピークの変化を生ぜず、かつ、該成形体の比重が2.0以上となるように加熱処理した後、該粉末の融点以下の温度で延伸する方法(特開昭58−145735号公報)、(4)数平均分子量が100万以下であるPTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる成形体を、燒結後熱処理して結晶化度を高めた後、次いで少なくとも1軸方向に延伸を行なう方法(特開昭64−78823号公報)等が知られている。
【0004】
しかしながら、前記(1)の未燒結成形体を延伸する方法では、透過性に優れた多孔質体を得るには限度があった。(2)の燒結品を延伸する方法では、延伸倍率が高くとれないことから、気孔率が低く、透過性の低い膜しか得られない。(3)の加熱処理した後、延伸する方法では、比較的小孔径を得やすいものの未だ不充分であり、また、耐熱性も充分ではない。(4)の数平均分子量が100万以下のPTFEの燒結体を延伸する方法では、比較的高い気孔率が得られるものの、延伸倍率を高くとれないことから、透過性の点で充分ではない。
【0005】
また、PTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる成形体を圧縮して緻密化処理した後、一軸または二軸延伸することにより、高い強さと粗い微小構造のPTFE多孔質体を得ることが提案されている(特開昭59−145124号公報)。しかし、このPTFE多孔質体は、透過性が充分ではなく、耐熱性や寸法安定性も不充分である。
【0006】
最近、数平均分子量が200万程度のやや低分子量のPTFEを使用することにより、薄く高通気性のPTFE多孔質体を得ることが提案されているが(特表平3−504876号公報)、例えば、その実施例3に示されているように、引張強度が45g/cm2程度であり、強度的には不充分なものである。
【0007】
PTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる未燒結成形体を、示差走査熱量計による結晶融解図上該ファインパウダーの吸熱ピーク位置と、その燒結体の吸熱ピーク位置との間に少なくとも1つのピークが生じるように加熱処理した後、少なくとも1方向に延伸することにより、小孔径で、透過性及び耐熱性に優れたPTFE多孔質体を得る方法が提案されている(特開平3−174452号公報)。この方法によれば、優れた透過性を有するPTFE多孔質体を得ることができるが、透過性、強度、寸法安定性、耐熱性などのさらなる改善が求められる。
【0008】
PTFE半焼成体を二軸方向に伸長面積倍率で少なくとも50倍、好ましくは少なくとも100倍、さらに好ましくは少なくとも250倍延伸し焼成することにより、空気及び気体の圧力損失の小さいエアフィルター用PTFE多孔膜を得ることが提案されている(特開平5−202217号公報)。しかし、この多孔膜は、高流量ではあるが、強度が弱く、耐熱性も充分ではない。
【0009】
このように、従来の技術では、透過性に優れ、しかも強度、寸法安定性、耐熱性が良好なPTFE多孔質体を得る点では、不充分である。また、従来のPTFE多孔質体は、溶媒に浸漬した後の収縮率(溶媒収縮率)が大きく、例えば、濾過材として、有機溶剤蒸気の濾過に使用したり、あるいは有機溶剤で洗浄した場合に、厚さ方向に収縮して、気体流量が低下するという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透過性に優れ、しかも機械的強度、寸法安定性、耐熱性が良好なPTFE多孔質体を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の有する問題点を克服するために鋭意研究した結果、PTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる未燒結成形体を、PTFE樹脂の融点(約327℃)未満の温度で、延伸後の縦横両方向の引張強度比が1:3〜3:1となるような延伸比率で、全延伸倍率40倍(面積比)以上で二軸延伸した後、それを完全燒結することにより、従来品と比べて、同じ孔径(バブルポイント)で高い透過性を有し、しかも完全燒結することにより、繊維が溶融して繊維径が太くなり、高強度化すると共に、熱収縮や溶剤収縮がなくなるという優れた諸特性を有するPTFE多孔質体の得られることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、ポリテトラフルオロエチレン・ファインパウダーのペースト押出によって得られる未燒結成形体を、該樹脂の融点未満の温度で、延伸後の成形体の縦方向と横方向の引張強度比が1:3〜3:1の範囲となるような縦横の延伸比率で、かつ、全延伸倍率が40倍(面積比)以上となるように二軸延伸した後、完全燒結することを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔質体の製造方法が提供される。
(ただし、「完全燒結」とは、示差走査熱量計で燒結試料を昇温速度10℃/分で昇温した際に、約327℃に吸熱ピークが現れ、かつ、その吸熱量が20J/g未満となるまで燒結することを意味する。)
【0012】
また、本発明によれば、下記で定義されるIPAバブルポイント(A)とIPA流量(B)とが、下記の関係式〔I〕を満足し、かつ孔径が0.01〜10μmの範囲であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔質体が提供される。
log(B)≧−1.528×log(A)+1.78 〔I〕
〔ただし、IPAバブルポイント(A)は、イソプロピルアルコールを使用し、ASTM−F−316の方法により測定したバブルポイント(kg/cm2)である。IPA流量(B)は、イソプロピルアルコールを使用し、ASTM−F−317の方法により測定した流量(ml/cm2/min)である。〕
【0013】
さらに、本発明の製造方法によれば、下記で定義されるIPAバブルポイント(A)と空気流量(C)とが、下記の関係式〔II〕を満足し、かつ孔径が0.01〜10μmの範囲であるポリテトラフルオロエチレン多孔質体を得ることができる。
log(C)≧−1.415×log(A)+2.60 〔II〕
〔ただし、IPAバブルポイント(A)は、イソプロピルアルコールを使用し、ASTM−F−316の方法により測定したバブルポイント(kg/cm2)である。空気流量(C)は、ASTM−D−726の方法で測定したガレー秒から「空気流量(C)=930/ガレー秒(sec)」の式により換算される流量(ml/cm2/min)である。〕
【0014】
以下、本発明について詳述する。
(PTFEファインパウダー)
本発明で使用するPTFEは、ファインパウダーであり、通常、数平均分子量が50万以上、好ましくは200万〜2000万のものが用いられる。
【0015】
(ペースト押出)
本発明におけるペースト押出は、従来から未燒結PTFE成形体の製造法として知られているペースト押出法による。
ペースト押出法では、通常、PTFE100重量部に対して、液状潤滑剤15〜40重量部、好ましくは20〜30重量部を配合して押出成形を行なう。
液状潤滑剤としては、従来からペースト押出法で用いられている各種の潤滑剤が使用でき、具体例として、ソルベントナフサ、ホワイトオイルなどの石油系溶剤・炭化水素油、トルオール類、ケトン類、エステル類、シリコーンオイル、フルオロカーボンオイル、これらの溶剤にポリイソブチレン、ポリイソプレンなどのポリマーを解かした溶液、これら2つ以上の混合物、表面活性剤を含む水または水溶液などを挙げることができる。
【0016】
ペースト押出による成形は、PTFEファインパウダー及び液状潤滑剤を含む混合物を、PTFEの燒結温度以下(約327℃以下)、通常は室温付近で、所定形状に成形することにより行われる。ペースト押出に先立って予備成形を行ってもよい。したがって、一般には、上記混合物を例えば1〜50kg/cm2程度の圧力で予備成形(加圧予備成形)してから、ペースト押出機により押出し、またはカレンダーロールなどにより圧延し、あるいは押出した後圧延するなどして所定形状の成形体を製造する。
【0017】
成形体の形状は、シート、チューブ、ロッド、ストリップ、フィルムなどがあり、圧延すれば薄いシートを得ることができる。成形体の形状は、特に限定されず、後述する加熱処理の後、延伸し得るものであればよい。
液状潤滑剤は、ペースト押出による成形体を抽出、溶解または加熱蒸発などにより成形体から除去する。シリコーンオイルやフルオロカーボンなどの比較的沸点が高い液状潤滑剤を使用するときは、抽出による除去が好ましい。
【0018】
