JP3536821B2 - 電子線照射装置 - Google Patents

電子線照射装置

Info

Publication number
JP3536821B2
JP3536821B2 JP2001041419A JP2001041419A JP3536821B2 JP 3536821 B2 JP3536821 B2 JP 3536821B2 JP 2001041419 A JP2001041419 A JP 2001041419A JP 2001041419 A JP2001041419 A JP 2001041419A JP 3536821 B2 JP3536821 B2 JP 3536821B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron beam
filament
extraction
extraction electrode
irradiation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001041419A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002243899A (ja
Inventor
睦 水谷
義治 島岡
敏朗 錦見
周一 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NHV Corp
Original Assignee
NHV Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NHV Corp filed Critical NHV Corp
Priority to JP2001041419A priority Critical patent/JP3536821B2/ja
Publication of JP2002243899A publication Critical patent/JP2002243899A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3536821B2 publication Critical patent/JP3536821B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J33/00Discharge tubes with provision for emergence of electrons or ions from the vessel; Lenard tubes
    • H01J33/02Details
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J33/00Discharge tubes with provision for emergence of electrons or ions from the vessel; Lenard tubes
    • H01J33/02Details
    • H01J33/04Windows

Landscapes

  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子線を被照射
物に照射して、被照射物の架橋、改質、硬化、殺菌、そ
の他の表面処理に用いられる電子線照射装置に関し、よ
り具体的には、当該電子線照射装置を構成する引出し電
極の熱歪みの低減と引出し電源の容量の低減とを可能に
する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の電子線照射装置の従来例を図6
に示す。この電子線照射装置は、電子線10を走査する
ことなく、X方向に相対的に短く、当該X方向と直交す
るY方向に相対的に長い平面形状(例えば矩形状)の電
子線10を発生させる装置であり、非走査型またはエリ
ア型と呼ばれる。
【0003】この電子線照射装置は、前記Y方向に長い
筒状の真空容器2と、その中に収納されていてY方向に
長い筒状のシールド電極4を有している。
【0004】このシールド電極4の中に、電子を放出す
る複数本のフィラメント8が配置されている。このフィ
ラメント8は、図7にも示すように、前記X方向に沿う
直線状のものが前記Y方向に複数本並設されている。こ
のY方向は、電子線10の照射幅方向とも呼ばれ、フィ
ラメント8を並設する数は、必要とする照射幅に応じて
選ばれる。また、大電流の電子線10を発生させるとき
は、それに応じてX方向に長いフィラメント8が用いら
れる。
【0005】各フィラメント8は、図7に示すように、
Y方向に伸びる2列の給電導体12に保持されていて、
両給電導体12間に電気的に並列に接続されており、フ
