JP3539432B2 - 2次電池の残存容量の判別装置及びこれを用いた充電装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池のような2次電池の残存容量の判別装置及びこれを用いた充電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるヘッドホンステレオなどのコードレス電子機器には、ニッケル水素電池(NiH電池)やニッケルカドミウム電池(NiCd電池)などの2次電池が使用されている。そして、これらの2次電池を急速充電する場合、充電電流の大きさは、容量1CmAhに対して、一般に1CmAに設定されている。
【0003】
そして、充電の対象となっている2次電池の端子電圧は、充電中はほぼ一定であるが、満充電になると、次第に上昇し、その後、−5mV/分の割り合いで下降するので、この端子電圧の降下を検出することにより、満充電が判別され、充電が終了とされる。
【0004】
そして、このとき必要とされる充電時間であるが、
T:充電時間
とすれば、
1C〔mA〕×T〔時間〕=1C〔mAh〕
となるので、
T=1時間
となる。すなわち、1CmAの充電電流で充電を行えば、1時間で充電を行うことができる。
【0005】
また、残存容量がほぼ0の2次電池の場合、充電の初期であれば、2C〜3CmA程度の大電流で充電しても、電池の温度上昇など電池の特性劣化につながることが少ない。そこで、50%の容量まで2CmAの充電電流で充電し、以後、1CmAの充電電流で充電する方法も考えられている。
【0006】
すなわち、この場合には、
T2:2CmAの充電時間
T1:1CmAの充電時間
とすれば、
2C×T2=1C×50%
1C×T1=1C×(100%−50%)
となるので、
T2=0.25時間=15分
T1=0.5時間=30分
となる。
【0007】
したがって、この充電方法によれば、充電に必要な時間(T2+T1)は45分となり、一般の急速充電よりも充電時間を短縮することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の45分の急速充電によれば、充電時間は短縮されるが、充電電流が大きいので、満充電を正確に検出する良い方法がない。また、2次電池の残存容量が75〜100%の場合、上記のような大電流で充電すると、電池の温度が急激に上昇し、電池の特性が劣化してしまう。
【0009】
したがって、45分の急速充電を行う場合には、そのまえに2次電池の残存容量の多少を判別する必要がある。そして、その判別方法として、大電流放電時の端子電圧から判別する方法がある。
【0010】
すなわち、この端子電圧による方法は、NiH電池やNiCd電池に適用できるものであるが、これらの2次電池においては、放電終止電圧は、単位電池(セル)当たり1.0Vなので、例えば1CmAの大きさの放電電流で放電をさせ、単位電池当たりの端子電圧が、放電特性の肩の部分に相当する電圧、すなわち、1.1V以下であれば、残存容量が少ないと判断するものである。
【0011】
ところが、例えば、NiH電池を1CmAの大きさの放電電流で放電させた場合、図7にその放電特性に示すように、周囲温度により端子電圧が異なってしまう。そして、このため、単位電池当たりの端子電圧が1.1Vになった時点での残存容量は、周囲温度が低いほど多くなってしまう。
【0012】
また、図8に示すように、2次電池は、その充放電回数が多くなるにつれて内部抵抗が大きくなるとともに、そのばらつきの範囲が拡大してしまう。そして、放電電流が流れれば、内部抵抗によって電圧降下を生じるので、内部抵抗のばらつきが端子電圧のばらつきとして現れてしまう。
【0013】
このため、例えば1.5Aの大きさの放電電流を流した場合、充放電回数が多くなるにつれて、端子電圧のばらつきが±50mVと大きくなってしまう。そして、端子電圧が、このような大きさでばらつくときには、端子電圧の1.1Vを検出(判別)するときの検出範囲は、1.05〜1.15Vにしなければならない。
【0014】
ところが、そうすると、検出精度が低い場合、端子電圧が、検出上限の1.15Vよりもさらに50mV高い1.2Vの電池でも、残存容量が少ないと判断してしまうことがあり、この結果、残存容量が75%以上の電池であっても、2CmAの充電電流で充電してしまう危険がある。
【0015】
もちろん、端子電圧の1.1Vを検出するときの検出精度を±25mV程度に高くしておけば、そのような危険は減少するが、電池自身に特性のばらつきや周囲温度の変化があるので、残存容量を誤る危険性は残ってしまう。
【0016】
したがって、2次電池を大電流で放電させたときの端子電圧から残存容量を判断することは、実用的ではない。
【0017】
この発明は、以上のような問題点を解決しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
ところで、2〜3CmAの大電流により2次電池の充電ができるのは、上述のように、電池の残存容量がほぼ0の場合であり、残存容量が75〜100%の場合には、電池の温度が急激に上昇し、電池の特性が劣化するので、大電流による充電は好ましくない。
【0019】
したがって、2次電池を大電流で充電しようとする場合には、その電池の残存容量の割り合いあるいは絶対量を検出する必要はなく、残存容量がほぼ0であるかどうかを判別できればよい。
【0020】
そこで、この発明の発明者らは、上記の事項にしたがって所定の実験を行い、以下のような事実を確認した。
【0021】
すなわち、図4及び図5は、公称電圧が1.2Vで、容量が820mAhのNiH電池について、放電時の端子電圧の測定結果を示すもので、図4は放電電流が100mAと比較的小さい場合の特性、図5は放電電流が1.5A(=約2CmA)と比較的大きい場合の特性である。また、これらの図において、各曲線に付けた数字は、その放電開始時のNiH電池の残存容量を示し、例えば「75%」は、残存容量が75%の状態から放電を開始したことを示す。
【0022】
なお、図5において、曲線0%(100mA)は、満充電の電池を100mAの放電電流で放電させ、端子電圧が1.0Vになったとき、残存容量が0%になったとみなした場合の特性である。同様に、曲線0%(820mA)は、満充電の電池を820mA(=1CmA)の放電電流で放電させ、端子電圧が1.0Vになったとき、残存容量が0%になったとみなした場合の特性である。
【0023】
