JP3527449B2 - トランクス型の使い捨てパンツ - Google Patents

トランクス型の使い捨てパンツ

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランクス型の使
い捨てパンツに関する。
【０００２】
【従来の技術】トランクスやブリーフ等のパンツは、前
身頃や後身頃のような部分ごとに生地を裁断し、それら
生地を縫い合わせて製造される。縫製が完了したパンツ
は、プレスがけ、熱セット等の仕上工程を経て、検査の
上完成品となる。このようなパンツは、繰り返しの使用
を前提としている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】近年、手術や検査を行
う際に医師や看護婦、患者等が着用し、使用後に廃棄さ
れる使い捨てパンツの需要が増えてきている。しかし、
繰り返しの使用を前提とするパンツは、それぞれ独立し
た裁断工程や縫製工程、仕上工程等の複数の工程を経て
製造されるものであり、１回の使用で廃棄する使い捨て
にするには、手間と製造コストとがかかり過ぎる。
【０００４】本発明の課題は、安価で容易に製造するこ
とができ、使用後にそのまま廃棄することができるトラ
ンクス型の使い捨てパンツを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明が前提とするところは、上部に胴周り開口
と、下部に左右一対の脚周り開口とを有し、前記胴周り
開口の周縁近傍に周り方向へ延びる弾性伸縮性部材が伸
長状態で取り付けられたトランクス型の使い捨てパンツ
である。
【０００６】かかる前提において、本発明が特徴とする
ところは、前記パンツが、横方向へ延びる上下端部と前
記横方向と交差する縦方向へ延びる前後側部と前記前後
側部の間に位置して前記上端部から前記下端部へ向って
弧を画く凹欠部とを有する対称な一対のインナーシート
と、前記横方向へ延びる上下端部と前記縦方向へ延びる
前後側部とを有して前記インナーシートの外側に位置す
る対称な一対のアウターシートとから構成され、前記イ
ンナーシート各々が、該シートの前記上下端部と前記前
後側部とを一致させた状態で互いに重なり合い、対向す
る前記インナーシート各々のシート面が、該シートの前
記上端部と前記上端部近傍に位置する前記前後側部の部
分と前記凹欠部とのうちの少なくとも該前後側部の部分
と該凹欠部とに沿って固着され、前記インナーシートと
前記アウターシートとが、それらシートの前記上下端部
と前記前後側部とを一致させた状態で互いに重なり合
い、対向する前記インナーシートのシート面と前記アウ
ターシートのシート面とが、それらシートの前記前後側
部に沿って固着され、前記弾性部材が、前記アウターシ
ート各々の前記上端部に沿って取り付けられていること
にある。
【０００７】本発明の実施の態様の一例としては、前記
インナーシート各々と前記アウターシート各々とのうち
の少なくとも一方が不織布で形成されている。
【０００８】本発明の実施の態様の一例としては、前記
不織布が、メルトブローン不織布の両シート面をスパン
ボンド不織布のシート面で挟んだ複合不織布である。
【０００９】
【発明の実施の形態】添付の図面を参照して、本発明に
係るトランクス型の使い捨てパンツの詳細を説明する
と、以下のとおりである。
【００１０】図１，２は、前方から示す使い捨てパンツ
１の斜視図と、インナーシート２Ａ，２Ｂ各々とアウタ
ーシート３Ａ，３Ｂ各々とを横方向へ配列した図１のパ
ンツ１の分解斜視図とである。パンツ１は、同形同大の
一対のインナーシート２Ａ，２Ｂと、同形同大の一対の
アウターシート３Ａ，３Ｂとから構成され、上部に胴周
り開口６と、下部に左右一対の脚周り開口７とを有す
る。胴周り開口６の周縁近傍には、周り方向へ延びるフ
ィルム状の弾性伸縮性部材５が伸長状態で取り付けられ
ている。図１では、弾性部材５の伸長状態が解除され
て、パンツ１の胴周りに沿ってギャザーが形成されてい
る。
【００１１】図２では、インナーシート２Ａ，２Ｂ各々
が互いに面対称に配置され、アウターシート３Ａ，３Ｂ
各々がインナーシート２Ａ，２Ｂの外側に位置して互い
に面対称に配置されている。インナーシート２Ａ，２Ｂ
各々は、互いに並行して横方向へ延びる上下端部２ａ，
２ｂと、互いに並行して縦方向へ延びる前後側部２ｃ，
２ｄとを有する。インナーシート２Ａ，２Ｂには、それ
らシート２Ａ，２Ｂの前後側部２ｃ，２ｄの間に位置し
て上端部２ａから下端部２ｂへ向って凸となるように弧
