JP3539038B2 - 積層型誘電体フィルタ - Google Patents

積層型誘電体フィルタ

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JP3539038B2
JP3539038B2 JP02332696A JP2332696A JP3539038B2 JP 3539038 B2 JP3539038 B2 JP 3539038B2 JP 02332696 A JP02332696 A JP 02332696A JP 2332696 A JP2332696 A JP 2332696A JP 3539038 B2 JP3539038 B2 JP 3539038B2
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信二 古谷
浩二 林
浩一 河村
浩介 西村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、携帯用電話機等
に搭載される高周波フィルタ等に適用して有用な積層型
誘電体フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】数MHz〜数GHzの周波数帯域で用い
られる小型の高周波フィルタとして、グリーンシート法
により作られる、所定パターンの共振電極が形成された
誘電体共振器を用いて構成される積層型の誘電体フィル
タが知られている。この誘電体フィルタの内部には通
常、共振電極の他、これに結合する入出力電極、共振器
間を結合する結合電極等が埋め込み形成され、積層体の
外面には通常外部入出力電極と、全体を覆ってシールド
する外部アース電極が形成される。
【0003】この様な誘電体フィルタを構成する積層型
共振器として、共振電極を折り曲げパターンとしたもの
がある。共振電極を折り曲げパターンとすれば、直線パ
ターンの場合に比べて小さい占有面積で大きなインダク
タンスを得ることができる。従って折り曲げパターンの
共振電極をもつ積層型共振器を更に複数個積層すること
により、小型の誘電体フィルタを得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のような積層型の
誘電体共振器やこれを更に積層した誘電体フィルタを例
えばグリーンシート法により作る場合、印刷、圧着、切
断の工程で内部に埋め込まれる共振電極の位置ズレが生
じる。外部側面にアース電極が配設されるものでは、上
述の位置ズレによって共振電極と側面外部アース電極と
の間の間隔が変化し、従って共振電極の対アース間容量
が変化して、共振周波数がばらつくという問題がある。
特に、共振電極を折り曲げパターンとして小型化を図っ
た素子においては、共振電極と側面外部アース電極との
間の容量結合が大きいため、共振電極の位置ズレの影響
は大きい。
【0005】また、共振周波数のばらつきが大きくなる
と、この様な共振器を用いて構成されるフィルタではそ
の通過帯域でのバランスが悪化し、挿入損失や反射特性
の悪化を招く。更にフィルタの中心周波数のばらつき
や、共振器間の結合強度の変化に伴う通過帯域幅の変化
をもたらす。
【0006】ところで、共振電極の対側面外部アース電
極間容量は、図7に示すように、共振電極とこれに対向
する側面外部アース電極との間に生じる電界分布により
決まる。従って、共振電極を挟む上下面外部アース電極
の間隔をtとしたとき、tが大きくなれば、上下面外部
アース電極と共振電極との間隔が広がり、共振電極と側
面外部アース電極との間の電界集中が増大するという関
係がある。これは言い換えれば、間隔gのばらつきの共
振周波数に対する影響は、誘電体層厚みtを無視して議
論できないことを意味する。
【0007】この発明は、上記事情を考慮してなされた
もので、位置ズレによる特性のばらつきを軽減し、歩留
まり向上を可能とした積層型誘電体フィルタを提供する
ことを目的としている。
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】 この発明は、端縁部に沿
って延びる折り曲げパターンの共振電極が形成された複
数の誘電体層の間に前記共振電極間の結合量を制御する
開口部を有する内部アース電極が形成された誘電体層を
積層し、それらの両側に上下面アース電極が形成された
誘電体層を積層し、更に前記上下面アース電極が形成さ
れた誘電体層とそれらに隣接する共振電極が形成された
誘電体層との間にそれぞれ入力電極が形成された誘電体
層と出力電極が形成された誘電体層とを積層してなる積
層体と、この積層体の側面に形成されて前記上下面アー
ス電極と共に内部をシールドする側面外部アース電極
と、前記積層体の側面に形成されて前記側面外部アース
電極とは絶縁された外部入力電極及び外部出力電極とを
有し、前記共振電極の接地端が前記側面外部アース電極
に接続され、前記入力電極及び出力電極が前記外部入力
電極及び外部出力電極にそれぞれ接続される積層型誘電
体フィルタにおいて、前記上下面アース電極及び内部ア
ース電極の各隣接する電極間の誘電体層の厚みをt[m
m]とし、前記各共振電極の前記側面外部アース電極側
の辺と前記側面外部アース電極との間隔をg[mm]と
して、g/tが0.2以上で1.0以下に設定されてい
ることを特徴とする。
【0010】本発明者等の研究によれば、折り曲げパタ
ーンの共振電極をもつ小型の積層型共振器の共振周波数
を、横軸にg/tをとってプロットしてみると、g/t
≧0.2の範囲では、gがばらついたとしてもほぼ一定
の共振周波数が得られ、g/t<0.2の範囲ではgの
変化に伴って大きく共振周波数が変化すること、言い換
えれば、g/t<0.2の範囲では製造過程での共振電
極の位置ズレの影響が顕著に現れることが明らかになっ
た。従ってこの発明によれば、g/t≧0.2なる条件
を設定することにより、効果的に位置ズレの影響を軽減
して、積層型の誘電体共振器及びこれを用いた誘電体フ
ィルタを小型化したときの特性のばらつきを低減し、歩
留まり向上を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施例を説明する。図1はこの発明の一実施例に係る