そして、図4の測定結果によれば、放電電流が比較的小さい場合には、放電開始直後を除いて、電池の端子電圧は、残存容量の多少にかかわらず、ほぼ一定である。
【0024】
また、図5の測定結果によれば、放電電流が比較的大きい場合には、残存容量が100〜25%のときには、図4の小放電電流のときと同様、放電開始直後を除いて、電池の端子電圧は、残存容量の多少にかかわらず、ほぼ一定である。しかし、残存容量が0%のときには、端子電圧は、放電開始直後はもちろんのこと、その後も急激に低下していく。
【0025】
すなわち、電池を放電させた場合、残存容量が0%で、放電電流が大きいときには、その端子電圧は急激に低下するが、他の条件のときには、端子電圧はあまり変化しない。
【0026】
ただし、残存容量が0%の曲線に見られるように、端子電圧が約0.7Vまで低下すると、以後、端子電圧は急激に0Vまで低下してしまい、そのまま放電を続けると、過放電状態になってしまう。
【0027】
一方、図6の実線は、電池の残存容量が25%及び0%の場合における、端子電圧の降下特性の測定結果を示す。なお、この図においては、放電電流を1.5A(=約2CmA)とし、このときの放電開始電圧をノーマライズして0Vとしている。また、曲線に付けた文字の意味は、図5と同じである。
【0028】
そして、この測定結果によれば、残存容量が25%のときと、0%のときとで、端子電圧の降下する速度が明瞭に異なり、端子電圧の降下率は、平均すると、
残存容量が25%のときには、−0.888mV/0.8秒
残存容量が0%のときには、−18.17mV/0.8秒
である。
【0029】
したがって、図6に破線で示すように、それらの中間値−10mV/0.8秒をスレッショールドとし、端子電圧の降下率が、このスレッショールドレベルよりも大きいときには、電池の残存容量はほぼ0であると見なしても差し支えない。
【0030】
つまり、以上をまとめると、
▲1▼ 比較的大きい放電電流で2次電池を放電させる。
▲2▼ ▲1▼項の放電時の端子電圧の降下率が、ある値よりも大きければ、その電池の残存容量はほぼ0である。
▲3▼ ▲1▼項の放電時の端子電圧の降下率が、ある値よりも小さければ、その電池の残存容量は0ではない。
となる。
【0031】
ただし、上述のように(図5に示すように)、電池がほぼ完全放電に近い状態の場合、1.5Aの放電電流で放電を開始すると、6秒後には、端子電圧は約0.7Vまで降下し、7秒後には、ほぼ0Vまで降下してしまう。したがって、上記▲1▼〜▲3▼項により残存容量を判別する場合、▲1▼項の放電開始から4〜5秒の間に、残存容量を判別する必要がある。
【0032】
この発明は、以上のような実験結果に基づいて、2次電池の残存容量を判別し、また、この判別結果にしたがって、その2次電池をできるだけ急速に充電するようにしたものである。
【0033】
すなわち、この発明においては、各部の参照符号を後述の実施例に対応させると、
2次電池1を所定の大電流で放電させる回路30と、
この放電させる回路30の動作開始から所定時間の経過後に、2次電池1の端子電圧を所定の期間ごとに測定する回路40と、
この測定する回路40の測定値から2次電池1の端子電圧の所定の期間ごとの電圧降下量を算出する回路50と、
この演算する回路50により算出された所定の期間ごとの電圧降下量を、所定の基準値と比較する回路50とを設け、
所定の期間ごとの電圧降下量が基準値を越えるときには、放電させる回路30の動作を停止させるとともに、2次電池1の残存容量が十分に少ないと判別する
ようにしたものである。さらに、
比較する回路50の比較結果にしたがって、2次電池1を充電する充電電流の大きさを切り換える回路20を設け、
所定の期間ごとの電圧降下量が基準値を越えるときには、放電させる回路30の動作を停止させるとともに、2次電池1の充電を大きな充電電流で開始し、
所定の期間ごとの電圧降下量が基準値を越えないときには、放電させる回路30の動作を停止させるとともに、2次電池1の充電を小さな充電電流で開始する
ようにしたものである。
【0034】
【作用】
2次電池1を大電流で放電させたときの端子電圧の降下率から、その2次電池1の残存容量の有無が判別される。また、この判別結果にしたがった大きさの電流で充電が行われる。
【0035】
【実施例】
図1において、1は充電の対象となる2次電池を示し、これは、この例においては、ヘッドホンステレオに使用されるNiH電池であり、その端子電圧は1.2V、容量は820mAhである。また、10は電源回路、20は充電回路、30は放電回路、40は電圧検出回路、50は充電及び放電の制御を行うマイクロコンピュータを示す。
【0036】
そして、電源回路10においては、例えば100Vの商用交流電圧が、ACプラグ11から電源スイッチ12を通じてトランス13に供給されて所定の値の電圧に降圧され、この電圧が整流回路14に供給されて充電用の直流電圧が形成される。
【0037】
また、整流回路14のホット側の出力端と、ホット側の充電端子61との間に、トランジスタ23のエミッタ・コレクタ間が直列接続され、整流回路14の接地側の出力端と接地側の充電端子62とが接続される。
【0038】
この場合、トランジスタ23は、トランジスタ21、22とともに、充電回路20を構成して充電電流の大きさを制御するものである。このため、トランジスタ23のベースと、端子62との間に、抵抗器24とトランジスタ21のコレクタ・エミッタ間とが直列接続されるとともに、抵抗器25とトランジスタ22のコレクタ・エミッタとが直列接続される。また、トランジスタ21、22のベースに、マイコン50から所定の充電制御信号が供給される。
【0039】
したがって、トランジスタ21がオンで、トランジスタ22がオフのときには、トランジスタ23のベースには、抵抗器24により決まる大きさのベース電流が流れるので、これによりトランジスタ23からは、1CmAの大きさのコレクタ電流を出力することができる。また、トランジスタ21、22がともにオンのときには、トランジスタ23のベースには抵抗器24、25の並列値により決まる大きさのベース電流が流れるので、これによりトランジスタ23からは、2CmAの大きさのコレクタ電流を出力することができる。
【0040】
さらに、端子61と、端子62との間に、抵抗器31と、トランジスタ32のコレクタ・エミッタ間とが直列接続されて放電回路30が構成され、トランジスタ32のベースに、マイコン50から所定の放電制御信号が供給される。
【0041】