を画く凹欠部４が形成されている。インナーシート２
Ａ，２Ｂの前側部２ｃは、上端部２ａから下端部２ｂへ
向うにつれて、前側部２ｃと後側部２ｄとの間の寸法を
二分して縦方向へ延びる中心線Ｙ１へ次第に近づくよう
に弧を画いて延びている。ゆえに、インナーシート２
Ａ，２Ｂは、上端部２ａの横方向の寸法が下端部２ｂの
それよりも大きい。
【００１２】アウターシート３Ａ，３Ｂ各々は、互いに
並行して横方向へ延びる上下端部３ａ，３ｂと、互いに
並行して縦方向へ延びる前後側部３ｃ，３ｄとを有す
る。アウターシート３Ａ，３Ｂの前側部３ｃは、上端部
３ａから下端部３ｂへ向うにつれて、前側部３ｃと後側
部３ｄとの間の寸法を二分して縦方向へ延びる中心線Ｙ
２へ次第に近づくように弧を画いて延びている。ゆえ
に、アウターシート３Ａ，３Ｂは、上端部３ａの横方向
の寸法が下端部３ｂのそれよりも大きい。アウターシー
ト３Ａ，３Ｂ各々の互いに対向するシート面３ｅには、
アウターシート３Ａ，３Ｂの上端部３ａに沿って横方向
へ延びる弾性部材５が伸長状態で取り付けられている。
【００１３】図２の状態からパンツ１を形成するには、
インナーシート２Ａ，２Ｂの中心線Ｙ１が互いに一致す
るようにインナーシート２Ａ，２Ｂ各々のシート面２ｅ
を重ね合わせ、上端部２ａ近傍に位置する前後側部２
ｃ，２ｄの部分２ｃ１，２ｄ１と凹欠部４とに沿って、
対向するインナーシート２Ａ，２Ｂのシート面２ｅを連
続的または間欠的に接合する。このとき、インナーシー
ト２Ａ，２Ｂ各々は、シート２Ａ，２Ｂの上下端部２
ａ，２ｂと前後側部２ｃ，２ｄと凹欠部４とが一致した
状態で重なり合う。
【００１４】インナーシート２Ａ，２Ｂのシート面２ｅ
を接合した後には、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３
Ｂの中心線Ｙ１，Ｙ２が互いに一致するように、インナ
ーシート２Ａ，２Ｂのシート面２ｆとアウターシート３
Ａ，３Ｂのシート面３ｅとを重ね合わせ、弾性部材５の
伸長状態を維持しつつ、インナーシート２Ａ，２Ｂとア
ウターシート３Ａ，３Ｂとの前後側部２ｃ，２ｄ，３
ｃ，３ｄに沿って、対向する一方のインナーシート２Ａ
のシート面２ｆと一方のアウターシート３Ａのシート面
３ｅとを連続的または間欠的に接合し、対向する他方の
インナーシート２Ｂのシート面２ｆと他方のアウターシ
ート３Ｂのシート面３ｅとを連続的または間欠的に接合
する。このとき、インナーシート２Ａ，２Ｂとアウター
シート３Ａ，３Ｂとは、それらシート２Ａ，２Ｂ，３
Ａ，３Ｂの上下端部２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂと前後側部
２ｃ，２ｄ，３ｃ，３ｄとが一致した状態で重なり合
う。
【００１５】パンツ１は、インナーシート２Ａ，２Ｂ各
々のシート面２ｅがインナーシート２Ａ，２Ｂの上端部
２ａ近傍に位置する前後側部２ｃ，２ｄの部分２ｃ１，
２ｄ１に沿って接合されているので、部分２ｃ１，２ｄ
１が接合されていない場合と比較してパンツ１の周り方
向における接合強度を向上させることができる。ゆえ
に、パンツ１は、それを着用したときにパンツ１の胴周
りが周り方向外方へ伸長された場合でも、インナーシー
ト２Ａ，２Ｂの凹欠部４に沿う接合部位において破れて
しまうことがない。
【００１６】インナーシート２Ａ，２Ｂ各々のシート面
２ｅは、インナーシート２Ａ，２Ｂの前後側部２ｃ，２
ｄと凹欠部４との縁をわずかに残した状態で接合される
ことが好ましい。前後側部２ｃ，２ｄと凹欠部４との縁
を接合しないことにより、前後側部２ｃ，２ｄの縁が着
用者の腕に接した場合や凹欠部４の縁が着用者の股下に
接した場合でも、接合部位での剛性が縁によって緩和さ
れ、着用者の皮膚に対する刺激を少なくすることができ
る。
【００１７】インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシー
ト３Ａ，３Ｂとのシート面２ｆ，３ｅは、それらシート
２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの前後側部の縁をわずかに残し
た状態で接合されることが好ましい。前後側部２ｃ，２
ｄ，３ｃ，３ｄの縁を接合しないことにより、それらシ
ート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの前後側部２ｃ，２ｄ，３
ｃ，３ｄの縁が着用者の腕に接した場合でも、接合部位
での剛性が縁によって緩和され、着用者の皮膚に対する