なお、液状潤滑剤のほかに目的に応じて他の物質を含ませることができる。例えば、着色のための顔料、耐摩耗性の改良、低温流れの防止や気孔の生成を容易にする等のためのカーボンブラック、グラファイト、シリカ粉、アスベスト粉、ガラス粉、ガラス繊維、ケイ酸塩類や炭酸塩類などの無機充填剤、金属粉、金属酸化物粉、金属硫化物粉などを添加することができる。
また、多孔構造の生成を助けるために、加熱、抽出、溶解等により除去または分解され得る物質、例えば、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、他のプラスチック、ゴム等を粉末または溶液の状態で配合することができる。
【0019】
(延 伸)
本発明では、PTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる未燒結成形体を、該樹脂の融点未満の温度で、延伸後の成形体の縦方向と横方向の引張強度比が1:3〜3:1の範囲となるような縦横の延伸比率で、かつ、全延伸倍率が40倍(面積比)以上となるように二軸延伸する。
延伸は、シートやロッド、チューブなどの所定形状に成形し、得られた成形体を通常の方法で機械的に引き伸ばして行うことができる。例えば、シートの場合には、1つのロールから他のロールへと巻き取る際に、巻き取り速度を送り速度より大きくしたり、あるいはシートの相対する2辺をつかんでその間隔を広げるように引き伸ばしたりして延伸することができる。また、逐次二軸延伸、同時二軸延伸など各種の延伸法が採用できる。
【0020】
延伸温度は、通常、PTFE樹脂の融点未満の温度(約327℃未満)、好ましくは0〜300℃の範囲である。低い温度での延伸は、比較的孔径の大きい、気孔率の高い多孔質体などを生じ易く、高い温度での延伸は、孔径の小さい、緻密な多孔質体を生じ易い。そこで、これらの条件を組み合わせることにより、孔径や気孔率をコントロールすることができる。
【0021】
ペースト押出による未燒結成形体は、押出、圧延工程において、すでに縦(長さ方向)及び横(幅方向)に配向しており、特に長さ方向の強度が強い。圧延厚みを薄くすればするほど、長さ方向の強度は増す。
本発明では、延伸工程において、延伸後の成形体(完全燒結品)の縦横の引張強度比が1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1の範囲となるように延伸する点に特徴を有する。このように縦横の強度比を調整することにより、縦方向及び横方向の繊維長さが等しくなり、丸い孔形状となる。
【0022】
延伸倍率を高くすると、繊維化が進むと同時に、繊維径は細く緻密となり、見掛け上の孔径は小さくなり、IPAバブルポイントは上がる。延伸倍率は、少なくとも40倍(面積比)とするが、気孔率を高く、また、薄膜化するためには、好ましくは100倍以上、より好ましくは1000倍以上延伸することが望ましい。延伸は、200℃程度の高温で一段延伸した後、さらに高温条件下で二段目の延伸を行ってもよい。二軸延伸する場合、通常、一方向に各2〜50倍(長さ比)延伸し、縦横延伸比は1:10〜10:1の範囲が適当である。
【0023】
(燒 結)
本発明では、二軸延伸した成形体を完全燒結する点に特徴を有する。ここで、完全燒結とは、示差走査熱量計(DSC)で燒結試料を昇温速度10℃/分で昇温した際に、約327℃(327℃±1℃)に吸熱ピークが現れ、かつ、その吸熱量が20J/g未満となるまで燒結することを意味する。
【0024】
PTFEファインパウダーは、DSCによる結晶融解図(DSCチャート)上で、347℃付近(347℃±2℃)に吸熱ピークを示す。この吸熱ピークは、PTFEファインパウダーのペースト押出による未燒結の成形体及び延伸品にも現れる。これをDSCチャートにおけるPTFEファインパウダーの融点または吸熱ピーク位置という。この347℃付近の吸熱ピークは、通常、338℃付近にショルダーまたは他の低いピークを伴うが、ファインパウダーの種類によっては、これらのショルダーや他のピークが現れないものもある。
【0025】
PTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる未燒結成形体の延伸品を、ファインパウダーの融点以上の温度、通常は350〜500℃に保った加熱炉中で、一般に数分間以内の時間、加熱すると、DSCチャート上347℃付近のピークが消失して行き、次第に327℃付近に吸熱ピークが現れてくる。加熱時間を充分に長くとり、例えば、10分間以上高温で加熱すると、成形体を完全燒結することができる。
表1に、DSCで成形体を昇温速度10℃/分で昇温した際に現れる吸熱ピークと吸熱量について、成形体の燒結状態との関連で示す。
【0026】
【表1】
【0027】
本発明では、二軸延伸した成形体を、約327℃に吸熱ピークが現れ、かつ、その吸熱量が20J/g未満となるまで完全燒結することが必要である。吸熱ピークが327℃付近に現れ、延伸成形体が燒結されていても、吸熱量が20J/g以上ある場合には、溶媒収縮率及び熱収縮率がゼロとはならず、両方の条件を満足する場合においてのみ達成される。
【0028】
また、このように完全燒結を行うことにより、延伸成形体の引張強度が急激に高くなり、PTFE多孔質体の単体膜でフィルター化できる強度が付与される。PTFEファインパウダーのペースト押出によって得られる未燒結成形体を高延伸倍率で二軸延伸すると、PTFEの塊りである結節がなくなり、通常の繊維−結節構造の多孔質体ではなく、実質的に繊維のみからなる微細構造を有する多孔質体が形成される。このように多孔質体を繊維化させ、その繊維を緻密かつ細くすることで、高気孔率化させ、高流量化を達成することができる。このような繊維化した延伸成形体を完全燒結すると、繊維が溶融し合って繊維径が太くなり、高強度化すると同時に、熱収縮及び溶剤収縮が防止されたPTFE多孔質体が得られる。
【0029】
(PTFE多孔質体)
本発明の製造方法により得られるPTFE多孔質体は、未燒結成形体を高延伸倍率で二軸延伸し、かつ、完全燒結されているため、繊維化が進み、ほぼ繊維のみの微細構造を有するものとなる。図1に、本発明のPTFE多孔質体表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す(約3000倍で写真を撮り、それを拡大して示す)。図1中、白い線状のものが繊維を示し、黒い部分は、孔である。これに対して、図2に、結節−繊維の微細構造を有する従来のPTFE多孔質体(例えば、特公昭42−13560号公報記載の方法で得られたもの)表面のSEM写真を示すが、白い部分に塊り(結節)のあることが分かる。
【0030】
本発明の製造方法により得られるPTFE多孔質体は、ペースト押出によって得られる成形体の形状により、例えば、シート状、チューブ状など各種の形状をとることができ、高い気孔率をもち、透過性に優れる。また、本発明のPTFE多孔質体は、従来品と比べて、高度の耐熱性(低熱収縮率)と寸法安定性(低溶媒収縮率)を有している。本発明のPTFE多孔質体の孔径は、PTFE成形体の結晶化度や延伸倍率などにより変化するが、通常、0.01〜10μm程度である。
【0031】
また、本発明の方法では、延伸倍率を大きくすることができるので、微細孔であるとともに、気孔率を80〜95%程度と高くすることが可能である。なお、後で定義するように、孔径についてはバブルポイントで、透過性についてはガレー秒で評価することができる。
PTFE多孔質体の厚さは、延伸倍率を変化させることにより、種々のものを作成することができ、例えば、厚さ50μm以下、さらには10〜30μm程度の薄膜でも容易に得ることができる。
【0032】
より具体的に、本発明のPTFE多孔質体は、(1)膜厚50μm以下の薄膜とすることが可能であり、(2)IPAバブルポイントは、通常、1.0kg/cm2以上であり、(3)IPA流量は、通常、30ml/cm2/minで、従来品と比較して、同一孔径(バブルポイント)で流量が向上しており、(4)ガレー秒は、通常、8.0sec以下であり、(5)後記する測定法による熱収縮率及びIPAを用いた溶媒収縮率が共にゼロ%であり、(6)縦方向と横方向の引張強度比が1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1であり、かつ、高強度である。
【0033】
本発明のPTFE多孔質体は、溶媒に対して安定している。従来のPTFE多孔質体は、イソプロパノール(IPA)などの溶媒に浸漬後、拘束して乾燥すると、厚さ方向に収縮して厚さが薄くなるという問題点を有していた。溶媒収縮率は、気体流量(ガレー秒:気体流量の逆数)と強い相関がある。特に、厚さが薄くなることにより、PTFE多孔質体の気体流量が著しく悪くなり、ひどい場合には、溶媒浸漬前の気体流量の1/2〜1/4となる。
【0034】