また、端子61、62に得られる電圧が、抵抗器41、42により分圧され、その分圧電圧が、A/Dコンバータ43によりA/D変換されてからマイコン50に供給される。こうして、A/Dコンバータ43及びマイコン50により、充電端子61の直流電圧の大きさが検出される。
【0042】
なお、図示はしないが、トランス13の出力電圧が整流され、その直流電圧が、マイコン50及びA/Dコンバータ43にそれらの動作電圧として供給される。
【0043】
そして、マイコン50においては、例えば図2及び図3に示すような内容のルーチン100が実行され、電池1の残存容量が判別されるとともに、その判別結果にしたがって、できるだけ急速に充電される。なお、ルーチン100のステップ101〜127により放電が制御され、ステップ131〜151により充電が制御される。
【0044】
すなわち、電源スイッチ12をオンにすると、マイコン50の処理がルーチン100のステップ101からスタートし、次にステップ102において、初期化が行われ、マイコン50からの制御信号により、トランジスタ21がオン、トランジスタ22がオフとされてトランジスタ23がオンとされるとともに、トランジスタ32もオフとされる。こうして、トランジスタ23を通じて充電端子61、62に充電電圧が出力される。また、変数Nが「1」にセットされる。
【0045】
続いて、ステップ103において、端子61、62の電圧の大きさが検出される。この場合、端子61、62に電池1が接続されていないときには、端子61、62は無負荷状態となるので、端子61、62の電圧は、電池1の端子電圧よりも高くなり、端子61、62に電池1が接続されているときには、電池1の端子電圧まで低下する。
【0046】
そこで、端子61、62の電圧の違いから、端子61、62に電池1が接続されているか接続されていないかが判別され、接続されていないときには、処理はステップ103を繰り返し、端子61、62に電池1が接続されるまで待機する。
【0047】
そして、任意の時点t0に端子61、62に電池1が接続されると、これがステップ103において検出され、処理はステップ103からステップ111に進み、このステップ111において、トランジスタ21がオフとされてトランジスタ23がオフとされるとともに、トランジスタ32がオンとされる。したがって、端子61、62に接続されている電池1は、抵抗器31及びトランジスタ32を通じて放電を開始することになる。
【0048】
そして、この場合、あらかじめ抵抗器31の値を設定しておくことにより、このときの電池1の放電電流の大きさは、上記▲1▼項で述べたように比較的大きな値、例えば1.5A(=約2CmA)とされる。したがって、電池1の端子電圧は、その残存容量に対応して、図5〜図6により説明したように変化していく。
【0049】
次に、ステップ112において、例えば1.5秒の時間待ちが行われる。この時間待ちは、図4及び図5からも明らかなように、放電開始直後の1秒程度の期間は、電池1の端子電圧が、残存容量の測定に適さない変化をするからである。
【0050】
そして、ステップ112における1.5秒の時間が経過して、時点t1になると、電池1の端子電圧の変化が安定しているので、処理はステップ112からステップ113に進み、このステップ113において、電池1の端子電圧VN(=V1)が、D/Aコンバータ43を通じて測定され、次のステップ121において、このときの測定値VNが記憶される。今の場合、N=1であり、電池1の大電流による放電が開始されてから、1.5秒後の時点t1の電池1の端子電圧V1が記憶されたことになる。
【0051】
続いて、処理はステップ122に進み、このステップ122において、例えば0.8秒の時間待ちが行われ、時点tNから0.8秒後の時点t(N+1)になると、ステップ123において、電池1の端子電圧V(N+1)が測定される。今の場合、N=1であるから、時点t1から0.8秒後の時点t2に電圧V2が測定されることになる。
【0052】
次にステップ124において、ステップ121で記憶した時点tNの電圧VNと、ステップ123で測定した時点t(N+1)の電圧V(N+1)との差電圧VDN、すなわち、
VDN=VN−V(N+1)
が計算され、電池1の端子電圧の降下率が求められる。そして、続くステップ125において、この差電圧VDN(降下率)が、図6の破線で示す降下率に対応する差電圧VTHよりも大きいかどうかがチェックされる。
【0053】
そして、|VDN|≦|VTH|の場合には、処理はステップ125からステップ126に進み、このステップ126において、N=17であるかどうかがチェックされ、N≠17のときには、処理はステップ126からステップ127に進み、このステップ127において、変数Nが「1」だけインクリメントされ、その後、処理はステップ121に戻る。
【0054】
したがって、今の場合、N=2なので、ステップ121において、(前回ステップ123において)時点t2に測定された電圧が、電圧V2として新しく記憶され、その後、ステップ123において、時点t2から0.8秒後の時点t3に電圧V3が測定され、ステップ124において、新しい差電圧VD2(=V2−V3)が計算され、この新しい差電圧VD2がステップ125においてチェックされる。
【0055】
こうして、|VDN|≦|VTH|、かつ、N≠17の場合は、ステップ121〜127のループが、ステップ122により0.8秒の周期で繰り返される。
【0056】
そして、この繰り返し時、|VDN|>|VTH|になると、これは、上述のように電池1の残存容量がほぼ0の場合なので、処理はステップ125からステップ131に進み、このステップ131において、トランジスタ32がオフとされて放電が停止させられ、次にステップ132において、トランジスタ21、22がオンとされてトランジスタ23がオンとされ、トランジスタ23のコレクタからは2CmAの大きさのコレクタ電流が出力され、このコレクタ電流が端子61を通じて電池1に供給される。したがって、電池1に対して、2CmAの大きさの充電電流で充電が開始されたことになる。
【0057】
さらに、マイコン50の処理はステップ133に進み、このステップ133において、15分の時間待ちが行われる。
【0058】
そして、15分が経過すると、処理はステップ133からステップ141に進み、このステップ141において、トランジスタ21がオン、トランジスタ22がオフとされ、トランジスタ23のコレクタからは1CmAの大きさのコレクタ電流が出力され、このコレクタ電流が端子61を通じて電池1に供給される。したがって、電池1に対して、充電電流が2CmAの充電が15分だけ行われ、その後、充電電流は1CmAの大きさに切り換えられたことになる。
