JP3534996B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

カラーフィルタの製造方法

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JP3534996B2
JP3534996B2 JP34344897A JP34344897A JP3534996B2 JP 3534996 B2 JP3534996 B2 JP 3534996B2 JP 34344897 A JP34344897 A JP 34344897A JP 34344897 A JP34344897 A JP 34344897A JP 3534996 B2 JP3534996 B2 JP 3534996B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー液晶表示素
子、およびカラー液晶表示素子に備えられるカラーフィ
ルタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カラーフィルタを有するカラー液晶表示
素子に備えられる液晶パネルは、例えば、対向して配さ
れた一対のガラス等からなる透明基板を有しており、一
方の透明基板の基板対向面に、ブラックマスク層、カラ
ーフィルタ層、オーバーコート層、表示用電極、および
配向膜がこの順に形成され、他方の透明基板の基板対向
面に、表示用電極、絶縁膜、および配向膜がこの順に形
成されている。
【0003】そして、これら透明基板は、基板周辺部に
配されたガラスビーズを含有したシール材とセルギャッ
プコントロール用のプラスチックビーズを介して貼り合
わされると共に、シール材にて囲まれた透明基板の間隙
に液晶が封入され、液晶層が形成されている。なお、こ
のような液晶パネルの構成は一構成例である。
【0004】ところで、カラー液晶表示素子を構成する
一要素である上記のカラーフィルタ層は、両表示用電極
にて形成される画素毎に対応する、赤(R),緑
(G),青(B)の3種類の色相膜からなり、その膜厚
は一般に1.0μm〜1.5μmである。
【0005】このようなカラーフィルタ層の製造方法の
一例を、図18(a)〜(d)を用いて説明すると、ま
ず、同図(a)に示すように、Cr等のブラックマスク
層35を形成した透明基板31上へ、R,G,Bの内の
1色(ここではR)の顔料を分散したネガ型の感光性樹
脂材料層34rを、スピンコート法、印刷法、フィルム
ラミネート法等により所定の膜厚で形成する。そして、
これをマスク33rを利用して特定波長のUV(紫外
線)光を表面より所定の個所のみ露光する。
【0006】次に、同図(b)に示すように、これを現
像して1色目の色相膜32rを 所定の個所に形成した
後、同図(c)に示すように、これをオーブン等により
ポストベークして熱重合硬化させる。
【0007】上記各工程を、2色目、3色目についても
同様に繰り返し、最後に本ベークを行う。これにより、
同図(d)に示すように、所定の位置にR,G,Bの色
相膜32r・32g・32bが配置されたカラーフィル
タ層32が形成される。
【0008】また、上記した製造方法以外に、UV吸収
材を含有した感光性樹脂材料をもちいて形成したR,
G,Bの色相膜上に、感光性樹脂遮光材料をスピンコー
ト法、印刷法、フィルムラミネート法等により形成し、
R,G,Bの色相膜のUV吸収剤を利用し、裏面よりU
V光を照射して、ブラックマスク層を形成する方法もあ
る。
【0009】このように形成されるカラーフィルタ層の
膜厚は、感光性樹脂材料をスピンコート法、印刷法にて
形成する場合は、初期形成膜厚(塗布後および印刷直
後)およびその後のポズトベークおよび本ベークによる
膜減りにより決まり、フィルムラミネート法の場合は、
初期フィルム膜厚、およびその後のポストベークおよび
本ベークによる膜滅りにより決まる。したがって、カラ
ーフィルタ層の膜厚のバラツキは、初期形成膜厚のバラ
ツキ或いは初期フィルム厚のバラツキとベーク時の温度
分布バラツキにより決まることとなる。
【0010】一方、上記のようなカラー液晶表示素子の
中で、一対の透明基板間での液晶分子のねじれ角を18
0°〜360°に設定したSTN(超ねじれネマティッ
ク)型液晶表示素子が、その応答性の速さから注目され
ている。しかしながら、STN型液晶表示素子の場合、
液晶層の厚み、すなわちセルギャップのバラツキで、表
示品位が極端に低下するため、カラーフィルタ層の膜厚
のバラツキは問題となる。
【0011】そこで、従来よりSTN型のカラー液晶表
示素子の場合は、カラーフィルタ層の上に膜厚1.0μ
m〜3.0μm程度のオーバーコート層を形成すること
で、カラーフィルタ層表面の膜厚均一化(レベリング)
を行っている。
【0012】また、カラーフィルタ層の形成に用いられ
るネガ型の感光性樹脂材料は、一般に、露光→現像→ポ
ストベークの各プロセスを経ると、図19のように形状
変化を起こす。つまり、同図(a)に示すように、露光
により感光性樹脂材料層34の表面に近い部分は光重合
反応が進むが、感光性樹脂材料層34の内部ではUV吸
収剤によりUV光が減衰し、光重合反応が不十分とな
り、光重合反応が十分完了していない状態になる。な
お、ここでUV光の照射量を上げることは、オーバー露
光となり、現像仕上がりの不良、ドットサイズのバラツ
キ等を招来するため、限界がある。
【0013】続いて、同図(b)に示すように、現像を
行うと光重合反応の不十分な部分はサイドエッチングに
よりテーパーがかかる。その後、同図(c)に示すよう
に、ポストベークを行うと下層にある光重合反応の不十
分な部分の熱重合反応が進み、全体が変形して蒲鉾型に
なる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年、液晶表示
素子、特にSTN型カラー液晶表示素子について、高表
示品位、高特性、高信頼性が要求されており、コントラ
ストにおいては30:1以上を要求されている。そし
て、上記要望の中でもとりわけ中間調の表示品位に対し
て、ユーザーより強い改善要求が出されている。
【0015】このような状況下、上記した従来のカラー
フィルタ層の製造方法では膜厚差の低減に限界があり、
ユーザからの要求に応えられなくなってきている。
【0016】即ち、従来のカラー液晶表示素子の製造方
法では、カラーフィルタ層の本ベーク後の膜厚を約1.
