JP3528074B2 - ヘッドサスペンション - Google Patents

ヘッドサスペンション

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JP3528074B2
JP3528074B2 JP16661297A JP16661297A JP3528074B2 JP 3528074 B2 JP3528074 B2 JP 3528074B2 JP 16661297 A JP16661297 A JP 16661297A JP 16661297 A JP16661297 A JP 16661297A JP 3528074 B2 JP3528074 B2 JP 3528074B2
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)
  • Supporting Of Heads In Record-Carrier Devices (AREA)
  • Moving Of Heads (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ハードディスク
ドライブ(rigid disk drive)、またはこれに類似する
ダイナミックドライブ内部で、ヘッドスライダーを支持
するためのヘッドサスペンションに関する。本発明につ
いてさらに詳述すると、特性に影響する負荷(荷重)を
改善するための、弾性部(spring region )若しくは半
径部(radius region )に関する。特に、グラム荷重
(gram loading)に起因する共振特性を改善し(decoup
ling the effectx of resonance performance )、ま
た、バックベンディング(back bending)に起因する負
荷損失を減少させることにある。
【0002】
【従来の技術】例えば、ハードディスクに用いられるデ
ィスクのごとき記録媒体に対して、データの読み取り、
書き込みを行うヘッド(磁気ヘッド)等の情報保存手段
において、前記ディスクドライブの操作に伴い、前記ヘ
ッドを所定の場所若しくは所定のトラックに移動させる
ためのアクチュエータが用いられている。そして直線作
動および回転作動アクチュエータは、ヘッドの駆動源と
して用いられていることが知られている。ところで、ヘ
ッドサスペンションは、前記アクチュエータとヘッドと
の間に配置され、該ヘッドがディスク表面に対し最適の
向きをなすように支持するものである。
【0003】ヘッドサスペンションは、ハードディスク
ドライブ内で、回転中のハードディスクに対し、読み取
り、書き込みヘッドを浮動支持するべく設けられてい
る。特に、前記ヘッドは、回転するハードディスクによ
って形成される空気層(air bearing )の上を浮動する
ために、空力特性に優れた形状をなすスライダー上に設
けられていることが一般的である。そして、所望の浮動
高さを確保するために、前記ヘッドサスペンションに
は、空気力学的浮力を相殺するためのバネ力が付勢され
ている。
【0004】ハードディスクに用いられる形式のヘッド
サスペンションは、負荷ビームと、スライダーがマウン
トされるたわみ部とを有している。前記負荷ビームは、
アクチュエータに対するマウント部、剛性部とを有し、
かつ、前記バネ力を発生させるための前記マウント部と
剛性部とを接続する弾性部を有している。該弾性部は負
荷ビームの先端部に設けられ、かつ、該弾性部には、前
記スライダーがディスク表面のうねりに柔軟に対応する
ため、ピッチ方向およびロール方向の動きを許容するよ
うにマウントされている。また、前記弾性部は前記負荷
ビームと一体的形状をなし、かつ、負荷ビームの剛性部
に固定された単体部品であることが知られている。
【0005】さて、スライダーにかかる空気力学的浮力
を相殺する目的で、前記負荷ビームの剛性部に弾性力を
付勢するために、該負荷ビームの弾性部には湾曲または
角度付与がなされている。この角度付与が負荷ビームの
弾性力を生み出すので、スライダーに対する所望のグラ
ム荷重を与えるためのオフセット高さを予め設定する。
ところで、該オフセット高さとは、ヘッドサスペンショ
ンと「浮動」高さにあるスライダーとの距離寸法を意味
する。内部にディスクを包含するための空間を有するド
ライバーの形状は、予め設定されるオフセット高さの一
要素である。ともかくも、ディスク表面に対するスライ
ダーの「浮動」高さを確保するために、前記オフセット
高さに基づくグラム荷重によって、前記空気力学的浮力
を相殺する力を与えることができる。なお、以下の説明
において、「負荷状態の」ヘッドサスペンションという
用語は、スライダーが、「浮動」高さにありかつ空気力
学的浮力およびこれに対抗する弾性力の影響を共に受け
て均衡した状態の、ヘッドサスペンションを意味する。
【0006】前記弾性部に設けられた半径部は、荷重を
左右するばかりか、ヘッドサスペンションのねじり共振
特性を決定する上で、大きな影響を及ぼすものである。
ところで、ヘッドサスペンションの共振周波数を巧く制
御しないと、オフトラックエラー(off-track error )
を拾うようなディスクドライブとなってしまう。そこ
で、ヘッドサスペンションは、横曲げモード(a latera
l bending mode)およびねじりモード(torsional mod
e)の双方を含む共振周波数を最適化する能力を備える
ように、設計されている。さらに、ヘッドサスペンショ
ンは、共振周波数に起因する振動の減少または除去を目
的とする設計基準に基づき設計される。また、ヘッドサ
スペンションは、ディスクドライブアプリケーションの
振動よりも幾らか高い共振周波数を生ずるように設計さ
れている。
【0007】ヘッドサスペンションの長手方向に関する
形状解析によると、後述のように、負荷状態にあるヘッ
ドサスペンションの「外形状」は、ねじりモードを原因
とするオフトラック動作に大きく影響するものである。
したがって、この外形状をコントロールすることによ
り、ヘッドサスペンションにおけるねじり共振周波数を
最適化することができる。この外形状は、負荷ビームの
弾性部における半径領域の形状寸法によって自在にコン
トロールすることができる。この、負荷ビームの弾性部