【0059】
さらに、マイコン50の処理はステップ142に進み、このステップ142において、電池1の端子電圧が、−5mV/分に対応する割り合いで変化をするようになるまで、待機される。なお、この電圧変化は、上記のように満充電のときに起きるものである。こうして、電池1は1CmAの大きさの充電電流で充電されていく。
【0060】
そして、電池1の端子電圧が−5mV/分の割り合いで変化するようになると、電池1が満充電されたものとみなされ、処理はステップ142からステップ143に進み、このステップ143において、トランジスタ22もオフとされてトランジスタ23はオフとされ、電池1の充電は終了とされる。そして、処理はステップ144に進み、このルーチン100を終了する。
【0061】
こうして、電池1は、その残存容量がほぼ0の場合には、最初の15分間は、2CmAの大きさの充電電流で充電され、その後、1CmAの大きさの充電電流で満充電になるまで充電される。
【0062】
なお、この場合、電池1は、最初、2CmAの充電電流で15分間充電され、その後、1CmAの充電電流で充電されるのであるから、上述のように充電に必要な合計時間は45分となる。
【0063】
一方、ステップ121〜127のループが繰り返され、N=17になっても、ステップ125において|VDN|≦|VTH|の場合には、ステップ121〜127のループが17回繰り返されているので、このとき、時点t0の放電開始から、
1.5秒+0.8秒×17回=15.1秒
の時間が経過していることになる。すなわち、電池1を、15.1秒間にわたって1CmAの大きさで放電を行っても、その残存容量が0にならなかったわけである。
【0064】
そこで、この場合には、電池1の残存容量が0ではないとみなされ、処理はステップ126からステップ151に進み、このステップ151において、トランジスタ32がオフとされて電池1の放電が停止させられ、その後、処理はステップ141に進む。したがって、以後、電池1は、ステップ141〜144により1CmAの充電電流により満充電になるまで充電され、満充電になると、その充電は終了する。
【0065】
なお、この場合、電池1は、残存容量が0ではない状態から1CmAの充電電流で充電されるのであるから、その充電に必要とする時間は残存容量に対応して異なるが、60分を越えることはない。
【0066】
こうして、電池1は、その残存容量が0ではない場合には、1CmAの大きさの充電電流により急速充電される。
【0067】
なお、上述においては、ステップ125において、一度でも|VDN|>|VTH|になると、処理はステップ125からステップ131に進むとしたが、例えば二度続けて|VDN|>|VTH|になると、処理がステップ125からステップ131に進むとすることもできる。
【0068】
さらに、NiH電池やNiCd電池は、100%の放電をしないうちに充電をするという充放電を繰り返すと、メモリ効果により実効的な容量が減少するが、ステップ125に続いてステップ127を実行すれば、100%の放電を行うことができるとともに、その100%の放電を検出でき、したがって、メモリ効果を解消できるとともに、満充電を行うことができる。
【0069】
【発明の効果】
この発明によれば、▲1▼〜▲3▼項に基づいて、対象となる2次電池1を大電流で放電させるとともに、その放電時の端子電圧の降下特性の勾配から2次電池1の残存容量の有無を判別するようにしているので、周囲温度や充放電回数などに影響されずに、残存容量の有無を正確に判別することができる。実験によれば、0〜40℃の周囲温度に対して、残存容量がほぼ0の場合を正しく判別することができた。
【0070】
しかも、残存容量がほぼ0%の2次電池1の場合でも、数秒以内に残存容量を判別することができる。また、数秒以内に残存容量を判別することができるので、2次電池1を過放電状態とする危険がない。
【0071】
また、電池1の残存容量がほぼ0と判別された場合には、最初の50%の充電は充電電流の大きさを2CmAにしているので、充電時間を45分程度にまで短縮することができる。
【0072】
さらに、満充電を端子電圧の変化から検出し、この検出出力により充電を終了するようにしているので、電池1の残存容量が0ではない場合でも、最短時間で充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一例を示す接続図である。
【図2】この発明におけるフローチャートの一例の一部を示す図である。
【図3】図2の続きを示す図である。
【図4】2次電池の放電実験の結果を示す特性図である。
【図5】2次電池の放電実験の結果を示す特性図である。
【図6】2次電池の放電実験の結果を示す特性図である。
【図7】2次電池の端子電圧の特性を示す図である。
【図8】2次電池の内部抵抗の特性を示す図である。
【符号の説明】
1 2次電池
10 電源回路
20 充電回路
30 放電回路
40 電圧検出回路
43 A/Dコンバータ
50 マイクロコンピュータ
100 処理ルーチン
【産業上の利用分野】
この発明は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池のような2次電池の残存容量の判別装置及びこれを用いた充電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるヘッドホンステレオなどのコードレス電子機器には、ニッケル水素電池(NiH電池)やニッケルカドミウム電池(NiCd電池)などの2次電池が使用されている。そして、これらの2次電池を急速充電する場合、充電電流の大きさは、容量1CmAhに対して、一般に1CmAに設定されている。
【0003】
そして、充電の対象となっている2次電池の端子電圧は、充電中はほぼ一定であるが、満充電になると、次第に上昇し、その後、−5mV/分の割り合いで下降するので、この端子電圧の降下を検出することにより、満充電が判別され、充電が終了とされる。
【0004】
そして、このとき必要とされる充電時間であるが、
T:充電時間
とすれば、
1C〔mA〕×T〔時間〕=1C〔mAh〕
となるので、
T=1時間
となる。すなわち、1CmAの充電電流で充電を行えば、1時間で充電を行うことができる。
【0005】