0μm〜1.5μmとすると、スピンコート法、印刷法
の場合、±0.2μm〜0.3μmのバラツキがある。
しかるにR,G,Bの色相膜は各々個別に、露光、現
像、ポストベークの各工程を繰り返すために、ミクロ
(R,G,Bの色相膜間)の場合でも、マクロ(表示エ
リア全体)の場合でも、例えば1.5μmをTYPとし
て形成しようとした場合、1.2μm〜1.8μm(差
0.6μm)の膜厚差が発生することになる。そしてさ
らに、これに焼成温度分布のバラツキ等による膜厚のバ
ラツキが加わる。
【0017】また、フィルムラミネート法においても、
その感光性着色フィルム材料を製造する過程において、
支持体に感光性樹脂材料を塗布して着色フィルムラミネ
ートを作製するため、完成品であるフィルムの着色層の
膜厚バラツキが±0.15μm程度あり、露光、現像、
ポストベークを繰り返してR,G,Bの色層膜を形成す
るため、本ベーク後に±0.1〜0.2μmのカラーフ
ィルタ層の膜厚バラツキが生じてしまう。
【0018】STN型カラー液晶表示素子においては、
光学特性、表示品位(特に中間調の表示品位)は、マク
ロにおいても、ミクロにおいても、セルギャップのバラ
ツキに大きく影響され、6μm系のセルギャップでST
N型カラー液晶表示素子を製造した場合、1.5μm設
計のカラーフィルタ層において、1.2μm〜1.8μ
m(差0.6μm)のカラーフィルタ層の膜厚のバラツ
キがあると、オーバーコート処理後でも、セルギャップ
は5.91μm〜6.09μm(差0.18μm)R,
G,Bの画素間でバラツクことになる。
【0019】その結果、Voffの液晶点灯状態で液晶
シャッター効果にR,G,Bの画素間でバラツキが発生
して、黒レベルが悪くなりコントラストが上がらなくな
る。また、R,G,Bの色相膜のドット形状が蒲鉾型の
場合にも、山の部分と谷の部分でのセルギャップに違い
が生じることになり、コントラストが上がらなくなる。
さらに、中間調の表示品位についても、セルギャップの
バラツキが液晶分子の立ち上がりの差となって現れるた
め、たとえば6μm系のSTN型液晶表示素子におい
て、Gの色相膜が+0.05μm、R,Bの色相膜より
高いと、中間調が緑っぽくなり、ユーザーから色調異常
と問題にされる。
【0020】図20のグラフに、STN型液晶表示素子
におけるセルギャップのバラツキとコントラストの関係
を示す。コントラストは、液晶パネルの外側に配置され
る偏光板の位相差と、液晶パネルの位相差で決定され
る。また液晶パネルの位相差はd×Δn(d:セル厚,
Δn:液晶の複屈折率)で現される。
【0021】液晶パネルのセルギャップが変動すると、
液晶パネルの位相差が変化することになり、液晶パネル
を通過する偏光(楕円偏光)が変化して偏光板でのシャ
ッター効果が弱くなり、コントラストが低下する。すな
わち、TYPセル厚(ここでは6.0μm)で設計され
たパネルシステムに対し、セルギャップが厚目、もしく
は、薄目にバラツクとコントラストが低下することにな
る。
【0022】図21(a)(b)に、R,G,Bの色相膜
の膜厚差と表示品位(中間調、特にはDOS画面)の関
係を示す。ここでは、Rの色相膜32rを基準にしてG
の色相膜32gの膜厚が変動する場合の品位を示す。
【0023】Rの色相膜32rに対してGの色相膜32
gの膜厚が高いと、その色相の画素のセルギャップはR
の色相膜32rの部分に対し、Gの色相膜32gの部分
の方が薄くなることになる。すなわち、V−Tカーブ
(電圧vs透過率特性)で考えると、Gの画素の方がR
の画素よりセルギャップが薄いので、液晶の立ち上がり
が早くなり、中間調としてGの光がより抜けることによ
り、緑っぽくなる。
【0024】同図(b)における膜厚差(R−G)は、
カラーフィルタ層の上にオーバーコート層を設けたオー
バーコート処理後の膜厚差であり、セルギャップの差に
等しい。
【0025】本発明は、上記課題に鑑みて成されたもの
であって、その目的は、より均一に近い膜厚のカラーフ
ィルタを製造可能なカラーフィルタの製造方法を提供す
ることであり、また、該製造方法を用いてカラー液晶表
示素子を製造することで、高コントラストで、かつ、中
間調の表示品位の優れたカラー液晶表示素子を提供する
ことである。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
カラーフィルタの製造方法は、上記の課題を解決するた
めに、ネガ型の感光性材料を用いて形成され、少なくと
も2色以上の色相膜を有するカラーフィルタの製造方法
において、各色相膜の作製工程に、現像前に上記感光性
材料を表面側から露光し、該感光性材料にパターンを描
く第1露光工程と、現像後で上記感光性材料を焼成する
前に、該感光性材料を再び露光する第2露光工程と、
2露光工程後に感光性材料を焼成して硬化させるベーク
工程と、を含み、上記第2露光工程での露光量を調節す
ることで、焼成後の各色相膜の膜厚が均一となるよう
に、上記感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合完了領域の
広がりをコントロールすることを特徴としている。
【0027】これによれば、感光性材料が例えば感光性
樹脂材料とすると、現像後、焼成前の段階で、再度感光
性材料を露光する第2露光工程の露光量を調整すること
で、感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合完了領域の広が