誘電体フィルタの分解斜視図であり、図2は外観斜視図
である。この実施例の誘電体フィルタは、二つの誘電体
共振器A,Bを積層して構成されている。
【0012】一方の共振器Aは、誘電体層3の面に折り
曲げパターンの共振電極31を形成して構成され、他方
の共振器Bは同様に誘電体層5の面に折り曲げパターン
の共振電極51を形成して構成されている。共振電極3
1,51の接地端は、それぞれ誘電体層3,5の一端部
まで配設されて、図2に示すように積層後に側面に形成
される側面外部アース電極8cに接続される。これらの
誘電体層3,5の間には、二つの共振器A,B間の結合
量を制御する複数の窓状の開口部42を設けた内部アー
ス電極41が形成された誘電体層4が挟まれている。
【0013】誘電体層3の下には、共振電極31に容量
結合する内部出力電極21が形成された誘電体層2があ
る。内部出力電極21は、図2に示すように積層後に側
面に形成される外部出力電極9aに接続される。誘電体
層5の上には、共振電極51に容量結合する内部入力電
極61が形成された誘電体層6が積層されている。内部
入力電極61は、図2に示すように積層後に側面に形成
される外部入力電極10aに接続される。
【0014】誘電体層2の下には更に、側面外部アース
電極8cにつながる下面外部アース電極8bと、側面の
外部入出力電極9a,10aにそれぞれつながる電極9
c,10cとが形成された誘電体層1が接合されてい
る。同様に誘電体層6の上には、側面外部アース電極8
cにつながる上面外部アース電極8aと、側面の外部入
出力電極9a,10aにつながる電極9b,10bとが
形成された誘電体層7が積層されている。
【0015】具体的にこの様な誘電体フィルタをグリー
ンシート法により作る場合、各誘電体層1〜7にはそれ
ぞれ用いるセラミック材料の誘電率を勘案して設計すべ
きフィルタ特性に応じて、また共振電極31,51の側
面外部アース電極8cとの間隔gのばらつきを考慮し
て、必要な枚数のシートを重ねる。そして、上述した各
電極が埋め込まれた積層体を形成した後、側面に銀ペー
ストの印刷焼成によって、側面外部アース電極8c、及
び外部入出力電極9a,10a等を形成する。
【0016】図3は、この実施例による積層型誘電体フ
ィルタの等価回路である。二つの共振電極31,51に
よりそれぞれ、分布定数型のLC並列回路からなる共振
器A,Bが形成される。二つの共振器A,Bの間は、内
部アース電極41に設けられた開口部42を介して電磁
界結合され、その結合強度は内部アース電極41に設け
られた開口部42の面積や位置、および二つの共振電極
31,51の相対位置によって決定される。入出力端子
IN,OUTの容量C31,C32はそれぞれ、内部入出力
電極61,21と共振電極51,31との間の結合容量
である。対接地容量C41,C42は、それぞれ共振電極5
1,31と側面外部アース電極8cとの間の結合容量に
より決まる。
【0017】この実施例においては、各共振器A,Bに
ついて、上下面外部アース電極8a,8b間の誘電体層
の1共振器当たりの厚み(より具体的にいえば、共振器
Aについては、下面外部アース電極8bと内部アース電
極41の間の誘電体層厚み、共振器Bについては、上面
外部アース電極8aと内部アース電極41の間の誘電体
層厚み)をt[mm]とし、各共振電極31,51と側
面外部アース電極8cとの間隔をg[mm]として、g
/tが0.2以上に設定される。この様に寸法を設定す
る根拠、及びそれにより得られる効果を次に具体的なデ
ータに基づいて説明する。
【0018】図4は、一方の共振器Aの部分を取り出し
て簡略化した共振器単体の構造を示す斜視図と平面図
(いずれも透視図)であり、共振器単体の6外面には全
て外部アース電極が形成される。図1のフィルタは、入
出力電極を無視して考えれば、この様な共振器単体の上
面又は下面の外部アース電極を、図1に示すように開口
部42を設けた内部アース電極41としてパターン形成
して重ねることにより、得られる。共振器単体の誘電体
層厚みtは、上下面外部アース電極により挟まれた部分
の厚みであるが、図1の実施例での共振器A部の誘電体
層厚みtは、内部アース電極41と下面外部アース電極
8bにより挟まれる誘電体層部分の厚みであり、具体的
には誘電体層1,2,3,4の合計の厚みである。平面
形状の寸法は、横a[mm]、縦b[mm]とし、共振
電極31の幅はc[mm]、共振電極31の開放端と側
面外部アース電極8c(図4では省略している)との間
の間隔はd[mm]とする。共振電極31の3つの側面
と側面外部アース電極8cの間の間隔をそれぞれg1
[mm],g2[mm],g3[mm]とする。
【0019】以上のような寸法関係において、共振周波
数に最も影響が大きい側面の間隔g1を可変パラメータ
とし、その他の寸法を固定して、共振周波数のg1/t
依存性を求めた結果が、図5である。但し、その他の寸
法は、a=3.5[mm],b=2.5[mm],c=
1.0[mm],d=0.5[mm],g2=g3=
0.25[mm],t=1.0[mm]であり、また誘
電体材料の誘電率は、66.5である。厚みtを他の値
に設定した場合にも、同様の特性が得られる。
【0020】図5の結果から明らかなように、g1/t
=0.2をほぼ臨界点として、g1/t<0.2の範囲
ではg1の変化が共振周波数の大きな変化をもたらす。
一方、g1/t≧0.2の範囲に設定すると、g1に多
少の変化があっても共振周波数の大きな変化はない。よ
り具体的に例えば、設計値をg1/t=0.3として、
Δg1=±0.1[mm]のばらつきがあったとして
も、図5から、共振周波数の変動は、実用上十分な許容
誤差2%以下に抑えられる。また、g1/t=0.4に
設定すれば、同様にΔg1=±0.1[mm]のばらつ
きがあったとき、共振周波数の変動は1%以下に抑えら
れる。
【0021】共振電極31の他の2側面の間隔g2,g
3についてもほぼg1と同様の条件にあるから、これら
の間隔g1,g2,g3をgで一般化して、g/t≧
0.2を満たすように、より好ましくは、g/t≧0.
