JP3532234B2 - 楽器および楽器の部品の製造方法 - Google Patents

楽器および楽器の部品の製造方法

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透 安川
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株式会社ドルチェ楽器
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主としてフルート、サキ
ソフォン、トランペット、ホルン等の金属製楽器の製造
方法に関するもので、特に音色の良好な楽器の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、楽器の製造方法としては、例えば
フルートの場合には、金属管に孔をあけバルブを取り付
けることによって行われていた。また、サキソフォンの
場合には、真鍮板を叩いて曲げ加工し、所定の形状に成
形し、バルブ等を取り付けることによって製品化されて
いた。即ち金属単体もしくは金属と他素材よりなる楽器
の未成形体を各楽器の機能に応じた形状、寸法に成形、
加工することによって所定の楽器が製造され、従来では
そのまま最終製品として出荷されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、金属製楽器
は製造から100年あるいは200年と言った長時間を
経ると、なめらかな音色を発することが経験的に知られ
ている。この理由について種々検討してみたが、明確な
決め手がないまま現在に至っている状態である。
【0004】しかし楽器演奏者、楽器製造業者にとって
は、楽器の音色の良否は重要な問題であり、少しでも良
質の音を発する楽器の開発が強く望まれていた。
【0005】本発明は上記した楽器演奏者等の長年の要
望にこたえ、楽器の音色を良好ならしめると共に、楽器
の良好さを長期にわたって維持できる楽器および楽器の
部品の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した古い楽器は音色
がなめらかであるという事実から、本発明者は楽器の金
属組成に何らかの微妙な変化が起こっているものと予想
した。そして、各種の楽器を種々の環境下に置き、音色
の変化を丹念に調査した。その結果、楽器を極低温下に
一定時間放置すると、楽器の音色に変化が認められるこ
とが判明した。
【0007】本発明は上記した知見に基づくものであ
り、その特徴は、金属単独もしくは金属と他素材よりな
る楽器の製造方法において、所定形状に成形した楽器を
氷点下20℃以下の環境下で冷却する楽器の製造方法で
ある。また同様の目的を達成するためのもう一つの発明
は、金属単独もしくは金属と他素材よりなる楽器の部品
の製造方法において、所定形状に成形した楽器の部品を
氷点下20℃以下の環境下で冷却することを特徴とする
楽器の部品の製造方法である。
【0008】
【作用】本発明の楽器および楽器の製造方法は、上記し
たように、楽器等を成形後に低温下に置くものである。
このように楽器を一定時間低温で冷却することによっ
て、楽器の構成部材の金属組成に何らかの変化が生じ、
音色が極めて滑らかなものとなる。
【0009】尚ここで本発明の楽器の製造方法は、主と
してフルート、サキソフォン、トランペットなどの金属
製楽器に適用されるが、その他ピアノ、ギター、バンジ
ョーなどの金属製弦にも応用可能である。またハーモニ
カ等の金属と他の素材との組み合わせによって構成され
る楽器にも適用の可能性がある。
【0010】
【実施例】次に本発明の具体的実施例について説明す
る。本発明の楽器の製造方法によって、フルートを製造
する場合の工程は、次の通りである。まず通常の製造工
程によって、フルートを成形する。より詳細には、金属
管を所定の形状に加工し、バルブ等を取り付け、吹奏可
能な状態のフルートを成形する。
【0011】そして上記したフルートを一定時間以上、
低温下に置く。低温下に置く際のフルートの形態は、管
体を繋いだ状態でも良く、頭部管、胴部管、足部管の3
者に分割した状態でもよい。フルートの雰囲気温度は、
少なくとも氷点下20°Cよりも低い温度であることが
望ましい。またより好ましくは、氷点下20°C以下の
温度であり、実用的に推奨される温度は、氷点下70°
C前後である。フルートを低温下に置く時間は、24時
間程度で充分な効果が認められる。
【0012】また本発明の楽器の製造方法によってサキ
ソフォン、トランペット等を製造する場合も同様であ
り、公知の手段によって、吹奏可能な状態まで楽器を成
形し、低温下に置く。この時マウスピースは、付けたま
までも良く、逆にマウスピースが無い状態のサキソフォ
ン等を低温下に置く場合もある。
【0013】以上の実施例は、完成された楽器そのもの
を低温下に置く場合を説明したが、例えば、楽器の一部
や部品だけを取り出して、低温下に置いても、相当の効
果が期待できる。この様な楽器の一部や部品を低温下に
置く場合の例としては、前述のフルートの頭部管、胴部
管等の分割された一部や、トロンボーンの先端側の部
分、トランペット等のマウスピース、ピストン、バル
ブ、弦楽器の弦、鍵盤楽器の弦、パイプオルガンのパイ
プ、ハーモニカのリード部等がある。また楽器の一部や
部品を所定の形状に成形し、それを一定時間以上低温下
に置き、楽器の一部や、部品を単体として製造し、当該
部品を他の部品と組み合わせて、最終的な楽器を製造す
る場合もある。この場合の他の部品は本発明の楽器の部
品の製造方法によって作られたものであることが望まし
いが、もちろん従来技術の方法によるものでもよい。
【0014】
【実験】以下本発明の効果を確認するために行った実験
について説明する。尚以下の実験における音色、吹奏感
の検定は、いずれも複数の職業演奏者による、官能試験
によって行ったものである。
【0015】(実験1) 所定の形状に成形され、バルブ等の部品が全て取り付け