そこで、従来のPTFE多孔質体を、例えば、濾過材(フィルター)として空気および有機溶剤蒸気の濾過に使用すると、経時により厚み方向に収縮して気体流量が低下する。また、多量濾過を行うために、フィルターの表面積を増やすべくプリーツ状に加工して、小型容器内に収納した濾過装置(カートリッジ)は、洗浄を行なう際、溶媒を使用するので、洗浄後に厚み方向に収縮して気体流量が低下する。ところが、本発明のPTFE多孔質体は、完全燒結しているので、溶媒収縮しない。
【0035】
本発明のPTFE多孔質体の優れた寸法安定性及び透過性などの特性は、そのミクロな構造によるものと考えることができる。第2図に示したように、従来のPTFE多孔質体の構造は、樹脂の塊りである結節と、それを結ぶ繊維と、これらに囲まれた微細な空孔からなっている。ところが、第1図に示した本発明のPTFE多孔質体は、結節部がほとんどなく、本質的に繊維のみからなる構造を有しており、この構造により、溶媒による収縮が起こりにくくなり、したがって気体流量の悪化が最小限に抑えられるものと考えられる。
【0036】
本発明のPTFE多孔質体が繊維のみからなる構造を有している理由は、延伸後の成形体の縦横引張強度比が1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1になるような延伸比率で、かつ、延伸倍率40倍(面積比)以上の二軸延伸を行うことにより、PTFEの繊維化が進み易い構造になるためと推定される。この繊維化は、延伸すればするほど促進され、本質的に繊維のみからなる構造となる。
本発明による多孔質膜は、微細な孔と高い気孔率を有し、液体、気体の透過性に優れるとともに、均一度が高く、平滑な面を有し、機械的強度が高く、非粘着性で、低摩擦性を備え、しかも柔軟性を有している。さらに、熱収縮率及び溶媒収縮率が小さく、耐熱性や寸法安定性が良好である。
【0037】
本発明のPTFE多孔質体は、実施例で詳述するように、下記の関係式〔I〕を満足するものであり、同一孔径(同一バブルポイント)の従来品と比較して、流量に優れるものである。
即ち、本発明のPTFE多孔質体は、IPAバブルポイント(A)とIPA流量(B)とが、下記の関係式〔I〕を満足する。
log(B)≧−1.528×log(A)+1.78 〔I〕
また、本発明の製造方法により得られるPTFE多孔質体は、IPAバブルポイント(A)と空気流量(C)とが、下記の関係式〔II〕を満足する。
log(C)≧−1.415×log(A)+2.60 〔II〕
勿論、本発明のPTFE多孔質体は、これら両式の関係を同時に満足する。
【0038】
そこで、本発明のPTFE多孔質体は、例えば、濾過材、隔膜、摺動材、非粘着材等として広い用途範囲をもつものであるが、特に前記のような特徴点を生かし、精密濾過用フィルター、高機能膜用支持体、エアフィルターなどとして好適である。そして、半導体、医療、バイオなどの分野で、薬品の濾過フィルター、血奨成分の分離膜、人工肺用隔膜など広範な用途に利用できる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<物性の測定方法>
本発明における物性の測定方法は、次のとおりである。
(1)DSCにおける吸熱ピーク温度(℃)と吸熱量(J/g)
示差走査熱量計(DSC)により、試料約10mgを用い、昇温速度10℃/分で測定した。
(2)IPAバブルポイント(kg/cm2)
イソプロピルアルコールを用いて、ASTM−F−316の方法により測定したもので、この数値が大きい程小さい孔径であることを示す。
(3)IPA流量(ml/cm2/min)
イソプロピルアルコールを用いて、ASTM−F−317の方法により測定したもので、差圧は70cmHgとした。この流量が大きい程透過性が良好であることを示す。
【0040】
(4)熱収縮率(%)
シート状の試料を150℃で30分放置後、その収縮率を測定した。
(5)溶媒収縮率(%)
シート状の試料を溶媒(IPA)に浸漬した後、拘束して乾燥し、浸漬前後の厚さの収縮率を以下の式で求めた。
収縮率(%)=[(T−t)/T]×100
(式中、Tは、溶媒浸漬前の厚さで、tは、溶媒浸漬後の厚さである。)
(6)ガレー秒(sec)
ガレー秒は、差圧12.4mmH2Oで、試料1平方インチ(6.45cm2)を100ccの空気が流れるのに要する時間であり、ASTM−D−726の方法にて測定した。
(7)引張強度(kg/cm2)
引張強度は、ASTM−D−882に準拠して、縦横両方向から測定した。
【0041】
[実施例1]
ダイキン工業社製PTFEファインパウダーF−104(分子量400〜500万)1000gに、液状潤滑剤としてホワイトオイル230gを加えて均一に混和し、圧力50kg/cm2で加圧して予備成形後、ペースト押出機により押出し、圧延により0.2mm厚のシート状に成形した。これを、トリクロロエチレン中に浸漬し、液状潤滑剤を抽出除去した。このシートを200℃に加熱し、シートの長手方向に500%、幅方向に1200%に延伸した。次に、延伸したシートを収縮しないように固定し、雰囲気温度350℃で時間を1、3、5、及び10分と変化させて保持した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2から明らかなように、DSCチャートで、吸熱ピーク温度が327℃で、吸熱量が15J/gと完全燒結したとき、PTFE多孔質シートの熱収縮率及びIPA溶媒収縮率が共に0%となった。引張強度も完全燒結することで、非常に強くなっている。
【0044】
[実施例2]
ダイキン工業社製PTFEファインパウダーF−104(分子量400〜500万)1000gに、液状潤滑剤としてホワイトオイル230gを加えて均一に混和し、圧力50kg/cm2で加圧して予備成形後、ペースト押出機により押出し、圧延により0.3mm厚のシート状に成形した。これを、トリクロロエチレン中に浸漬し、液状潤滑剤を抽出除去した。このシートを200℃に加熱したロールで、一軸方向(長手方向)に100、300、及び500%と延伸倍率を変えて延伸した。この延伸シートを横方向に1000及び2000%と延伸倍率を変えて延伸した。二軸延伸シートは、収縮しないように束縛して、350℃の雰囲気下に15分間保持した。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
表3に示すように、各試料は、ほぼ同様の孔径(IPAバブルポイント)であるにもかかわらず、縦横の引張強度比が1:3〜3:1の範囲にあり、かつ、全延伸倍率が40倍以上になると、高性能となることが分かる。延伸倍率を増大させると、繊維化が進み、繊維径は細く緻密になり、見掛けの孔径は小さくなる。これを完全燒結すると引張強度が高くなる。延伸倍率を増大させても引張強度の低下が小さいのは、繊維径がより細く緻密になっているためと推定される。
【0047】
[実施例3]
前記したとおり、延伸条件を変えて、低い温度で延伸すると大孔径の多孔質体が、高い温度で延伸すると小孔径の多孔質体が得られる。そこで、実施例1で使用したPTFEファインパウダーを用いて、全延伸倍率を40倍で一定にし、延伸条件を変えて、具体的には、延伸時のロール温度を100℃、150℃、200℃及び320℃と変化させて、各種孔径(IPAバブルポイント)を有するPTFE多孔質体を作成した。
得られた各試料について、IPAバブルポイントとIPA流量との関係を図3(白丸)に、また、IPAバブルポイントと空気流量との関係を図4(白丸)に示す。
【0048】
(1)図3のデータ(白丸)から、log(IPAバブルポイント)とlog(IPA流量)との関係について一次回帰直線を作成すると、次式が得られる。
log(B)=−1.528×log(A)+1.78
ただし、(A)は、IPAバブルポイントであり、(B)は、IPA流量である。この式に基づく直線は、図3の1の直線である。
全延伸倍率を40倍より大きくすると、さらにIPA流量を増大させることができる。したがって、本発明のPTFE多孔質体は、式〔I〕を満足する高性能のものが得られる。
log(B)≧−1.528×log(A)+1.78 〔I〕
つまり、図3の右上の斜線部分をカバーする領域である。
【0049】
ところで、図3には、最も近い先行技術(特願平2−236284号;特開平3−174452号公報)の方法に基づいて、同様に各種孔径(IPAバブルポイント)を有するPTFE多孔質体を作成し、同様に、IPAバブルポイントとIPA流量との関係を示すデータ(黒丸)から次式を算出した。
log(B)=−1.528×log(A)+1.43
この式に基づく直線は、図3の2の直線である。
【0050】
図3より、IPAバブルポイントとIPA流量との関係から、次の一般式で表される関係が成立することが分かる。
log(B)=a×log(A)+b