ィラメント変圧器44を経由して加熱用のフィラメント
電力PF が供給される。
【0006】フィラメント8の上方には、上記給電導体
12(および図2等に示す給電導体13)を、図示しな
い絶縁物を介して支持する支持板6が設けられている。
この支持板6は、フィラメント変圧器44の二次巻線4
8の中点52に接続されていて、各フィラメント8の中
間の電位に固定され、フィラメント8から放出された電
子をフィラメント8側へ押し戻す働きをする。
【0007】各フィラメント8から放出された電子を電
子線10として引き出す引出し電極14が、シールド電
極4の開口部に設けられている。この引出し電極14
は、図8に示すように、Y方向に長い矩形の平面形状を
しており、多数の電子線引出し孔16を有している。こ
の引出し電極14の電子線引出し領域20の中央部に
は、孔のないマスク部18がY方向に伸びて設けられて
いる。
【0008】このマスク部18は、その部分からの電子
線10の引出しを阻止して、このマスク部18に対応す
る位置にある照射窓22の水路部30に、加速された電
子線10が当たるのを防止する働きをする。それによっ
て、電子線10の損失を低減させて照射窓22からの電
子線10の取出し効率を向上させると共に、加速された
電子線10による水路部30の加熱および損傷を防止す
ることができる。
【0009】引出し電極14とシールド電極4とは互い
に同電位であり、これらとフィラメント8との間には、
電子線10を効率良く引き出すために、フィラメント変
圧器44および制御器56を介して、引出し電源54か
ら直流の引出し電圧VE が印加される。制御器56は、
引き出す電子線10の量を制御するものである。
【0010】引出し電極14に対向する真空容器2の開
口部には、照射窓22が設けられている。この照射窓2
2と真空容器2とは互いに同電位(この例では接地電位
であり)であり、これらと引出し電極14等との間に
は、引出し電極14から引き出された電子線10を加速
するために、加速電源58から直流で高電圧(例えば数
十kV〜数百kV程度)の加速電圧VA が印加される。
加速された電子線10は、照射窓22を通して真空容器
2外の照射雰囲気(例えば大気)中へ取り出される。
【0011】照射窓22は、図9も参照して、Y方向に
長い矩形の平面形状をしており、真空容器2の内外の雰
囲気を分離すると共に電子線10を透過させる窓箔24
と、この窓箔24を支える支持体26とを有している。
【0012】支持体26は、窓箔24を支えかつ冷却す
るものであってY方向に並設された複数の冷却桟32
と、この冷却桟32を支える枠体28と、窓箔24の周
縁部を固定する押さえ枠34とを有している。枠体28
内には、冷却水38が流される冷却水路36が設けられ
ており、それによって、各冷却桟32ひいては窓箔24
を冷却することができる。
【0013】フィラメント8をX方向に長くして大電流
の電子線10を発生させるためには、それに応じて照射
窓22のX方向の長さも長くする必要があるが、単にそ
のようにしたのでは、各冷却桟32のX方向の長さが長
くなってその中央付近の冷却が不十分になり、窓箔24
の中央付近の冷却が困難になる。これを防止するため
に、枠体28のX方向の中央部に、Y方向に伸びる水路
部30を設けて、その中に冷却水38を流す冷却水路3
6を設けている。この水路部30の存在によって、支持
体26は、ひいては照射窓22は、Y方向に伸びていて
電子線10を通す開口部40を、水路部30を挟んでX
方向に2列有する構造をしている。なお、枠体28、水
路部30および冷却桟32の全てを一体部材で形成する
場合もある。
【0014】照射窓22から照射雰囲気中に取り出され
た電子線10は、被照射物42に照射される。これによ
って、被照射物42に、架橋、改質、硬化、殺菌等の処
理を施すことができる。被照射物42は、例えば、X方
向に沿う方向(図中矢印A方向)に搬送される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記引出し電極14の
マスク部18は、前述したように、引出し電極14から
引き出されかつ加速された電子線10が照射窓22の水
路部30に当たるのを防止するためのものであるが、こ
のマスク部18には、フィラメント8から放出された電
子が当たって多くの電流が流れるため、その分、引出し
電源54の容量を大きくする必要がある。その結果、引
出し電源54のコストが嵩むと共に、引出し電源54が
大型化し、ひいては当該電子線照射装置全体が大型化す
る。この例のように制御器56を設けている場合は、そ
の容量も大きくする必要がある。
【0016】また、引出し電極14は、加熱された各フ
ィラメント8からの輻射熱を受けて熱変形を起こすが、
多数の電子線引出し孔16が設けられていて開口率の高