の形状選択により、ヘッドサスペンションの外形状を最
適化する手法については、ハーゲンによる米国特許5,6
5,268号、ハッチによる米国特許5,471,734号に開示され
ている。さらに、これら参考文献には、弾性部を適切な
「浮動」高さに設定するために、前記弾性部によって所
望の負荷を発生させることが必要不可欠であることが述
べられており、最適の共振特性を得るために半径部およ
び弾性部を適切に設計する手段が開示されている。した
がって、弾性部における半径を様々に変更することによ
る負荷値の変更は、ヘッドサスペンションの外形状およ
びそのねじり共振特性を変更することになる。さらにこ
の変更が、弾性部により発生する負荷に対する、ねじり
共振特性の影響を最適化することになる。
【0008】ヘッドサスペンションは、ディスクドライ
ブ内における様々な使用条件(particular applicatio
n)において、所望の仕様に沿って作動するように設計
されかつ製造される。ここで云う仕様には、ディスク間
の距離(複数内蔵する場合)、保存密度、ディスクの大
きさ等により決定される性能特性と直結する、所望の浮
動高さを確保するために必要な負荷の値が含まれる。よ
って、与えられた前記負荷の値によって、ヘッドサスペ
ンションにおけるねじり共振が性能に与える影響を最小
化し、性能の最適化を図ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非常に
小さな寸法公差に基づきヘッドサスペンションを製造し
ても、使用環境への取付精度等、その他の要因がヘッド
サスペンションの最終的な性能を左右する。製造後のヘ
ッドサスペンションの取扱い如何によっても、その性能
は左右される。加えて、ディスクドライブの製造作業者
の、製造組立に関する技量も、ヘッドサスペンションの
性能を左右する。例えば、ディスク間距離には微小なば
らつき等が生ずるが、これら要因を完全に整えること
は、ヘッドサスペンションの製造作業者の調整範囲を超
えることになる。よって、ヘッドサスペンションには、
製造後の微調整が必要不可欠となっている。前記負荷を
所望の値にするためには、弾性部の折曲げ角度を変更す
ることによって、前記間隔のばらつきに伴う調節を行う
ことが必要である。しかしながら、この調節を如何に行
っても、共振特性、特にねじり共振特性への影響が避け
られなかった。
【0010】ディスクドライブにおいて、1つもしくは
複数のヘッドサスペンションの取扱いおよび取付を僅か
に変えるだけでも、ヘッドサスペンションは影響を受け
易いものである。特に、スライダーが取付けられた複数
のヘッドサスペンションは、輸送や、ディスクドライブ
のアクチュエータへの取付けのために、積み重ねられ
(stack )またはE−ブロックおよび櫛部材等に合体さ
れる。この構成によると、積み重ねられた前記ヘッドサ
スペンションおよびスライダーは持ち上げられ、複数の
スライダーがヘッドサスペンションに取付けられるまで
その状態が保持され、ハードディスクドライブの、積み
重ねられたディスクの対応する隙間に重ねられる。バッ
クベンディングによってもたらされるヘッドサスペンシ
ョンの若干の可塑性変形は、そのねじり共振特性がヘッ
ドサスペンションの負荷に影響を与えるように、前記負
荷に影響を及ぼす。本実施態様では一貫して、前記負荷
力の損失を、「負荷損失」と称している。さらに、この
負荷損失は最終的な組立工程で生じ、ヘッドサスペンシ
ョンの性能特性に最も影響を及ぼすものである。したが
って、前記負荷が僅かに減少しても、共振特性の向上を
図ることは不可能となる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明においては、ねじ
り共振特性による負荷への影響を抑え、負荷損失を減少
させるために、ヘッドサスペンションにはより進歩した
負荷制御が施される。本発明によると、外形状およびね
じり共振特性による影響を大きく受けることなく、予め
設定された負荷値からの負荷の設定をすることができ
る。さらに、本発明に係るヘッドサスペンションは、望
ましくないバックベンディング、および、該バックベン
ディングに起因する負荷損失を減少させることをその課
題とする。
【0012】その共振特性を大きく変えることなく、ヘ
ッドサスペンションの再負荷または負荷調整を可能とす
ることにより、ヘッドサスペンションの共振特性を良好
にする。さらに、このことによって、共振性能およびヘ
ッドサスペンションのオフセット高さを、前記負荷とは
独立して最適化する効果が生じる。前記オフセット高さ
は、ベースプレートと、負荷状態にあるヘッドサスペン
ションのスライダー接続パッド(slider bond pad )取
付表面との垂直距離として設定される。
【0013】前記利点は、以下の特徴を有するヘッドサ
スペンションによって得ることができる。その特徴と
は、アクチュエータに対するマウント部、剛性部、スラ
イダー接続パッドおよび前記マウント部と剛性部とをつ
なぐ弾性部を有し、該弾性部には、ヘッドサスペンショ
ンの長手方向の外形寸法をほぼ変更することなく、予め
設定された位置からのオフセット高さを修正可能とする
ために、その横幅方向にヒンジライン(ヒンジ手段)が
形成されてなるものである。前記ヒンジラインは、ヘッ
ドサスペンションの長手方向の所望の位置において所望
の揺動を行うべく(for a controlled hinging)、いく
つかの構成を包含している。例えば、鋭角に折り目を付
けたり、または小さな半径で折曲げたりした構成を用い
ることが可能であるが、弾性部を構成する部材の厚み
に、部分的に溝を形成し、かつ、該弾性部を横断するよ
うに延設することが望ましい。該溝を弾性部の幅全体に
渡って延設することによる付加的な効果としては、弾性
部におけるバックベンディングに起因する負荷損失の除
去が挙げられる。1つもしくは複数の前記溝は、共振特
性を最適化しかつ負荷損失を減少するべく、ヘッドサス
ペンションの負荷形状を決定するために、前記弾性部に
設けられている。
【0014】本発明の第2の課題は、前記ヘッドサスペ
ンションの弾性部において、その幅方向に全幅に渡って
延びる素材の厚さを減少させた谷部(trough)(以下
「帯状部」ともいう)を設け、負荷の減少および外形状