りをコントロールできる。これにより、焼成後の膜減り
率をコントロールして膜厚を均一にすることが可能とな
る。
【0028】しかも、現像後の第2露光工程の露光によ
り、感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合反応領域が広が
り、焼成後のドット変形が蒲鉾型になる現象も緩和され
る。したがって、これによっても、膜厚分布ムラを低下
させてカラーフィルタの膜厚を均一にできる。
【0029】これらの結果、カラーフィルタの膜厚差
を、全体膜厚を例えば1.0〜1.5μmとした場合、
オーバーコート処理後で0.05μm以下にできる。
【0030】なお、第2露光工程の露光は、現像後であ
るため、感光性材料の表面側からでも、透明基板を介し
た裏面側からでも、さらには、表裏両面側から行って
も、それぞれ膜厚方向に対して有効に作用する。
【0031】本発明の請求項2記載のカラーフィルタの
製造方法は、上記の課題を解決するために、ネガ型の感
光性材料を用いて形成され、少なくとも2色以上の色相
膜を有するカラーフィルタの製造方法において、各色相
膜の作製工程に、現像前に上記感光性材料を表面側から
露光し、該感光性材料にパターンを描く第1露光工程
と、第1露光工程後、上記感光性材料を焼成する前に、
該感光性材料を再び露光する第2露光工程と、感光性材
料を焼成して硬化させるベーク工程と、を含み、このう
ち、最後に形成される色相膜以外の色相膜の作製工程に
おける第2露光工程は、現像後に表面側或いは透明基板
の背面側から露光し、最後に形成される色相膜の作製工
程における第2露光工程のみ、現像前に透明基板の背面
側から露光し、上記第2露光工程での露光量を調節する
ことで、焼成後の各色相膜の膜厚が均一となるように、
上記感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合完了領域の広が
りをコントロールすることを特徴としている。
【0032】これによれば、請求項1の構成と同様に、
感光性材料が例えば感光性樹脂材料とすると、第2露光
工程の露光量を調整することで、焼成後の膜減り率をコ
ントロールして膜厚を均一にすることが可能となり、か
つ、焼成後のドット変形が蒲鉾型になる現象も緩和され
る。
【0033】そして、特に、最後に形成される色相膜の
み、現像前に感光性材料を透明基板の基板側から露光
(第2露光工程)するようになっている。この場合、既
に形成されている色相膜が最後の色相膜のマスクとして
作用するため、現像前に第2露光工程を実施できる。こ
のような手順とすることで、既に形成した色相膜に発生
しているピンホール不良を、最後の色相膜の形成と同時
に最後の色相膜を形成するための感光性材料にて修正で
きる。
【0034】本発明の請求項3記載のカラーフィルタの
製造方法は、請求項1又は2の構成において、第1露光
工程よりも第2露光工程の方が、感光性材料が受ける露
光エネルギーが大きいことを特徴としている。
【0035】第2露光工程における露光は、既に現像
後、或いは、既に形成された色相膜等をマスクとして直
接行われるものであるので、パターンを描くための第1
露光工程の露光より光の照射量を上げても、オーバー露
光となる恐れがない。したがって、第2露光工程の露光
エネルギーを高くして確実に感光性材料の膜厚方向の光
重合反応を達成させることで、よりカラーフィルタの膜
厚を均一にして膜厚差を小さくできる。なお、本発明
は、上記第2露光工程の露光量は、第2露光工程の露光
条件対色相膜が完成した後の本ベーク後の各色相膜の膜
厚の関係から導き出したものであることが好ましい。ま
た、上記各色相膜は順に形成していき、それぞれ現像後
で焼成を行う前に第2露光工程を実施して、色相膜毎に
膜減り率をコントロールすることが好ましい。
【0036】本発明の請求項記載のカラー液晶表示素
子は、請求項1ないし5の何れか1項の製造方法で作製
されたカラーフィルタを備え、ねじれ角が180°〜3
60°の超ねじれネマティック液晶分子配列の液晶パネ
ルからなることを特徴としている。
【0037】請求項1ないし5の何れか1項の製造方法
で作製されたカラーフィルタは、前述したように、膜厚
差0.05μm以下を実現できる。したがって、このよ
うなカラーフィルタを備えた超ねじれネマティック型液
晶表示素子は、コントラスト向上、中間調表示品位向上
が図れ、非常に優れた表示特性、表示品位を有する。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態であるST
N型カラー液晶表示素子を、図1ないし図9に基づいて
説明すれば以下の通りである。
【0039】本STN型カラー液晶表示素子に備えられ
た液晶パネルは、図3に示すように、対向して配された
ガラス等からなる一対の透明基板1・2を有している。
一方の透明基板1の基板対向面に、ブラックマスク層
5、カラーフィルタ層3、オーバーコート層6、表示用
電極7a、および配向膜8aがこの順に形成され、他方
の透明基板2の基板対向面に、表示用電極7b、絶縁膜
9、および配向膜8bがこの順に形成されている。
【0040】上記表示用電極7a・7bは、互いに直交
するストライプパターンを成し、表示用電極7a・7b
の交差部毎に表示の1単位となる画素が形成されてい
る。上記カラーフィルタ層3は、上記の画素毎に対応し
て配置されたR,G,B3色の色相膜からなる。そし
て、このカラーフィルタ層3は、その膜厚が例えば1.