い電子線引出し領域20と、孔がなく開口率が零のマス
ク部18とでは、受ける熱量に大きな差が生じるため、
引出し電極14の面内において熱変形量に大きな不均一
が生じて、引出し電極14の熱歪みが大きくなる。具体
的には、マスク部18の温度が他よりも大きく上昇し
て、マスク部18付近に大きな熱歪みが生じる。
【0017】引出し電極14の熱歪みが大きくなると、
引出し電極14と照射窓22等との間に印加される加速
電圧VA による加速電界が不均一になるので、特に引出
し電極14の出口付近で不均一になるので、この加速電
界によって加速される電子線10の軌道が乱れる。その
結果、電子線10が照射窓22の支持体26や真空容器
2等に多く当たるようになり、電子線10の取出し効率
が低下すると共に、取り出される電子線10の線量分布
の均一性も悪化する。
【0018】そこでこの発明は、上記のような複数列の
開口部を有する照射窓を備える電子線照射装置におい
て、引出し電極の熱歪みの低減と引出し電源の容量の低
減とを可能にすることを主たる目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明の電子線照射装
置は、前記照射窓の開口部の列数をn列(nは2以上の
整数)とし、前記照射窓の各開口部の前記X方向の幅を
W とし、前記引出し電極の電子線引出し領域の前記X
方向の幅をW E としたとき、前記各フィラメントの長さ
F (>0)をW W ≧L F かつ(W E /n)≧L F にす
ると共に、このような長さ F のフィラメントから成る
フィラメント列を前記X方向に前記照射窓の開口部と同
数の複数列配置し、かつ、前記引出し電極の電子線引出
し領域に、電子線引出しを阻止するマスク部を設けずに
多数の電子線引出し孔を満遍なく配置していることを特
徴としている。
【0020】上記構成によれば、フィラメント列を、X
方向に、照射窓の開口部と同数の複数列配置しているの
で、引出し電極を通して複数列の電子線が引き出され、
この各列の電子線は、照射窓の対応する開口部を通して
照射雰囲気中に取り出される。その場合、各フィラメン
ト列を構成するフィラメントの長さを、照射窓の各開口
部のX方向の幅以下にしているので、上記電子線の各列
のX方向の幅(有効幅)は照射窓の各開口部の幅よりも
小さくなり、各列の電子線は照射窓の対応する開口部を
十分に通過することができる。従って、引出し電極に、
従来例のように電子線引出しを阻止するマスク部を設け
なくても、電子線が照射窓の水路部等の非開口部等に当
たるのを防止することができる。
【0021】このような理由によって、この発明では、
引出し電極には、電子線引出しを阻止するマスク部は設
けておらず、当該引出し電極の電子線引出し領域に、多
数の電子線引出し孔を満遍なく配置している。
【0022】その結果、引出し電極にマスク部を設けた
従来技術に比べて、マスク部がない分、フィラメントか
ら放出された電子が引出し電極に当たることによって引
出し電源に流れる電流を少なくすることができるので、
引出し電源の容量を小さくすることができる。
【0023】しかも、引出し電極にマスク部を設けた従
来技術に比べて、マスク部がない分、フィラメントから
受ける熱量の引出し電極の面内における均一性が良くな
り、引出し電極の面内における温度分布の均一性も良く
なるので、引出し電極の熱歪みを減らすことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る電子線照
射装置の一例を示す図である。図2は、図1中のフィラ
メントの配置の一例を被照射物と共に示す平面図であ
る。図3は、図1中の引出し電極の一例を示す平面図で
ある。図6〜図9に示した従来例と同一または相当する
部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例と
の相違点を主に説明する。
【0025】この電子線照射装置においては、前記シー
ルド電極4内に、従来のフィラメント8に対応するもの
であって従来のフィラメント8よりも長さの短い複数本
のフィラメント8aから成るフィラメント列9を、前記
X方向に2列配置している。2列としたのは、前記照射
窓22の開口部40が2列であり、それと同数にするた
めである。
【0026】図2に示すように、各フィラメント列9に
おいては、電子を放出する直線状(真っ直ぐな棒状とも
言える)の複数本のフィラメント8aが前記Y方向に互
いに平行に並べて配置(即ち並設)されている。各フィ
ラメント列9を構成するフィラメント8aは、Y方向に
伸びる2列の給電導体12および中央の給電導体13に
保持されていて、両給電導体12、13間に電気的に並
列に接続されている。中央の給電導体13は両フィラメ