の劣化を生ずることなく、前記弾性部に設けた曲げ部の
バックベンディングに起因する負荷損失を減少させるこ
とにある。また、前記帯状部を複数設けることにより、
負荷損失の削減に対し相乗効果をもたらす。さらに、前
記帯状部は、ヘッドサスペンションの弾性係数を低減さ
せる効果も有する。
【0015】
【発明の実施の形態】添付の各図面において、同一もし
くは類似の部材には同一の符号を付している。また、図
1〜図3には、本発明の実施の形態に係るヘッドサスペ
ンション10が図示されている。これは、主にハードディ
スクドライブアッセンブリー若しくは類似のダイナミッ
ク保存手段に用いられるものである。ヘッドサスペンシ
ョン10は、基本的に負荷ビーム12とベースプレート16と
を含む。また、ヘッドサスペンション10には、書き込
み、読み取りヘッド(図示省略)を備えるごく一般的な
スライダー14が一体化されている。なお、スライダー14
は図2、図3に示されている。
【0016】負荷ビーム12自体には、少なくとも図示し
ないアクチュエータ(図示省略)に対するマウント部で
ある剛性部18(第1の剛性部ともいう)と、弾性部20と
剛性部22(第2の剛性部ともいう)とを備える。好まし
くは、剛性部22にはその強度特性を向上させるための補
強レール24を備える。この補強レール24は、図示のサイ
ドレールのみならず、内部レール、チャンネル形状等、
様々な形式のものを用いることができる。補強レール24
は、第1に剛性部22の長手方向の強度を高め、荷重ビー
ム12先端部のスライダー14に所望の負荷若しくは力を付
与するために設けられている。しかしながら、補強レー
ル24はヘッドサスペンション10の共振周波数に影響を及
ぼすものであり、特に、負荷ビーム12の横断面上の複数
点における共振周波数に影響を及ぼす。補強レール24
は、特に横曲げモードにおける共振振動数を増加させる
ために用いられる。
【0017】負荷ビーム12の先端部では、回転するディ
スク面のうねりを吸収するために、スライダー14をピッ
チ方向およびロール方向に移動可能に支持するたわみ部
26によって、スライダー14と負荷ビーム12とを弾性連結
している。このたわみ部26(スライダー14のピッチ方向
およびロール方向の動きを許容するように弾性連結す
る)としては、周知のジンバル等、様々な形式のものが
知られている。本発明には、様々なたわみ部が利用でき
るであろう。図面には、接着剤等を用いた一般的な手法
によって、スライダー14の上面を保持するスライダー接
続パッド28を備えるたわみ部26の、一例を示している。
このスライダー接続パッド28は、通常、桟30を有する。
この桟30は、負荷ビーム12に固定されるたわみ部26の、
マウント部(図1に点線で示す部分)につながるアーム
32に、溶接等の一般的手法により接続されている。さら
に、負荷ビーム12には工具穴35が形成され、たわみ部26
に同様に形成された穴に、該工具穴35を一致させること
により、負荷ビーム12とたわみ部26とを一列に並べるこ
とができる。図示の実施の形態によると、負荷ビーム12
にはディンプル34が形成されている。このディンプル34
は、負荷ビーム12からの負荷を受けて、スライダー接続
パッド28に対し一点集中荷重を施し、これによってスラ
イダー14に必要な荷重を与え、かつ、スライダー14およ
びスライダー接続パッド28の、ディンプル34の周囲での
ロール方向およびピッチ方向の動きを許容するものであ
る。
【0018】アクチュエータに対するマウント部である
剛性部(以下、単にマウント部ともいう)18には、いく
つかの形状的特徴部分を有し、かつ、何らかの一般的な
ディスクドライブ装置(図示省略)のアクチュエータ
(回転作動、直線作動のいずれに係るものであってもよ
い)に、負荷ビーム12を接続するための部分が設けられ
ている。図示の例においては、マウント部18は円形開口
部36を有し、円形開口部36は、負荷ビーム12をベースプ
レート16に結合させるために用いられる。この円形開口
部36によって、負荷ビーム12はアクチュエータ装置に確
実に固定される。
【0019】ベースプレート16は、例えば溶接等の一般
的な手法によって、マウント部18に固定されている。そ
して、図示のごとくベースプレート16は、マウント部18
の円形開口部36と係合する円形カラー38と、望ましく
は、マウント部18に対する結合をより確実とするための
マウント部18の部材に当接するプレート部40とを有して
いる。
【0020】マウント部18と剛性部22との間には、弾性
部20が設けられている。この弾性部20の最も重要な役割
は、荷重ビーム12に取付けられたたわみ部26、特にスラ
イダー14に対して荷重(負荷)を付与することである。
このため、図示された弾性部20には、R形状(鋭角の折
曲げおよび湾曲を含む)の曲げ角(または曲率)をなす
曲げ部42を有している。そして、所望の荷重を付与する
ために、この曲げ角(または曲率)は、その作動時にお
いてディスク表面にスライダー14を付勢し得る方向へと
向けられている。また、前記曲げ部42の角度は、スライ
ダー14が作動中のディスク面上を浮動する際に、スライ
ダー14に生ずる空気力学的浮力を相殺し、かつ、スライ
ダー14の浮動高さを確保するための、オフセット高さを
得るために必要な負荷の値に基づいて設定される。一般
的には、曲げ部42の角度をより大きくすると、たわみ部
26に付与する荷重の値はより大きくなる。この曲げ部42
の角度は、好ましくはマンドレル若しくは成形ダイによ
る巻き込み工程等の、一般的な曲げ加工により得ること
ができる。さらに、同一方向若しくは反対方向への湾曲
が付与可能であるのみならず、その角度自体も調整可能
である。
【0021】一方、従来の技術の欄で説明したように、
弾性部20はヘッドサスペンション10が負荷状態にあると
きの、長手方向の外形状を決定する際の基本的な要素で
ある。さらに、その外形状を決定することは、ねじり共
振特性を制御する上で重要となる。例えば、外形状を考
慮する目的の1つは、1つ若しくは複数のねじり共振モ
ード(torsional resonant modes)に対するヘッドサス
ペンション10の回転軸の位置を、スライダー14の動きを
最少化しうるよう配置することにある。特に、スライダ
ー14のジンバル位置の設定を行う必要がある。図示の例