(ただし、aは、傾きであり、bは、切片である。)
ここで、本発明品と従来品とを対比すると、aは、−1.528で一定であることが分かる。従来品では、切片bが1.43であるのに対して、本発明品では1.78であり、膜性能に優れているが、さらに延伸倍率を増大させれば、高性能品が得られる。
【0051】
(2)図4のデータ(白丸)から、log(IPAバブルポイント)とlog(空気流量)との関係について一次回帰直線を作成すると、次式が得られる。
log(C)=−1.415×log(A)+2.60
ただし、(A)は、IPAバブルポイントであり、(C)は、ガレー秒から「空気流量(C)=930/ガレー秒(sec)」の式により換算される空気流量である。この式に基づく直線は、図4の3の直線である。本発明品は、延伸倍率を増大させると、より空気流量を高めることができるから(例えば、切片が2.60〜3.00)、式〔II〕を満足する高性能品が得られる。
log(C)≧−1.415×log(A)+2.60 〔II〕
【0052】
ところで、図4には、最も近い先行技術(特願平2−236284号;特開平3−174452号公報))の方法に基づいて、同様に各種孔径(IPAバブルポイント)を有するPTFE多孔質体を作成し、同様に、IPAバブルポイントと空気流量との関係を示すデータ(黒丸)から次式を算出した。
log(C)=−1.415×log(A)+2.25
これを図4の直線4として示す。
【0053】
また、他の先行技術(特開昭59−145124号公報)の方法に基づいて、同様に各種孔径(IPAバブルポイント)を有するPTFE多孔質体を作成し、同様に、IPAバブルポイントと空気流量との関係を示すデータ(三角)から次式を算出した。
log(C)=−1.415×log(A)+1.16
これを図4の直線5として示す。
【0054】
図4より、IPAバブルポイントと空気流量との関係から、次の一般式で表される関係が成立することが分かる。
log(C)=c×log(A)+d
(ただし、cは、傾きであり、dは、切片である。)
ここで、本発明品と従来品とを対比すると、cは、−1.415で一定であることが分かる。従来品では、切片dが1.16〜2.25であるのに対して、本発明品では2.60であり、膜性能に優れているが、さらに延伸倍率を増大させれば、高性能品が得られる。
【0055】
以上の結果から、本発明のPTFE多孔質体は、従来品と比較して、同一孔径(即ち、同一バブルポイント)で比較した場合、流量において優れていることが分かる。したがって、本発明品は、特にフィルター性能に優れている。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、高透過性(高気孔率)で、高い機械的強度と、高度の耐熱性(低熱収縮率)、寸法安定性(低溶媒収縮率)を有するPTFE多孔質体を提供することができる。本発明のPTFE多孔質体は、精密濾過用フィルター、高機能膜用支持体、エアフィルターなどとして、広範な分野で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPTFE多孔質体表面の走査型電子顕微鏡写真に基づく繊維構造を示す図である。
【図2】従来のPTFE多孔質体表面の走査型電子顕微鏡写真に基づく繊維−結節構造を示す図である。
【図3】本発明のPTFE多孔質体(1)及び先行技術のPTFE多孔質体(2)のIPAバブルポイントとIPA流量との関係を示すグラフである。
【図4】本発明のPTFE多孔質体(3)、先行技術のPTFE多孔質体(4)、及び他の先行技術のPTFE多孔質体(5)のIPAバブルポイントと空気流量との関係を示すグラフである。[0001]
[Industrial applications]
TECHNICAL FIELD The present invention relates to a polytetrafluoroethylene (hereinafter abbreviated as PTFE) porous material useful as a membrane filter, a membrane for a battery, a material for covering an electric wire, and more specifically, to permeability, mechanical strength, and dimensional stability. And a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
PTFE porous bodies are used in a wide range of fields such as fuel cell membranes, membrane filters, analyzers, electric wires, and artificial blood vessels. In recent years, in the fields of microfiltration filters, supports for high-performance membranes, air filters, and the like, there has been a demand for a PTFE porous body that is much higher in permeability, mechanical strength, and dimensional stability than conventional products.
[0003]
Conventionally, as a method for producing a porous PTFE body, for example, (1) a method in which an unsintered molded body obtained by extruding a PTFE paste is stretched at a temperature equal to or lower than the melting point and then sintered (Japanese Patent Publication No. Sho 42-13560) JP-A-53-42794, (2) a method in which a sintered PTFE molded body is gradually cooled to increase crystallization, and then uniaxially stretched to a stretching ratio of 1.5 to 4 (JP-B-53-42794); An unsintered compact obtained by paste extrusion of PTFE fine powder is subjected to a differential scanning calorimeter at a temperature not higher than the melting point of the fine powder powder and not lower than the melting point of the molded product (sintered product) obtained from the fine powder. After the heat treatment is performed so that the endothermic peak of the fine powder does not change on the crystal melting diagram in Example 1 and the specific gravity of the compact becomes 2.0 or more, the melting of the powder is performed. (4) A molded product obtained by extruding a paste of PTFE fine powder having a number average molecular weight of 1,000,000 or less is crystallized by heat treatment after sintering. A method of increasing the degree and then stretching at least in the uniaxial direction (Japanese Patent Application Laid-Open No. 64-78823) is known.