また、残存容量がほぼ0の2次電池の場合、充電の初期であれば、2C〜3CmA程度の大電流で充電しても、電池の温度上昇など電池の特性劣化につながることが少ない。そこで、50%の容量まで2CmAの充電電流で充電し、以後、1CmAの充電電流で充電する方法も考えられている。
【0006】
すなわち、この場合には、
T2:2CmAの充電時間
T1:1CmAの充電時間
とすれば、
2C×T2=1C×50%
1C×T1=1C×(100%−50%)
となるので、
T2=0.25時間=15分
T1=0.5時間=30分
となる。
【0007】
したがって、この充電方法によれば、充電に必要な時間(T2+T1)は45分となり、一般の急速充電よりも充電時間を短縮することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の45分の急速充電によれば、充電時間は短縮されるが、充電電流が大きいので、満充電を正確に検出する良い方法がない。また、2次電池の残存容量が75〜100%の場合、上記のような大電流で充電すると、電池の温度が急激に上昇し、電池の特性が劣化してしまう。
【0009】
したがって、45分の急速充電を行う場合には、そのまえに2次電池の残存容量の多少を判別する必要がある。そして、その判別方法として、大電流放電時の端子電圧から判別する方法がある。
【0010】
すなわち、この端子電圧による方法は、NiH電池やNiCd電池に適用できるものであるが、これらの2次電池においては、放電終止電圧は、単位電池(セル)当たり1.0Vなので、例えば1CmAの大きさの放電電流で放電をさせ、単位電池当たりの端子電圧が、放電特性の肩の部分に相当する電圧、すなわち、1.1V以下であれば、残存容量が少ないと判断するものである。
【0011】
ところが、例えば、NiH電池を1CmAの大きさの放電電流で放電させた場合、図7にその放電特性に示すように、周囲温度により端子電圧が異なってしまう。そして、このため、単位電池当たりの端子電圧が1.1Vになった時点での残存容量は、周囲温度が低いほど多くなってしまう。
【0012】
また、図8に示すように、2次電池は、その充放電回数が多くなるにつれて内部抵抗が大きくなるとともに、そのばらつきの範囲が拡大してしまう。そして、放電電流が流れれば、内部抵抗によって電圧降下を生じるので、内部抵抗のばらつきが端子電圧のばらつきとして現れてしまう。
【0013】
このため、例えば1.5Aの大きさの放電電流を流した場合、充放電回数が多くなるにつれて、端子電圧のばらつきが±50mVと大きくなってしまう。そして、端子電圧が、このような大きさでばらつくときには、端子電圧の1.1Vを検出(判別)するときの検出範囲は、1.05〜1.15Vにしなければならない。
【0014】
ところが、そうすると、検出精度が低い場合、端子電圧が、検出上限の1.15Vよりもさらに50mV高い1.2Vの電池でも、残存容量が少ないと判断してしまうことがあり、この結果、残存容量が75%以上の電池であっても、2CmAの充電電流で充電してしまう危険がある。
【0015】
もちろん、端子電圧の1.1Vを検出するときの検出精度を±25mV程度に高くしておけば、そのような危険は減少するが、電池自身に特性のばらつきや周囲温度の変化があるので、残存容量を誤る危険性は残ってしまう。
【0016】
したがって、2次電池を大電流で放電させたときの端子電圧から残存容量を判断することは、実用的ではない。
【0017】
この発明は、以上のような問題点を解決しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
ところで、2〜3CmAの大電流により2次電池の充電ができるのは、上述のように、電池の残存容量がほぼ0の場合であり、残存容量が75〜100%の場合には、電池の温度が急激に上昇し、電池の特性が劣化するので、大電流による充電は好ましくない。
【0019】
したがって、2次電池を大電流で充電しようとする場合には、その電池の残存容量の割り合いあるいは絶対量を検出する必要はなく、残存容量がほぼ0であるかどうかを判別できればよい。
【0020】
そこで、この発明の発明者らは、上記の事項にしたがって所定の実験を行い、以下のような事実を確認した。
【0021】
すなわち、図4及び図5は、公称電圧が1.2Vで、容量が820mAhのNiH電池について、放電時の端子電圧の測定結果を示すもので、図4は放電電流が100mAと比較的小さい場合の特性、図5は放電電流が1.5A(=約2CmA)と比較的大きい場合の特性である。また、これらの図において、各曲線に付けた数字は、その放電開始時のNiH電池の残存容量を示し、例えば「75%」は、残存容量が75%の状態から放電を開始したことを示す。
【0022】
なお、図5において、曲線0%(100mA)は、満充電の電池を100mAの放電電流で放電させ、端子電圧が1.0Vになったとき、残存容量が0%になったとみなした場合の特性である。同様に、曲線0%(820mA)は、満充電の電池を820mA(=1CmA)の放電電流で放電させ、端子電圧が1.0Vになったとき、残存容量が0%になったとみなした場合の特性である。
【0023】
そして、図4の測定結果によれば、放電電流が比較的小さい場合には、放電開始直後を除いて、電池の端子電圧は、残存容量の多少にかかわらず、ほぼ一定である。
【0024】
また、図5の測定結果によれば、放電電流が比較的大きい場合には、残存容量が100〜25%のときには、図4の小放電電流のときと同様、放電開始直後を除いて、電池の端子電圧は、残存容量の多少にかかわらず、ほぼ一定である。しかし、残存容量が0%のときには、端子電圧は、放電開始直後はもちろんのこと、その後も急激に低下していく。
【0025】
すなわち、電池を放電させた場合、残存容量が0%で、放電電流が大きいときには、その端子電圧は急激に低下するが、他の条件のときには、端子電圧はあまり変化しない。
【0026】
ただし、残存容量が0%の曲線に見られるように、端子電圧が約0.7Vまで低下すると、以後、端子電圧は急激に0Vまで低下してしまい、そのまま放電を続けると、過放電状態になってしまう。
【0027】
一方、図6の実線は、電池の残存容量が25%及び0%の場合における、端子電圧の降下特性の測定結果を示す。なお、この図においては、放電電流を1.5A(=約2CmA)とし、このときの放電開始電圧をノーマライズして0Vとしている。また、曲線に付けた文字の意味は、図5と同じである。
【0028】
そして、この測定結果によれば、残存容量が25%のときと、0%のときとで、端子電圧の降下する速度が明瞭に異なり、端子電圧の降下率は、平均すると、