では、ディンプル34とスライダー接続パッド28との接触
面がその位置に当る。
【0022】図4および図6には、負荷状態にあるヘッ
ドサスペンション10が示されている。図示の負荷時の外
形状は、所定の負荷と、オフセット高さと、最適な共振
特性とを有するように設定されたものが示されている。
上記のごとく、オフセット高さは、マウント部18と、図
示しないアクチュエータアームに取付けられたベースプ
レート16と、スライダー接続パッド28のスライダー取付
面(図2における下面)との間の垂直方向距離の寸法と
して定義されている。さらに詳細には、この距離は、一
般的に、マウント部18の挟持面44とスライダー接続パッ
ド28のスライダー取付面との垂直方向距離である。オフ
セット高さは、しばしばZ高さ(図4参照)と称される
が、このZ高さとは、ディスク表面に対するスライダー
下面と、マウント部18の挟持面44との、作動時の垂直方
向距離である。言い換えれば、前記Z高さはオフセット
高さに、前述のスライダー14の厚さと、スライダー14お
よびスライダー接続パッド28のスライダー取付面の間の
接着剤層の厚さとを加えたものである。
【0023】参考として、図6にはオフセット基準線A
が部分的に示されている。このオフセット基準線Aは、
弾性部20に結合するベースプレート16とマウント部18と
の接触面において、ヘッドサスペンション10の中心を通
り、図示は省略されているが、さらに延びて、スライダ
ー接続パッド28とディンプル34との当接部においてもヘ
ッドサスペンション10の中心を通る。限定要素の分析や
実験により、ヘッドサスペンションの共振特性が、この
オフセット基準線Aにより決定されることが実証されて
いる。したがって、オフセット基準線Aに沿った外形状
が変更されなければ、負荷もしくはオフセット高さの変
更が、ヘッドサスペンション10の共振特性に影響を及ぼ
すことはない。本発明の目的の1つは、ヘッドサスペン
ション10のオフセット基準線Aに沿った外形状をほぼ変
更することなく、その使用範囲内で、負荷およびオフセ
ット高さの少なくとも一方を変更することが可能な、ヘ
ッドサスペンション10を提供することにある。
【0024】これを達成するために、弾性部20には、ヒ
ンジ手段からヘッドサスペンション10の先端部にかけて
の部分を揺動可能とする手段を設けている。好ましく
は、弾性部20の途中に、もしくは、ヘッドサスペンショ
ン10を通るオフセット基準線A上に、前記ヒンジ手段が
設けられる。前記位置にヒンジ手段を配置することによ
り、少なくともヘッドサスペンション10の所望の使用条
件(application range)(例えば、予め設定された負
荷およびオフセット高さ)においては、オフセット基準
線Aに沿った外形状は、ヒンジ手段の曲げ部形状と独立
したものとなるように、ヘッドサスペンション10の設計
がなされる。図示のヘッドサスペンション10において
は、オフセット基準線Aが通る点は、弾性部20に連続す
るマウント部18とベースプレート16との密着面に位置す
る。しかしながら、オフセット基準線Aが通る点は、ヘ
ッドサスペンションの始まり部分から全長に渡って、様
々な位置におくことができる。例えば マウント部18
は、必要に応じて負荷ビームの先端部に向けて延長する
ことが可能である。もし、この延長部分が剛体である場
合には、前記外形状は、延長された剛性部分とこれに隣
接する弾性部との境界部分から始まることになる。とも
かく、いかなる負荷又はオフセット高さに変更しようと
も、所望の最適条件に整えるための外形状は、スライダ
ーに向かうオフセット基準線Aの始点により決定され
る。
【0025】図2、図3および図5を参照すると、ヒン
ジラインは、図2に示すように、ヘッドサスペンション
10の幅方向に、その全幅に渡って延びる、薄い谷部46
(以下、帯状部という)として設けられている。さら
に、この帯状部46は、ベースプレート16と弾性部20との
境界部分にもしくは、該境界部分に隣接して設けられて
いる。好ましくは、この帯状部46は、一般的なエッチン
グ工程や、ヘッドサスペンション10の寸法や形状を形作
る工業的に良く知られた別の手法により成形される。ま
た、帯状部46は、ヘッドサスペンション10の素材の厚さ
の中間の深さにエッチング加工される。ヒンジラインに
いかなる深さのエッチングが施されていても、上記目的
を達成することは可能であるが、素材厚さの30〜60%程
度のエッチングが施されていることが望ましい。さら
に、帯状部46は弾性部20の両面に設けることも可能であ
り、この構成によっても(弾性部20の片面に帯状部46を
設けた場合と)同様の作用効果を得ることができる。一
方、帯状部46を素材の両面に設けることも可能である。
【0026】図4および図6には、オフセット基準線A
と共に特定形状のヘッドサスペンション10が示されてい
る。帯状部46の揺動効果によって、その外形状にほとん
ど影響を及ぼすことなく、ヘッドサスペンション10の負
荷位置を移動させることができるように、ベースプレー
ト16および弾性部20の境界部分もしくは隣接部に横軸を
設定する。もし、予め設定されたオフセット高さに係る
使用条件(application range )において、スライダ14
の高さを変更しても、オフセット基準線Aに関する外形
状はほとんど変化することはない。もし、(その角度位
置を変える変形をすることなく、)前記ヒンジラインが
いわゆるヒンジとして作用するならば、かつ、その角度
位置に固定されるならば、その作動範囲の全域に渡っ
て、前記外形状は維持される。しかしながら、負荷の調
整時に、帯状部46には塑性変形が生ずる。オフセット高
さおよび負荷の少なくとも一方の変化は、その使用条件
における外形状およびヘッドサスペンション10の共振特
性の明らかな変更をすることなく、(エッチング処理さ
れてなる)帯状部46に形成される横軸回りの回転動作に
より、十分になされる。
【0027】また、前記外形状を回転させるためのヒン
ジラインを設定する他の手法も考えられる。上記の例と
同様の作用効果を得るための他の方法として、弾性部20
の設定範囲を非常に狭い範囲とすることもできる。例え
ば、図12、図13に示すように、ベースプレート 116に設
けられたマウント部 118と、ヘッドサスペンション 100