[0004]
However, in the method (1) for stretching an unsintered molded body, there is a limit in obtaining a porous body having excellent permeability. In the method (2) for stretching a sintered product, since a stretching ratio cannot be set high, only a film having low porosity and low permeability can be obtained. In the method of stretching after the heat treatment of (3), although a relatively small pore size is easily obtained, it is still insufficient, and the heat resistance is also insufficient. In the method of (4) for stretching a sintered body of PTFE having a number average molecular weight of 1,000,000 or less, although a relatively high porosity can be obtained, the draw ratio cannot be set high, and thus the permeability is not sufficient.
[0005]
Further, it has been proposed to obtain a PTFE porous body having high strength and a coarse microstructure by compressing and densifying a molded body obtained by paste extrusion of PTFE fine powder, followed by uniaxial or biaxial stretching. (JP-A-59-145124). However, this PTFE porous body has insufficient permeability and insufficient heat resistance and dimensional stability.
[0006]
Recently, it has been proposed to obtain a thin and highly air-permeable PTFE porous body by using PTFE having a number average molecular weight of about 2,000,000 and a slightly low molecular weight (JP-A-3-504876). For example, as shown in Example 3, the tensile strength is 45 g / cm Two And the strength is insufficient.
[0007]
The unsintered compact obtained by the paste extrusion of PTFE fine powder has at least one peak between the endothermic peak position of the fine powder and the endothermic peak position of the sintered body on a crystal melting diagram by a differential scanning calorimeter. There has been proposed a method of obtaining a PTFE porous body having a small pore diameter and excellent in permeability and heat resistance by performing a heat treatment as described above and stretching the film in at least one direction (Japanese Patent Application Laid-Open No. 3-174452). According to this method, a PTFE porous body having excellent permeability can be obtained, but further improvements in permeability, strength, dimensional stability, heat resistance, and the like are required.
[0008]
A PTFE porous membrane for an air filter having a small pressure loss of air and gas by stretching and firing a PTFE semi-fired body at least 50-fold, preferably at least 100-fold, more preferably at least 250-fold in the biaxial direction. (Japanese Patent Laid-Open No. 5-202217). However, although this porous membrane has a high flow rate, it has low strength and insufficient heat resistance.
[0009]
As described above, the conventional techniques are insufficient in obtaining a PTFE porous body having excellent permeability and excellent strength, dimensional stability, and heat resistance. In addition, the conventional porous PTFE material has a large shrinkage ratio (solvent shrinkage ratio) after immersion in a solvent. For example, when a porous material is used as a filtering material for filtering organic solvent vapor or washed with an organic solvent. However, there is a problem that the gas flow rate is reduced due to contraction in the thickness direction.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a PTFE porous body having excellent permeability, and excellent mechanical strength, dimensional stability, and heat resistance.
The present inventors have conducted intensive studies to overcome the problems of the prior art, and as a result, have found that an unsintered compact obtained by paste extrusion of PTFE fine powder can be obtained at a temperature lower than the melting point of the PTFE resin (about 327 ° C.). At a stretching ratio such that the tensile strength ratio in the longitudinal and transverse directions after stretching is 1: 3 to 3: 1, and the total stretching ratio is 40 times (area ratio). that's all After being biaxially stretched in, the fiber is completely sintered and has high permeability at the same pore diameter (bubble point) as compared with the conventional product. The present inventors have found that a porous PTFE body having excellent properties such as increased thickness, higher strength, and no heat shrinkage or solvent shrinkage can be obtained, and the present invention has been completed based on the findings.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
Thus, according to the present invention, the unsintered molded body obtained by extruding the paste of polytetrafluoroethylene fine powder is subjected to a tensile strength in the longitudinal and transverse directions of the molded body after stretching at a temperature lower than the melting point of the resin. After the biaxial stretching so that the ratio is in the range of 1: 3 to 3: 1 and the total stretching ratio is 40 times (area ratio) or more, complete sintering is performed. A method for producing a polytetrafluoroethylene porous body is provided.
(However, “complete sintering” means that when a sintered sample is heated at a heating rate of 10 ° C./min with a differential scanning calorimeter, an endothermic peak appears at about 327 ° C. and the endothermic amount is 20 J / g. Means sintering to less than)
[0012]
According to the present invention, the IPA bubble point (A) and the IPA flow rate (B) defined below satisfy the following relational expression [I]. And the pore size is in the range of 0.01 to 10 μm. A polytetrafluoroethylene porous body is provided.
log (B) ≧ −1.528 × log (A) +1.78 [I]
[However, the IPA bubble point (A) is a bubble point (kg / cm) measured by the method of ASTM-F-316 using isopropyl alcohol. 2 ). The IPA flow rate (B) is a flow rate (ml / cm) measured by the method of ASTM-F-317 using isopropyl alcohol. 2 / Min). ]
[0013]
Furthermore, the present invention Manufacturing method According to the above, the IPA bubble point (A) and the air flow rate (C) defined below satisfy the following relational expression [II]: And the pore size is in the range of 0.01 to 10 μm Polytetrafluoroethylene porous material Can get .
log (C) ≧ −1.415 × log (A) +2.60 [II]
[However, the IPA bubble point (A) is a bubble point (kg / cm) measured by the method of ASTM-F-316 using isopropyl alcohol. 2 ). The air flow rate (C) is a flow rate (ml / cm) converted from the Galley seconds measured by the method of ASTM-D-726 according to the formula of "air flow rate (C) = 930 / Galley seconds (sec)". 2 / Min). ]
[0014]
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
(PTFE fine powder)
The PTFE used in the present invention is a fine powder, and usually has a number average molecular weight of 500,000 or more, preferably 2,000,000 to 20,000,000.
[0015]
(Paste extrusion)
The paste extrusion in the present invention is based on a paste extrusion method conventionally known as a method for producing an unsintered PTFE molded article.
In the paste extrusion method, usually, 15 to 40 parts by weight, preferably 20 to 30 parts by weight of a liquid lubricant is blended with 100 parts by weight of PTFE and extrusion molding is performed.
As the liquid lubricant, various lubricants conventionally used in the paste extrusion method can be used. Specific examples include solvent naphtha, petroleum solvents such as white oil, hydrocarbon oils, toluenes, ketones, and esters. , A silicone oil, a fluorocarbon oil, a solution in which a polymer such as polyisobutylene or polyisoprene is dissolved in these solvents, a mixture of two or more thereof, water or an aqueous solution containing a surfactant, and the like.
[0016]
Molding by paste extrusion is performed by molding a mixture containing PTFE fine powder and a liquid lubricant into a predetermined shape at a temperature lower than the sintering temperature of PTFE (about 327 ° C. or lower), usually around room temperature. Preforming may be performed prior to paste extrusion. Therefore, generally, the above mixture is, for example, 1 to 50 kg / cm. Two After preforming at a moderate pressure (pressurizing preforming), the product is extruded by a paste extruder, rolled by a calender roll or the like, or extruded and then rolled to produce a molded article having a predetermined shape.
[0017]
The shape of the formed body includes a sheet, a tube, a rod, a strip, a film and the like, and a thin sheet can be obtained by rolling. The shape of the molded body is not particularly limited as long as it can be stretched after the heat treatment described below.
The liquid lubricant is removed from the molded body by extracting, dissolving or heating and evaporating the molded body by paste extrusion. When using a liquid lubricant having a relatively high boiling point, such as silicone oil or fluorocarbon, removal by extraction is preferred.