4を満たすように設定することにより、共振周波数のば
らつきを低減できることになる。またフィルタ特性につ
いては、中心周波数や通過帯域幅のばらつきが低減され
ることになる。
【0022】この発明は上記実施例に限られない。例え
ば、共振電極の折り曲げパターンとして、共振器Aにつ
いて他の例を示せば、図6(a)のようなコーナーが一
つの折り曲げパターン、あるいは図6(b)のような3
コーナーの折り曲げパターンを用いることもできる。共
振器Bについても同様の変形が可能である。
【0023】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、折
り曲げパターンの共振電極が誘電体層の積層体中に埋め
込み形成され、その積層体の側面および上下面に側面外
部アース電極および上下面外部アース電極が形成され、
共振電極の接地端が側面外部アース電極に接続される積
層型誘電体共振器や、これを更に積層して構成される誘
電体フィルタにおいて、共振電極の上下アース電極間の
誘電体層の厚みをt[mm]とし、共振電極と側面外部
アース電極との間隔をg[mm]として、g/t≧0.
2に設定することにより、製造工程での共振電極の位置
ズレの影響を低減して、特性のばらつき低減及び歩留ま
り向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係る誘電体フィルタの
分解斜視図である。
【図2】 同誘電体フィルタの外観斜視図である。
【図3】 同誘電体フィルタの等価回路図である。
【図4】 同フィルタの一つの共振器部の構造を示す。
【図5】 共振周波数のg1/t依存性を示す。
【図6】 他の共振電極パターン例を示す。
【図7】 共振電極と外部アース電極との結合の様子を
示す。
【符号の説明】
1〜7…誘電体層、21…内部出力電極、31…共振電
極、41…結合電極、51…共振電極、61…内部入力
電極、8a,8b…上下外部アース電極、8c…側面外
部アース電極、9a,9b,9c…外部出力電極、10
a,10b,10c…外部入力電極、A,B…共振器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 浩介 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 (72)発明者 福田 晃一 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 (56)参考文献 特開 平7−66605(JP,A) 特開 平4−306005(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 1/20 - 1/219 H01P 7/00 - 7/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端縁部に沿って延びる折り曲げパターン
    の共振電極が形成された複数の誘電体層の間に前記共振
    電極間の結合量を制御する開口部を有する内部アース電
    極が形成された誘電体層を積層し、それらの両側に上下
    面アース電極が形成された誘電体層を積層し、更に前記
    上下面アース電極が形成された誘電体層とそれらに隣接
    する共振電極が形成された誘電体層との間にそれぞれ入
    力電極が形成された誘電体層と出力電極が形成された誘
    電体層とを積層してなる積層体と、この積層体の側面に
    形成されて前記上下面アース電極と共に内部をシールド
    する側面外部アース電極と、前記積層体の側面に形成さ
    れて前記側面外部アース電極とは絶縁された外部入力電
    極及び外部出力電極とを有し、前記共振電極の接地端が
    前記側面外部アース電極に接続され、前記入力電極及び
    出力電極が前記外部入力電極及び外部出力電極にそれぞ
    れ接続される積層型誘電体フィルタにおいて、 前記上下面アース電極及び内部アース電極の各隣接する
    電極間の誘電体層の厚みをt[mm]とし、前記各共振
    電極の前記側面外部アース電極側の辺と前記側面外部ア
    ース電極との間隔をg[mm]として、g/tが0.2
    以上で1.0以下に設定されていることを特徴とする積
    層型誘電体フィルタ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、g/tが0.4以上
    で1.0以下に設定されていることを特徴とする積層型
    誘電体フィルタ。
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