の剛性部 122との間に、非常に幅の狭い弾性部 120を設
けることも可能である。剛性部 122には、剛性部 122の
全体の強度を高めるための補強レール 124が示されてい
る。さらに好ましくは、狭い弾性部 120において、鋭角
の折り目もしくは比較的小さい半径の曲げ部 142によっ
て前記負荷の値を決定する。この構成によると、ヘッド
サスペンション 100の外形状も、曲げ部 142とスライダ
ー 114のジンバル位置(gimballing point)との間の、
オフセット基準線Aによって決定される。オフセット高
さおよび負荷の少なくとも一方の変化によって、形成さ
れた曲げ部 142、もしくはベースプレート 116および弾
性部 120の境界部分近傍に設定される横方向軸に変化が
生じても、オフセット基準面Aの形状に大きな影響を及
ぼすものではない。
【0028】一方、前述の例と同様に、弾性部を横方向
に横切るように延びる、その他の形式の強度を低下させ
るラインを用いることも可能である。このヒンジライン
は、所望の弾性力を発生するために必要な強度を有し、
前述の例と同様に、ヘッドサスペンションの素材に対し
て弾性係数が低く設定される。例えば、弾性部を横切る
ように、一列に並んだ穴やミシン目を弾性部を設けるこ
とができ、これら穴やミシン目は、エッチング工法その
他の方法によって設けることが可能である。一方、図1
2、図13の例によると、マウント部 118および剛性部 12
2は、厚い素材若しくは多層状構造とすることにより、
補強することができる。
【0029】本発明のそのほかの目的として、帯状部46
のような比較的薄い部分を、ヘッドサスペンション10の
弾性部20の幅方向全体に延ばすことにより、バックベン
ディングに起因する負荷損失を減少させるための位置を
考慮する必要をなくすことが挙げられる。従来の技術の
欄で説明した負荷損失は、ヘッドサスペンション10のス
ライダー端部が、弾性部20に対抗して斜めに持ち上がる
ことによって生ずる。ところで負荷損失とは、弾性部20
のバックベンディングを原因とする塑性変形により、弾
性部20で発生させる負荷が減少することを意味する。帯
状部46の厚さを減少させると、この部分の柔軟性(柔軟
性は、塑性変形することなく変形し得る度合いを示す)
は向上し、特定範囲の負荷損失を減少させる。さらに、
もし、帯状部46が前述の課題を解決する位置に設けられ
ているならば、衝撃を緩和するための変形可能なヒンジ
ラインを形成する弾性部20の帯状部46により、負荷損失
を減少させることができる。
【0030】加えて、柔軟性の向上は、曲げ部42裏面で
ある上面(図1に示す)にかかる応力を減少させる。上
面の応力は、歪み量、部材の弾性係数、部材の横方向中
立軸および応力の作用面の間の距離、および、帯状部の
幅(負荷ビーム12の長手方向の寸法)の関数として表さ
れる。ところで、前記横方向中立軸は、帯状部46におけ
る負荷ビームの横断面に設定される。この断面により、
前記中立軸は横方向、かつ、帯状部46に残された肉厚
の、厚さ方向中央部分に位置している。帯状部を持たな
いビームの場合には、前記中立軸は、ビームの素材の厚
さ方向中央部分に位置する。帯状部46のごとく厚さを減
少させることにより、厚さを減少させないものに比し
て、応力の作用面と前記中立軸との距離は縮まる。片持
ち梁における応力を求める一般的な公式によると、前記
中立軸と応力の作用面との距離を減少させるほど、同一
方向への湾曲によりビームに与える応力は小さくなる。
したがって、帯状部46を設け、前記距離を小さく設定す
ることによって、より小さな応力および柔軟性を得るこ
とができる。本発明においては、このことが負荷損失の
減少につながる。
【0031】この「薄い」部分を横方向に、かつ、横幅
の一部に設けたものと比べると、横幅全域において薄い
部分が占める割合に応じて、前記中立軸の位置は移動す
る。しかし、厚さを減少させていない範囲における応力
の作用面は不変である。よって、前記中立軸と応力の作
用面との距離は、実際に増加する。厚さを減少させてい
ない範囲では前記応力が増加し、負荷損失に対応する能
力が劣ることになる。同様にして、前述の応力を求める
公式によると、帯状部の幅を増加させることにより、同
じ歪みに対する前記応力が減少する。したがって、負荷
損失を減少させるためには、帯状部46は、上記のごとく
ヒンジラインにおいて幅広に設定することが望まれる。
【0032】負荷損失の減少と、衝撃吸収性の向上の両
立による効果を得るためには、上述のごとく、負荷損失
を減少させるべく横幅方向の全域に渡って帯状部46を設
けるように設計することが望ましく、かつ、衝撃吸収性
を高めるためには、負荷および/またはオフセット高さ
において、比較的幅の狭い帯状部46を弾性部20に対する
ベースプレート16の境界面もしくはその近傍に設ける
う設計することが望ましい。帯状部46の厚さを減少させ
ると、それに伴って弾性部20の弾性係数も減少し、サス
ペンション組立体に望まれる負荷の値が小さい場合に有
効である。さらに、本発明によると、負荷を小さくする
ことは、ヘッドサスペンション10の外形状及び共振特性
を最適化する上で適している。
【0033】図1〜図6の実施の形態においては、帯状
部46は、弾性部20に曲げ部42と共に形成されている。曲
げ部42は、使用条件に応じた負荷の供給を可能とするた
めに、また、ヘッドサスペンション10の共振特性を最適
化するための外形状を得ることができるように、設計さ
れている。ところで、ヘッドサスペンションの共振特性
を最適化することは、本発明の課題の重要部分ではな
い。負荷時のヘッドサスペンションの外形状の最適化
は、実に多くの異なった技術によってもたらされる。そ
して、本発明においてもこれら技術が役立てられてい
る。本発明では、オフセット高さおよび負荷の少なくと
も一方を変えられるか否かということは、ヘッドサスペ
ンションの最適化をはかる上での大きな要因とはなって
おらず、外形状にいかなる変化が生じても同様である。
一方、図12および図13に示す実施の形態によると、鋭角
の折り目、もしくは、曲げ部 142のような比較的小さい
半径の曲げ部が、比較的狭い弾性部に設けられており、
この構成によって、ヒンジとしての作用と、負荷の供給