[0018]
In addition to the liquid lubricant, other substances can be included according to the purpose. For example, pigments for coloring, carbon black, graphite, silica powder, asbestos powder, glass powder, glass fiber, silicates for improving abrasion resistance, preventing low-temperature flow and facilitating formation of pores And inorganic fillers such as carbonates, metal powder, metal oxide powder, metal sulfide powder, and the like.
In addition, in order to assist the formation of a porous structure, a substance that can be removed or decomposed by heating, extraction, dissolution, etc., for example, ammonium chloride, sodium chloride, other plastics, rubber, and the like may be compounded in a powder or solution state. it can.
[0019]
(Nobu extension)
In the present invention, the unsintered molded product obtained by the paste extrusion of the PTFE fine powder is obtained by stretching the stretched molded product at a temperature lower than the melting point of the resin at a tensile strength ratio of 1: 3 to 3: The film is biaxially stretched so that the stretching ratio in the machine direction is in the range of 1 and the total stretching ratio is 40 times (area ratio) or more.
Stretching can be performed by molding into a predetermined shape such as a sheet, a rod, or a tube, and mechanically stretching the obtained molded body by an ordinary method. For example, in the case of a sheet, when winding from one roll to another roll, the take-up speed is set higher than the feed speed, or the sheet is stretched so as to widen the interval by grasping two opposite sides of the sheet. It can be stretched. Further, various stretching methods such as sequential biaxial stretching and simultaneous biaxial stretching can be employed.
[0020]
The stretching temperature is usually a temperature below the melting point of the PTFE resin (less than about 327 ° C), preferably in the range of 0 to 300 ° C. Stretching at a low temperature tends to produce a porous body having a relatively large pore diameter and high porosity, and stretching at a high temperature tends to produce a dense porous body having a small pore diameter. Therefore, by combining these conditions, the pore diameter and the porosity can be controlled.
[0021]
The unsintered compact formed by paste extrusion is already oriented vertically (lengthwise) and horizontally (widthwise) in the extrusion and rolling steps, and has particularly strong strength in the lengthwise direction. The thinner the rolling thickness, the greater the strength in the length direction.
In the present invention, in the stretching step, the stretched product (completely sintered product) is stretched so that the longitudinal and transverse tensile strength ratios are in the range of 1: 3 to 3: 1, preferably 1: 2 to 2: 1. It is characterized by points. By adjusting the strength ratio in the vertical and horizontal directions in this way, the fiber lengths in the vertical and horizontal directions become equal, and a round hole shape is obtained.
[0022]
When the draw ratio is increased, the fiber diameter becomes thinner and denser at the same time as the fiberization proceeds, the apparent pore diameter becomes smaller, and the IPA bubble point increases. The stretching ratio is at least 40 times (area ratio), but in order to increase the porosity and reduce the film thickness, it is preferable to stretch the film preferably at least 100 times, more preferably at least 1000 times. The stretching may be performed in one step at a high temperature of about 200 ° C., and then in the second step under a high temperature condition. In the case of biaxial stretching, it is usually stretched in one direction by 2 to 50 times (length ratio), and the longitudinal to transverse stretching ratio is appropriately in the range of 1:10 to 10: 1.
[0023]
(Sintering)
The present invention is characterized in that a biaxially stretched molded body is completely sintered. Here, complete sintering means that when a sintered sample is heated at a heating rate of 10 ° C./min by a differential scanning calorimeter (DSC), an endothermic peak appears at about 327 ° C. (327 ° C. ± 1 ° C.), and Means sintering until the heat absorption becomes less than 20 J / g.
[0024]
PTFE fine powder shows an endothermic peak at around 347 ° C. (347 ° C. ± 2 ° C.) on a crystal melting diagram (DSC chart) by DSC. This endothermic peak also appears in unsintered molded articles and stretched articles obtained by paste extrusion of PTFE fine powder. This is called the melting point or endothermic peak position of the PTFE fine powder in the DSC chart. This endothermic peak around 347 ° C. usually has a shoulder or other low peak around 338 ° C., but depending on the type of fine powder, these shoulders and other peaks may not appear.
[0025]
When a stretched product of the unsintered molded product obtained by paste extrusion of PTFE fine powder is heated in a heating furnace maintained at a temperature equal to or higher than the melting point of the fine powder, usually 350 to 500 ° C., for a time generally within several minutes, The peak near 347 ° C. disappears on the DSC chart, and an endothermic peak gradually appears near 327 ° C. If the heating time is sufficiently long, for example, heating is performed at a high temperature for 10 minutes or more, the molded body can be completely sintered.
Table 1 shows the endothermic peak and the amount of heat absorbed when the molded body is heated at a heating rate of 10 ° C./min by DSC in relation to the sintered state of the molded body.
[0026]
[Table 1]
[0027]
In the present invention, it is necessary to completely sinter the biaxially stretched molded product until an endothermic peak appears at about 327 ° C. and the amount of heat absorbed is less than 20 J / g. An endothermic peak appears around 327 ° C., and even if the stretched product is sintered, if the endothermic amount is 20 J / g or more, the solvent shrinkage and the heat shrinkage do not become zero, and both conditions are satisfied. Is only achieved if
[0028]
Further, by performing the complete sintering in this way, the tensile strength of the stretched molded article sharply increases, and the strength that can be filtered with a single membrane of the porous PTFE body is provided. When the unsintered molded body obtained by the paste extrusion of PTFE fine powder is biaxially stretched at a high stretching ratio, the knots, which are lumps of PTFE, are eliminated. A porous body having a microstructure consisting only of the above is formed. By forming the porous body into fibers and making the fibers dense and thin, the porosity can be increased and the flow rate can be increased. When such a fibrous stretched product is completely sintered, the fibers are fused with each other, the fiber diameter increases, the strength increases, and at the same time, a PTFE porous body in which heat shrinkage and solvent shrinkage are prevented is obtained.
[0029]
(Porous PTFE)
The porous PTFE body obtained by the production method of the present invention is obtained by biaxially stretching an unsintered molded body at a high stretching ratio and completely sintering, so that fiberization proceeds and has a microstructure of substantially only fibers. It will be. FIG. 1 shows a scanning electron microscope (SEM) photograph of the surface of the PTFE porous body of the present invention (a photograph is taken at about 3000 times and is enlarged). In FIG. 1, a white line indicates a fiber, and a black portion is a hole. On the other hand, FIG. 2 shows an SEM photograph of the surface of a conventional porous PTFE body having a knot-fiber microstructure (for example, one obtained by the method described in Japanese Patent Publication No. 42-13560). It turns out that there is a lump (nodule) in the white part.
[0030]
The porous PTFE body obtained by the production method of the present invention can take various shapes such as a sheet shape and a tube shape depending on the shape of the molded body obtained by paste extrusion, has a high porosity, and has a high porosity. Excellent. Further, the PTFE porous body of the present invention has high heat resistance (low heat shrinkage) and dimensional stability (low solvent shrinkage) as compared with conventional products. The pore diameter of the PTFE porous body of the present invention varies depending on the crystallinity of the PTFE molded article, the draw ratio, and the like, but is usually about 0.01 to 10 μm.
[0031]
In addition, in the method of the present invention, since the stretching ratio can be increased, it is possible to increase the porosity to about 80 to 95% as well as the fine pores. As will be defined later, the pore diameter can be evaluated in bubble points, and the permeability can be evaluated in Galley seconds.
Various thicknesses of the PTFE porous body can be prepared by changing the stretching ratio. For example, a thin film having a thickness of 50 μm or less, or even a thickness of about 10 to 30 μm can be easily obtained.