残存容量が25%のときには、−0.888mV/0.8秒
残存容量が0%のときには、−18.17mV/0.8秒
である。
【0029】
したがって、図6に破線で示すように、それらの中間値−10mV/0.8秒をスレッショールドとし、端子電圧の降下率が、このスレッショールドレベルよりも大きいときには、電池の残存容量はほぼ0であると見なしても差し支えない。
【0030】
つまり、以上をまとめると、
▲1▼ 比較的大きい放電電流で2次電池を放電させる。
▲2▼ ▲1▼項の放電時の端子電圧の降下率が、ある値よりも大きければ、その電池の残存容量はほぼ0である。
▲3▼ ▲1▼項の放電時の端子電圧の降下率が、ある値よりも小さければ、その電池の残存容量は0ではない。
となる。
【0031】
ただし、上述のように(図5に示すように)、電池がほぼ完全放電に近い状態の場合、1.5Aの放電電流で放電を開始すると、6秒後には、端子電圧は約0.7Vまで降下し、7秒後には、ほぼ0Vまで降下してしまう。したがって、上記▲1▼〜▲3▼項により残存容量を判別する場合、▲1▼項の放電開始から4〜5秒の間に、残存容量を判別する必要がある。
【0032】
この発明は、以上のような実験結果に基づいて、2次電池の残存容量を判別し、また、この判別結果にしたがって、その2次電池をできるだけ急速に充電するようにしたものである。
【0033】
すなわち、この発明においては、各部の参照符号を後述の実施例に対応させると、
2次電池1を所定の大電流で放電させる回路30と、
この放電させる回路30の動作開始から所定時間の経過後に、2次電池1の端子電圧を所定の期間ごとに測定する回路40と、
この測定する回路40の測定値から2次電池1の端子電圧の所定の期間ごとの電圧降下量を算出する回路50と、
この演算する回路50により算出された所定の期間ごとの電圧降下量を、所定の基準値と比較する回路50とを設け、
所定の期間ごとの電圧降下量が基準値を越えるときには、放電させる回路30の動作を停止させるとともに、2次電池1の残存容量が十分に少ないと判別する
ようにしたものである。さらに、
比較する回路50の比較結果にしたがって、2次電池1を充電する充電電流の大きさを切り換える回路20を設け、
所定の期間ごとの電圧降下量が基準値を越えるときには、放電させる回路30の動作を停止させるとともに、2次電池1の充電を大きな充電電流で開始し、
所定の期間ごとの電圧降下量が基準値を越えないときには、放電させる回路30の動作を停止させるとともに、2次電池1の充電を小さな充電電流で開始する
ようにしたものである。
【0034】
【作用】
2次電池1を大電流で放電させたときの端子電圧の降下率から、その2次電池1の残存容量の有無が判別される。また、この判別結果にしたがった大きさの電流で充電が行われる。
【0035】
【実施例】
図1において、1は充電の対象となる2次電池を示し、これは、この例においては、ヘッドホンステレオに使用されるNiH電池であり、その端子電圧は1.2V、容量は820mAhである。また、10は電源回路、20は充電回路、30は放電回路、40は電圧検出回路、50は充電及び放電の制御を行うマイクロコンピュータを示す。
【0036】
そして、電源回路10においては、例えば100Vの商用交流電圧が、ACプラグ11から電源スイッチ12を通じてトランス13に供給されて所定の値の電圧に降圧され、この電圧が整流回路14に供給されて充電用の直流電圧が形成される。
【0037】
また、整流回路14のホット側の出力端と、ホット側の充電端子61との間に、トランジスタ23のエミッタ・コレクタ間が直列接続され、整流回路14の接地側の出力端と接地側の充電端子62とが接続される。
【0038】
この場合、トランジスタ23は、トランジスタ21、22とともに、充電回路20を構成して充電電流の大きさを制御するものである。このため、トランジスタ23のベースと、端子62との間に、抵抗器24とトランジスタ21のコレクタ・エミッタ間とが直列接続されるとともに、抵抗器25とトランジスタ22のコレクタ・エミッタとが直列接続される。また、トランジスタ21、22のベースに、マイコン50から所定の充電制御信号が供給される。
【0039】
したがって、トランジスタ21がオンで、トランジスタ22がオフのときには、トランジスタ23のベースには、抵抗器24により決まる大きさのベース電流が流れるので、これによりトランジスタ23からは、1CmAの大きさのコレクタ電流を出力することができる。また、トランジスタ21、22がともにオンのときには、トランジスタ23のベースには抵抗器24、25の並列値により決まる大きさのベース電流が流れるので、これによりトランジスタ23からは、2CmAの大きさのコレクタ電流を出力することができる。
【0040】
さらに、端子61と、端子62との間に、抵抗器31と、トランジスタ32のコレクタ・エミッタ間とが直列接続されて放電回路30が構成され、トランジスタ32のベースに、マイコン50から所定の放電制御信号が供給される。
【0041】
また、端子61、62に得られる電圧が、抵抗器41、42により分圧され、その分圧電圧が、A/Dコンバータ43によりA/D変換されてからマイコン50に供給される。こうして、A/Dコンバータ43及びマイコン50により、充電端子61の直流電圧の大きさが検出される。
【0042】
なお、図示はしないが、トランス13の出力電圧が整流され、その直流電圧が、マイコン50及びA/Dコンバータ43にそれらの動作電圧として供給される。
【0043】
そして、マイコン50においては、例えば図2及び図3に示すような内容のルーチン100が実行され、電池1の残存容量が判別されるとともに、その判別結果にしたがって、できるだけ急速に充電される。なお、ルーチン100のステップ101〜127により放電が制御され、ステップ131〜151により充電が制御される。
【0044】
すなわち、電源スイッチ12をオンにすると、マイコン50の処理がルーチン100のステップ101からスタートし、次にステップ102において、初期化が行われ、マイコン50からの制御信号により、トランジスタ21がオン、トランジスタ22がオフとされてトランジスタ23がオンとされるとともに、トランジスタ32もオフとされる。こうして、トランジスタ23を通じて充電端子61、62に充電電圧が出力される。また、変数Nが「1」にセットされる。
【0045】