とを可能としている。
【0034】さらに、図7〜図11には、本発明の他の実
施の形態に係るヘッドサスペンション 200が示されてい
る。ヘッドサスペンション 200は、負荷ビーム 212、ス
ライダー 214およびベースプレート 216を有する。ま
た、負荷ビーム 212はマウント部 218、弾性部 220、補
強レール 224を備える剛性部 222、たわみ部 226を有す
る。たわみ部 226は、前述のたわみ部26と同様の部材で
あり、スライダー接続パッド 228を支持するための桟 2
30を備える。また、桟 230はアーム 232に接続されてい
る。図示の例によると、たわみ部 226は負荷ビーム 212
と独立した部材となっており、これらの固定には溶接等
の一般的な固定手段が用いられる。また、好ましくは負
荷ビーム 212の弾性部には工具穴 235が設けられ、負荷
ビーム 212に対するたわみ部 226の固定の際に、たわみ
部 226に同様に形成された穴に、工具穴 235を一致させ
ることにより、負荷ビーム 212とたわみ部 226とを一列
に並べる。さらに、負荷ビーム 212にはディンプル 234
が設けられており、周知のごとく、その凸状接触面をス
ライダー接続パッド 228の表面に接触させ、スライダー
214とスライダー接続パッド 228に負荷を付与し、ピッ
チ方向およびロール方向の動作を許容する。また、マウ
ント部 218にも、ベースプレート 216の円形カラー238
を貫通させ、かつベースプレート 216のプレート部 240
を支持するための、円形開口部 236が設けられている。
このプレート部 240は、溶接等の一般的な手法によっ
て、負荷ビーム 212のマウント部 218に固定されてい
る。
【0035】弾性部 220には、帯状部 246によってヒン
ジラインが形成されている。この帯状部 246は上述の帯
状部46と同様のものであり、望ましくは、ベースプレー
ト 216と弾性部 220との接続部分もしくはその近傍に設
けられる。この帯状部 246を設けることによる効果とし
て、ヘッドサスペンション 200がオフセット高さおよび
負荷の供給状態の少なくとも一方の状態において、衝撃
を減衰する外形状を得ることができる。さらに、弾性部
220のバックベンドに起因する負荷損失を減少させる上
で有利となる。この衝撃減衰機能と負荷損失の低減機能
については、前述の実施の形態と同様のものである。さ
らに、帯状部 246には、該帯状部の部材を貫通する開口
部 247が形成されている。この開口部 247は、少なくと
も1か所に設けられる。もし、図示の例のように、開口
部 247を1か所に設ける場合には、バランスを取るため
に、横幅方向の中心に配置することが望ましい。また、
衝撃吸収性を向上させるために、さらに多くの開口部 2
47をヒンジライン上に設けることも可能である。さらに
は、開口部 247は、弾性部 220の弾性係数を減少させる
ことにも役立つ。
【0036】さらに、図7〜図11に示す実施の形態によ
ると、弾性部 220には、第2の帯状部 248が設けられて
いる。(以下の説明では、帯状部 246を特に第1の帯状
部と称す。)この第2の帯状部 248も、エッチングによ
り形成することが望ましい。この第2の帯状部 248は、
図9に示すように、ヘッドサスペンション 200が負荷形
状にあるとき、制御可能な逆湾曲状態を形成し得るよう
に設けられている。曲げ部 242に生じる弾性力に対向し
て反対方向にも湾曲させる一番の理由は、ヘッドサスペ
ンションの外形状を最適な状態に保つことにある。以上
のごとく、サスペンション形状の最適化に当り、2方向
への湾曲を行う手法は、ジャットによる米国特許出願08
/623,504号に十分に開示されている。この手法は、本発
明の譲受人に譲り受けられ、その全開示内容は、参考文
献として本発明に含まれる。簡単に説明すれば、第2の
帯状部 248によって生ずる湾曲によって、例えば、共振
特性を向上させるためのヘッドサスペンション 200の外
形状の最適化を図るに当り、その形状決定を経験的もし
くは他の手法により行い、予め設定したZ高さを得るた
めの外形状のコントロール性を向上させる。本発明には
以下のような特徴部分を含む。1つは、その外形状の最
適化であり、ヘッドサスペンション 200がオフセット高
さおよび負荷状態の少なくとも一方の状態にあるとき、
その外形状が最適化されていることから、第1の帯状部
246は衝撃を吸収する。好ましくは、第1の帯状部 24
6,第2の帯状部 248の間の曲げ部 242によって、負荷
が供給される。一方、第1の帯状部 246に、第2の曲げ
部 248に代わる第2の湾曲を、予め設けることも可能で
ある。
【0037】以上のごとく、第1の帯状部 246によっ
て、弾性部 220がバックベンドの状態下にあるときで
も、ヘッドサスペンション 200の負荷損失を減少させる
ことができる。そして、第2の曲げ部 248を設けること
により、この効果はさらに明確となる。そして、第1お
よび第2の帯状部 246, 248のいずれにおいても設定さ
れた厚さ(薄くなっている)により、弾性部 220の柔軟
性を向上させることができる。また、第1、第2の帯状
部 246, 248の組み合わせは相乗効果をもたらし、負荷
損失を減少させる効果は、より顕著なものとなる。
【0038】図7、図8に示す外形状をなすヘッドサス
ペンションの負荷損失と、これとほぼ同様であるが帯状
部 246, 248のいずれか一方を持たないヘッドサスペン
ションの負荷損失とを比較したグラフを、図14に示して
いる。後者に当るヘッドサスペンションについては、本
発明の譲受人であるハッチンソン テクノロジー イン
コーポレイテッド(ミネソタ州)により市販されている
T850型ヘッドサスペンションを被験物として用いてい
る。本発明に係るヘッドサスペンションは、このT850型
とほぼ同様の構成を有するが、前述のごとく、第1、第
2の帯状部 246,248のいずれをも有することを特徴と
している(以下の説明では、T850改型と称す)。第1の
帯状部 246は、工具穴 235から10.08 mmの位置に、0.50
mmの幅でかつ0.038 mmの深さに形成されている。また、
第2の帯状部 248は、工具穴 235から7.74mmの位置に0.