刺激を少なくすることができる。
【００１８】図３は、図１のＡ−Ａ線端面図である。互
いに接合されたインナーシート２Ａ，２Ｂは、インナー
シート２Ａ，２Ｂの凹欠部４の縁がパンツ１の内方へ向
かうように重なり合っている。インナーシート２Ａ，２
Ｂとアウターシート３Ａ，３Ｂとは、それらシート２
Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの前後側縁２ｃ，２ｄ，３ｃ，３
ｄがパンツ１の横方向外方へ向かうように重なり合って
いる。パンツ１は、凹欠部４近傍をパンツ１の横方向外
方へ折り返してインナーシート２Ａ，２Ｂ各々のシート
面２ｆを接合したり、前後側縁２ｃ，２ｄ，３ｃ，３ｄ
近傍をパンツ１の横方向内方へ折り返してインナーシー
ト２Ａ，２Ｂ各々とアウターシート３Ａ，３Ｂ各々との
シート面２ｆ，３ｅを接合してはいないので、それらシ
ート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの凹欠部４と前後側縁２
ｃ，２ｄ，３ｃ，３ｄとにおいて嵩張ることがない。イ
ンナーシート２Ａ，２Ｂの上端縁２ａには、弾性部材５
が取り付けられていないので、その分弾性部材５の厚み
を省くことができる。ゆえに、パンツ１を扁平に畳み易
い。
【００１９】インナーシート２Ａ，２Ｂ各々は、凹欠部
４と前後側部２ｃ，２ｄとの間に位置する上端部２ａが
接合されていないので、上端部２ａが接合された場合と
比較して接合部位を少なくすることができる。ゆえに、
弾性部材５の収縮力で着用者の胴周りを締め付けたとき
に、インナーシート２Ａ，２Ｂの上端部２ａ近傍が着用
者の肌に圧接した場合でも、硬い感触を与えることがな
い。
【００２０】インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシー
ト３Ａ，３Ｂとは、それらシート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３
Ｂの前後側部２ｃ，２ｄ，３ｃ，３ｄのうちの双方が上
端部２ａ，３ａから下端部２ｂ，３ｂへ向かって中心線
Ｙ１，Ｙ２へ次第に近づくように弧を画いて延びていて
もよいし、中心線Ｙ１，Ｙ２へ次第に近づくように直状
に延びていてもよい。
【００２１】凹欠部４は、その底部４ａが中心線Ｙ１か
ら後側部２ｄの側に偏倚している。底部４ａは、中心線
Ｙ１と後側部２ｄとの間において、中心線Ｙ１から約１
／３の距離にあることが好ましい。底部４ａを中心線Ｙ
１から後側部２ｄの側に偏倚させることで、パンツ１の
凹欠部４を着用者の臀部と腹部との湾曲形状に近づける
ことができる。
【００２２】インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシー
ト３Ａ，３Ｂとのうちの一方または双方には、熱可塑性
繊維で形成した不織布を使用することができる。不織布
には、開口を形成して透湿性を向上させたものや不織布
のシート面に凹凸を形成してクッション性を向上させた
ものを使用することもできる。着用者の股下に接するイ
ンナーシートには、吸液性、透湿性、柔軟性に優れた素
材、たとえば、レーヨンやコットン等の繊維を含む不織
布を使用することが好ましい。
【００２３】また、高い耐水性を有するメルトブローン
不織布の両シート面を、高い強度を有しかつ柔軟性に富
んだスパンボンド不織布のシート面で挟んだ複合不織布
（ＳＭＳ不織布）を使用することもできる。ＳＭＳ不織
布は、メルトブローン不織布をスパンボンド不織布で挟
んだ後、プレス加工の技術を利用してメルトブローン不
織布とスパンボンド不織布とを互いに固着して製造され
る。ＳＭＳ不織布を使用することで、高い強度と高い耐
水性とを有し、かつ、肌触りが良いパンツ１を製造する
ことができる。
【００２４】インナーシート２Ａ，２Ｂとアウターシー
ト３Ａ，３Ｂとのうちの少なくとも一方には、それらシ
ート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの横方向、または、横方向
と縦方向との双方に伸縮性を有する不織布を使用するこ
ともできる。この場合は、アウターシート３Ａ，３Ｂの
上端部３ａに取り付けられた弾性部材５を省くことがで
きる。
【００２５】弾性部材５は、アウターシート３Ａ，３Ｂ
の外側のシート面３ｆに取り付けられていてもよく、内
側と外側とのシート面３ｅ，３ｆの双方に取り付けられ
ていてもよい。弾性部材５としては、合成ゴム、天然ゴ
