JP3535909B2 - タイヤカーカス固定法 - Google Patents
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Description
り、特に、サイドウォールおよびリム部での補強コード
の配置方法に関するものであり、さらには、リム部への
カーカスコードの固定 (投錨、ancrage)方法に関するも
のである。
たは複数のウエブ(nappes)、大抵の場合はラジアルウエ
ブで構成され、このカーカス補強材はリム部(bourrelet
s)に配置された1本または複数本のビードワイヤに巻付
けられている。タイヤはリム部を介してホイールリム(j
ante) に固定される。この構成のリム部は極めて大きな
剛性を有している。
上方 (本明細書では「上方」または「上側」とは半径が
大きくなる方向を意味する) に向かって除々に変化して
いるのが望ましいが、大きな可撓性が要求されるサイド
ウォールと、逆に大きな剛性が要求されるリム部との間
で剛性を徐々に変えることは現在の技術では極めて難し
い。事実、タイヤのこの部分に配置される補強材が非連
続になることは避けらず、放射方向上端部でカーカスが
トレッドに向かって曲がる所ではカーカスは方向転換し
ないため、この区域の剛性は必然的に小さくなる。
方向転換しないようにしたラジアルカーカスの設計原理
も既に公知である。例えば米国特許第 3,072,171号では
カーカスウエブの方向転換点を無くし、放射方向を向い
たカーカスコードの横側に周方向に延びた周方向カーカ
スコードを配置している。しかし、この構造ではカーカ
スコードを周方向カーカスコードに確実に固定(投錨)
するのが難しいため、この構造は実際には用いられてい
ない。
ヤのサイドウォールの曲げ剛性がリム部に向かってでき
る限り連続的に変化するようにカーカス補強用コードを
配置でき、しかも、極めて多数のカーカスコードを固定
することができるようにした新規なカーカスコード固定
方法を提供することにある。本発明の別の目的は機械で
容易に製作可能なタイヤ補強構造を提供することにあ
る。
ルリムに装着されるリム部の中に放射方向下向きに固定
される少なくとも1つのカーカスを有するタイヤであっ
て、各リム部はサイドウォールへ向かって放射方向上方
へ延び、サイドウォールはタイヤトレッドへ向かって放
射方向上方へ延び、カーカスは互いに隣接して配置され
たコード片で構成され、このコード片はサイドウォール
の上部ではサイドウォール内を上から下に向かう単一の
周方向アラインメントを形成し、カーカスは周方向に延
びたコードを介してリム部内に固定され、各コード片は
リム部(2)内に切断端を有するタイヤにおいて、上記の
単一の周方向アラインメントが、サイドウォールからリ
ム部へ放射方向下側へ向かうにつれて除々に軸線方向に
互いに離れて少なくとも2つの周方向アラインメントに
分かれ、これらの周方向アラインメントはコードの束か
らなる充填要素によって軸線方向に互いに隔てられてい
ることを特徴とするタイヤを提供する。
り、モノフィラメントやマルチフィラメントの他にケー
ブル、撚糸等の組合せ物や、これらの任意の均等物を含
み、コードの材質および処理(例えば表面加工、コーテ
ィング、ゴムとの接着性を向上させる予備塗装(preenco
llage)等)を受けているか否かは問題ではない。「コー
ド片(troncon de fil)」という表現は、本発明のカーカ
スが軌跡に沿って配置された単一の連続したコードから
製造された単一コードカーカスではないということを意
味している。コード片とは切断された個々のコード断片
であり、各コード片は2つの切断端を有し、本発明では
切断端の少なくとも1方がリム部の底部近傍でリム部内
に配置される。「アラインメント」とはカーカスコード
片が整列して配置された状態またはそのような状態に配
置されたカーカスコード片群を意味する。「放射方向」
とはタイヤの半径方向であり、「周方向」とはタイヤの
円周方向であり、「軸方向」とはタイヤの軸線方向であ
る。コードを90°に配置したカーカスがいわゆるラジア
ルカーカスであるが、90°に近い配置もラジアルカーカ
スに含まれる。
部へ向かうカーカスコードが充填要素によって互いに隔
てられる。この充填要素は周方向に延びたコードを含む
ことができる。好ましくは、リム部の各アラインメント
の側部を周方向に延びた少なくとも1つのコードの束(p
ile)で縁取って、タイヤ膨脹時に受ける力を全てのカー