ント列9に共通のものである。しかもこの例では、両フ
ィラメント列9を互いに電気的に直列に接続している。
【0027】両側の二つの給電導体12は、図1に示す
ように、前記フィラメント変圧器44の二次巻線48の
両端部にそれぞれ接続されている。中央の給電導体13
は、この例では同二次巻線48の中点52に接続され
て、支持板6と共に中間電位に固定されている。
【0028】各フィラメント列9を構成するフィラメン
ト8aは、この例では図2に示すように、隣のフィラメ
ント列9を構成するフィラメント8a同士と互い違いに
配置している。即ち、一方のフィラメント列9の二つの
フィラメント8aの中間に、他方のフィラメント列9の
一つのフィラメント8aが位置するように配置してい
る。フィラメント8aのこのような配置は、千鳥配置と
も呼ばれる。このような配置を採用することによる効果
は後述する。
【0029】各フィラメント列9を構成するフィラメン
ト8aのX方向の長さLF は、照射窓22の各開口部4
0のX方向の幅をそれぞれWW としたとき、次式を満た
す短いものとしている。当然のことながら、LF >0で
ある。
【0030】
【数1】WW ≧LF
【0031】シールド電極4の開口部には、従来の引出
し電極14に対応する引出し電極14aを配置してい
る。図3に示すように、この引出し電極14aの電子線
引出し領域20aには、従来例のような電子線引出しを
阻止するマスク部を設けずに、多数の電子線引出し孔1
6を満遍なく(即ち均一に)配置している。
【0032】この電子線照射装置においては、上記のよ
うに、フィラメント列9を、X方向に、照射窓22の開
口部と同じ数の2列配置しているので、引出し電極14
aを通して2列の電子線10が引き出され、この各列の
電子線10は、照射窓22の対応する開口部40を通し
て照射雰囲気中に取り出される。その場合、各フィラメ
ント列9を構成するフィラメント8aは、上記数1の関
係を満たす短い長さL F のものであるので、上記電子線
10の各列のX方向の幅(有効幅)は照射窓22の各開
口部40の幅WW よりも小さく、各列の電子線10は照
射窓22の対応する開口部40を十分に通過することが
できる。従って、引出し電極14aに、従来例のように
電子線引出しを阻止するマスク部を設けなくても、電子
線10が照射窓22の水路部30等の非開口部等に当た
るのを防止することができる。
【0033】例えば、各フィラメント8aの長さLF
80〜90mm程度にすると、それから引き出される電
子線10の有効幅はこの長さLF よりも短くて、例えば
数十mm程度であるので、照射窓22の各開口部40の
幅WW を例えば100mm程度にしておけば、各列の電
子線10は対応する開口部40を十分に通過することが
できる。
【0034】このような理由によって、この電子線照射
装置では、引出し電極14aには、前述したように、電
子線引出しを阻止するマスク部は設けておらず、当該引
出し電極14aの電子線引出し領域20aに、多数の電
子線引出し孔16を満遍なく配置している。
【0035】その結果、引出し電極14にマスク部18
を設けた従来技術に比べて、マスク部18がない分、フ
ィラメント8aから放出された電子が引出し電極14a
に当たることによって引出し電源54に流れる電流を少
なくすることができるので、引出し電源54の容量を小
さくすることができる。例えば、引出し電源54の容量
を、図6の従来例に比べて約25%小さくすることがで
きる。
【0036】その結果、引出し電源54のコスト低減と
小型化が可能になり、ひいては当該電子線照射装置全体
の小型化を図ることができる。また、この例のように制
御器56を設けている場合は、その容量も小さくするこ
とができる。
【0037】しかも、引出し電極14にマスク部18を
設けた従来技術に比べて、長いフィラメントから短いフ
ィラメント2列になったので中央箇所に加熱源がなくな
り、更にマスク部18がない分、フィラメント8aから
受ける熱量の引出し電極14aの面内における均一性が
良くなり、引出し電極14の面内における温度分布の均
一性も良くなるので、引出し電極14aの熱歪みを減ら
すことができる。
【0038】その結果、引出し電極14aと照射窓22
等との間に印加される加速電圧VAによる加速電界を均
一に保つことができるので、この加速電界によって加速
される電子線10の軌道が乱れることを防止することが
できる。その結果、電子線10が照射窓22の支持体2
6や真空容器2等に当たるのを抑えることができるの
で、電子線10の取出し効率が向上すると共に、取り出
される電子線10の線量分布の均一性も向上する。
【0039】フィラメント列9を2列にすることによっ
て、引出し電極14aが受ける熱量の分布が2列にな