15mmの幅でかつ0.038 mmの深さに形成されている。負荷
ビームの厚さは0.0762mmである。類似の符号を付したヘ
ッドサスペンションについては、後述の通りである。
【0039】さて、図14の例における各ヘッドサスペン
ションは、オフセット高さが0.305mmのときに、3.0 g
の負荷を生ずるように設定されている。この試験は、各
ヘッドサスペンションを、図7に示す工具穴 235を利用
して持ち上げ、その後、ヘッドサスペンションを負荷状
態において実施した。図14のX軸には、工具穴 235の持
ち上げ高さを示している。また、Y軸には測定された負
荷損失の量をグラム単位で示している。矢印Bで示す点
は、T850型ヘッドサスペンションにおける、持ち上げ高
さ毎の負荷損失の値を示している。また、矢印Cで示す
点は、T850改型ヘッドサスペンション(第1、第2の帯
状部 246, 248のいずれも有する)における、持ち上げ
高さ毎の負荷損失の値を示している。図から明らかなよ
うに、点Cは点Bと比較して、同一の持ち上げ高さにお
ける負荷損失の値が小さく、かつ、持ち上げ高さの増加
に伴う負荷損失の値の増加率も低いという傾向がある。
【0040】また、オフセット高さを変更することによ
る、ねじり共振特性の値の比較テストも実施されてい
る。図15には、T850型ヘッドサスペンションと、T850改
型ヘッドサスペンションとの、ねじり共振特性の比較が
されている。また、D線はT850型の特性を示しており、
E線はT850改型の特性を示している。そして、X軸に
は、前述のZ高さ(オフセット高さに、スライダー接続
パッド 228に対するディンプル 234の接点から、スライ
ダー 214下面までの距離を加えた値)の値を示してい
る。また、Y軸には一次のねじり共振特性に関する利得
の値を示している。T850型、T850改型の双方の試験に際
しては、Z高さが様々に変更され、ヘッドサスペンショ
ンはその時々の、1次のねじり共振特性の影響を受け
る。また、利得はヘッドサスペンションのスライダー端
部から測定される。
【0041】図15において、D線は、ヘッドサスペンシ
ョンのZ高さの変化に応じてねじり共振特性の利得が変
化する傾向を示している。図示のD線は、典型的な利得
曲線の全体のうち右半分の様子を示している。図示しな
い左半分もほぼ同様の曲線をなし、左右対称となる。こ
の分析形式によると、通常は、前記利得を最小限にする
べく調節する所望のZ高さにあるとき、低い範囲の値
(いわゆる谷状の下限値)を示す。
【0042】また、E線は、D線と同じZ高さにおい
て、本発明に係るヘッドサスペンションの振動減衰効果
を示している。図示のごとく、前記利得の変化による影
響は、ほぼ取り除かれていることがわかる。すなわち、
第1の帯状部 246のヒンジ作用による効果として、前記
利得に直接関係する(ヘッドサスペンションの)外形状
を変化させることなく、Z高さを変えることができる。
この、変化が少ない範囲を、ヘッドサスペンションの使
用範囲として用いる。図示の例における使用範囲は、前
記帯状部を持たないヘッドサスペンションの谷状の下限
値に比べて広範囲である。また、Z高さを変更すること
によって、サスペンションの外形状に影響を与えるとし
ても、それがある程度制限されることは明らかである。
しかし、この制限は、ヘッドサスペンションの使用範囲
を越えるものである。ヘッドサスペンションの設計にお
いて、Z高さは使用範囲の中間に設定されるのが望まし
い。その結果、このオフセットの変更が、意図的である
か否かに係らず、サスペンションの外形状にほとんど影
響しないか、全く影響しない。本発明によると、前記下
限値の分析傾向は、明らかに広くかつ平坦である。
【0043】また、図1〜図6に示す実施の形態に係る
ヘッドサスペンション(帯状部46を1つだけ持つ)の、
Z高さを様々に変更して作成したものの共振特性を比較
した試験がなされている。
【0044】この試験の対象とした、ハッチンソン テ
クノロジー インコーポレイテッド(ミネソタ州)によ
り市販されているT850型ヘッドサスペンションには、帯
状部46が設けられている。具体的には、この帯状部46
は、工具穴35から10.33 mmの位置に、0.70mmの幅でかつ
0.038 mmの深さに形成されている。また、負荷ビームの
厚さは0.0762mmである。試験結果を図16に示している。
図16のX軸には、Z高さが示されている。また、Y軸に
は、半径寸法値(radius geometry value )が示されて
いる。この半径寸法値は、負荷を生ずる範囲の設定に当
り、重要な判断材料となる。ところで、半径寸法値は、
図6に例示したオフセット基準線Aと、曲げ部の特定位
置における負荷ビームの表面との距離(例えば、工具穴
35等固定された点からの距離)を測定したものである。
図示の例では、半径寸法値は、工具穴35から7.62mmであ
る。また、同一の半径寸法値は、同一の半径形状を示
す。前述のごとく、ヘッドサスペンションの外形状はそ
の共振特性を決定するものである。図16のF線は、前記
帯状部を持たないヘッドサスペンションに関する値を示
している。G線は前述の帯状部を1つだけ持つヘッドサ
スペンション(T850型)に関する値を示すものである。
ヘッドサスペンションの使用範囲におけるG線の傾斜
は、F線の傾斜に比べ、その傾きが小さいことが明らか
である。線の傾斜がより少ないほど、利得の安定性(st
ability in torsional gain )は向上する。
【0045】前記帯状部の幅および厚さを種々に設定し
た、特注のヘッドサスペンションが様々作成されている
が、いずれの場合にも、工具穴から10.27mm の位置に前
記帯状部を1つ設けたT850型ヘッドサスペンションが用
いられている。さらに、各ヘッドサスペンションは、18
〜20N/mmの弾性係数を示すように設計基準が置かれてい
る。図表18には、各形状の設定値の例をまとめて示して
いる。これらの例によるZ高さの変化にを、図17に示し
ている。図17のH線、I線、J線、K線は夫々、図表18
に示す設定形状No. 1〜4の半径寸法値を示している。
これらの記載から明らかなように、図16に示す帯状部を
持たない例に関するF線と比べ、図17に示す各変更例
は、Z高さの変化量に対する半径寸法値の変化量が少な
い。注意すべきは、図16と図17とでは傾斜の方向が異な
るが、これは単に符号設定の違いによるものであり、こ
れらの絶対値を直接的に比較することができる。
【0046】以上のごとく、本発明によると、弾性係
数、負荷損失およびねじり振動特性の各々を、様々な手
法によって制御することが可能である。そして、上記各
実施の形態における各装置の動作および外形状の何れも
が、その設計により、使用条件での負荷状態における共
振特性を向上させ、かつ、バックベンディングに起因す
る悪影響および不可損失の減少を図り、負荷の値をより
高度に制御するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る、弾性部に帯状部を