カスコード片にほぼ同様に分散させるのが好ましい。大
きな外力を受けるタイヤの場合には、カーカスコード片
と周方向に延びたコードとの間で力を確実に伝播するた
めに、周方向に延びたコードとカーカスコードの各アラ
インメントとの間に弾性係数(module)の高いゴム、すな
わちショアA硬度が70以上のゴム混合物を配置して、周
方向に延びたコードと放射方向に延びたコードとが直接
接触しないようにする。
イヤの周りで方向転換して、ビードワイヤがカーカスを
固定 (投錨) する役目、すなわち、タイヤに膨張圧が加
わった時にカーカスコードに張力を生じさせる役目をし
ている。カーカスのこの固定機能は本発明構造でも確実
に行うことができる。また、現在の方法ではビードワイ
ヤがタイヤリム部をホイールリムに締付ける役目もして
いる。本発明構造でも十分な締付けができる。
構造の片側および/または両側にカーカスの一部または
その固定部の一部を成す別の要素を加えることもでき
る。また、本発明では同じ種類のカーカスを複数個使用
することができ、また、本発明カーカスにそれとは種類
の異なるカーカスを加えることもできる。以下、添付図
面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
る。図にはタイヤの周知部分の他に本発明に関する部分
すなわちサイドウォール1とリム部2とが示されてい
る。カーカス補強材は一群のコード片 (troncons de fi
l)3で構成され、図示したカーカスコード片3はサイド
ウォール1内を放射方向へ延びている。図1〜3から分
かるように、各サイドウォール1内ではカーカスコード
片3は周方向に並んで単一の周方向アラインメント30を
形成しているが、サイドウォール1の下側からリム部2
の底までは徐々に軸線方向に互いに離れて2つの周方向
アラインメント31、32になる。
接する2つのカーカスコード片3がリム部2の別の周方
向アラインメントから出て来るように、各コード片を配
置する。換言すれば、リム部2の別の周方向アラインメ
ント31、32から出て来たコード片3がサイドウォール内
で交互に並ぶのが好ましい。すなわち、図2の斜視図か
ら分かるように、各コード片3はさいころの5の目型に
配置される。
要素によって互いに隔てられる。そうすることによって
曲げ剛性を徐々に大きくすることができる。また、リム
部2内部の周方向アラインメントのコード片の数はサイ
ドウォール1内の周方向アラインメントのコード片の数
の1/2になる。このことは、タイヤ半径はリム部へ向
う方向に小さくなる(従って、並んだコード片を収容す
る空間はサイドウォール内よりも小さくなる)というこ
とを考えると、極めて重要なことである。すなわち、カ
ーカスコードの数を多くすると別のカーカスを追加して
使用しなければならないが、そうすると、コード全部を
収容する場所がリム部内にはなくなる。しかし、本発明
構造ではコードをより大きな密度で使用することができ
る。
ーカスコード片を完全に位置決めできるので、コード片
をゴムで完全に含浸して、リム部と完全に結合させるこ
とができる。
アラインメントを2つ以上の周方向アラインメントに分
け、各周方向アラインメントをリム部内で徐々に軸線方
向に互いに離すこともできる。この場合には、サイドウ
ォールの単一の周方向アラインメントのコード数を2以
上の数で割った数がリム部の各周方向アラインメントの
コード数になる。
に単一の周方向のアラインメントしかない(すなわち単
一のコード層しかない)ことを考えると、特に重要であ
る。すなわち、サイドウォールに極めて大きな柔軟性を
与えることができる。この補強構造を有するサイドウォ
ールはタイヤが潰れた状態での曲げ剛性を小さくするこ
とができ、この曲げ剛性は強い力を受けるタイヤ用にカ
ーカスコード数を増やす場合あるいは抵抗力の小さいコ
ードを使用する場合に一般に用いられる2枚のカーカス
ウエブを用いる構造よりも小さくなる。
ためには積層複合リム部にするのが好ましい。すなわ
ち、リム部2の内部で各周方向アラインメント31、32の
軸線方向の両側にショアA硬度が70以上のゴム混合物の
層5を介して少なくとも1つの周方向に延びたコードの
束(piles) 61、62、62、63を配置する。
ときに得られる。すなわち、タイヤ組立時にこの層を形
成する目的でゴムを配置するか、周方向に延びたコード
の束61、62、63および/またはカーカスを形成する際
に、ゴムを十分に塗布したコードを使用すれば、タイヤ
成形後に上記ゴム混合物の層5ができる。周方向に延び