り、引出し電極14aの面内において温度分布が2列に
なるのではないかという懸念が起こり得るけれども、両
フィラメント列9は近づけて配置することができ、両フ
ィラメント列9からの熱放射は隣のフィラメント列9の
方に広がるので、しかも電子線引出し領域20aの部分
は開口率が高くてあまり温度は上がらないので、引出し
電極14aの面内の温度分布の均一性は、中央にマスク
部18を設けた従来の引出し電極14に比べれば遙かに
良い。
【0040】なお、引出し電極14aの電子線引出し領
域20aのX方向の幅WE は、前記フィラメント8aの
長さLF との関係で示せば、次式を満たすものにするの
が好ましい。そのようにすると、複数のフィラメント列
9から放出された電子を効率良く電子線10として引き
出すことができる。nは、照射窓22の開口部40の数
を表す整数であり、この例では2である。
【0041】
【数2】WE ≧n・LF
【0042】この数2の条件と前記数1の条件とを合わ
せると、各フィラメント8aの好ましい長さLF (>
0)は、次式で表すことができる。
【0043】
【数3】WW ≧LF かつ(WE /n)≧LF
【0044】また、各フィラメント列9から引き出され
た各列の電子線10のX方向の中心が、照射窓22の対
応する開口部40のX方向の中心付近を通るように、各
フィラメント列9と各開口部40との位置関係を決めて
おくのが好ましい。例えば、電子線10は通常は外に若
干広がる傾向にあるので、この例のように(図1参
照)、各フィラメント列9の(即ちそれを構成するフィ
ラメント8aの)X方向の中心よりも、各開口部40の
X方向の中心を少し外側へずらしておけば良い。
【0045】また、フィラメント列9を上記のように2
列設けると、厳密に見れば、照射窓22から取り出され
て被照射物42に照射される電子線10の線量分布がX
方向に二山生じることになるけれども、これは引出し電
極14にマスク部18を設けた従来技術の場合と同じで
ある。また二山生じても、通常は被照射物42を矢印A
に示すようにX方向に搬送するので、被照射物42に対
する処理むらは生じない。
【0046】また、前記Y方向の電子線10の線量分布
に関しては、図2に関して先に説明したように、2列の
フィラメント列9を構成する各フィラメント8aを互い
違いに(千鳥状に)配置すると、そのようにせずに両フ
ィラメント列9を構成する各フィラメント8aを互いに
一直線上に並べた場合に比べて、X方向に搬送される被
照射物42に対して、Y方向においてより均一性の高い
処理を施すことが可能になる。
【0047】これを図4を参照して詳述すると、Y方向
において、一方のフィラメント列9を構成するフィラメ
ント8a1 による電子線量E1 が波打っていても、他方
のフィラメント列9を構成するフィラメント8a2 によ
る電子線量E2 がそれを打ち消すように波打つ。X方向
に搬送される被照射物42には、この両方の電子線量E
1 およびE2 の分布を有する電子線10が照射されるこ
とになるので、両者によって処理が平均化され、Y方向
においてより均一性の高い処理が可能になる。
【0048】各フィラメント列9を構成する各フィラメ
ント8aは、図2に示した例のようにX方向に平行に配
置する代わりに、例えば図5に示す例のように、X方向
に対してある角度θ(0°<θ<45°)を持たせて配
置しても良い。そのようにすると、角度θによって、図
4に示した電子線量E1 、E2 の山谷の位置やその大き
さを調整することができるので、X方向に搬送される被
照射物42に対して、Y方向においてより一層均一性の
高い処理を施すことも可能になる。
【0049】上記のような引出し電極を、電子線10の
引出し方向に(即ち上下に)互いに間をあけて複数枚配
置しても良い。図1の例では、上記引出し電極14aと
フィラメント8aとの間に、もう1枚の引出し電極14
bを配置して、引出し電極を2枚配置している。この引
出し電極14bは、引出し電極14aと同電位にされ
る。
【0050】この引出し電極14bは、上記引出し電極
14aと同様の構造を有している。但し、この引出し電
極14bの電子線引出し領域のX方向の幅WE は、引出
し電極14aの当該幅WE よりも若干小さくしても良
い。この引出し電極14bの方がフィラメント8aに近
くて、電子線10の外への広がりが小さいからである。
この引出し電極14bの幅WE についても、上記数2の
関係を満たすようにするのが好ましい。
【0051】引出し電極をこのように上下に2枚配置す
ると、次のような更なる効果を奏する。即ち、上側の引
出し電極14bによって、フィラメント8aからの輻射
熱が下側の引出し電極14aに達するのを減少させるこ
とができるので、引出し電極14aの熱歪みをより一層
低減させることができる。その結果、前述した効果、即