0μm〜1.5μmの間に設定されているとすると、後
述するような製造方法で作製することで、カラーフィル
タ層3完成状態で膜厚差0.1μm程度、オーバーコー
ト層6完成状態で膜厚差0.05μm以下にて作製され
ている。
【0041】上記オーバーコート層6は、カラーフィル
タ層3の表面の凹凸を平滑にしてカラーフィルタ層3の
膜厚差を吸収するためのもので、吸収率は70%程度で
ある。
【0042】上記ブラックマスク層5は、例えばCrや
感光性樹脂遮光材料からなるもので、カラーフィルタ層
3のR,G,Bの色相膜の混色の防止等のために、色相
膜間を仕切るように形成されている。
【0043】上記の透明基板1・2は、基板周辺部に配
されたガラスビーズ11を含有したシール材12とセル
ギャップコントロール用のプラスチックビーズ10を介
して貼り合わされ、シール材12にて囲まれたガラス基
板1・2の間隙には液晶が封入され、液晶層13が形成
されている。
【0044】上記液晶層13の液晶分子は、透明基板1
・2間で180°〜360°のねじれ角で螺旋構造を成
している。そして、このような構成の液晶パネルを挟持
するように、2枚の偏光板(図示せず)が配設されてい
る。
【0045】次に、図1、図2を基にして、上記液晶パ
ネルにおけるカラーフィルタ層3の製造方法を説明す
る。図1(a)〜(m)は、カラーフィルタ層3の各製
造工程を示す断面図であり、図2は、製造フローを示す
工程図である。
【0046】まず、図1(a)に示すように、Cr等の
ブラックマスク5を形成したガラス基板1へ、R,G,
Bのうちの1色、ここではRの顔料を分散したネガ型の
感光性樹脂材料層14rを、スピンコート法、印刷法、
フィルムラミネート法等により所定の膜厚で形成し(図
2のP1)、マスク15rを利用して特定波長のUV光
を表面より所定の個所のみ露光する(本露光:第1露光
工程)(図2のP2)。続いて、図1(b)に示すよう
に、現像してRの感光性樹脂材料層14rを所定の個所
に形成し、まずRの色相膜3rを形成する(図2のP
3)。
【0047】従来方法では、この後、ポストベークを行
うが、本発明では、現像後、図1(c)に示すように、
所定の露光条件にてUV光を照射して、Rの色相膜3r
にポスト露光(第2露光工程)を行う(図2のP4)。
なお、このポスト露光は、Rの色相膜3rの表面側から
でも、裏面側(つまり基板背面側)からでも、さらには
表裏の両面側からでもよい。ただし、裏面側からの露光
の場合、透明基板1を介して行うこととなるため、表側
から行う場合に比べて、露光量をかなり上げる必要があ
る。その点、両面側からの露光とすることで、裏側から
の露光に比べて、露光量を小さくできる。
【0048】こうしてポスト露光が終了すると、図1
(d)に示すように、オーブン等を用いてポストベーク
を行ってRの色相膜3rを熱重合硬化させる(図2のP
5)。次いで、図1(e)に示すように、Rの色相膜3
rが形成された透明基板1の上に残りのG,Bのうちの
1色、ここではG色の顔料を分散したネガ型の感光性樹
脂材料層14gを所定の膜厚で形成し(図2のP6)、
マスク15gを利用して特定波長のUV光を表面より所
定の個所のみ露光し(図2のP7)、図1(f)に示す
ように、現像してGの感光性樹脂材料層14gを所定の
個所に形成し、Gの色相膜3gを形成する(図2のP
8)。
【0049】次いで、図1(g)に示すように、所定の
露光条件にてUV光を照射して、色相膜3gにポスト露
光を行う(図2のP9)。なお、このポスト露光も、G
の色相膜3gの表面側からでも、裏面側からでも、表裏
の両面側からでもよい。その後、図1(h)に示すよう
に、オーブン等を用いてポストベークを行ってGの色相
膜3gを熱重合硬化させる(図2のP10)。
【0050】同様に、図1(i)〜(l)に示すよう
に、B色の顔料を分散したネガ型の感光性樹脂材料層1
4bを所定の膜厚で形成し、マスク15bを用い、残り
のBの色相膜3bを形成する(図2のP11〜P1
5)。そして、最後に、図1(m)に示すように、オー
ブン等を用いて本ベークを行う(図2のP16)。これ
にて、カラーフィルタ層3を形成する。
【0051】このような手順でカラーフィルタ層3を形
成することで、本ベーク終了後のカラーフィルタ層3の
膜厚差を0.1μm以下に制御することが可能となる。
以下、その理由を説明する。ネガ型の感光性樹脂材料を
用いたカラーフィルタ層の製造工程は、通常、本露光→
現像→ポストベークをR,G,Bの色相膜毎に繰り返
し、R,G,Bの色相膜が完成した後、本ベークを行っ
て所定のカラーフィルタ層を形成する。
【0052】図4に、ポストベークおよび本ベークによ
るR,G,Bの色相膜の膜減りの関係を示す。図4から
分かるように、R,G,Bの色相膜は、ポストベークお
よび本ベークによる熱重合反応により膜減りをおこす。
そして、通常、最終段階では重合度の向上(焼き締め)
のため、ポストベーク温度より本ベーク温度の方が高く
設定されているため、膜減りは同図に示すように、2段
階で発生する。
【0053】さらに、ポストベークおよび本ベーク等の
熱重合反応では、モノマーの熱分解と熱重合の競争反応
が起こるため、温度分布ムラがそのまま重合度バラツキ
になり、結果としてカラーフィルタ層の膜厚分布ムラが
発生する。
【0054】図5に、現像後に表面側からポスト露光を
実施した場合と、従来通りのポスト露光を実施しなかっ
た場合の、各カラーフィルタ(CF)層のポストベー
ク、本ベーク完了後の膜厚変化率を示す。膜厚変化率よ
り、膜減り率、およびバラツキ=膜厚分布ムラがわか
る。
【0055】図5から分かるように、現像後に表面側よ
りポスト露光を実施すると、カラーフィルタ層の膜厚方
向の光重合完了領域が広がり、つまりはポストベーク又
は本ベークにおける熱重合反応領域が狭まるため、カラ
ーフィルタ層の膜厚変化率は小さくなり、膜減り率およ
び膜厚分布ムラが低下する。
【0056】このことから、ポスト露光の露光量を調整
することでカラーフィルタ層の膜厚方向の重合完了領域
の広がりをコントロールして膜減り率をコントロール