られて、吹奏可能な状態にあるフルート2本を、冷蔵庫
内に入れ、24時間放置した。その時の庫内温度は、約
氷点下70°Cであった。低温下に置いたフルートはい
ずれも、三響フルート社製造の銀製フルートであり、管
体の肉厚は、0.38mmである。
【0016】本実施例によって低温下に置いた2本のフ
ルートと、常温下にあった同社製のフルートを吹き比べ
てみたところ、両者の音色には、明らかな相違があり、
本実施例のフルートは、いずれも音色が極めて滑らかな
ものであった。また本実施例のフルートは、極めて吹き
やすく、奏者に心地よい吹奏感を与えるものであった。
以上の実験により、本発明の楽器の製造方法によって製
造された楽器が、音色および、吹奏感に優れるものであ
ることが理解できる。
【0017】(実験2) フルートを冷却する最適温度を知るため、前述の三響フ
ルート社製造の銀製フルートを氷点下10乃至20℃の
冷蔵庫内に入れ、24時間放置した。そして取り出した
フルートと、前述の実験1で製造した氷点下70°Cに
置いたフルート、および常温下にあった同社製のフルー
ト吹き比べた。その結果、氷点下70°Cに置いたフル
ートは、常温下にあった同社製のフルートに比べて前述
のように顕著な音色の変化があったものの、氷点下10
乃至20℃の冷蔵庫内に入れていたフルートの音色に
は、何らの変化も認められなかった。本実験により、フ
ルートの雰囲気温度は、低い程好ましい結果が得られる
ことが理解できる。
【0018】(実験3) 吹奏可能な状態に成形された金製のフルート(三響フル
ート社製造)を約氷点下70°Cの冷蔵庫内に入れ、2
4時間放置した。24時間経過後、当該金製フルートを
取り出し、当該フルートと、同社製の常温下にあった金
製フルートを吹き比べた。その結果両者に音色の相違は
認められなかった。本実施例により、本発明の楽器の製
造方法は、楽器の素材によって効果が相違し、銀製の楽
器については、特に効果的であることが理解できる。
【0019】(実験4) 所定の形状に成形され、吹奏可能な状態にあるトロンボ
ーンを、冷蔵庫内に入れ、24時間放置した。その時の
庫内温度は、実験1同様に約氷点下70°Cであった。
低温下に置いたトロンボーンはいずれも、コーン社製造
のものを利用した。本実施例によって低温下に置いたト
ロンボーンと、常温下にあった同社製のトロンボーンを
吹き比べてみたところ、両者の音色には、明らかな相違
があり、本実施例のトロンボーンは、音色が極めて滑ら
かであり、且つ極めて吹きやすく、奏者に心地よい吹奏
感を与えるものであった。
【0020】以上の実験により、本発明の楽器の製造方
法は、トロンボーンの様な、金属板を叩いて成形した楽
器にも応用することができることが理解できる。また本
実験により、本発明の楽器の製造方法は、真鍮製の楽器
にも効果があることが理解できる。
【0021】(実験5) 所定の形状に成形され、吹奏可能な状態にあるトランペ
ットを、冷蔵庫内に入れ、24時間放置した。その時の
庫内温度は、約氷点下70°Cであった。トランペット
は、ビンセントバック社製造のものを利用した。使用し
たトランペットは、真鍮製であり、肉厚は、0.56m
mであった。本実施例によって低温下に置いたトランペ
ットと、常温下にあった同社製のトランペットを吹き比
べてみたところ、両者の音色には、明らかな相違があ
り、本実施例のトランペットは、音色が極めて滑らかで
あり、且つ極めて吹きやすく、奏者に心地よい吹奏感を
与えるものであった。また同一の条件下で、6本のトラ
ンペットについて繰り返し実験を行ったが、いずれのト
ランペットも、常温下にあった同社製のトランペットと
は、明らかに音色が異なるものであった。
【0022】(実験6) 同じくビンセントバック社製造のトランペットを氷点下
10乃至20℃の冷蔵庫内に入れ、24時間放置した。
そして取り出したトランペットと、常温下にあった同社
製のトランペット吹き比べてみたが、両者の間に音色の
相違は認められなかった。同一の実験を3本のトランペ
ットについて行ってみたが、結果はいずれも同一であっ
た。
【0023】(実験7) 実験1、4,5と同一の条件下で、アレキサンダー社製
の真鍮製ホルンを低温雰囲気中に置き、効果を確認し
た。その結果、ホルンについても、音色が滑らかで吹奏
感が向上することが確認された。以上述べた実験1乃至
実験7から、本発明の楽器製造方法は、広範な種類の楽
器に適用可能であることが理解できる。
【0024】(実験8) 上述の実験1で得られたフルート、実験4で得られたト
ロンボーン、実験5で得られたトランペット、実験7で
得られたホルンについて、音色および吹奏感の経時変化
を3か月に渡って調査した。その結果上記の楽器は、い
ずれも調査期間中に音色および吹奏感の劣化は認められ
なかった。
【0025】
【発明の効果】本発明は主として、成形、加工した金属
製楽器を更に低温で一定時間冷却した楽器の製造方法で
あって、かくして得られた楽器は、古い楽器と同様に吹
奏感、音色が良好で、極めて顕著な音色向上効果を有し
ている。
【0026】更に本発明によって得られた楽器は、音色
等の経時変化がなく、長期にわたって良好な音色を維持
できる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属単独もしくは金属と他素材よりなる
    楽器の製造方法において、所定形状に成形した楽器を
    点下20℃以下の環境下で冷却することを特徴とする楽
    器の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属単独もしくは金属と他素材よりなる
    楽器の部品の製造方法において、所定形状に成形した楽
    器の部品を氷点下20℃以下の環境下で冷却することを
    特徴とする楽器の部品の製造方法。
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