ち加速電界を均一に保って加速される電子線10の軌道
の乱れを抑えて、電子線10の取出し効率および線量分
布の均一性を向上させるという効果をより一層高めるこ
とができる。
【0052】上側の引出し電極14bは、フィラメント
8aにより近いので、下側の引出し電極14aよりかは
熱歪みが大きくなる虞はあるけれども、それでも、マス
ク部18を有する従来の引出し電極14に比べれば熱歪
みは遙かに小さい。しかもこの引出し電極14bは、下
側の引出し電極14aによって加速電界が遮蔽されてい
て、引出し電極が1枚の場合と違って加速電界の影響を
受けないので、上側の引出し電極14bが下側の引出し
電極14aよりも強く加熱されても、電子線10の引き
出しにあまり悪影響はない。
【0053】従って、引出し電極を上下に2枚配置する
と、引出し電極全体として見れば、電子線10の取出し
効率および線量分布の均一性を向上させる効果はより大
きくなる。引出し電極を2枚以外の複数枚にする場合も
同様である。
【0054】上記2列のフィラメント列9は、電気的に
は、互いに並列接続するという考えも採り得るけれど
も、それよりかは、この例のように互いに直列接続する
方が好ましい。直列接続にすれば、同じフィラメント電
力PF を供給する場合、並列接続に比べてフィラメント
電流が半分で済むので、フィラメント変圧器44の出力
電流や、真空容器2内に電流を導入する電流導入端子の
電流容量が小さくて済み、これらを小型化および低コス
ト化する上で有利である。また、直列接続にすれば、並
列接続の場合と違って、2列のフィラメント列9には必
ず同じ大きさのフィラメント電流が流れ、2列のフィラ
メント列9間でこのフィラメント電流のバランスが崩れ
る虞はないので、各フィラメント列9から引き出される
電子線10の線量バランスを維持する上でも有利であ
る。
【0055】以上の例は、照射窓22の開口部40が2
列であり、それに応じてフィラメント列9も2列にした
例であるが、照射窓22の開口部40を3列以上にして
も良く、その場合はそれに応じてフィラメント列9も同
数列配置すれば良い。
【0056】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0057】請求項1記載の発明によれば、引出し電極
にマスク部を設けた従来技術に比べて、マスク部がない
分、フィラメントから放出された電子が引出し電極に当
たることによって引出し電源に流れる電流を少なくする
ことができるので、引出し電源の容量を小さくすること
ができる。
【0058】しかも、引出し電極にマスク部を設けた従
来技術に比べて、マスク部がない分、フィラメントから
受ける熱量の引出し電極の面内における均一性が良くな
り、引出し電極の面内における温度分布の均一性も良く
なるので、引出し電極の熱歪みを減らすことができる。
その結果、引出し電極から引き出されかつ加速される電
子線の軌道が乱れることを防止することができるので、
電子線の取出し効率が向上すると共に、取り出される電
子線の線量分布の均一性も向上する。更に、各フィラメ
ントの長さL F を、照射窓の各開口部の幅W W との関係
においてW W ≧L F にするだけでなく、引出し電極の電
子線引出し領域の幅W E との関係において(W E /n)
≧L F にしているので、複数のフィラメント列から放出
された電子を引出し電極を通して効率良く電子線として
引き出すことができる。
【0059】請求項2記載の発明によれば、X方向に搬
送される被照射物に対して、各フィラメント列から引き
出される電子線による処理が平均化されるので、Y方向
においてより均一性の高い処理を施すことが可能にな
る。しかも前記角度θによって、電子線量の山谷の位置
やその大きさを調整することができるので、X方向に搬
送される被照射物に対して、Y方向においてより一層均
一性の高い処理を施すことが可能になる。
【0060】請求項3記載の発明によれば、上側の引出
し電極によって、フィラメントからの輻射熱が下側の引
出し電極に達するのを減少させることができるので、加
速電界に影響を与える下側の引出し電極の熱歪みをより
一層低減させることができ、その結果、電子線の軌道の
乱れをより小さく抑えて、電子線の取出し効率および電
子線の線量分布の均一性をより向上させることができ
る。
【0061】請求項4記載の発明によれば、各フィラメ
ント列同士を電気的に並列接続した場合に比べて、フィ
ラメント電流を小さくすることができるので、フィラメ
ント変圧器や電流導入端子を小型化および低コスト化す
る上で有利である。また、各フィラメント列から引き出
される電子線の線量バランスを維持する上でも有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電子線照射装置の一例を示す図