し、膜厚分布ムラを低下させることが可能となる。
【0057】また、図6(a)〜(d)に示すように、
現像後にポスト露光を実施すると、カラーフィルタ層3
の膜厚方向の光重合反応領域が広がり、ポストベーク後
のドットの変形が緩和され、蒲鉾型形状が緩和される。
したがって、これによっても、膜厚分布ムラを低下させ
ることが可能となる。
【0058】このようなポスト露光による効果は、ポス
ト露光を表面側(表露光)から行っても、裏面側(裏露
光)から行っても、或いは表裏両面側(両面露光)から
行っても、それぞれ膜厚方向に対して有効作用するの
で、同様に得られる。
【0059】但し、表面側からのポスト露光の場合、図
7(a)に示すように、カラーフィルタ層3における透
明基板1側の部分の重合が弱いため、現像がオーバー気
味になると、その後の本ベーク(高温・長時間)時に、
膜垂れが起こってサイドに空気を巻き込んで気泡が発生
する虞れがある。気泡は、以降の工程で破裂するため不
良である。したがって、表面側からのポスト露光は、こ
のような不良を回避するために、現像条件が絞られ、現
像マージンが狭い。
【0060】これに対し、裏面側からのポスト露光の場
合、同図(b)に示すように、透明基板1側の部分の重
合が進んでいるため、現像がオーバー気味になっても、
本ベーク時に膜垂れによる気泡の発生等が起こり難く、
現像マージンが広い。しかしながら、透明基板1を介し
ての露光であるので、必要な露光量が表面側からの露光
に比べて大きく、生産タクトが遅くなる。
【0061】これらに対し、表裏両面側からの露光は、
裏面側のみからの露光よりも露光量を減らすことができ
るので、上記した裏面側からの露光の利点を生かしつ
つ、生産タクトを速くできるといった効果がある。
【0062】さらに、図2のフローでは、R,G,Bの
色相膜3r・3g・3bとも、総て現像後に、ポスト露
光を行うが、最後に形成される色相膜、つまり、ここで
はBの色相膜3bをポスト露光する際は、既に形成され
ているR,Gの色相膜3r・3gがマスクとして作用す
るため、現像前に裏面側より透明基板1を介して行うこ
とも、或いは、本露光(表露光)とポスト露光(裏露
光)を同時に実施することもできる。
【0063】このような手順とすることで、R,Gの色
相膜3r・3gに発生しているピンホール不良を、Bの
色相膜3bの形成と同時にBの感光性樹脂材料層14b
にて埋めて修正でき、良品率の向上が図れる。
【0064】上記したカラーフィルタ層の膜減り率をコ
ントロールするためのポスト露光条件の設定は、図8に
示すような、従来技術による、つまり、ポスト露光を行
わないでR,G,Bの色相膜を形成したときの膜厚変化
を求めると共に、図9に示すような、ポスト露光量をパ
ラメータに、ポスト露光量対本ベーク後のR,G,Bの
色相膜の膜厚の関係を評価する基礎実験を行って実験デ
ータを得て、カラーフィルタ層3におけるR,G,Bの
色相膜3r・3g・3bの膜厚が均一になるように、シ
ミュレートすればよい。
【0065】また、ポスト露光は既に現像後であるの
で、本露光の露光量(露光エネルギー)よりUV光の照
射量を上げても、オーバー露光となる恐れがない。した
がって、ポスト露光にて確実にカラーフィルタ層3の膜
厚方向の光重合反応を達成させるためにも、本露光の露
光量より大きな露光量とすることが好ましい。
【0066】このように、本STN型カラー液晶表示素
子では、カラーフィルタ層3のR,G,Bの色相膜3r
・3g・3bを順に形成していく際に、それぞれ現像
後、ポストベークを行う前にポスト露光を実施して、各
色相膜毎に膜減り率をコントロールしている。
【0067】これにより、R,G,Bの色相膜3r・3
g・3b間の膜厚分布ムラが低く、カラーフィルタ層3
の膜厚が1.0〜1.5μmの場合、膜厚差を0.1μ
m以下の精度で形成でき、オーバーコート処理後の膜厚
差を0.05μm以下にできる。その結果、セルギャッ
プ制御の難しいSTN型においても、コントラストが高
く、中間調表示品位の向上を実現し得る。
【0068】
【実施例】〔実施例1〕図10に、本発明の第1実施例
のSTN型カラー液晶表示素子のカラーフィルタ層の製
造フローを示す。このような工程で製造されたカラーフ
ィルタ層3のR,G,Bの色相膜3r・3g・3bのド
ット形状を図11に示す。
【0069】前述の図1を参照して説明すると、Cr等
の金属をマトリクス状に形成したブラックマスク層5を
配したガラスからなる透明基板1に、富士フィルム製の
UV吸収材を含有したネガ型の感光性樹脂材料フィルム
を使用して、初期膜厚1.90μmのRの色相膜3r
を、初期膜厚1.95μmのGの色相膜3gを、初期膜
厚2.10μmのBの色相膜3bを、フィルムラミネー
ト法により、表1に示す条件で形成した。表1中のI線
とは、波長365nmのUV光のことである。
【0070】
【表1】
【0071】なお、ポスト露光の条件は図8の従来技術
でカラーフィルタ層を作製した場合の現像完了後の各色
相膜の膜厚と、図9のポスト露光条件をパラメータに、
ポスト露光条件vs仕上がり膜厚の関係を評価した基礎
実験からのデータより、R,G,Bの色相膜3r・3g
・3bの各膜厚が均一になるように(この場合1.7μ
mでR,G,Bの色相膜3r・3g・3bの膜厚が揃う
条件にした)導き出したシミュレーション値である。こ
こでは、R,G,Bの3種類とも、ポスト露光は表面か
らの表露光とした。
【0072】この条件で作製したカラーフィルタ層3の
表面を表面粗さ計で6ポイント測定すると、表2のよう
になった。
【0073】
【表2】
【0074】そして、さらにオーバーコート層6を形成
し、その表面を、図12に示すように、表面粗さ計で1
基板当たり5ポイントとして4基板、計20ポイント測
定し、Rの色相膜3rの高さを基準に、G−R,B−R
の膜厚差としてデータを集計し、平均値、最大値、最小
値を求めると、表3のようになった。
【0075】
【表3】
【0076】表3より、平均値は0.01μm以内、バ
ラツキ(MAX−MIN)も0.05μm程度と極めて
精度良く仕上がることが確認できた。