1つ設けたヘッドサスペンションの平面図である。
【図2】図1に示すヘッドサスペンションと、これに組
み合わせるベースプレートと、たわみ部と、スライダー
とを示した斜視図である。
【図3】図1に示すヘッドサスペンションにスライダー
を取付け、負荷状態にないときの様子を示す側面図であ
る。
【図4】図1に示すヘッドサスペンションが負荷状態に
あるときの様子を示す側面図である。
【図5】図3に示すヘッドサスペンションの要部拡大図
である。
【図6】図4に示すヘッドサスペンションの要部拡大図
である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係るヘッドサスペン
ションであり、弾性部に2つの帯状部を有し、そのうち
の1つがヒンジラインに設けられている例を示す平面図
である。
【図8】図7に示すヘッドサスペンションにスライダー
を取付け、負荷状態にないときの様子を示す側面図であ
る。
【図9】図7に示すヘッドサスペンションが負荷状態に
あるときの様子を示す側面図である。
【図10】図8に示すヘッドサスペンションの要部拡大
図である。
【図11】図9に示すヘッドサスペンションの要部拡大
図である。
【図12】本発明の、さらにその他の実施の形態に係る
ヘッドサスペンションであり、弾性部に、鋭角の折り目
若しくは小さな半径の湾曲を設けることにより、ヒンジ
ラインを形成した例を示す平面図である。
【図13】図12に示すヘッドサスペンションにスライ
ダーを取付け、負荷状態にないときの様子を示す側面図
である。
【図14】本発明の実施の形態に係るヘッドサスペンシ
ョンと、これに類似するが帯状部を持たないヘッドサス
ペンションとで、持ち上げ高さを様々に変化させたとき
の負荷損失の変化の様子を比較したグラフである。
【図15】本発明の実施の形態に係るヘッドサスペンシ
ョンと、これに類似するが帯状部を持たないヘッドサス
ペンションとで、オフセット高さ(Z高さ)を様々に変
化させたときの1次のねじり共振特性の変化の様子を比
較したグラフである。
【図16】本発明の実施の形態に係るヘッドサスペンシ
ョンと、これに類似するが帯状部を持たないヘッドサス
ペンションとで、オフセット高さ(Z高さ)を様々に変
化させたときの半径寸法値の変化の様子を比較したグラ
フである。
【図17】図18に示す図表に列記した各設定形状毎
の、オフセット高さ(Z高さ)を様々に変化させたとき
の半径寸法値の変化の様子を比較したグラフである。
【図18】本発明の実施の形態における寸法設定例を示
す図表である。
【符号の説明】
10 ヘッドサスペンション 12, 212 負荷ビーム 14, 214 スライダー 16 ベースプレート 18, 118, 218 マウント部(第1の剛性部) 20, 220 弾性部 22, 122, 222 剛性部(第2の剛性部) 24, 224 補強レール 26, 226 たわみ部 28, 228 スライダー接続パッド 30, 230 桟 32, 232 アーム 34, 234 ディンプル 35, 235 工具穴 36, 236 円形開口部 38, 238 円形カラー 40, 240 プレート部 42, 142 曲げ部 46 帯状部 100, 200 ヘッドサスペンション 116, 216 ベースプレート 120 (幅の狭い)弾性部 246 第1の帯状部 247 開口部 248 第2の帯状部 A オフセット基準線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジョン ティー.タングレン アメリカ合衆国 ミネソタ 55108 セ ント.ポール,スネリング アベニュー ノース,1354 (56)参考文献 特開 昭60−136979(JP,A) 特開 平5−135529(JP,A) 特開 平1−292683(JP,A) 特開 平7−225981(JP,A) 特開 昭59−213066(JP,A) 実開 平5−43356(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 21/21 G11B 5/60 G11B 21/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハードディスクドライブのアクチュエー
    タに取付けられ、磁気ヘッドを支持するヘッドサスペン
    ションであって、該ヘッドサスペンションは負荷ビーム
    を有し、該負荷ビームは、 第1の剛性部と、 前記第1の剛性部から離れた前記負荷ビームの先端部と
    前記第1の剛性部との間に設けられた第2の剛性部と、 前記負荷ビームの先端部に設けられ、スライダーが取付
    けられて該スライダーのたわみを可能にするスライダー
    接続パッドを備えるたわみ部と、 前記第1の剛性部と前記第2の剛性部との間に位置する
    弾性部とを有し、 該弾性部は、前記スライダーがスライダー接続パッドに
    よって、前記ヘッドサスペンションの負荷状態時に予め
    設定されたオフセット高さに支持されるように前記スラ
    イダーに所望の負荷を与えるための曲げ部を有し、 前記弾性部は、ヘッドサスペンションの長手方向の外径
    寸法をほぼ変更することなく、予め設定された位置から
    のオフセット高さを調節可能とするヒンジ手段を有し、
    前記ヒンジ手段は、前記弾性部と前記第1の剛性部との
    略境界部分に位置するヒンジラインとして構成されてい
    ることを特徴とするヘッドサスペンション。
  2. 【請求項2】 前記弾性部は、前記第1の剛性部と直接
    的に連結され、前記曲げ部は前記ヒンジラインのヘッド
    サスペンション先端側に設けられている請求項1記載の
    ヘッドサスペンション。
  3. 【請求項3】 前記ヒンジ手段は、前記曲げ部を有し、
    前記第2の剛性部は前記弾性部に直接的に連結されてな
    る請求項1記載のヘッドサスペンション。
  4. 【請求項4】 前記ヒンジ手段は、前記ヘッドサスペン
    ションの弾性部において、その幅方向に全幅に渡って延
    びる素材の厚さを減少させた帯状部を含むことを特徴と
    する請求項2記載のヘッドサスペンション。
  5. 【請求項5】 前記曲げ部は、前記弾性部の前記帯状部
    と前記第2の剛性部との間に沿って設けられている請求
    項4記載のヘッドサスペンション。
  6. 【請求項6】 前記ヘッドサスペンションの弾性部にお
    いて、その幅方向に全幅に渡って延びる素材の厚さを減
    少させた第2の帯状部を含み、該第2の帯状部は、前記
    ヒンジ手段と前記第2の剛性部との間に位置することを
    特徴とする請求項5記載のヘッドサスペンション。
  7. 【請求項7】 前記弾性部は、その幅方向に全幅に渡っ
    て延びる素材の厚さを減少させた帯状部を含むことを特
    徴とする請求項1記載のヘッドサスペンション。
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