である。
【図2】図1中のフィラメントの配置の一例を被照射物
と共に示す平面図である。
【図3】図1中の引出し電極の一例を示す平面図であ
る。
【図4】図2のフィラメント配置のときのY方向の電子
線量分布の概略例を示す図である。
【図5】フィラメントの配置の他の例を示す平面図であ
る。
【図6】従来の電子線照射装置の一例を示す図である。
【図7】図6中のフィラメントの配置を示す平面図であ
る。
【図8】図6中の引出し電極を示す平面図である。
【図9】図1および図6中の照射窓の一例を示す平面図
である。
【符号の説明】
8a フィラメント 9 フィラメント列 10 電子線 14a、14b 引出し電極 16 電子線引出し孔 20a 電子線引出し領域 22 照射窓 40 開口部 42 被照射物 54 引出し電源
フロントページの続き (72)発明者 谷口 周一 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日新ハイボルテージ株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−38200(JP,A) 特開 平5−225934(JP,A) 特開 平10−92357(JP,A) 特開2000−171599(JP,A) 特開 昭61−183859(JP,A) 実開 平7−36100(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 5/04 H01J 33/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子を放出するフィラメントと、このフ
    ィラメントから放出された電子を電子線として引き出す
    引出し電極と、この引出し電極から引き出された電子線
    を窓箔を透過させて照射雰囲気中へ取り出す照射窓とを
    備えていて、X方向に短く、当該X方向と直交するY方
    向に長い平面形状の電子線を発生させる装置であって、
    前記フィラメントは、直線状のものが前記Y方向に複数
    本並設されており、前記照射窓は、前記Y方向に伸びて
    いて電子線を通す開口部を前記X方向に複数列有してい
    る電子線照射装置において、前記照射窓の開口部の列数をn列(nは2以上の整数)
    とし、前記照射窓の各開口部の前記X方向の幅をW W
    し、前記引出し電極の電子線引出し領域の前記X方向の
    幅をW E としたとき、前記各フィラメントの長さL
    F (>0)をW W ≧L F かつ(W E /n)≧L F にする
    と共に、このような長さ F のフィラメントから成るフ
    ィラメント列を前記X方向に前記照射窓の開口部と同数
    の複数列配置し、かつ、前記引出し電極の電子線引出し
    領域に、電子線引出しを阻止するマスク部を設けずに多
    数の電子線引出し孔を満遍なく配置していることを特徴
    とする電子線照射装置。
  2. 【請求項2】 前記各フィラメント列を構成するフィラ
    メント、隣り合うフィラメント列を構成するフィラメ
    ント同士と互い違いに配置すると共に、前記X方向に対
    して0°<θ<45°の角度θを持たせて配置している
    請求項1記載の電子線照射装置。
  3. 【請求項3】 前記引出し電極を、電子線引出し方向に
    互いに間をあけて複数枚配置している請求項1または2
    記載の電子線照射装置。
  4. 【請求項4】 前記各フィラメント列を構成するフィラ
    メント同士を電気的に並列接続し、かつ当該各フィラメ
    ント列同士を電気的に直列接続している請求項1、2ま
    たは3記載の電子線照射装置。
JP2001041419A 2001-02-19 2001-02-19 電子線照射装置 Expired - Lifetime JP3536821B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001041419A JP3536821B2 (ja) 2001-02-19 2001-02-19 電子線照射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001041419A JP3536821B2 (ja) 2001-02-19 2001-02-19 電子線照射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002243899A JP2002243899A (ja) 2002-08-28
JP3536821B2 true JP3536821B2 (ja) 2004-06-14