【0077】また、この条件で作製したカラーフィルタ
層3を用いて、図3に示すようなSTN型のカラー液晶
表示素子を作製し、光学特性を確認すると、コントラス
トは40:1で従来品より約10〜15%向上した。ま
た、表示品位も面内のカラーフィルタ層3の膜厚のバラ
ツキが少ない分、特に中間調表示において均一な表示品
位を達成し、特に今後のSTN型カラー液晶表示素子で
重要な高速応答タイプ(セル厚5μm以下)においても
均一な表示品位を達成できた。
【0078】〔実施例2〕図13に、本発明の第2実施
例のSTN型カラー液晶表示素子のカラーフィルタ層の
製造フローを示す。このような工程で製造されたカラー
フィルタ層3のR,G,Bの色相膜3r・3g・3bの
ドット形状を図14に示す。
【0079】ここでは、実施例1と同様の基板、R,
G,Bフィルムを用意し、表4に示す条件でカラーフィ
ルタ層3を形成した。なお、ポスト露光の条件は実施例
1と同様、基礎実験から求めたが、ここでは裏露光とし
た。裏露光の場合、透明基板であるガラスが存在するの
で、実施例1の表露光に比べるとかなり露光量が上が
る。また、最後に形成されるBの色相膜3bについての
み、現像前にポスト露光を行った。R,G,Bの色相膜
3r・3g・3bは、UV吸収材を含有しているので、
最終色相のBの色相膜3bを形成するためのポスト露光
は、現像前に実施できる。
【0080】
【表4】
【0081】この条件で作製したカラーフィルタ層3の
表面を実施例1と同様に表面粗さ計で6ポイント測定す
ると、表5のようになった。
【0082】
【表5】
【0083】そして、さらにオーバーコート層6を形成
し、その表面を、表面粗さ計で1基板当たり5ポイント
・4基板、計20ポイント測定し、Rの色相膜3rの高
さを基準に、G−R,B−Rの膜厚差としてデータを集
計し、平均値、最大値、最小値を求めると、表6のよう
になった。
【0084】
【表6】
【0085】表6より、平均値は0.01μm以内、バ
ラツキ(MAX−MIN)も0.05μm程度と極めて
精度良く仕上がることが確認できた。
【0086】また、この条件で作製したカラーフィルタ
層3を用いて、図3に示すようなSTN型のカラー液晶
表示素子を作製した結果、実施例1と同様の特性、品位
を達成することができた。また、上記の手順とすること
で、R,Gの色相膜3r・3gで発生したピンホール不
良をBの樹脂材料で埋めて修正することが併用して可能
となり、良品率も向上した。
【0087】なお、R,Gの色相膜3r・3gの形成に
おいても、各々の本露光に用いたと同じマスクを用いる
ことで、現像前に裏露光することは可能である。
【0088】〔実施例3〕図15に、本発明の第3実施
例のSTN型カラー液晶表示素子のカラーフィルタ層の
製造フローを示す。このような工程で製造されたカラー
フィルタ層3のR,G,Bの色相膜3r・3g・3bの
ドット形状を図16に示す。
【0089】ここでは、実施例1と同様の基板、R,
G,Bフィルムを用意し、表7に示す条件でカラーフィ
ルタ層3を形成した。なお、ポスト露光の条件は実施例
1と同様、基礎実験から求めた。R,Gの色相膜3r・
3gの形成は現像後、ポスト露光を表露光で行い、Bの
色相膜3bのみ、本露光とポスト露光とを同時に実施し
た。
【0090】
【表7】
【0091】この条件で作製したカラーフィルタ層3の
表面を実施例1と同様に表面粗さ計で6ポイント測定す
ると、表8のようになった。
【0092】
【表8】
【0093】そして、さらにオーバーコート層6を形成
し、その表面を、表面粗さ計で1基板当たり5ポイント
・4基板、計20ポイント測定し、Rの色相膜3rの高
さを基準に、G−R,B−Rの膜厚差としてデータを集
計し、平均値、最大値、最小値を求めると、表9のよう
になった。
【0094】
【表9】
【0095】表9より、平均値は0.01μm以内、バ
ラツキ(MAX−MIN)も0.05μm程度と極めて
精度良く仕上がることが確認できた。また、この条件で
作製したカラーフィルタ層3を用いて、図3に示すよう
なSTN型のカラー液晶表示素子を作製した結果、実施
例1と同様の特性、品位を達成することができた。
【0096】これにおいても、実施例2と同様に、R,
Gの色相膜3r・3gで発生したピンホール不良をBの
樹脂材料で埋めて修正することが併用して可能となり、
良品率も向上した。
【0097】〔比較例1〕比較のために、ポスト露光を
行わない以外は、実施例1と同じ条件で、カラーフィル
タ層を作製した。図17に、比較例のカラーフィルタ層
のR,G,Bの色相膜37r・37g・37bのドット
形状を示す。
【0098】また、表10に作製条件を示す。
【0099】
【表10】
【0100】この条件で作製したカラーフィルタ層の表
面を実施例1と同様に表面粗さ計で6ポイント測定する
と、表11のようになった。
【0101】
【表11】
【0102】そして、さらにオーバーコート層を形成
し、その表面を、表面粗さ計で1基板当たり5ポイント
ー4基板、計20ポイント測定し、Rの色相膜37rの
高さを基準に、G−R,B−Rの膜厚差としてデータを
集計し、平均値、最大値、最小値を求めると、表12の
ようになった。
【0103】
【表12】
【0104】表12より、平均値は0.1μmを超え、
バラツキ(MAX−MIN)も0.2μm程度と本発明
を利用して作製したカラーフィルタ層3より悪いことが
確認できた。
【0105】また、この条件で作製したカラーフィルタ
層を用いて、図3に示すようなSTN型のカラー液晶表
示素子を作製して光学特性を確認すると、コントラスト
は35:1であった。また表示品位も面内のカラーフィ
ルタ層膜厚のバラツキが大きいため、特に中間調表示に
おいて赤ほい個所、緑ほい個所、青ほい個所等不均一で
あった。さらに、高速応答タイプ(セル厚5μm以下)
のSTN液晶表示素子を作製した場合、中間調の不均一
差が顕著になった。
【0106】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のカラーフィルタ
の製造方法は、各色相膜の作製工程に、現像前に上記感