ム、合成ゴムを配合した伸縮性フィルム、合成ゴムを主
成分としたスパンボンド不織布やメルトブローン不織布
等を使用することができる。また、弾性部材を伸長状態
で不織布に接合した複合部材、または、弾性部材を伸長
下に不織布に接合しかつ不織布で被覆した複合部材を使
用することもできる。
【００２６】パンツ１には、図示はしていないが、透液
性トップシートと不透液性バックシートとの間に吸収性
コアが介在する吸収性物品を別途取り付けることもでき
る。吸収性物品は、パンツ１の内面において前後方向へ
延びる保持部に、吸収性物品の下面に装着した止着シー
ト、たとえば、摩擦係数の高いウレタンフォームや粘着
材シートをパンツ１に止着して用いることができる。
【００２７】シート２Ａ，２Ｂ，３Ａ，３Ｂの接合や弾
性部材５の取り付けには、ホットメルト接着剤等の接着
剤や粘着材、または、ヒートシールやソニックシール等
の熱融着の技術を利用することができる。
【００２８】
【発明の効果】本発明に係るトランクス型の使い捨てパ
ンツによれば、インナーシート各々を互いに重ね合わせ
た状態でインナーシート各々のシート面を接合するとと
もに、インナーシートとアウターシートとを互いに重ね
合わせた状態でそれらシートのシート面を接合している
だけの簡単な構造なので、布地や織物を縫製する場合と
比較して容易に製造することができ、再使用することが
ない使い捨てに適している。また、インナーシートとア
ウターシートとの少なくとも一方が不織布で形成されて
いる場合は、布地や織物と比較して安価に製造すること
ができ、使い捨てに特に適している。
【図面の簡単な説明】
【図１】前方から示すトランクス型の使い捨てパンツの
斜視図。
【図２】図１のパンツの分解斜視図。
【図３】図１のパンツのＡ−Ａ線端面図。
【符号の説明】
１ トランクス型の使い捨てパンツ ２Ａ，２Ｂ インナーシート ２ａ 上端部 ２ｂ 下端部 ２ｃ 前側部 ２ｃ１ 部分 ２ｄ 後側部 ２ｄ１ 部分 ２ｅ シート面 ２ｆ シート面 ３Ａ，３Ｂ アウターシート ３ａ 上端部 ３ｂ 下端部 ３ｃ 前側部 ３ｄ 後側部 ３ｅ シート面 ３ｆ シート面 ４ 凹欠部 ５ 弾性伸縮性部材 ６ 胴周り開口 ７ 脚周り開口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A41B 9/00 - 9/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 上部に胴周り開口と、下部に左右一対の
    脚周り開口とを有し、前記胴周り開口の周縁近傍に周り
    方向へ延びる弾性伸縮性部材が伸長状態で取り付けられ
    たトランクス型の使い捨てパンツにおいて、 前記パンツが、横方向へ延びる上下端部と前記横方向と
    交差する縦方向へ延びる前後側部と前記前後側部の間に
    位置して前記上端部から前記下端部へ向って弧を画く凹
    欠部とを有する対称な一対のインナーシートと、前記横
    方向へ延びる上下端部と前記縦方向へ延びる前後側部と
    を有して前記インナーシートの外側に位置する対称な一
    対のアウターシートとから構成され、 前記インナーシート各々が、該シートの前記上下端部と
    前記前後側部とを一致させた状態で互いに重なり合い、
    対向する前記インナーシート各々のシート面が、該シー
    トの前記上端部と前記上端部近傍に位置する前記前後側
    部の部分と前記凹欠部とのうちの少なくとも該前後側部
    の部分と該凹欠部とに沿って固着され、前記インナーシ
    ートと前記アウターシートとが、それらシートの前記上
    下端部と前記前後側部とを一致させた状態で互いに重な
    り合い、対向する前記インナーシートのシート面と前記
    アウターシートのシート面とが、それらシートの前記前
    後側部に沿って固着され、前記弾性部材が、前記アウタ
    ーシート各々の前記上端部に沿って取り付けられている
    ことを特徴とする前記パンツ。
  2. 【請求項２】 前記インナーシート各々と前記アウター
    シート各々とのうちの少なくとも一方が不織布で形成さ
    れている請求項１記載のパンツ。
  3. 【請求項３】 前記不織布が、メルトブローン不織布の
    両シート面をスパンボンド不織布のシート面で挟んだ複
    合不織布である請求項２記載のパンツ。
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