Family

ID=18903866

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001041419A Expired - Lifetime JP3536821B2 (ja) 2001-02-19 2001-02-19 電子線照射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3536821B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4556678B2 (ja) * 2005-01-21 2010-10-06 株式会社Nhvコーポレーション 電子線照射装置
JP2007051996A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Ngk Insulators Ltd 電子線照射装置
JP2013098003A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Nissin Ion Equipment Co Ltd イオンビーム引出し用電極およびこれを備えたイオン源
DE102014001344B4 (de) * 2014-02-02 2015-08-20 Crosslinking AB Elektronenstrahleinheit mit schräg zur Transportrichtung ausgerichteten Heizkathodendrähten sowie Verfahren zur Bestrahlung
DE102014001342A1 (de) * 2014-02-02 2015-08-06 Crosslinking AB Stützkonstruktion mit schräg verlaufenden Kühlkanälen für ein Elektronenaustrittsfenster

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002243899A (ja) 2002-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20170365440A1 (en) Apparatuses and methods for generating distributed x-rays in a scanning manner
EP1358656B1 (en) Apparatus for generating and selecting ions used in a heavy ion cancer therapy facility
JP4677099B2 (ja) 荷電粒子に関する装置および方法
KR100950736B1 (ko) 이온 주입기
US20170004949A1 (en) Electron Emitting Construct Configured with Ion Bombardment Resistant
EP1662541A2 (en) Beam space-charge compensation device and ion implanation system having the same
JP5655881B2 (ja) リボン状イオンビームのためのイオンビーム偏向マグネットおよびそれを備えるイオンビーム照射装置
US7807983B2 (en) Technique for reducing magnetic fields at an implant location
JP3536821B2 (ja) 電子線照射装置
JP3375159B2 (ja) 改善された並列フィラメント電子銃
JP4467436B2 (ja) 磁石内でイオンビームを中性化するための方法および装置
JP3336444B2 (ja) イオンビーム注入装置とその方法
KR20210053206A (ko) 이온주입장치 및 빔프로파일러
TW543070B (en) Method and apparatus for ion mass separation, and ion-doping apparatus
KR19980063624A (ko) 래버린쓰 전도경로를 갖는 이온소스 블록 필라멘트
JP2008091338A (ja) ブロードビームイオン注入構造
TWI835836B (zh) 具有增進效率的掃描磁體設計
JP4754684B2 (ja) イオン注入装置
JP2996242B1 (ja) 引出し電極
JP2004055390A (ja) イオン源
JP3896809B2 (ja) 電子線照射装置
JP3658887B2 (ja) 電子源
JP4168516B2 (ja) 電子線照射装置
JPS6145548A (ja) 電子線照射装置
JPH1172600A (ja) 電子線照射装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040308

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3536821

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090326

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100326

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100326

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110326

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120326

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140326

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term