光性材料を表面側から露光し、該感光性材料にパターン
を描く第1露光工程と、現像後で上記感光性材料を焼成
する前に、該感光性材料を再び露光する第2露光工程
と、第2露光工程後に感光性材料を焼成して硬化させる
ベーク工程と、を含み、上記第2露光工程での露光量を
調節することで、焼成後の各色相膜の膜厚が均一となる
ように、上記感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合完了領
域の広がりをコントロールするものである。
【0107】これにより、平滑なカラーフィルタを製造
することが可能となるため、このような製造方法で超ネ
ジレネマティック型の液晶表示素子のカラーフィルタを
作製することで、セルギャップが均一になり、コントラ
スト向上、中間調表示品位向上が図れ、表示特性、表示
品位の向上が図れるという効果を奏する。
【0108】本発明の請求項2記載のカラーフィルタの
製造方法は、各色相膜の作製工程に、現像前に上記感光
性材料を表面側から露光し、該感光性材料にパターンを
描く第1露光工程と、第1露光工程後、上記感光性材料
を焼成する前に、該感光性材料を再び露光する第2露光
工程と、感光性材料を焼成して硬化させるベーク工程
と、を含み、このうち、最後に形成される色相膜以外の
色相膜の作製工程における第2露光工程は、現像後に表
面側或いは透明基板の背面側から露光し、最後に形成さ
れる色相膜の作製工程における第2露光工程のみ、現像
前に透明基板の背面から露光し、上記第2露光工程での
露光量を調節することで、焼成後の各色相膜の膜厚が均
一となるように、上記感光性樹脂材料の膜厚方向の光重
合完了領域の広がりをコントロールするするものであ
る。
【0109】これにより、請求項1に記載した効果に加
えて、既に形成した色相膜に発生しているピンホール不
良を、最後の色相膜の形成と同時に最後の色相膜を形成
するための感光性材料にて修正できるため、良品率の向
上も図れるといった効果を奏する。
【0110】本発明の請求項3記載のカラーフィルタの
製造方法は、請求項1又は2の構成において、第1露光
工程よりも第2露光工程の方が、感光性材料が受ける露
光エネルギーが大きいものである。
【0111】これにより、請求項1、2の方法で得るカ
ラーフィルタよりもさらに平滑なものを得ることがで
き、その結果、このような製造方法で超ネジレネマティ
ック型の液晶表示素子のカラーフィルタを作製すること
で、セルギャップがさらに均一になり、コントラスト向
上、中間調表示品位向上が図れ、表示特性、表示品位の
さらなる向上が図れるという効果を奏する。また、上記
第2露光工程の露光量は、第2露光工程の露光条件対色
相膜が完成した後の本ベーク後の各色相膜の膜厚の関係
から導き出したものである。また、上記各色相膜は順に
形成していき、それぞれ現像後で焼成を行う前に第2露
光工程を実施して、色相膜毎に膜減り率をコントロール
するものである。これにより、平坦なカラーフィルタを
製造することができる。
【0112】本発明の請求項記載のカラー液晶表示素
子は、請求項1ないし5の何れか1項の製造方法で作製
されたカラーフィルタを備え、ねじれ角が180°〜3
60°の超ねじれネマティック液晶分子配列の液晶パネ
ルからなる構成である。
【0113】請求項項1ないし5の何れか1項の製造方
法で作製されたカラーフィルタは、非常に平滑であるた
め、このようなカラーフィルタを備えた超ねじれネマテ
ィック型液晶表示素子は、コントラスト向上、中間調表
示品位向上が図れ、非常に優れた表示特性、表示品位を
有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(m)は、本発明の一実施形態のカラ
ー液晶表示素子における、カラーフィルタ層の製造工程
を示す断面図である。
【図2】カラーフィルタ層の製造フローを示す工程図で
ある。
【図3】カラー液晶表示素子の断面図である。
【図4】カラーフィルタ層形成工程順の膜厚変化を示す
グラフである。
【図5】ポスト露光を実施した場合と実施しなかった場
合とで、カラーフィルタ層形成工程における膜厚変化率
を比較して示すグラフである。
【図6】(a)〜(d)は、ポスト露光を実施するカラ
ーフィルタ層形成工程での形状変化を示す説明図であ
る。
【図7】(a)(b)共に、オーバー現像となった場合の
本ベーク後のカラーフィルタ層の色相膜の形状を示す説
明図である。
【図8】ポスト露光を実施しなかった場合の、カラーフ
ィルタ層の現像完了時から本ベーク完了時までの膜厚変
化を示すグラフである。
【図9】ポスト露光量をパラメータにした時の本ベーク
終了時の膜厚を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施例である実施例1のカラーフ
ィルタ層の製造フローを示す工程図である。
【図11】実施例1のカラーフィルタ層の形状を示す説
明図である。
【図12】カラーフィルタ層の表面を表面粗さ計で測定
する測定ポイントを示す説明図である。
【図13】本発明の一実施例である実施例2のカラーフ
ィルタ層の製造フローを示す工程図である。
【図14】実施例2のカラーフィルタ層の形状を示す説
明図である。
【図15】本発明の一実施例である実施例3のカラーフ
ィルタ層の製造フローを示す工程図である。
【図16】実施例3のカラーフィルタ層の形状を示す説
明図である。
【図17】本発明の比較例のカラーフィルタ層の形状を
示す説明図である。
【図18】(a)〜(d)は、従来技術によるカラーフ
ィルタ層の製造工程を示す断面図である。
【図19】(a)〜(c)は、従来技術によるカラーフ
ィルタ層形成工程での形状変化を示す説明図である。
【図20】STN型液晶表示素子におけるセルギャップ
とコントラストの関係を示すグラフである。
【図21】(a)(b)共に、STN型液晶表示素子にお
ける、R,G,Bの色相膜の膜厚差(オーバーコート処