続いて、ステップ103において、端子61、62の電圧の大きさが検出される。この場合、端子61、62に電池1が接続されていないときには、端子61、62は無負荷状態となるので、端子61、62の電圧は、電池1の端子電圧よりも高くなり、端子61、62に電池1が接続されているときには、電池1の端子電圧まで低下する。
【0046】
そこで、端子61、62の電圧の違いから、端子61、62に電池1が接続されているか接続されていないかが判別され、接続されていないときには、処理はステップ103を繰り返し、端子61、62に電池1が接続されるまで待機する。
【0047】
そして、任意の時点t0に端子61、62に電池1が接続されると、これがステップ103において検出され、処理はステップ103からステップ111に進み、このステップ111において、トランジスタ21がオフとされてトランジスタ23がオフとされるとともに、トランジスタ32がオンとされる。したがって、端子61、62に接続されている電池1は、抵抗器31及びトランジスタ32を通じて放電を開始することになる。
【0048】
そして、この場合、あらかじめ抵抗器31の値を設定しておくことにより、このときの電池1の放電電流の大きさは、上記▲1▼項で述べたように比較的大きな値、例えば1.5A(=約2CmA)とされる。したがって、電池1の端子電圧は、その残存容量に対応して、図5〜図6により説明したように変化していく。
【0049】
次に、ステップ112において、例えば1.5秒の時間待ちが行われる。この時間待ちは、図4及び図5からも明らかなように、放電開始直後の1秒程度の期間は、電池1の端子電圧が、残存容量の測定に適さない変化をするからである。
【0050】
そして、ステップ112における1.5秒の時間が経過して、時点t1になると、電池1の端子電圧の変化が安定しているので、処理はステップ112からステップ113に進み、このステップ113において、電池1の端子電圧VN(=V1)が、D/Aコンバータ43を通じて測定され、次のステップ121において、このときの測定値VNが記憶される。今の場合、N=1であり、電池1の大電流による放電が開始されてから、1.5秒後の時点t1の電池1の端子電圧V1が記憶されたことになる。
【0051】
続いて、処理はステップ122に進み、このステップ122において、例えば0.8秒の時間待ちが行われ、時点tNから0.8秒後の時点t(N+1)になると、ステップ123において、電池1の端子電圧V(N+1)が測定される。今の場合、N=1であるから、時点t1から0.8秒後の時点t2に電圧V2が測定されることになる。
【0052】
次にステップ124において、ステップ121で記憶した時点tNの電圧VNと、ステップ123で測定した時点t(N+1)の電圧V(N+1)との差電圧VDN、すなわち、
VDN=VN−V(N+1)
が計算され、電池1の端子電圧の降下率が求められる。そして、続くステップ125において、この差電圧VDN(降下率)が、図6の破線で示す降下率に対応する差電圧VTHよりも大きいかどうかがチェックされる。
【0053】
そして、|VDN|≦|VTH|の場合には、処理はステップ125からステップ126に進み、このステップ126において、N=17であるかどうかがチェックされ、N≠17のときには、処理はステップ126からステップ127に進み、このステップ127において、変数Nが「1」だけインクリメントされ、その後、処理はステップ121に戻る。
【0054】
したがって、今の場合、N=2なので、ステップ121において、(前回ステップ123において)時点t2に測定された電圧が、電圧V2として新しく記憶され、その後、ステップ123において、時点t2から0.8秒後の時点t3に電圧V3が測定され、ステップ124において、新しい差電圧VD2(=V2−V3)が計算され、この新しい差電圧VD2がステップ125においてチェックされる。
【0055】
こうして、|VDN|≦|VTH|、かつ、N≠17の場合は、ステップ121〜127のループが、ステップ122により0.8秒の周期で繰り返される。
【0056】
そして、この繰り返し時、|VDN|>|VTH|になると、これは、上述のように電池1の残存容量がほぼ0の場合なので、処理はステップ125からステップ131に進み、このステップ131において、トランジスタ32がオフとされて放電が停止させられ、次にステップ132において、トランジスタ21、22がオンとされてトランジスタ23がオンとされ、トランジスタ23のコレクタからは2CmAの大きさのコレクタ電流が出力され、このコレクタ電流が端子61を通じて電池1に供給される。したがって、電池1に対して、2CmAの大きさの充電電流で充電が開始されたことになる。
【0057】
さらに、マイコン50の処理はステップ133に進み、このステップ133において、15分の時間待ちが行われる。
【0058】
そして、15分が経過すると、処理はステップ133からステップ141に進み、このステップ141において、トランジスタ21がオン、トランジスタ22がオフとされ、トランジスタ23のコレクタからは1CmAの大きさのコレクタ電流が出力され、このコレクタ電流が端子61を通じて電池1に供給される。したがって、電池1に対して、充電電流が2CmAの充電が15分だけ行われ、その後、充電電流は1CmAの大きさに切り換えられたことになる。
【0059】
さらに、マイコン50の処理はステップ142に進み、このステップ142において、電池1の端子電圧が、−5mV/分に対応する割り合いで変化をするようになるまで、待機される。なお、この電圧変化は、上記のように満充電のときに起きるものである。こうして、電池1は1CmAの大きさの充電電流で充電されていく。
【0060】
そして、電池1の端子電圧が−5mV/分の割り合いで変化するようになると、電池1が満充電されたものとみなされ、処理はステップ142からステップ143に進み、このステップ143において、トランジスタ22もオフとされてトランジスタ23はオフとされ、電池1の充電は終了とされる。そして、処理はステップ144に進み、このルーチン100を終了する。
【0061】
こうして、電池1は、その残存容量がほぼ0の場合には、最初の15分間は、2CmAの大きさの充電電流で充電され、その後、1CmAの大きさの充電電流で満充電になるまで充電される。
【0062】
なお、この場合、電池1は、最初、2CmAの充電電流で15分間充電され、その後、1CmAの充電電流で充電されるのであるから、上述のように充電に必要な合計時間は45分となる。
【0063】