[0032]
More specifically, the porous PTFE body of the present invention can be (1) a thin film having a thickness of 50 μm or less, and (2) the IPA bubble point is usually 1.0 kg / cm. Two (3) The IPA flow rate is usually 30 ml / cm Two / Min, the flow rate is improved at the same hole diameter (bubble point) as compared with the conventional product, (4) Galley seconds are usually 8.0 sec or less, and (5) heat by the measurement method described later Shrinkage and solvent shrinkage using IPA are both 0%, and (6) the tensile strength ratio in the machine direction and the transverse direction is 1: 3 to 3: 1, preferably 1: 2 to 2: 1, And it has high strength.
[0033]
The porous PTFE body of the present invention is stable to solvents. The conventional porous PTFE body has a problem that when immersed in a solvent such as isopropanol (IPA) and then restrained and dried, it shrinks in the thickness direction and becomes thin. The solvent shrinkage rate has a strong correlation with the gas flow rate (Galay seconds: the reciprocal of the gas flow rate). In particular, when the thickness is reduced, the gas flow rate of the PTFE porous body is remarkably deteriorated. In severe cases, the gas flow rate becomes 1/2 to 1/4 of the gas flow rate before immersion in the solvent.
[0034]
Therefore, when a conventional porous PTFE material is used as a filtering material (filter) for filtering air and organic solvent vapor, for example, it shrinks in the thickness direction over time and the gas flow rate decreases. In addition, in order to perform a large amount of filtration, a filter device (cartridge) processed into a pleated shape in order to increase the surface area of the filter and contained in a small container uses a solvent at the time of washing. And the gas flow rate decreases. However, since the porous PTFE of the present invention is completely sintered, the solvent does not shrink.
[0035]
The properties such as excellent dimensional stability and permeability of the porous PTFE body of the present invention can be considered to be due to its microstructure. As shown in FIG. 2, the structure of a conventional porous PTFE body is composed of a knot, which is a lump of resin, a fiber connecting the knot, and fine pores surrounded by the knot. However, the PTFE porous body of the present invention shown in FIG. 1 has almost no knots and has a structure consisting essentially of fibers only. This structure makes it difficult for the solvent to shrink, It is believed that the deterioration of the gas flow rate is minimized.
[0036]
The reason that the porous PTFE body of the present invention has a structure consisting of only fibers is that the stretched article has a longitudinal to transverse tensile strength ratio of 1: 3 to 3: 1, preferably 1: 2 to 2: 1. It is presumed that by performing biaxial stretching at such a stretching ratio and at a stretching ratio of 40 times (area ratio) or more, the structure becomes such that the fiberization of PTFE easily proceeds. This fiberization is promoted as the stretching is performed, and a structure consisting essentially of fibers alone is obtained.
The porous membrane according to the present invention has fine pores and high porosity, has excellent liquid and gas permeability, has high uniformity, has a smooth surface, has high mechanical strength, and is non-adhesive. It has low friction and flexibility. Furthermore, heat shrinkage and solvent shrinkage are small, and heat resistance and dimensional stability are good.
[0037]
As described in detail in Examples, the PTFE porous body of the present invention has the following relational expression. [I] It is satisfactory and has an excellent flow rate as compared with a conventional product having the same hole diameter (the same bubble point).
That is, in the porous PTFE body of the present invention, the IPA bubble point (A) and the IPA flow rate (B) satisfy the following relational expression [I].
log (B) ≧ −1.528 × log (A) +1.78 [I]
In addition, the present invention Obtained by manufacturing method In the PTFE porous body, the IPA bubble point (A) and the air flow rate (C) satisfy the following relational expression [II].
log (C) ≧ −1.415 × log (A) +2.60 [II]
Needless to say, the PTFE porous body of the present invention satisfies the relationship between these two expressions at the same time.
[0038]
Thus, the porous PTFE material of the present invention has a wide range of applications as, for example, a filtration material, a diaphragm, a sliding material, a non-adhesive material, etc. It is suitable as a filter, a support for a high-performance membrane, an air filter, and the like. It can be used in a wide range of applications in fields such as semiconductors, medicine, and biotechnology, such as filtration filters for chemicals, separation membranes for blood components, and diaphragms for artificial lungs.
[0039]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described specifically with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples.
<Method of measuring physical properties>
The method for measuring physical properties in the present invention is as follows.
(1) Endothermic peak temperature (° C) and endothermic amount (J / g) in DSC
About 10 mg of a sample was measured at a heating rate of 10 ° C./min by a differential scanning calorimeter (DSC).
(2) IPA bubble point (kg / cm Two )
It is a value measured by the method of ASTM-F-316 using isopropyl alcohol, and a larger value indicates a smaller pore size.
(3) IPA flow rate (ml / cm Two / Min)
The differential pressure was 70 cmHg as measured by the method of ASTM-F-317 using isopropyl alcohol. The larger the flow rate, the better the permeability.
[0040]
(4) Heat shrinkage (%)
After leaving the sheet sample at 150 ° C. for 30 minutes, the shrinkage was measured.
(5) Solvent shrinkage (%)
The sheet sample was immersed in a solvent (IPA), restrained and dried, and the thickness shrinkage before and after immersion was determined by the following equation.
Shrinkage (%) = [(T−t) / T] × 100
(Where T is the thickness before immersion in the solvent, and t is the thickness after immersion in the solvent.)
(6) Galley seconds (sec)
Galley seconds, differential pressure 12.4mmH Two O, one square inch of sample (6.45 cm Two ) Is the time required for 100 cc of air to flow, and was measured by the method of ASTM-D-726.
(7) Tensile strength (kg / cm Two )
The tensile strength was measured from both longitudinal and transverse directions according to ASTM-D-882.
[0041]
[Example 1]
To 1000 g of PTFE fine powder F-104 (molecular weight: 4 to 5 million) manufactured by Daikin Industries, 230 g of white oil as a liquid lubricant was added and uniformly mixed, and the pressure was 50 kg / cm. Two , And extruded by a paste extruder, and formed into a sheet having a thickness of 0.2 mm by rolling. This was immersed in trichlorethylene to extract and remove the liquid lubricant. This sheet was heated to 200 ° C. and stretched to 500% in the longitudinal direction and 1200% in the width direction of the sheet. Next, the stretched sheet was fixed so as not to shrink, and was held at an ambient temperature of 350 ° C. while changing the time to 1, 3, 5, and 10 minutes. Table 2 shows the results.
[0042]
[Table 2]
[0043]
As is clear from Table 2, in the DSC chart, when the endothermic peak temperature is 327 ° C. and the endothermic amount is 15 J / g and the sintering is completed, both the heat shrinkage of the PTFE porous sheet and the IPA solvent shrinkage are 0%. became. The tensile strength is also very strong due to complete sintering.
[0044]
[Example 2]
To 1000 g of PTFE fine powder F-104 (molecular weight: 4 to 5 million) manufactured by Daikin Industries, 230 g of white oil as a liquid lubricant was added and uniformly mixed, and the pressure was 50 kg / cm. Two , And extruded with a paste extruder, and formed into a sheet having a thickness of 0.3 mm by rolling. This was immersed in trichlorethylene to extract and remove the liquid lubricant. This sheet was stretched in a uniaxial direction (longitudinal direction) with a roll heated to 200 ° C. while changing the stretching ratio to 100, 300, and 500%. This stretched sheet was stretched in the transverse direction while changing the stretching ratio to 1000 and 2000%. The biaxially stretched sheet was restrained so as not to shrink, and was held in an atmosphere at 350 ° C. for 15 minutes. Table 3 shows the results.