たコードの束61、62、63を構成する各コードはメッキ(l
aitonne)をした金属コードが好ましい。各コードの束6
1、62、63では複数のコードをほぼ同心状に重ねて配置
する。直径が徐々に大きくなるリングを重ねるか、コー
ドを複数回螺旋状に巻付けてコードの束にすることがで
きる。
エラストマーSBRのみを含む混合物か、SBRとポリ
ブタジエンPBとを含む混合物を使用した場合に耐久性
が著しく良くなるということが分かった。この場合、S
BRのガラス遷移温度Tgは−70℃〜−30℃の範囲に
し、ポリブタジエンPBのTgは−40℃〜−10℃の範囲
にし、これら合成エラストマーは合計でエラストマー総
量の少なくとも40重量%用い、残りは天然ゴムNRにす
る。上記のガラス遷移温度Tgは示差熱分析で測定し
た。SBR溶液を使用するのが好ましく、例えば、Tg
が−48℃のSBR溶液50%と、NR50%とを含む混合物
に補強用充填材と樹脂とを添加して所望のショアA硬度
にする。
の束61、62、63とカーカスの織成コード片3とに良好に
接着させ、高温でのその接着耐久性を確保するために、
ゴム混合物の層5にはかなりの比率で硫黄を入れ、ま
た、接着促進剤(例えば、コバルトまたはニッケルの金
属塩)を適当な比率で添加する。例えばエラストマー総
量に対して5〜8重量%の比率で硫黄を用い、エラスト
マーの総量に対して 0.2重量%の比率でコバルトの金属
塩を使用する。カーカスコード片3またはコードの束6
1、62、63を形成する螺旋コードを含浸するために特殊
なゴム混合物を加える必要はなく、上記のゴム混合物の
層5と同じゴム混合物を用いて、成形時の含浸によっ
て、カレンダ加工と同じコードの束内および異なるコー
ドの束の間の連結をさせることができる。
良く分散させるためには、カーカスコードの放射方向の
最下端部を互いに並んだ周方向に延びたコードの束61、
62、63の放射方向最底部より下側まで延ばすのが好まし
い。カーカスコード片3は一方のリム部からトレッドを
通って他方のリム部まで連続しているのが好ましい。ト
レッドの下側のタイヤ構造を補強する手段は本発明とは
無関係であり、任意の適当な補強方法、例えばベルト状
コードを配置する方法を用いることができる。また、従
来のタイヤのビードワイヤでパッキングとして用いられ
ている硬いゴム混合物をリム部2に取付けることもでき
る。このパッキングゴムはカーカス補強材の片側および
/または両側に配置される。
この実施例ではリム部2内に周方向のに延びたコードの
コイル(enroulement) 63と64とが加えられている。これ
らのコード 63 と64の間には薄いゴム層、すなわちコイ
ルまたは周方向アラインメントのコードの直径より薄い
ゴム層しか存在しない。これらの薄い層は、タイヤ組立
時にコードの束64、65、場合によってコードの束61、6
2、63用としてゴムを塗布したコードを用い、それを成
形することよって得られる。必要に応じて、互いに隣接
した周方向に延びたコードの束を増加させてリム部を補
強する。互いに隣接した複数の束61、64または63、65等
は一種のコード群を形成する。他の解決方法では、コー
ド全体がほぼ同じ放射方向区画を占めた時にこれらのコ
ード群をほぼ放射方向を向いたコードの束とは別の状態
に配置することである。
側の部分を放射方向上側へ向かって延びる周方向に延び
たコードのコイル66が見える。このコイル66を設けるこ
とによってタイヤを膨らませた時に自然にバランスする
種々の形をラジアルカーカスに与えることができ、タイ
ヤを車輪に取付けて膨らませた時のタイヤ形状を完全に
制御することができる。もちろん、サイドウォール、リ
ム部またはこれらの内部で種々異なる種類のコードを使
用することができる。
ドの密度はリム2内の密度より小さくするのが好まし
い。この密度変化を連続的にして、タイヤのリム部とサ
イドウォールとの間で密度ができる限り連続的に変化す
るようにするのが好ましい。同様に、円周方向に螺旋状
に巻いたコードの束、例えば61、62、63は密度が最小の
区域が放射方向上側で終るようにする。
ができる限り連続的に変化するようにするためには、ホ
イールリムとの接触区域より上側で赤道より下側の間の
カーカスの両側のゴム成分が〔数2〕を満足するように
する:
ントの外側70と内側71のゴムの放射方向弾性率(module)
であり、ei またはej はその厚さである)
ンメントがある場合に上記の式を適用する時は、最外側