理後)と表示品位の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1,2 透明基板 3 カラーフィルタ層(カラーフィルタ) 3r Rの色相膜 3g Gの色相膜 3b Bの色相膜 13 液晶層 14r Rの感光性樹脂材料層(感光性材料) 14g Gの感光性樹脂材料層(感光性材料) 14b Bの感光性樹脂材料層(感光性材料)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/20 101 G02F 1/1335 505

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ネガ型の感光性材料を用いて形成され、少
    なくとも2色以上の色相膜を有するカラーフィルタの製
    造方法において、 各色相膜の作製工程に、 現像前に上記感光性材料を表面側から露光し、該感光性
    材料にパターンを描く第1露光工程と、 現像後で上記感光性材料を焼成する前に、該感光性材料
    を再び露光する第2露光工程と、 第2露光工程後に感光性材料を焼成して硬化させるベー
    ク工程と、を含み、上記各色相膜は順に形成していき、 上記第2露光工程で
    の露光量を調節して色相膜毎に膜減り率をコントロール
    することで、焼成後の各色相膜の膜厚が均一となるよう
    に、上記感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合完了領域の
    広がりをコントロールすることを特徴とするカラーフィ
    ルタの製造方法。
  2. 【請求項2】ネガ型の感光性材料を用いて形成され、少
    なくとも2色以上の色相膜を有するカラーフィルタの製
    造方法において、 各色相膜の作製工程に、 現像前に上記感光性材料を表面側から露光し、該感光性
    材料にパターンを描く第1露光工程と、 第1露光工程後、上記感光性材料を焼成する前に、該感
    光性材料を再び露光する第2露光工程と、 感光性材料を焼成して硬化させるベーク工程と、を含
    み、 このうち、最後に形成される色相膜以外の色相膜の作製
    工程における第2露光工程は、現像後に表面側或いは透
    明基板の背面側から露光し、最後に形成される色相膜の
    作製工程における第2露光工程のみ、現像前に透明基板
    の背面側から露光し、上記各色相膜は順に形成していき、 上記第2露光工程で
    の露光量を調節して色相膜毎に膜減り率をコントロール
    することで、焼成後の各色相膜の膜厚が均一となるよう
    に、上記感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合完了領域の
    広がりをコントロールすることを特徴とするカラーフィ
    ルタの製造方法。
  3. 【請求項3】第1露光工程よりも第2露光工程の方が、
    感光性材料が受ける露光エネルギーが大きいことを特徴
    とする請求項1または2記載のカラーフィルタの製造方
    法。
  4. 【請求項4】上記第2露光工程の露光量は、第2露光工
    程の露光条件対色相膜が完成した後の本ベーク後の各色
    相膜の膜厚の関係から導き出したものであることを特徴
    とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のカラーフ
    ィルタの製造方法。
  5. 【請求項5】ネガ型の感光性材料を用いて形成され、少
    なくとも2色以上の色相膜を有するカラーフィルタの製
    造方法において、 各色相膜の作製工程に、 現像前に上記感光性材料を表面側から露光し、該感光性
    材料にパターンを描く第1露光工程と、 現像後で上記感光性材料を焼成する前に、該感光性材料
    を再び露光する第2露光工程と、 第2露光工程後に感光性材料を焼成して硬化させるベー
    ク工程と、を含み、感光性材料の初期膜厚と、第2露光工程を行わないで色
    相膜を形成したときの、色相膜が完成した後の本べーク
    後の色相膜の膜厚と、第2露光工程の露光量対色相膜が
    完成した後の本べーク後の色相膜の膜厚の関係を評価す
    る実験のデータとから、各色相膜の膜厚が均一になるよ
    うに導き出された露光量に、 上記第2露光工程での露光
    量を調節することで、焼成後の各色相膜の膜厚が均一と
    なるように、上記感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合完
    了領域の広がりをコントロールすることを特徴とするカ
    ラーフィルタの製造方法。
  6. 【請求項6】ネガ型の感光性材料を用いて形成され、少
    なくとも2色以上の色相膜を有するカラーフィルタの製
    造方法において、 各色相膜の作製工程に、 現像前に上記感光性材料を表面側から露光し、該感光性
    材料にパターンを描く第1露光工程と、 第1露光工程後、上記感光性材料を焼成する前に、該感
    光性材料を再び露光する第2露光工程と、 感光性材料を焼成して硬化させるベーク工程と、を含
    み、 このうち、最後に形成される色相膜以外の色相膜の作製
    工程における第2露光工程は、現像後に表面側或いは透
    明基板の背面側から露光し、最後に形成される色相膜の
    作製工程における第2露光工程のみ、現像前に透明基板
    の背面側から露光し、感光性材料の初期膜厚と、第2露光工程を行わないで色
    相膜を形成したときの、色相膜が完成した後の本べーク
    後の色相膜の膜厚と、第2露光工程の露光量対色相膜が
    完成した後の本べーク後の色相膜の膜厚の関係を評価す
    る実験のデータとから、各色相膜の膜厚が均一になるよ
    うに導き出された露光量に、 上記第2露光工程での露光
    量を調節することで、焼成後の各色相膜の膜厚が均一と
    なるように、上記感光性樹脂材料の膜厚方向の光重合完
    了領域の広がりをコントロールすることを特徴とするカ
    ラーフィルタの製造方法。
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