一方、ステップ121〜127のループが繰り返され、N=17になっても、ステップ125において|VDN|≦|VTH|の場合には、ステップ121〜127のループが17回繰り返されているので、このとき、時点t0の放電開始から、
1.5秒+0.8秒×17回=15.1秒
の時間が経過していることになる。すなわち、電池1を、15.1秒間にわたって1CmAの大きさで放電を行っても、その残存容量が0にならなかったわけである。
【0064】
そこで、この場合には、電池1の残存容量が0ではないとみなされ、処理はステップ126からステップ151に進み、このステップ151において、トランジスタ32がオフとされて電池1の放電が停止させられ、その後、処理はステップ141に進む。したがって、以後、電池1は、ステップ141〜144により1CmAの充電電流により満充電になるまで充電され、満充電になると、その充電は終了する。
【0065】
なお、この場合、電池1は、残存容量が0ではない状態から1CmAの充電電流で充電されるのであるから、その充電に必要とする時間は残存容量に対応して異なるが、60分を越えることはない。
【0066】
こうして、電池1は、その残存容量が0ではない場合には、1CmAの大きさの充電電流により急速充電される。
【0067】
なお、上述においては、ステップ125において、一度でも|VDN|>|VTH|になると、処理はステップ125からステップ131に進むとしたが、例えば二度続けて|VDN|>|VTH|になると、処理がステップ125からステップ131に進むとすることもできる。
【0068】
さらに、NiH電池やNiCd電池は、100%の放電をしないうちに充電をするという充放電を繰り返すと、メモリ効果により実効的な容量が減少するが、ステップ125に続いてステップ127を実行すれば、100%の放電を行うことができるとともに、その100%の放電を検出でき、したがって、メモリ効果を解消できるとともに、満充電を行うことができる。
【0069】
【発明の効果】
この発明によれば、▲1▼〜▲3▼項に基づいて、対象となる2次電池1を大電流で放電させるとともに、その放電時の端子電圧の降下特性の勾配から2次電池1の残存容量の有無を判別するようにしているので、周囲温度や充放電回数などに影響されずに、残存容量の有無を正確に判別することができる。実験によれば、0〜40℃の周囲温度に対して、残存容量がほぼ0の場合を正しく判別することができた。
【0070】
しかも、残存容量がほぼ0%の2次電池1の場合でも、数秒以内に残存容量を判別することができる。また、数秒以内に残存容量を判別することができるので、2次電池1を過放電状態とする危険がない。
【0071】
また、電池1の残存容量がほぼ0と判別された場合には、最初の50%の充電は充電電流の大きさを2CmAにしているので、充電時間を45分程度にまで短縮することができる。
【0072】
さらに、満充電を端子電圧の変化から検出し、この検出出力により充電を終了するようにしているので、電池1の残存容量が0ではない場合でも、最短時間で充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一例を示す接続図である。
【図2】この発明におけるフローチャートの一例の一部を示す図である。
【図3】図2の続きを示す図である。
【図4】2次電池の放電実験の結果を示す特性図である。
【図5】2次電池の放電実験の結果を示す特性図である。
【図6】2次電池の放電実験の結果を示す特性図である。
【図7】2次電池の端子電圧の特性を示す図である。
【図8】2次電池の内部抵抗の特性を示す図である。
【符号の説明】
1 2次電池
10 電源回路
20 充電回路
30 放電回路
40 電圧検出回路
43 A/Dコンバータ
50 マイクロコンピュータ
100 処理ルーチン
Claims (5)
- 2次電池を所定の大電流で放電させる放電回路と、
この放電回路の動作開始から所定の時間の経過後に、上記2次電池の端子電圧を所定の期間ごとに測定する測定回路と、
この測定回路の測定値から、上記2次電池の端子電圧の上記所定の期間ごとの電圧降下量を算出する演算回路と、
この演算回路により算出された上記所定の期間ごとの電圧降下量を、上記測定回路の測定ごとに逐次所定の基準値と比較する比較回路と
を有し、
上記演算回路により算出された電圧降下量が上記基準値を越えるときには、上記放電回路の動作を停止させるとともに、上記2次電池の残存容量が十分に少ないと判別する
ようにした2次電池の残存容量の判別装置。 - 請求項1に記載の判別装置において、
上記測定回路による上記2次電池の端子電圧の測定があらかじめ設定した回数に達した場合に、上記電圧降下量が上記基準値を越えないときには、上記放電回路の動作を停止させるとともに、上記2次電池の残存容量が十分に大きいと判別する
ようにした2次電池の残存容量の判別装置。 - 2次電池を所定の大電流で放電させる放電回路と、
この放電回路の動作開始から所定の時間の経過後に、上記2次電池の端子電圧を所定の期間ごとに測定する測定回路と、
この測定回路の測定値から、上記2次電池の端子電圧の上記所定の期間ごとの電圧降下量を算出する演算回路と、
この演算回路により算出された上記所定の期間ごとの電圧降下量を、上記測定回路の測定時に、所定の基準値と比較する比較回路と、
この比較回路の比較結果にしたがって、上記2次電池を充電する充電電流の大きさを切り換える回路と
を有し、
上記比較回路の比較の結果、上記演算回路により算出された電圧降下量が上記基準値を超えるときには、上記放電回路の動作を停止させるとともに、上記2次電池の充電を大きな充電電流で開始し、
上記比較回路の比較を所定の回数行っても上記演算回路により算出された電圧降下量が上記基準値を超えないときには、上記放電回路の動作を停止させるとともに、上記2次電池の充電を小さな充電電流で開始する
ようにした2次電池の充電装置。 - 請求項3に記載の充電装置において、
上記所定の期間ごとの電圧降下量が上記基準値を越えるときには、上記放電回路の動作を停止させるとともに、上記2次電池の充電を大きな充電電流で開始し、
この大きな充電電流による充電を所定の期間にわたって行ったのち、上記充電電流を小さな値に切り換える
ようにした2次電池の充電装置。 - 請求項4に記載の充電装置において、
上記充電電流が供給されているときの、上記2次電池の端子電圧の変化を検出し、
この端子電圧が降下したときには、上記小さな充電電流の充電を停止する
ようにした2次電池の充電装置。
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