のコードの外側と最内側のコードの内側のゴム成分のみ
を考慮すればよい。使用する全てのゴム成分の弾性率が
類似している時には、サイドウォールのできる限り内側
にカーカスを通すのが良いということを意味している。
また、サイドウォールの内側により柔らかいゴム(すな
わち弾性率が低いゴム)を使用することもできる。これ
はタイヤの耐久性と乗り心地との妥協策である。
イドウォールとリム部との間の剛性を徐々に大きくする
ことができるということは理解できよう。すなわち、こ
の構造によって、タイヤの設計者は、周方向に延びたコ
ードの密度と、場合によってはさらにリム部内の放射方
向コードの周方向アラインメントの数とコードの種類と
を調節するだけで、極めて大きな自由度でタイヤ剛性と
変形度とを調節することができる。この複合構造ではリ
ム部をホイールリム部に良好に取りつけることができ、
大型にならず、使用材料を最も良好に使用できる。本発
明構造では補強材に不連続な部分は全く無く、これはタ
イヤの耐久性 の観点から極めて好都合である。また、
予定しないことであったが、タイヤの乗り心地も向上す
る。
るためには、タイヤの内部空洞の形状を成形するための
剛体の芯型上でタイヤを製造するのが好ましい。すなわ
ち、この芯型上に各タイヤ構成要素をタイヤの最終構造
で要求される順番で、成形時に変形しない状態で、その
最終位置へ直接取り付け、米国特許第 4,895,692号に記
載の方法でタイヤを成形・加硫することができる。
ム部とを示す放射方向断面図。
Claims (9)
- 【請求項1】 底部(20)がホイールリムに装着されるリ
ム部(2)の中に放射方向下向きに固定される少なくとも
1つのカーカスを有するタイヤであって、各リム部はサ
イドウォール(1)へ向かって放射方向上方へ延び、サイ
ドウォール(1)はタイヤトレッドへ向かって放射方向上
方へ延び、カーカスは互いに隣接して配置されたコード
片(3)で構成され、このコード片(3)はサイドウォール
(1)の上部ではサイドウォール(1)内を上から下に向かう
単一の周方向アラインメント(30)を形成し、カーカスは
周方向に延びたコードを介してリム部(2)内に固定さ
れ、各コード片(3)はリム部(2)内に切断端を有するタイ
ヤにおいて、 上記の単一の周方向アラインメント(30)が、サイドウォ
ールからリム部へ放射方向下側へ向かうにつれて除々に
軸線方向に互いに離れて少なくとも2つの周方向アライ
ンメント(31, 32)に分かれ、これらの周方向アラインメ
ント(31,32) はコードの束からなる充填要素によって軸
線方向に互いに隔てられていることを特徴とするタイ
ヤ。 - 【請求項2】 リム部の各周方向アラインメント(31, 3
2)の側部に上記充填要素としての少なくとも1つの周方
向に延びたコードの束(61, 63, 62)が配置されている
請求項1に記載のタイヤ。 - 【請求項3】 周方向に延びたコードと各周方向アライ
ンメント(31, 32)との間にショアA硬度が70以上のゴム
混合物の層(5)が配置されている請求項1または2に記
載のタイヤ。 - 【請求項4】 リム部の各周方向アラインメント(31, 3
2)の軸線方向の両側に少なくとも1つの周方向に延びた
コードの束(61, 62)(62, 63)が配置されている請求項1
または3に記載のタイヤ。 - 【請求項5】 カーカスコードの放射方向最下端部が、
周方向に延びたコードの束(61,62, 63)の最低部分より
低い位置まで、放射方向に延びている請求項1〜4のい
ずれか一項に記載のタイヤ。 - 【請求項6】 ゴム混合物の層(5)が、Tgが−70℃〜
−30℃である合成エラストマーSBRをエラストマー総
量の40重量%以上含む混合物からなる請求項3に記載の
タイヤ。 - 【請求項7】 ゴム混合物の層 (5) が、Tgが− 70 ℃〜
− 30 ℃である合成エラストマーSBRとTgが−40℃〜
−10℃であるPBとを組み合わせたものをエラストマー
総量の40重量%以上含む混合物からなる請求項3に記載
のタイヤ。 - 【請求項8】 ゴム混合物の層(5) の硫黄の比率がエラ
ストマー総量の5〜8重量%の範囲であり、ゴム混合物
が接着促進剤を含む請求項6または7に記載のタイヤ。 - 【請求項9】 リム部が、周方向に延びた互いに隣接す
るコードの複数の束(61, 63, 62)を有する請求項2〜
8のいずれか一項に記載のタイヤ。
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