[0045]
[Table 3]
[0046]
As shown in Table 3, each of the samples had substantially the same pore size (IPA bubble point), but the tensile strength ratio in the vertical and horizontal directions was in the range of 1: 3 to 3: 1. It can be seen that the performance becomes higher when the ratio is 40 times or more. When the draw ratio is increased, fiberization proceeds, the fiber diameter becomes thin and dense, and the apparent pore diameter becomes small. When this is completely sintered, the tensile strength increases. The reason why the decrease in tensile strength is small even when the draw ratio is increased is presumed to be that the fiber diameter is smaller and denser.
[0047]
[Example 3]
As described above, when the stretching conditions are changed and the stretching is performed at a low temperature, a porous body having a large pore diameter is obtained, and when the stretching is performed at a high temperature, a porous body having a small pore diameter is obtained. Thus, using the PTFE fine powder used in Example 1, the total stretching ratio was kept constant at 40 times, and the stretching conditions were changed. Specifically, the roll temperature during stretching was set at 100 ° C, 150 ° C, 200 ° C. And 320 ° C., to prepare PTFE porous bodies having various pore sizes (IPA bubble points).
For each of the obtained samples, the relationship between the IPA bubble point and the IPA flow rate is shown in FIG. 3 (open circles), and the relationship between the IPA bubble point and the air flow rate is shown in FIG. 4 (white circles).
[0048]
(1) When a linear regression line is created for the relationship between log (IPA bubble point) and log (IPA flow rate) from the data (open circles) in FIG. 3, the following equation is obtained.
log (B) = − 1.528 × log (A) +1.78
Here, (A) is the IPA bubble point, and (B) is the IPA flow rate. The straight line based on this equation is the
When the total stretching ratio is larger than 40 times, the IPA flow rate can be further increased. Therefore, the high-performance porous PTFE of the present invention that satisfies the formula (I) can be obtained.
log (B) ≧ −1.528 × log (A) +1.78 [I]
That is, it is an area that covers the shaded area on the upper right of FIG.
[0049]
By the way, FIG. Wish Hei 2-236284 No. JP-A-3-174452) Similarly, PTFE porous bodies having various pore sizes (IPA bubble points) were prepared based on the above method, and similarly, the following equation was calculated from data (black circles) indicating the relationship between the IPA bubble points and the IPA flow rates.
log (B) = − 1.528 × log (A) +1.43
The straight line based on this equation is the
[0050]
From FIG. 3, it can be seen that the relationship represented by the following general formula is established from the relationship between the IPA bubble point and the IPA flow rate.
log (B) = a × log (A) + b
(However, a is a slope and b is an intercept.)
Here, when comparing the product of the present invention with the conventional product, it can be seen that a is constant at -1.528. In the conventional product, the section b is 1.43, while in the product of the present invention it is 1.78, which is excellent in membrane performance. However, if the stretching ratio is further increased, a high-performance product can be obtained. .
[0051]
(2) When a linear regression line is created from the data (open circles) in FIG. 4 for the relationship between log (IPA bubble point) and log (air flow rate), the following equation is obtained.
log (C) =-1.415 * log (A) +2.60
Here, (A) is the IPA bubble point, and (C) is the air flow rate converted from the Galley seconds by the equation of “air flow rate (C) = 930 / galley seconds (sec)”. The straight line based on this equation is the
log (C) ≧ −1.415 × log (A) +2.60 [II]
[0052]
FIG. 4 shows the closest prior art (special feature). Wish Hei 2-236284 No. JP-A-3-174452)) Similarly, PTFE porous bodies having various pore sizes (IPA bubble points) were prepared based on the above method, and similarly, the following equation was calculated from the data (black circles) indicating the relationship between the IPA bubble points and the air flow rate.
log (C) = − 1.415 × log (A) +2.25
This is shown as line 4 in FIG.
[0053]
In addition, other prior arts (JP Akira Similarly, PTFE porous bodies having various pore sizes (IPA bubble points) were prepared based on the method of JP-A-59-124124, and similarly, from data (triangles) indicating the relationship between the IPA bubble points and the air flow rate. The following equation was calculated.
log (C) = -1.415 x log (A) + 1.16
This is shown as
[0054]
From FIG. 4, it can be seen that the relationship represented by the following general formula is established from the relationship between the IPA bubble point and the air flow rate.
log (C) = c × log (A) + d
(However, c is the slope and d is the intercept.)
Here, when the product of the present invention and the conventional product are compared, it can be seen that c is constant at -1.415. The section d of the conventional product is 1.16 to 2.25, whereas the product of the present invention is 2.60, which is excellent in membrane performance. Goods are obtained.
[0055]
From the above results, it can be seen that the PTFE porous body of the present invention is superior in flow rate when compared with the conventional product at the same pore diameter (ie, the same bubble point). Therefore, the product of the present invention is particularly excellent in filter performance.
[0056]
【The invention's effect】
According to the present invention, there is provided a PTFE porous body having high permeability (high porosity), high mechanical strength, high heat resistance (low heat shrinkage), and dimensional stability (low solvent shrinkage). be able to. The porous PTFE material of the present invention can be used in a wide range of fields as a filter for microfiltration, a support for a high-performance membrane, an air filter, and the like.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a view showing a fiber structure based on a scanning electron micrograph of the surface of a porous PTFE body of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing a fiber-knot structure based on a scanning electron micrograph of the surface of a conventional porous PTFE body.
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the IPA bubble point and the IPA flow rate of the porous PTFE body (1) of the present invention and the porous PTFE body (2) of the prior art.
FIG. 4 shows the relationship between the IPA bubble point and the air flow rate of the PTFE porous body (3) of the present invention, the prior art PTFE porous body (4), and the other prior art PTFE porous body (5). It is a graph shown.
Claims (3)
(ただし、「完全燒結」とは、示差走査熱量計で燒結試料を昇温速度10℃/分で昇温した際に、約327℃に吸熱ピークが現れ、かつ、その吸熱量が20J/g未満となるまで燒結することを意味する。)The unsintered molded body obtained by paste extrusion of polytetrafluoroethylene fine powder is subjected to stretching at a temperature lower than the melting point of the resin and a tensile strength ratio between the longitudinal direction and the transverse direction of the molded body after stretching of 1: 3 to 3: A polytetrafluoroethylene porous material, which is biaxially stretched so that the stretching ratio in the machine direction is in the range of 1 and the total stretching ratio is 40 times (area ratio) or more, and then is completely sintered. How to make the body.
(However, “complete sintering” means that when a sintered sample is heated at a heating rate of 10 ° C./min with a differential scanning calorimeter, an endothermic peak appears at about 327 ° C. and the endothermic amount is 20 J / g. Means sintering to less than)
log(B)≧−1.528×log(A)+1.78 〔I〕
〔ただし、IPAバブルポイント(A)は、イソプロピルアルコールを使用し、ASTM−F−316の方法により測定したバブルポイント(kg/cm2)である。IPA流量(B)は、イソプロピルアルコールを使用し、ASTM−F−317の方法により測定した流量(ml/cm2/min)である。〕IPA bubble point is defined by the following and (A) IPA flow rate (B), but satisfy the relationship: [I], and pore sizes and wherein the range der Rukoto of 0.01~10μm poly Tetrafluoroethylene porous body.
log (B) ≧ −1.528 × log (A) +1.78 [I]
[However, the IPA bubble point (A) is a bubble point (kg / cm 2 ) measured by the method of ASTM-F-316 using isopropyl alcohol. The IPA flow rate (B) is a flow rate (ml / cm 2 / min) measured by the method of ASTM-F-317 using isopropyl alcohol. ]
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